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政策委員長談話「口腔機能管理の評価に十分な評価を」/機関紙2018年8月1日号(№581)2面掲載

 

政策委員長談話「口腔機能管理の評価に十分な評価を」

2018年診療報酬改定において、口腔機能管理に対する評価として、65歳以上の口腔機能低下症と15歳未満の口腔機能発達不全症に対する口腔機能管理加算が新設された。

最近、小児患者のう蝕が減り、咀嚼や嚥下に問題を抱えている高齢患者を診る機会が増えた。もっと小さい時に、もっと軽症のうちに発見し対処しておけば、こんな難症例にはならずに済んだのではと感じる場面も多々ある。見逃していたつもりはないが、今回の各々の検査を見ても、詳細に確認できていないものもある。昔は、むし歯を治し、噛める義歯を作ることが歯科医の役目だったが、むし歯を治しても、噛み合わせが悪く良く噛めない、よく噛める義歯だが、飲み込めない。このような機能的に問題がある状態にしないために、今回新設されたのが口腔機能の管理だ。

しかし、実際に管理するために診査、検査をしてみると、30分以上かかり、その後計画書を書いて、重症化予防の訓練を行うとさらに30分の時間がかかってしまう。子どもは、厭きて落ち着きが無くなり、高齢者は、かなり疲労困憊してしまう。一部の検査には点数があるが、多くの検査は包括されている。振り返ってみると実際にプラスになることはほとんどないように思えてしまう。

しかし、鼻呼吸の訓練をしてきた子どもや「あいうべ体操」を懸命に行う高齢者を見ると、今後重症化せず、最後まで口から食べられる食生活を営ませることが健康寿命の延伸に繋がると思い、全ての歯科医院で行われるべきだと考える。

そのためにも、今回の評価が低いため口腔機能の管理体制を取れない医院にインセンティブを与えるような政策誘導をすべきだ。その結果が疾病のリスクを減らし、健康で豊かな生活を送ることに繋がるであろう。それまで、評価は決して高くないが、歯科医としての重要な役目を果たしながら、国が十分な評価を果たすまで、声を上げていきたい。

2018年8月1日

東京歯科保険医協会政策委員長 松島良次

噛むことと健康寿命の大切さ協調/「保険でよい歯を」東京連絡会が2018年学習会を開催

噛むことと健康寿命の大切さ協調/「保険でよい歯を」東京連絡会が2018年学習会を開催

「保険でよい歯を」東京連絡会は7月22、ワイム貸会議室高田馬場で、2018年夏の学習会を開催した。歯科医療関係者と一般の方々を合わせた参加者は50名にのぼった。

この学習会は、歯科関係者のみにとどまらず、広く一般を対象として毎年開催されているもので、今回の講師は平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科)で、「人との会話、社会性を保つ歯・口腔のケア-オーラルフレイルの予防」をテーマにご講演いただいた。

その中で平野氏は、日本の高齢化、少子化、寿命と健康寿命の違いなど、現在のわが国の医療・社会情勢とその問題点の解説から始まり、その中で介護予防のカギと位置づけできる「フレイル」、そして歯科における「オーラルフレイル」の概要を説明した。講演の合間に、認知症予防のための運動や、平野氏がTV番組に出演した際のエピソードなども紹介しながら、噛むことの大切さ、口腔機能の維持・向上が健康に過ごすための重要なポイントであることなど、さまざまなデータや事例をもって解説した。

 

 

 

 

 

第2回「外来環」「歯援診」「か強診」のための講習会/待望の開催

第2回「外来環」「歯援診」「か強診」のための講習会/待望の開催

◆日 時 7月22日(日)☆4つの施設基準対応:午後1時~

               ☆「外来環」「院内感染防止対策」のみ:午後4時~

◆講 師 繁田雅弘 氏(東京慈恵会医科大学精神医学講座教授)

       坂下英明 氏(明海大学歯学部病態診断治療学口腔顎顔面外科学 第2分野教授)

       森元主税 氏(東京歯科保険医協会理事)

◆内 容 在宅医療・介護等歯科疾患の重症化予防に資する継続管理(口腔機能の管理を含む)、高齢者の心身の特性(認知症を含む)、院内感染防止、緊急時対応、医療事故、偶発症など

◆会 場 ワイム貸会議室高田馬場3階

◆対象者 会員のみ。代理の方の出席はできません

◆定 員 150名

◆参加費 ☆「外来環」「院内感染防止対策」「歯援診」「か強診」:8,000円(修了証代込)

       ☆「外来環」「院内感染防止対策」のみ:5,000円(修了証代込)

  ※遅れて参加された場合や途中で退席された場合は、修了証の発行はできません。

  ※修了証の発行は、会員ご本人に限らせていただきます。

  ※ご不明な点は、経営管理部&地域医療部までご連絡ください。

  ※次回開催は、本年12月頃を予定しています。適時本欄、ホームページをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医療法・医師法改正案が可決、成立/18日の衆議院本会議で

 

医療法・医師法改正案が可決、成立/18日の衆議院本会議で

医師の地域偏在の解消を目的とする医療法・医師法改正案が18日、衆議院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。
改正法では、新たに「医師偏在指標」を導入し、これに基づき各都道府県に「医師確保計画」の策定を義務付けることなどが柱となっている。施行は、一部を除き来年4月となっている。
医師確保計画には、確保すべき医師数の目標、達成に向けた諸施策を明記することになっている。また、各都道府県は医師偏在指標に基づき①医師少数区域、②医師多数区域―を指定することができ、医師少数区域の医師確保に向け重点対策を進めることとなる。さらに、医師少数区域などで一定期間勤務した医師を厚生労働省が認定し、地域医療支援病院の病院長などとなるための要件の1つとすることも盛り込まれている。
なお、同法案は、参議院先議扱いとなっており、すでに参議院でも可決している。

自民党が来年夏の参議院選挙の第1次公認者を公表

 

自民党が来年夏の参議院選挙の第1次公認者を公表

7月20日で国会は閉会したが、来年夏の参議院議員選挙に向けて対応策を検討していた自民党は18日、塩谷立選挙対策委員会委員長(元文部科学大臣)から、第1次公認者(比例・選挙区=内定含む)として57名が発表された。

歯科医療界との関連で俯瞰すると、現職の比例代表の石井みどり参院議員と神奈川県選挙区の島村大参院議員(参議院厚生労働委員長)が活動しているが、石井議員は見送り、島村議員は公認された。また、香川県歯科医師連盟から推薦されていた木村義雄参院議員(元厚生労働副大臣)は比例代表選出候補予定者として公認された。

自民党の内規による参院定年制に抵触される石井・木村両議員でも、見送り・公認という違いが出たが、自民党の参院定年制とは、「任期満了日に原則として70歳未満」というもの。そのため、以前から定年制の対象者に当たる9名の対応が注目されていたが、7月18日に前出の塩谷選挙対策委員会委員長から、「特別扱い」として山東昭子(元副議長/76歳)、柘植芳文(全国郵便局長会/72歳)、山田俊男(全国農政連/71歳)、衛藤晟一(首席補佐官/70歳)、木村義雄(元厚労副大臣/70歳)、佐藤信秋(全国建設業界/70歳)、羽生田敏(日本医師連盟/70)、の7氏が1次公認者として事前にマスコミ発表された。

しかし、同じく定年制に抵触している石井みどり議員(日本歯科医師連盟/69歳)と丸山和也議員(弁護士/72歳)の2氏は見送りとなり、今後の情勢により2次公認者以降の公認対象となった形だ。

学校歯科治療懇談会と関連し「多摩地区での中学生まで窓口負担200円は公平の観点から問題」と指摘/第69回メディア懇談会で意見多数

学校歯科治療懇談会と関連し「多摩地区での中学生まで窓口負担200円は公平の観点から問題」と指摘/第69回メディア懇談会で意見多数

協会は7月13、第69回メディア懇談会を開催した。メディア側は7社・7名が参加し、協会からは司会は広報部長の早坂美都理事、話題提供は加藤開副会長が行った。

今回は、2018年診療報酬改定後、3カ月を経過したことから、この間に会員から寄せられた新たな問題点、それらをもとに5月31日に行った厚生労働省への18項目要請、さらに同日13日に開催した学校歯科治療調査懇談会での模様、10月29日開催予定の「医科歯科健康まつり」の紹介などを取り上げた。

このうち、学校歯科治療調査懇談会をめぐり、メディア側は窓口負担問題への強い関心を示し、「学校歯科検診で要受診とされた患者が、実際には診療機関に行くと負担があるのは、政策として疑問がある」、「23区は中学校まで窓口負担がゼロなのに、多摩地区は200円負担。これは、公平という観点から東京都と議論してもいいのではないか」、「自治体の財政力が大きな要素になっている」、「財政的に潤っている地区は負担ゼロ。一方、厳しい自治体はできない。ということが現実にある」、「自治体として経済的な負担が増加すれば、財政上、その影響が他の分野に出てくることが懸念され、やはり慎重論になるのではないか」、「児童・生徒健康状態が将来に影響を与えることは事実。であれば、政策に健康を担保する意味で受診しやすい環境の整備は必要不可欠」といった行政への意見が相次いだ。

また、「歯科検診としてガイドラインの有無はどうなっているのか」、「学校歯科医も検診だけでなく、児童・生徒の親御さんを含め、歯科検診の必要性などの理解・指導ができているのか」といった学校歯科医への要望的な意見も複数提起された。

学校歯科治療調査懇談会を開催/現場の小中学校の養護教諭4氏が現場の切実な状況訴える

 

学校歯科治療調査懇談会を開催/現場の小中学校の養護教諭4氏が現場の切実な状況訴える

協会は昨年10月、「学校歯科治療調査」に取り組み、今年の3月に結果を公表している。この調査結果を踏まえ、現場の声を聞き、より内容を深めることを目的に、調査にご協力いただいた小学校・中学校の養護教諭4氏を招き、本日7月13日、協会会議室で「学校歯科治療調査懇談会」を開催した。

その中では、子どもや保護者の様子や歯科受診の実態、歯科検診や歯科保健指導の取組みなど、活発な意見交換が行われ、特に、軽症な子どもは比較的受診率が高いが、C4など重症な子どもほど受診率が低い傾向があるとの意見が出された。歯科受診を妨げる要因については、窓口負担が挙げられた。東京都では一部を除く多摩地区で、1回200円の窓口負担となっており、歯科受診の妨げになっているとの指摘があり、窓口負担がなくなれば受診率はあがるのではないかとの意見が出された。

さらに、高校生からは医療費助成がない地区がほとんどであり、窓口負担が3割となるため、中学3年生の冬頃から治療を完了させるよう呼びかけているなどの事例が紹介され、18歳までの医療費助成制度の創設に向けた活動について要望が出された。

また、多動やパニック障害を持つような、特別な支援が必要な子どもについては、一般の歯科診療所では受け入れてもらえない事が多く、受診できる医療機関を探すのが難しいとの悩みも出された。

小学校では、歯みがきの時間を設けるなど、学校での取組みが紹介されたが、中学校では設備の問題や、人前で歯みがきをするのが恥ずかしいなど思春期ならではの悩みもあり、取り組みが難しいとの意見も出された。

協会は、今回の懇談会でいただいたご意見、要望、現場からの切実な声などは、今後の要請活動などに活かし、子どもの口腔の健康を守る取り組みに繋げていく。

懇談会に参加した現場の養護教諭4氏からは、ネグレクトや貧困問題などをめぐり切実な訴えがあがった

歯科技工士養成施設の現状を協議・検討/第2回歯科技工士の養成・確保に関する検討会が開催

 

歯科技工士養成施設の現状を協議・検討/第2回歯科技工士の養成・確保に関する検討会が開催

厚生労働省は7月5日、同省至近の航空会館内会議室で第2回「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」(座長:赤川安正/昭和大学客員教授)を開催した。

席上、検討会メンバーのの尾﨑順男氏(全国歯科技工士教育協議会会長)、から歯科技工士養成施設の現状関連が報告されたほか、歯科技工士養成施設3校から、歯科技工学校の取り組みの現状や課題、今後の展望などの説明があり、それらを受けて協議・検討が行われた。

その中では、歯科技工士国家試験の合格者が2016年度から1000名を切ってしまっていること、生徒募集数は2000年が72校だったのが来年2019年には47校にまで減少することが指摘されるなど、依然として厳しい状況が報告された。

「保険でよい歯を」東京連絡会が“2018年夏の学習会”を開催します!!

 

「保険でよい歯を」東京連絡会が“2018年夏の学習会”を開催します!!

「保険でよい歯を」東京連絡会は7月22日(日)に、以下の要領で患者さんや一般の方々を対象とした“2018年夏の学習会”を開催します。

年齢を重ねても元気で過ごすためにはどうしたらよいのか…。この素朴な疑問への答えとして、近年、注目されているのが「食べること」と「話すこと」です。このことについて、また噛むことと認知症との関連性などについても、専門の見地から平野浩彦氏に分りやすく説明していただきます。下記、ポスターもご参照ください。

<開催要領>

◆開催日時 7月22日(日)午後2時~3時30分<開場:午後1時30分>

◆講  師 平野浩彦氏/東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長

◆会  場 ワイム貸会議室「高田馬場」9階

◆参  資料代として500円をお納めいただきます

◆要  TEL 03-3205-2999

        FAX 03-3209-9936

        e-mail info@yoiha.org

「保険でよい歯を」東京連絡会“夏の学習会”ご案内PDFダウンロードはここをクリック!!

 

 

☆東京保険医協会開催の「救急医療シンポジウム」に参加しませんか☆

 

☆東京保険医協会開催の「救急医療シンポジウム」に参加しませんか☆

歯科医師を会員とする当協会と、医師を会員とする東京保険医協会(以下、「医科協会」)では、医科歯科連携事業の一環として、お互いの開催する研究会や講習会について、相互の会員の参加交流を進めています。

今回、医科協会より「第9回救急医療シンポジウム」への参加呼びかけがありましたので、ご紹介させていただきます。詳細は以下の通りです。申込書付き開催案内は、以下の通りです。PDFのダウンロードができますので、これをプリントし、必要事項をご記入の上、FAXにてお申し込みください。

※問合せ先は、東京保険医協会・病院有床診部(新宿区西新宿3-2-7KDX新宿ビル4F/TEL:03-5339-3601/FAX:03-5339-3449)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医科協会開催の「救急医療シンポジウム」案内&申込書PDFのダウンロードはここをクリック!!

6.14「医療への『ゼロ税率』適用を求める国会内集会」を開催

保団連は、「医療への『ゼロ税率』適用を求める国会内集会」を開催し、全国から160名が参加した。

まず、あいさつに立った保団連歯科代表の宇佐美宏副会長は、「政府等において、消費税10%の実施をめぐる議論が開始されている。さらに、2019年の税制改正に際して、医療機関の消費税のあり方について、税制上の議論が進められる見通しとなっている」と説明。

続いて、保団連の住江憲勇会長は、「保団連が実施した消費税負担額概算調査では、消費税負担が非課税収入に占める割合は医療機関につき、医科無床診療所で2.79%、有床診療所4.1%、歯科診療所で2.31%となっている」と報告し、そのうち、医科無床診療所の約34%、医科有床診療所の43.2%、歯科無床診療所23%において、同割合が3%を超える水準となっていることに触れ、「10%に引き上げれば、さらに患者の受診抑制が進み、医療機関への消費税負担が増し、結果、地域医療に影響を与えかねない」と訴えた。

フロアからは、「日本の消費税は、諸外国と異なり、すべてのものに課税されている。商品ではない医療については、仕組みを見直すべきではないか」、「消費税がさらに増税されれば、徐々に医院経営にボディーブローのように効いてくる」などの意見があがった。

最後にあいさつに立った保団連の森元主税連副会長からは、「医療機関あたりの消費税負担額の平均は医科無床診療所で218万円ほど、医科有床診療所で767万円ほど、歯科で106万円ほどになる」と試算が報告され、消費税10%実施の中止とともに、医療には、免税取引として「ゼロ税率」を適用して、医療機関の「損税」を解消するように改めて求めた。

第46回定期総会で採択した決議を説明/6.14国会要請行動

 

協会は6月14日、衆参両院の国会議員20名に要請を行った。要請には坪田有史会長、中川勝洋理事、橋本健一理事、事務局が参加した。

今回の要請では、協会が第46回定期総会で採択した決議について説明を行うとともに、今次改定で歯科が対応すべき課題について説明を行った。

決議では、①わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障制度を充実させること、②これ以上の患者負担増計画を中止し、医療保険や介護保険の自己負担を引き下げること、③今改定で発生した矛盾点や問題点は混乱を鎮めるため、早急に改善を図ること、④社会保険診療に係る消費税非課税制度をゼロ税率などに改め、損税を解消すること、⑤相対的に請求点数が高い医療機関を選定する個別指導を行わないこと、など5つを項目に挙げている。

引き続き、国民の生活と歯科医療の充実の実現に向けた運動を国民とともに力を合わせていくことを伝え、今後も誰もが安心して歯科医療が受けられる医療保険制度の実現をめざすとともに、歯科医師の生活と経営改善に支援と協力を改めて要請した。

      右は大野元裕参議院議員(国民民主党)

    右は山花郁夫衆議院議員(立憲民主党)

 

第46回定期総会「決議」/機関紙2018年7月1日号(№580)掲載予定

第46回定期総会「決議」

政府は、医療保険の患者窓口負担を「自動的に調整する仕組み」の導入や後期高齢者の窓口負担を2割に引き上げるなどを検討している。しかし歯科は負担増の影響を受けやすく、受診抑制に直結するため十分な検討が必要である。

社会保障費の抑制策の影響で、4月に行われた歯科診療報酬の改定率は、0.69%に止まった。経営が困難な歯科に対しては余りにも少ない改定率である。

改定では、施設基準の新設や再編強化が行われた。注目されていた院内感染防止対策は不十分な評価での導入となってしまった。対策に必要な費用は、コストに見合うよう額を別建てで評価すべきだ。また、改定後2カ月が経過したが現場は今でも混乱している。不明瞭な通知、度重なる疑義解釈などないよう、改定にあたっては十分に準備をすべきである。

来年10月には消費税を10%に引き上げることが予定されている。今でも保険医療機関が負担する損税は、医院経営を圧迫している。ゼロ税率など損税解消の手だてが必要である。

私たちは、社会保障削減策を推し進める動きに断固反対し、国民の生活と歯科医療の充実の実現に向けた運動を国民とともに力を合わせ、以下の要求を表明する。

 

 

一.わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障制度を充実させること。

一.これ以上の患者負担増計画を中止し、医療保険や介護保険の自己負担を引き下げること。

一.今改定で発生した矛盾点や問題点は混乱を鎮めるため、早急に改善を図ること。

一.社会保険診療に係る消費税非課税制度をゼロ税率などに改め、損税を解消すること。

一.相対的に請求点数が高い医療機関を選定する個別指導を行わないこと。

                                   

 

2018年6月10日

東京歯科保険医協会

第46回定期総会

 

2018年度第46回定期総会を開催

2018年度第46回定期総会を開催

協会は昨日6月10日、中野サンプラザで2018年度第46回定期総会を開催した。

定期総会は「総会」、「記念講演」、「懇親会」の3部構成で行われたが、総会では2017年度の活動報告、決算報告が行われたほか、歯科医療界を取り巻く諸情勢についての説明が行われるとともに、2018年度の活動計画案、予算案の説明が行われ賛成多数で承認された。さらに、選挙管理委員が承認されたのち、決議が採択された。

◆協会会長そして歯科医師、さらに研究者の一面も覗かせた記念講演

続く記念講演では、会長の坪田有史会長自らが演者となり、「2018年歯科診療報酬改定の考察と今後の展望」と題して講演を行った。

その中では、まず、「2018年歯科診療報酬改定の考察」として、今回の改定の背景の説明と各項目の実際を解説。さらに、各項目の実際や協会の対応状況を説明。

また、関係省庁への必要な働きかけを始めていることとその内容などについても説明し、協会会長のみならず、開業歯科医師として今次改定の評価や必要な今後の対応などについての認識を示した。

そのほか、過去の経験から歯科保険材料の保険適応の流れや品目の承認に関する実情にも言及した。

さらに「今後の展望」として、歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士の需給問題や院内感染対策など、歯科医療界の実情と対応状況、今後の展望を解説したほか、歯科医療費の総枠拡大など、協会として取り組む課題や今後の活動の方向、事業などにも言及した。

続く懇親会では、国政や都政に携わる政界からの来賓も多数参集いただき、さまざまな情報交換なども繰り広げられるなど、非常に活気のある時間が流れた。

坪田有史会長

盛会だった懇親会会場

 

歯科の学校歯科検診の全国的なすう勢や「口腔崩壊」の現状が明らかに/保団連の「学校歯科治療調査中間報告」で当協会の森元理事がマスコミ17社を前に解説

 

歯科の学校歯科検診の全国的な趨勢明らかに/保団連の「学校歯科治療調査中間報告」で当協会の森元理事がマスコミ17社を前に解説

保団連のマスコミ懇談会が本日6月7日、保団連の会議室で開催された。会場には、日刊紙、通信社、専門紙、テレビ局など17社・18名が参加し、説明後には盛んに質疑や情報交流が行われた。

取り上げた話題は、①保団連の「学校歯科治療調査中間報告」、②大阪保険医協会、大阪歯科保険医協会「学校健診後治療調査」、③保団連2016年歯科技工所アンケート調査結果、④現場の実態を踏まえた「働き方改革」を━の4本。

このうち、①の説明と報告には、当会理事で保団連副会長を務める森元主税氏が行った。

記者会見ではなく、懇談会形式で進められたが、参加者の注目は、口腔崩壊を学校歯科検診した子どもの数と口腔崩壊と考えられる子どもの数で示してほしい。この中間報告をもとに、厚労省や文部省にどう働きかけるのか。児童生徒、保護者、学校、行政などが実施すべき対策として考えられることは何か。学校歯科検診未受信の理由は何か…。など、多岐にわたった。

また、帰社サイドから個別、具体的な数値の確認を求められると当協会のデータが紹介され、懇談会終了後には、日刊紙やテレビなど6社が、当協会の調査結果についての確認を求めた。

そのほか、懇談会の特色といえる、記者側の感想として、「歯科検診未受診は起こりうると思ったが、医科の検診で起こっている事実を知り、衝撃を受けた。まして、内科の健診を受けないでいては、この先、どうなるのか」などの声が出された。

◆「口腔崩壊」の実情が明らかに/学校歯科治療調査中間報告の特記事項

今回の保団連「学校歯科治療調査中間報告」では、学校の歯科検診で「治療が必要」と診断された児童・生徒のうち、後日、歯科診療所を受診していない子は、小学校で約5割、中学校で約7割、高校で約8割に上っており、必要な歯科受診をしていない子は、約26万人にのぼる。受診しない背景として、治療費が払えない経済的困難や育児放棄、ひとり親家庭、共働きで子どもを歯科に連れて行く時間がない…。などがあげられている。

また、いわゆる「口腔崩壊」の定義として「むし歯を10本以上有していたり、歯根か残っていないような歯を有すること」と説明したうえで、口腔崩壊の子どもがいると答えた学校は、小学校で約4割、中学校で約3割、高校で約5割だった。

また、保団連としては、今回取りまとめた中間報告を受け、今後の対策として、子ども医療費助成制度拡充、歯の健康を保つ取り組みの充実などを厚生労働省や文部科学省に求めて行く方針だ。さらに、機会をとらえ、関係議員への働き掛けも行う方針だ。

午前中に八王子市内の幼稚園で歯科検診を行い、終了後、懇談会会場に駆けつけ解説を行う森元主税氏

17社・18名の参加で満席状態となった保団連マスコミ懇談会会場

保団連が紹介した9歳児の口腔崩壊状態の写真

協会の橋本理事が保団連の全国「学校歯科治療調査」めぐりTV取材受ける/日本テレビが6月7日(木)午後4時以降に放送予定

 

協会の橋本理事が保団連の全国「学校歯科治療調査」めぐりTV取材受ける/日本テレビが6月7日(木)午後4時以降に放送予定

保団連が昨年実施した「学校歯科治療調査」の中間報告とりまとめ作業が進む中、その関連取材の位置づけで、日本テレビの取材班が東京都内の学校歯科検診の実際、そこに携わる歯科医師の現場の声などを取材する中で、協会の橋本健一理事が6月5日午後、取材を受けた。取材は、日本テレビの女性記者1名のほか、カメラやライトの担当4名の合わせて5名により橋本理事の診療所内で行われた。

この調査には当協会も参加しており、すでに協会が行った東京都における調査結果を取りまとめ、広くマスコミにも発表している。

ライトに照らされ、目前に迫るカメラレンズを前に、橋本理事に記者から①最近の学校歯科健診ではどのくらいの虫歯を見出すのか。以前と比較してどうか、②いわゆる「放置状態」の児童はどのくらいいるものか。また、実際に検診で見た経験はあるか、③ブラッシング指導が行き渡らない児童がいると聞いたが、どういうことか、④歯科健診後、虫歯と分かっているのに歯科を受診しない児童がいるのはなぜか、⑤学校歯科健診の意義について、⑥口腔崩壊ということを聞いたが、どういうことか、⑦受診を促すにはどうすればよいと考えるか…。などの難しい内容の質問が矢継ぎ早に出されたが、橋本理事は終始冷静に1問ずつ応答した。

その中で、「虫歯がある生徒が減ってきたことは統計上、明らかになっている。しかし、中には小中学校で虫歯を多く抱えた生徒が、少数ながらまだいるのも事実。学年に1人か2人はいる。これでどうやって噛むのかなと心配になるほど」、「乳歯は生え変わるから、と言って放置する保護者もいるということだが、乳歯のうちにブラッシングや治療の習慣をつけないと、大人の歯に生え変わった後も虫歯になってしまう」などをコメントし、懸念を示唆するとともに、「受診を誘導する環境整備・対策を行うことが必要ではないか」と対応策の必要性を指摘した。

さらに、「単にむし歯だけを見るのだけでなくその人の生き方を育んでいくのが歯科検診する時の歯科医の努め」とコメントした際には、記者も思わず納得し、メモを走らせる場面も窺えた。撮影は40分ほどで終了し、ライトが落とされた。

撮影終了後も、記者から東京都内の児童・生徒の医療費補助制度とその問題点、学校歯科医が受け持つ学校数や生徒数、学校歯科検診やその後の受診促進のために行政が改善・実施すべき点など、現場の歯科医師ならではの知識や技能、経験がなければ対応できない質問が続き、橋本理事が的確な回答や指摘を行った。

取材に当たった記者が思わず、「私は、虫歯の痛みは絶対に我慢できないと思います。なのに、子どもがどうしてひどい虫歯なのに歯科診療所を受診できないのかは、大きな問題だと思います。私も一昨日の日曜日、急に歯が痛くなり休日でも見ていただける歯科診療所を必死に探し、直していただき、大変助かりました」とのエピソードを語る一幕もあった。

日本テレビでの放送は、明後日6月7日(木)午後4時以降のニュース番組となっている。

口腔内の状況に地区間格差が…/学校歯科治療調査報告書まとまる

 

学校歯科治療調査報告書/6月3日再掲

協会は3月4日、「学校歯科治療調査報告書」を取りまとめ公表しました。

昨年10月、協会は東京都の子どもの口腔内の実態を把握し、都内の子どもが安心して歯科医療を受けられる体制を広げることを目的に「学校歯科治療調査」を実施しました。都内の全小・中学校に協力を依頼し、489校(回収率23.0%)から回答が寄せられ、このたび「学校歯科治療調査報告書」を作成しました。

今回の調査では、歯科検診で要受診となる子どもは約3割で、そのうち受診に行った子どもは小学校で約6割、中学校で約3割でした。

また、東京都では、区市町村により、中学生までの窓口負担の有無が異なりますが、窓口負担のある地区はない地区に比べ、「口腔崩壊と考えられるこどもがいる」と回答した学校が多く、検診後の歯科受診率も低くなっていました。公立校、私立校でも分類しており、公立校に通う子どもは私立校に通う子どもに比べ、要受診となる子どもが多く、検診後受診率も低いことがわかりました。

意見欄には多くの事例が寄せられ、貧困を背景とした理由の他、子どもの口腔の健康に対する保護者の意識の低さや、ネグレクト、家庭不安、精神疾患、外国籍の保護者など、多様な問題点が指摘されています。

ぜひ調査報告書をご覧ください。

学校歯科治療調査報告書のダウンロードはここをクリック!!

 

 

 

「医療従事者の需給に関する検討会」を開催/2022年度以降は入学定員減員へ

「医療従事者の需給に関する検討会」を開催/2022年度以降は入学定員減員へ

厚生労働省は5月28日、「医療従事者の需給に関する検討会」を開催し、「第3次中間とりまとめ」を大筋で了承。2020年度と2021年度の医学部入学定員は「暫定措置」として現状を「概ね維持」するが、2022年度以降については「医師の働き方改革」や「医師偏在対策」の結果などを踏まえ、「減員」に向けて定期的に検討していく方針が明記された。

◆2033年以降は医師供給が過剰との推計も

中間まとめでは、①高齢化の進展による医療ニーズの増加、②人口減少に伴う医療ニーズの減少、③医療提供体制の再構築(地域医療構想の実現)、④医師の高齢化、⑤医師の働き方改革等による業務の効率化、⑥ICT、AI等の活用による医師の業務効率化、⑦性・年齢に基づく「医師の仕事量」―などの要因に配慮し、将来的な医師需給について厚労省が行った推計を明示している。具体的には、以下の3ケースを提起している。

(1)ケース1:医師の需要がもっとも大きくなる(医師にも、一般労働者と同じ時間外労働規制(月60時間まで)を行い、AI等の活用で2040年には業務が7%削減される、などと仮定)

    ↓

・2033年頃に医師の需給が約36万人で均衡。以降、医師供給数が過剰となり、2040年には2万5000人程度の医師過剰となる

(2)ケース2:医師の需要が中程度となる(医師の時間外労働規制を、過労死ガイドライン水準(月80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が10%削減される、などと仮定)。

    ↓

・2028年頃に医師の需給が約35万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には3万5000人程度の医師過剰となる

(3)ケース3:医師の需要がもっとも少なくなる(医師の時間外労働規制を、米国の研修医並み(週80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が20%削減される、などと仮定)

    ↓

・2018年頃に医師の需給が約32万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には5万2000人程度の医師過剰となる

ただし、「医師の働き方改革」については、関連検討機関の「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書がまとまっていないことや、ICTなどは今後も進歩し続けることは考慮している。

「医療従事者の需給に関する検討会」第3次中間まとめの全文ダウンロードはここをクリック

 

歯科技工士の養成・確保検討会が初会合を開催

 

歯科技工士の養成・確保検討会が初会合を開催

厚生労働省は5月15日、「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」を設置し、その初会合を同省内会議室で開催した。座長には、昭和大学客員教授の赤川安正氏が互選された。

会合では、事務局の同省医政局歯科保健課が歯科技工士を取り巻く環境を説明した資料をもとに報告を行った。その中で、歯科医療関係者が注目している歯科技工士養成施設数と入学者数の推移について触れ、2001年は72校で3155名だったのが、2017年には52校で927名となっており、養成施設は20施設減(減少率は27.8%減)、入学者数は2228人減(同70.6%減)という厳しい状況が示された。

また、就業歯科技工士を年齢階層別で見ると、50歳以上では増加傾向にあり、2016年で47.9%を占めている。また、男女別の状況を見ると、女性歯科技工士数が微増しており、2016年には18.7%を占める状況にある。

そのほか、歯科技工士関連の厚生労働科学研究として、①歯科技工業の多様な業務モデルに関する研究:研究者代表/赤川安正・昭和大学客員教授、研究期間/平成29年~30年、②歯科衛生士及び歯科技工士の免許取得者の就業状況等に関する研究:研究者代表/須田英明・東医歯大名誉教授、研究期間/平成29年~30年)―の2件が資料紹介されている。

 

◆「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」構成員(敬称略)

・座長:赤川安正(昭和大学客員教授)

・構成員(五十音順):秋野憲一(歯科医師、札幌市保健福祉局保健所母子保健・歯科保健担当部長)、尾﨑順男(全国歯科技工士教育協議会会長)、小畑真(歯科医師、弁護士法人小幡法律事務所代表弁護士)、陸誠(株式会社コアデンタルラボ横浜代表取締役)、桑名良尚(桑名歯科医院院長)、杉岡範明(公益社団法人日本歯科技工士会会長)、高橋勝美(株式会社オムニコ代表取締役、傅寳弥里(アルモニア代表、横浜市歯科技工士会会長)、三井博晶(公益法人日本歯科医師会常務理事)

・オブザーバー:福島哉史(文部科学省高等教育局医学教育課薬学教育専門官)

検討会説明資料の一部をご覧になりたい方はここをクリック!!

 

2018年度東京歯科保険医協会第46回定期総会のご案内

2018年度東京歯科保険医協会第46回定期総会のご案内

◆と き 2018年6月10日(日)  午後2時~7時45分

◆ところ 中野サンプラザ/中野区中野4-1-1

交 通:JR中央・総武線、東京メトロ東西線「中野駅」北口正面

☆第46回定期総会を下記日程で開催します。2017年度の活動を振り返るとともに、今後1年間の協会活動の方針を論議・決定します。ぜひ、ご出席ください。

第1部

【総 会】

・時  間:午後2時00分~4時15分

・場    所:11階「アネモ」ルーム           

・総会議事

第1号議案/2017年度活動報告の承認を求める件   

第2号議案/2017年度決算報告の承認を求める件  

     付・会計監査報告

第3号議案/2018年度活動計画案の件

第4号議案/2018年度予算案の件

第5号議案/選挙管理委員の承認を求める件

第6号議案/決議採択の件

※総会は会員の方々が協会活動に対し自由に発言できる場です。今回の改定に関するお考えや協会への要望、期待することなどをご発言ください。

第2部

【記念講演】

・時   間:午後4時30分~6時00分

・場   所:11階「アネモ」ルーム

・テ ー マ:「2018年歯科診療報酬改定の考察と今後の展望」

・講      師:坪田有史氏(東京歯科保険医協会会長)

第3部

【懇 親 会】

・時     間:午後6時15分~7時45分

・場    所:11階「ブロッサム」ルーム

坪田有史会長

好評価受けた「歯科の院内感染防止対策」/第68回メディア懇談会で参加取材陣から指摘

好評価受けた「歯科の院内感染防止対策」/第68回メディア懇談会で参加取材陣から指摘

5月11日、協会会議室で第68回メディア懇談会を開催。メディア側の参加は4社・4名で、協会からは坪田有史会長が説明を行い、司会進行は広報・ホームページ部長の早坂美都理事が行った。

今回の話題は、①2018年歯科診療報酬改定に関する新点数説明会や院内感染防止対策講習会、地区懇談会開催などの協会側の対応、②協会独自作成の改訂版の冊子「絵で見る色でわかる歯科の院内感染防止対策」の紹介、③マイナンバー関連、④6月10日開催の第46回定期総会の取材案内―などを説明、報告した。

これらのうち①に関し、メディア側から「初・再診料の減産につながる感染防止対策講習受講樹交渉の届出をめぐり、現場が混乱していると聞いているが、実際はどうか」との質問があり、坪田会長が「診療所の歯科医師、それも外来だけの歯科医師は、日常の診療業務などの中で厚生局や保健所への届出を行う機会が非常に少ない。しかも、今回の改定に伴う届出は、提出期限が込み入っている。また、摘要欄記載が非常に増えており、それへの対応も手間がかかる」などの状況を説明した。

また、改訂版冊子については、他団体でも類似内容の冊子を作成しているものの、文字ばかりで内容が非常難しいことなどを指摘する声があがったほか、「感染防止対策の講習会を受講するのは歯科医療機関の長である歯科医師。しかし、日常業務の中で実際に感染防止対策を実施するのはスタッフ。つまりテキストは、実施する機会の多いスタッフが理解し、実践できる内容でなければ意味がない。協会の冊子はその点で非常に分かりやすく、イラストも良いのではないか」「日本の歯科診療所の実情に沿った内容」「昨年のハンドピース関連報道にも配慮した内容」などの好評価を受けた。

歯科医療機関も十分な注意が必要/厚生労働省が「医療広告ガイドライン」示す

歯科医療機関も十分な注意が必要/厚生労働省が「医療広告ガイドライン」示す

厚生労働省は5月8日、医療機関の広告規制に関する「医療広告ガイドライン」を各都道府県に通知した。施行は本年6月1日。同日付で改正厚労省令と告示も公布している。
歯科に関しては、「インプラント症例数日本一」や「審美歯科評価業界でNO1」のほか、ホームページなどに患者治療体験に関する「○○歯科医院は、他の別格で素晴らしい。直ぐに治った」、「あの有名タレントから紹介。独自の治療方法に満足」などは規制対象となる。
ガイドラインでは、規制対象となる「広告」として、①患者の受診等を誘惑する意図がある、②医業・歯科医業を提供する者の氏名・名称、または病院・診療所の名称が特定可能―のいずれも満たすものと規定。病院などが自院のウェブサイト、つまりホームページなどに掲載する治療等の内容や効果に関する体験談は、広告に該当する。
広告として禁止される内容は、①広告が可能とされていない事項の広告、②内容が虚偽にわたる広告、③比較優良広告、④誇大広告、⑤患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告、⑥治療等の内容または効果について、患者等を誤認させる恐れがある治療等の前または後の写真等の広告(いわゆるビフォー・アフター写真など)―などとなっている。
また、通知の中で都道府県に対し、①不適切な医療広告の実施者に対し、その是正に向け必要な行政指導等を実施、②医療広告に関する苦情は、当該地域を所管する消費生活センター等の消費生活相談窓口に寄せられる場合があるため、定期的に情報交換する―などの注意を喚起し、消費者行政担当部門との連携強化の必要性を訴えている。

歯科診療報酬改定の関連通知など踏まえ解説/2018年診療報酬改定新点数説明会

 

歯科診療報酬改定の関連通知など踏まえ解説/2018年診療報酬改定新点数説明会 

◆届出書類の記載例も紹介

4月26日、なかのZERO大ホールで第4回新点数説明会を開催。734名が参加した。

2018年診療報酬改定では、施設基準の新設や見直しが多く、会員の中からも「理解し切れない」との声が多く聞かれていた。

そのため、相談が多い内容を中心に協会社保・学術部担当の加藤開副会長、本橋昌宏理事が解説を行った。

解説では、診療情報連携共有料(情共)は、医科で行われた検査結果や服薬状況などの診療情報の提供を依頼する場合に算定できること、咀嚼能力検査や咬合圧検査を算定する場合は施設基準を届出する必要があることなどを解説した。

また、「初診料注1」の施設基準、新設された情共、口腔機能低下症における口腔機能管理加算および口腔機能発達不全症における小児口腔機能管理加算については、実際の届出書や提供文書の記載例を示しながら、実際の届出や算定を行う際の注意点を解説した。

参加者に行ったアンケートでは、ナイトガードの調整料や診療情報連携共有料の算定または算定予定であるとの回答が多く寄せられた。

◆分りにくい内容は厚労省に直ちに改善求める

一方、改善を求める点については、「細かすぎる」「なかなか難しくて理解ができません」「もう少しシンプルにならないものか」などの声が多く寄せられた。

また、分りにくいとする内容については、「施設基準が複雑すぎて分かりづらい」、「か強診、小児口腔機能管理加算、口腔機能管理加算」、「咬合調整のイロハニの摘要欄記入」などあり、施設基準、算定要件、レセプトの摘要欄記載などが分からないとする意見が多かった。

協会では、会員の声をいち早く厚労省に伝え、改善を求めて行く。

歯科医療機関向け「院内感染防止対策講習会」を開催/2018年診療報酬改定施行に合わせて協会が独自企画で開催

 

歯科医療機関向け「院内感染防止対策講習会」を開催/2018年診療報酬改定施行に合わせて協会が独自企画で開催

平易な表現ながら熱弁をふるった濱﨑啓吾理事

協会は本日4月26日、歯科医療機関の「院内感染防止対策講習会」をなかのZERO大ホールで開催。約750名が参加した。講師は協会の院内感染防止対策委員会委員長の濱﨑啓吾理事が務め、①院内感染防止対策の基本、②歯科器材処理、③日常的な対策、④針刺し事故への対応とワクチン接種、などを解説した。

この講習会は、2018年診療報酬改定で導入された「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」の届出に必要な研修として企画、開催したもので、本日午後6時30分から開催する第4回新点数説明会に先立ち、同日の午後3時30分から1時間にわたり開催したもの。

冒頭の挨拶で協会の坪田有史会長は、会員すべてがこの施設基準に対応できる機会を設けるため、5月以降の同様の講習会を開催して行くとし、さらに「今日の講習会で、会員各位とそのスタッフはもとより、患者さんと国民のための院内感染防止対策を学んでほしい。きちんとした感染防止対策を行うことは、会員歯科医師自身の身を守ることにもつながる」と述べた。

坪田有史会長

◆テキストには改訂版「歯科の院内感染防止対策」を使用

講習会のテキストには、協会で発行した改訂版の冊子「絵で見る 色でわかる 歯科の院内感染防止対策」を使用。参加者に無料で配布した(参加できなかった会員には、5月の連休明けに「歯科保険診療の研究2018年版」と合送する)。

◆濱﨑理事講演のポイント

講師の濱﨑理事は、 ①院内感染防止対策の基本、②歯科 器材の処理、③日常的な院内感染防止対策、④針刺し事故への対応とワクチン接種―の4本を柱に解説し、感染成立の3要素 として①病原体(感染源)、②伝播経路(感染経路)、③宿主(感受性)―があり、院内感染防止の基本はこの3要素への対応であると、重ねて解説を加えた。また、感染防止における機材の処理では「滅菌よりもまず洗浄が大事」とし、細菌数を減らし、細菌の毒素を除去するための洗浄が重要であることを指摘した。

◆施設基準の届出について

届出にあたっては、院内感染防止対策として滅菌装置(オートクレーブ)を備え、患者ごとに必要な滅菌体制を整えていることが必要。歯科の院内感染防止対策が診療報酬で評価されてはいるが、施設基準としての届出が必要となり、届出をしない場合には初・再診料が減算される。このペナルティーに関しては、協会は「問題あり」として、去る3月27日に開催した第1回新点数説明会の「決議」でも1項目として掲げている。

 

 

歯科訪問診療の重要性を提起/第4回全国在宅医療会議で歯科医療界から発言

 

歯科訪問診療の重要性を提起/第4回全国在宅医療会議で歯科医療界から発言

2018年診療報酬改定では、厚生労働省が進めようとしている地域包括ケアシステムの中核をなす在宅医療が重視され、医科・歯科ともに改定内容に大きく盛り込まれた。協会でも昨日4月26日に在宅歯科医療に限定した内容で第4回新点数説明会を開催したのは既報の通りだ。

そのような機運の中、4月25日、厚労省は第4回全国在宅医療会議(座長:大島伸一/国立長寿医療研究センター名誉理事長)を全国都市会館で開催した。歯科からは、日本歯科医師医会副会長の佐藤保氏、全国在宅療養支援歯科診療所連絡会会長の原龍馬氏(この日は原氏が欠席となったため理事長代理として三木次郎氏が出席)の2氏が、歯科医療界からのメンバーとなっている。

この日の会合では、「全国在宅医療会議ワーキンググループからの報告及び今後の会議の進め方」を議題にしてメンバーから意見が提起された。資料として示された重点分野の課題と7つの柱が示されたが、その内容は①地域の病院と在宅医療との協働体制の構築、②行政と関係団体との連携、③関係団体同士の連携、④ICT等最新技術の活用、⑤国民への在宅医療に関する普及・啓発、⑥在宅医療に関わる関係者への普及・啓発、⑦在宅医療の実践に関する研究及び教育―となっている。これをもとに、各メンバーから意見が提起された。

歯科のメンバーからは、今次改定では医科歯科連携の必要性・重要性と、歯科訪問診療の推進が重要であることが示されたことなどが挙げられた。

 

歯科訪問診療などの重要ポイントを説明/在宅医療中心の第3回新点数説明会を開催

 

歯科訪問診療などの重要ポイントを説明/在宅医療中心の第3回新点数説明会を開催

協会は本日4月23日、なかのゼロ大ホールで在宅医療の内容に限定しての第3回新点数説明会を開催した。会員とそのスタッフの参加者は719名であった。前回および前々回改定時のこの説明会の参加者は2016年改定時は約700名、14年改定時は約600名であり、改定の度に参加者数は増加をたどっており、歯科訪問診療や介護報酬に対する会員の関心の高まりがうかがえる。

坪田有史会長

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭で挨拶に立った協会の坪田有史会長は、今次改定の中で地域包括ケアシステムが大きな位置を占め、その柱となっているのが在宅医療であり、歯科訪問診療料の見直しに関して留意すべき8項目として、①20分未満が厚くなった、②訪補助の拡大、③歯援診はハードルが高くなった、④訪衛指も同一建物と単一建物の概念が入るなど大きく変わった、⑤歯在管、⑥在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、⑦訪問口腔リハビリテーション指導管理料、⑧小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料―を指摘した。

◆馬場副会長講演内容

続く講演では、馬場安彦副会長が今次診療報酬改定は2025年問題、さらに2035年問題を見据えた改定であり、歯科訪問診療が大きく重視されていることを強調。その改定内容は多岐に渡っているため注意が必要と指摘した。その上で、歯科訪問診療料、訪問歯科衛生指導料、歯科疾患在宅療養管理料、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症、それに関わる検査など丁寧に解説、「各先生、各診療所にあった形を作っていくことが大事」とした。また、歯科訪問診療料は、これまでエンジンなどの切削器具を携行していた場合に算定していた急性対応加算が歯科訪問診療料に包括され、切削器具の携行が必須になったことを説明。さらに、歯在管と居宅療養管理指導費についても重要ポイントを解説した。

◆橋本理事講演内容

続いて橋本健一理事が、施設基準の届出と介護保険の改定の要点を解説した。施設基準の届出では、歯援診、か強診は要件が変更されたが、2018年3月31日までに届出を行った医療機関では、2020年3月31日まではそれぞれ歯援診Ⅱ、か強診の要件を満たしていると見なされるため、慌てて届出をする必要はないことを強調した。介護保険については、地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、医療と介護の情報連携が強化された点に触れた。また口腔衛生管理の充実が図られた点に着目し、歯科の役割が重視されていると述べた。居宅療養管理指導費では、訪問歯科衛生指導料と同じように、人数の考え方が、同一日の同一建物人数から同一月の同一建物人数へと、日単位から月単位の考え方に変わった点に言及。これは従来とはまったく異なる考え方であり、混乱しやすい部分であると注意を呼びかけた。

◆横山理事は2症例を解説

山靖弘理事は、訪問診療の二症例を解説した。今次改定で変更されたポイントを中心に、カルテ記載の注意点なども説明した。

馬場安彦副会長

横山靖弘理事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初鹿衆院議員が『子どもの生活底上げ法案』で講演会/保団連が4.19国会要請行動と同日に開催

 

初鹿衆院議員が『子どもの生活底上げ法案』で講演会/保団連が4.19国会要請行動と同日に開催

保団連は本日4月19日、国会要請行動の開始前に、初鹿明博衆議院議員(立憲・比例東京)による講演会「『子ども の生活底上げ法案』提出者として法案提出の意義と国会での議論について」を開催した。

 

初鹿氏は、法案を提案した動機とその背景について「今、日本は子どもの6人に1人が貧困状態にある。このような深刻な状況を放ってはおけない」とし、さらに今国会で子どもの貧困の解決を目指す「子どもの生活底上げ法案」を自身の立憲民主党のほか、希望、民主、共産、自由、社民の5野党とともに共同提案していることを報告した。6野党とも、今年10 月から生活保護費が減額されるジョ右京の下で、貧困の連鎖を断ち切り貧困世帯の子どもの生活の安定が必要と考えている点で意見が一致しているとした。

◆生活保護の改善提案

さらに、日本の生活保護の問題点に言及し、日本の生活保護の捕捉率は非常に低いため、低所得の最下層の人々は憲法で定める「健康で文化的な最低限度の生活」以下の生活をしていると言ってもよい状況にあると指摘。このままその比較で基準引き下げを続けると、生活保護基準も憲法で定める「最低限度の生活」以下になってしまいかねないと、危機感を表明した。また、現行制度では生活保護世帯で子どもが高校を卒業すると、世帯分離しなければな らない現実にある点に触れ、「生活の実態は変わらないのに、世帯人数が変わったとみなされる。そのため、支給される生活保護費が減ってしまう」とし、これが原因で「生活保護世帯の子どもたちは大学進学をあきらめることが多い」と報告した。そして、6野党共同提案となっている底上げ法案の特徴として、①高校卒業後も世帯分離を不要とし、世帯を単位とする保護を受けながら大学・専門学校等に通えるようにする、②現在、高校卒業までとされている児童扶養手当の支給対象を20歳までに拡大する、③支給額を月1万円増額する、④家計管理支援のため、現行の年3回の支給を改め、毎月行うようにする―などを紹介した。

2018年新点数説明会「決議」

2018年新点数説明会「決議」

2018年度歯科診療報酬の改定率は、わずか0.69%のプラスとなった。身を削る思いで経営を維持している歯科医療機関の状況を改善するには、程遠い改定率である。

改定では初診料・再診料に院内感染防止対策の施設基準が設けられた。歯科ではこれまでもできうる限りの対応を取ってきている。にもかかわらず届出しないと減算される仕組みの導入は問題だ。本来、初診料・再診料は縛りが無く算定されるべきで、懲罰的な減算を行うべきではない。そもそも院内感染防止対策の費用は別立てで行うべきであると協会は以前から厚労省に要請してきた。

歯科衛生士の雇用や委託技工料問題も深刻な状況が続いている。十分な費用を保障せず、歯科医院の経営努力のみに責任を押しつけるやり方には問題があり、改善を求める。

財務省は「75歳以上の患者窓口負担の原則2割化」を推し進めるなど、更なる改悪を進めようとしている。貧困層の拡大が問題視されている中での負担増は、受診抑制に繋がり、更なる疾病の重症化を招く。

私たちは、診療報酬の引き上げとともに、患者さんが安心して受診できるよう、新たな患者負担増は行わず、患者窓口負担軽減を求めるものである。

 

 

                           記

 

 

一、初診料・再診料に包括した院内感染防止対策費用は実施するのに必要な額とし、別途評価すること。

 

一、医療機関の格差拡大・選別に繋がる施設基準は見直すこと。

 

一、歯科技工士、歯科衛生士の評価を抜本的に高め、診療報酬として評価すること

 

一、75歳以上の窓口負担2割化を始めとする新たな患者負担増の計画は中止し、

患者窓口負担を軽減すること

 

一、社会保障費の削減は止め、医療・介護・福祉等を重視した政策に転換すること。

 

 

2018年3月 

東京歯科保険医協会 新点数説明会

参加者一同

会場壇上から参加者を外観

 

歯科診療所の選別と患者の選別が同時に遂行されていく/保団連の宇佐美副会長が問題点浮き彫りにする

 

 

歯科診療所の選別と患者の選別が同時に遂行されていく/保団連の宇佐美副会長が問題点浮き彫りにする

保団連は4月19日、衆議院第2議員会館内で「改めて診療報酬改定の改善を求める国会内集会」を開催した。全国から150名余の会員が参加し、協会からは坪田有史会長と橋本健一理事,

事務局が参加した。

まず、保団連の武村義人副会長が以下の立場から今次改定の問題点として、かかりつけ医機能強化、入院から在宅への診療シフト、オンライン診療保険導入などをあげ、その改善を強く求めた。次に、歯科について宇佐美宏副会長(歯科代表)が説明し、初・再診料への院内感染防止対策の施設基準の導入、かかりつけ歯科医機能型歯科診療所要件などが大きな変更点だが、今後に向けさらに懸念される問題点を内包しているおり、改善が必要と強調した。

保団連の宇佐美宏副会長(歯科代表)

さらに宇佐美副会長は、現状について」歯科の公的医療費に占めるシェアは、1980年代以降は約40年間右肩下がりで減少し続け、直近では7%程度長年、低医療費政策で歯科診療をしてきたことは事実。当然ながら、歯科医院の経営は厳しい状況」と指摘した。そして、今次改定のポイントとして、①院内感染防止対策を理由に歯科外来にのみ、基本診療料の減算制度が持ち込まれ、新たな施設基準が設定、②かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)などの新たな算定要件を追加見直し―の2点を挙げ、算定のために揃える機器購入・費用を自院に支出させる方法をするのでなく、その対応が可能になる基本的な診療報酬アップがあって、次の対応に進むのが合理的な判断ではないかと訴えた。か強診については、地域包括ケアへの対応として在宅医療の推進を掲げることへは理解を示しつつ、「か強診 、非か強診と、明確に診療行為が同じでも点数に相違をもたらし、一物二価を持ち込んだ。これは、診療所間での格差をつけたことで、結果からすれば、これは、歯科診療所の選別と患者の選別が同時に遂行されていくことになりる」とし、大きな問題点を浮き彫りにした。

社会保障審議会医療保険部会が開催

社会保障審議会医療保険部会が開催

厚生労働省は4月19日、TKP市ヶ谷カンファレンスセンターで社会保障審議会医療保健部会(部会長:遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所所長)を開催した。部会では、「医療保険制度をめぐる課題」を中心に審議・検討を進めた。事務局は①医療保険制度改革と一体改革の展望、②2040年を見据えた社会保障改革、③医療制度に関する主な論点―などの資料を提示し、地域医療介護確保基金や国保への財政支部の充実,高額療養費の見直しなどを巡り議論が行われた。