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歯科口腔保健の推進を厚労省を挙げて実施へ/2016年度厚生労働省予算概算要求案が明らかに

歯科口腔保健の推進を厚労省を挙げて実施へ/2016年度厚生労働省予算概算要求案が明らかに

厚生労働省は、昨日8月31日、2016年度予算概算要求案を発表した。それによると、来年度予算案は、2015年度当初予算比2.5%増の30兆6675億円と過去最大。そのうち年金・医療などの社会保障関係費は同2.4%増の28兆7126億円となっている。

来年度予算要求案の柱は、①予防・健康づくりの推進等、②総合的ながん対策の推進、③「全員参加の社会」の実現、④医療分野の研究開発の推進等―など8本。これらのうち、歯科関連の内容を見ると、①の中に「歯科口腔保健の普及啓発に取り組むとともに、口腔保健センターの設置を促進」が提起されており、具体的には「歯科口腔保健の推進」と銘打って、以下の2施策を予定している。要求額は15億円だ。

◆歯科疾患に関する実態調査、歯科保健サービスの効果検証の結果をもとに、地域での住民対話による普及啓発や、地方公共団体における口腔保健センターの設置推進などを行い、生涯を通じた歯科口腔保健背作を展開する。

 ◆後期高齢者医療広域連合が実施する高齢者の特性を踏まえた歯科検診の実施などについて支援を行う。

なお、この「歯科口腔保健の推進」は、厚労省が先に決定した『保険医療2035』を巡る関連施策としても位置付けられており、今後の財務省との予算折衝が注目されるところだ。

歯科訪問診療の悩み打ち明け合う/歯科訪問診療懇談会開催

歯科訪問診療の悩み打ち明け合う/歯科訪問診療懇談会開催訪問診療懇談会1

7月22日(水)、協会会議室にて、歯科訪問診療「これ困った!!」をテーマに歯科訪問診療懇談会を行いました。定員を20名としていましたが、定員を超える23名が参加し、会員同士で素朴な疑問や悩みを出し合いました。

懇談のきっかけになるよう話題提供として、当協会地域医療部担当の横山靖弘理事からシームレスな訪問診療~外来の患者さんを訪問診療にどうつなげるか~をテーマに、三幣部員より私の失敗事例~失敗事例より学ぶ~をテーマにそれぞれ事例を報告しました。

 横山理事は、訪問診療を実施している患者でも、難しい歯内療法や抜歯などの場合、無理をして在宅で治療をするのではなく、一時的に介助や搬送によって診療所に来てもらい治療をする選択肢もあると述べました。また、自身が訪問診療で使用している器材などの紹介も行いました。

 三幣部員は、これまでの訪問診療の経験の中での、準備不足・情報収集・目的と手段のはき違えの3つの失敗体験とそこから導きだされた教訓や注意している点などを紹介しました。在宅歯科医療の心構えを携え、手抜きすることなく、患者・家族・介護者・医療者みんなが喜ぶ治療を目指していきたいと述べました。

様々な悩みを共有

懇談では、高齢者の残存歯や大型補綴が多いことによる治療の難しさや、介護保険の複雑さ、治療が長期化しやすいことなど、さまざまな悩みを共有し合いました。中でも他職種との連携に関しての悩みが多く、「ヘルパーに口腔ケアを頼むが十分でない」「医科に薬の量の調整を頼んでも返事がこない」「ケアマネが代わった時の対応で困っている」などの声が寄せられました。それらに対し、「患者の状況を改善したいと一番に考えてくれるキーパーソンを見つけることが大切」「治療に関係ないことでも他職種や付添いの家族と会話し、信頼関係を築くことが大切」等のアドバイスが出され、会員同士で活発な意見交換が行われました。

懇談会後のアンケートでは、「日ごろの自分の悩みは出席されている方も同じなんだと少し安心した」「他院の訪問診療の留意点が理解できた」「いろんな意見を聞けて役立った」などの感想が出されました。悩みを共有し相談し合うことによって明日からの診療に活かせる有意義な懇談会となりました。

訪問診療懇談会2

若手歯科医師向け学術ベーシック講座/支台歯形成の勘どころ

 若手歯科医師向け学術ベーシック講座 

【お座席わずか!】今年で3年目となる若手歯科医師向けのベーシック講座を今年も開催いたします。今年の夏は、基本的な手技や見落としがちなコツを改めて見直してはいかがでしょうか。今回は支台歯形成について解説いたします。

☆テーマ 「支台歯形成の勘どころ」

☆講 師 坪田有史 氏(東京歯科保険医協会 副会長)

◆日 時 8月29日(土) 午後7時~午後9時

◆内 容 保存修復や歯冠補綴は、臨床において毎日のように行われる歯科診療の柱となる行為です。その行為の中で、う蝕除去、インレー形成、支台歯形成などの基本的な術式を効率的に確実に行うためにはベーシックな部分の理解が必要です。そし て、その理解がミニマル・インターベンションの実践や、セラミック修復などの審美修復の成功に繋がります。今回、「支台歯形成の勘どころ」を解説し、日常臨床のスキルアップを図っていただきます。(講師より)

◆会 場 東京歯科保険医協会・協会会議室(新宿区高田馬場1-29-8新宿東豊ビル6階)

◆交 通 JR山手線、西武新宿線、東京メトロ東西線 高田馬場駅下車徒歩5分

◆対象者 40歳代までの会員限定

◆参加費 各回1名につき4,000円

◆定 員 各回30名(定員になり次第締切)

◆要予約 03-3205-2999(担当:社保・学術部)

マイナンバー制度で歯科医療機関はどうなる?/機関紙2015年8月1日号(№545号)より ≪協会顧問税理士 荒川俊之監修≫

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マイナンバー制度で歯科医療機関はどうなる?/機関紙2015年8月1日号(№545号)より

≪協会顧問税理士 荒川俊之監修≫

◆そもそもマイナンバー制度とは?

質問① そもそもマイナンバー制度とは何か。

回答① 国民一人ひとりに、唯一無二の12ケタの個人番号(マイナンバー)を付番して、行政上の業務において個人を識別させるものです。また企業・官公庁などの法人には13ケタの法人番号を付番します。このマイナンバー準備手続きとして2015年10月以降に住民票がある住所の各世帯にマイナンバーの「通知カード」が郵送されます。通知カードには「氏名」「住所」「生年月日」「性別」「マイナンバー」が記載されます。なお、2016年1月からこの制度の利用が開始される見通しです。

 

質問② この制度の目的は何か。

回答② 政府は①行政運営の効率化、②公平・公正な社会の実現、③国民の利便性の向上―と説明しています。具体的には、①行政機関や地方公共団体において情報の照合、転記、入力等の手間が削減され国民に対してこれまで以上に対応する時間がとれる、②個人番号により、所得や行政サービスの受給の状況を把握しやすくなり、不正を排し、適正な課税やサービス受給につながる、と説明しています。このほか、「2017年1月から行政機関が保有する自己の情報を確認でき、自己に合ったサービスのお知らせを受け取ることができる」、という説明もしていますが、正式には現時点で未定です。

 

質問③ どういった場面でマイナンバーが利用されるのか。

回答③ 現段階では「社会保障」「税」「災害対策」の3分野に限定しています。また政府の説明では法人番号はマイナンバーと違い、誰でも自由に利用でき、例えば取引先情報の登録や更新作業の効率化、取引きでの添付書類の削減で事務効率が良くなるとしています。

 

◆ 秋以降に歯科医療機関で何が起きる?

質問④ 医療機関にはこの制度がどう関わるのか。

回答④ 現段階で最も大きな影響は、従業員の税務や労働保険・社会保険の手続きの書類に従業員の個々のマイナンバーを記載することが義務付けられていることです。そのため、パートやフルタイムを問わず従業員のマイナンバーを「取得」することがまず求められています。なお、従業員本人だけではなくその方が扶養している家族分も含めて取得します。

 

質問⑤ 個人立の医療機関で税務関係の書類を税務署に提出する際に院長(個人事業主)個人のマイナンバーを記載する必要はあるか。

回答⑤ 個人事業主の場合、事業主ご自身の確定申告書類には記入が必要ですが、それ以外には記載する必要はありません。

 

 

質問⑥ 従業員からマイナンバーを教えてもらうだけなら、簡単なのではないか。

回答⑥ 先生(事業主)が取得したマイナンバーが間違いなく従業員本人のものであるという本人確認が必要とされています。具体的には通知カードだけではなく運転免許証やパスポートなどで間違いなく本人のマイナンバーであることを確認するというものです。さらに、歯科医療機関を含めた事業者は法律上、「個人番号関係事務実施者」と位置付けられ、安全管理措置を行いながらマイナンバーの事務を行うのです。つまり「マイナンバーが絶対漏れないような対策を講じなさい」ということです。先生はマイナンバー取得のほか「利用提供」「保管」「廃棄」まで行うとされています。また、正当な理由なく特定個人情報ファイルを外部に提供した場合は「4年以下の懲役、または200万円以下の罰金(またはその併科)」という非常に重い刑罰が科されます。先生方は非常に大きな責任を負わされていると言わざるをえません。

 

質問⑦ マイナンバーの「利用提供」「保管」「廃棄」とは何か。

回答⑦ 税務署などの関係官庁に書類を提出する際にマイナンバーを記載することを「利用」といいます。この際に注意が必要なのが、目的外利用ができないことです。すなわち「回答③」でご紹介した「社会保障」「税」の手続きに限って利用できるわけであり、マイナンバーをそのまま従業員番号として利用するなどはできません。また「保管」に関しては、マイナンバーなどの個人情報を実際に取り扱う「事務取扱担当者」やそれを監督する「責任者」の選定が義務となっています。さらにマイナンバーが記載された書類をカギ付きロッカーに保管する、パソコンに入力する際は作業する場所が間仕切りやディスプレイに覗き見防止ガードを付けるなどの措置を講じなければなりません。また、利用目的が終了または法定保存期限(税務書類はおおむね7年)が来たら必ず廃棄するなどの措置が必要です。こうした措置についてかかるコストは、各事業所の持ち出しとなっています。

 

質問⑧ 当院は顧問税理士に税務を委託しているため関係ないのでは。

回答⑧ 税理士に委託する場合でも院長が委託先を監督する責任がありますのでご注意ください。

 

質問⑨ 当院は従業員を雇用していないが、関わりがあるか。

回答⑨ 講演会の講師や原稿執筆で報酬を受け取る先生は自身のマイナンバーを報酬の支払い者に伝え、その支払い者が先生の本人確認を行うことになります。

歯科に関する記述は120提言に見当たらず/塩崎厚生労働大臣が「保険医療2035推進本部」を創設し初会合/「工程表で具体化を」指示

塩崎厚生労働大臣が「保険医療2035推進本部」を創設し初会合/「工程表で具体化を」指示

 塩崎恭久厚生労働大臣は8月6日、20年後を見据えた医療制度改革実行計画を協議・検討するための「保険医療2035推進本部」を創設し、初会合を開催した。

席上、まずあいさつに立った塩崎厚労相は「できるものから工程表をつくって具体化してほしい」と訴えた。今後、この推進本部では、本年9月中を目途に個々の改革案の実現に向けた作業を行う。関連経費の一部は、2016年度予算概算要求案に盛り込まれる。

同本部立ち上げの目的は、本年6月に塩崎厚労相が設けた懇談会がまとめた「保険医療2035提言書」を実現すること。初会合の資料の中では、都道府県ごとの医療費の管理や、軽症患者の自己負担増、治療の成果に応じた医師の報酬、たばこや酒への課税強化など120項目の改革案が示された。塩崎厚労相は推進本部に出席した厚労省の幹部に対して「中長期的な改革として先送りしないようにしてほしい」と実現を急ぐよう求めた。

◆提言集120項目には「歯科」「口腔」などの表記は一切なし

なお、会議資料の中には、6月の提言集から抜粋した「“保険医療2035”の提言集(120項目)」が織り込まれているが、その中で、歯科サイドからも見落とせないものの一部を以下に紹介する。

  • №11 総合的な◇(医療・介護・リハビリ含めた対応が可能な職種)を検討する。
  • №21 将来的には都道府県において医療費をより適正化できる手段を強化する(診療報酬の一部を都道府県が主体的に決定する)
  • №24 保険医の配置・定数の設定や自由開業・自由標榜の見直しを含めた、地域や診療科の偏在是正のための資源の適正配置を行う。
  • №26 すべての地域で総合的な診療を行うかかりつけ医を配置する体制を構築する。
  • №27 総合的な診療を行っている地域のかかりつけ医が行う診療については包括的な評価を行う。
  • №28 総合的な診療を行うかかりつけ医を受診した場合の費用負担について、他の医療機関を受診した場合と比較して差を設けることを検討する。
  • №99 医師一人当たりの生産性を高める

ただ、6月に発表された「保険医療2035提言書」では、「口腔ケアは、口腔機能の維持のみならず、誤嚥性肺炎予防や糖尿病等の改善などにも密接に関連する。ライフコース全般にわたる予防・健康管理の観点からも、今後さらに医科歯科連携を促進する」が明記され、その推進の必要性を強調していたが、今回の本部会議資料には、「歯科」「口腔」といった歯科関連の表記は一切ない。

なお、「かかりつけ医」に関する記述は、「地域のかかりつけ医の“ゲートオープナー”機能を確立する」との視点から、以下のような方向を明記しており、「総合診療医」構想とその評価に関して、今後どのような厚労省内での議論が行われ、政策的手段が取られるのか。あるいは、ここでいう「かかりつけ医」には「かかりつけ歯科医」が含まれているのか否か、などには充分に注意して行く必要がある。

① 高齢化等に伴い個別の臓器や疾患を超えた多様な問題を抱える患者が増加し、医療技術の複雑化、専門化が進む中、身近な医師が、患者の状態や価値観も踏まえて、適切な医療を円滑に受けられるようサポートする「ゲートオープナー」機能を確立する。これにより、患者はかかりつけ医から全人的な医療サービスを受けることができ、また適切な医療機関の選択を可能とする。
② このためには、総合的な診療を行うことができるかかりつけ医のさらなる育成が必須であり、今後10 年間程度ですべての地域でこうした総合的な診療を行う医師を配置する体制を構築する。
③総合的に医学的管理を行っている地域のかかりつけ医が行う診療については、包括的な評価を行う。特に、高齢者と子どもについては、かかりつけ医が重要であり、かかりつけ医をもつことを普及させる。このため、総合的な診療を行うかかりつけ医を受診した場合の費用負担については、他の医療機関を受診した場合と比較して差を設けることを検討する。これにより、過剰受診や過剰投薬の是正等の効果も考えられる。

 2035推進本部②

歯系議員候補では関口氏を公認/自民党が来夏参院選挙第一次公認候補者発表

歯系議員候補では関口氏を公認/自民党が来夏参院選挙第一次公認候補者発表

自民党は8月3日、選挙対策本部会議を開催し、来年夏に実施される参議院議員選挙の第1次公認候補者として39名(選挙区27名、比例代表12名)を発表した。

そのうち、医療職関連からの公認候補者は、以下の4氏(順不同、敬称略)。今後も公認申請は受け付けられており、申請すれば2次公認も行われる予定だ。

また、改正公職選挙法により、いわゆる「合区」の対象となった、①島根県と鳥取県、②徳島県と高知県―については、今回は決定を見送っている。

《選挙区》

☆関口昌一 :歯科医師/現職・3期、埼玉、

☆藤川基之 :薬剤師/現職・1期、愛知

《比例代表》

☆高階恵美子:看護師/現職・2期

☆自見はなこ:医師/新人、日本医師連盟参与

政策委員長談話 「立憲民主主義を否定する安全保障関連法案は廃案とすべき」

政策委員長談話

『立憲民主主義を否定する安全保障関連法案は廃案とすべき』

安全保障関連法案が7月15日、衆議院の安全保障特別委員会強行採決され、翌7月16日に衆議院本会議で与党および次世代の党の賛成で可決された。委員会採決後、安倍晋三首相は「国民に丁寧にわかりやすく説明していきたい」と発言しているが、60日ルールを踏まえた採決強行に対して多くの人が危惧を抱いたと思われる。その後の世論調査を見ると内閣支持率は急低下し40%を割り込み、不支持率は50%を超えている。戦後70年、歴代内閣と国会が積み上げてきた1972年、自民党内閣での「集団的自衛権は認められない」との憲法解釈を2014年に閣議決定で変更し、解釈改憲への道筋をつけたが、その根拠といえば1959年、自衛隊の存在に対する「砂川判決」での「個別的自衛権は現行憲法のもとでも認められる」を拡大解釈するもので、どこにも集団的自衛権の文言は存在しない。このようなご都合主義的な説明に対して多くの憲法学者、元内閣法制局長官がこの法案は「違憲」であり「立憲民主主義」を否定するものとの声をあげている。国民主権を旨とする憲法は、国家権力の乱用を縛るためにあり、憲法に違反する法律を創ることは、民主主義の政治体制を否定することに繋がる。戦後70年を迎え、時代の変化に伴い見直すべきあるいは追加すべき項が存在するとも思われるが、十分な議論を経て国民に判断を求めるべきであり、絶対多数を持った一内閣の解釈で実質的な改憲を行うことは一党独裁と同じである。

わが国を取り巻く安全保障環境は、中国・北朝鮮・ロシアとの関係で大きな問題を抱えていることも事実だが、安倍首相の答弁にある「危機に備える政治の責任」「備えあれば憂いなし」は当然だが「危機の想定は」無限に可能であり、備えの範囲も限りがない。

戦時中に生まれ、戦後の混乱期を体験した者としては、周辺事態に加え重要事態にも対応するためとして行うさまざまな「備」は、昭和初期、欧米列強に対抗するためとして国防費の増大、国民生活予算の削減、国債の増発に突き進んだ歴史からみて、大政翼賛的な今の政治状況が続くとやがて防衛予算の増大、社会保障予算の削減に繋がるおそれがある。

社会保障の一翼を担い、国民の命・健康に寄与する歯科医師としても国民主権の基礎である憲法に反する本法案は廃案とし、国民が納得できる政策論議をすべきである。

2015年7月24日

東京歯科保険医協会政策委員長 中川勝洋

女性歯科医師活躍WGが第2回会合を開催/4つの論点を提起

厚労省の女性歯科医師活躍WGが第2回会合を開催/4つの論点を提起

厚生労働省は7月15日、「歯科医師の資質向上等に関する検討会」傘下の「女性歯科医師の活躍に関するワーキンググループ(WG)」(座長:三浦宏子/国立保健医療科学院国際協力研究部部長)の第2回会合を同省内会議室で開催した。

その中では、まず医科サイドの情勢意志支援方策について説明、報告、議論が行った上で、女性歯科医師について議論を移し、女性歯科医師の勤務支援に関しては、①医師全体の勤務環境の整備、②医療への適正な投資、③指導的立場、意思決定機関への女性の参画―などが指摘された。

さらにこのWGでの論点として、①女性歯科医師が育児や介護に際しても継続して就労するために必要な体制整備、②出産等に伴い比較的早期にキャリアを中断した歯科医師等の復職にかかわる支援制度、③ライフイベントにあわせ、働き方を柔軟に変化させることができる支援体制、④女性歯科医師がキャリアパスを描けるような卒前教育や臨床研修について―などを提起した。

政府は我が国の成長戦略の中でも女性の活躍を推進することを打ち出しており、今後の女性歯科医師に対する支援策が注目されよう。

「ゼロ税率」適用を求める会員署名に引き続きご協力をお願いいたします/ただし、東京歯科保険医協会会員の先生のご署名のみ有効です

「ゼロ税率」適用を求める会員署名に引き続きご協力をお願いいたします

※ご注意ください:東京歯科保険医協会会員の先生のご署名のみ有効です

昨年4月、消費税が5%から8%へ引き上げられました。その後、会員の先生方の歯科診療所の経営も、「損税」により、圧迫されています。協会では、この損税解消のため、社会保険診療報酬にかかる消費税への「ゼロ税率」適用を進めるための会員署名活動を進めています。7月15日現在、会員の先生方からいただいております署名数は1817筆です。この署名は国会に提出しますが、そのためにも会員の先生方のご協力が必要です。あと、もう少しで50%を超えます。ぜひ、先生方のご協力をお願いいたします。

この署名用紙のイラストは、「家裁の人」「玄米先生の弁当箱」「ひよっこ料理人」の作者の魚戸おさむ氏による作画です。PDFボタンをクリックしますとダウンロードすることができます。まだ、ご署名をいただいていない会員先生は、ぜひ、この機会に以下の要領で協会までFAXでお送りください。

◆署名用紙ダウンロード署名(ゴム印でも構いません)FAXで協会へ送信

      【 FAX番号 03-3205-3051  or  03-3205-3050 】

※ご注意ください:東京歯科保険医協会会員の先生のご署名のみ有効です

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―本日7月16日開催― 開業医のための歯内療法研究会 

―本日開催― 開業医のための歯内療法研究会 

☆テーマ 「GPの歯内療法 その質を高めるために」

☆講 師  阿部修 氏(東京都開業、東京歯科大学非常勤講師)

◆日 時 7月16日(木) 午後7時~午後9時

◆会 場 文京シビック小ホール(住所:文京区春日1-16-21)

◆交 通 東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」、都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」、JR中央・総武線「水道橋駅」徒歩8分。下の写真は建物の概観です。駅至近。

本日の研究会は、予定通り開催いたします。雨天によりお足元が滑りやすいのでお越しいただく際はお気をつけ下さい。多くの方のご参加お待ちしております。

◆DSCF4743

 

日本歯科衛生士会の武井会長を訪問

日本歯科衛生士会の武井会長を訪問

7月9日、保団連理事を務める協会の森元主税理事と保団連の宇佐美宏歯科代表をはじめとする8名が、日本歯科衛生士会の新会長に就任した武井典子氏を訪問した。日衛からは武井会長のほかに前会長で現在顧問の金澤紀子氏、事務局長の村上安昭氏が列席した。

写真左が日本歯科衛生士会の武井典子新会長. 右は前会長の金澤紀子顧問

写真左が日本歯科衛生士会の武井典子新会長.
右は前会長の金澤紀子顧問

宇佐美歯科代表が武井会長への新会長就任への祝辞を贈るとともに、保険医協会と保団連の歯科衛生士関連事業や各種の取り組みについて説明し、武井会長は歯科医療を取り巻く諸環境の変化とこれからの歯科衛生士に求められる技能とその育成、研修などについて説明があった。続いて金澤顧問は、これまでの歯科衛生士の職務内容や役割、さらに歯科衛生士法改正後の歯科衛生士のあり方などについて説明が加えられた。

知っておきたい雇用のルール②結核健診の報告義務と医療安全の院内講習/機関紙2015年7月1日号(№544号)より

知っておきたい雇用のルール②結核健診の報告義務と医療安全の院内講習/機関紙2015年7月1日号(№544号)より

 

質問① 保健所から「結核定期健康診断実施状況報告書」という書類が届いた。当院は常勤の職員が1人いるが、特に定期結核健康診断は行っていない。どのように対応すればよいか。

回答① 医療機関に対して、法令により「年1回の定期結核検診の実施」と「保健所への定期結核検診実施状況の報告」が義務付けられています。また定期結核健診の内容は胸部エックス線検査等があります。この健診は医療機関の管理者含め全職員が対象です。ご質問のケースでは、常勤の職員を雇用しているため、いわゆる「職場健診」を行っていると思われます。職場健診では胸部エックス線検査を行いますので、その結果を医療機関の管理者が把握すれば定期結核健診を実施しているとみなされます。またパート職員で主婦の方の場合、ご主人の会社の職場健診を受診しているケースもあると思われますが、その中の胸部エックス線検査の結果を結核定期健康診断実施状況報告書に記載しても問題ありません。なお、定期結核健康診断の実施義務について罰則はありません。しかし、結核を感染させる心配がないことを確認することは、患者の健康を守るという医療機関の社会的役割に照らして重要なことですので、できる限りの協力をすることが望ましいでしょう。

 

質問② 「医療機関は医療安全に関する講習会を院内で開催しなければならない」という話を聞いたが、本当か。当院は歯科医師が私1人、そして職員1人と非常に小さいため、日々の診療に追われ、講習会を行う余裕はないのだが、どうすればよいか。

回答② 医療法では、医療機関のすべての職員に、安全管理に関する内容の研修を年2回行うことが義務付けられています。研修の例としては、「医療の専門的知識や技術に関する研修」「法や倫理の分野から学ぶ医療従事者の責務と倫理」「患者・家族や事故の被害者から学ぶ医療安全に関する研修」などがあげられます。また、研修内容(開催日時、出席者、研修項目)を記録するとしています。なお、無床診療所においては、外部の研修を職員に受講させて代用することができます。当協会経営管理部では医療安全に関する研修会を今年度では3回開催する予定です。こうした機会を積極的に活用されてはいかがでしょうか。

 

※関連法令等:回答①:感染症法第53条の2、同法施行令第12条、同法第53条の7、同法施行令第27条の2、同法53条の4、労働安全衛生法施行規則第44条。回答②:医療法第6条の10、同法施行規則第1条の11、平成19年3月30日医政発第0330010号。

開業医のための歯内療法研究会/テーマは「GPの歯内療法 その質を高めるために」

開業医のための歯内療法研究会 

☆テーマ 「GPの歯内療法 その質を高めるために」
☆講 師:阿部修 氏(東京都開業、東京歯科大学非常勤講師、日本歯内療法学会教育研究委員)
◆日 時 7月16日(木) 午後7時~午後9時
◆内容
歯内療法は見えにくい根管内で行われる繊細な処置の連続であることから、頭に描く処置のイメージと、実際の処置後の状態が異なって いる可能性があります。自分の手技で、根管清掃をはじめとした基本操作がどの程度達成されているのか、こうした点を顧みて検証する必要があります。歯内療法の質を少しでも高めるために、一般開業医として何ができるのかについて、一緒に考えていただければと思います。(講師より)
◆会 場 文京シビック小ホール( 住所:文京区春日1-16-21)
◆交 通 東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」4bまたは5番出口徒歩3分、都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」(文京シビックセンター前)、JR中央・総武線「水道橋駅」徒歩8分
◆参加費 会員無料(同伴者1名につき1,000円、未入会員8,000円)
◆予約不要 当日は会員証を受付にご提示ください。
 ※2015年度日本歯科医師会生涯研修2単位の登録を予定。

歯科衛生士の養成に注目集まる/都内でも養成校が増加傾向に

歯科衛生士の養成に注目集まる/都内でも養成校が増加傾向に

超高齢社会に突入したわが国の健康問題に関しては、各種検討機関やその報告書の中で「口腔ケア」の重要性が指摘されることが多くなった。さらに、口腔ケアを行う歯科衛生士の存在そのものも注目されており、歯科に関する病気や歯と全身疾患の関連の歯科医療ニーズもだんだんと高くなってきており、歯科衛生士の養成も注目されている。ここでは、東京都内の最近の動向をお伝えする。

◆学校法人専門学校「首都医校」:東京都新宿区所在。JR・小田急線・京王線新宿駅西口の眼前に望見できるコクーンビルが同校であり、医療関連職種の専門学校である。同校では2016年4月から「歯科医療学部」を新設し、この学科に「歯科衛生士科・歯科秘書科(昼間3年・夜間3年)」を設ける予定だ。同校は、「時代が求めるチーム医療に対応する」ことを掲げており、昼夜合わせてすでに31学科が設置されている。

◆新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校:やはり新宿区所在で、本年4月にプロフェッショナルの歯科衛生士養成を目的に「歯科衛生学科」を新設しスタートしたばかり。学校名も「新宿鍼灸柔整専門学校」から「新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校」に変更している。同校は、もともとヒューマンサイエンス鍼灸学科、ヒューマンサイエンス柔道整復学科をもっており、ともに昼間部、夜間部があり、ともに定員は70名だ。

◆今後の展開に注目

そのほか、栄養士や管理栄養士を要請する専門学校の中にも歯科衛生士養成に強い関心を抱いている学校があり、今後の展開が注目される。

「保険でよい歯を」東京連絡会が認知症の口腔ケアで講習会開催

「保険でよい歯を」東京連絡会が認知症の口腔ケアで講習会開催

 

「保険でよい歯投稿連絡会」はこのほど,2015年夏の講習会として、東京都長寿医療センター研究所長を講師に招いて「認知症の口腔ケア食支援」を開催することになった。

◆日時 8月2日(日)午後1時30分~4時

◆講師 平野浩彦氏(歯科医師):東京都健康長寿医療センター研究所部長。

◆会場 エムワイ貸会議室RoomC/高田馬場駅徒歩5分。

◆定員 100名

◆資料代 500円

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医科の先生も歯科を知りたい!! 医科の協会(東京保険医協会)の支部会に参加してみませんか。練馬地区と 江東地区で開催します。

医科の先生も歯科を知りたい!!

医科の協会(東京保険医協会)の支部会に参加してみませんか。練馬地区と

江東地区で開催します。

一東京保険医協会練馬支部例会のご案内一

テーマ「在宅診療における摂食えん下障害の評価とケア」

 

在宅・施設介護において入院・急変の大きな原因となる誤嚥性肺炎。適切な口腔ケアと嚥下訓練によって発症を大きく減らすことができますが、実際の在宅現場における医科歯科連携はまだまだ進んでいません。長らく練馬区で嚥下内視鏡を含む専門的評価・治療を実践している田中賦彦先生のお話を、また、実際に医科と歯科で連携した在宅医療の実例を、吉田篤史先生(歯科)と申偉秀先生(医科)にご紹介いただきます。

東京保険医協会支部会①450pix

在宅診療における医科と歯科との連携について、意見交換したいと思います。ご多忙かとは思いますが、多数のご参加をお待ちしております。

日時:2015年7月16日(木)19:30~21:00

会場:練馬区役所19F大会議室「1903」(練馬区豊玉北6-12-1練馬駅徒歩7分)

定員:練馬区周辺で診療する会員 20名(要予約)

参加費:無料(懇談会終了後に懇親会を予定しております。参加費は各自負担となります。)

問合せ:東京歯科保険医協会 担当 中西  TEL:03-3205-2999

 

 

一東京保険医協会江東支部例会のご案内一

テーマ「医科も歯科のことをもっと知りたい」

 

江東支部の医科の会員から「乳幼児期の歯、口腔の疾患を知っておきたい」、「虫歯の予防としてのブラッシング、ハミガキ液の基本」、「矯正をしなくてもよい日頃の口腔管理は」、「内科医だが、連携できる先生を紹介してほしい」などの要望があり「歯科」をテーマに例会を開催することとなりました。医科と歯科で、意見交換したいと思います。ご多忙かとは思いますが、多数のご参加をお待ちしております。

 東京保険医協会支部会②450pix

日時:2015年7月28日(火)19:30~21:00

会場:亀戸文化センター 7階 第2会議室(JR亀戸駅徒歩1分)

定員:江東区周辺で診療する会員 20名(要予約)

参加費:無料(懇談会終了後に懇親会を予定しております。参加費は各自負担となります。)

問合せ:東京歯科保険医協会 担当 中西  TEL:03-3205-2999

第43回定期総会を開催/会員間の連携を強め、安心して医療を提供できる環境整備を

第43回定期総会を開催/会員間の連携を強め、安心して医療を提供できる環境整備を

 

6月21日、協会は新宿区高田馬場のエムワイ貸会議室にて第43回定期総会を開催した。一般会員のほか役員が参加し、メディアからは3社5名の方が取材に訪れた。

総会の冒頭で松島会長は、会長を務めた4年の就任期間を振り返りと、今後取り組むべき課題として医科歯科連携の強化、個別指導や患者トラブルにおびえず安心して治療に専念できる制度づくり、ネットを使った啓蒙活動の3つを掲げ、協会のさらなる発展への意気込みを語った。

森田中医協前会長が診療報酬改定を中心に講演

記念講演では「医療を取り巻く環境の変化と改革の方向」と題して、中医協前会長の森田朗氏に講演いただいた。2016年度の診療報酬改定が主な話題で、前回の診療報酬改定の振り返りと、現在の社会保障費の膨張といった財政上の問題や歯科においての課題として、訪問診療と医科歯科連携などを挙げた。

協会の活動計画や予算案を審議の上すべて承認

総会議事では、まず矢野正明副会長が2014年度の活動を多彩な写真で振り返り、呉橋副会長が2014年度の決算報告と2015年度の予算案を報告した。濱副会長からは2015年度の活動計画の報告がなされた。一般会員からは協会の活動に対する質問が多く出され、審議がなされた上で議案5本はすべて賛成多数で可決された。

懇親会では国会議員などが参加

懇親会では来賓として、まず、東京保険医協会の拝殿清名会長、保団連の田辺隆副会長、東京民医連の前田茂氏、協会顧問弁護士の前川雄志氏、協会顧問税理士の荒川俊之氏あいさつした。続いて、国会議員の初鹿明博氏(衆議院・維新の党)、小池晃氏(参議院・日本共産党)、田村智子氏(参議院・日本共産党)。都議会議員の大山とも子氏(日本共産党)、田中朝子氏(都議会維新の党)、宮瀬英治氏(都議会維新の党)。さらに中野区議の小杉一男氏(日本共産党)をはじめ、多くの方々が参加し、挨拶を行った。

保険財源カバーは「保険対象者・サービスの範囲・負担の範囲」から/定期総会記念講演で森田朗前中医協会長が指摘

保険財源カバーは「保険対象者・サービスの範囲・負担の範囲」から/定期総会記念講演で森田朗前中医協会長が指摘

 

6月21日、東京歯科保険医協会の第43回定期総会が開催され、第1部の記念講演では、前・中医協会長で国立社会保障・人口問題研究所長の森田朗氏による記念講演『医療を取巻く環境の変化と改革の方向』が行われました。

森田氏は、講演の柱として、わが国の財政の現状と国民皆保険、診療報酬改定の動向と中医協、歯科医療の課題と展望、2016年診療報酬改定の課題―の4本を掲げ、まず社会保障給付費に触れ、2014年ベースとして全体で約120兆円。内訳は年金60兆円、医療40兆円、福祉20兆円で、今後もこの比率で推移すると指摘した上で、限りある保険財源でどこまで保険でカバーするのかを問題提起し、具体的には、①保険対象者、②サービスの範囲、③負担の範囲―の3方向からの検討の必要性があると指摘しました。

総会記念講演会場風景IMG_0682

◆消費税問題は中医協の外で議論を

また、消費税と診療報酬の関連については、「消費税を診療報酬に盛り込むことは原理的に間違っている。議論自体も中医協の外で議論すべきではないか」との考えを紹介しています。

◆14年改定での積み残し課題

次に、14年改定での歯科の特徴として、①消費税の8%引き上げへの対応、②在宅歯科医療の推進、③周術期口腔管理の充実、④医科医療機関との連携、⑤生活の質に配慮した歯科医療の充実―などを提起しています。

しかし、積み残された課題として、「在宅療養患者への訪問歯科診療、医科歯科連携強化、口腔機能維持・向上、歯の喪失リスク増加への対応」などを指摘し、次期2016年改定では、これらが取り上げられる可能性が強いことを示唆しました。

◆中医協のあり方自体を議論する必要性が

また、中医協の議論にはなじまない問題を議論するケースが出てきており、二〇一四改定の際に新たに作られた「地域医療介護総合確保基金」をその事例として紹介しています。

さらに、経済財政諮問会議など政府の諮問機関の答申をめぐり、医療関連部分は中医協で議論しているものの、「そのような状況は、診療報酬の中身を議論してきたこれまでの中医協のあり方について、論議する必要があるかもしれない」との考えを示した。

◆歯科医師需給問題にも言及

そのほか、歯科医師需給調整との関連で、森田氏が座長を務める厚労省の「歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ」での議論を参考に報告し、人口減少を前提とした議論が必要であり、この問題の議論は必ず経営問題に直結するため、一般的な見解と異なるのは当然であると指摘。ただ、「政府が私学に介入することは難しい面がある」とし、その原因の1つは、大学教育は文科省、歯科医師国家試験以降の歯科医師は厚労省と所轄行政がわかれていること」ではないかとしました。

第43回定期総会 「決議」

第43回定期総会 「決議」

わが国は2015年に高齢化率が26%を超え、4人に1人が高齢者となり、世界で最初に超高齢社会を迎えた国となった。世界経済の牽引車となってきたわが国の社会保障政策は、これから超高齢社会を迎える世界各国から注目されている。

しかし、わが国の実情は、バブル経済の崩壊に続く、リーマンショクや長引くデフレによる財政難を克服できずにもがき苦しんでいる有様である。社会保障政策を鑑みると2013年度の「社会保障制度改革プログラム法」、2014年度の「医療・介護総合確保推進法」に見られるように公的負担を削減し、「自助・共助」を基本とした社会保障制度へ舵を切り、制度維持を御旗に国民に負担を強いるものである。

一見、アベノミクスにより日本経済が回復したかのように見えるが、さらに追い打ちをかけるように、政府は2020年度でのプライマリーバランスの黒字化を目的に「財政健全化計画」を示した。まず、矢面に立っているのが社会保障であり具体的には、受診時定額負担、診療報酬のマイナス改定、後期高齢者窓口負担の2割化などが連なっている。これが実現されれば、国民、医療機関双方が痛みを強いられることになる。極めて多くの高齢者を抱える東京では、社会保障の後退を目の当たりにすることになる。

最近では周術期や在宅医療への歯科の積極的介入が誤嚥性肺炎を予防し、口から食べるという人間本来の機能を呼び戻すことが、患者のQOLを引き上げ、早期の社会復帰に貢献していることなどが注目されてきた。われわれ歯科保険医が有病者歯科医療の裾野を広げていくことは重要であり、社会的責務を担っているのは明白である。

患者の生命と健康を守る保険医として私たちは、医療を必要とする者がその医療を受けられない国にしてしまう社会保障の後退に断固反対する。

保険医が何の障害も受けず患者の生命と健康を守る医療が行え、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げるために、以下の項目を国に要請する。

                    記

一.わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げること。

一.高齢受給者や介護保険の負担金を引き下げること。

一.歯科診療報酬を引き上げること。

一.医療への消費税非課税制度を、ゼロ税率に改めること。

一.保険医を萎縮診療に誘導し、患者の受療権を侵害する高点数を理由とした一切の指導を行わないこと。

一.生命と健康を脅かすものを排除し、平和を尊ぶ社会を目指すこと。

 

                          2015年6月21日

東京歯科保険医協会

第43回定期総会

第43回定期総会で「決議」を採択

第43回定期総会で「決議」を採択

本日6月21日に開催した当協会の第43回定期総会で第6号議案として提示されておりました「決議」が参加者全員の賛成多数で採択されました。以下にその全文を掲げます。

第43回定期総会「決議」

わが国は2015年に高齢化率が26%を超え、4人に1人が高齢者となり、世界で最初に超高齢社会を迎えた国となった。世界経済の牽引車となってきたわが国の社会保障政策は、これから超高齢社会を迎える世界各国から注目されている。
しかし、わが国の実情は、バブル経済の崩壊に続く、リーマンショクや長引くデフレによる財政難を克服できずにもがき苦しんでいる有様である。社会保障政策を鑑みると2013年度の「社会保障制度改革プログラム法」、2014年度の「医療・介護総合確保推進法」に見られるように公的負担を削減し、「自助・共助」を基本とした社会保障制度へ舵を切り、制度維持を御旗に国民に負担を強いるものである。
一見、アベノミクスにより日本経済が回復したかのように見えるが、さらに追い打ちをかけるように、政府は2020年度でのプライマリーバランスの黒字化を目的に「財政健全化計画」を示した。まず、矢面に立っているのが社会保障であり具体的には、受診時定額負担、診療報酬のマイナス改定、後期高齢者窓口負担の2割化などが連なっている。これが実現されれば、国民、医療機関双方が痛みを強いられることになる。極めて多くの高齢者を抱える東京では、社会保障の後退を目の当たりにすることになる。
最近では周術期や在宅医療への歯科の積極的介入が誤嚥性肺炎を予防し、口から食べるという人間本来の機能を呼び戻すことが、患者のQOLを引き上げ、早期の社会復帰に貢献していることなどが注目されてきた。われわれ歯科保険医が有病者歯科医療の裾野を広げていくことは重要であり、社会的責務を担っているのは明白である。
患者の生命と健康を守る保険医として私たちは、医療を必要とする者がその医療を受けられない国にしてしまう社会保障の後退に断固反対する。
保険医が何の障害も受けず患者の生命と健康を守る医療が行え、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げるために、以下の項目を国に要請する。

                    記
一.わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げること。
一.高齢受給者や介護保険の負担金を引き下げること。
一.歯科診療報酬を引き上げること。
一.医療への消費税非課税制度を、ゼロ税率に改めること。
一.保険医を萎縮診療に誘導し、患者の受療権を侵害する高点数を理由とした一切の指導を行わないこと。
一.生命と健康を脅かすものを排除し、平和を尊ぶ社会を目指すこと。

                          2015年6月21日
東京歯科保険医協会
第43回定期総会

日本歯科医師会新会長に髙木幹正氏/出席代議員の59.7%が信任

日本歯科医師会新会長に髙木幹正氏/出席代議員の59.7%が信任

日本歯科医師会は6月18、19の2日間にわたり市ヶ谷の歯科医師会館で第179回定時代議員会を開催した。昨日6月18日には本年2月の会長予備選挙で当選した髙木幹正氏(岐阜県)が選挙管理委員会に提出した24名全員の信任投票が行われ、髙木氏以下24名の理事候補は全員承認された。今回参加した代議員は139名で過半数をとるには70票が必要。実際の投票では、有効票数138票、無効票数1票。このうち高木氏は83票(得票率では59.7%)を獲得した。なお、新執行部の氏名と業務分担は以下の通り。

また、本日6月19日の代議員会終了後には、髙木氏ら24名による第1回の理事会が開かれ代表理事である会長に髙木氏を互選するとともに、理事会終了後に記者会見を開催した。なお、24氏の氏名は以下の通り(敬称略)。

高木幹正、山科透、渡邊正臣、柴田勝、浅野正樹、遠藤秀樹、寺尾隆治、中田裕之、今里憲弘、小泉政幸、深井獲博、小林慶太、小枝義典、瀬古口精良、細谷仁憲、片山繁樹、池村雄介、中西康裕、山崎安仁、佐藤修斎、重城正敏、竹内千恵、西脇孝彦、末瀬裕一

若手歯科医師向け学術ベーシック講座

若手歯科医師向け学術ベーシック講座

 

◆第1回:支台歯形成の勘どころ

保存修復や歯冠補綴は、臨床において毎日のように行われる歯科診療の柱となる行為です。その行為の中で、う蝕除去、インレー形成、支台歯形成などの基本的な術式を効率的に確実に行うためにはベーシックな部分の理解が必要です。そして、その理解がミニマル・インターベンションの実践や、セラミック修復などの審美修復の成功に繋がります。今回、「支台歯形成の勘どころ」を解説し、日常臨床のスキルアップを図って頂きます。(講師より)

◆第2回:歯科医院で行う埋伏智歯の抜歯処置

埋伏智歯は多様な病態をみせる疾患だけに、安全な術式と安定した技術で、安心していただく医療を提供したいものです。この講座では、時間の許す範囲で、歯科医院で行うことができるか否かの病態診断に始まり、病態の患者説明、抜歯の術前準備、術式、術中モニタリング、術後管理などの基本的な事項を解説します。(講師より)

◆日 時 第1回 8月29日(土) 午後7時~9時

         第2回 9月12日(土) 午後7時~9時

◆講 師 第1回 坪田 有史氏(東京歯科保険医協会 理事)

         第2回 西田 紘一氏(東京歯科保険医協会 会員)

◆会 場 東京歯科保険医協会・協会会議室

           住所 新宿区高田馬場1-29-8 新宿東豊ビル6階

◆交 通 JR山手線戸山口、西武新宿線戸山口、東京メトロ東西線3番・5番出口より徒歩5分

◆対象者 40歳代までの会員限定

◆参加費 各回1名につき4,000円

◆定 員  各回30名(定員になり次第締切)

◆要予約 03-3205-2999(担当:社保・学術部)

 

 

 

「国保運営は、本来は国が行うべき」/今年度の第1回メディア懇談会を開催

「国保運営は、本来は国が行うべき」/今年度の第1回メディア懇談会を開催

協会は6月12日、会議室で2015年度第1回メディア懇談会を開催。メディア側からは5名が参加。協会からは司会には広報部長の坪田理事が当たり、説明、報告には松島会長が当たった。今回は、4月16日に開催した第50回メディア懇談会への参加、および6月4日に開催した「6・4国会内集会」に4社が取材に訪れていただいたことへの謝意と、①来たる6月21日に開催する協会の第43回定期総会の取材案内、②新規技術導入提案、③次期歯科診療報酬改定に向けての厚生労働省との懇談実施状況、④最近の歯科医療情勢、⑤協会通信員のアンケートから見る実地医家からの声―などについて話題提供するとともに、参加者を交えての議論や意見交換などを行った。

そのうち、①の定期総会で中医協の森田朗会長が記念講演を行うことに関しては、画期的なこととして取材参加の手が挙がったほか、役員改選の年に当たっていることへの質問があった。また、③については、当協会の要望内容は、歯科医療界全体の視野から見ても何ら遜色ないもの、との評価を得た。そのほか④については、特に医療保険制度改革関連法が成立し、国民健康保険の都道府県単位化が実施になることに議論が集まり、「今回の国保の改革は厚労省の悲願ではあったようだが、国保運営は、本来は国が行うべき」「厚労省の中では、国保料(税)は、10年くらいは据え置くという話を聞いた」「現在でも、地方では国保料(税)を決める際、財産だけでなく持ち家の有無が勘案されていることころがあり、都道府県の枠により、金額計算方式に大きな違いがある。これはおかしい」などの意見が飛び交った。そのほか。日本歯科医師会が先に掲げた「オーラル・フレイル」に関しては、「定着させるためには“8020(ハチマルニイマル)”の時よりも努力が必要。協会でも関連する研究会等を開かないのか」などとの指摘があった。

そのほか、⑤に関しては、協会の通信員はほぼ一般会員と同じ目線でアンケートに答えてきており、「毎回の返信率が70%前後で非常に高い」こと。しかも、記入式回答欄にこれだけこまめに意見を書いてくるケースは珍しい」などの評価を受けた。

厚生労働省の懇談会が『保険医療2035提言書』を提出/20年後の医療費抑制策志向を示す/提言中に「歯科医師」の記載なし

厚生労働省の懇談会が『保険医療2035提言書』を提出/20年後の医療費抑制策志向を示す/提言中に「歯科医師」の記載なし

厚生労働省の「保険医療2035策定懇談会」(座長:渋谷健司/東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は6月9日、塩崎恭久厚生労働大臣に対し、2035年までに診療報酬の仕組みを改めることなど、20年後の医療費抑制志向を明示した『保険医療2035提言書』を提出した。

この懇談会は、医療費抑制に向け、いわゆる「団塊の世代ジュニア」が65歳に達し始める2035年までに実現すべき対策を明示している。具体的には、都道府県単位で1人当たりの医療費をみると、最大で1.6倍の開きがあることなどを指摘し、人口構成などを参考にして医療費総額を地域ごとに算定し、総額を上回った場合には地域全体の医療機関に支払う診療報酬を引き下げる仕組みの導入を示している。

◆歯科医療関連で口腔ケアを取り上げる

一方、歯科医療関連の内容を見ると、「2035年のビジョンを実現するためのアクション」の中で取り上げている“ライフ・デザイン〜主体的選択を社会で支える〜”の中の26ページ「生涯を通じた健康なライフスタイルの実現」を目指す一環として口腔ケアが取り上げられている。

具体的には、「口腔ケアは、口腔機能の維持のみならず、誤嚥性肺炎予防や糖尿病等の改善などにも密接に関連する。ライフコース全般にわたる予防・健康管理の観点からも、今後さらに医科歯科連携を促進する」とし、その推進の必要性を指摘している。

そのほか、現在、関係者の間で議論の渦中にある総合診療医ないし総合医、かかりつけ医との関連では、「総合的な診療を行うことができるかかりつけ医のさらなる育成が必須であり、今後10年間程度ですべての地域でこうした総合的な診療を行う医師を配置する体制を構築する」との見通しを示している。

「“歯は命”6・4国会内集会」が開催/417名が参加

「“歯は命”6・4国会内集会」が開催/417名が参加

6月4日、衆議院第1議員会館内の大会議室で「“歯は命”健康長寿社会にむけて保険で良い歯科医療を6・4国会内集会開催」で開催された。これは、「“歯は命”6・4集会」実行委員会の主催によるもので、全国から歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士ほか歯科医療関係者が42都道府県から417名、国会議員とその秘書42名が参加した。会場は開会前に満席となり、その後も陸続と集まる参加者で、立ち見、人垣ができる状況となった。

そのような状況の中で、まず実行委員会の雨松真希人委員長が開催の挨拶を行い、次に、全国医師ユニオン代表で医師の植松直人氏が、格差拡大の中で医療受診が損なわれようとしている現状を指摘した上で、「あらためて歯科をめぐる環境改善に向け、ともに目指したい」と強調し、現在の日本の歯科医療の窮状と、その改善へ向けてエールを送った。

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◆参加議員も相次ぎ挨拶行う

一方、今回の集会が議員会館内開催となったため、歯科医療改善に関心の強い国会議員も多数駆けつけ、初鹿明博議員(衆院・維新)、小池晃議員(参院・共産)、田村智子議員(参院・共産)、清水忠史議員(衆院・共産)、井坂信彦議員(衆院・維新)、堀内照文議員(衆院・共産)、小西洋之議員(参院・民主)、鈴木克昌議員(衆院・民主)、郡和子議員(衆院・民主)、大串博志議員(衆院・民主)らが挨拶を行った。

◆関係団体から現地報告受ける

一方、「“保険で良い歯科医療を”愛知連絡会」の大藪憲治代表、奈良県歯科技工士会の小野山幸夫会長、保団連の田辺隆副会長、医療生協さいたま新座支部の広瀬ミサ子部長、大阪歯科保険医協会の戸井逸美らが歯科医療現場からの報告を行い、歯科医療現場の窮状と問題点、解決の方向などについて問題提起した。

◆日歯の大久保会長からも賛同メッセージ

他方、この集会への賛同メッセージとして、日本歯科医師会の大久保満男会長、日本医師会の横倉義武会長、日本歯科衛生士会の金澤紀子会長、日本医学会の高久史麿会長ほか、医療関係団体多数から届いていることが資料紹介された。

◆アピールを採択

なお、集会の最終章では以下の「アピール」が提案され、場内の拍手で採択された。

【アピール】

今、健康長寿社会の実現に向けて、歯科医療の役割がますます重要になっていることは、厚生労働省をはじめ様々な調査でも明らかになってきています。しかし、国による長年にわたる低歯科医療費政策は、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士などの働く環境に大きな障害となっています。加えて歯科では、高い窓口負担や保険のきかない治療があるため、国民、患者が歯科医療を受けることを妨げる要因にもなっている。私たちは、いつでも、どこでも、だれでもカが、安心して受けられる保険で良い歯科医療の実現をめざして、多くのことを決意して下記の行動を推進することを宣言します。

  1. 安心して歯科医療が受けられるよう、窓口負担の大幅な軽減を実現させよう
  2. 保険のきく歯科治療の範囲を広げよう
  3. 歯科技工技術料を大幅に引き上げよう
  4. 歯科医療を支える歯科技工士、歯科衛生士の地位向上と待遇改善を求めます
  5. 国と自治体、企業が責任をもって、歯科健診を充実させよう
  6. 国が医療に使う予算を大幅に増やし、歯科診療報酬の引き上げを求めます

需要予測は精密にしないと当初予測とはかなり違った結果に…/歯科医師需給問題WGの第2回会合で法曹界メンバーが警句

需要予測は精密にしないと当初予測とは程遠い結果招く/歯科医師需給問題WGの第2回会合で法曹界メンバーが警句

本年2月24日に厚生労働省が「歯科医師の資質向上に関する検討会」内に設置した「歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ」(座長:森田朗国立社会保障・人口問題研究所長)の第2回会合が6月3日。経済産業省(写真)で開催された。

会議の中で森田会長は、今後の日本では今世紀後半まで、確実に人口減少傾向が続くため、それを前提に議論を進めていく意向を説明。参加メンバーの中からは、高齢化進行とともに歯の残存数は多くなっていること、う蝕歯などの受診傾向は横ばいであること、口腔ケアや定期的な健診に関心が高くなっていることなどが報告された。

また、「需給問題」の観点から法曹界のメンバーからは、法科大学院の実例が引き合いに出され、需要予測は精密な分析・検討を行わないと、予想とはかなり違った結果を招きかねない、との懸念が報告されている。

厚生労働省「歯科医師の資質向上等に関する検討会/歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ構成員」の名簿閲覧希望の方はこちらをクリック