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口腔内の状況に地区間格差が…/学校歯科治療調査報告書まとまる

 

学校歯科治療調査報告書/6月3日再掲

協会は3月4日、「学校歯科治療調査報告書」を取りまとめ公表しました。

昨年10月、協会は東京都の子どもの口腔内の実態を把握し、都内の子どもが安心して歯科医療を受けられる体制を広げることを目的に「学校歯科治療調査」を実施しました。都内の全小・中学校に協力を依頼し、489校(回収率23.0%)から回答が寄せられ、このたび「学校歯科治療調査報告書」を作成しました。

今回の調査では、歯科検診で要受診となる子どもは約3割で、そのうち受診に行った子どもは小学校で約6割、中学校で約3割でした。

また、東京都では、区市町村により、中学生までの窓口負担の有無が異なりますが、窓口負担のある地区はない地区に比べ、「口腔崩壊と考えられるこどもがいる」と回答した学校が多く、検診後の歯科受診率も低くなっていました。公立校、私立校でも分類しており、公立校に通う子どもは私立校に通う子どもに比べ、要受診となる子どもが多く、検診後受診率も低いことがわかりました。

意見欄には多くの事例が寄せられ、貧困を背景とした理由の他、子どもの口腔の健康に対する保護者の意識の低さや、ネグレクト、家庭不安、精神疾患、外国籍の保護者など、多様な問題点が指摘されています。

ぜひ調査報告書をご覧ください。

学校歯科治療調査報告書のダウンロードはここをクリック!!

 

 

 

厚労省に18項目の要請を実施

 5月31日、協会は、会員の要望をもとに、

2018年診療報酬改定に関する要請を厚労省に行った。

 

院内感染防止対策の評価 更なる引上げを

 2018年診療報酬改定で院内感染防止対策を評価した歯初診の施設基準が新設され、

協会では「協会の会員は全員が届出を」との方針の下、院内感染防止対策の研修を

繰り返し行ってきた。一方、参加者のアンケートでは、診療報酬の引き上げを求める意見が

多数寄せられたため、緊急に厚労省へ要請した。

 

P画像などの問題点 改善を求める

 寄せられた相談から、初診日ではなく次回に1回目の歯管の算定を行うと、

初診日に写真を撮影と説明をしてもP画像が算定できない」などの問題が

生じていることが分かり、改善するように要望した。

 

問題点があれば、ぜひご意見を

 協会は、今後も会員の声を行政へ届けていく。改定内容で改善が必要なことが

ありましたら、ぜひ協会にお寄せ頂きたい。

 

<要請項目>

1.診療情報連携共有料(情共)の依頼先に施設に配置された医師も加えて頂きたい。

 また、文書に加えてメールでの情報提供も可能として頂きたい。

2.かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準の「過去1年間にフッ化物

  歯面塗布処置又は歯科疾患管理料のエナメル質初期う蝕管理加算をあわせて10回以上算定

  していること」について、フッ化物歯面塗布処置(F局)の実績には根面う蝕のF局も含まれる

  ことを疑義解釈で示して頂きたい。

3.かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準の「(8)(5)に掲げる

  歯科医師が、以下の項目のうち、3つ以上に該当すること」の項目に、「生活保護指定医療機関、

  労災保険指定医療機関、被爆者一般疾病医療機関又は難病医療費助成制度における指定医療機関

  のいずれかの届出を行っていること」を追加して頂きたい。

4.訪問歯科衛生指導料を単一診療患者の数で評価することは止め、改定前の評価に戻して頂きたい。

5.在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の施設基準のクの(ロ)の実績は、どちらか一方の点数の

 算定実績があればよいようにして頂きたい。

6.別建ての評価にした上で、コストに見合うよう歯初診を届出した場合の初・再診料は更に

 引上げて頂きたい。

7.これまで来院していた患者にも口腔機能低下症に関する管理の費用が算定できるように、

 歯科疾患管理料(歯管)の1回目の算定期限を撤廃して頂きたい。

8.口腔機能に関する管理を推進するために、小児口腔機能管理加算(小機能)、口腔機能管理加算

 (口機能)及び口機能に関する検査の費用を引上げて頂きたい。

9.口腔機能低下症の評価について、複雑すぎるので分かりやすい要件にして頂きたい

10.総合医療管理加算の対象疾病の中に、歯科治療時医療管理料の対象疾病も加えて頂きたい。

11.改定前の床副子についても口腔内装置1又は2に該当する場合は口腔内装置調整の点数を

  算定できるなど、改定前後で区分や名称変更が行われた点数について移行に関する疑義解釈を

  発出して頂きたい。

12.口腔内装置調整の点数は、装着時も算定ができるようにして頂きたい。

13.口腔内装置の咬合採得は、口腔内装置2であっても算定ができるようにして頂きたい。

14.歯周病患者画像活用指導料は、口腔内写真検査と同様に、歯管などを算定していない場合でも

 算定できるように改めて頂きたい。

15.口腔粘膜処置は月に複数回を行った場合でも、その都度算定できるようにして頂きたい。

16.再度の感染根管処置におけるEMR、根充及び加圧根管充填処置も算定できるように、

  疑義解釈を発出して頂きたい。

17.歯科衛生実地指導料(実地指)などの対象疾病である歯科疾患についてお聞きしたい。

18.レセプトの摘要欄記載を増やさないようにして頂きたい。

「医療従事者の需給に関する検討会」を開催/2022年度以降は入学定員減員へ

「医療従事者の需給に関する検討会」を開催/2022年度以降は入学定員減員へ

厚生労働省は5月28日、「医療従事者の需給に関する検討会」を開催し、「第3次中間とりまとめ」を大筋で了承。2020年度と2021年度の医学部入学定員は「暫定措置」として現状を「概ね維持」するが、2022年度以降については「医師の働き方改革」や「医師偏在対策」の結果などを踏まえ、「減員」に向けて定期的に検討していく方針が明記された。

◆2033年以降は医師供給が過剰との推計も

中間まとめでは、①高齢化の進展による医療ニーズの増加、②人口減少に伴う医療ニーズの減少、③医療提供体制の再構築(地域医療構想の実現)、④医師の高齢化、⑤医師の働き方改革等による業務の効率化、⑥ICT、AI等の活用による医師の業務効率化、⑦性・年齢に基づく「医師の仕事量」―などの要因に配慮し、将来的な医師需給について厚労省が行った推計を明示している。具体的には、以下の3ケースを提起している。

(1)ケース1:医師の需要がもっとも大きくなる(医師にも、一般労働者と同じ時間外労働規制(月60時間まで)を行い、AI等の活用で2040年には業務が7%削減される、などと仮定)

    ↓

・2033年頃に医師の需給が約36万人で均衡。以降、医師供給数が過剰となり、2040年には2万5000人程度の医師過剰となる

(2)ケース2:医師の需要が中程度となる(医師の時間外労働規制を、過労死ガイドライン水準(月80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が10%削減される、などと仮定)。

    ↓

・2028年頃に医師の需給が約35万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には3万5000人程度の医師過剰となる

(3)ケース3:医師の需要がもっとも少なくなる(医師の時間外労働規制を、米国の研修医並み(週80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が20%削減される、などと仮定)

    ↓

・2018年頃に医師の需給が約32万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には5万2000人程度の医師過剰となる

ただし、「医師の働き方改革」については、関連検討機関の「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書がまとまっていないことや、ICTなどは今後も進歩し続けることは考慮している。

「医療従事者の需給に関する検討会」第3次中間まとめの全文ダウンロードはここをクリック

 

歯科技工士の養成・確保検討会が初会合を開催

 

歯科技工士の養成・確保検討会が初会合を開催

厚生労働省は5月15日、「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」を設置し、その初会合を同省内会議室で開催した。座長には、昭和大学客員教授の赤川安正氏が互選された。

会合では、事務局の同省医政局歯科保健課が歯科技工士を取り巻く環境を説明した資料をもとに報告を行った。その中で、歯科医療関係者が注目している歯科技工士養成施設数と入学者数の推移について触れ、2001年は72校で3155名だったのが、2017年には52校で927名となっており、養成施設は20施設減(減少率は27.8%減)、入学者数は2228人減(同70.6%減)という厳しい状況が示された。

また、就業歯科技工士を年齢階層別で見ると、50歳以上では増加傾向にあり、2016年で47.9%を占めている。また、男女別の状況を見ると、女性歯科技工士数が微増しており、2016年には18.7%を占める状況にある。

そのほか、歯科技工士関連の厚生労働科学研究として、①歯科技工業の多様な業務モデルに関する研究:研究者代表/赤川安正・昭和大学客員教授、研究期間/平成29年~30年、②歯科衛生士及び歯科技工士の免許取得者の就業状況等に関する研究:研究者代表/須田英明・東医歯大名誉教授、研究期間/平成29年~30年)―の2件が資料紹介されている。

 

◆「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」構成員(敬称略)

・座長:赤川安正(昭和大学客員教授)

・構成員(五十音順):秋野憲一(歯科医師、札幌市保健福祉局保健所母子保健・歯科保健担当部長)、尾﨑順男(全国歯科技工士教育協議会会長)、小畑真(歯科医師、弁護士法人小幡法律事務所代表弁護士)、陸誠(株式会社コアデンタルラボ横浜代表取締役)、桑名良尚(桑名歯科医院院長)、杉岡範明(公益社団法人日本歯科技工士会会長)、高橋勝美(株式会社オムニコ代表取締役、傅寳弥里(アルモニア代表、横浜市歯科技工士会会長)、三井博晶(公益法人日本歯科医師会常務理事)

・オブザーバー:福島哉史(文部科学省高等教育局医学教育課薬学教育専門官)

検討会説明資料の一部をご覧になりたい方はここをクリック!!

 

2018年度東京歯科保険医協会第46回定期総会のご案内

2018年度東京歯科保険医協会第46回定期総会のご案内

◆と き 2018年6月10日(日)  午後2時~7時45分

◆ところ 中野サンプラザ/中野区中野4-1-1

交 通:JR中央・総武線、東京メトロ東西線「中野駅」北口正面

☆第46回定期総会を下記日程で開催します。2017年度の活動を振り返るとともに、今後1年間の協会活動の方針を論議・決定します。ぜひ、ご出席ください。

第1部

【総 会】

・時  間:午後2時00分~4時15分

・場    所:11階「アネモ」ルーム           

・総会議事

第1号議案/2017年度活動報告の承認を求める件   

第2号議案/2017年度決算報告の承認を求める件  

     付・会計監査報告

第3号議案/2018年度活動計画案の件

第4号議案/2018年度予算案の件

第5号議案/選挙管理委員の承認を求める件

第6号議案/決議採択の件

※総会は会員の方々が協会活動に対し自由に発言できる場です。今回の改定に関するお考えや協会への要望、期待することなどをご発言ください。

第2部

【記念講演】

・時   間:午後4時30分~6時00分

・場   所:11階「アネモ」ルーム

・テ ー マ:「2018年歯科診療報酬改定の考察と今後の展望」

・講      師:坪田有史氏(東京歯科保険医協会会長)

第3部

【懇 親 会】

・時     間:午後6時15分~7時45分

・場    所:11階「ブロッサム」ルーム

坪田有史会長

好評価受けた「歯科の院内感染防止対策」/第68回メディア懇談会で参加取材陣から指摘

好評価受けた「歯科の院内感染防止対策」/第68回メディア懇談会で参加取材陣から指摘

5月11日、協会会議室で第68回メディア懇談会を開催。メディア側の参加は4社・4名で、協会からは坪田有史会長が説明を行い、司会進行は広報・ホームページ部長の早坂美都理事が行った。

今回の話題は、①2018年歯科診療報酬改定に関する新点数説明会や院内感染防止対策講習会、地区懇談会開催などの協会側の対応、②協会独自作成の改訂版の冊子「絵で見る色でわかる歯科の院内感染防止対策」の紹介、③マイナンバー関連、④6月10日開催の第46回定期総会の取材案内―などを説明、報告した。

これらのうち①に関し、メディア側から「初・再診料の減産につながる感染防止対策講習受講樹交渉の届出をめぐり、現場が混乱していると聞いているが、実際はどうか」との質問があり、坪田会長が「診療所の歯科医師、それも外来だけの歯科医師は、日常の診療業務などの中で厚生局や保健所への届出を行う機会が非常に少ない。しかも、今回の改定に伴う届出は、提出期限が込み入っている。また、摘要欄記載が非常に増えており、それへの対応も手間がかかる」などの状況を説明した。

また、改訂版冊子については、他団体でも類似内容の冊子を作成しているものの、文字ばかりで内容が非常難しいことなどを指摘する声があがったほか、「感染防止対策の講習会を受講するのは歯科医療機関の長である歯科医師。しかし、日常業務の中で実際に感染防止対策を実施するのはスタッフ。つまりテキストは、実施する機会の多いスタッフが理解し、実践できる内容でなければ意味がない。協会の冊子はその点で非常に分かりやすく、イラストも良いのではないか」「日本の歯科診療所の実情に沿った内容」「昨年のハンドピース関連報道にも配慮した内容」などの好評価を受けた。

歯科医療機関も十分な注意が必要/厚生労働省が「医療広告ガイドライン」示す

歯科医療機関も十分な注意が必要/厚生労働省が「医療広告ガイドライン」示す

厚生労働省は5月8日、医療機関の広告規制に関する「医療広告ガイドライン」を各都道府県に通知した。施行は本年6月1日。同日付で改正厚労省令と告示も公布している。
歯科に関しては、「インプラント症例数日本一」や「審美歯科評価業界でNO1」のほか、ホームページなどに患者治療体験に関する「○○歯科医院は、他の別格で素晴らしい。直ぐに治った」、「あの有名タレントから紹介。独自の治療方法に満足」などは規制対象となる。
ガイドラインでは、規制対象となる「広告」として、①患者の受診等を誘惑する意図がある、②医業・歯科医業を提供する者の氏名・名称、または病院・診療所の名称が特定可能―のいずれも満たすものと規定。病院などが自院のウェブサイト、つまりホームページなどに掲載する治療等の内容や効果に関する体験談は、広告に該当する。
広告として禁止される内容は、①広告が可能とされていない事項の広告、②内容が虚偽にわたる広告、③比較優良広告、④誇大広告、⑤患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告、⑥治療等の内容または効果について、患者等を誤認させる恐れがある治療等の前または後の写真等の広告(いわゆるビフォー・アフター写真など)―などとなっている。
また、通知の中で都道府県に対し、①不適切な医療広告の実施者に対し、その是正に向け必要な行政指導等を実施、②医療広告に関する苦情は、当該地域を所管する消費生活センター等の消費生活相談窓口に寄せられる場合があるため、定期的に情報交換する―などの注意を喚起し、消費者行政担当部門との連携強化の必要性を訴えている。

歯科診療報酬改定の関連通知など踏まえ解説/2018年診療報酬改定新点数説明会

 

歯科診療報酬改定の関連通知など踏まえ解説/2018年診療報酬改定新点数説明会 

◆届出書類の記載例も紹介

4月26日、なかのZERO大ホールで第4回新点数説明会を開催。734名が参加した。

2018年診療報酬改定では、施設基準の新設や見直しが多く、会員の中からも「理解し切れない」との声が多く聞かれていた。

そのため、相談が多い内容を中心に協会社保・学術部担当の加藤開副会長、本橋昌宏理事が解説を行った。

解説では、診療情報連携共有料(情共)は、医科で行われた検査結果や服薬状況などの診療情報の提供を依頼する場合に算定できること、咀嚼能力検査や咬合圧検査を算定する場合は施設基準を届出する必要があることなどを解説した。

また、「初診料注1」の施設基準、新設された情共、口腔機能低下症における口腔機能管理加算および口腔機能発達不全症における小児口腔機能管理加算については、実際の届出書や提供文書の記載例を示しながら、実際の届出や算定を行う際の注意点を解説した。

参加者に行ったアンケートでは、ナイトガードの調整料や診療情報連携共有料の算定または算定予定であるとの回答が多く寄せられた。

◆分りにくい内容は厚労省に直ちに改善求める

一方、改善を求める点については、「細かすぎる」「なかなか難しくて理解ができません」「もう少しシンプルにならないものか」などの声が多く寄せられた。

また、分りにくいとする内容については、「施設基準が複雑すぎて分かりづらい」、「か強診、小児口腔機能管理加算、口腔機能管理加算」、「咬合調整のイロハニの摘要欄記入」などあり、施設基準、算定要件、レセプトの摘要欄記載などが分からないとする意見が多かった。

協会では、会員の声をいち早く厚労省に伝え、改善を求めて行く。

歯科医療機関向け「院内感染防止対策講習会」を開催/2018年診療報酬改定施行に合わせて協会が独自企画で開催

 

歯科医療機関向け「院内感染防止対策講習会」を開催/2018年診療報酬改定施行に合わせて協会が独自企画で開催

平易な表現ながら熱弁をふるった濱﨑啓吾理事

協会は本日4月26日、歯科医療機関の「院内感染防止対策講習会」をなかのZERO大ホールで開催。約750名が参加した。講師は協会の院内感染防止対策委員会委員長の濱﨑啓吾理事が務め、①院内感染防止対策の基本、②歯科器材処理、③日常的な対策、④針刺し事故への対応とワクチン接種、などを解説した。

この講習会は、2018年診療報酬改定で導入された「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」の届出に必要な研修として企画、開催したもので、本日午後6時30分から開催する第4回新点数説明会に先立ち、同日の午後3時30分から1時間にわたり開催したもの。

冒頭の挨拶で協会の坪田有史会長は、会員すべてがこの施設基準に対応できる機会を設けるため、5月以降の同様の講習会を開催して行くとし、さらに「今日の講習会で、会員各位とそのスタッフはもとより、患者さんと国民のための院内感染防止対策を学んでほしい。きちんとした感染防止対策を行うことは、会員歯科医師自身の身を守ることにもつながる」と述べた。

坪田有史会長

◆テキストには改訂版「歯科の院内感染防止対策」を使用

講習会のテキストには、協会で発行した改訂版の冊子「絵で見る 色でわかる 歯科の院内感染防止対策」を使用。参加者に無料で配布した(参加できなかった会員には、5月の連休明けに「歯科保険診療の研究2018年版」と合送する)。

◆濱﨑理事講演のポイント

講師の濱﨑理事は、 ①院内感染防止対策の基本、②歯科 器材の処理、③日常的な院内感染防止対策、④針刺し事故への対応とワクチン接種―の4本を柱に解説し、感染成立の3要素 として①病原体(感染源)、②伝播経路(感染経路)、③宿主(感受性)―があり、院内感染防止の基本はこの3要素への対応であると、重ねて解説を加えた。また、感染防止における機材の処理では「滅菌よりもまず洗浄が大事」とし、細菌数を減らし、細菌の毒素を除去するための洗浄が重要であることを指摘した。

◆施設基準の届出について

届出にあたっては、院内感染防止対策として滅菌装置(オートクレーブ)を備え、患者ごとに必要な滅菌体制を整えていることが必要。歯科の院内感染防止対策が診療報酬で評価されてはいるが、施設基準としての届出が必要となり、届出をしない場合には初・再診料が減算される。このペナルティーに関しては、協会は「問題あり」として、去る3月27日に開催した第1回新点数説明会の「決議」でも1項目として掲げている。

 

 

歯科訪問診療の重要性を提起/第4回全国在宅医療会議で歯科医療界から発言

 

歯科訪問診療の重要性を提起/第4回全国在宅医療会議で歯科医療界から発言

2018年診療報酬改定では、厚生労働省が進めようとしている地域包括ケアシステムの中核をなす在宅医療が重視され、医科・歯科ともに改定内容に大きく盛り込まれた。協会でも昨日4月26日に在宅歯科医療に限定した内容で第4回新点数説明会を開催したのは既報の通りだ。

そのような機運の中、4月25日、厚労省は第4回全国在宅医療会議(座長:大島伸一/国立長寿医療研究センター名誉理事長)を全国都市会館で開催した。歯科からは、日本歯科医師医会副会長の佐藤保氏、全国在宅療養支援歯科診療所連絡会会長の原龍馬氏(この日は原氏が欠席となったため理事長代理として三木次郎氏が出席)の2氏が、歯科医療界からのメンバーとなっている。

この日の会合では、「全国在宅医療会議ワーキンググループからの報告及び今後の会議の進め方」を議題にしてメンバーから意見が提起された。資料として示された重点分野の課題と7つの柱が示されたが、その内容は①地域の病院と在宅医療との協働体制の構築、②行政と関係団体との連携、③関係団体同士の連携、④ICT等最新技術の活用、⑤国民への在宅医療に関する普及・啓発、⑥在宅医療に関わる関係者への普及・啓発、⑦在宅医療の実践に関する研究及び教育―となっている。これをもとに、各メンバーから意見が提起された。

歯科のメンバーからは、今次改定では医科歯科連携の必要性・重要性と、歯科訪問診療の推進が重要であることが示されたことなどが挙げられた。

 

歯科訪問診療などの重要ポイントを説明/在宅医療中心の第3回新点数説明会を開催

 

歯科訪問診療などの重要ポイントを説明/在宅医療中心の第3回新点数説明会を開催

協会は本日4月23日、なかのゼロ大ホールで在宅医療の内容に限定しての第3回新点数説明会を開催した。会員とそのスタッフの参加者は719名であった。前回および前々回改定時のこの説明会の参加者は2016年改定時は約700名、14年改定時は約600名であり、改定の度に参加者数は増加をたどっており、歯科訪問診療や介護報酬に対する会員の関心の高まりがうかがえる。

坪田有史会長

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭で挨拶に立った協会の坪田有史会長は、今次改定の中で地域包括ケアシステムが大きな位置を占め、その柱となっているのが在宅医療であり、歯科訪問診療料の見直しに関して留意すべき8項目として、①20分未満が厚くなった、②訪補助の拡大、③歯援診はハードルが高くなった、④訪衛指も同一建物と単一建物の概念が入るなど大きく変わった、⑤歯在管、⑥在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、⑦訪問口腔リハビリテーション指導管理料、⑧小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料―を指摘した。

◆馬場副会長講演内容

続く講演では、馬場安彦副会長が今次診療報酬改定は2025年問題、さらに2035年問題を見据えた改定であり、歯科訪問診療が大きく重視されていることを強調。その改定内容は多岐に渡っているため注意が必要と指摘した。その上で、歯科訪問診療料、訪問歯科衛生指導料、歯科疾患在宅療養管理料、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症、それに関わる検査など丁寧に解説、「各先生、各診療所にあった形を作っていくことが大事」とした。また、歯科訪問診療料は、これまでエンジンなどの切削器具を携行していた場合に算定していた急性対応加算が歯科訪問診療料に包括され、切削器具の携行が必須になったことを説明。さらに、歯在管と居宅療養管理指導費についても重要ポイントを解説した。

◆橋本理事講演内容

続いて橋本健一理事が、施設基準の届出と介護保険の改定の要点を解説した。施設基準の届出では、歯援診、か強診は要件が変更されたが、2018年3月31日までに届出を行った医療機関では、2020年3月31日まではそれぞれ歯援診Ⅱ、か強診の要件を満たしていると見なされるため、慌てて届出をする必要はないことを強調した。介護保険については、地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、医療と介護の情報連携が強化された点に触れた。また口腔衛生管理の充実が図られた点に着目し、歯科の役割が重視されていると述べた。居宅療養管理指導費では、訪問歯科衛生指導料と同じように、人数の考え方が、同一日の同一建物人数から同一月の同一建物人数へと、日単位から月単位の考え方に変わった点に言及。これは従来とはまったく異なる考え方であり、混乱しやすい部分であると注意を呼びかけた。

◆横山理事は2症例を解説

山靖弘理事は、訪問診療の二症例を解説した。今次改定で変更されたポイントを中心に、カルテ記載の注意点なども説明した。

馬場安彦副会長

横山靖弘理事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初鹿衆院議員が『子どもの生活底上げ法案』で講演会/保団連が4.19国会要請行動と同日に開催

 

初鹿衆院議員が『子どもの生活底上げ法案』で講演会/保団連が4.19国会要請行動と同日に開催

保団連は本日4月19日、国会要請行動の開始前に、初鹿明博衆議院議員(立憲・比例東京)による講演会「『子ども の生活底上げ法案』提出者として法案提出の意義と国会での議論について」を開催した。

 

初鹿氏は、法案を提案した動機とその背景について「今、日本は子どもの6人に1人が貧困状態にある。このような深刻な状況を放ってはおけない」とし、さらに今国会で子どもの貧困の解決を目指す「子どもの生活底上げ法案」を自身の立憲民主党のほか、希望、民主、共産、自由、社民の5野党とともに共同提案していることを報告した。6野党とも、今年10 月から生活保護費が減額されるジョ右京の下で、貧困の連鎖を断ち切り貧困世帯の子どもの生活の安定が必要と考えている点で意見が一致しているとした。

◆生活保護の改善提案

さらに、日本の生活保護の問題点に言及し、日本の生活保護の捕捉率は非常に低いため、低所得の最下層の人々は憲法で定める「健康で文化的な最低限度の生活」以下の生活をしていると言ってもよい状況にあると指摘。このままその比較で基準引き下げを続けると、生活保護基準も憲法で定める「最低限度の生活」以下になってしまいかねないと、危機感を表明した。また、現行制度では生活保護世帯で子どもが高校を卒業すると、世帯分離しなければな らない現実にある点に触れ、「生活の実態は変わらないのに、世帯人数が変わったとみなされる。そのため、支給される生活保護費が減ってしまう」とし、これが原因で「生活保護世帯の子どもたちは大学進学をあきらめることが多い」と報告した。そして、6野党共同提案となっている底上げ法案の特徴として、①高校卒業後も世帯分離を不要とし、世帯を単位とする保護を受けながら大学・専門学校等に通えるようにする、②現在、高校卒業までとされている児童扶養手当の支給対象を20歳までに拡大する、③支給額を月1万円増額する、④家計管理支援のため、現行の年3回の支給を改め、毎月行うようにする―などを紹介した。

2018年新点数説明会「決議」

2018年新点数説明会「決議」

2018年度歯科診療報酬の改定率は、わずか0.69%のプラスとなった。身を削る思いで経営を維持している歯科医療機関の状況を改善するには、程遠い改定率である。

改定では初診料・再診料に院内感染防止対策の施設基準が設けられた。歯科ではこれまでもできうる限りの対応を取ってきている。にもかかわらず届出しないと減算される仕組みの導入は問題だ。本来、初診料・再診料は縛りが無く算定されるべきで、懲罰的な減算を行うべきではない。そもそも院内感染防止対策の費用は別立てで行うべきであると協会は以前から厚労省に要請してきた。

歯科衛生士の雇用や委託技工料問題も深刻な状況が続いている。十分な費用を保障せず、歯科医院の経営努力のみに責任を押しつけるやり方には問題があり、改善を求める。

財務省は「75歳以上の患者窓口負担の原則2割化」を推し進めるなど、更なる改悪を進めようとしている。貧困層の拡大が問題視されている中での負担増は、受診抑制に繋がり、更なる疾病の重症化を招く。

私たちは、診療報酬の引き上げとともに、患者さんが安心して受診できるよう、新たな患者負担増は行わず、患者窓口負担軽減を求めるものである。

 

 

                           記

 

 

一、初診料・再診料に包括した院内感染防止対策費用は実施するのに必要な額とし、別途評価すること。

 

一、医療機関の格差拡大・選別に繋がる施設基準は見直すこと。

 

一、歯科技工士、歯科衛生士の評価を抜本的に高め、診療報酬として評価すること

 

一、75歳以上の窓口負担2割化を始めとする新たな患者負担増の計画は中止し、

患者窓口負担を軽減すること

 

一、社会保障費の削減は止め、医療・介護・福祉等を重視した政策に転換すること。

 

 

2018年3月 

東京歯科保険医協会 新点数説明会

参加者一同

会場壇上から参加者を外観

 

歯科診療所の選別と患者の選別が同時に遂行されていく/保団連の宇佐美副会長が問題点浮き彫りにする

 

 

歯科診療所の選別と患者の選別が同時に遂行されていく/保団連の宇佐美副会長が問題点浮き彫りにする

保団連は4月19日、衆議院第2議員会館内で「改めて診療報酬改定の改善を求める国会内集会」を開催した。全国から150名余の会員が参加し、協会からは坪田有史会長と橋本健一理事,

事務局が参加した。

まず、保団連の武村義人副会長が以下の立場から今次改定の問題点として、かかりつけ医機能強化、入院から在宅への診療シフト、オンライン診療保険導入などをあげ、その改善を強く求めた。次に、歯科について宇佐美宏副会長(歯科代表)が説明し、初・再診料への院内感染防止対策の施設基準の導入、かかりつけ歯科医機能型歯科診療所要件などが大きな変更点だが、今後に向けさらに懸念される問題点を内包しているおり、改善が必要と強調した。

保団連の宇佐美宏副会長(歯科代表)

さらに宇佐美副会長は、現状について」歯科の公的医療費に占めるシェアは、1980年代以降は約40年間右肩下がりで減少し続け、直近では7%程度長年、低医療費政策で歯科診療をしてきたことは事実。当然ながら、歯科医院の経営は厳しい状況」と指摘した。そして、今次改定のポイントとして、①院内感染防止対策を理由に歯科外来にのみ、基本診療料の減算制度が持ち込まれ、新たな施設基準が設定、②かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)などの新たな算定要件を追加見直し―の2点を挙げ、算定のために揃える機器購入・費用を自院に支出させる方法をするのでなく、その対応が可能になる基本的な診療報酬アップがあって、次の対応に進むのが合理的な判断ではないかと訴えた。か強診については、地域包括ケアへの対応として在宅医療の推進を掲げることへは理解を示しつつ、「か強診 、非か強診と、明確に診療行為が同じでも点数に相違をもたらし、一物二価を持ち込んだ。これは、診療所間での格差をつけたことで、結果からすれば、これは、歯科診療所の選別と患者の選別が同時に遂行されていくことになりる」とし、大きな問題点を浮き彫りにした。

社会保障審議会医療保険部会が開催

社会保障審議会医療保険部会が開催

厚生労働省は4月19日、TKP市ヶ谷カンファレンスセンターで社会保障審議会医療保健部会(部会長:遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所所長)を開催した。部会では、「医療保険制度をめぐる課題」を中心に審議・検討を進めた。事務局は①医療保険制度改革と一体改革の展望、②2040年を見据えた社会保障改革、③医療制度に関する主な論点―などの資料を提示し、地域医療介護確保基金や国保への財政支部の充実,高額療養費の見直しなどを巡り議論が行われた。

2018年 春の共済募集キャンペーン 始まりました!

2018年 春の共済募集キャンペーン

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チラシのダウンロードはこちらからどうぞ

 

歯科診療報酬改定内容確認のため1600名が参加/第2回新点数説明会

 

歯科診療報酬改定内容確認のため1600名が参加/第2回新点数説明会

協会は3月29日、文京シビック大ホールで第2回新点数説明会を開催した。27日の第1回説明会後ではあったが、今回の歯科診療報酬の内容を確かめるため詰めかけ、参加者数は第1回の約1200名を上回る約1600名に及んだ。

今回の進行は、社保・学術部の岡田部員の司会で進められ、冒頭で坪田有史会長があいさつの中で、施設基準と届出が多数に及んでいること、届出のタイミングが難しいものが多数存在していること、院内感染防止対策の施設基準は協会では全会員に届出をしてほしいと考えており関連講習会を4~6月にかけて開催することなどを指摘。さらに、少子高齢化やそれに伴う口腔疾病構造の変化など、社会変容の中で会員それぞれが置かれた環境によって、必要な選択をすることが重要だとした。また、日頃会員が考えていることを要望として取りまとめ、行政側に提示することが協会の役目であるとした。

引き続き、社保・学術部長の加藤開副会長が、今回の改定のポイント、注意点などを説明、解説した。本橋昌彦理事が症例をもとに歯管の口腔管理加算や診療情報連携共有料、高強度硬質レジンブリッジ、訪問診療の算定などについて説明を加えた。質疑応答には、島倉洋造・川本弘各社保・学術部員があたった。

なお、今回は、歯科関連専門誌3社の取材を受けている。

会場壇上から参加者を外観

会場後方からステージを臨む

2階席からの遠望

 

 

 

 

 

歯学部・歯学科の留年と休学者割合を公表

歯学部・歯学科の留年と休学者割合を公表

文部科学省はこのほど、2015~2017年度における「歯学部(歯学科)における留年・休学者の割合」を取りまとめた。

それによると、直近の29年度の場合でみると、国立大学の休学・留年率は14.7%、公立大学は9.4%、私立大学21.9%となっており、これら合計では19.8%となっていることが分かった。休学、留年別の数値は公表していない。また、卒業できなかった学生数、卒業はしたものの結果的に歯科医師国家試験に合格できないものの数値は不明だ。

主な数値は、以下の通り。

表  2015~17年度 歯学部(歯学科)における留年・休学者の割合

年 度

国立大学合計

公立大学合計

私立大学合計

国公私立大学合計

2015

14.7%

11.2%

23.4%

21.0%

2016

14.0%

  9.2%

23.5%

20.9%

2017

14.7%

  9.4%

21.9%

19.8%

 

歯科衛生士・歯科技工士国家試験の合格者を発表

歯科衛生士・歯科技工士国家試験の合格者を発表

厚生労働省は3月28日、第27回歯科衛生士国家試験の合格発表を行った。試験そのものは3月4日に実施されている。それによると、受験者数(新卒・既卒)7374名、合格者数7087人となり、合格率は96.1% となっている。

また、同日行われた歯科技工士国家試験については、受験者数952名、合格者数902名 、合格率は94.7% となっている。

歯科診療報酬改定で第1回新点数説明会/1200名が参加

 

歯科診療報酬改定で第1回新点数説明会/1200名が参加

協会は、本日3月27日、なかのZERO大ホールで、2018年度歯科診療報酬改定新点数説明会を開催した。参加者は1198名に及んだ。

冒頭、まず挨拶に立った坪田有史会長は、今次改定で、厚生労働省は臨床への評価を行っており、その点は評価できるとした上で、施設基準と届出の多さは並大抵ではないが、院内感染防止対策の施設基準は、協会のすべての会員の先生方に届出をしてほしいと考えていることを強調。協会として「対応した研修会も企画、準備している。ぜひ参加して届出してほしい」と強調した。さらに、「各歯科診療所にこれからどのような方向性をもって進んでいくのかが、いま、問われている」と述べた。また、「会員歯科医師各員の意見を吸い上げ、行政側に伝える。それが協会の役目」とし、今後の協会活動への協力を求めた。

 

 

 

 

 

◆今次改定の特徴点

続いて、社保・学術部長の加藤開副会長が今次改定の解説を行い、その特徴・として、①院内感染予防対策が導入された、②医科歯科連携が進んだ、③子どもからお年寄りまでの管理が進んだ、④新規技術の導入が図られた、⑤施設基準がさらに広がった―などを挙げ、協会の分析に基づく解説を加えた。

◆感染対策施設基準は9月までに届出を

さらに、初・再診料等に新たに導入された院内感染予防対策の施設基準は、「本年9月末までに届出を行う」ものである点に注意を喚起。ただし、「講習については来年3月末までに受講すればよいため、あわてる必要はない」とし慌てず、忘れずに届出を行うよう求めた。

◆新たな病名により口腔管理の評価広がる

また、新たな病名が入ったことにより、15歳未満を対象とした小児口腔機能管理加算と65歳以上を対象とした口腔機能管理加算が導入された点を指摘し、「子どもやお年寄りへの口腔管理に活用してほしい」と説明した。

◆その他の留意点

加藤副会長に続き、本橋昌宏理事から症例をもとに歯管の口腔管理加算や診療情報連携共有料、高強度硬質レジンブリッジ、訪問診療などの算定について、具体的に説明を行った。

会場からは院内感染防止対策の届出に必要な機器や届出を行う時期について、再届出が必要な施設基準などについての質問が多く寄せられ、濱﨑啓吾理事と岡田尚彦社保・学術部員から回答を行った。

2018年度新規開業医講習会 7月1日(日)開催決定!!

2018年度の新規開業医講習会が来たる7月1日(日)に開催することが決まりました。開催実施要領は下記の通りです。ぜひ、ご参加ください。

新規指導から日常の診療まで、必要な内容を1日に凝縮して分りやすく説明します。

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理事会声明「歯科医療機関の機能分化が進む2018年改定/患者の受ける医療にも格差が広がる」/機関紙2018年3月1日号(№577)3面掲載

理事会声明「歯科医療機関の機能分化が進む2018年改定/患者の受ける医療にも格差が広がる」/機関紙2018年3月1日号(№577)3面掲載

厚生労働省は3月5日、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」等関連通知を発表した。その内容は、地域包括ケアシステムへの対応が中心となり、日常的な診療行為への評価は、組み替えや変更などが目立ち、引き上げも僅かな点数に止まった。長年、不採算と言われてきた処置や補綴などは改善には程遠い改定となった。

協会は改定に向け現場からの要望をまとめ、数次にわたり厚労省に要請を行ってきた。その結果、日常診療で診療内容の情報共有が進むよう診療情報連携共有料が新設されたことなど、現場の声が反映された項目も複数見られる。また、小児や高齢者に対する口腔機能管理が新設されたこと、歯科衛生実地指導料の対象患者の拡大など今後の診療の広がりが期待される。

一方で、歯科医療機関の機能分化、格差拡大が進行した。

在宅療養支援歯科診療所(歯援診)やかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準が強化され、機能分化が図られた。

施設基準には訪問診療や紹介の実績が盛り込まれ、外来診療中心の医療機関ではとても届出を行うことはできない。成果・ノルマを課すようなやり方は問題である。

また、施設基準の届出を行うためには、機材や人員確保が必要となる。元々小規模な歯科にとって、新たな投資は重荷だ。昨年発表された医療経済実態調査にも表れているように、多くの歯科医療機関の経営は厳しい。体力の有る無しで患者に提供できる医療内容に差があってはいけない。医療機関間の格差は、通院している患者の格差にも通じる。

今次改定では、新たに初・再診料に院内感染防止対策が包括され、施設基準が設けられた。

通常の施設基準は、届出を行えばプラスの評価がされ点数が加算される。しかし今回、届出を行わない場合は、初・再診料が減算となる施設基準が導入された。施設基準を懲罰的に使うことには反対である。

また、設定された点数はコストに対してまったく足りていない。必要な金額よりもはるかに低い金額で導入し、実施責任のみ医療機関に押しつけるやり方は問題である。医療保険制度で行われる感染防止対策は、保険財源で必要なコストを賄うべきであり、改めて別立てによる評価を求めたい。

さらに、歯科の地域包括ケアシステムへの組み込みが進んだ。地域包括ケアシステムは、概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を一単位として想定されている。今後、地域に増加する高齢者を支えるうえでも、地域包括ケアシステムへの歯科医療機関の参画は必要だ。

しかし、ハードルが上げられた歯援診やか強診が中心となるため、多くの医療機関ではシステムに参画することが困難となっている。

歯援診の強化とともに、歯科訪問診療料等が変わった。訪問歯科衛生指導料の算定単位を「単一建物」にしたことで、月末を迎えるまでは患者への請求金額が定まらないこととなった。「単一建物」で1名のみ診る予定だったが、月末に複数名になった場合など、患者に説明していた金額が変わる。現場が混乱するだけである。

また、20分未満の算定が不可となることで、訪問診療を支えていた歯科衛生士の雇用を支えきれなくなることも心配である。

歯科訪問診療に関する点数は1988年の導入以来、考え方や点数が何度も変わり今日に至っている。さらに、高齢者が増加する中で安定して歯科訪問診療を推進する方針であるならば、改定の度に算定方法や考え方が変わらないようにすべきだ。

今年、政府はさらなる患者負担増を行おうとしており、患者が必要な歯科医療を受けられなくなることが懸念される。経済的な理由で医療機関に行けない患者があってはならない。歯科医院の経営改善と患者負担増を止めることは、歯科においての喫緊の課題である。 協会は、患者が安心して歯科医院に通えるように、引き続き歯科医療費の総枠拡大とともに、患者負担増反対に向けた運動を推進していく。

2018年3月8日

東京歯科保険医協会

第22回理事会

第111回歯科医師国家試験合格者は2039名/合格率は全体で64.5%、新卒は77.9%に

 

 

第111回歯科医師国家試験合格者は2039名/合格率は全体で64.5%、新卒は77.9%に

厚生労働省は本日3月19日、第111回歯科医師国家試験の合格者を発表した。試験そのものは本年2月3~4日の2日間にわたり実施されている。

今回の歯科医師国試は全体では出願者数3721名(うち、新卒者は2469名)、受験者数3159名(同1932名)、合格者数2039名(同1505名)となっており、合格率は64.5%で、新卒のみで見ると77.9%となっている。

◆合格者数は3年ぶりに2000名を上回る

合格者数は3年ぶりに2000名を上回ったが、合格率は前回を0.5ポイント下回る結果となっている。

また、大学別の合格率をみると、出願者数と実際の受験者数の違いがあるものの24.3%から95.0%までと、かなりのばらつきを見せている。国公立大学で最も合格率が高かったのは東京医科歯科大学歯学部の92.7%で、私立大学では東京歯科大学の95.0%となっている。

合格状況を設立主体別にみると、国公立大学12校は出願者数823名、受験者数811名、合格率は78.3%となっている。同様に私立大学をみると、2884名、2335名、1400名、60.0%というい状況だ。

◆女性の合格者数は877名で全合格者の43%占める

一方、男女別の合格状況をみると、男性は受験者数1924名、合格者数1162名、合格率60.4%となっている。同様に女性は、1235名、877名、71.0%となっている。女性の合格者は全合格者数の43.0%を占めている。

歯科診療報酬改定や学校歯科治療調査結果報告めぐり意見交換/第67回メディア懇談会を開催

 

歯科診療報酬改定や学校歯科治療調査結果報告めぐり意見交換/第67回メディア懇談会を開催

協会は本日3月9日、協会会議室で第67回メディア懇談会を開催した。参加者は5社5名。話題提供と説明は、社保・学術部長の加藤開副会長、司会は早坂美都広報部長が務めた。

話題は、今次歯科診療報酬改定をめぐる内容で、特に院内感染防止対策と施設基準、およびそれに伴う初診・再診料について。また、診療不報酬改定に関する中医協の「答申」内容と、これを受けての協会の政策委員長「談話」についてを中心に、3月4日に発表し、日本歯科新聞3月6日号1面に掲載された協会地域医療部の「学校歯科治療調査報告書」も取り上げ、加藤副会長が説明を加えるとともに、参加者からの意見を伺った。

社会的にも問題になった、経済格差による受診との関係については、「ほとんど子どもの受診には、窓口負担で受診率の相違が出ており、子ども口腔環境に影響が関係があると想定でき、改めて“窓口負担”の問題を考える、子どもに対する窓口負担の全額助成を行い、懸念することなく子どもが歯科受診できるようにすることが必要」と説明した。

出席したマスコミ側からは、「自分の小学校時代は、学校で歯科の健康については『歯磨きが大事』程度の指導しかなかった。学校歯科の問題もあるのではないか」「成人になってからは健康意識を培うのは難しく、幼少時代に適正な歯科口腔保健の指導・教育が必要」「歯科と健康、医療保険制度、年金保険制度などについて、中学校や高校の『保健』の授業では、ほとんど教えていないのではないか。そこをきちんと教える時間を設けるよう、行政に要請してはどうか」などの意見が出された。

加藤開副会長

 

 

 

 

 

 

 

2018年度診療報酬改定の通知などが発表

 3月5日に厚労省は2018年度診療報酬改定に関する通知などを発出した。

院内感染防止対策の施設基準の新設や外来環・か強診・歯援診の施設基準

の見直しが行われる。また、管理料の加算として小児や高齢の患者に対する

口腔機能管理の点数が新設された。

 また、訪問診療では、歯科訪問診療料の急性対応加算を廃止し、

切削器具の携行を算定要件化。さらに、訪衛指は1対1で20分以上の要件を課し、

新たに単一診療患者の人数により3つに区分する。

 協会では、3月27日と29日に新点数説明会を開催する。会員におかれては

ぜひご参加を頂きたい。

 

歯科点数表(告示)はこちらから

歯科点数表(通知)はこちらから

施設基準(医科歯科 基本診療料関係・通知)はこちらから

施設基準(医科歯科 特掲診療料関係・通知)はこちらから

 

 

 

 

学校歯科治療調査 東村山市学校保健養護部会で概要報告!

2018年2月16日、東村山市役所にて、東村山市学校保健養護部会が開催され、当会で取組みを進めている「学校歯科治療調査」について、公表に先駆け、橋本健一地域医療部担当理事が概要を報告し、意見交換を行った。

 学校歯科治療調査は、東京都の子どもの口腔内状況を把握するとともに、調査結果を活用し、都内の子どもたちが安心して歯科医療を受けられる体制を広げていくことを目的に取組んでいるもの。2017年10月末から2017年12月15日に東京都内全域の小・中学校2127校にアンケート票を配布し、489校(回収率23.0%)から回答が寄せられた。

 今回は、特別な計らいで、学校保健養護部会にて報告の時間を作っていただき、調査の概要と集計の概要について速報を報告し、実際の現場の状況や、歯科検診や歯科受診に対する意見、アンケート集計への意見などを伺った。

 アンケート集計では、区市町村による医療費助成のある地区(23区・武蔵野市・府中市・日の出町・檜原村・奥多摩町。以後23区等)と市町村による医療費助成のない地区(23区等を除く市町村。以後多摩地区)を比べると、多摩地区の小学校が10%程度歯科検診後の受診率が低いことや、子どもの口腔内へは、経済的貧困や家庭の問題、環境など様々な要因が絡み合って影響を及ぼしていると考えられることなどを報告した。

 意見交換では、「中学1年生の全生徒に対し、4月と2月に口腔内写真を撮って比較しているが、口腔内状態が悪化する生徒が1~2名いる。受診勧告はしているが、受診が続かなかったり、春の受診勧告を1月まで持ち越していたりする」「昼食後の歯みがき指導に取り組んでいる」「歯科検診を春と秋の年2回行っている学校と、春のみで年1回の学校とでは、結果が違うのか調べてほしい」「窓口負担や保護者の意識をすぐに変えるのは難しいが、保健指導は改善の余地があるのではないか」「歯垢の染出しは体に影響があるのではないかと敬遠する保護者もいる。実際に影響はないのか」「歯科医院で虐待やネグレクトの疑いが発見された場合、歯科医はどのように対応するのか」などが出され、橋本理事から「法定検診は春のみであり、秋は各学校の裁量に任されている。保健指導は学校歯科医の協力で改善できるところであり、学校歯科医に要望を挙げて欲しい。歯みがきはインフルエンザの予防にも有効である。昼食後の歯みがき指導はぜひ続けてほしい。染出しは年に1~2回行う程度であれば体への影響はないと思う。ただ、無理強いはできないので、保護者にはご理解いただくしかない。虐待やネグレクトの疑いを見つけたら、児童相談所や包括支援センターなどに連絡するよう、各医院で体制をとっている」など、回答した。

 学校歯科治療調査報告書全文は協会ホームページに掲載している。ぜひご覧頂きたい。


左)東村山市教育委員会教育部学務課 森脇孝次 課長
右)東京歯科保険医協会 橋本健一 理事

 

日本歯科大学新潟生命歯学部が歯科訪問診療専門の「日本歯科大学在宅ケア新潟クリニック」を開設へ/オープンは4月の予定

日本歯科大学新潟生命歯学部が歯科訪問診療専門の「日本歯科大学在宅ケア新潟クリニック」を開設へ/オープンは4月の予定

日本歯科大学新潟生命歯学部は、新たに歯科訪問診療を専門に行う「日本歯科大学在宅ケア新潟クリニック」を三条市須頃に開院する。開院は本年4月の予定だ。すでに地元新潟県内の新聞やテレビなどでは紹介されており、注目されている。

医療法の規定に基づき、同診療所から半径16キロ以内の三条市、燕市、加茂市、見附市、長岡市、新潟市西蒲区がその範囲に入る。同市内で通院が困難な高齢者や障がい者がを対象になる。診療の現場には、歯科医や歯科衛生士のほか、学生も同行して教育の場としても活用する方針という。診療は平日の午前10時~午後4時になる予定。

同大は、すでに東京都花小金井市内に、摂食不良や嚥下問題、会話機能などにも対応する「口腔リハビリテーション多摩クリニック」(菊谷武診療所長)をスタートさせ、歯科医療界の注目を集めている。

政策委員長談話「歯科の役割が発揮できず、細かすぎて混乱を生む改定」/機関紙2018年3月1日号(№576)1面掲載

 

政策委員長談話「歯科の役割が発揮できず、細かすぎて混乱を生む改定」

◆コストを考慮しない院内感染防止対策の評価

 次期改定では、院内感染防止対策の施設基準を新設するが、初・再診料や歯科訪問診療料などの基本診療料を算定するために、施設基準の届出を必要としたのは問題である。包括して評価するのではなく、別項目を作り評価すべきだ。

 2007年7月18日、中医協診療報酬基本問題小委員会での「平成18年度医療安全に関するコスト調査業務」では、外来患者1人1回あたりの院内感染防止対策に必要なコストは、有床診療所並みの268.16円とされている。今回の引き上げはそれには遠く及ばない額であり、さらなる引き上げを要求する。

◆継続管理できない患者を生むか強診・歯援診見直し

 地域包括ケアシステムの構築のため診療情報連携共有料が新設された。これにより、患者の服薬状況などの情報提供を医科に依頼しやすくなった。医科歯科連携を推進する観点から、協会が繰返し厚労省へ要望した内容の反映であり、評価したい。

 しかし、か強診や歯援診は、施設基準に、訪問診療、SPTおよびエナメル質初期う蝕の管理などの算定実績や多職種連携に係る会議への参加などの地域連携に関する実績が追加され、要件が一段と厳しくなった。届出をできるところとできないところの差がはっきりし、選別が図られた。 

 2年の経過措置があるとはいえ、改定前のか強診や歯援診の歯科医療機関が全て新しい要件を満たせるかは不透明である。特に、新しいか強診の施設基準を届出できない場合は、SPT(Ⅱ)で診ていた患者の継続管理ができなくなり、国に対策を求める。

◆口腔機能管理加算のハードルが高く患者に提供できない

 また、口腔機能の評価として老化などにより口腔機能が低下した患者に対する口腔機能管理加算が新設された。疾病構造の変化に対応した評価ではある。しかし、答申で示された算定要件は、学会の診断基準より厳しく舌圧検査、咬合圧検査、咀嚼能力検査などを行うことが必須条件とされている。高価器材の購入を施設基準や算定要件にする手法には違和感を覚える。学会の基準を超えた過度なハードルを課し、患者に提供できない問題を生むことには反対である。

◆医療費削減をやめ役割が発揮できる改定を

 全身麻酔下で手術を行う場合は口腔管理がスタンダードになりつつあるなど、歯科が果たすべき役割が大きくなっている。改定では医科歯科連携が評価された。

 しかし、医療費削減政策で歯科の改定率はわずか0.69%に留まっており、その結果新しい項目ができても算定要件には高いハードルが課せられ、多くの医療機関では取り組めなくなるなど歯科の役割が発揮しづらい改定内容になっている。また、点数表も細かく複雑になり、混乱を生じかねない。

 本談話は、必要な患者に歯科医療を提供する視点から、適切な改定を求めるものである。

2018年3月1日

東京歯科保険医協会

 政策委員長 松島良次