年別アーカイブ: 2023年

オンライン資格確認システム 紙レセプト、経過措置期間中の院内掲示について

オンライン資格確認システム導入の義務化を免除されている紙レセプトの先生および、経過措置期間中の先生のために院内掲示ポスターを作成いたしました。

ぜひご活用ください。

 

①院内掲示ポスター(現在の健康保険証でもご受診いただけます)

 

②院内掲示ポスター(当院ではマイナ保険証の取り扱いをしておりません)

 

過去にもマイナ保険証に対応したポスターを作成しておりますので、そちらもぜひご活用ください。

↓過去の記事はこちらから↓

マイナンバーカード保険証利用、健康保険証だけでも保険診療は可能(ポスター画像をぜひご活用ください) | 東京歯科保険医協会 (tokyo-sk.com)

歯援診1を2023年4月以降継続する場合、届出は不要に 

 2022年度診療報酬改定で在宅療養支援歯科診療所1(歯援診1)の施設基準の要件のうち、訪問診療1または2の算定実績が、過去1年以内に15回以上から18回以上に引き上げられました。一方で、歯援診2の場合は、過去1年以内に10回以上から4回以上に引き下げられています。

 これにより、2022年3月末において歯援診1を届け出ている医療機関が、経過措置が終了する2023年4月以降も歯援診1を継続する場合は、2023年3月末までに再度の歯援診1の届出を関東信越厚生局東京事務所に行う必要がありましたが、3月10日の通知により、歯援診1の施設基準を満たしていれば、届出をする必要はなくなりましたのでご注意ください。

通知はここをクリック(経過措置を設けた施設基準の取扱いについて)

 また、歯援診1の算定実績を満たせずに、①歯援診2に変更する場合若しくは②歯援診1又は2の要件をいずれも満たせず、訪問診療の割合が95%未満で引き続き歯科訪問診療料1・2・3を算定する場合は、2023年4月3日(月)(必着)で関東信越厚生局東京事務所に届出(①は歯援診2の届出を、②は歯科訪問診療料の注13に規定する施設基準(歯訪診)の届出)を行ってください。(なお、歯援診2の届出をしている医療機関が、2023年4月以降も歯援診2を継続する場合は届出は必要ありません)

届出書類はここをクリック(歯援診2は整理番号「2-69」、歯訪診は「2-95」にあります)

 歯援診1又は2を届出しているか否かが不明な場合は、関東信越厚生局ホームページ内にある「保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況及び保険外併用療養費医療機関一覧」より、自院の施設基準の届出状況を確認できます。

施設基準の届出状況はここをクリック(「施設基準の届出状況(全体)」の東京都の歯科を参照)

 

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)3月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)3月1日

【新聞3月号】

【1面】

 1.オンライン資格確認システム導入義務化/経過措置の申請・3月31日まで
 2.オン資義務化は「違憲」保険医ら274人が国を提訴
 3.オン資等システム「義務化」撤回訴訟原告団へのご参加を
 4.原告団参加のご案内
 5.第51回定期総会ご案内
 6.「探針」
 7.ニュースビュー

【2面】

 8.4月から再診時もオン資の加算/問診などで情報確認が必要
 9.歯科用貴金属価格改定/4月から金パラのみ引き下げ
 10.東京都2021年度の個別指導32件/前年に比べて実施件数が減少
 11.高橋英登氏が当選/日歯会長予備選挙
 12.新聞に投稿してみませんか?

【3面】

 13.歯援診1に係る施設基準の届出/3月末までの再度の届出を忘れずに
 14.会員投稿「声」THE GENERATION Z/橋村威慶氏
 15.院内感染防止対策講習会・WEBと会場で開催
 16.確定申告・個別相談会/顧問税理士2氏が対応
 17.東京反核医師の会が総会・記念講演
 18.インボイス 事業者の届出は熟慮が必要
 19.東京歯科保険医協会50周年記念イベント

【4面】

 20.経営・税務相談Q&A第402回/オンライン資格確認システムの猶予について
 21.IT相談室/レセコン&オンライン資格確認システム 1台のPCで運用した場合のメリットとデメリットは?(永田康祐氏・クレセル)
 22.書籍「保険医の経営と税務 2023年版」
 23.法律相談、経営&税務相談

【5面】

 24.研修会・行事のご案内
 25.保団連情報サービスのご案内
 26.デンタルブックご案内

【6面】

 27.目白大学・姜恩和氏インタビュー「『とにかく助ける』母子を救うロジック抜きの感覚」

【7面】

 28.「マル青」の医療費助成制度、都内全域で4月から運用開始

【8面】

 29.教えて!会長!!Vol.68 フッ化物配合歯磨剤の利用方法
 30.4月から返戻がオンライン化
 31.グループ生命保険40周年 大抽選会のお知らせ

【9面】

 32.症例研究/知覚過敏に対する歯周外科手術

【10面】

 33.連載/歯科界への私的回想録⑥(オクネット代表・奥村勝氏)歯科行政の変遷と厚労省歯科保健課長への課題・期待
 34.オン資の義務化と保険証廃止の中止を求める
 35.理事会だより
 36.協会活動日誌/2023年2月

【11面】

 37.防災意識を高める/南海トラフ地震 日ごろからの備えが重要(早坂美都 理事)
 38.保険医年金 予定利率引上のお知らせ

2023.03.01東京歯科保険医新聞

 39.お手元にある署名のご返送を―「保険でより良い歯科医療を求める請願署名」
 40.神田川界隈/歯科医師人口減少社会(馬場安彦副会長/世田谷区)
 41.通信員だよりNo.131
 42.入会案内
 43.Facebookのご案内
 44.姜恩和氏/書籍プレゼント・番組出演情報

第116回歯科医師国家試験の結果公表|厚生労働省

厚生労働省は316日、第116歯科医師国家試験の合格者を発表した。試験は本年128~29日の2日間にわたり実施。

今回の歯科医師国家試験は出願者数が3,669人(前年3,667人)、受験者数3,157名(前年3,198人)、合格者数2,006名(前年1,969人)となっており、合格者数および合格率ともに前回をわずかに上回った。

厚労省の発表によると、第 116 回歯科医師国家試験の合格基準は、一般問題(必修問題を含む)を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、
① 領域A(総 論) 63点以上/ 96点
② 領域B(各 論) 257点以上/373点
③ 必 修 問 題 64点以上/ 80点
としている。

但し、必修問題の一部を採点から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について総点数の80%以上とする。

歯科界への私的回想【NARRATIVE Vol.6】歯科行政の変遷と 厚労省歯科保健課長への課題・期待

去る2月14日、次期日本歯科医師会会長に高橋英登氏(日本歯科医師連盟会長)が内定し、新しい執行部に期待が寄せられることになりました。高橋氏は、立候補時の挨拶で「〝物言う歯科医師会〟に変革していきたい」と述べていましたので、今後の言動に注目していきたいところです。

さて、1月23日に召集された第211回国会での衆院予算委員会では、2023年度予算成立に向け審議を進めていますが、歯科を担う厚労省の所轄内容は、国民の生活に密着している分野が非常に多く、国民が身近に感じる政策が多いのは事実です。私が歯科医療界に身を置いたのが90年からですが、当時は厚労省医政局歯科衛生課長(後年、歯科保健課に改称)は宮武光吉氏(東京医科歯科大学)で以後、佐治靖介氏(大阪大学・故人)、石井拓男氏(愛知学院大学)、上條英之氏(東京歯科大学)、瀧口徹氏(新潟大学)、山内雅司氏(愛知学院大学)、日高勝美氏(九州大学)、鳥山佳夫氏(大阪大学)、田口円裕氏(長崎大学)、そして現在の小椋正之氏(長崎大学)により今日に至っています。各氏への寸評は控えますが私はこの方々には本当にお世話になりました。

現在に至るまでの間、強く印象に残っていることは、「歯科衛生課が歯科保健課に改称」(7年)、「健康増進法」(02年)、「贈収賄容疑で歯科医師ら逮捕」(04年)、「食育基本法」(05年)、「歯科技工物海外委託訴訟東京地裁判決」(08年)、「歯科口腔保健法」(11年)、「インプラント訴訟判決」(13年)などがあります。一方、歯科行政では、やはり「8020運動」が始動したことによる「8020運動推進事業」(92年)、「健康日本21(第一次)」(00年)、「健康日本21(第二次)」(13年)が歯科医療界の方向性・時代認識に大きな影響を与えたと思います。

当時、懇意にしていました日F(特定非営利活動法人日本フッ化物むし歯予防協会)の有志から、地域歯科保健、予防歯科の推進、フロリデーションの課題、フッ化物の応用、歯科衛生士との関係など意見交換を重ねてきました。さらに個人的でしたが、自由参加にして、一般社団法人日本口腔衛生学会会員、業界マスコミ人、歯科企業関係者の有志と大学関係者・開業医との懇談する機会を設け理解を深めました。貴重な経験であり、私の歯科への基本認識を培いました。

時代変遷がある中で、歯科行政でも厚労省医政局歯科保健課に設置されていた「歯科口腔保健推進室」が訓令室から省令室に昇格(17年)してスタート。まさに、歯科口腔保健法の下で、基本的施策、財政上措置、口腔保健支援センターの普及に努めると同時に、関係省庁との調整・連携の司令塔的責務を担うことになりました。

そして、「骨太の方針2022」で話題になった「国民皆歯科健診」。政策に伴う法的整備、事業の推進計画などの課題への対応が急務とされてきました。こうした中で、今後の歯科医療の役割について、前歯科保健課長の田口東京歯科大教授は、①従来の「治療中心型」だけでなく、口腔機能の維持・回復していく「治療・管理・連携型」の治療が求められる、②歯科診療報酬改定は、継続的な口腔管理、口腔疾患の重症化予防や口腔機能に着目した改定になる、③地域において、病院歯科と歯科診療所の役割分担・機能分化。歯科診療所間での役割分担に着目した提供体制の構築が進む、④診療室完結型から「かかりつけ歯科医」を中心とした地域完結型体制に転換していく―との4項目を掲げました。

◆将来を見据えた構想

近年では、新たに歯科と「食事・栄養」の議論がクローズアップされています。歯科医療界として時代遅れにならないよう、ネット社会におけるIT活用による歯科診療・地域歯科保健、さらに将来を見据えた歯科独自の「1・5次歯科診療所」構想の検討など、課題は目白押しです。国民の健康観、人口動態の激変、歯科疾病構造の変化などへの理解と適切な判断が求められる歯科保健課の責務は増すばかりです。

かつて、宮武氏が鶴見大学歯学部教授時代に、「多様化する国民の行政需要に応えるため、各種のネットワークを駆使し、優れた感性を持ち適正な判断ができる者が必要となる。高い教養を基礎に、優れた専門知識を持つ行政官が歯科衛生行政に参入されることを望む」と述べていましたが、まさに現在がそうなのかもしれません。

◆奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立しオクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

【教えて!会長!! Vol.68】フッ化物配合歯磨剤の利用方法

▼「教えて!会長!!」バックナンバーをチェックする

 

フッ化物配合歯磨剤について学会から提言が出されましたね。

 2023年1月1日に「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」、4学会(日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)から合同の提言が発表されました。私を含め、多くの先生は国際歯科連盟(FDI)や世界保健機関(WHO)が作成しているガイドラインを参考にフッ化物配合歯磨剤の利用方法について患者や保護者に説明していると思います。今回の提言は、これらのガイドラインを参考にして、さらに日本の状況を考慮して4学会からの推奨として作成されています。

特に強調されている点はどこでしょうか。

 本提言で今までの認識と変更されている点は、6歳未満においてフッ素濃度が500ppmの歯磨剤の使用が推奨されていましたが、歯が萌出してから6歳未満までフッ素濃度1000ppmの歯磨剤の使用が推奨されています(表)。そのほかには、以下の項目などが記載されています。
 高齢者において、う蝕予防の観点からフッ化物配合歯磨剤の利用が推奨できる。
 高濃度で酸性のフッ化物歯面塗布にはチタンインプランを腐食させる可能性があるが、低濃度で中性のフッ化物配合歯磨剤ではその可能性はないと考えられる。(中略)そのため、天然歯へのう蝕予防効果を考え、インプラント患者にもフッ化物配合歯磨剤の利用が推奨されている。
 なお本提言の詳細は、各学会のHPに掲載されていますのでご確認ください。

東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2023年3月号8面掲載)

4月から返戻がオンライン化

―オンライン請求の医療機関

 オンライン請求を行っている医療機関の場合、レセプトが返戻された場合には紙レセプトまたはオンラインのいずれかで再提出をすることになっている。しかし、今年4月からは、返戻は紙でも送られてくるが、オンラインでなければ再提出ができなくなる。なお、手書きレセプト請求またはCDなどの電子媒体請求の医療機関については変更がなく、4月以降も紙レセプトで再提出する。

―ダウンロード期間は3カ月

 オンラインで再提出する場合、自院でオンライン請求システムにアクセスし、返戻データをダウンロードし、修正後にオンラインで請求することになる。ただし、ダウンロードできるレセプトは直近3カ月分となっているため、期間が過ぎる前にダウンロードして再請求することになる。なお、今年4月からオンラインでの再提出を始める医療機関の場合、ダウンロード期間の終了により22年12月処理分以前の古いレセプトがダウンロードできないが、その場合には、返戻された紙レセプトで再請求できる。

―できない場合は3月中に猶予届出を

 オンライン請求の医療機関においては、4月からオンライン化できない事情がある場合、経過措置が設けられている。レセコンメーカーに改修を依頼したが、4月からできないなどの事情がある場合は3月末までに届出を行っていただきたい。なお、届出は、2月請求時にオンライン請求システムにログインした際に表示される「ポップアップ画面」から、経過措置に該当する項目を選択して行う。しかし、何らかの理由でポップアップ画面から届出ができていない場合は、届出用紙をダウンロードし、「支払基金本部事業総括部オンライン化経過措置担当」宛て(住所:〒105-0004 東京都港区新橋2―1―3)に3月中に郵送する。今年9月末以降も対応できない場合は、審査支払機関から医療機関に働きかけをするとされており、システム改修中の医療機関は9月末までに対応できればよい。

 不明な場合は、支払基金の関東審査事務センター審査事務担当者、または東京都国保連合会のレセプト電算係(電話:03―6238―0456)へお問い合わせ。

―紙で再提出必須のレセプト、添付書類で見分ける

 返戻の中には紙レセプトでしか返戻されないものがあり、その場合はオンライン請求システムからダウンロードができないため、返戻された紙媒体のレセプトで再請求する必要がある。これは、返戻された紙レセプトに添付された書類で見分けることになっており、該当する紙レセプトは廃棄しないようにご注意いただきたい。

日本歯科医師会 予備選挙 高橋英登氏が当選

 2月14日、日本歯科医師会会長予備選挙の投開票が行われた。今回、高橋英登氏、柳川忠廣氏、小林慶太氏の3氏が立候補していたが、開票の結果、高橋氏が319票を得て初当選した。柳川氏は283票、小林氏は26票であった。今回当選した高橋氏は、高橋氏ご自身を含む理事候補者24名以内の名簿、および候補者ごとの誓約書などを用意し、4月16~19日までに選挙管理委員会に提出。定時代議員会で代議員投票による理事選任が行われ、同代議員会終了後の理事会で選任された理事の中から代表理事(会長)が選出される。
リンク

東京反核医師の会 「はだしのゲン」削除に抗議声明

東京の医師・歯科医師が参加する「核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会」(略称:東京反核医師の会)は2月28日、広島市教育委員会が、広島市立小中高の教材から漫画「はだしのゲン」を削除するとの発表に対し、削除の撤回を求めた抗議声明を発表した。
声明では「はだしのゲン」は「子どもたちだけでなく、教育者が共に考え学ぶことができる歴史的資料であり、被爆地広島の教材から削除されることの損失は大きい」などとして、削除の撤回を求めている。

「核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会」(略称:東京反核医師の会)
東京反核医師の会は、命と健康を守る立場から、核廃絶と国際平和を求める東京都内の医師・歯科医師・医学者の団体です。東京歯科保険医協会は東京反核医師の会の活動に協力しています。

<全文は以下のリンクよりご覧ください>
https://hankaku.tokyo/docs/2023022800012/

レセコン&オンライン資格確認システム 1台のPCで運用した場合の メリットとデメリットは?

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、
歯科専門にサイト制作、運用、コンサルディングを手掛ける専門家が解説する本連載。
今回は「
レセコン」と「オンライン資格確認システム」を1台のPCで運用した場合のメリットとデメリットについて―。

 歯科診療所の床面積と同様に、PCを購入する資金にも限りがあることは言うまでもありません。同じ機密情報を取り扱うなら「レセコンとオンライン資格確認システムのPCを同じものにして運用したい」と思うのが自然ではないでしょうか。今回はこの2つの役割を1台のPCに集約した場合のメリットとデメリットを考えてみます。
 まず前提として、厚労省はレセコンと同一の院内ネットワークを使うことを想定してオンライン資格確認システムの導入を義務化しています。既にIP-VPNに接続されているレセコンを使用している診療所では、既存の院内ネットワークを利用することで新たな院内ネットワークやインターネット回線を増設する必要はありません。
 管理者は、管理すべきPCの設置が1台に限定されるので、気持ちとして負担が軽くなるでしょう。さらに、スペースが限られる診療所では、複数台のPCを置くことが難しい状況もあるでしょう。院内がIT企業のように、多数のPCが並ぶ無機質なレイアウトになりづらいという点もメリットです。メリットについてはある程度容易に想定できると思いますが、問題はデメリットに対する考え方です。
 まず最もネックになるのは、レセコンにも接続されたPCを受付に設置して、常に患者さんの目に触れる場所で運用しなければならないことです。受付は、お昼休みや夕方の混雑する時間帯にたくさんの患者さんが通ります。顔認証端末が繋がったPCが、レセコンにも繋がっているのです。受付のスタッフが目を離すタイミングがあれば、それなりのリスクを伴います。センシティブに扱うべき情報が、患者さんから見えてしまう危険性も排除できないでしょう。
 それだけではありません。盗難、破損ほか、PCに何か不具合が生じると、その瞬間からレセコン、オンライン資格確認のどちらも使用不能になるという危機的な状況に陥ります。これは、診療所運営に大きなダメージになる可能性がありますので、管理の手軽さだけでなく、「めったに起こらない最悪のケース」を〝想定外〟とみなさずに、常に想定してリスクを意識しながらどのように回線を引き、どのようにPCを配置するかを再検討してみてください。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2023年3月号4面掲載)

4月から返戻がオンライン化

―オンライン請求の医療機関
 オンライン請求を行っている医療機関の場合、レセプトが返戻された場合には紙レセプトまたはオンラインのいずれかで再提出をすることになっている。しかし、今年4月からは、返戻は紙でも送られてくるが、オンラインでなければ再提出ができなくなる。
 なお、手書きレセプト請求またはCDなどの電子媒体請求の医療機関については変更がなく、4月以降も紙レセプトで再提出する。

―ダウンロード期間は3カ月

 オンラインで再提出する場合、自院でオンライン請求システムにアクセスし、返戻データをダウンロードし、修正後にオンラインで請求することになる(図1)。ただし、ダウンロードできるレセプトは直近3カ月分となっているため、期間が過ぎる前にダウンロードして再請求することになる。
 なお、今年4月からオンラインでの再提出を始める医療機関の場合、ダウンロード期間の終了により22年12月処理分以前の古いレセプトがダウンロードできないが、その場合には、返戻された紙レセプトで再請求できる。

―できない場合は
3月中に猶予届出を

 オンライン請求の医療機関においては、4月からオンライン化できない事情がある場合、経過措置が設けられている。レセコンメーカーに改修を依頼したが、4月からできないなどの事情がある場合は3月末までに届出を行っていただきたい。なお、届出は、2月請求時にオンライン請求システムにログインした際に表示される「ポップアップ画面」から、経過措置に該当する項目を選択して行う。しかし、何らかの理由でポップアップ画面から届出ができていない場合は、届出用紙をダウンロードし、「支払基金本部事業総括部オンライン化経過措置担当」宛て(住所:〒105-0004 東京都港区新橋2―1―3)に3月中に郵送する。今年9月末以降も対応できない場合は、審査支払機関から医療機関に働きかけをするとされており、システム改修中の医療機関は9月末までに対応できればよい。
 

 不明な場合は、支払基金の関東審査事務センター審査事務担当者、または東京都国保連合会のレセプト電算係(電話:03―6238―0456)へお問い合わせをいただきたい。


―紙で再提出必須のレセプト、添付書類で見分ける

 返戻の中には紙レセプトでしか返戻されないものがあり、その場合はオンライン請求システムからダウンロードができないため、返戻された紙媒体のレセプトで再請求する必要がある。
これは、返戻された紙レセプトに添付された書類で見分けることになっており、該当する紙レセプトは廃棄しないようにご注意いただきたい。

東京都 2021年度の個別指導32件

前年に比べて実施件数が減少

 厚生労働省は「令和3年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(概況)」を公表した。それによると、2021年度の東京の歯科では保険医療機関ベースで、個別指導32件、新規個別指導45件、監査3件が実施されていたことが分かった。
 前年と比べ、個別指導は8件減少、新規個別指導は48件減少、監査は3件減少しており、全国的な傾向であるが新型コロナウイルス感染症の影響で指導の延期が起きたことが、減少の要因と考えられる。

―厚労省が指導日程の開示を認める

 また、指導の日程について、厚生局はこれまで開示をしない方針を取っていたが、この度、協会が行った不服請求により、指導日程を黒塗りすることには正当な理由がないとし、開示が認められ、22年度の指導日程は開示されている。
 間もなく年度が切り替わるが、23年度の指導日程も明らかになり次第、会員にお知らせする。

歯科用貴金属価格改定―4月から金パラのみ引き下げ 

 2月15日開催の中央社会保険医療協議会総会で、4月に行われる歯科用貴金属価格の随時改定が議論された。歯科鋳造用金銀パラジウム合金(以下、「金パラ」)の平均素材価格が、昨年8月~10月と比べて昨年11月~今年1月が下がっていることから、4月以降の金パラの告示価格は引き下げとなった。一方、その他の金属は引き上げになる。
 金パラの価格引き下げについては、素材であるパラジウムの価格が下がっていることが大きく影響している。
 4月以降の点数については、今後発出される通知で明らかにされる。通知が発出され次第、デンタルブックメールニュース、機関紙等でお知らせする。

2022年の出生数は速報値で80万人を割り込む|厚生労働省 人口動態調査

2022年に国内で生まれた子どもの数は、統計のある1899年以降、初めて80万人を割り込み、政府推計を上回るスピードで少子化が進行する状況がわかった。

厚労省が2月28日に公表した2022年の人口動態統計(速報)では、外国人と、海外で生まれた日本人の子どもを含む出生数は79万9728人だった。

4月から再診時もオン資の加算

 4月から、オンライン資格確認システム(以下、「オン資」)およびオンライン請求を導入した医療機関で算定できる「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」(以下、「医シ」)が一部変更され、再診時にも算定できるようになる。初診時の医シは標準的な項目を含んだ問診票を使用する必要があるが、再診時の「医シ」は、問診などにより他院の処方を含む薬剤情報や必要に応じて健診情報などを確認することが要件となっている。情報確認が必須であり、「オン資」を導入すれば自動的に算定できるわけではない。

―オン資導入後は院内掲示も必要

 「医シ」の算定の有無にかかわらず、4月から「オン資」の導入後はマイナンバーカードによる資格確認ができることを院内掲示する必要がある。患者に、健康保険証ではなくマイナンバーカードを持参させようと働きかける狙いが窺がえる。

―オンライン請求への誘導も

 また、「医シ」の施設基準に特例措置が設けられ、今年の12月31日までにレセプトのオンライン請求を開始する旨を届け出ることを条件に、「オン資」は導入したがレセプトのオンライン請求は行っていない医療機関でも「医シ」を算定できる。マイナンバーカードの普及と共に、オンライン請求への誘導も図られている。

―一般名処方加算も院内掲示が必要に

 医薬品供給が不安定な状況を踏まえて適切な処方をするなどの観点から、4月から12月までの間、一般名処方加算および外来後発医薬品使用体制加算が2点引き上げられる特例措置も設けられる。
 引き上げに際しては院内掲示の扱いが変更され、一般名処方加算の場合は、医薬品の供給状況などを踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することを院内掲示する必要がある。
 外来後発医薬品使用体制加算の場合は、施設基準を届け出していることに加えて、①医薬品の供給が不足した場合に処方変更などの対応ができる体制を整備していること、②医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること、③変更する場合には患者に十分に説明すること、の3点を院内掲示する。なお、今回の特例措置に際して届出を行う必要はない。

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)2月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)2月1日

【新聞2月号】

【1面】

1.オン資システムの原則「義務化」撤回を厚労省に要請
2.【実態調査】現行の保険証廃止「反対」の声 6割超
3.チタン冠やCAD/CAM冠など 診療報酬 適用拡大を要望
4.「探針」
5.ニュースビュー

【2面】

6.オンライン資格確認導入に関しての経過措置/ポイントがよくわかるフローチャート
7.「オンライン資格確認」の経過措置について
8.共済部だより

【3面】

9.所得税改正/2022年分確定申告のポイント・注意すべき「改正点」(税制経営研究所)
10.冊子「保険医の経営と税務 2023年版」
11.2022年分確定申告個別相談会
12.東京歯科保険医協会Facebookご案内
13.「新聞に投稿してみませんか?」機関紙投稿ご案内

【4面】

14.経営・税務相談Q&A第401回/青色事業専従者給与
15.デンタルブックご案内
16.医科歯科連携研究会2022
17.法律相談ご案内

【5面】

18.研修会・行事のご案内

【6面】

19.日本薬科大学・岩堀禎廣氏インタビュー「大切なのは『対患者コミュニケーション』―歯科はもっと家庭内や地域に出て啓発を」

【7面】

20.【Special Serial No.5】社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み/適正なレセプト請求に向けて あるべき水準の歯科医療を/山本光昭氏(社会保険診療報酬支払基金 理事)
21.会員投稿「声」摂食嚥下リハと食支援/五島朋幸氏
22.「かかりつけ医」機能が発揮される制度整備に
23.歯科疾患管理計画書2022年版

【8面】

24.歯周治療成功のキーワードは「チーム医療」と「患者との共同作業」/第2回学術研究会
25.オンライン請求の医療機関は注意が必要/4月から返戻の再請求はオンラインのみに
26.「一般名処方加算」「外来後発医薬品使用体制加算」4月から引き上げ 期間は12月まで
27.厚生労働省が地方厚生局に事務連絡/高点数の個別指導の再開を示唆/2023年度は予定通り中止に
28.新名称は「東京科学大学」24年度統合目指す 医科歯科大・東工大
29.保険収載されたサージセルMD

【9面】

30.症例研究/歯科がない病院から依頼された場合の周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)・(Ⅲ)

【10面】

31.連載/歯科界への私的回想録⑤(オクネット代表・奥村勝氏)「歯系大学は受験生獲得イメージ戦略立案を 明大の『都市型大学宣言』と『子どもクリニック』経営を参考に」
32.教えて!会長!!Vol.67 全国からオン資義務化撤回、保険証廃止反対の声
33.理事会だより/2022年度第17回理事会
34.協会活動日誌/2023年1月

【11面】

35.歯科の総枠拡大を求める署名/2月末までに返送を
36.抽選でカタログギフトが当たる!患者さん向けアンケートにもご協力を
37.医療費 歯科が占める割合は横ばい/患者数も増加せず
38.第2回保団連代議員会
39.東京歯科保険医新聞のバックナンバーが読める/協会HPご案内

【12面】

40.通信員便りNo.130
41.神田川界隈/ある歯科医師のつぶやき(呉橋美紀理事/大田区)
42.会員優待ご案内
43.東京歯科保険医協会は、先生方の身近なコンシェルジュ/入会案内
44.書籍「医院経営と雇用管理」/1冊無料配布ご案内

3月22日(水)、3月30日(木)(歯初診の研修)院内感染防止対策講習会(WEB)

(歯初診の研修)院内感染防止対策講習会(WEB)

歯初診の新規届出、更新の方に向けた講習会です。

予約は下記デンタルブックリンクよりお願いいたします。

日  時:第17回2023年3月22日(水)19:00~20:30(予定)

     第19回2023年3月30日(木)19:00~20:30(予定)

開催方法:Zoomウェビナー

参  加  費:1,000円

予  約:予約にはデンタルブックのご登録が必要です。

     ①デンタルブックトップページを開く←リンクをクリックしてデンタルブック

      へ進んでください

     ②Zoomウェビナーの登録フォームより必要事項を入力し、登録してください。

     ③Zoomより登録確認のメールが届きます。

      メール本文中の決済ページのURLをクリックしてください。

     ④決済ページにて、電話番号、メールアドレス、会員番号を入力。

      期日内に決済を完了してください

      ※振込確認が取れない場合、キャンセルとさせていただきます。

     ⑤振込後、決済完了メールが届きます。

      これで予約完了となります。

      ※当日はZoomウェビナーより届いております登録確認メール内のURLよりアクセスを

       してください。

修  了  証:メールの本文内に記載予定(書面での発行はありません)

注意事項:遅れて入室した場合や、途中退室した場合、修了証は発行できません。

     受講後に確認テストを行います。必ず確認テストを行ってください。

     確認テストを行わず、Zoomウェビナーを終了した場合、修了証が発行できません。

     確認テスト合格者に受講修了メールをお送りいたします。

     確認テスト不合格の場合は事務局よりご連絡いたします。

オンライン資格確認の補助金の税務にも対応!「保険医の経営と税務-2023年版-」のご案内

『保険医の経営と税務2023年版』のご案内です。日常に役立つ「医業所得の計算」「措置法」「スタッフの税務と給与実務の留意点」など、最新の税務情報にアップデートし、解説しています。さらに、歯科保険医の確定申告に必要な税務の内容に加え、コロナ関連の助成金や2023年度税制改正大綱のポイントなども盛り込まれています。ぜひご一読ください。書籍をご希望の方は、下記のURLからwebフォームに移動していただき、必要事項とアンケートをご入力のうえ、お申し込みください。

〔目次〕

  • 第1章 医業所得計算と日常業務
  • 第2章 共済制度と税金
  • 第3章 消費税
  • 第4章 開業・承継・閉院
  • 第5章 相続税・贈与税
  • 第6章 スタッフの税務と給与実務の留意点
  • 第7章 勤務医師の税務
  • 第8章 地方税の計算
  • ☆付録:確定申告書の記載例、財産債務調書、控除額等計算一覧表、税務調査対応の心得  10のポイント

※会員に1冊まで無料でお送りします。2冊目以降は、有料(1冊1500円)での販売といたします。

※書籍の到着はお申込後、1週間程度掛かりますので予めご了承ください。

 

申込フォーム→「保険医と経営と税務」注文フォーム

<受付中>3月5日(日)開催:医科歯科連携研究会2022

毎年恒例となりました、当協会と東京保険医協会、千葉県保険医協会の3協会による医科歯科連携研究会を今年も開催します。今回のテーマは、「糖尿病と歯周病」に関する医科歯科連携です。是非、ご参加ください。

【テーマ】
糖尿病と歯周病からみる医科歯科連携の重要性と診療への活かし方~医科と歯科の立場から~

【抄録】
*医科から* 
講師:加藤光敏氏(加藤内科クリニック 院長/糖尿病専門医)

「糖尿病治療概念の進歩:歯科受診に対する患者さんの意識の実態を含めて」

当院は糖尿病の専門クリニックのため、多くの糖尿病患者さんの治療や療養指導をしている。しかし糖尿病治療は一筋縄ではいかず、やっと平均HbA1cは7.0%に抑えている状況で反省しきりである。歯科の先生方に糖尿病治療は進化の途中であることを理解していただけたら幸いである。糖尿病はいわゆる3大合併症と共に大血管障害抑制が極めて重要で、これに高齢者の認知症の問題がからんでくる。糖尿病治療薬の進歩は著しく血糖が高ければインスリンとの考えは大きく変化した。さらに医師患者関係も大きく変化し、歯科の先生方にも重要な、例えばスティグマとアドボカシーなどの概念を話す。さて歯周病が糖尿病の合併症の一つとされてから久しい。しかし患者さんの意識を変えるのは容易では無い。歯周病は、慢性炎症を基盤とする病態で糖尿病と互いに影響し合う。歯周病菌や、菌が産生するエンドトキシン(LPS)が口腔内から歯原性菌血症を起こし種々の臓器に影響を与え血糖コントロールに悪影響をおよぼしている。そこで当院通院の2型糖尿病患者100人の唾液で、ペリオスクリーンを用いて潜血反応陽性者を抽出し歯周病専門医を中心に紹介状を渡した。歯科での治療効果を歯科医院からの診断および歯周病治療報告書を得た結果を紹介しながら、医科歯科連携の進展のために我々内科医は何をしたら良いのか。一緒に考えるきっかけになればと考えている。

*歯科から* 
講師:三辺正人氏(文教通り歯科クリニック 院長/歯周病専門医)

「歯周病と糖尿病の医科歯科連携のポイント」

歯周病と糖尿病の医科歯科連携について、歯周医学的背景に基づいた検査、歯周治療の血糖コントロールに及ぼす効果、歯周病の新分類などを説明した上で、歯周病・糖尿病医科歯科連携におけるスクリーニング、連携情報の共有の方法、連携紹介時に把握しておくべき事項、どのような患者を紹介すべきか?などについて概説する。そして現在、千葉大学と共同開発を行っている連携手帳のアプリとそれを用いた、千葉県保険医協会での調査研究について現状報告を行う。(講演は、こうの歯科クリニックの河野寛二先生の奈良市歯科医師会での動画講演(2023年2月19日)を視聴して頂き、最後に連携手帳アプリについて千葉県保険医協会から説明を頂く予定である。)

【日時】
3月5日(日)14時30分~16時00分  

【講師】
加藤光敏氏
(加藤内科クリニック 院長/糖尿病専門医)

三辺正人氏
(文教通り歯科クリニック 院長/歯周病専門医)

【会場】
Zoomウェビナーを用いたライブ配信
     または
東京保険医協会セミナールーム

【参加条件】
保険医協会・医会の会員と当該診療所のスタッフ

【定員】
Zoomウェビナー:500名
セミナールーム:30名(先着順)

【参加費】
無料

【申込方法】

★こちらをクリック(医科歯科連携研究会2022)★

Special Serial No.5 社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み/適正なレセプト請求に向けて あるべき水準の歯科医療を

 「東京歯科保険医新聞22年10月号(第631号)」より始まった本連載。医師であり社会保険診療報酬支払基金理事である山本光昭氏にご寄稿いただいた。今回が最終回となる。

 今回は、実施した処置などが認められず、疑問や不満等をお持ちになることが多々あるかと拝察いたしますので、審査結果(査定)に対する疑問等への対応について紹介させていただきます。

医学的妥当性が重要

 まずは、審査結果理由に目を通していただいて、保険診療に照らして自院の診療と請求内容に妥当性があると判断できるならば、各都道府県に設置された審査委員会に確認し、必要があれば、面談して意見交換をしていただければと思います。そこで個々の症例について歯科医学的妥当性が確認されれば、請求通りの復活もあるはずです。
 一方、審査委員会との面談の結果でも納得できない場合には、支払基金のホームページのトップ画面に「相談窓口のご案内」があり、そこから「審査に関する苦情等相談窓口」で電子メール・ファクシミリ・郵送で本部に対して照会することもできます。同窓口は、「審査結果に関する疑問・不満・苦情等」に関する照会窓口で、本部では、照会を受けた内容について、全国における状況も確認しながら、当該審査委員会に対して、より丁寧な対応をするように指示しております。
 なお、厚生労働省の定めた明確な「算定ルール」は絶対的なものとなりますので、仮に歯科医学的に、あるいは現実に問題が大きいならば、所属学会などを通じて国へ算定ルールの改定要望を出していただくことが大切だと思います。これによって、次回診療報酬改定時に算定ルールが見直され、さらに質の高い歯科医療になると考えております。

むすびに

 査定自体は「目的」ではなく適正なレセプト請求に向けての「手段」でしかありません。本来めざすべきは、審査を通じて、あるべき水準の歯科医療を全ての国民が享受できるための支援を行うことだというのが私の考えです。仮に、標準的な治療が行われていないということがあれば、あるべき水準の診療を行っていただくという働きかけがあっても良いのではないかとさえ思っております。
 世界の中で最も優れているといえるわが国の公的歯科医療保険制度を維持し、さらに歯科医療の質を高めていくために、引き続き、東京歯科保険医協会の皆様方のご理解とご支援をいただければと思います。
私も皆様方の診療現場の声を良くお聞きして、微力ながら、尽力してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

山本光昭 / 社会保険診療報酬支払基金 理事

やまもと・みつあき 1984年3月、神戸大学医学部医学科卒業後、厚生省に入省。横浜市衛生局での公衆衛生実務を経て、広島県福祉保健部健康対策課長、厚生省健康政策局指導課課長補佐、同省国立病院部運営企画課課長補佐、茨城県保健福祉部長、厚生労働省東京検疫所長、内閣府参事官(ライフサイエンス担当)、独立行政法人国立病院機構本部医療部長、独立行政法人福祉医療機構審議役、厚生労働省近畿厚生局長などを歴任し、20157月、厚生労働省退職。兵庫県健康福祉部医監、同県健康福祉部長、東京都中央区保健所長を経て、2021年4月より現職。

【教えて!会長!! Vol.67】全国からオン資義務化撤回、保険証廃止反対の声

ついにオンライン資格確認システムの経過措置が示されました。

 昨年末12月23日の中医協総会でオンライン資格確認システム(以下、「オン資」)導入に関する経過措置が示され、加藤勝信厚労大臣に答申されました。「止むを得ない事情」の具体例として6例の経過措置を2023年1月号本紙第2面に掲載したほか、本号第2面にも関連記事を載せていますので、ご参照ください。まだカードリーダーの設置などオン資に未対応の先生は、ご自身が経過措置に該当するか否かを確認してください。会員の先生によって、診療所の置かれている状況が様々だと考えられますので、不明な点があればどんな内容でも結構ですので協会までご連絡いただければ幸いです。

そのほかの全国の各保険医協会・医会での意見や対応状況などを教えてください。

 本稿執筆時は開催前ですが、1月29日に2022〜23年度第2回全国保険医団体連合会(以下、「保団連」)代議員会が開かれます。この代議員会は、全国51の協会・医会で構成される保団連において、2年に1回開催される「大会」が保団連の最高決議機関であり、「代議員会」は大会に次ぐ決議機関です。2年間で半年ごとに3回開催され、今回は年度内2回目の代議員会となります。なお、本会からは私を含め3名の代議員が参加します。
 代議員会では、各協会・医会を代表する代議員が、保団連や各協会・医会に様々な発言・意見を述べ、議論を行います。既に事前配布資料で本会を含めた発言通告が明らかになっていますので、オン資や保険証廃止の関連についてテーマ名を抜粋して紹介します。


・「オン資義務化」「保険証廃止」撤回に向け、国民とともに大きな運動を継続しよう(山口)
・保険証廃止、マイナンバーカードによる資格確認 等システム導入の「義務化」を全国一体となり、必ず阻止しよう(東京)
・オンライン資格確認義務化と保険証の原則廃止を 何としても食い止めよう(兵庫)
・オンライン資格確認導入原則「義務化」・保険証廃止撤回させよう(福岡歯)
・オンライン資格確認システム義務化施策遂行上の問題点(埼玉)
・オンライン資格確認システムの導入を義務ではな く任意に!(東京歯)
・保険証とマイナンバーカードの一体化に反対(群馬)
・保険証廃止反対の世論を盛り上げよう(愛知)
・2024年秋の保険証廃止の撤回を(和歌山)
・政府は国民・医療側の声を直接聞くべき(東京歯)


 そのほか、10万7千名の医師・歯科医師が所属している保団連の各協会・医会から多数(関連25通)の意見を出しています。そして次に、その声を多くの国民にも届けることが必要です。
 「政府が決めたことに反対しても無駄」と諦めず、アンケート調査の結果などを活用しながら、会員の先生方の声を厚労省、国会議員などの各方面に伝えたことにより、今回昨年末発表された経過措置の内容に対し、少なからず影響を与えたと考えます。ここではそのほかの案件に触れることを避けますが、「政治の劣化」が進んだことを感じている昨今、声を上げなければ無視されることを私は危惧しています。
 現在を含め、将来のすべての歯科医療関係者のために、今後も協会活動にご理解を賜り、会員アンケートや署名活動などへのご協力をよろしくお願い申し上げます。

東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2023年2月号10面掲載)

 

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歯科界への私的回想【NARRATIVE Vol.5】 歯系大学は受験生獲得イメージ戦略立案を

明大の「都市型大学宣言」と「子どもクリニック」経営を参考に

毎年23月は、大学受験のピークです。大学は少子化の影響を直接受けますが、その事情は私立の歯科大学や総合大学の歯学部も同様で、各校とも志願者・受験生の獲得に必死です。

◆受験生獲得の一手を

ところで、医学部や歯学部などの専門家養成機関ではないものの、発想やヒントの参考事例として、明治大学(以下、「明大」)の取り組みの一部を紹介したいと思います。医療系学部を併設していない明大ではありますが、総合大学として真剣に検討してきたと理解しています。

明大志願者数が初めて全国1位になった2010年度、マスコミがその取り組みを取り上げました(2014年度からは9年連続で近畿大学)。ポイントの一つに、都心から郊外への移転が主流になった1980年代、当時の納谷廣美教授の「都市型大学宣言」の影響があったようです。日本で初めて、大学の高層ビル化を図った明大の都市型キャンパス「リバティタワー」建設以後、入試改革、新学部創設、地方学生の確保などが進められました。まさにブランドイメージの大転換が受験生から評価されたようです。当時、郊外へ移転した大学は、近年は都心部に回帰しています。まさに、大学は現在の社会状況や受験生の価値観を捉えることが重要のようです。なお、私立歯系大学の某教授は、納谷教授の講演を傍聴し、さっそく教授を学内に講師として招き、改めてご講演をいただいたと、数年前に告白していました。

◆医歯薬系学部のない明大が「子どもクリニック」

また、新たな〝時代〟を実感したのは20211月で、駿河台キャンパス内に「明治大学子どものこころクリニック」が開設された時でした。その趣旨は、児童・思春期は、学生が臨床実習をする上でアプローチしやすい年齢層のため、新たな教育効果が期待できる、オリジナルの教育システムを有することで、公認心理師・臨床心理士養成大学として全国でも先進的な存在となる、大学院では臨床心理学専修の学生への教育(臨床実習)機能、文学部では臨床心理学専攻の学生への教育(実習)機能がそれぞれ拡充されることで、大学本体にもシナジー効果が期待できる―という3点でした。

◆今後の社会に期待される イメージ創りと発信を

さらに、もう一つのポイントは、認知症患者を含む在宅医療に深く取り組んでいる医師で、全国在宅支援医協会や日本在宅ケアアライアンスなどの会長を務める新田國夫氏を明大の講師に招いていたことです。

新田氏は当時について「依頼があったので、何も考えず素直に受けただけでした。講義も在宅療養ではなく、単に地域についてでした。明大で医師の講義が珍しいのか、受講生は意外に多くいたと記憶していますし、試験もしましたよ。まあ、大学が私に何を期待したのかは不明でしたが」と当時を振り返っていました。志望大学決定の理由は様々ありますが、そこでの大学の〝イメージ〟の存在は看過できませんし、高校の進路指導の教員・学生に影響を与えています。かつて前明大学長の土屋恵一郎氏は退任前に、「大学として社会保障分野の研究がないのが今後の課題」と打ち明けていました。

一方、歯科では、17歯系大学が加盟する日本私立歯科大学協会が尽力しています。株式会社大学通信の取材で歯系大学の今後の可能性を羽村章専務理事が、歯科への理解・イメージアップを期待して、ホームページ上で「予防がクローズアップされる時代/歯科医師が地域の健康を支える」と強調。さらに「大学教授ほか大学人も、時代が変わったことを意識してほしいです」と指摘していました。また、事務局長の白石薫憲氏も「今後、社会から期待される〝歯科〟であり、そのイメージの提供は大きいです」と述べています。

看護学部を新設する大学や歯学・栄養学の連携授業を実施している大学などで既に新しいイメージ創りが図られています。確かにイメージは変わりつつありますので、地味ながらも真摯な活動が求められます。なお、前鶴見大学学長の大山喬史氏は、当時「地域の商店街などのイベントには可能な限り出席。歯科の括りから一歩踏み出して地域貢献です」と示唆に含んだコメントをしていました。

今後の歯系大学・歯科医療界に期待したいです。

◆奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立しオクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

歯科界への私的回想【NARRATIVE Vol.4】 「たかが事務局、されど事務局」 組織を支える“事務局”の重要性を理解

新年、2023年がスタートしました。マスコミは一斉に業界・企業の「今年はコロナ禍の課題を踏まえながらも、新規スタートの年にしていきたい」との趣旨の新年挨拶文や名刺広告で紙面を埋め尽くしているはずです。

そこで、従来の新年挨拶は他紙に譲り、今回は特異な観点から話を進めます。新年の挨拶回りは恒例行事であり、歯科界では、日本歯科医師会(日歯)、日本歯科商工協会、日本歯学図書出版協会、さらに歯科学会の多くの担当部(事務局)が置かれている一般財団法人口腔保健協会もその一つです。

1月15(旧成人の日)以降、業界組織の新年会が開催され、「今年も新たな気持ちで、歯科界は一致団結して飛躍する年になるように頑張りましょう」などの挨拶で活動が始まるのですが、それは事務局のお世話になるということでした。

特に、日歯事務局(医療課・調査課・広報課)は重要視していましたし、同時に地元歯科医師会の行事、日本歯科医学会所属学会の学術大会、企業展示会などの取材でお世話になるのは、いつも地元歯科医師会事務局でした。

香川県歯科医師会主催の会合を取材した際、まず会長から事務局長を紹介されました。その中で、「本県歯は、事務局に全幅の信頼を置いて会務活動をしています。最終的な責任は会長・役員にあるのは当然ですが、事務局員は県歯の一部です」と発言していたことが記憶に残っています。

民間企業でも、確かに対外的に目立つ部署があります。以前、日本歯学図書出版協会の新年会で、某社長が「企画、編集、広報などは目立つ部署なのは事実。同時に地味ですが、総務、庶務、経理等なども組織を支えており、まさに組織は一つ。その点を新たに自覚してほしい」と理解を求めていました。

かつて、厚生労働省(旧厚生省)は、求める部署に直接伺うことができ、時間があれば歯科保健(旧歯科衛生)課長と意見交換・雑談することが可能でした。しかし0811月に起きた元・厚生事務次官の殺害事件以後は、警備員配置や来庁者のチェックが行われ自由な出入りができなくなりました(厚生省職員が同伴する場合は可能)。事前予約を取り、庁舎の受付でチェックを受け、許可されて入場できるようになりました。日歯でも以前は担当課に直接行き、雑談を交わすことができましたが、現在は担当者が受付に降りて要件を確認することが基本になっています。

以上のような様々な場面、経緯を事務局員は知っています。だからこそ「たかが事務局、されど事務局」であり、その重要性は変わらないと考えます。現実的には、会員とそのスタッフの把握、労働環境、対外的対応、理事会などの資料作成、予定外の対応など様々で、日々の労務・作業のボリュームは、想像以上のものと理解しています。

今年は、会場対面方式とオンライン方式の両者を兼ね備えたハイブリッド方式による会合が主流になるとの観測もありますが、コロナ感染管理においては事務局の責務も出てきます。

以前、某日歯役員に1日同行させていただきましたが、確かに激務でした。そして、そこで黙して淡々と事務作業しているのが事務局員。「これが重要であり、組織を支えているのだな」と理解した場面でした。組織ですから、会員数の相違があります。221130日現在、東京都歯科医師会(1種会員5865)から島根県歯科医師会(1種会員227)まで、約26倍の開きがあります。しかし、少数会員の組織でも、事務局は、懸命に諸作業に取り組み、運営しています。

また、私は自分の経験から日本医師会、日本薬剤師会、日本看護協会など、歯科に関連する団体の広報担当部とのパイプ構築は必須と判断し、事務局への挨拶は絶えず意識しています。事務局にも歴史がありますので、その評価は難しいですが、忘れてはならないのは、繰り返しとなりますが「たかが事務局、されど事務局」です。

新年の始動に際し、歯科医療関連の各団体に改めて期待しています。

◆奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立しオクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

「一般名処方加算」 「外来後発医薬品使用体制加算」 4月から引き上げ 期間は12月まで

2022年12月23日に開催された中医協において、一般名処方加算と外来後発医薬品使用体制加算を2023年4月から同年12月までの期間に限り、医薬品の供給が不安定な状況を踏まえた時限的措置として点数を2点引き上げることが確認された。
院外処方時や外来後発医薬品使用体制加算を届け出ている場合はご注意が必要。

<オンライン資格確認>経過措置の届出について

1月27日厚生労働省は、今年4月1日から”原則義務化”となる医療機関等でのオンライン資格確認導入について、経過措置を示しました。該当すれば、”原則義務化”は猶予されます。
届出の方法などが厚生労働省のホームページにアップされています。

<確認用フローチャート>
協会では、自分が経過措置の対象となるかが簡単に分かるフローチャートを作成しました。
確認にご活用ください。
*画面上でクリックするとダウンロードできます。

* 経過措置の届けが必要となった方は、以下をご確認ください。

オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け) (mhlw.go.jp)

経過措置の適用を申請するに関しては、2023年3月31日までに届出が必要です。

届出はWEBもしくは郵送にて行います。

↓WEB↓

オンライン資格確認導入の猶予届出 (iryohokenjyoho-portalsite.jp)

 

↓郵送↓

猶予届出書の様式

 オン資猶予届出書(Excel)別ウィンドウで開くオン資猶予届出書(PDF)別ウィンドウで開く

(送付先)
〒105-0004 東京都港区新橋2丁目1番3号
社会保険診療報酬支払基金 医療情報化支援助成課 行
(留意事項)
・ Excel ファイルには、自動チェック機能等を入れており、保険医療機関・薬局の
側で、セルの追加・削除等を行わないこと。
・ 必要な記載をすべて行った上で、送付すること。
・ 封筒の表面には、赤字で「猶予届出書在中」と記載すること

新名称は「東京科学大学」 24年度統合目指す 医科歯科大・東工大

2024年度中を目途に統合を目指す国立大学法人東京医科歯科大学(田中雄二郎学長)、国立大学法人東京工業大学(益一哉学長)の統合後の新名称が、「東京科学大学(仮称)」になることが分かった。 これまでの伝統と先進性を活かしながら、統合により新しい大学のあり方を創出することを目的とする新大学。これからの科学の発展を担い、社会と共に活⼒ある未来を切り拓いていくという意志を名称に表現。また、科学を文化として認識してもらい、社会からの理解と期待を得ていくため、親しみやすく覚えやすい「科学」が選ばれた。 なお、新たな名称の候補には6千件を超える応募があり、両大学の検討を経て決定。名称は今後の大学設置・学校法人審議会における手続きや、国立大学法人法の改正(国会審議)を経るまでは仮称で、商標登録などの手続きを踏まえて変更の可能性もあるとしている。

Special Serial No.4 社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み 適正なレセプト請求に向けて5つの留意点

今回は、適正なレセプト請求に向けてご留意いただきたいことを紹介させていただきます。

(1)保険診療には「算定ルール」が存在すること

 保険診療においては、療養担当規則、診療報酬点数表に係る算定告示、留意事項通知、疑義解釈資料に示されたいわゆる「算定ルール」がありますので、それに従う必要があるとともに、その内容は改定されることも多いので、日頃よりご確認いただければと考えております。
 特に、歯科診療報酬点数表は、個々の診療行為ごとに細かい要件に加えて算定単位が設定されています。なお、算定単位や算定回数は診療行為によって異なりますので、「算定ルール」として示されている、例えば「1歯につき」「1顎につき」「1口腔につき」「月1回に限り」などのルールを良く確認した上で請求することが重要ですので、よろしくお願い申し上げます。
 また、支払基金では審査の透明性をより高めるため、審査における一般的な取扱いについて「審査情報提供事例」として取りまとめ、支払基金のホームページで公表しておりますので、これも参考にしていただければと思います。

(2)医薬品には適応疾病が定められていること

 審査にあたっては、医薬品の処方について、医薬品添付文書に記載されている効能、または効果の欄の適応疾病との不一致が問題視されます。特に、ジェネリックも普及しているなかで、有効成分が同じでも、効能又は効果の適応疾患が異なることが多々あり、歯科医学的には効果があり妥当性があっても、保険診療では適応外と審査されることもあり得ます。そのため、医薬品の添付文書は今一度良くご確認をお願いできればと思います。

(3)「画一的又は一律的」「傾向的」と思われる過剰な診療行為は請求内容が認められない場合があること

 本来、個々の患者の病態や個人差などによって診療内容はバリエーションがあるはずにも関わらず、ある特定の歯科医療機関では他の歯科医療機関と比較して、「画一的又は一律的」「傾向的」と思われる過剰な処置の実施などが際立つ場合などがあり、「返戻」を行ない、その妥当性を確認したうえで、請求内容が認められないことがありえます。

(4)提出されたレセプト からの情報で審査が行われること

 審査委員は、提出されたレセプトに記載された情報のみで審査を行っており、カルテに記載されている個々の診察の詳細がわからない状況にあります。審査は同じ専門性をもつ歯科医師によるピア・レビュー(同僚評価)ですので、個々の患者の口腔内の状況に合わせた診療かどうかを「症状詳記」という形でご提出いただくことで、妥当性を認めることがあります。

(5)審査委員は、診療側と支払側との板挟みになっていること

 査定に関しては、「一連」や「同一部位」といった文言などの厚生労働省の定めている一部の算定ルールに曖昧さがあることなどが、診療側(歯科医療機関)と支払側(保険者)との間で常に問題となっています。
 支払側(保険者)は、歯科医学的な知識や経験を必ずしも持ち合わせていません。そのため、支払側の再審査請求は、文書等に記載されたルール等との整合性について厳密さを求める傾向にあり、審査委員が苦労されることが多いことにご理解をいただければと思います。

 次回は、審査結果(査定)に対する疑問等への対応について、紹介させていただきます。

山本光昭 / 社会保険診療報酬支払基金 理事

やまもと・みつあき 1984年3月、神戸大学医学部医学科卒業後、厚生省に入省。横浜市衛生局での公衆衛生実務を経て、広島県福祉保健部健康対策課長、厚生省健康政策局指導課課長補佐、同省国立病院部運営企画課課長補佐、茨城県保健福祉部長、厚生労働省東京検疫所長、内閣府参事官(ライフサイエンス担当)、独立行政法人国立病院機構本部医療部長、独立行政法人福祉医療機構審議役、厚生労働省近畿厚生局長などを歴任し、20157月、厚生労働省退職。兵庫県健康福祉部医監、同県健康福祉部長、東京都中央区保健所長を経て、2021年4月より現職。