税務調査の根拠とカルテ等の扱い

№260 2011.1.1:486号

質問1

税務署から「税務調査を行いたい」と電話があったが、そもそも税務調査とはどのようなものか。必ず応じなければならないのか。

結論から先にいいますと、応じることになります。税務調査には「強制調査」と「任意調査」の2種類があります。強制調査とは、国税局査察部(通称「マルサ」)が行うもので、裁判所から捜査令状を取り、診療所や自宅に突然やってきます。捜査の目的は、証拠物件や書類を押収することで、多額で悪質な脱税容疑がある場合に行われるものです。 これに対して「任意調査」は、税務署が行うものです。ほとんどの調査は、この「任意調査」と呼ばれるものです。事前に電話で調査の予定日を知らされる場合がほとんどです。調査の目的は、納税者の申告内容を確認するために行われるものです。任意のため、原則は納税者の承諾が必要ですが、税務署員には所得税法第234条に基づく質問調査権が認められており、正当な理由なく調査拒否することはできません。しかし、事前通告がない場合など、無条件に調査を受けなければならない義務はないため、調査日の指定は、先生の都合の良い日に決めることができます。予告のない調査や都合の悪い日の調査は断りましょう。関連する判例を以下に紹介します。

〈 東京地裁昭和43年1月31日判決 〉

「税務調査は営業や私生活の平穏を乱すものであるから、税務署員は事前通知したうえ調査するのが当然である」。