医政・行政ニュース

日本人口 12年連続減少|総務省

総務省が12日に発表した2022101日現在の日本の総人口推計は、外国人を含め12,4947,000人で、12年連続の減少となった。 日本人の人口は、75万人の減少し、今後も少子化を背景に減少傾向が続くとみられている。

 出生数減少は全国に及び、47都道府県のうち総人口が増えたのは東京(28000人(02%))増のみで、年間の出生数と死亡数を比べた自然増減では41000人減少している。また都道府県別では、沖縄が日本に復帰した1972年以降、初の人口減少に転じている。

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【オピニオン】大林 尚(日本経済新聞社 編集委員) 「少産多死社会」への政策と対策を

4月1日~「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」について

加算算定はオンライン資格確認システムおよびオンライン請求が条件

オンライン資格確認システムを導入し、さらにレセプトのオンライン請求をしている医療機関において算定できる「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」は、4月から12月までの時限的なものですが、健康保険証を提示した患者については、初診時の4点が6点に引き上げられ、再診時にも月1回に限り2点を加算できるようになりました(図 算定のフローチャート)。

 

〇 算定するための要件

 

(1)オンライン請求を行っている

 

(2)オンライン資格確認システム(オン資)を導入している

 

(3)薬剤情報、特定健診情報などの診療情報を取得・活用している

 

(4)(2)~(3)について院内掲示及びホームページで掲示

 

(5)初診時は標準的な項目を含む問診票を使用している

 

 

なお、初診時に6点または2点を加算している場合、同月内の再診時に2点は加算できません。
加算するにあたっては、初診時には標準的な項目を含めた問診票(以下「問診票の標準的な項目」)で、再診時は問診票の作成は要しませんが健康保険証を提示した患者が対象で、システムから診療情報等を取得できないため初診時に行った問診等で診療情報等の確認が必要です。

当該加算は自動的に加算できるわけではなく、その都度診療情報等の確認を要するので注意が必要です。具体的な症例は、「東京歯科保険医新聞 2023年4月1日(第637号)」の9面の『症例研究』を参照ください。

「症例研究」が必要な方はこちらのインフォメーションよりご依頼ください(会員限定)。

 

 

表 問診票の標準的な項目

 

①マイナ保険証による診療情報の取得に同意したか

②他の医療機関からの紹介状を持っているか

③本日受診した症状について(症状の内容、発症時期、経過等)

④現在、他院に通院しているか(医療機関名、受診日、治療内容等)

⑤現在、処方されている薬があるか(薬剤名、用量、投薬期間等)

⑥これまでに大きな病気(入院や手術を要する病気等)にかかったことがあるか(病名、時期、医療機関名、治療内容等)

⑦この1年間で健診(特定健診、高齢者健診、歯科健診)を受診したか(受診時期、指摘事項等)

⑧これまでに薬や食品などでアレルギーを起こしたことがあるか(原因となったもの、症状等)

⑨(女性の場合のみ)現在、妊娠中又は授乳中であるか(妊娠週数等)

※問診票は、①~⑨をすべて含む必要があるが、不足している項目を現在使用している問診票に加える対応でもよい。

※加えて、(1) 診療情報を取得・活用することにより、質の高い医療の提供に努めていること、(2) 正確な情報を取得・活用するため、マイナ保険証の利用に協力をいただいきたいこと、(3) 加算1(初診時):6点(健康保険証を利用した場合)、加算2(初診時):2点(マイナ保険証を利用した場合)、加算3(再診時):2点(健康保険証を利用した場合:月1回)を問診票に含める必要がある。

 

 

4月からオンライン資格確認システムの導入が義務となり、すでに運用を開始した先生から様々なトラブル事例が協会に寄せられています
協会では、今後、国会議員や厚労省に対して、義務化の撤回や改善要望を行う必要があると考え、現場で起きたトラブル事例を集めています。改善要望等を行う上では、会員の先生方の現場の声が必要です。是非、アンケートにご協力ください。

レセプトの返戻 オンライン化 

オンラインでレセプト請求を行っている医療機関において、国保連合会や支払基金から返戻されるレセプトは紙でも送られてきますが、4月からは原則としてオンラインでなければ再請求できなくなります。なお、電子媒体(CD―ROM等)や紙媒体請求でレセプトを請求している医療機関においては変更がなく、これまでどおり紙媒体で再請求します。

返戻データをダウンロードする

オンラインで返戻レセプトを再請求する場合、自身でオンライン請求システムにアクセスし、返戻データのダウンロードを行い、修正後にオンラインで再請求することになります。

ただし、ダウンロードできる返戻レセプトは直近3カ月分となっているため、期間内にダウンロードをしておく必要があります。また4月からオンラインで返戻の再請求を始める医療機関の場合、2022年12月処理分以前のレセプトはダウンロードできませんが、これについては返戻された紙レセプトで再請求できます。なお、返戻の中にはオンライン請求システムからダウンロードできないものがあり、返戻された紙のレセプトで再請求する必要があります。これは、返戻された紙レセプトに添付された書類で見分けることになり、該当する紙レセプトは廃棄をしないように注意が必要となります。

4月薬価改定

4月は薬価改定が行われる。歯科診療所で用いることがある、歯科用局所麻酔薬、歯周病治療処置で用いる歯科用軟膏剤およびリグロス歯科用液キットについては、薬価の変更はない。
 主な薬剤に係る薬価表は、デンタルブックに掲載される。なお、全ての薬剤の薬価については厚生労働省ホームページ内にある「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」より閲覧できる。

「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」はこちら

2023年4月 金銀パラジウム合金等の随時改定

金パラは引き下げ 銀合金などは引き上げに

4月に歯科用貴金属の随時改定が行われ、歯科鋳造用金銀パラジウム合金が1g 3,711円から3,391円に引き下げになる。一方、歯科鋳造用14カラット金合金鉤用が1g 6,645円から6,729円に、歯科用鋳造用銀合金第1種は1g 144円から151円に、同2種は1g 177円から184円に引き上げになる。

 

中央社会保険医療協議会 | 診療報酬改定に 向けて議論が始まる

3月15日、中央社会保険医療協議会は、2024年度の医療と介護の同時改定に向けて社会保障審議会との意見交換会を開始した。今回は、一体的に運用・連携することでより効果的な治療・重症化予防・自立支援に繋がることが期待されている「リハビリテーション・口腔・栄養」をテーマの一つとして意見交換が行われた。

意見交換会の中で、中医協委員である林正純氏(日本歯科医師会常務理事)は、①入院患者や施設入所者を診療する際の多職種との連携の重要性、②口腔・栄養・リハビリの早期介入の重要性、③ICTを最大限に活用した情報共有システムの必要性、④医療的ケア児、障がい児者、認知症患者等に係る障害福祉サービスとの連携の必要性など、歯科が早期から口腔の健康管理に介入し、切れ目のないような仕組みづくりを期待したいと発言があった。

また、口腔とQOLの関係性等にも触れながら、多職種連携の重要性を訴えた。加えて、複雑化している医療保険と介護保険の給付調整の存在についても改善を要望。
次回は、高齢者施設・障害者施設等における医療や認知症をテーマに4月中旬に開催される予定。

歯科衛生士養成校 54.3%で定員割れの実態 | 全国歯科衛生士教育協議会

全国歯科衛生士教育協議会が「歯科衛生士教育に関する現状調査結果」を取りまとめた。それによると、加盟する176の歯科衛生士養成校の2022年度入試で入学者数が定員割れを起こしている養成校が54.3%に上ることが明らかになっている。
この調査は22年4月、同協議会加盟176校に対して郵送によるアンケート方式で行われ、全校から回答が寄せられ、調査結果は同年6月に取りまとめられている。
それによると、22年度入試における全養成校の入学定員数は9,609名で、志願者数は1万873名だが、実際の入学者数は8,547名となっており、定員数に対する入学者数の割合、すなわち定員充足率は88.9%となっている。さらに、入学者数が定員に満たず定員割れを起こしている養成校は54.3%あり、志願者数が定員に満たない養成校は40.0%としている。定員割れについては、19年度は63.0%だったのが21年度には48.3%まで回復したものの、22年度では再び増加し54.3%となっている。

歯援診1を2023年4月以降継続する場合、届出は不要に 

 2022年度診療報酬改定で在宅療養支援歯科診療所1(歯援診1)の施設基準の要件のうち、訪問診療1または2の算定実績が、過去1年以内に15回以上から18回以上に引き上げられました。一方で、歯援診2の場合は、過去1年以内に10回以上から4回以上に引き下げられています。

 これにより、2022年3月末において歯援診1を届け出ている医療機関が、経過措置が終了する2023年4月以降も歯援診1を継続する場合は、2023年3月末までに再度の歯援診1の届出を関東信越厚生局東京事務所に行う必要がありましたが、3月10日の通知により、歯援診1の施設基準を満たしていれば、届出をする必要はなくなりましたのでご注意ください。

通知はここをクリック(経過措置を設けた施設基準の取扱いについて)

 また、歯援診1の算定実績を満たせずに、①歯援診2に変更する場合若しくは②歯援診1又は2の要件をいずれも満たせず、訪問診療の割合が95%未満で引き続き歯科訪問診療料1・2・3を算定する場合は、2023年4月3日(月)(必着)で関東信越厚生局東京事務所に届出(①は歯援診2の届出を、②は歯科訪問診療料の注13に規定する施設基準(歯訪診)の届出)を行ってください。(なお、歯援診2の届出をしている医療機関が、2023年4月以降も歯援診2を継続する場合は届出は必要ありません)

届出書類はここをクリック(歯援診2は整理番号「2-69」、歯訪診は「2-95」にあります)

 歯援診1又は2を届出しているか否かが不明な場合は、関東信越厚生局ホームページ内にある「保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況及び保険外併用療養費医療機関一覧」より、自院の施設基準の届出状況を確認できます。

施設基準の届出状況はここをクリック(「施設基準の届出状況(全体)」の東京都の歯科を参照)

 

第116回歯科医師国家試験の結果公表|厚生労働省

厚生労働省は316日、第116歯科医師国家試験の合格者を発表した。試験は本年128~29日の2日間にわたり実施。

今回の歯科医師国家試験は出願者数が3,669人(前年3,667人)、受験者数3,157名(前年3,198人)、合格者数2,006名(前年1,969人)となっており、合格者数および合格率ともに前回をわずかに上回った。

厚労省の発表によると、第 116 回歯科医師国家試験の合格基準は、一般問題(必修問題を含む)を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、
① 領域A(総 論) 63点以上/ 96点
② 領域B(各 論) 257点以上/373点
③ 必 修 問 題 64点以上/ 80点
としている。

但し、必修問題の一部を採点から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について総点数の80%以上とする。

日本歯科医師会 予備選挙 高橋英登氏が当選

 2月14日、日本歯科医師会会長予備選挙の投開票が行われた。今回、高橋英登氏、柳川忠廣氏、小林慶太氏の3氏が立候補していたが、開票の結果、高橋氏が319票を得て初当選した。柳川氏は283票、小林氏は26票であった。今回当選した高橋氏は、高橋氏ご自身を含む理事候補者24名以内の名簿、および候補者ごとの誓約書などを用意し、4月16~19日までに選挙管理委員会に提出。定時代議員会で代議員投票による理事選任が行われ、同代議員会終了後の理事会で選任された理事の中から代表理事(会長)が選出される。

リンク

東京反核医師の会 「はだしのゲン」削除に抗議声明

東京の医師・歯科医師が参加する「核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会」(略称:東京反核医師の会)は2月28日、広島市教育委員会が、広島市立小中高の教材から漫画「はだしのゲン」を削除するとの発表に対し、削除の撤回を求めた抗議声明を発表した。
声明では「はだしのゲン」は「子どもたちだけでなく、教育者が共に考え学ぶことができる歴史的資料であり、被爆地広島の教材から削除されることの損失は大きい」などとして、削除の撤回を求めている。

「核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会」(略称:東京反核医師の会)
東京反核医師の会は、命と健康を守る立場から、核廃絶と国際平和を求める東京都内の医師・歯科医師・医学者の団体です。東京歯科保険医協会は東京反核医師の会の活動に協力しています。

<全文は以下のリンクよりご覧ください>
https://hankaku.tokyo/docs/2023022800012/

4月から返戻がオンライン化

―オンライン請求の医療機関
 オンライン請求を行っている医療機関の場合、レセプトが返戻された場合には紙レセプトまたはオンラインのいずれかで再提出をすることになっている。しかし、今年4月からは、返戻は紙でも送られてくるが、オンラインでなければ再提出ができなくなる。
 なお、手書きレセプト請求またはCDなどの電子媒体請求の医療機関については変更がなく、4月以降も紙レセプトで再提出する。

―ダウンロード期間は3カ月

 オンラインで再提出する場合、自院でオンライン請求システムにアクセスし、返戻データをダウンロードし、修正後にオンラインで請求することになる(図1)。ただし、ダウンロードできるレセプトは直近3カ月分となっているため、期間が過ぎる前にダウンロードして再請求することになる。
 なお、今年4月からオンラインでの再提出を始める医療機関の場合、ダウンロード期間の終了により22年12月処理分以前の古いレセプトがダウンロードできないが、その場合には、返戻された紙レセプトで再請求できる。

―できない場合は
3月中に猶予届出を

 オンライン請求の医療機関においては、4月からオンライン化できない事情がある場合、経過措置が設けられている。レセコンメーカーに改修を依頼したが、4月からできないなどの事情がある場合は3月末までに届出を行っていただきたい。なお、届出は、2月請求時にオンライン請求システムにログインした際に表示される「ポップアップ画面」から、経過措置に該当する項目を選択して行う。しかし、何らかの理由でポップアップ画面から届出ができていない場合は、届出用紙をダウンロードし、「支払基金本部事業総括部オンライン化経過措置担当」宛て(住所:〒105-0004 東京都港区新橋2―1―3)に3月中に郵送する。今年9月末以降も対応できない場合は、審査支払機関から医療機関に働きかけをするとされており、システム改修中の医療機関は9月末までに対応できればよい。
 

 不明な場合は、支払基金の関東審査事務センター審査事務担当者、または東京都国保連合会のレセプト電算係(電話:03―6238―0456)へお問い合わせをいただきたい。


―紙で再提出必須のレセプト、添付書類で見分ける

 返戻の中には紙レセプトでしか返戻されないものがあり、その場合はオンライン請求システムからダウンロードができないため、返戻された紙媒体のレセプトで再請求する必要がある。
これは、返戻された紙レセプトに添付された書類で見分けることになっており、該当する紙レセプトは廃棄しないようにご注意いただきたい。

東京都 2021年度の個別指導32件

前年に比べて実施件数が減少

 厚生労働省は「令和3年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(概況)」を公表した。それによると、2021年度の東京の歯科では保険医療機関ベースで、個別指導32件、新規個別指導45件、監査3件が実施されていたことが分かった。
 前年と比べ、個別指導は8件減少、新規個別指導は48件減少、監査は3件減少しており、全国的な傾向であるが新型コロナウイルス感染症の影響で指導の延期が起きたことが、減少の要因と考えられる。

―厚労省が指導日程の開示を認める

 また、指導の日程について、厚生局はこれまで開示をしない方針を取っていたが、この度、協会が行った不服請求により、指導日程を黒塗りすることには正当な理由がないとし、開示が認められ、22年度の指導日程は開示されている。
 間もなく年度が切り替わるが、23年度の指導日程も明らかになり次第、会員にお知らせする。

歯科用貴金属価格改定―4月から金パラのみ引き下げ 

 2月15日開催の中央社会保険医療協議会総会で、4月に行われる歯科用貴金属価格の随時改定が議論された。歯科鋳造用金銀パラジウム合金(以下、「金パラ」)の平均素材価格が、昨年8月~10月と比べて昨年11月~今年1月が下がっていることから、4月以降の金パラの告示価格は引き下げとなった。一方、その他の金属は引き上げになる。
 金パラの価格引き下げについては、素材であるパラジウムの価格が下がっていることが大きく影響している。
 4月以降の点数については、今後発出される通知で明らかにされる。通知が発出され次第、デンタルブックメールニュース、機関紙等でお知らせする。

2022年の出生数は速報値で80万人を割り込む|厚生労働省 人口動態調査

2022年に国内で生まれた子どもの数は、統計のある1899年以降、初めて80万人を割り込み、政府推計を上回るスピードで少子化が進行する状況がわかった。

厚労省が2月28日に公表した2022年の人口動態統計(速報)では、外国人と、海外で生まれた日本人の子どもを含む出生数は79万9728人だった。

4月から再診時もオン資の加算

 4月から、オンライン資格確認システム(以下、「オン資」)およびオンライン請求を導入した医療機関で算定できる「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」(以下、「医シ」)が一部変更され、再診時にも算定できるようになる。初診時の医シは標準的な項目を含んだ問診票を使用する必要があるが、再診時の「医シ」は、問診などにより他院の処方を含む薬剤情報や必要に応じて健診情報などを確認することが要件となっている。情報確認が必須であり、「オン資」を導入すれば自動的に算定できるわけではない。

―オン資導入後は院内掲示も必要

 「医シ」の算定の有無にかかわらず、4月から「オン資」の導入後はマイナンバーカードによる資格確認ができることを院内掲示する必要がある。患者に、健康保険証ではなくマイナンバーカードを持参させようと働きかける狙いが窺がえる。

―オンライン請求への誘導も

 また、「医シ」の施設基準に特例措置が設けられ、今年の12月31日までにレセプトのオンライン請求を開始する旨を届け出ることを条件に、「オン資」は導入したがレセプトのオンライン請求は行っていない医療機関でも「医シ」を算定できる。マイナンバーカードの普及と共に、オンライン請求への誘導も図られている。

―一般名処方加算も院内掲示が必要に

 医薬品供給が不安定な状況を踏まえて適切な処方をするなどの観点から、4月から12月までの間、一般名処方加算および外来後発医薬品使用体制加算が2点引き上げられる特例措置も設けられる。
 引き上げに際しては院内掲示の扱いが変更され、一般名処方加算の場合は、医薬品の供給状況などを踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することを院内掲示する必要がある。
 外来後発医薬品使用体制加算の場合は、施設基準を届け出していることに加えて、①医薬品の供給が不足した場合に処方変更などの対応ができる体制を整備していること、②医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること、③変更する場合には患者に十分に説明すること、の3点を院内掲示する。なお、今回の特例措置に際して届出を行う必要はない。

「一般名処方加算」 「外来後発医薬品使用体制加算」 4月から引き上げ 期間は12月まで

2022年12月23日に開催された中医協において、一般名処方加算と外来後発医薬品使用体制加算を2023年4月から同年12月までの期間に限り、医薬品の供給が不安定な状況を踏まえた時限的措置として点数を2点引き上げることが確認された。
院外処方時や外来後発医薬品使用体制加算を届け出ている場合はご注意が必要。

新名称は「東京科学大学」 24年度統合目指す 医科歯科大・東工大

2024年度中を目途に統合を目指す国立大学法人東京医科歯科大学(田中雄二郎学長)、国立大学法人東京工業大学(益一哉学長)の統合後の新名称が、「東京科学大学(仮称)」になることが分かった。 これまでの伝統と先進性を活かしながら、統合により新しい大学のあり方を創出することを目的とする新大学。これからの科学の発展を担い、社会と共に活⼒ある未来を切り拓いていくという意志を名称に表現。また、科学を文化として認識してもらい、社会からの理解と期待を得ていくため、親しみやすく覚えやすい「科学」が選ばれた。 なお、新たな名称の候補には6千件を超える応募があり、両大学の検討を経て決定。名称は今後の大学設置・学校法人審議会における手続きや、国立大学法人法の改正(国会審議)を経るまでは仮称で、商標登録などの手続きを踏まえて変更の可能性もあるとしている。

保険収載された サージセルMD

2022年12月より、「サージセル・アブソーバブル・ヘモスタットMD」(以下、「サージセルMD」)が保険収載された。
本製品は、結紮または通常の処置による止血が無効、または実施できない場合の各種手術時の補助的な局所止血材であり、抜歯などで用いることが想定される。保険償還価格は、標準型(綿型)が1グラム当たり1万2千700円、織布型(ニューニット型、ガーゼ型)が1㎠あたり48円となっている(下記「サージセルMDの点数」を参照)。
なお、既存の「サージセル・アブソーバブル・ヘモスタット」は、23年3月を目途に販売終了が予定されている。

 

サージセルMDの点数

■ニューニット型

 7.6×10.2cm 372点、15.2×22.9cm 1,671点

■ガーゼ型

 5.1×35.6cm 872点、10.2×20.3cm 994点、5.1×7.6cm 186点

■綿型

 2.5×5.1cm(0.45g) 572点

2023年4月からオンライン資格確認システム導入後の点数の変更

オンライン資格確認システムを導入している医療機関は、医療情報・システム基盤整備充実体制加算を算定できますが、2023年4月から点数や施設基準が変更され、同年12月末まで下記の通りとなります。

1.初診時の点数の変更(期間:2023年4月~12月)

(1)マイナンバーカードを利用しない場合

 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1:4点→6点(+2点の引き上げ)

(2)マイナンバーカードを利用する場合

 医療情報・システム基盤整備体制充実加算2:2点→2点(変更なし)

2.再診時の点数の変更(期間:2023年4月~12月)

(1)マイナンバーカードを利用しない場合

 (新設)医療情報・システム基盤整備体制充実加算3(1月に1回)2点

*マイナンバーカードを利用する場合は、再診時の加算はありません。

3.施設基準の特例(期間:2023年4月~12月)

 オンライン請求を行っていることが要件となっていますが、2023年12月31日までにオンライン請求を開始することを厚生局に届け出た場合は要件を満たしたものとみなすことができます。それにより、オンライン請求をしていない場合でも、オンライン資格確認システムを導入している場合は、4月~12月まで点数の算定ができます。

全国保険医団体連合会関東ブロック協議会 特別決議

全国保険医団体連合会関東ブロック協議会は11月6日、下記の決議を採択した。

▶「全国保険医団体連合会関東ブロック協議会 特別決議(2022.11.06)」PDFはこちら

地域医療に重大な支障をもたらす保険証の廃止と「マイナンバーカードによる資格確認システムの導入義務化」の撤回を求める決議

河野太郎デジタル大臣は1013日に記者会見し、「2024年度秋に、現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明し、保険証はマイナンバーカード(以下、マイナカード)と一体化する方針を突如として発表しました。医療法に定められた健康保険証を国会審議なしに廃止する通告です。

またこれに先立つ95日、保険診療における責務を通知した「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(以下、療担規則)が改訂され、20234月から、マイナカードを使ったオンライン資格確認を、保険医療機関に対して原則として義務づけると発表されました。これまで任意とされてきたマイナカード取得の原則義務化であって、国会によるマイナンバー法の変更が必要です。今回の大臣表明、療担規則改訂の脱法性に強く抗議するとともに、撤回を求めます。

マイナカードの取得率は20229月末時点で49.0%(6,1657,397人)であり、そのうち保険証として利用できる登録をした人は約41.6%(2,5671,857人*1010日時点)です。また、オンライン資格確認システムの運用開始施設は31.5%に留まっています(病院・医科歯科診療所・薬局の合計。*109日時点)。医科診療所・歯科診療所に限って見ると、それぞれ21.4%、22.6%に過ぎません。来年の4月までに対応できない医療機関は保険医療機関指定の取り消しもあり得るという発表が、大きな混乱を招いています。

全国の保険医協会・医会の連合組織である全国保険医団体連合会が実施した「保険証廃止・オンライン資格確認義務化 意識・実態調査」の結果(速報値:51保険医協会の会員からの回答数842件)によると、約8割が2024年秋に保険証廃止を目指す政府方針に反対と回答しており、賛成はわずか8%のみです。

医療情報という機微な情報をマイナンバーに紐づけして利活用する仕組みは、情報漏洩やプライバシー侵害のリスクを孕んでいます。普及が進まないのは国民と医療機関がマイナンバー制度とオンライン資格確認システムに疑念を持ち、必要性を感じていないからです。加えて、「このまま義務化されれば閉院せざるを得ない」という悲痛な声もあり、地域医療にも重大な影響を及ぼします。

またオンライン資格確認システムの運用を開始した施設では、資格があるにもかかわらず「該当なし」とされる事例が続発して、トラブル・不具合を経験した医療機関が4割に達しており、導入義務化に関する疑念や懸念の声が多数寄せられています。 

医療機関窓口で保険証を提示して行う目視による資格確認は、国民皆保険制度の基盤であり広く国民に定着しています。それにもかかわらずオンラインで行う「マイナカードによる資格確認」を義務化すれば、在宅医療の現場や、高齢・障害・多忙などで役所に行けずマイナカードを持ちにくい人たちから医療を奪ってしまう恐れがあります。

またマイナカードは5年ごとに役所に出向く書き換えや更新手続きが必要で、事務処理には数日から1週間もかかります。カードがない期間に受診すれば、保険が適用されないためのトラブルが多発します。患者情報紐づけのために電子カルテをインターネットに長時間接続すれば、情報漏洩や電子的攻撃のトラブルが増加します。

 当事者である国民と医療機関の声に耳を傾けない強引な政策は医療現場に混乱をもたらし、国民皆保険制度の歴史に汚点を残します。私たちは健康保険法の「国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」という目的を妨げる保険証の廃止と、マイナカード取得を義務化する資格確認システムの導入に強く抗議して撤回を求め、以下について特別に決議します。

                 記

一、保険医療機関等への「マイナンバーカードによる資格確認システムの導入義務化」を速やかに撤回すること。

一、保険証はこれまで通り交付し、廃止しないこと。

以 上

2022年116

【全国保険医団体連合会関東ブロック協議会】

茨城県保険医協会  会長  高橋 秀夫  栃木県保険医協会  会長  長尾 月夫

群馬県保険医協会  会長  小澤 聖史  埼玉県保険医協会 理事長 山崎 利彦

千葉県保険医協会  会長  岡野 久   東京保険医協会   会長  須田 昭夫

東京歯科保険医協会 会長  坪田 有史  神奈川県保険医協会 理事長 田辺 由紀夫

山梨県保険医協会  会長   長田 高典                                 

全国保険医団体連合会関東ブロック協議会 決議

全国保険医団体連合会関東ブロック協議会は11月6日、下記の決議を採択した。

▶「全国保険医団体連合会関東ブロック協議会 決議(2022.11.06)」PDFはこちら

 

決議
私たちはすべての国民のいのちと健康を守るために国民皆保険を堅持し、人々が尊厳を保って平和で幸せに暮らせる社会を実現すること、および保険医の生活と権利を守る活動を行っています。
政府の医療・社会保障削減政策は、公立・公的病院と保健所を弱体化させたため、今回のパンデミックという災害に対応しきれず、医療提供体制が崩壊する一因となりました。これを契機に問題点を検証し、次のパンデミックへの対策を講じることが急務です。
一方で、診療報酬は2002年以降、累計で10%以上引き下げられており、2022年4月診療報酬改定も全体では0.94%のマイナス改定となり、全体でのマイナス改定は2014年度から連続5回です。政府により医療・社会保障を削減する政策が進められてきたことに加えて、新型コロナウイルス感染症の7波にわたる拡大と円安の進行、物価の上昇、消費税損税などによって医療機関の運営は厳しさを増しています。
このような状況の中で、政府は2022年6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」を閣議決定しました。その中で、コロナ禍における感染症対策の不手際の一因が、医療のIT化が進んでいないことにあるとして、2023年4月からマイナンバーカードを利用したオンライン資格確認システムの導入を保険医療機関・薬局に強要しています。さらに河野太郎デジタル相は10月13日の記者会見で、「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」として、保険証を原則廃止しマイナンバーカードと一体化させる方針を国会審議を経ることもなく、突如表明しました。しかしマイナンバーカードによる資格確認は、①導入にあたりレセコンや電子カルテの改修費と維持費が必要になる、②情報漏洩の危険性があり、コンピューターウイルスに感染する恐れもある、③医療情報が患者本人の許可なく産業利用される、等の多くの問題点を孕んでおり、あまりに拙速です。
マイナンバーカードの保険証利用例は少なく、保険証の原則廃止を前提とするマイナンバーカードによる資格確認は国民の理解を得られていません。医療機関の負担をいっそう増大させることにもつながる保険証廃止を前提とした「マイナンバーカードによる資格確認システムの導入義務化」を撤回するよう、強く要望します。
コロナ禍にあって多くの人々が、精神的にも経済的にも苦しい生活を余儀なくされ、健康状態の悪化が見られます。国民が安心して医療を受けられる環境と患者・利用者負担の軽減が必要です。日本国憲法第25条第2項は、「国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国の社会的責務を定めています。私たちは、国に対して、「公助」の責任を果たす医療・社会保障政策に立ち戻ることを求め、以下を決議します。
                 記
一、健康保険法に違反する、保険証の原則廃止方針と「マイナンバーカードによる資格確認システムの導入義務化」を速やかに撤回し、マイナンバー制度に依拠しない健康保険制度の維持を再確認すること。
一、新興・再興感染症のパンデミックに対し、責任を持って迅速に対応できる仕組みを構築すると
ともに、公衆衛生を担う保健所機能の強化と医療機関の運営が成り立つために必要な社会保障費の財源を確保すること。
一、後期高齢者の自己負担2割への引き上げなどの、患者・利用者負担増を速やかに見直すこと。また、国民健康保険制度に必要十分な国費を投入し、国保料の国庫負担割合を回復すること。
一、医療・社会保障削減政策を中止し、国の責任で、国民のいのちと健康を守るためにあらゆる事態に対応可能な医療提供体制の整備に早急に取り組むこと。
2022年11月6日
【全国保険医団体連合会関東ブロック協議会】
茨城県保険医協会  会長  高橋 秀夫  栃木県保険医協会  会長  長尾 月夫
群馬県保険医協会  会長  小澤 聖史  埼玉県保険医協会 理事長 山崎 利彦
千葉県保険医協会  会長  岡野 久   東京保険医協会   会長  須田 昭夫
東京歯科保険医協会 会長  坪田 有史  神奈川県保険医協会 理事長 田辺 由紀夫
山梨県保険医協会  会長 長田 高典                                 

四病協 電子処方箋、来年1月運用に複数意見

一般社団法人日本医療法人協会、公益社団法人日本精神科病院協会、一般社団法人日本病院会、公益社団法人全日本病院協会で構成される四病院団体協議会は112日に総合部会を開催し、231月からの電子処方箋の運用について、厚生労働省とヒアリングした。

体制が整わないまま運用を始めることについて、不安視する声が相次いだ。四病協としては、政府に慎重な対応を求めていると、部会終了後に会見の中で明らかにしている。

75歳以上の窓口負担2割化 窓口対応の注意点

 75歳以上で一定の所得がある患者の負担割合が、10月より1割から2割に引き上げられる。レセプト記載や負担金の受領方法も一部変更になるため、注意点を解説する。

▼水色の被保険者証を確認
 10月からの負担割合変更に伴い、すべての75歳以上の後期高齢者に対して、9月に新しい被保険者証(東京都の場合は水色)が発行されている。10月以降に診療をする際には、窓口で水色の被保険者証の確認をする必要がある。
 また、レセプトの特記事項欄の記載も一部変更されるため、10月診療分以降の請求の際には、注意が必要である。

▼3,000点超えから上限額を計算
 窓口負担については、負担金の増加額の上限を3,000円までに留める配慮措置が、2025年9月まで設けられている。そのため、医療機関では診療毎に1月当たりの合計点数等を計算した上で当日の負担金を受領する必要がある。レセコンメーカー側でも対応する予定となっているが、①1月の合計点数が3,000点を超える場合は上限額が「3,000円+(1カ月の合計点数)×1円」、②1月の合計点数が1万5,000点を超える場合は上限額が高額療養費制度の上限である1万8,000円となり、上限額を超えないように負担金を受領する。特に、上限額に達した場合は、1円単位での受領に変わるので注意が必要である。
 紙レセプト請求をしている医療機関の場合は、院内掲示などを行った上で、配慮措置をせずに高額療養費制度の上限額である1万8,000円まで2割負担で請求することが可能とされている。

 この場合は、診療報酬請求書およびレセプトの上部余白に「2割」と朱書きすることで、配慮措置をせずに受領していた分の差額が、患者自身が事前に登録した口座へ概ね4カ月後に払い戻される。しかし、患者にとっては一時的に負担が増えることになるため、配慮措置をしない判断は紙レセプト請求の医療機関にとって難しい。
 なお、複数の医療機関を受診している場合は、合算した1月当たりの負担増の上限を3,000円とする配慮措置もあるが、こちらは超えた分が自動的に後日患者の口座へ払い戻される。なお、口座が登録されていない患者には、9月中旬に申請書が郵送されている。

▼処方箋の記載も変更
 10月以降に処方箋を発行する場合には、処方箋の備考欄に、1割負担の患者は「高一」ではなく「高9」と記載し、2割負担の患者は「高8」、3割負担の患者は「高7」と記載する。

集団的個別指導が2年ぶりに実施

 集団的個別指導が、2年ぶりに講習会形式で開催された。今年度は、807件の医療機関を対象に9月7日と8日の2日間に分けて実施。実際に指導通知が送られたのは、レセプト1枚あたりの平均点数が1509点以上の医療機関となっている。集団的個別指導を受けた医療機関は、その後23年度の平均点数を確認され、なおも高点数である場合には24年度に実施される個別指導の選定の対象になる。

高点数による個別指導はほとんどない

 しかし、高点数による個別指導は情報提供や再指導による個別指導よりも優先度が低く、東京都においては高点数による個別指導はほとんど実施されていない(表参照)。また、個別指導になったとしても、適切な保険請求とカルテ記載をしていれば指導は終了する。委縮診療をする必要はなく、行った治療は適切に請求してもらいたい。
協会では保険医として知っておくべき基本的なルールを学ぶ新規開業医講習会を開催している。

「オン資」加算点数の変更点

 問診票の整理やHP等への掲載が必須に

「電子的保健医療情報活用加算」が廃止され、10月から「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設される。
 初診時に、マイナンバーカードで診療情報等を取得した場合は7点から2点に引き下げられ、被保険者証で資格確認を行った場合は3点から4点に引き上げられた。再診時は、加算がなくなった。
 施設基準が変更されたため、今まで加算を算定していた医療機関は、院内掲示の変更だけでなくホームページなどへの掲示も必要となる。自院にホームページがないなどの場合は医療機能情報提供制度等への掲載を行うことになるが、東京都においては東京都医療機関案内サービス「ひまわり」がそれに該当する。掲載方法など不明な場合は、東京都保健医療情報センター(電話03―5272―1801)へ問い合わせてほしい。
初診時の問診票の標準的項目も定められている。医療機関は自院の問診票を確認し、同様の内容が問診票に含まれているように整理する必要がある。

ランニングコストに
見合わない

 今回の変更で一番大きいポイントは、再診時に加算がなくなった点である。特に、かかりつけの患者を継続的に診ている医療機関ほど算定ができず、ランニングコストの回収が困難になる。10月の見直しは、政策誘導の視点が強く、診療を適切に評価する視点は薄い。根本的な見直しが必要である。

10月からの75歳以上(後期高齢者)の窓口負担2割化/窓口対応の注意点

 75歳以上で一定の所得がある患者の負担割合が、2022年10月より1割から2割に引き上げられる。レセプト記載や負担金の受領方法も一部変更になるため、注意点を解説する。

 

1.水色の被保険者証を確認

 10月からの負担割合変更に伴い、すべての75歳以上の後期高齢者に対して、9月に新しい被保険者証(東京都の場合は水色)が発行されている。10月以降に診療をする際には、窓口で水色の被保険者証の確認をする必要がある。
 また、レセプトの特記事項欄の記載も一部変更されるため、10月診療分以降の請求の際には、注意が必要である(変更箇所は下表を参照)。

 

2.3千点超えから上限額を計算

 上限額を計算 窓口負担については、負担金の増加額の上限を3,000円までに留める配慮措置が、2025年9月まで設けられている。そのため、医療機関では診療毎に1月当たりの合計点数等を計算した上で当日の負担金を受領する必要がある。
 レセコンメーカー側でも対応する予定となっているが、①1月の合計点数が3,000点を超える場合は上限額が「3,000円+(1カ月の合計点数) × 1円」、②1月の合計点数が1万5,000点を超える場合は上限額が高額療養費制度の上限である1万8,000円となり、上限額を超えないように負担金を受領する。
 特に、上限額に達した場合は、1円単位での受領に変わるので注意が必要である(下表を参照)。

 また、複数の医療機関を受診している場合は、合算した1月当たりの負担増の上限を3,000円とする配慮措置もあるが、こちらは超えた分が自動的に後日患者の口座へ払い戻される仕組みになっている。口座が登録されていない患者には、9月中旬に申請書が郵送されている。

 

3.手書きレセプトの医療機関の場合

 紙レセプト請求をしている医療機関の場合は、院内掲示などを行った上で、配慮措置をせずに高額療養費制度の上限額である1万8,000円まで2割負担で請求することが可能とされている(院内掲示のポスターは下記を参照)。
 この場合は、診療報酬請求書およびレセプトの上部余白に「2割」と朱書きすることで、配慮措置をせずに受領していた分の差額が、患者自身が事前に登録した口座へ概ね4カ月後に払い戻される。しかし、患者にとっては一時的に負担が増えることになるため、配慮措置をしない判断は紙レセプト請求の医療機関にとって悩ましい。

4.処方箋の備考欄の記載が変更

 10月以降に処方箋を発行する場合には、処方箋の備考欄に、1割負担の患者は「高一」ではなく「高9」と記載し、2割負担の患者は「高8」、3割負担の患者は「高7」と記載する。

第26回参議院議員選挙 投開票は7月10日に

 第26回参議院議員選挙は6月22日公示、7月10日投票の日程で行われる。今回の選挙は任期満了等に伴う125議席を巡って実施されるが、その内訳は、①非改選の議席を除く選挙区の74議席、②神奈川で欠員となっている非改選の1議席、③比例代表の50議席―となっている。また、6月22日に全国の立候補者が公示されたが、それによると、全国の45選挙区には定員75人に対し367人、定員50人の比例代表には178人の合わせて545人が立候補している。
 今回の参院選投票日の決定は、政府が去る6月15日に第208通常国会が150日間の会期を終えて終了したことを受け、同日午後に臨時閣議を開き、6月22日公示、7月10日投票の日程で参議院選挙を行うことを決めたもの。参議院選挙は、公職選挙法によって国会が閉会してから24日以後30日以内に行われることになっている。
 また、今夏参議院選挙以降、国政選挙は2025年秋まで行われない(この年の10月21日に衆議院が任期満了を迎える)。


◆選挙の争点


 今回の選挙の争点と考えられるのは、①岸田内閣のロシアによるウクライナ侵略への対応、②ウクライナ情勢などによる物価高騰を受けた経済対策とエネルギー対策、③新型コロナウイルス対応、④敵基地攻撃能力の保有を含む安全保障政策の見直し、④憲法改正の是非、⑤デジタル庁に続いて「こども家庭庁」「内閣感染症危機管理庁」などが立ち上がるが、国民への便益はどうなるのか―など。

「骨太方針2022」に  国民皆歯科健診を明記

 政府は6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022/新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(通称「骨太方針2022」)を閣議決定した。
 今回の骨太方針の柱は、①我が国を取り巻く環境変化と日本経済、②新しい資本主義に向けた改革、③内外の環境変化への対応、④中長期の経済財政運営、⑤当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方―の5本。その中で、医療政策に関する重要点は①と④、特に④の中の「全世代型社会保障の構築」および「社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進」で取り上げられ、総理を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」の設置を提唱し、2023年度からのオンライン資格確認の原則義務化、および2024年度中の保険証発行の選択制導入などを主眼とする医療のDX化を推進する方針を提示した。
 また、医療情報の利活用を巡り法制上の措置等を講じることや、AIホスピタルの推進と実装などを新たに盛り込んでおり、これらが大きな特徴となっている。
 さらに、歯科医療に関しては、「国民皆歯科健診」の具体的検討の推進が盛り込まれた点が注目されている。

東京23区、高校生等の医療費無償化へ/所得制限設けず 自己負担なし

 東京23区長でつくる特別区長会は6月21日に緊急記者会見を行い、現在中学生までを対象としている子どもの医療費無償化について、2023年度から高校生に拡大することを明らかにし、所得制限や自己負担は設けず無償化すると発表した。

 東京都は2022年1月、子どもの医療費助成の対象を中学生から高校生までに拡大するすることを発表。高校生の医療費を巡っては、所得制限を設け、小中高生における通院1回につき上限200円を自己負担とした上で、残りを助成する方針を表明していた。
 その後、東京都は2023年度から2025年度までの3年間は都の財源で経費を全額負担し、2026年度以降の負担割合は今後の協議とすることを特別区に提案。特別区長会は今回、2023年度から事業を実施するため、2026年(令和8年)度以降の財源等については東京都との協議を継続することとし、東京都の提案をいったん了承した。なお、東京都は所得制限を設け、200円の自己負担を求める方式を主張している。
 特別区長会は、特別区として所得制限や自己負担を設けない完全無償化で事業を実施するため、東京都の補助金でまかなえない財源は、23区が自主財源で負担する方針。東京23区の負担分は13億円以上と見込む。