年別アーカイブ: 2015年

全身疾患を有する患者のリスクと口腔ケア について周術期研究会開催

全身疾患を有する患者のリスクと口腔ケアについて周術期研究会開催

2月10日、文京シビック小ホールで周術期研究会を開催いたしました。講師には、片倉朗 氏(東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座教授)をお招きし、「患者のリスクを適切に判断して安全な口腔機能管理を提供しよう」をテーマに講演いただきました。

講演では、2025年の超高齢化社会に向け有病者やその予備軍に対する歯科医療のニーズを紹介するとともに、有病者の患者のリスクや臨床検査データの基礎知識とポイントについて説明された。

また、周術期における対診書の記載のポイントや支持療法としての口腔ケアの重要性も触れられた。協会では周術期口腔機能管理の推進のためポスターを作成し、患者への啓蒙を呼び掛けている。ぜひ、お手元にない先生はホームページよりダウンロードし活用いただきたい。

在宅療養支援歯科診療所の講習会「高齢者歯科医療を支えるために」を開催

在宅療養支援歯科診療所の講習会~高齢者歯科医療を支えるために~

2015年2月7日(土)15時~19時、協会会議室にて、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の講習会「高齢者歯科医療を支えるために」を開催し、28名が参加しました。

はじめに、挨拶に代えて馬場安彦地域医療部長により、「高齢化の状況と歯援診の役割」の題で、歯科をとり巻く全体の状況と歯援診の果たすべき役割について説明しました。次いでがん・感染症センター都立駒込病院歯科口腔外科部長の茂木伸夫氏が「緊急時の対応」として、誤飲・誤嚥の対策、BP製剤やワーファリンなどを服用している患者への対応、病院との連携について症例を多く用いて解説しました。首都大学東京副学長の繁田雅弘氏からは「高齢者の心身の特性とその対応」として、近年爆発的に増加している認知症患者を中心に、特徴と対応を解説。シンプルな説明、対応を心がけてほしいと呼び掛けました。最後に当協会副会長の森元主税氏から「口腔機能の管理」について、実際の歯科訪問診療の実例をもとに解説しました。他職種との連携を図ることで、全身的な状況が見え、患者1人1人にあった管理計画が立てられると述べました。

 2025年の超高齢社会に向けた地域包括ケアシステムの構築に伴い、在宅療養高齢者の支援はますます求められていきます。この講習会は歯援診の施設基準の届出に使用できる講習会ですが、施設基準の届出に関係なく、高齢者歯科医療に携わる方には是非聞いて頂きたい内容です。次年度も開催する予定なので、地域を支える会員の先生方にはご参加下さい。開催日程などは、決定次第、HPや機関紙の研究会・行事のご案内に掲載していきます。

なお、修了証を希望された先生には、2月13日に発送しました。

確定申告のポイントと 増加しつつある税務調査の対応を解説/2014年分確定申告対策研究会

確定申告のポイントと 増加しつつある税務調査の対応を解説/2014年分確定申告対策研究会

 

2月2日、協会会議室で2014年分確定申告対策研究会を開催。18名が参加した。講師は協会顧問税理士の荒川俊之氏。今回の所得税制改定の変更点としては、4段階経費率の特例(措置法第26条)について、自費を含めた収入金額が7千万円を超える方が除外される。つまり、歯科医業に係る収入金額の合計額が7千万円を超えると社会保険診療報酬が5千万円以下であってもこの特例は適用できなくなるというものだ。

また、2年前には、国税通則法が改正され、税務調査において、11項目の事前通知を行うことが法律で定まった。これらの項目すべてが事前に通知されなければ、調査をすることができない。そのための正しい対応方法についても詳しく解説し、荒川氏は「新しい法律の下、税務調査は本格化してきた。今年も税務調査は増える」と語った。講習会は、確定申告の留意点だけでなく、税務調査にも言及し、充実した講習会となった。

院長とスタッフで考え、実行する「患者定着術」とは?/第5回ドクター・スタッフ講習会「スタッフと患者さんの定着を目指して」

第5回ドクター・スタッフ講習会 

☆テーマ 「スタッフと患者さんの定着を目指して」

◆内 容 歯科医院繁栄のため、スタッフの定着は欠かせない課題です。そして盤石なスタッフの体制を築き、院長のリーダーシップのもと、スタッフ全員が確固たる医療理念を実践してくことで、患者さんはその歯科医院のリピーターとなるだけではなく、新たな患者を呼びこむ存在にもなってくれます。そこで、「温もりの医療を伝える」をモットーに、スタッフとともに患者を医院のファンにする取組みを永年にわたって実践してきた講師に、その奮闘ぶりを講演していただきます。

◆日 時 2015年2月25日(水) 午後7時~午後9時

◆講 師 関口武三郎 氏(横浜市開業、神奈川県保険医協会理事)

◆会 場 文京シビック小ホール

        住所:文京区春日1-16-21

◆交 通 東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅4bまたは5番出口徒歩3分、都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅(文京シビックセンター前)、JR中央・総武線水道橋駅徒歩8分

◆参加費 会員無料(同伴者は1名につき1000円)

◆予約不要 当日は会員証を受付にご提示ください。

★当日は先着160名様に関口先生の著書「はははの新聞」を進呈します!

※お問合せは、電話03―3205―2999(経営・税務・スタッフ教育部)まで。

文京シビックホール最新地図250pix

周術期研究会

周術期研究会

☆テーマ 患者のリスクを適切に判断して安全な口腔機能管理を提供しよう

◆内 容  先生方の診療室に通院されている患者さんで、御高齢の方の多くは診療に際して注意を払わなくてはならない何らかの内科的な問題点をお持ちです。在宅で歯科 診療を受ける患者さんはさらに多くのリスクを抱えています。問診票、お薬手帳、検査データ、照会状などから患者さんの多くの情報を得ることが可能です。今 回はそれらの問題点をどのように評価して、安全で質の高い口腔ケアを実践するかを説明いたします。講演では以下 の内容を予定しています。(講師)
  ・全身状態と予備力は何から評価できるか
  ・臨床検査データの見方と評価
  ・要介護者やがん患者の口腔機能管理で何を行うか

◆日 時 2015年2月10日(火) 午後7時~9時30分

◆講 師 片倉朗 氏(東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座教授)

◆会 場 文京シビック小ホール(地図は下記参照)
      住所:文京区春日1-16-21

      電話:03-3205-2999

◆交 通 東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅、都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅(文京シビックセンター前)、
      JR中央・総武線水道橋駅

◆参加費 会員無料(同伴者1名につき1,000円、未入会員8,000円)

◆予約不要 当日は会員証を受付にご提示ください。

※2014年度日本歯科医師会生涯研修3単位の登録を予定しています。

文京シビック

 

 

 

新型インフルエ ン ザによる休業と賃金の扱い/機関紙2015年2月1日号(№539号)より

新型インフルエ ン ザによる休業と賃金の扱い/機関紙2015年2月1日号(№539号)より

質問① 新型インフルエンザに罹患して休業した従業員はいつごろ復職させればよいか?

回答① 基本的に、熱などの症状がなくなってから2日目までが外出自粛の目安といわれています。しかし完全に感染力がなくなる時期は明確でないことから、可能であれば発症した日の翌日から7日を経過するまで外出を自粛することが望ましいとされています。もちろん、復職については医師の指導が前提であると考えられます。なお、季節性のインフルエンザの場合、学校保健安全法施行規則第19条で「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」を出席停止と定めており、こうした基準を参考にして医院の実情に合わせてご判断ください。医院において、こうした基準を踏まえて休業と復職の取り決めを予め定めたほうがよいでしょう。

なお、感染の機会を減らすため、従業員に手洗いやうがい、マスク着用、咳エチケットの周知、診療所の清掃を徹底することが望ましいでしょう。

 

質問② 新型インフルエンザに罹患した従業員が休んだ場合、賃金等についてどのようなことに注意したらよいか?

回答② 新型インフルエンザにより、医師等の指導で労働者が休業する場合は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられます。したがって、医院での病気休業の取り決めに則って対応することが考えられます。

例えば、年次有給休暇を取得して療養してもらったり、あるいは「特別の休暇」として無給でありながら欠勤扱いにしない、などの対応が考えられます。

前記の回答①で触れたインフルエンザによる休業・復職の取り決めを定める際にはその期間の賃金の取り扱いも合わせて定め、実際に休業者が出る前に労使双方で合意しておいたほうがトラブルの防止につながるでしょう。

 

質問③ 発熱があり、新型インフルエンザかどうか未確定の時点で休業した場合や、同じ職場の従業員(または家族)が感染したが従業員本人に症状は出ていない状態で、念のため休ませたような場合、賃金等の取り扱いはどうなるか?

回答③ 新型インフルエンザかわからないが発熱があるので従業員が自主的に休む場合は、前記の回答②と同様、医院の病気休業の取り決めに則って対応してください。

一方で、例えば37℃以上の熱があることなど、一定の症状があることで一律に休ませるなど、医院側の判断で従業員を休ませるような場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、労働基準法で定められた休業手当の支払いが必要です。また、感染者と近くで仕事をしていたがインフルエンザ様症状がない従業員を医院側の判断で休ませた場合も同様です。なお休業手当は原則として平均賃金の60%以上とされています。

※参考:厚生労働省「新型インフルエンザ(A/H1N1)に関する事業者・職場のQ&A」(平成21年10月31日)。厚生労働省ホームページ「インフルエンザQ&A」ほか。

納得のいかない減点には再審査請求を/再審査請求書はこちらからダウンロードできます

納得のいかない減点には再審査請求を/再審査請求書はこちらからダウンロードできます

 

◆再審査請求しないと非を認めたと見なされる

納得がいかない減点に対し、医療機関には減点された点数を復活できるよう再審査を申し出る権利が認められている。これを「再審査請求」という。支払基金や国保連合会では、この申し立てを元に再度審査を行い、認められれば減点した点数を復活させる処理をする。

一方で、「減点の額がわずかなので再審査請求をするのは面倒だ」との理由で再審査請求をしない声も聞かれる。しかし、点数の額に係らず納得いかない減点を再審査請求せずに放置すると、医療機関側が請求の間違いを認めたと判断されてしまう。

協会への相談でも、過去に減点があり額がわずかなため再審査請求をしなかったところ、その後同様の請求について返戻ではなく、1次審査で減点された事案もあった。納得いかない減点を再審査請求しておかなければ、審査側の偏見や先入観を是正できず減点が増えていく可能性がある。

 

◆再審査請求の進め方

 再審査請求は、社保であれば支払基金に、国保・後期高齢者であれば国保連合会に「再審査請求書」を郵送することで行う(用紙は支払基金用・国保連合会用で異なる)。提出日に定めはなく随時受付している。

 再審査請求後の結果は「再審査等支払・請求調整額通知票」「再審査結果連絡書(通知書)」により文書で通知される。点数の復活が認められた場合は増点の内容が記載され、復活が認められなかった場合は「原審通り」と記載される。なお支払基金や国保連合会がレセプトを保険者から入手してから再審査をするため、結果が出るまでには若干の期間を要する。

 

◆再審査請求書の入手(下記より請求書をダウンロードできます。ご利用ください)

(1)支払基金用(社保の患者の場合に使用)

①再審査請求書:PDF画像の拡大とダウンロードはここをクリック!! PDF拡大縮小の「+」「-」ボタンをご活用ください

②再審査請求書・作成要領:PDF画像の拡大とダウンロードはここをクリック!! PDF拡大縮小の「+」「-」ボタンをご活用ください

(2)国保連合会用(国保・後期高齢者の患者の場合に使用)

③再審査請求書:PDF画像の拡大とダウンロードはここをクリック!! PDF拡大縮小の「+」「-」ボタンをご活用ください

④再審査請求書・作成要領:PDF画像の拡大とダウンロードはここをクリック!! PDF拡大縮小の「+」「-」ボタンをご活用ください

(3)参考

・支払基金関係ページ(再審査関係・医療機関等からの請求)

http://www.ssk.or.jp/yoshiki/yoshiki_06.html

・国保連合会関係ページ(診療(調剤)報酬明細書等再審査・取下げ依頼関係)

http://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/insurance/request/

厚生労働省が「認知症施策推進総合戦略」まとめる/歯科の役割にも言及

厚生労働省が「認知症施策推進総合戦略」まとめる/歯科の役割にも言及

 

厚生労働省は1月27日、『認知症背作推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~』を取りまとめ、発表した。

この中では、我が国における認知症の人の数は2012年で約462万人、65歳以上の高齢者の7人のうち1人が認知症と推計。正常と認知症の中間状態の経度認知症については約400万人と推計。認知症と経度認知症を合わせると、65歳以上の高齢者の実に4人に1人が認知症またはその予備軍としている。しかも、2025年には認知症の高齢者は約700万人前後になるとの見通しを示している。

この認知症戦略では、認知症国家戦略として7項目を提示している。具体的には、①認知症理解を深めるための普及・啓発推進、②容態に応じた適切な医療・介護などの提供、③若年性認知症施策の強化、④介護者への支援、⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進、⑥予防法や診断法、治療法などの研究開発とその成果の普及推進、⑦認知症の人や家族の視点の重視―である。

◆歯科医師と歯科医療に関する指摘

認知症戦略の中で、特に歯科関連内容に目を向けると、上記②の中で、「かかりつけ医機能に加えて地域の医療機関、認知症疾患医療センター地域包括支援センター等との日常的な連携を有する歯科医療機関や薬局も認知症の早期発見における役割が期待される」としているほか、「歯科医師等による口腔機能の管理や薬剤師による服薬指導等を通じて~認知症の疑いがある人に早期に気付き、かかりつけ医等と連携して対応する~」との目標を掲げている。そして、その目標を実行力あるものとするため、「歯科医師や薬剤師の認知症対応力を向上させるための研修の在り方について検討」することとしている。ただ、具体的な構想は明記されておらず、歯科の役割は今ひとつイメージしにくいことは否めない。

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本年4月の統一地方選挙における歯科医師候補者は5氏

本年4月の統一地方選挙/東京都内では歯科医師5氏が候補者の予定

本年4月に統一地方選挙が行われる。東京都でも23区および26市3町1村の議会議員の選挙が行われる。この統一地方選では、歯科医師出身の現職議員5氏が立候補する予定(下記に名簿。五十音順、敬称略)。

【歯科医師からの立候補予定5氏】

・安部弘幸/自民党、世田谷区

・飯田倫子/自民党、目黒区

・石川義弘/自民党、台東区

・国枝正人/新選・文京、文京区

・永沼克之/自民党、北区

他方、歯科医師ではないが、歯科技工士・歯科衛生士からも、以下の現職2氏の立候補が予定されている。

【歯科技工士・歯科衛生士からの立候補予定2氏】

・庄野剛志/歯科技工士、自民党、江東区

・石田ちひろ/歯科衛生士、共産党、品川区

なお、最近の自治体の首長の選挙の中で注目されるのは、本年1月18日に投開票された千葉県我孫子市の市長選挙では、歯科医師の星野順一郎氏が当選し、3選を果たしていることが注目されている。

知的マネー講座~今こそムダなく賢い準備/共済研究会を開催します

知的マネー講座~今こそムダなく賢い準備/共済研究会を開催します

マネーの基礎知識から、賢い保険選びの方法、公的保障、老後に必要な金額など、初めての方でも即実践できることを分かりやすく学べる講座です。今回は有名企業でセミナーを行う人気講師・溝渕麻理氏をお招きします。ぜひ、ご家族やスタッフをお誘い合わせの上、ご参加ください。もちろん、お一人でも大歓迎です。この機会をお見逃しなく。

開催要領は以下の通りです。ぜひ、ご家族・スタッフの方々もご一緒にご参加ください。

◆日 時 2015年2月19日(木) 午後7時~9時
◆講 師 溝渕麻理氏 ファイナンシャルプランナー〈CFP〉
◆会 場 東京歯科保険医協会・会議室(新宿区高田馬場1-29-8新宿東豊ビル6F)
◆交 通 JR,東京メトロ東西線高田馬場駅から徒歩5分
◆定 員 50名
◆対象者 会員、ご家族、スタッフ無料
◆要予約 事前にお電話でご予約ください。03-3205-2999(担当:共済部)

☆講師プロフィール

ファイナンシャルプランナー〈CFP〉。三菱信託銀行、人材派遣会社等を経て、100ten schoolの講師となり、日本航空、リクルート、日本生命保険、メットライフ生命、SBI証券、パソナ、千趣会、銀行等、幅広い分野におけるセミナー講師として活躍。仕事とお金の双方の見地から実現可能なマネープラン、金融商品・保険商品の選び方まで、分かりやすい解説を得意とする。

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「会員の実態と意識調査」の詳細内容を中心に/通算第49回メディア懇談会を開催

「会員の実態と意識調査」の詳細内容を中心に/通算第49回メディア懇談会を開催

2015年1月9日、協会会議室において2014年度第5回メディア懇談会を開催(通算49回目)。通算ではメディア側の参加は3社・3名。協会からは矢野正明副会長、司会として広報部長の坪田有史理事および事務局が参加した。

今回の主な話題は、「会員の実態と意識調査」の詳報などが中心であった。

会員の実態と意識調査についての懇談で「都内の歯科衛生士の不足」について、数年続けても仕事にやりがいを感じられずに辞めてしまう人が多い、歯科衛生士の雇用は歯科界全体が組織的に本腰を入れて取り組むべき課題ではとの意見が出された。東京都の予算で日本歯科衛生士会が,何らかの理由で仕事を辞めてしまった歯科衛生士に対して再雇用の講習会を行っていることも紹介されたが、公的な就業支援がまだまだ補完されていない現状であるとの指摘もあった。

その他、「衆議院選挙後に公表した政策委員長談話」「秋の署名活動の状況」や「中医協の森田会長のインタビュー関連余話」についても取り上げられた。

「会員の実態と意識調査」アンケート結果を集計/5年に1度の調査/ 詳細はPDFをご覧ください

「会員の実態と意識調査」アンケート結果を集計/5年に1度の調査/ 詳細はPDFをご覧ください

 

協会が昨年8月に実施した「会員の実態と意識調査」に対して、791名の会員の先生方から回答が寄せられました。

協会ではその後、回答の集計を行うとともに、会員の診療・経営状況や、活動や個別課題に対する意識状況について1月9日までに検討を加えました。協会で指定しました個別項目のほか、「自由意見」欄にも多くの意見が寄せられました。今後は、理事会や各専門部で真剣に議論し、活動に生かします。

【主な特徴点】

◆経営の苦しさは前回よりも7ポイント減少

回答者の75%が1人での診療で、歯科衛生士がいないところは32%であった。また、「以前と比べた医業経営の状態」は、「苦しくなった」が54%と最も多く、「変わらない」が37%、「楽になった」が6%となった。しかし、「苦しくなった」は前回61%であったものが7ポイント減少した。

そのほか、「昨年と比べた今年6月の収入」も同様の傾向であった。具体的には、「減収した」45%、「増収した」19%、「変わらない」31%となっており、減収の原因は「患者の減少」が45%と最も多く、「不況の影響」18%が次いだ。自費診療収入金額(年額)は「百万円未満」24%が最多で、「100~300万円未満」の16%がそれに次いでいる。現在の自費収入は「減少している」46%が、前回より4ポイント増加したほか、「変わらない」33%、「減っている」11%であった。

◆75%が訪問診療せず

訪問診療の実施の有無に関しては、「していない」が七五%で実施しているところでは「1~5回未満」が16%であった。訪問診療を実施していない会員は、この10年で12ポイント増加した。訪問診療を実施していない理由は、「時間がない」58%、「依頼がない」40%であった。

◆「仕事に生きがい」が改善

さらに、「仕事への生きがい」については「感じている」が56%と最も多く、「感じていない」18%を大きく上回った。

協会への「これからの要望」では「歯科医療の現状を世間に訴える」が最も多く、次いで「歯科医師の身近な問題に取り組む」が多かった。

「会員の実態と意識調査」アンケート結果を集計/5年に1度の調査/ 詳細はPDFをご覧ください

「患者紹介」トラブルとリース契約の注意点/機関紙2015年1月1日号(№538号)より

「患者紹介」トラブルとリース契約の注意点/機関紙2015年1月1日号(№538号)より

 

質問 「スマートフォンを使った患者紹介を行う」ということをうたった業者とトラブルになっている先生がいる…。といった話を聞いた。どういったことか。

回答 協会に相談が寄せられている事例では、「スマートフォンを使って患者紹介」を謳い、紹介サービス提供の前提として関連機器とされる物件のリース契約を結ばせ、契約締結後にその業者が「倒産」してしまったそうです。その結果、業者からのサービス提供がなくなったにも関わらず、リース契約は継続しているので、リース料金は今後も払い続けなければならない、という状況に置かれています。くれぐれも業者の甘い言葉に惑わされないよう、リース契約の原則的な取り扱いにご注意ください。

 

質問 それでは、そもそもリース契約とはどういったものか。

回答 「リース」といえば一般的には「ファイナンス・リース」を指します。これは、ユーザー(賃借人)が選択した物件を、リース会社(賃貸人)がユーザー指定のサプライヤー(販売会社)から取得して、それを賃貸するものです。このため、機器の導入で多額の経費が必要な場合でも、リースを活用することで月々一定額のリース料金の支払いで対応できることになります。このため、新規開業やリフォームの際、単年度の投資額を抑えることが可能となります。また、タイムリーに最新鋭の機器を利用できたり、金融機関の借入枠を温存できるといった特徴があると言われています。

 

質問 リース契約のデメリットはあるのか?

回答 リース契約の原則として、①リース料金はリース会社が全額回収する、②ユーザーは中途解約ができないという大原則があります。最初のご質問のケースではこれらのデメリットにより、当初約束されたサービスが受けられない一方で、リース料金の支払義務が残ったものと考えられます。このほか、ユーザーによるリース物件の保守・修繕義務がある、リース会社のリース物件危険負担、瑕疵担保責任が免責されていることなどが挙げられます。リース契約締結の際は、契約内容をよく確認することをお勧めします。

 

2015年 会長年頭所感「スケールメリットを活かした行動を」

2015年 会長年頭所感「スケールメリットを活かした行動を」

謹賀新年
 昨年、本会の会員数は5000名を突破しました。一方、昨年末に行われた衆議院解散総選挙は、自公あわせて326議席を獲得し、独裁政治に拍車がかかる結果となってしまいました。消費増税を1年半先伸ばしたことは、三党合意の時から景気の動向を見て決めることとなっていたので、解散総選挙の理由にはならず、長期政権に固執するための利己的な判断と言わざるを得ません。むしろ、8%に引き上げたことによる景況感の悪化に目を注いでもらいたい。
 また、社会保障の財源として消費税を充てる目的であったため、政府は「延期する以上は社会保障の充実も見直さざるを得ない。引き上げ延期中はその範囲の中で具体的な予算編成を優先順位をつけてやっていく」と述べた。しかし、増税しても赤字国債削減に使われ、実際に診療報酬はほとんど伸びていないのが現状です。
 一方、消費増税分として初・再診に充てられた点数は10%までの暫定処置で、その後の医療費の財源は未定です。以上のことから、今後の歯科医療費はよりいっそう厳しいものになると思われますが、いかに口の健康にイニシアチブを持たせられるかが求められています。

東京歯科保険医協会会長 松島良次 昨年の改定で、先進医療技術評価から導入されたCAD/CAM冠の財政効果は、一次的には引きあがるものの、持続的なものではありません。しかし、毎回の改定ごとに新規技術が導入されれば一定の効果が望めます。その効果の中には、患者さんの健康寿命の延伸は不可欠です。本会ではこの視点を大事にして、新規技術の提案を行っていきたいと考えます。
 他方、2025年には団塊の世代が75歳以上の年齢層に入ります。財政構造は、爆発的に増大する高齢者対策に耐えられるものにしなければならず、これからの10年間は、われわれ歯科医療従事者も知恵を出していかねばなりません。今後、基礎疾患を抱えた患者さんに対応する知識は当然のこととして、さらに病院や施設から在宅にシフトされる患者さんに対応する訪問診療の準備もしなければなりません。
安倍晋三首相は、国民の信任を錦の御旗に、数々の法案を通す準備を始めていることでしょう。ここで大事なことは、国民がすべてを任せたわけではないということです。政府が数の論理で行くならば、われわれも国民の不利になるような政策には断固反対できるように、5000名会員のスケールメリットを活かした行動をとるつもりです。

東京歯科保険医協会会長

松島良次