地域医療部

地域包括ケアシステム研究会を開催!

「食」を中心に、歯科から関わりを!

  1月21日(木)19:00より協会会議室にて、地域包括ケアシステム研究会「歯科が地域包括ケアシステムにどう関わるか」を開催し、会員・スタッフなど33名が参加した。講師は当協会理事の橋本健一氏、地域包括支援センター管理者の櫻井信幸氏、地域包括支援センター管理者の佐藤志穂子氏の3名が務めた。

 橋本氏は、地域包括ケアシステム(以下地域包括ケア)が求められる背景や概要を説明。2016年度診療報酬改定で議論している内容にも触れた。地域包括ケアに対する歯科の関わりとして、歯科はもっと自ら外に出て働きかけ、訪問歯科診療や専門的口腔ケアの重要性などの情報を発信していかなくてはならないと呼び掛けた。

 櫻井氏は、地域包括支援センターの業務と役割について解説を行った。地域包括支援センターは主任福祉士・主任ケアマネジャー・保健師の3職種が配置されていることにより、介護に関する相談が一カ所で解決できることが一番のメリットであると述べた。また、行政やボランティアと広く連携しており、在宅介護高齢者への力強い味方であるとした。

 佐藤氏は介護保険の問題点や地域包括ケアを構築していく上での課題について、2014年度介護保険改定により現場は大変混乱している。基本チェックリストに基づいて介護予防の受け入れを行っているが、医療の関わりが薄いことに不安を感じていると述べた。また、地域包括ケアについては、医師・歯科医師・薬剤師の連携が欠かせないとし、グループワークなどにもっと慣れ、積極的に関わってほしいと述べた。歯科との連携については、歯科は食べるということにもっと目を向けてほしい。食べたいものを食べることが人間の生きていくための基本だと思う。食支援は歯科とリハビリが中心になると思うので、ぜひ取り組んでほしい。また、ケアマネジャーには歯科が関わることの必要性や口腔ケアの重要性が伝わっていない。歯科が関わると何が変わるのか、どのような効果があるのかを症例などを交えながら分かりやすく伝えてほしいと訴えた。さらに、予約診療が中心である歯科では、予約の間違いや1日に何度も来院されるなど、認知症の患者の早期発見が出来ると思う。認知症が疑われる患者には、さりげなく地域包括支援センターを案内してほしいと呼び掛けた。

 講演後のディスカッションでは、「どのようなきっかけで介護職と関わればよいか」「勉強会や地域ケア会議に参加するにはどうすればよいか」「歯科訪問診療を必要としている高齢者を知る方法はないか」「病院からの退院時に歯科が関わる方法はあるか」などの質問が出された。講師陣から「まずは地区のお祭りや勉強会などに顔を出し、地域の一員として関わってほしい」「地区ごとのケアマネジャーの集まりなどがどこでもあると思う。また、地域ケア会議への参加は地域包括支援センターに相談しても良いと思う。歯科訪問診療が出来るとアピールするのではなく、具体的に何が出来るかを教えてほしい」「患者や家族は歯科訪問診療を知らない。希望があった場合はかかりつけ医と連絡をとるよう案内することが多い。通院している患者へのアピールや来院が途絶えている患者への連絡など、きめ細やかなフォローをしてほしい。」「退院時のカンファレンスは時間がない中で行われることが多い。制度として改善を求めていく必要があると思う。」などの回答があった。

 最後に講師陣から、時代が大きく動く中で、多職種の連携は重要となる。特に歯科は「食」を中心としたネットワークが作れると思う。職種間の壁を少しずつなくし、利用者のQOLを上げられるよう、連携をとっていきたいとまとめられた。

 アンケートでは「できるだけ地域に出ていき、地域包括ケアの一員として、歯科を通して支援を行っていきたい」「歯科からのアプローチのヒントが得られた」「歯科医師は地域包括ケアに対して“どう関わればいいの?”ではなく、専門職として“こんな支援の方法もある”と提案していけると思う」などが寄せられ、「歯科がどう関わるか」のヒントが得られた研究会となった。

歯科が地域包括ケアシステムにどう関わるか

地域包括ケアシステム研究会を開催します!

超高齢社会に向けて、地域包括ケアシステムの構築が進められています。先日開催された中医協で、「地域包括ケアシステムにおける歯科医療提供体制の構築が必要」と議論されています。

しかし、実際は歯科がどのように関わっていけばよいのか、何を求められているのかがわかりにくいというのが現状であると思います。

今回は、実際に地域包括支援センターで地域包括ケアシステムを運用している方をお招きし、「現場で求められる歯科」について考えたいと思います。

外来診療を中心に行っている先生にとっても地域包括ケアシステムは他人事ではありません。ぜひ、一緒に考えましょう!
ご参加お待ちしています。

※協会機関紙12月号10面(研究会案内)の開催時間に間違いがありました。
ご迷惑おかけして申し訳ありません。
正しくは2016年1月21日(木)19:00~21:00です。
ぜひご参加下さい。

日程 2016年1月21日(木)19:00~21:00chiikihoukatukeashika
講師 地域包括支援センター管理者の方 2名
    橋本健一氏(協会地域医療部担当理事)
会場 東京歯科保険医協会 会議室
対象者 協会会員 及び スタッフ
定員 40名
参加費 無料
要予約 03-3205-2999(担当:地域医療部)

地域を守る歯科医院をめざして。歯科に求められる医療安全講習会開催

歯科外来診療環境体制加算・在宅療養支援歯科診療所・医療安全の講習会

2015年11月1日(日)10時~16時、エムワイ貸会議室高田馬場にて開催し、79名が参加しました。

DSC03838地域包括ケアシステムの構築が進むなか、要介護高齢者や有病者が在宅で療養するようになり、外来・歯科訪問診療ともに求められる歯科医療は多様化していきます。先日開催された中医協でも、今後より一層の高齢化が進展する中で、住民のニーズに応えるために、地域包括ケアにおける歯科医療の提供体制の構築が必要とされています。そのようなニーズに対応できる医療機関の担保として、歯科外来診療環境体制加算や在宅療養支援歯科診療所などの施設基準に注目が集まっています。また、複数疾患を抱える患者が増加するにつれ、医院の安全管理、感染症対策も怠ることはできません。

これまでは歯科外来診療環境体制加算と在宅療養支援歯科診療所、医療安全は全て別々の講習会として開催してきましたが、重複している範囲も多く、1度の講習会で必要な知識を出来るだけ網羅したいという声に応え、1日で2つの施設基準に必要な内容と医療安全の知識が得られる講習会としてリニューアルさせました。

DSC03795はじめに、「歯科外来診療環境体制加算と有病者・高齢者の歯科治療に必要な基礎知識」として、明海大学歯学部病態診断治療学講座 口腔顎顔面外科学第2分野教授の坂下英明氏に講演いただきました。遭遇することの多い感染症の対策や感染予防、医療事故や医療訴訟について実例を交えて解説しました。医療事故には十分気をつけることは大切だが、委縮診療になることは避けてほしいと前置きし、実際起きてしまった場合は、隠さない、ごまかさない、逃げ出さないことが大切としました。また、偶発症に対する緊急時の対応では高齢者へ留意点についても触れ、医師との事前相談を怠らないようにと呼びかけました。DSC03801

その後昼休みを利用し、AEDやパルスオキシメーターなど医療安全に欠かせない器具の展示を行いました。また、AEDは人形を用いた実習も行い、多くの先生に体験いただくことができました。DSC03803

午後は高齢者歯科医療を中心に講演を行いました。はじめに挨拶に代えて馬場安彦地域医療部長により、「求められる歯科訪問診療 歯援診の役割」の題で、歯科をとり巻く全体の状況と高齢者の現状、地域包括ケアシステム、歯援診の果たすべき役割について説明しました。DSC03813

次いで、首都大学東京大学院人間健康科学研究科教授の繁田雅弘氏からは「高齢者の心身の特性と支援」として、高齢者を取り巻く身体と精神の加齢変化や多くの高齢者に見られるうつ病の特徴を説明しました。また、近年爆発的に増加し、対応が求められる認知症を丁寧に説明しました。認知症は種類によって特徴が異なり、対応も変わることを説明し、シンプルな説明と笑顔で対応することを心がけてほしいと呼び掛けました。

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最後に当協会理事の森元主税氏から「口腔機能の管理」について、実際の歯科訪問診療の実例に基づいて管理計画の立案や多職種との連携、具体的な機能訓練の方法まで解説しました。その中で、多職種連携について、多職種を理解することで連携、信頼が生まれるとし、連携を築くためには自ら動くことが必要だと説明しました。また、管理計画・訓練については患者本人の残存能力や介護力を考慮し、無理をしないことが大切とし、最後の時までそばに寄り添う歯科治療を心がけてほしいと結びました。

アンケートでは「今後も継続して参加したい」という声が多く寄せられました。地域包括ケアシステムは全ての歯科医院に関わるものです。これからの歯科医療を担うために、施設基準の届出に関わらず、有病者・高齢者の知識を取り入れて頂きたいと思います。協会では来年度も医療安全や施設基準に関わる講習会を開催予定です。今後の開催予定は、決定次第HPや機関紙などでお知らせします。ぜひご参加下さい。

 なお、今回受講された先生方へは11月中旬に修了証を発送いたします。

保団連医療研究集会開催!

DSC03710  10月10、11日に都市センターホテル(東京)において、第30回保団連医療研究フォーラムが開催され、全国から医師・歯科医師・スタッフ・一般市民など併せて434名が参加した。当協会からは10名が参加した。

10日は、保団連の住江憲勇会長と次回主務地を代表して京都府保険医協会の飯田哲夫理事より挨拶が行われた。また、2015年4月~5月に全国の会員から30%無作為抽出しご協力いただいた、「骨粗鬆症治療薬等と顎骨壊死・顎骨骨髄炎 実態・意識調査」の結果報告がされた。顎骨壊死・顎骨骨髄炎患者は、医科で3.8%が経験しているのに対し、歯科では17.3%が経験していた。医科では診療科によって経験の有無に差があり、泌尿器科、整形外科が多く経験していた。顎骨壊死・顎骨骨髄炎の薬物使用割合は医科・歯科ともにビスフォスフォネート経口薬が約6割であった。次いでビスフォスフォネート注射薬が医科では13.5%、歯科では27.2%であった。歯科では顎骨壊死・顎骨骨髄炎患者の経験があると、休薬の依頼が増加し、薬の使用状況をより確認する傾向が示された。今回の実態調査から予防的投薬、治療薬効果のエビデンスや休薬の必要性、患者とのコミュニケーションなど多彩な問題点が浮き彫りにされ、今後さらに取り組みをしていきたいと締めくくった。

その後、黒坂黒太郎氏と矢口周美氏によるコカリナとミニハープの演奏が行われた。コカリナは木で作られたオカリナで、3.11関東大震災の一本松で出来たコカリナ、国立競技場の檜で出来たコカリナ、広島原爆を体験した榎で出来たコカリナの3種類を平和への祈りを込めて披露された。コカリナによって音色が異なり、心に訴えるものがあった。

特別企画は映画「いしゃ先生」予告上映と脚本家のあべ美佳氏による講演が行われた。予告上映では、主演の平山あや氏からのビデオメッセージも流され「撮影を通じて、志田先生の病院にかかれない人を無くしたいという思いが伝わってきた。この思いをみんなに伝えていきたい」と語られた。あべ氏は志田周子医師の生涯を紹介し「患者は医師に過剰な期待を寄せることがある。医師は患者の命を守る、地域住民は先生の生活を守ることをしっかりやっていかなくてはならない。地域の医師不足解消のために、何ができるのか。これからも一緒に考えていきたい。」と述べた。

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記念講演は戦後70年―人間として言うべきこと―と題して、俳優の宝田明氏が講演。小学校5年生までハルピンで過ごした経験を紹介しながら「戦争は非戦闘民であっても人生を狂わされる。戦争は憎しみ、憎悪しか残さない。夢・希望・愛全てを奪いさるものでしかない」と述べた。また、安保法案についても触れ「戦後70年守り続けて、育ててきた“戦力は持たない”という理念を為政者とその周りによってタガが外されてしまった。そういう政権を日本が作ってしまった」と強く批判した。最後にゴジラは被爆者の一人であり、世界に向けた核廃絶のメッセージが込められていると紹介し、平和を守り続けることが我々の使命であると、平和への願いの歌を披露し、幕を閉じた。

11日の午前は分科会が開催され、歯科診療の研究と工夫の第3分科会で、きょうどう歯科医院歯科助手の渡邊理美氏が「患者さんとのコミュニケーションを深める広DSC03742報紙づくり」をテーマに、患者とのコミュニケーションを深める上での広報紙の役割について、きょうどう歯科医院での取り組みを報告した。広報紙では①患者さんの目線で②患者さんのことを③患者さんにもかいてもらうの3点を意識していると紹介し、患者参加型の広報紙作成をすることによって、患者の職業や生活の背景、趣味などをより理解できたり、院内イベントを企画するきっかけになるとした。また、スタッフもそれぞれの立場でできるだけ患者とコミュニケーションをとろうと積極的になることで、より深い信頼関係が築けるとまとめた。

午後からは、「患者本位の診療体制を構築する」「大震災と医療・社会保障」「本来の高齢者医療に立ち返る」の3つのシンポジウムが開催され、二日間に及ぶ医療研究集会が終了した。

歯科訪問診療を始める第一歩!これから始める!歯科訪問診療講習会を開催

9月27日(日)10時から16時の1日コースで協会会議室にて、歯科訪問診療に取り組みたい、または経験が少ない会員を対象に講習会を開催しました。

 この講習会は歯科訪問診療を始めたいが、なかなか始められないという先生に対し、歯科訪問診療を行うにあたり知っておきたい知識や注意点を説明し、歯科訪問診療への一歩を踏み出すきっかけにしてもらうためのものです。参加者からは事前に、歯科訪問診療へのハードルにどのようなものがあるか、歯科訪問診療を行うにあたっての疑問点や不安点などを出していただきました。

 ●CIMG8193はじめに矢野副会長より、歯科訪問診療のニーズ、注意点について説明しました。超高齢社会が訪れ、地域包括ケアシステムが構築されていく中で、歯科訪問診療のニーズは確実に増えていること、歯科界はそれに応えていく必要があることを訴えました。また自身の経験に基づき、歯科訪問診療はやりがいのある仕事であること、患者さんに喜んでもらえること、何より楽しいことを動画などを用いながら説明し、口から食べることにこだわり、生涯にわたる「かかりつけ医」を目指しましょうと呼び掛けました。

 ●CIMG8199次いで馬場部長より、歯科訪問診療に関わる医療保険と介護保険について解説しました。歯科訪問診療に関わる点数に馴染みがないため、請求に不安があり一歩踏み出せないという意見も多かったため、丁寧な説明が行われました。

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馬場部長と森元理事が使用している器材を紹介しました。写真は器材を紹介する馬場部長。

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器材を紹介する森元理事

 昼食休憩時には、歯科訪問診療に必要な機材として、実際に講師が歯科訪問診療で使用している器材を展示し、使用方法などを説明しました。実物を見ることで、各講師が工夫している点や、準備のイメージを持ってもらうことができました。

 午後は歯科訪問診療の現状として、森元理事より「訪問診療を始めるための準備」、横山理事より「在宅歯科訪問診療の現状」、矢野副会長より「在宅歯科訪問診療特有の悩み」をテーマにそれぞれ講演いただきました。

 CIMG8275森元理事は、歯科訪問診療を始める前に、外来で来ている高齢の患者の状況をよく把握することが大切とし、外来診療のうちに、全身の疾病や障害の状況、家族構成、主治医、介護保険の利用状況などの確認やレントゲンを撮影したりしておく必要があると説明しました。さらに、外来診療のうちから口腔だけを診るのではなく全身・日常を診る視点と食べることを目的とすることが大切と述べました。また、訪問診療への声かけを積極的にしていくことが、歯科訪問診療につながり、生涯にわたる「かかりつけ歯科医」に近づけると述べました。その後歯科訪問診療で必要な機材や訪問診療の様子を紹介しました。

 ●CIMG8225横山理事は、歯科訪問診療の実際として、自身が行った歯科訪問診療の様子を動画で紹介しました。その中で、認知症患者への声かけ、接し方、訪問診療を行う環境などを説明しました。また、歯科訪問診療で求められるのは、義歯の修理や新製が多いことから、義歯の修理・新製のポイントを解説しました。義歯はただ作れば良いのではなく、食べられる義歯、使ってもらえる義歯とすることが大切と述べ、患者の状況に合わせた咬合とする事や、修理・作成を行ったら、何か食べてもらうことが大切だと説明しました。

 最後に矢野副会長は、歯科訪問診療で一番悩みを抱えることが多い、多職種連携のポイントを中心に説明しました。ケアマネジャーや医科と連携することで、既往歴や服薬の状況、過去のトラブルや患者の性格なども教えてもらうことができ治療もスムーズに行えるため、気後れせず、何でも聞くことが大切だとしました。また、現在診療報酬制度の情報提供料では、情報を求めた側が何も算定出来ないという問題点に触れ、お互いに算定出来るようになれば、情報連携が進むのではないかと述べました。また、口腔ケアについて、口腔ケアは介護職の中では意識は上がっているが、決して良好な口腔状況ではないことを紹介し、実際の口腔ケアで使用している材料や歯科衛生士の感想などを交えながら説明しました。最後に食べることは生きること、患者の生き方に寄り添って支えることが歯科訪問診療の醍醐味とまとめました。

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小グループに分かれてのディスカッション。活発な意見が飛び交いました。

 講義の後には、小グループに分かれディスカッションを行いました。歯科訪問診療を始めたいという意欲を強く持った参加者が多く「実際に始めるためにどこを突破口に声をかけるべきか」「実際に歯科訪問診療の依頼を受けているためすぐにでも始めたい」などの意見が多く出されました。講師からは、ポスターやお知らせを掲示して、歯科訪問診療を行っていることをアピールする方法や、外来の高齢の患者やケアマネジャー、ヘルパーの仕事をしている患者などに直接声をかけるなど、これまでのつながりを利用して始めるのが一番取り掛かりやすいなどアドバイスを送りました。

 まとめとして、森元理事から自身の歯科訪問診療を始めたきっかけを紹介し、食べることは家族までも幸せにするということを歯科訪問診療で教えてもらった、ターミナルまで関われるすばらしい職業だと呼び掛けました。

●CIMG8288 最後に松島会長から、これからは間違いなく超高齢化社会になり、在宅歯科医療が求められている。かかりつけ歯科医として、患者を最後まで看取るために、これからも在宅歯科訪問診療を広めるよう協会としても頑張っていきたいと、在宅で待つ患者のためにも、在宅歯科訪問診療を広げる必要性を訴えました。

 事後のアンケートでは、ほとんどの参加者が歯科訪問診療を行ってみようと思うと回答し、「少しずつ出きる事をやろうと思う」「不安が解消できたので行ってみたい」「可能性を見出せた」など前向きな意見が多く集まりました。

 次回はすでに歯科訪問診療を行っている先生向けに、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の講習会を11月1日(日)に開催します。今回はこれからの歯科に求められる医療安全や外来環境体制加算の講習会を1日で網羅できるプログラムとなっています。

 緊急時の対応や高齢者・有病者への対応、感染症対策、医療事故対策など、地域を守る歯科医院として、学んでおきたい内容です。施設基準の届出をしない先生でもぜひ聞いて頂きたいと思います。また、修了証の有効期限は外来環3年、歯援診4年となっております。詳しくは機関紙10月号の研究会・行事のご案内やHPをご覧ください。みなさまのご参加お待ちしております。
研究会案内はこちら

歯科訪問診療の悩み打ち明け合う/歯科訪問診療懇談会開催

歯科訪問診療の悩み打ち明け合う/歯科訪問診療懇談会開催訪問診療懇談会1

7月22日(水)、協会会議室にて、歯科訪問診療「これ困った!!」をテーマに歯科訪問診療懇談会を行いました。定員を20名としていましたが、定員を超える23名が参加し、会員同士で素朴な疑問や悩みを出し合いました。

懇談のきっかけになるよう話題提供として、当協会地域医療部担当の横山靖弘理事からシームレスな訪問診療~外来の患者さんを訪問診療にどうつなげるか~をテーマに、三幣部員より私の失敗事例~失敗事例より学ぶ~をテーマにそれぞれ事例を報告しました。

 横山理事は、訪問診療を実施している患者でも、難しい歯内療法や抜歯などの場合、無理をして在宅で治療をするのではなく、一時的に介助や搬送によって診療所に来てもらい治療をする選択肢もあると述べました。また、自身が訪問診療で使用している器材などの紹介も行いました。

 三幣部員は、これまでの訪問診療の経験の中での、準備不足・情報収集・目的と手段のはき違えの3つの失敗体験とそこから導きだされた教訓や注意している点などを紹介しました。在宅歯科医療の心構えを携え、手抜きすることなく、患者・家族・介護者・医療者みんなが喜ぶ治療を目指していきたいと述べました。

様々な悩みを共有

懇談では、高齢者の残存歯や大型補綴が多いことによる治療の難しさや、介護保険の複雑さ、治療が長期化しやすいことなど、さまざまな悩みを共有し合いました。中でも他職種との連携に関しての悩みが多く、「ヘルパーに口腔ケアを頼むが十分でない」「医科に薬の量の調整を頼んでも返事がこない」「ケアマネが代わった時の対応で困っている」などの声が寄せられました。それらに対し、「患者の状況を改善したいと一番に考えてくれるキーパーソンを見つけることが大切」「治療に関係ないことでも他職種や付添いの家族と会話し、信頼関係を築くことが大切」等のアドバイスが出され、会員同士で活発な意見交換が行われました。

懇談会後のアンケートでは、「日ごろの自分の悩みは出席されている方も同じなんだと少し安心した」「他院の訪問診療の留意点が理解できた」「いろんな意見を聞けて役立った」などの感想が出されました。悩みを共有し相談し合うことによって明日からの診療に活かせる有意義な懇談会となりました。

訪問診療懇談会2

在宅療養支援歯科診療所の講習会「高齢者歯科医療を支えるために」を開催

在宅療養支援歯科診療所の講習会~高齢者歯科医療を支えるために~

2015年2月7日(土)15時~19時、協会会議室にて、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の講習会「高齢者歯科医療を支えるために」を開催し、28名が参加しました。

はじめに、挨拶に代えて馬場安彦地域医療部長により、「高齢化の状況と歯援診の役割」の題で、歯科をとり巻く全体の状況と歯援診の果たすべき役割について説明しました。次いでがん・感染症センター都立駒込病院歯科口腔外科部長の茂木伸夫氏が「緊急時の対応」として、誤飲・誤嚥の対策、BP製剤やワーファリンなどを服用している患者への対応、病院との連携について症例を多く用いて解説しました。首都大学東京副学長の繁田雅弘氏からは「高齢者の心身の特性とその対応」として、近年爆発的に増加している認知症患者を中心に、特徴と対応を解説。シンプルな説明、対応を心がけてほしいと呼び掛けました。最後に当協会副会長の森元主税氏から「口腔機能の管理」について、実際の歯科訪問診療の実例をもとに解説しました。他職種との連携を図ることで、全身的な状況が見え、患者1人1人にあった管理計画が立てられると述べました。

 2025年の超高齢社会に向けた地域包括ケアシステムの構築に伴い、在宅療養高齢者の支援はますます求められていきます。この講習会は歯援診の施設基準の届出に使用できる講習会ですが、施設基準の届出に関係なく、高齢者歯科医療に携わる方には是非聞いて頂きたい内容です。次年度も開催する予定なので、地域を支える会員の先生方にはご参加下さい。開催日程などは、決定次第、HPや機関紙の研究会・行事のご案内に掲載していきます。

なお、修了証を希望された先生には、2月13日に発送しました。

歯科訪問診療と他職種との連携で熱い語らい/訪問診療懇談会を開催

歯科訪問診療と他職種との連携で熱い語らい/訪問診療懇談会を開催

 11月21日、訪問診療懇談会「訪問診療における他職種との関わり」を開催し、16名が参加しました。

当日は、東京民主医療連合歯科部副部長の前田茂先生から「訪問診療における医科歯科連携」について、東京歯科保険医協会副会長の森元主税先生から「訪問診療における他職種との関わり」について話題提供を行いました。

訪問診療懇談会 11.21:250pix

参加者からは、連携をスムーズにするために心掛けていることや、連携で困っていること、歯科訪問診療で疑問や不安に思っていることなどについて意見交換を行い、大変好評でした。

 ◆新年1月29日には地域医療をめぐる研究会を開催

なお、1月29日(水)には実際に介護の場で活躍している訪問看護師やケアマネジャーをお招きし、「地域医療研究会」を開催します。

2025年に向けて歯科に求めることをお話頂きます。他職種との関わりでお悩みの方、高齢の患者さんを診るうえでのヒントがほしい方、ぜひご参加下さい!

くわしくは、本ホームページの「研究会イベント」あるいは「協会カレンダー」をご覧ください。また、機関紙11月号、12月号の「研究会案内」にも掲載しておりますのでご覧ください。ご予約お待ちしております。

歯科関連演題で協会関係者6名が発表/第28回保団連医療研究集会

歯科関連演題で協会関係者6名が発表/第28回保団連医療研究集会

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 10 月12、13日の2日間にわたり、横浜市内の横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにおいて、第28回保団連医療研究集会が開催されました。全国から医師・ 歯科医師・スタッフ・一般市民など併せて1607名が参加。当協会からは演題発表を行った6名を含め34名が参加しました。

13日は、市民 公開講座として女優の倍賞千恵子氏による「歌うこと、演じること、そして生きること」をテーマとした講演が行われたほか、「こどもの虐待―地域の一員とし ての役割を考える」「医療再生へ、医療の倫理と自治―市場化、医療事故、医療研究の“底流”を穿つ―」をテーマとしたシンポジウムも開催されたほか、オー プニング行事や基調講演などが行われました。

14日の午前は分科会や、「これからの開業医と臨床研究の関わり」をテーマにした臨床研究シンポジウム、「医療情報の電子化の光と影~患者の個人情報保護の観点から医療IT化を考える~」をテーマとした講演が同時開催されました。

昼食時には医師・歯科医師を対象としたランチョンセミナーが4つのテーマで開催されています。

さ らに午後は「高血圧症に立ち向かう」「糖尿病性腎症の診断と治療の実際」「患者さんが知りたい、糖尿病からわかる歯周病のメカニズム」「かかりつけ医が取 り組める在宅医療―実はハードルは低い 地域社会、多職種連携に視線を―」の4つのシンポジウムが開催され、2日間の医療研究集会が終了しました。

 

【分科会発表者と演題一覧】

◆第1分科会 在宅医療・介護

・戸澤昭彦先生 「インターネットによる『地域包括支援体制』の一試み」

◆第3分科会 歯科診療の研究と工夫

・横山靖弘理事 「時間短縮、技工料節約、各個トレーを既製トレーとアルジネート印象材で作る方法」

・山崎佐智恵歯科衛生士(共同研究者:濱克弥先生) 「フィリピン海外ボランティア活動の報告」

・近藤順子歯科衛生士(共同研究者 濱崎啓吾先生、中川裕美子先生、丸岡豊先生)「国立国際医療研究センター病院における感染予防対策の取り組み」

◆第4分科会 医科歯科連携した研究と日常診療の工夫

・加藤開理事 「睡眠時無呼吸症候群の医科歯科連携の実際と課題」

◆第6分科会 医学史、医療運動史、医療と裁判

・濱克弥理事 「東京医科・歯科会員数1万人達成の歴史」

2013/11/21 歯科訪問診療懇談会 「訪問診療における他職種との関わり」

歯科訪問診療懇談会

◆テーマ:訪問診療における他職種との関わり

◆日 時:11月21日(木) 午後7時~9時

◆講 師:前田茂氏(東京民主医療連合歯科部副部長、生協王子歯科所長):「訪問診療における医科歯科連携」

     森元主税氏(東京歯科保険医協会副会長、北区開業):「訪問診療における訪看ステーションや介護職との関わり」

◆内 容:

居宅への歯科訪問診療を行っている中で、「他の先生は他職種(医師、ケアマネジャー、訪問看護師など)と、どんなふうに連携・協力しているのだろう」「こんな時、他の先生はどう対応しているのだろう」と思うことはありませんか?

今回は訪問診療に取り組んでいる先生から多く寄せられる「他職種とどう関わったら良いか」「連携をとる上での注意すべきところは」という点を中心に実体験を踏まえ、話題提供します。

その後、日頃の歯科訪問診療での不安、疑問、工夫などをみなさんで出し合い懇談しましょう。ご参加お待ちしております。

◆会 場:東京歯科保険医協会・会議室

    住 所:東京都新宿区高田馬場1-29-8新宿東豊ビル6F

    電 話: 03―3205―2999

◆交 通:JR山手線・西武新宿線高田馬場駅下車戸山口より徒歩5分、メトロ東西線高田馬場駅下車3番・5番出口より徒歩5分

◆対象者:会員とそのスタッフ

◆参加費:無料

◆定 員:30名

◆要予約:03-3205-2999(担当:地域医療部)

「在宅療養支援歯科診療所の講習会」を開催67名が参加

「在宅療養支援歯科診療所の講習会」を開催67名が参加

 

9月11日、中野サンプラザにて「在宅療養支援歯科診療所の施設基準に対応した講習会」を開催。67名が参加しました。

当日は、繁田雅弘氏(首都大学東京大学院人間健康科学研究科教授)、茂木伸夫氏(がん・感染症センター都立駒込病院歯科口腔外科部長、当協会理事)、森元主税氏(当協会副会長、北区開業)が講演を行いました。

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繁田氏は「高齢者の心身の特性および疾病の特徴」をテーマに、茂木氏は「緊急時の対応と歯科の病診連携」をテーマに、さらに森元氏は「高齢者の口腔機能の管理(管理計画の立案を含む)」をテーマに、それぞれ講演しました。

参加者からは「基本項目の確認ができた」「別の内容で3人の講師の話が聞けて、とても興味深かった」などの声が寄せられ、大変好評でした。

風しんなどの対策訴えワクチンパレード実施/子ども支援ネットワーク主催

風しんなどの対策訴えワクチンパレード実施/子ども支援ネットワーク主催

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子ども支援ネットワークの主催、NPO法人VPDを知って子どもを守ろうの会、風疹の流行を止めよう緊急会議、ポリオの会、東京保険医協会などの賛同による『風疹の流行を止めて!妊婦さんとお腹の赤ちゃんを守って!「風しんの臨時予防接種等の実現を求める7・4ワクチンパレード」』が本日午前11時から港区六本木の三河台公園から千代田区の日比谷公園にかけて実施されました。

このパレードでは、風しんの流行を抑え、成人男性を含めての風疹ワクチンの接種を訴え、政府に対しても緊急対策を求める目的で行われたもので、協会からも3名が参加。パレード参加者は100名以上に上った。

40周年合同研究会 「これから求められる高齢者歯科医療」

「これから求められる高齢者歯科医療」

 

先生方、診療所に来院される高齢患者さんをどのように診ていますか?

「○○さんは、最近、足元がふらついているが、いつまで来院できるのかなぁ」「まだ治療の途中だが、来なくなったなぁ」とか、思い悩みながら診療していませんか?

 

40周年の企画では、そのような悩みに対する処方箋について、話題提供し、先生方と共に考えてみたいと思います。

外来から訪問診療への窓を開くことが、今、求められています。

【講師】

日大通り歯科医院(世田谷区)馬場安彦:理事/地域医療部長

森元歯科医院(北区)森元主税:副会長/地域医療部担当

 

「これから始める!歯科訪問診療」講習会に28名が参加

「これから始める!歯科訪問診療」講習会に28名が参加

 ●訪問診療講習会:地域医療部欄用4月14日、協会会議室で「これから始める!歯科訪問診療」講習会を開催し、28名の会員が参加した(写真は訪問診療を行うきっかけについて話す講師陣)。

午前は、「高齢者と歯科訪問診療の状況」と「歯科訪問診療の点数」「歯科訪問診療の症例」を解説。午後からは、「訪問の依頼を受ける工夫」「訪問診療の実際と義歯作製の注意事項」「訪問診療で抜歯を行う留意点」などについて講演を行い、その後、グループに分かれてディスカッションを行った。それぞれのグループでは、多くの質問や意見が出され時間が足りないほど盛り上がった。

訪問診療ポスターをご用意しました!!

カラーは4種類♪お好みのものをお選びください☆

地域医療部には、「訪問診療のニーズがつかめない」「診療訪問を行っていることが患者さんに伝わらない」…というお悩みの声が多く寄せられています。

そこで、訪問診療を行っていることをアピールするためのポスターを作成しました!

ぜひ、プリントアウトしてご利用下さい。

カラーは4種類!ご診療所の雰囲気に合わせてお好きなカラーをお選び下さい。

ダウンロードはこちらから

訪問診療ポスター(青)

訪問診療ポスター(白)

訪問診療ポスター(緑)

訪問診療ポスター(オレンジ)

会員の方はログインをしてからダウンロードしてください。

在宅歯科医療には3つの武器/第1回地域医療研究会で菊谷教授が強調

1月29日、日本歯科大学の菊谷武教授(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長)を講師にお迎えし、第1回地域医療研究会を開催しました。テーマは「ステージに応じた高齢者に対する歯科医療」。会員とスタッフ132名が参加しました。

第1回地域医療研究会IMG_6254冒頭、菊谷教授は、昨年10月にオープンした同クリニックの概況を紹介し、患者が急性期病院から在宅に移行する中で、当院が口腔サポートステーションの役割を果たす―ことを説明。さらに、「在宅歯科医療には、診療・ケア・リハビリテーションの3つの武器がある。高齢者のステージとしてある、急性期、回復期、維持期、緩和期の病態を理解し、その中で3つの武器の配分を変える対応をすべき」と強調しました。

また、実際の診断・治療事例や日歯大の取り組みも紹介しています。なお、終了後のアンケートでは、「訪問診療は行っていないが、高齢者がとても多いので、とても参考になるお話でした」「運動機能性咀嚼障害という視点が欠落していたことを痛感させられました」などの感想が寄せられています。