第51回定期総会「決議」

国は、医療DX(Digital Transformation)を進めており、マイナンバーカードの導入を理由に2024年秋に健康保険証を廃止するマイナンバー法等の一部改正法案を成立させた。自動的に交付される健康保険証と異なり、施設に入居している患者などマイナンバーカードによる資格確認を受けることができない方は資格確認書の申請が必要であり、申請漏れによる無保険者を続出させる危険性をはらんでいる。国民皆保険制度の根本をゆるがす問題であり、国民誰しもが保険診療を受けられるように健康保険証の廃止はするべきではない。

また、当協会も実施した全国保険医団体連合会のアンケートでは、「他人の情報が紐づけられていた」ケースが少なくとも37件あるなど、オンライン資格確認システム自体にも深刻なトラブルが発生していることが明らかになった。不完全なシステムであれば検証と修正をするべきであり、改善されないまま導入義務化を継続するべきではない。

さらに、歯科の半数以上が電子媒体で診療報酬を請求している中で、20244月よりオンライン請求の義務化が検討されている。しかし、電子レセプトの提出方法を郵送ではなくオンラインに限定する審査上の必要性はなく、医療機関側には移行に伴うコストが生じる一方で、利点としては審査機関側の事務コスト削減しかない。このように、医療機関側のみに不利益を生じさせる施策は直ちに止めるべきである。

他方、医療機関の経営をみれば、物価高が深刻な影響を及ぼしている。コストを踏まえた診療報酬の引き上げを、次期診療報酬改定で行うことが必須である。

国が推し進めている安心安全な医療の提供を脅かす動き、そして人の命を奪う戦争や核兵器使用で諸国を威嚇するいかなる行動に断固反対し、国民の生活と歯科医療のより一層の充実に向けた運動を国民とともに力を合わせ、推進するために、以下の要求を国民、政府及び歯科保険診療に携わる全ての方に表明する。

一.国は、現行の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする日本の社会保障制度を更に充実させること。

一.国は、健康保険証を存続させ、オンライン請求およびオンライン資格確認システムの導入義務化を撤回すること。

一.国は、物価高騰を踏まえ、診療報酬の引き上げを行うこと。

一.私たち歯科医師は、平和を妨げるすべての動きに反対する。

 

2023年6月18日

東京歯科保険医協会

第51回定期総会

第51回定期総会会場の風景