声明 政府は健康保険証廃止法案を撤回し、健康保険証の継続を

 政府は3月7日、健康保険証を廃止して、マイナンバーカードと健康保険証を一体化(以下、マイナ保険証)するとしたマイナンバー法など関連法改正案を閣議決定し、本日、4月14日の第211回通常国会に提出した。2023年4月から医療機関にオンライン資格確認システムの導入を義務化し、2024年秋には健康保険証を廃止するとしている。デジタル改革の推進のもとに行われているマイナンバー法やオンライン資格確認システム導入の義務化、現行の健康保険証の廃止は、取得が任意であるはずのマイナンバーカードを事実上義務化させることになり、選択の自由と国民皆保険制度を壊しかねない問題である。

 そもそも、国民皆保険制度は、「いつでも」、「どこでも」、「誰でも」、日本国内で等しく医療が受けられるものである。健康保険証を廃止し、マイナ保険証を取得しない国民は、「資格確認書」を申請しなければ、公的医療が受けられなくなる。さらにマイナ保険証で資格確認ができない場合に患者の窓口負担金が増加することも公的医療の平等性から問題である。

 昨年11月に全国保険医団体連合会が実施したオンライン資格確認システムに対する調査(回答:8,707件)では、「有効な保険証でも『無効』と表示された(62%)」、「カードリーダーの不具合があった『41%』」など、システムトラブルが多く発生している。システムトラブルにより資格確認ができない場合に、健康保険証の提示がないと、患者には窓口負担金を一時的に10割で支払いをしてもらうことになるなど、患者も不利益を被っている。また、全国世論調査(読売新聞社2022年11月4日~6日)では、2024年秋に健康保険証を原則としてマイナンバーカードに一本化する政府の方針について、「賛成」44%、「反対」49%と意見が分かれている。

 国民、医療現場での理解が十分に得られないまま、健康保険証を廃止することはやめるべきだ。国の責務として国民の声を受け止め、健康保険証廃止法案の撤回を求める。

 

2023年4月14

東京歯科保険医協会 理事会

 

20230414理事会声明(健康保険証廃止法案を撤回し、健康保険証の継続を)