印紙税、罰金、自家診療した際の税務/機関紙2016年9月1日号(№558号)より 

印紙税、罰金、自家診療した際の税務/機関紙2016年9月1日号(№558号)より 

質問① 診療で五万円を超える請求をした。患者から「印紙が必要なのでは」といわれたが、今まで領収証に印紙を貼ったことがない。診療所の領収証には印紙が必要なのか。

回答① 歯科医師が作成する受取書には印紙を貼る必要はありません。売上代金にかかる金銭や有価証券の受取書は、1通につき5万円以上のものはすべて印紙を貼付し、印紙税を納めなければいけないことになっていますが、印紙税法別表第1の17号より、営業に関しない受取書は非課税とされており、歯科医師が業務上作成する受取書は営業に関しないものとして取り扱われていますので、印紙を貼付する必要はありません。ただし、歯科医師が作成する受取書であっても、不動産売買や建築請負等に関する契約書や手形などについては、印紙が必要になります。

 

質問② 訪問診療中に駐車違反で反則金の通告処分を受けました。訪問診療中の交通違反などの罰金は必要経費として算入できますか。

回答② 罰金は事業に関連して支払ったとしても、必要経費には参入できません。また、事業主が従業員に対して科された罰金などを負担した場合において、それが事業に関連して課されたものであっても必要経費とはなりません。従業員に対しての補填をしたい場合は、給与として反則金相当額を支払い、必要経費に算入する方法もあります。なお、レッカー車代等、罰金に該当しないものは必要経費に算入できます。

 

質問③ 従業員や友人、家族などを保険診療した場合、税務上どのように処理をすれば良いか。また、自由診療の場合はどうか。

回答③ 険診療の場合はいずれもいったんは窓口負担金の受領が必要です。従業員を保険で診療し、受領した窓口負担金分を福利厚生として従業員に還元するときは、窓口負担金額を保険収入として計上し、その同額を福利厚生費にも計上します。友人などを保険で診療し、もらった窓口負担金分を交際費などとして友人に還元したい場合は、同様に窓口負担金額を保険収入と接待交際費の両方に計上します。家族を保険診療した場合は、一般の患者さんと同様で、窓口負担金額を保険収入に計上します。経費としての計上はできません。また、自由診療で家族を診療した場合は棚卸資産の家事消費にあたりますので「原価相当部分」を自由診療収入に計上します。従業員の場合は、「原価相当部分」を自由診療収入に計上し、同額をその従業員に対する現物給与とし、源泉徴収をします(「保険医の経営と税務2016年版」54~55ページ参考)。その他、確定申告時のポイントや共済制度と税金、消費税、開業・承継・閉院、相続税、スタッフの税務などをまとめた「保険医の経営と税務2016年版」は会員の先生方に1冊無料で進呈しておりますので、まだお持ちでない先生は、ぜひ、協会経営管理部までご連絡ください(担当/経営管理部:TEL  03―3205―2999)