2015年 会長年頭所感「スケールメリットを活かした行動を」

2015年 会長年頭所感「スケールメリットを活かした行動を」

謹賀新年
 昨年、本会の会員数は5000名を突破しました。一方、昨年末に行われた衆議院解散総選挙は、自公あわせて326議席を獲得し、独裁政治に拍車がかかる結果となってしまいました。消費増税を1年半先伸ばしたことは、三党合意の時から景気の動向を見て決めることとなっていたので、解散総選挙の理由にはならず、長期政権に固執するための利己的な判断と言わざるを得ません。むしろ、8%に引き上げたことによる景況感の悪化に目を注いでもらいたい。
 また、社会保障の財源として消費税を充てる目的であったため、政府は「延期する以上は社会保障の充実も見直さざるを得ない。引き上げ延期中はその範囲の中で具体的な予算編成を優先順位をつけてやっていく」と述べた。しかし、増税しても赤字国債削減に使われ、実際に診療報酬はほとんど伸びていないのが現状です。
 一方、消費増税分として初・再診に充てられた点数は10%までの暫定処置で、その後の医療費の財源は未定です。以上のことから、今後の歯科医療費はよりいっそう厳しいものになると思われますが、いかに口の健康にイニシアチブを持たせられるかが求められています。

東京歯科保険医協会会長 松島良次 昨年の改定で、先進医療技術評価から導入されたCAD/CAM冠の財政効果は、一次的には引きあがるものの、持続的なものではありません。しかし、毎回の改定ごとに新規技術が導入されれば一定の効果が望めます。その効果の中には、患者さんの健康寿命の延伸は不可欠です。本会ではこの視点を大事にして、新規技術の提案を行っていきたいと考えます。
 他方、2025年には団塊の世代が75歳以上の年齢層に入ります。財政構造は、爆発的に増大する高齢者対策に耐えられるものにしなければならず、これからの10年間は、われわれ歯科医療従事者も知恵を出していかねばなりません。今後、基礎疾患を抱えた患者さんに対応する知識は当然のこととして、さらに病院や施設から在宅にシフトされる患者さんに対応する訪問診療の準備もしなければなりません。
安倍晋三首相は、国民の信任を錦の御旗に、数々の法案を通す準備を始めていることでしょう。ここで大事なことは、国民がすべてを任せたわけではないということです。政府が数の論理で行くならば、われわれも国民の不利になるような政策には断固反対できるように、5000名会員のスケールメリットを活かした行動をとるつもりです。

東京歯科保険医協会会長

松島良次