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政策委員長談話「+0.61%では患者の口腔は守れない。薬価引下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」

政策委員長談話

「+0.61%では患者の口腔は守れない。薬価引下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」

◆わずか+0.61%の引き上げで良い歯科医療を提供できるのか・・・・・・

 次期診療報酬改定の改定率はネットで-0.84%とされた。内訳は、本体が+0.49%、薬価および材料価格が-1.33%であり、歯科においては本体部分0.61%のプラス改定とはなった。しかし、この引き上げは、1医療機関当たり月2万円ほどの増加に過ぎない。

第20回医療経済実態調査結果で、東京23区の歯科医業収益は前年比-1.2%、1月当たり約4万6,000円分の減少になっている。厳しい中で、各医療機関は減価償却費や人件費などの経費節減で医療提供体制をなんとか保っているが、この僅かな引き上げでは十分な体制を保つことはできず患者の口腔は守れない。

 また、次期改定は在宅への訪問診療やかかりつけ歯科医など特定の分野が評価されるため、訪問診療の実施の有無など医療機関の診療スタイルにより改定で得られる評価に大きな格差が生じる。+0.61%の引上げ分でさえ全医療機関が等しく得られるとは限らない。

 

◆薬価引下げ分が歯科本体に充当されていない・・・・・・ 次期改定の影響は、国費ベースでは、本体が+498億円、薬価等が-1,247億円、後発医薬品などの医薬品価格や大型門前薬局の適正化などの制度改革事項が-609億円と発表されている。数字でみれば、本体のプラス分は、薬価等の引下げ分を充当したのではなく、制度改革事項の引下げ分を充当したとも言える内容だ。今まで通り薬価引き下げ分を本体に充当すれば、歯科医療の充実に多くの財源が割けたはずだ。

また、本体と薬価の他に、枠外として多くの制度改革事項を設けているが、それを加味すると実質の改定率は-1.43%と大幅なマイナスである。

 

◆医療崩壊を招きかねない社会保障費削減策は撤回を・・・・・・

 2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が進められており、医療の供給体制が大きく変わる。しかし、このような社会保障費の削減が続けば、患者の口腔内を守るために必要な医療供給体制が構築できないばかりか医療崩壊を招きかねない。

協会は、改めて今回の社会保障費削減策に断固抗議する。

 

2015年12月28日 

政策委員長 中川勝洋

政策委員長談話「プラス0.61%では 患者の口腔は守れない/ 薬価引き下げ分を本体に充当しない 社会保障削減策に抗議する」

政策委員長談話「プラス0.61%では 患者の口腔は守れない/ 薬価引き下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」

◆わずか月2万円の引き上げで良い歯科医療を提 供できるのか
次期診療報酬改定の改定率はネットでマイナス0.84%とされた。内訳は、本体がプラス0.49%、薬価および材料価格がマイナス1.33%であり、歯科においては本体部分0.61%のプラス改定とはなった。しかし、この引き上げは1医療機関当たり月2万円ほどの増加に過ぎない。
第20回医療経済実態調査結果で、東京23区の歯科医業収益は前年比マイナス1.2%、1月当たり約4万6000円分の減少になっている。厳しい中で各医療機関は、減価償却費や人件費などの経費節減で医療提供体制をなんとか保っているが、この僅かな引き上げでは十分な体制を保つことはできず、患者の口腔は守れない。
また、次期改定は在宅への訪問診療やかかりつけ歯科医など特定の分野が評価されるため、訪問診療の実施の有無など医療機関の診療スタイルにより改定で得られる評価に大きな格差が生じる。プラス〇・六一%の引き上げ分でさえ全医療機関が等しく得られるとは限らない。
薬価引き下げ分が歯科
本体に充当されていない
次期改定の影響は、国費ベースでは、本体がプラス四百九十八億円、薬価等がマイナス千二百四十七億円、後発医薬品などの医薬品価格や大型門前薬局の適正化などの制度改革事項がマイナス六百九億円と発表されている。数字でみれば、本体のプラス分は、薬価等の引下げ分を充当したのではなく、制度改革事項の引下げ分を充当したとも言える内容だ。今まで通り薬価引き下げ分を本体に充当すれば、歯科医療の充実に多くの財源が割けたはずだ。
また、本体と薬価の他に、枠外として多くの制度改革事項を設けているが、それを加味すると実質の改定率はマイナス1.43%と大幅なマイナスである。
◆医療崩壊を招きかねない社会保障費削減策は撤回を
2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が進められており、医療の供給体制が大きく変わる。しかし、このような社会保障費の削減が続けば、患者の口腔内を守るために必要な医療供給体制が構築できないばかりか、医療崩壊を招きかねない。
協会は、改めて今回の社会保障費削減策に断固抗議する。

2015年12月28日
東京歯科保険医協会

政策委員長  中川勝洋

 

医科歯科医療安全講習会/「歯科と医科で診る感染症とその対策」

■ 内 容 :

医科歯科連携を目指し、2011年度から東京歯科保険医協会と東京保険医協会が合同で「医療安全講習会」を開催しております。今年度は、 感染症(HIVと肝炎)をテーマに開催しますのでぜひご参加ください。

■ 日 時 : 2016年123日(土) 17001900

■ 講 師 :

医科  青木 孝弘 先生

(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター勤務)

歯科  丸岡 豊 先生

(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 歯科・口腔外科 診療科長)

■ 会 場 :「エムワイ貸会議室・お茶の水」(定員200名)

      〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-1-20 お茶の水ユニオンビル4F 

        JR中央線・総武線「御茶ノ水」駅 御茶ノ水橋口 徒歩2分
       東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅 2番出口 徒歩3分
       東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅 B1番出口 徒歩4分

■ 参加費 : 会員医療機関 無料(コメディカル、スタッフの方も歓迎です

■ 備 考 : 資料の印刷等の関係から、「事前にお申込み」のうえご参加くださいますようお願い致します。

■ お問い合わせ :

  東京歯科保険医協会

   ⇒ Tel 03-3205-2999 / Fax 03-3209-9918 担当:経営管理部

 

 

 

日歯会長予備選挙で堀候補が当選/来年3月の定時代議員会で承認へ

日歯会長予備選挙で堀候補が当選/来年3月の定時代議員会で承認へ

12月24日、日本歯科医師会は次期会長を決める予備選挙を実施した。立候補者は冨野晃氏、堀憲郎氏、山科透氏の3氏(五十音順)。

投開票の結果を得票数順にみると、堀憲郎氏372票、山科透氏225票、冨野晃氏40票で堀氏が当選し、次期日歯会長に選出された。今後は、来年3月の日歯定時代議員会で承認を受け、正式に会長と決定される。

≪堀氏プロフィール≫

堀氏は日本歯科大学卒。1997年4月、新潟県歯科医師会の社保担当理事を務めた後、常務理事、専務理事を歴任し、2006年4月から日歯の社会保険担当理事を2期、常務理事を2期務めた。この間、13年4月〜15年6月まで中央社会保険医療協議会委員を務めている。

多職種連携を進めるポイントとは!

医療者同士の共通言語や暗黙知の共有が必要

 12月5日、東京の医科・歯科、千葉の3協会による医科歯科連携研究会を開催した。

◆中野区の多職種連携で活躍の講師陣

今年は「在宅高齢者における多職種連携の現状と課題」をテーマに中野区の摂食・嚥下機能支援に向けた取り組みについて、行政側からの視点として藤井康弘氏(中野区健康福祉部 副参事)、行政の歯科衛生士の視点から徳間みづほ氏(中野区南部すこやか福祉センター)、歯科医師の視点から田中英一氏(田中歯科クリニック小児歯科)、医師の視点から中村洋一氏(中村診療所)が講演を行った。

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◆講演では…

各氏の講演では、多職種連携は、関係者同士が共通の言語や暗黙知が共有できていない点に原因があるとし、丁寧な連携が必要であり、支援に対する課題を共有した上でそれぞれが専門性をもって判断を行うことが必要とした。医療や介護の提供では、在宅療養者を取り巻く生活状況や本人・介護者の意志を尊重したアプローチが必要と強調したほか、口腔ケアを実施することで在宅療養者のQOLも向上するなど、本人や連携関係者への一層周知が必要とされた。講演後は、ディスカッションが行われ、フロアーからの質問に各講師が丁寧に回答し、多職種連携への理解が図られた。

藤井康弘氏

藤井康弘氏

徳間みづほ氏

徳間みづほ氏

田中英一氏

田中英一氏

中牟田洋一氏

中牟田洋一氏

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年度次期診療報酬改定率決定/厚労・財務両大臣折衝で/歯科は+0.61%

2016年度次期診療報酬改定率決定/厚労・財務両大臣折衝で/歯科は+0.61%

2016年度4月実施の次期診療報酬改定の改定率が12月21日、塩崎恭久厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣とのトップ間の折衝で正式決定された。

診療報酬本体は+0.49%のプラス改定であったが、これに薬価の-1.22%、材料価格の-0.11%となっており、ネットでは-0.84%のマイナス改定。

本体については、医科+0.56%、歯科+0.61%、調剤+0.17%のプラス改定とはなっている。

今後は、2016年1月中に厚生労働大臣が中医協に診療報酬改定率に関する諮問を行い、その後、厚労省は公聴会を開催、パブリックコメント募集などを行い、一般からの意見を求めるのが慣例化している。そして、2月中旬、中医協は厚労大臣に答申を行う。

歯科医療の専門性ワーキング・グループを開催

歯科医療の専門性ワーキング・グループを開催

12月18日、厚生労働省の歯科医師の資質向上等に関する検討会(座長:西原達次・九州歯科大学学長)傘下の「歯科医療の専門性ワーキング・グループ」が同省内会議室で開催され、「歯科医療の専門性」をめぐり議論。その論点としては、①国民が求める歯科医療の多様性に対応しつつ、安全・安心な歯科医療を提供するために、歯科医療の専門性、②歯科医療の中で位置づけられている専門医(広告できないものを含む)についてどのように考えるか、③専門性の情報の在り方について―などが示された。

最近の歯科医療情勢を中心に議論/第4回メディア懇談会を開催

最近の歯科医療情勢を中心に議論/第4回メディア懇談会を開催

  12月4日、協会会議室において2015年度第4回メディア懇談会を開催(通算54回目)。メディア側の参加は3社・4名。協会からは濱克弥副会長、司会として広報部長の坪田有史副会長および事務局が参加した。

今回の主な話題は、政策委員長談話「マイナス改定では安心安全の歯科医療提供体制は維持できない」、次期改定に向けての当協会の対応、および署名活動の現況などであった。

最近の歯科医療情勢で、第20回医療経済実態調査の結果について、「全国的に数字だけ見ると歯科は儲かっているように見える」「特に都内の歯科医の経営実感とはかけ離れている数字が並んでいる」などの意見交換がなされた。

 

2015年分の年末調整とマイナンバー制度/機関紙2015年12月1日号(№549号)より 

2015年分の年末調整とマイナンバー制度/機関紙2015年12月1日号(№549号)より 

質問① 去る十月からマイナンバー(以下、「個人番号」)が交付され、従業員の社会保険手続きや年末調整などで個人番号を取り扱う必要性が出てくるが、今年度の年末調整の扱いはどうなるのか。また、歯科診療所の実務に与える影響についても知りたい。

回答① 今年度の年末調整で従業員に個人番号を求める必要はありません。来年度末の年末調整から必要になります(ただし、取得が必要になるケースもあり、質問2を参照)。歯科診療所は従業員の個人番号を取得し、社会保険関係の届出や税務署への提出書類に従業員の個人番号を記載することになります。また、歯科診療所は個人番号関係事務の実施者となるため、①個人番号の取得・本人確認、②利用・安全管理、③提供―の各段階に応じて注意すべき事項があります。まず、①の注意点ですが、従業員の個人番号を取得する時、個人番号が本人のもので間違いがないかを運転免許証や住民票などで確認します。ただし、従業員に扶養家族がいる場合、その扶養家族については、扶養者である従業員に本人確認義務があるので、歯科診療所は従業員の扶養家族の個人番号まで確認を行う必要はありません。また、②の注意点は、個人番号は原則として番号法で定められている利用範囲を超えて利用することはできないので、個人番号を含む特定の個人情報をむやみに利用・提供することはできません。さらに③の注意点は、提供とは従業員の個人番号を含む特定個人情報を第三者へ開示することです。

質問② 税務署から「平成二十八年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類をもらったが、これはどう扱うのか。

回答③ この申告書には、すでに個人番号の記載欄がありますが、年内は制度実施前で記入する必要はありません。2016年1月以降にスタッフが退職した場合、個人番号がないと来年の年末調整ができませんので、2016年1月からのスタートですが、今年の年末調整時に個人番号が必要になります。

質問③ 従業員が個人番号の提出を拒否した場合、どのような対応が必要か。

回答③ その場合は空欄で問題ありません。事業主としては収集に努めたが、収集できなかった旨を記録として残して下さい。

 

※国税庁のホームページに、2016年の様式が掲載されていますので、ご参照ください。

きき酒 いい酒 いい酒肴⑮ 国産のキャビアとウォッカ

きき酒 いい酒 いい酒肴⑮ 国産のキャビアとウォッカ

夏の暑い日、冷凍庫から取り出した冷たいウォッカは、定番のビールとはまた違った涼しさをもたらしてくれます。ウォッカのお供といえば、頭に思い浮かぶのがキャビアです。キャビアといえば、ロシアが有名です。
以前に、ウラジオストクからハバロフスクまでシベリア鉄道で移動したことがあります。ハバロフスクの地元のお店でキャビアを買おうとしたときです。「それは美味しくないから、やめたほうがいいよ」と年配の女性に言われました。どうやらキャビアには当たり外れがあるようです。
日本で国産のキャビアが売られていることをふるさと納税で知りました。さっそく、香川県東かがわ市に寄付して、記念品としておくられてきた国産キャビアを味見しました。生臭くなく、一粒ごとに艶があり、イクラをぎゅっと固めたような味わい、といえば少しは近いでしょうか。

◆社長の母校でチョウザメの養殖
これは、東かがわ市の引田中学校跡地にある旧体育館で養殖されているチョウザメから作ったものです。直径約3mの円形水槽四基が並び、体長数10㎝のチョウザメ約2000匹が泳ぎ回っています。
養殖業者の社長さんが、中学校跡地を選んだのは自身が同校の卒業生で、跡地の活用について市が募集をしていたのがきっかけ。「自分が過ごした校舎が朽ち果てていくのは忍びなかった」と土地と建物を購入したそうです。
活用策はキャビアと学校跡地という意外な組み合わせですが、その背後には既存設備の活用による、投資の抑制があります。旧体育館はそのまま活用して水槽を設置し、成長に合わせて体育館とプールを使い分けます。体育館では鳥などから守るため育て始めたばかりのチョウザメを養殖し、成長した後はプールに移すという具合です。

◆奥飛騨ウォッカは首相に選ばれる逸品
国産のキャビアには、国産のウォッカが似合います。奥飛騨ウォッカは、原料が米です。ウォッカを作った奥飛騨酒造は、飛騨金山町に江戸時代享保5年に創業した酒蔵です。飛騨地区の「しらかば」炭にて濾過し、6年以上貯蔵、熟成させています。
見た目も香りも味わいも、すべてにおいて限りなくクリアなお酒です。アルコールは55度、これだけ強いと冷凍庫に入れても凍りませんので、ひとくちサイズのグラスとセットで一晩凍らせ、ストレートでグイッとやります。なめらかで、甘みの残る口当たり、喉をトロッと流れて行く感触が楽しめます。
以前、小泉首相の頃、ロシアへサミットに出かける時に、お土産として当蔵の45年物のまろやかウォッカを持って行かれた…という逸話もあるお酒です。
最近は、地域包括、地域振興といった言葉を聞かない日がないくらい地域に目がむけられています。地域おこし協力隊の力を借りなくても、それぞれの地域の方たちが創意工夫されて、ものつくりをしているのを感じられる国産のキャビアとウォッカでした。
(早坂美都/広報・ホーム  ページ部員/世田谷区)

きき酒 いい酒 いい酒肴⑭「ロックで飲む吟醸酒 Ice Breaker」

きき酒 いい酒 いい酒肴⑭「ロックで飲む吟醸酒 Ice Breaker」

梅雨もそろそろあけるかも、というこんな時期。そんなときに飲みたい日本酒があります。京都府の木下酒造「Ice Breaker(アイスブレーカー)」です。アイスブレーカーを直訳すると、氷を砕く。そこから転じて、人間関係の緊張を溶かすもの、という意味があるそうです。このお酒も、そんな願いを込めて作られています。
酒瓶にはお酒の紹介カードがついているのですが、それによると「お酒が入るとリラックスして、付き合いが楽しくなるもの。そんなふうに緊張感をほぐし、座を和ませるものを『アイスブレイカー』といいます。」と、杜氏さんの性格がにじみでています。

 

 

 

◆氷入れるからこそ美味しい

純米吟醸、香りはフルーティーでさわやかです。お酒自体は、蔵内で半年の低温熟成を経て出荷された無濾過生原酒となります。最初は“てるてる坊主”という名前で発売されましたが、次の年から麹米を日本晴から五百万石に変更し、名前も“アイスブレーカー”に変更されました。このまま飲むのも良いですが、グラスに氷を入れて飲むと、さらに美味しくなります。
お酒自体は、しっかりとした濃い旨みと飲みやすさを見事に両立させた、夏酒です。旨み、甘味によって、氷で割っても味が壊れたりしません。それどころか、氷が溶けるほどに味が微妙に変わり、涼しげな音とともに耳と目も楽しませてくれます。この日本酒はあらかじめロックで飲むことを想定して造られています。

◆仲間とのアイスブレイクをきっかけに
日本酒っぽくないネーミングの「Ice Breaker」ですが、杜氏さんはイギリスの方で、フィリップ・ハーパーさんという明るく楽しい方です。もともとは、教師として来日し、そこで日本酒に惚れ込み、最終的には杜氏になってしまったという方です。
日本に来た当時、まだ日本語を全く話せなかった彼が、最初に職場の仲間とコミュニケーションを取れた場が、銘酒がたくさん置いてある居酒屋だったそうです。そこで、初めて日本酒と出会い、職場の仲間と打ち解けるきっかけを作ってくれた日本酒の世界に興味を持つようになりました。
アイスブレーカーはフィリップさんが日本酒を通じて、仲間を増やしていったのと同様、大勢の仲間と、わいわいがやがやと飲んで楽しんでもらおうという時にぴったりの純米吟醸酒です。夏はビールも良いですが、こんな日本酒が爽やかな気分にさせてくれます。
このような日本酒の開発に到るまでには相当の研究が必要でしょうね。日本人を超えた外国人杜氏さんに感服してしまいます。どの世界でも、お客さんを「まいった!」と言わせる技量が必要ですね。私たちも日々の努力と勉強を続けていこう、と思わせてくれるような日本酒です。
(早坂美都/広報・ホーム   ページ部員/世田谷区)

きき酒 いい酒 いい酒肴 ⑬ ヨードの香り「 アイラウイスキー」

きき酒 いい酒 いい酒肴 ⑬ ヨードの香り「 アイラウイスキー」

お酒なのに、診療室で嗅いでいるような香りがする。そんな不思議な香りのウイスキーがあります。アイルランドのアイラ島という小さな島で蒸留されたウイスキーです。初めて飲むと、「消毒薬?」と驚かれる方がほとんどです。
近年、シングルモルトウイスキーの人気が世界的に上昇しています。NHKの連続小説の影響もあるのかもしれませんが、ウイスキー市場が世界的に縮小傾向にあるなか、直近五年で一五%以上、消費の伸びがあるのはこの消費不振の時代に驚異的な数字でしょう。

アドベック写真


◆アイラ島とは…
アイラ島は、Isle of Islayと表記され、Isle(アイル)は島を表し、IslayはEye-la(アイラ)と発音します。島の位置はグラスゴーの西120㎞、北アイルランドアントリム州から35㎞にあり、面積は日本の淡路島とほぼ同じです。大西洋に面していて、沖合いを流れるメキシコ暖流の影響で気候は温暖湿潤、年間気温の変動が小さい島で、1830年頃には人口1万5000人に達していましたが、現在は約3500人です。今も減少が続いていて過疎化が懸念されています。
最近は島の魅力である豊かな自然や歴史遺産、伝統の農業、漁業、ウイスキーを関連させた観光に力を入れているようです。
どのようにしてウイスキーの蒸溜が始まり、なぜ主要な生産地域になったのでしょうか。まず地理的にアイラ島はアイルランドに極めて近く、アイルランドから蒸溜の技術が早い時期に伝えられたといわれます。
そして、ウイスキー造りに必要な大麦、水、燃料のピートが容易に手に入ったことも大きいです。ピートとは水苔、水草、へザーなどが湿原に堆積し炭化したものです。アイラのピートは燃えると強い薬品のような香りのする煙を発生します。

◆ウイスキー製造は貧困農家の生活糧
また、これも地理的要因ですが、エジンバラやグラスゴーから極めて遠隔のアイラには、ウイスキーに対する課税が導入されてからも徴税官は不在。大量のウイスキーが密造されていたようです。貧しい農家が生きてゆく手段でもあり、アイラでのウイスキー密造はスコットランドの他の地方より長く19世紀半ばまで続いていきます。19世紀後半から盛んになったブレンデッドウイスキー用に、グラスゴーやエジンバラのブレンダーはアイラモルトを重用します。そのピーティー、スモーキーで力強い性格は、ブレンドの特色を出し、隠し味の素としても必須モルトであり続け、現在はその独特の個性が愛好家を増やしているのです。
作家の村上春樹さんもその一人。彼の著書「ぼくらの言葉がウイスキーであったなら」では、アイラウイスキーの魅力を美しい言葉と写真で綴っており、私の大好きな一冊です。

◆歯科医師おなじみの独特の香り
身体や心の疲れを感じた時にアロマオイルはもちろんですが、歯科医師である私たちは、お馴染の消毒薬独特のヨード香に、案外ほっとするかもしれません。
(早坂美都/広報・ホーム   ページ部員/世田谷区)

きき酒 いい酒 いい酒肴⑫「日本のピルスナーは世界でもトップレベル 5月9日はゴクゴクの日」

きき酒 いい酒 いい酒肴⑫

「日本のピルスナーは世界でもトップレベル 5月9日はゴクゴクの日」

5月9日は、「ゴクゴクの日」。嚥下関係の日と思いましたが、おいしい飲み物をゴクゴク(5959) 飲み、かつ、水資源に恵まれない地域でも水をゴクゴク飲めるよう水環境について考えようという日だそうです。みんなでビールをゴクゴクしましょうというイベントもあるようです。
これから気温があがってきて、喉越しの良いビールが美味しくなる時期です。喉越しの良さといえば、ピルスナータイプが一番だと思います。

◆ピルスナーの起源は19世紀に遡る
ピルスナーの原形は、ボヘミアンピルスナーで、その代表格が1842年にチェコのピルゼンで造られたピルスナーウルケルというビールです。低温乾燥させたモルトと、ピルゼンの軟水、ボヘミア産のホップによる上品な味わいが特徴です。ボヘミアングラスの中で立ち上る白い細かい泡は、当時、大変美しく人びとの目に映ったことでしょう。
またたく間に、メソポタミアに始まった、ビール史上全く新しいタイプのビールが広がっていきました。

 

 

◆プレミアムモルツは世界トップレベル
もともとこの製法は、ドイツから持ち込まれ、ボヘミアンピルスナーを逆輸入したのがドイツピルスナーです。ドイツピルスナーは、現在、大手メーカーのピルスナーのお手本になっています。中でも、日本の大手メーカーのプレミアムモルツは、世界でもトップレベルのピルスナーといっても過言ではないと思います。
ピルスナーウルケルと飲み比べてみると、日本人ならではの旨みを感じます。 ホップの苦味はやや強いのですが、爽やかで軽やかです。麦芽の甘味、芳醇な味わいが感じられるため、苦味も穏やかになります。わずかなダイアセル(バタースコッチキャンディのような香り)もありますが、ほとんど気にならない程度です。そして、絹のような滑らかな喉越しを感じます。
これらの繊細な味わいや喉越しのよさのため、日本のビールのレベルの高さにヨーロッパでは驚きの声が上がっているようです。

◆のど越しと嚥下機能
のど越しの良さを感じられるのは、健康な証拠です。口腔内の食物や飲み物を舌の上に集め、咽頭に送りこむ口腔相。食物や飲み物が咽頭内に入ると、反射的な筋収縮によって鼻、口、耳への逆流が防がれ、声門も閉じて気道に入りこまないようにする咽頭相。同時に喉頭が舌骨に引きつけられるとともに舌骨も前上方に動く。これらのどこが欠けても、嚥下という行動は成り立ちません。
5959の日は、美味しいピルスナー、美味しいお茶や水で、健康に嚥下できることに感謝して、笑顔で乾杯しましょう。
 (早坂美都/広報・ホーム   ページ部員/世田谷区)

きき酒 いい酒 いい酒肴 ⑪ 日本ワイン「甲州」 和食に合う控えめな香り 稀有な個性

 

きき酒 いい酒 いい酒肴 ⑪  日本ワイン「甲州」  和食に合う控えめな香り 稀有な個性

赤紫色をしたブドウ、「甲州」は生食にもワインにもなります。山梨の作り手の努力が実り、2010年に正式にワイン醸造用ブドウとして国際機関OIVに認定されました。醸造の仕方で、大きく四つに分けられます。爽やかなシュールリータイプ、木樽熟成をしたモダンタイプ、苦味を取り込んだグリタイプ、伝統的な甘口タイプがあります。白ブドウとしてはフェノール類、つまり渋み成分を豊富に含んでいるため、独特な味わいになります。和食にはとても合うワインです。
一般的に、白ワインにお刺身や干魚を合わせると、生臭く感じることが多いようです。その原因は、ワイン中に含まれる鉄イオンです。鉄イオンには二種類ありますが、そのうち「鉄(Ⅱ)イオン(Fe2+)」がその原因物質です。通常、飲料中にはもうひとつの形態「鉄(Ⅲ)イオン(Fe3+)」で残る場合が多いですが、ワインの場合には「鉄(Ⅱ)イオン(Fe2+)」の方が多いようです。一体、その鉄イオンが何をするのでしょうか? 魚介類にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれる脂肪酸が存在しています。魚介の過酸化脂質と「鉄(Ⅱ)イオン(Fe2+)」が反応すると生臭み成分(E・Z)‐2・4‐ヘプタジエナールが瞬時に発生します。つまり、過酸化脂質が含まれる魚介類を食べた後、「鉄(Ⅱ)イオン(Fe2+)」が存在するワインを口に入れると生臭みが発生して、それが鼻へ到達して臭みと感じるわけです。
醸造過程において、酵母は発酵を終了すると下に沈んでいくのですが、それを「澱」や「リー」と呼んでいます。その酵母をそのままにしておくと、ワイン中の鉄分が少なくなったそうです。

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◆ワイン酵母が魚介類の生臭みを消す
その原理を研究したところ、アルコールに浸漬させた酵母を果汁やワインに添加すると、液体中の鉄が酵母の中にからまって澱のように落下することが分かったそうです。この方法は、「シュール・リー」といわれ、甲州ワインの特徴でもあります。渋みやえぐみを生かすグリタイプは、山菜、貝類、川魚など灰汁があるような食材とよく合い、クローブのような穏やかな香りがシンプルな味付を引き立たせます。
ドイツのラインガウでも甲州が栽培され始め、ロンドンではグリド甲州がたいへんな人気ワインとなっているなど、勝沼のワイナリーに行くと、楽しい話題がたくさんです。世界に誇れる日本の甲州ワインを、気軽にご家庭でも楽しまれてはいかがでしょうか。
(早坂美都/広報・ホーム   ページ部員/ 世田谷区)

きき酒 いい酒 いい酒肴⑩ロマネ・コンティの隣~グランドリユ

きき酒 いい酒 いい酒肴⑩

ロマネ・コンティの隣~グランドリユ

ロマネ・コンティというワインの名前を聞いたことがあると思います。ばらつきはありますが、一本100万円くらいする高級ワインです。ヴィンテージ(製造年)によっては、もっと高いものもあります。実は、ロマネ・コンティとは、畑の名前なのです。フランスブルゴーニュ地方のコートドニュイ地区にある、ヴォーヌ・ロマネ村のロマネ・コンティという特級畑からとれたブドウのみを使ったワインなのです。
名前は聞いたことあるけれど、飲んだことはない…大部分の方がそうだと思います。個人ではなかなか難しいので、ロマネ・コンティを飲む会を年に1度ほど、時期を決めて開催しているレストランがあります。味見してみたい、という場合は、1人10万~20万円くらいで、ロマネ・コンティとその仲間のようなワイン(ラターシュ、エシェゾー、モンラッシュなど)を7~9種類くらい飲むことができます。
ブルゴーニュのワインというのは、抜栓してから時間とともに、味わいが変わっていくのも特徴ですが、その変化を味わうのは、試飲会ではなかなか難しい。かといって、1人で1本なんて、とてもとても…。と思っていましたが、お隣の畑だったら、なんとか手が届きそうです。ロマネ村の地図を見ると、ロマネ・コンティとラターシュ(ここも特級畑です)に挟まれた「グランドリュ」というブドウ畑があります。ここのワインは、醸造家の名前をとって「ラマルシュ」といいます。ロマネ・コンティとの距離はあぜ道一本、約7mです。それは広大な畑の中のたった7mにすぎず、土地全体はつながっているのだから、そんなに変わらないでしょう、と勝手に思い、ラマルシュを購入し、自宅で開けてみました。
しかし、これは素人の考えで、ブルゴーニュの醸造家アンリ・ジェイエは、グランドリュについて次のように語っています。
…このクリマ(畑、区画)は、小さな道を挟んでロマネ・コンティに隣接している。しかし、この道は偶然に敷かれたものではなく、そこを境として地形学的に大きな違いがある…。

早坂先生3月号写真:ロマネ・コンティIMG_20140330_220919

 

 

 

 

 

 

 

確かに、地層の断面図を見ると、ジュラ紀における粘土石灰岩の表層の出方が違います。
細かいことをいい出すときりがないので、とにかくラマルシュを抜栓しました。抜栓直後、ものすごくいい香りがします。これは期待できる、と一口飲んでみましたが、なんだか、薄い?どうしたのだろう、と思いました。しかし、その40分くらいあと、不思議なことに、香りが変わってきたのです。香りのピークを2時間半の間に2回ほど感じられました。色は明るいガーネットのようで、少し酸味があって、ラズベリーのような芳香、喉こしは滑らかで、あまり渋みがなく…。言葉にするのは難しいですね。妖艶なワインは不思議と、香り、味を時間とともに変えていきました。これがブルゴーニュの魅力なのでしょう。
(早坂美都/通信員/ 世田谷区)

社保審医療保険部会で次期診療報酬改定「基本方針」の「口腔疾患の重症化予防」など再確認

社保審医療保険部会で次期診療報酬改定「基本方針」の「口腔疾患の重症化予防」など再確認

社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫/学習院大学経済学部教授)の第92回会合が12月2日、千代田区平河町のTKPガーデンシティ永田町都内で開催された。議題は、①平成28年度診療報酬改定の基本方針(案)について、②医療保険制度改革の施行について、③治療用装具療養費検討専門委員会(仮称)の設置について―の3本。

審議では、平成28年度診療報酬改定の基本方針案が一部修正をもって了承された。今回は特に歯科に関する検討はなかったとされ、既に示されていた重点的対応が必要とされた、口腔疾患の重視化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進を重ねて確認。そのほか、11月19日に開催した社保審医療部会の議論の中で「医科歯科連携について、基礎疾患の重視化予防、口腔機能維持・向上の充実が重要」とされた。

歯科が地域包括ケアシステムにどう関わるか

地域包括ケアシステム研究会を開催します!

超高齢社会に向けて、地域包括ケアシステムの構築が進められています。先日開催された中医協で、「地域包括ケアシステムにおける歯科医療提供体制の構築が必要」と議論されています。

しかし、実際は歯科がどのように関わっていけばよいのか、何を求められているのかがわかりにくいというのが現状であると思います。

今回は、実際に地域包括支援センターで地域包括ケアシステムを運用している方をお招きし、「現場で求められる歯科」について考えたいと思います。

外来診療を中心に行っている先生にとっても地域包括ケアシステムは他人事ではありません。ぜひ、一緒に考えましょう!
ご参加お待ちしています。

※協会機関紙12月号10面(研究会案内)の開催時間に間違いがありました。
ご迷惑おかけして申し訳ありません。
正しくは2016年1月21日(木)19:00~21:00です。
ぜひご参加下さい。

日程 2016年1月21日(木)19:00~21:00chiikihoukatukeashika
講師 地域包括支援センター管理者の方 2名
    橋本健一氏(協会地域医療部担当理事)
会場 東京歯科保険医協会 会議室
対象者 協会会員 及び スタッフ
定員 40名
参加費 無料
要予約 03-3205-2999(担当:地域医療部)

政策委員長談話「マイナス改定では安心安全な歯科医療の提供体制は維持できない」

政策委員長談話「マイナス改定では安心安全な歯科医療の提供体制は維持できない」

11月4日、次期診療報酬改定の基礎資料となる「第20回医療経済実態調査」が発表された。全国集計では大きな変動が見られなかったせいか、一般紙での取り扱いは控えめな内容であった。
しかし、詳細に見てみると、東京23区では歯科医療機関が疲弊していることが明確となり、患者にとって安心安全の歯科医療の提供に欠かせない人の確保と設備投資に影響が出始めている実態が明らかになっている。
個人立診療所の全国平均では医業収益が0.3%、医業・介護費用が0.4%増加し、前年並みの損益差額を確保している。保険収益の増加は見られないが、自費収入が1.5%の伸びを見せるなどしている。
ところが、東京23区分では様相が大きく異なる。
まず、医業収入では、保険診療収入がかろうじて0.3%のプラスであったものの、自費収入がマイナス5.3%、健康診断などの収入がマイナス4.3%と、大きく落ち込んだ結果、収入全体では1.2%のマイナスとなった。支出では減価償却費がマイナス10.6%、歯科技工料などの委託費がマイナス4.9%などと減少した。給与費は率ではマイナス2.5%であったが、実額では36万8000円の減少であった。収入が減少した分を、支出を切りつめることでかろうじて収支バランスを保っている格好となった。大幅な減額となった給与費は、歯科衛生士をはじめとしたスタッフの雇用確保が困難であることを示している。人件費が高い東京で、安心安全の歯科医療を提供することの厳しさが表れた。
今回の発表により、東京の歯科保険医療機関は、経費節減によって歯科医療提供を維持しており、構造的な経営状態の悪化はまったく改善されていないことが明らかになった。もう個人の努力による経営改善は限界を超えていることは明らかである。
調査結果には表れていないが、消費税の損税の問題も深刻である。1歯科医療機関当たり年間80万円ともいわれる損税は今後さらに大きくなり、さらに経営を圧迫することが予想される。消費税ゼロ税率による改善は喫緊の課題だ。
12月には次期診療報酬の改定率が閣議決定される。中医協でも全身的な疾患を有する患者への対応の評価が議論されている。そのためには歯科衛生士などスタッフの充実は欠かすことができない。もしマイナス改定が実施されるならば、安心安全の歯科医療提供がさらに困難となることは明らかである。改めて次期診療報酬改定は大幅な技術料のプラス改定を求めるものである。
2015年11月27日
東京歯科保険医協会
政策委員長 中川勝洋

歯科では口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下対応など重点に/社保審医療保険部会

歯科では口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下対応など重点に/社保審医療保険部会

平成28年度診療報酬改定基本方針を決定

 

11月20日、千代田区平河町の全国都市会館で社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が開催され、平成28年度診療報酬改定の基本方針案が提示され、一部修正のうえ了承された。基本方針の柱は、①改定の基本認識、②改定の基本的視点と具体的方向性、③将来を見据えた課題―の3本で、それぞれについて詳細に触れている。

◆「治す医療から治し、支える医療への転換」を強調

これらのうち、まず①について基本方針では「高齢化の進展に伴い疾病構造が変化していく中で、“治す医療”から“治し、支える医療”への転換が必要」とし、さらに「人口の減少傾向や現下の人材不足の状況に鑑み、医療従事者の確保・定着に向けて、地域医療介護の総合確保基金による対応と役割分担を踏まえつつ、医療従事者の負担軽減など診療報酬改上の措置を検討していくことが必要」としているが、これについては特に「予防・管理という文言を加えるべき」との指摘があったという。

◆かかりつけ歯科医機能が俎上に

また、②に関しては課題として、「チーム医療の評価、勤務環境の改善、業務効率化の取組等を推進し、医療従事者の負担軽減を図る」とし、さらに「かかりつけ医・かかりつけ歯科医の機能強化」も提起している。委員の中からは、「個別の疾患だけでなく患者に応じた診療が行なわれるよう、かかりつけ医、かかりつけ歯科医の機能を評価すべき」との意見も出ている。

協会ではすでに本年2月頃から理事会、政策委員会、社保・学術部会、政策学習会などで繰り返し「かかりつけ歯科医」「かかりつけ歯科医機能」について協議・検討を加えてきたが、ここにきて、ようやくこの問題が社保審医療保険部会でも本格的な議論が始まった感が否めない。

◆歯科衛生士活用の必要性も示唆

そのほか、歯科については、「口腔疾患、の重視化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進」が明記されており、歯科医師のみにとどまらず、歯科衛生士の活用をも示唆する内容となっている。

歯科の課題強くアピール/医療団体連絡会議がプラス改定求め緊急行動

歯科の課題強くアピール/医療団体連絡会議がプラス改定求め緊急行動

全国の医療従事者や患者で構成する医療団体連絡会議は11 月19 日、国会内で「11・19診療報酬のプラス改定を求める緊急行動」を行ない、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、歯科技工士、歯科衛生士220名が参加。協会からは、森元主税理事、橋本健一理事、山本道枝顧問が参加した。

集会では、まず保団連の斉藤みち子副会長がこの集会開催の趣旨を説明し、さらに歯科医療危機打開のための診療報酬引き上げと患者窓口負担大幅軽減の必要性を訴えた。

◆歯科問題について保団連の田辺副会長が報告

特に歯科問題に関しては、保団連歯科担当の田辺隆副会長が、医科歯科連携の重要性、中医協でも審議・検討が加えられている歯科訪問診療にも言及し、「制度の抜本的改善が不可欠」と指摘した。また、補綴に関しては、今後の超高齢化社会進行から増加が予想されるものの、診療項目の中では高点数設定のため、受診抑制が働くのではないか、との懸念を表明。さらに、「高齢者に優しい歯科医療の提供が求められている」とした。

◆保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートの中間集計も報告

そのほか、保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートの中間報告が行われ、不採算部門として義歯関連とインレーや全部鋳造冠を上げた上で、「それへの対応が急務」とし、その解消には「歯科診療報酬アップによる経営安定」が必要であると訴えた。

集会は最後に「診療報酬のプラス改定を求める緊急アピール」を採択して閉会した。

なお、会場には民主党の牧山ひろえ参院議員、田中直紀参院議員、小宮山泰子参院議員。共産党の田村智子参院議員、畑野君枝衆院議員。自民党の三宅伸吾参院議員が駆け付けた。

 

「国民にわかりやすい説明が必要」など意見多数/医療等分野の番号制度活用研究会

「国民にわかりやすい説明が必要」など意見多数/医療等分野の番号制度活用研究会

厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」(座長:金子郁容・慶大教授)の第10回会合が11月18日、厚生労働省内で開催され、報告書案が提示された。

この研究会は、昨年5月に設置され、医療側と保険者側の情報担当者をメンバーとし、①医療等の分野の情報連携に用いる番号のあり方、②具体的な利用場面、③マイナンバー制度のインフラ活用の考え方―などについて、協議・検討を加えているもの。昨年は7回にわたり議論を行い、昨年12月には中間的とりまとめを作成、公表している。そして、本年6月1日に政府が発表した「日本再興戦略改訂2015」の指摘を受け、医療等分野の番号の具体的な制度設計の検討を行い、本年末までに一定の結論を得るとしていた。

報告書(案)は、「医療分野の個人情報の情報整理のあり方」「マイナンバー制度のインフラとの関係」「医療保険のオンライン資格確認の仕組み」「医療分野の情報連携に用いる識別子(ID)の体系」「医療等分野の識別子(ID)の普及に向けた取組」などに言及。これらについて議論されたが、関心が高かったのは医療等分野において、地域医療連携に用いる識別子(ID)の位置づけ、生成・発行の仕組み、視覚性(見える番号性)、医療保険の資格確認用番号(仮称)とレセプト情報の活用などについてであった。

一方、事務局からは具体的な利用場面として、①医療保険ライン資格確認、②保険者間の健診データの連携、③医療機関・介護事業者等の連携、④健康・医療の研究分野、⑤健康医療分野のポータルサービス、⑥全国がん登録―などを提示し、必要な説明を加えた。

しかし議論の最後に日本医師会の石川広己常任理事があくまでも「医療は別カード」と、あくまでも医療は別扱いを要請するシーンもあり、今後の審議は慎重に見守る必要性があることを示唆した。

なお、この研究会メンバーに歯科側からは、日本歯科医師会の小泉政幸常務理事が加わっている。

歯科医師1人あたり患者数として14.1人/歯科医師需給問題WGを開催

歯科医師1人あたり患者数として14.1人/歯科医師需給問題WGを開催

―メンバーに山科日歯会長も加わる

厚生労働省の「歯科医師の資質向上に関する検討会」の「歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ」(座長:森田朗国立社会保障・人口問題研究所所長)の第3回会合が11月18日、同省内会議室で開催された。メンバー交替があり日歯から、山科透会長、小枝義典常務理事が出席した。

◆全身管理のできる歯科医師要請の必要性でも発現

議論のたたき台として、国立保健医療科学院上席主任研究員の安藤雄一氏が需要推計結果資料を提示し説明を加え、「需要推計は上方修正し、供給推計は下方修正された。その理由は、需要は近年の患者数増加、供給は歯科医師国家試験合格者数減少の要因による影響が考えられた」と、今回の推計調査の特徴を報告。さらに、「歯科診療所に従事する歯科医師1人あたり患者数として14.1人」と報告したことから、この数字も大きな議論を巻き起こした。日医の山科会長もこの14.1人に対して、「少し違和感があるが、これが20人だとどうなのか。あくまで所要の数字を基にしたものだと思うが」と指摘。また、大阪歯科大学長の川添尭彬氏は「数字だけの議論になっている。学生・歯科医師の問題を考えることが大事。卒業生の数が云々という話に懸念をもつ」と発言した。さらに、日歯大生命歯学部長の羽村章氏が「これからの社会のニーズに応えられて歯科医師の養成が問わる。議論の参考に安藤委員から提示した数字は大事」とした。そのほか、広島大学大学院医歯薬保健学研究院歯周病態学教授の栗原英見氏は「歯科疾患のほか全身管理ができる歯科医師をどう育てるか、大学としては腐心している」と発言した。

最後に森田朗座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)が日本の人口は減少傾向にあることに念を押し、「これを前提で議論を」と基本認識を改めて確認した。

地域を守る歯科医院をめざして。歯科に求められる医療安全講習会開催

歯科外来診療環境体制加算・在宅療養支援歯科診療所・医療安全の講習会

2015年11月1日(日)10時~16時、エムワイ貸会議室高田馬場にて開催し、79名が参加しました。

DSC03838地域包括ケアシステムの構築が進むなか、要介護高齢者や有病者が在宅で療養するようになり、外来・歯科訪問診療ともに求められる歯科医療は多様化していきます。先日開催された中医協でも、今後より一層の高齢化が進展する中で、住民のニーズに応えるために、地域包括ケアにおける歯科医療の提供体制の構築が必要とされています。そのようなニーズに対応できる医療機関の担保として、歯科外来診療環境体制加算や在宅療養支援歯科診療所などの施設基準に注目が集まっています。また、複数疾患を抱える患者が増加するにつれ、医院の安全管理、感染症対策も怠ることはできません。

これまでは歯科外来診療環境体制加算と在宅療養支援歯科診療所、医療安全は全て別々の講習会として開催してきましたが、重複している範囲も多く、1度の講習会で必要な知識を出来るだけ網羅したいという声に応え、1日で2つの施設基準に必要な内容と医療安全の知識が得られる講習会としてリニューアルさせました。

DSC03795はじめに、「歯科外来診療環境体制加算と有病者・高齢者の歯科治療に必要な基礎知識」として、明海大学歯学部病態診断治療学講座 口腔顎顔面外科学第2分野教授の坂下英明氏に講演いただきました。遭遇することの多い感染症の対策や感染予防、医療事故や医療訴訟について実例を交えて解説しました。医療事故には十分気をつけることは大切だが、委縮診療になることは避けてほしいと前置きし、実際起きてしまった場合は、隠さない、ごまかさない、逃げ出さないことが大切としました。また、偶発症に対する緊急時の対応では高齢者へ留意点についても触れ、医師との事前相談を怠らないようにと呼びかけました。DSC03801

その後昼休みを利用し、AEDやパルスオキシメーターなど医療安全に欠かせない器具の展示を行いました。また、AEDは人形を用いた実習も行い、多くの先生に体験いただくことができました。DSC03803

午後は高齢者歯科医療を中心に講演を行いました。はじめに挨拶に代えて馬場安彦地域医療部長により、「求められる歯科訪問診療 歯援診の役割」の題で、歯科をとり巻く全体の状況と高齢者の現状、地域包括ケアシステム、歯援診の果たすべき役割について説明しました。DSC03813

次いで、首都大学東京大学院人間健康科学研究科教授の繁田雅弘氏からは「高齢者の心身の特性と支援」として、高齢者を取り巻く身体と精神の加齢変化や多くの高齢者に見られるうつ病の特徴を説明しました。また、近年爆発的に増加し、対応が求められる認知症を丁寧に説明しました。認知症は種類によって特徴が異なり、対応も変わることを説明し、シンプルな説明と笑顔で対応することを心がけてほしいと呼び掛けました。

DSC03836

最後に当協会理事の森元主税氏から「口腔機能の管理」について、実際の歯科訪問診療の実例に基づいて管理計画の立案や多職種との連携、具体的な機能訓練の方法まで解説しました。その中で、多職種連携について、多職種を理解することで連携、信頼が生まれるとし、連携を築くためには自ら動くことが必要だと説明しました。また、管理計画・訓練については患者本人の残存能力や介護力を考慮し、無理をしないことが大切とし、最後の時までそばに寄り添う歯科治療を心がけてほしいと結びました。

アンケートでは「今後も継続して参加したい」という声が多く寄せられました。地域包括ケアシステムは全ての歯科医院に関わるものです。これからの歯科医療を担うために、施設基準の届出に関わらず、有病者・高齢者の知識を取り入れて頂きたいと思います。協会では来年度も医療安全や施設基準に関わる講習会を開催予定です。今後の開催予定は、決定次第HPや機関紙などでお知らせします。ぜひご参加下さい。

 なお、今回受講された先生方へは11月中旬に修了証を発送いたします。

保団連医療研究集会開催!

DSC03710  10月10、11日に都市センターホテル(東京)において、第30回保団連医療研究フォーラムが開催され、全国から医師・歯科医師・スタッフ・一般市民など併せて434名が参加した。当協会からは10名が参加した。

10日は、保団連の住江憲勇会長と次回主務地を代表して京都府保険医協会の飯田哲夫理事より挨拶が行われた。また、2015年4月~5月に全国の会員から30%無作為抽出しご協力いただいた、「骨粗鬆症治療薬等と顎骨壊死・顎骨骨髄炎 実態・意識調査」の結果報告がされた。顎骨壊死・顎骨骨髄炎患者は、医科で3.8%が経験しているのに対し、歯科では17.3%が経験していた。医科では診療科によって経験の有無に差があり、泌尿器科、整形外科が多く経験していた。顎骨壊死・顎骨骨髄炎の薬物使用割合は医科・歯科ともにビスフォスフォネート経口薬が約6割であった。次いでビスフォスフォネート注射薬が医科では13.5%、歯科では27.2%であった。歯科では顎骨壊死・顎骨骨髄炎患者の経験があると、休薬の依頼が増加し、薬の使用状況をより確認する傾向が示された。今回の実態調査から予防的投薬、治療薬効果のエビデンスや休薬の必要性、患者とのコミュニケーションなど多彩な問題点が浮き彫りにされ、今後さらに取り組みをしていきたいと締めくくった。

その後、黒坂黒太郎氏と矢口周美氏によるコカリナとミニハープの演奏が行われた。コカリナは木で作られたオカリナで、3.11関東大震災の一本松で出来たコカリナ、国立競技場の檜で出来たコカリナ、広島原爆を体験した榎で出来たコカリナの3種類を平和への祈りを込めて披露された。コカリナによって音色が異なり、心に訴えるものがあった。

特別企画は映画「いしゃ先生」予告上映と脚本家のあべ美佳氏による講演が行われた。予告上映では、主演の平山あや氏からのビデオメッセージも流され「撮影を通じて、志田先生の病院にかかれない人を無くしたいという思いが伝わってきた。この思いをみんなに伝えていきたい」と語られた。あべ氏は志田周子医師の生涯を紹介し「患者は医師に過剰な期待を寄せることがある。医師は患者の命を守る、地域住民は先生の生活を守ることをしっかりやっていかなくてはならない。地域の医師不足解消のために、何ができるのか。これからも一緒に考えていきたい。」と述べた。

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記念講演は戦後70年―人間として言うべきこと―と題して、俳優の宝田明氏が講演。小学校5年生までハルピンで過ごした経験を紹介しながら「戦争は非戦闘民であっても人生を狂わされる。戦争は憎しみ、憎悪しか残さない。夢・希望・愛全てを奪いさるものでしかない」と述べた。また、安保法案についても触れ「戦後70年守り続けて、育ててきた“戦力は持たない”という理念を為政者とその周りによってタガが外されてしまった。そういう政権を日本が作ってしまった」と強く批判した。最後にゴジラは被爆者の一人であり、世界に向けた核廃絶のメッセージが込められていると紹介し、平和を守り続けることが我々の使命であると、平和への願いの歌を披露し、幕を閉じた。

11日の午前は分科会が開催され、歯科診療の研究と工夫の第3分科会で、きょうどう歯科医院歯科助手の渡邊理美氏が「患者さんとのコミュニケーションを深める広DSC03742報紙づくり」をテーマに、患者とのコミュニケーションを深める上での広報紙の役割について、きょうどう歯科医院での取り組みを報告した。広報紙では①患者さんの目線で②患者さんのことを③患者さんにもかいてもらうの3点を意識していると紹介し、患者参加型の広報紙作成をすることによって、患者の職業や生活の背景、趣味などをより理解できたり、院内イベントを企画するきっかけになるとした。また、スタッフもそれぞれの立場でできるだけ患者とコミュニケーションをとろうと積極的になることで、より深い信頼関係が築けるとまとめた。

午後からは、「患者本位の診療体制を構築する」「大震災と医療・社会保障」「本来の高齢者医療に立ち返る」の3つのシンポジウムが開催され、二日間に及ぶ医療研究集会が終了した。

都内の歯科診療所の収入は-1.2%減に/厚労省発表の医療経済実態調査で判明

都内の歯科診療所の収入は-1.2%減に/厚労省発表の医療経済実態調査で判明

厚生労働省がこのほど発表した「2015年医療経済実態調査」によると、東京都内の歯科診療所の収入は、前回調査が行われた2013年と比べ、-1.2%(54.8万円)の収入減少になっていることが分かりました。

政府、財務省サイドでは、次期診療報酬改定でのマイナス改定を示唆しています。歯科診療所の経営実態を見れば、これ以上の減収になれば、安心・安全の歯科医療はもとより、診療所で働く従業員の雇用確保も危ぶまれてしまうでしょう。

歯科に関する次期診療報酬改定に関する中医協の議論の中では、居宅における夫婦への訪問診療の扱い、要介護度の高い患者への歯科訪問診療の見直し、歯科訪問診療時の処置などに関する50/100加算の見直しなどが論点として挙がっています。

中医協での審議・検討作業は、今月から密度の濃い内容が取り扱われています。引き続き注視していく必要があります。

有給休暇の計画年休取得について/機関紙2015年11月1日号(№548号)より 

有給休暇の計画年休取得について/機関紙2015年11月1日号(№548号)より 

質問① 質 問 夏期休暇や年末年始に対応するため「計画年休(※注)」制度を導入している。先日、従業員から乳幼児が病気やケガをした際に備えて、有給休暇の取得日はすべて自分で決めたいとの申し出があった。どのように対応すべきか。

回答① 計画年休は、年休消化率を高めることや、計画的な事業運営を可能にすることなどを目的として導入されたものですが、反面、年休の付与日があらかじめ決まっていることから不都合が生じる場合があります。今回のように乳幼児を保育園などに預けて働いている従業員などは、特に子どもが病気したときなどに備えて年休をとっておきたいなどの事情があると思います。そこで、厚生労働省は、特別の事情があって年休の計画付与が適当でない労働者については、計画付与の対象から除外するなどの配慮を求める通達を出しています。また、2005年4月より看護休暇制度が導入され、小学校入学前の子どもをもつ親は、有給休暇とは別に、子どもの看護休暇として1年に5日間利用できる制度もあります。この看護休暇は子どもの病気やケガは突発的に発生することから、業務の運営が妨げられるからといって、日程の変更を求めることはできません。ただし、この休暇を有給とするか無給とするかの法的定めはありませんので、従業員の合意を得た上で就業規則で定めるか、あるいは、話し合いによって定めたのかを、文書で残すことが必要です。これらの制度と併用して対応を検討してみてはいかがでしょうか。

(※注)年次有給休暇の5日を超える部分については、労使協定により事業所全体で一斉に有給休暇を取得する等の計画的付与ができます(労働基準法第39条第5項)。

『世界が食べられなくなる日』上映に160人が参加

『世界が食べられなくなる日』上映に160人が参加

「何を食べればよいのか」などの疑問点に安田節子氏が的確に回答

11月7日(土)、渋谷区の渋谷区総合文化センター大和田「伝承ホール」で、今年度2回目の自主上映会『世界が食べられなくなる日』を開催し、会員と一般の方々合わせて160名が参加した。

今回は、上映後に映画内容などを中心に質疑応答を行うことを重視。食、遺伝子組み換え作物、放射線の食物への影響などに詳しい「食政策センター ビジョン21」の代表を務める安田節子さんを招いて参加者の疑問点に充分に応えることとした。司会は、協会の竹田正史理事が務めた。

松島会長による協会の活動内容紹介に続き、上映開始。作品はフランス語編集のため字幕スーパーとなっているが、場面が2011年3月の福島第1原子力発電所事故に移ると、日本語がそのまま収録されているため、字幕を気にすることなく映画に見入ることができた。118分の上映時間は瞬く間に過ぎ、ラストシーンの福島の納付が手を振る姿の余韻が残る中で質疑応答に入った。

◆さまざまな質問に安田氏が回答

11.7自主上映会:安田氏250oixCIMG4812続く質疑では、「日頃、食材を選ぶとき、楽観的にしていないと生きていけない、と思って暮らしてきたが、映画を見て、ここまで来ると“何を食べていけばいいのか”という素朴な疑問を考えざるを得ない」「日本で、なるべく安全な食べものを手に入れるには、どうすればいいのか」「現在の食の問題について非常に考えさせられたが、私たち自身は、これからどうすればいいのか。何をすればいいのか」「食材を選ぶ際、どの地域の産物を選べばいいのか」など、さまざまな質問が出されたが、講師の安田節子氏(写真右)によりてきぱきと、質問者を十分納得する回答が出された。

◆アンケートの状況

終了後に回収したアンケートでは、遺伝子組み換え作物(GM作物)を給餌されたラットに全身の25%以上の大きさの腫瘍(がん)が発症したシーン、GM作物を扱う農民や荷揚げする港湾労働者のがん発症率が高いことを紹介するシーン、GMだけでなく農薬・化学肥料・食品添加物などへの疑問…、などが非常に印象的だったとの声が多かった。また、メディアではなかなか紹介されないドキュメンタリー映画を、今後も上映してほしいとの声も多数あった。

なお、安田氏提供の資料をご覧になりたい方は、下記をクリックしていただきたい。

安田氏提供資料を閲覧、ダウンロードされたい方はこちらをクリック

知らなかったでは済まされない 医院経営のいろは!

歯科医師は、歯科医療のエキスパートです。しかし、開業すれば事業主、スタッフを雇用すれば雇用主、そして、税金を納める納税者としての立場にも置かれています。日々変化する歯科医療の知識はもちろん、その他の知識と実務が要求されます。また、近年、患者さんやスタッフの意識も大きく変化し、対応を間違えたためにトラブルに発展するケースも見受けられます。昨今の現状を一日で勉強する機会を設けました。会員の先生に必要で有益な内容満載です。

 

 

 加藤社労士 写真

 

 

 

講師:加藤深雪氏(社会保険労務士)

【プロフィール】

特定社会保険労務士、株式会社第一経理。企業や医療機関の人事労務コンサルティングを手掛け、中小企業大学校講師や保険医団体の顧問社会保険労務士も務める。日経メディカル連載記事「院長を悩ます職員トラブル大研究」執筆。

 講演内容:スタッフ採用の際のポイントや労働基準法の基礎的なルール、診療所向けの補助金、日経メディカルに掲載された実際あったトラブル

 

 

荒川税理士写真★

 

 

 

講師:荒川俊之氏(税理士)

【プロフィール】

税理士法人税制経営研究所 共同代表社員(副所長)。

立教大学を卒業後、都内個人税理士事務所を経て、当該法人に2000年6月27日入所。

最近では「歯科医院の経営・税務・会計(清文社発行)」、「円満な相続と相続税対策(旬報社発行)」を出版している。

講演内容:最近の税務調査の注意点、マイナンバー制度、節税対策

 

 

  濱副会長 写真★

講師:濱克弥氏(東京歯科保険医協会副会長)

【プロフィール】

2011年から協会の副会長、2013年から経営管理部長(旧経営・税務・スタッフ教育部)を兼任。医療法人の理事長を務めながら、開業医目線を大切に歯科界の改善のために活動している。経営に関して、協会内外でも講演多数。

講演内容:東京の歯科開業医が今置かれている現状と問題点

 

 

日時:12月6日(日)10:00~16:00

会 場:東京歯科保険医協会 会議室

参加対象:会員の先生限定

(ただし、会員の配偶者など共同で経営している立場の方は参加可能)

定 員:50名

参加費:5,000円(昼食代込)

※要予約 経営管理部まで