第54回定期総会で「決議」を承認
決議
今次の歯科の診療報酬改定においては、医療機関の物件費負担の増加を踏まえた歯科初・再診料等の引き上げ、歯科外来物価対応料や歯科技工所ベースアップ支援料の新設、CAD/CAM冠・インレーの大臼歯までの適応拡大と咬合支持の有無などの要件廃止、小児口腔機能管理料および口腔機能管理料の算定要件や対象患者の拡大、麻酔薬剤料の算定対象の拡大、歯科用合着・接着材料の区分変更などの改善が行われた。しかし、2025年12月24日に大臣折衝を経て決定された、2026年度診療報酬の本体は3.09%の引き上げとされたものの、その多くが賃上げ分など使途を限定したものになっており、歯科医療の充実につながる技術料に相当した引き上げ部分は0.31%に過ぎない。物価高の中、これでは歯科医療提供体制の充実は進まない。
さらに追い打ちをかけるように、緊迫する中東情勢を受けた原油価格の高騰が、歯科医療現場に深刻な打撃を与えている。日常診療に不可欠な医療用手袋や滅菌袋、医療用エプロンなどの資材不足が顕著となっており、国の備蓄放出が行われるも、現場が求めるサイズ等のニーズを十分に満たしていない。これら医療資材の枯渇は診療制限に直結し、患者の口腔の健康を根本から脅かすものである。
加えて、本国会で成立した「健康保険法等の一部を改正する法律案」も看過できない。薬剤費に留まらず、検査や処置等の診療行為にも拡大可能な「一部保険外療養」の創設は、患者の自己負担を加速度的に増加させ、受診抑制による疾病の重症化を招く。特に歯科においては、重症化による抜歯やそれに伴う補綴処置の増加を引き起こし、結果として歯科医療費の膨張を招くという悪循環を生むことは明白である。
また、協会は安心安全な歯科医療の提供を脅かす動きに強く反対し、原爆投下80年の節目を超えてなお戦争が続く世界情勢に断固抗議する。
私たちは、国民の生活、歯科医療の充実、およびその前提である平和な社会を脅かす動きを断じて許さず、社会保障の充実を通じて誰もが安心して暮らせる社会を実現するため、以下の要求を表明する。
記
一.国は、現行の社会保障制度を後退させず、世界の国々が模範とする日本の社会保障制度をさらに充実させること。
一.国は、歯科医療の充実や医療従事者の処遇改善が進むよう、診療報酬を大幅に引き上げること。
一.国は、医療用手袋や滅菌袋、医療用エプロンなど重要な医療資材の安定供給に資する実効性ある対応を行うとともに、物価高騰に対応した緊急の財政措置を図ること。
一.国は、患者の自己負担増と受診抑制を招き、歯科医療を崩壊させる「一部保険外療養」の創設を見直すこと。
一.国は、健康保険証の発行停止を撤回すること。少なくともマイナ保険証の有無にかかわらず資格確認書を一斉発行するよう、各自治体に要求すること。
一.私たち歯科医師は、平和を妨げるすべての動きに反対する。
以上
2026年6月14日
東京歯科保険医協会 第54回定期総会




