従業員の休職への対応と就業規則

№269:2011.10.1:496号

質問1

従業員が傷病で職場を休む場合の賃金の取扱いについて。

従業員が業務外の傷病で休んだ場合、例えばそれが丸一日であれば、休んだ一日分の賃金を支払わなくても違法ではありません。しかし、通常は年次有給休暇を使い療養してもらうことが多いようです。

質問2

休みが数日であればよいが、数ヶ月にわたる場合、どう対応すべきか。

就業規則の中で休職について規定しておくことをお勧めします。法令上、従業員が10人未満の場合は就業規則の作成は義務づけられていません。しかし、10人未満であっても、従業員の業務外の傷病による休職、あるいは出産に伴う休職のほか、年次有給休暇、退職、解雇といったさまざまな問題が生じた場合についてのルールを就業規則で予め定めておけば、実際に問題が生じた場合に速やかに対応できます。なお、業務外の傷病による休職については、①「休職」の定義、②休職できる期間、③休職期間満了後に治癒しなかった場合の扱い、④休職期間中の賃金の取扱い―などを定めることが重要です。
※協会が会員に配布している書籍「医院経営と雇用 管理」には、就業規則のひな型が掲載されていますので、ぜひ、ご参照ください。

質問3

業務中の傷病による休職の場合、何か注意点はあるか。

業務による傷病の療養のための休職期間中と、その後の30日間は原則として解雇が禁じられていますので注意してください。産前産後の休職も同様の扱いです。

質問4

従業員の休職に備えた社会保障はないか?

業務中や通勤途中の傷病での休職が通算4日以上の場合、労災保険から給付があります。具体的には、①療養の給付、②休職4日目以降の賃金補償である休業補償給付(賃金の六割相当)、③障害が残った場合の給付―などがあります。このほか、先生の診療所が健康保険に加入している場合は傷病手当金という給付があります。これは、被保険者が傷病で就業ができない状態で、賃金が全部または一部出ていない場合に支給されます。給付額は満額で月々の給与の3分の2相当額で、最長で休職から1年半支給されます。また、休業中に退職し、被保険者でなくなった場合も継続して給付されるケースもあります。

質問5

当院は健康保険の強制適用の事業所ではないため、従業員は国民健康保険だが、何か傷病手当金に代わる保険商品はないか。

損害保険会社の所得補償保険などが一般的です。協会でも第2休業保障制度として会員の先生方とスタッフにお勧めしています。これはご加入者が傷病により休業した場合、前年の所得または保険額のどちらか低い方の金額が給付されます。二十代の若いスタッフの場合、月々の保険料一千円~二千円で給与額相当の補償が設定できます。また、全従業員を加入させた場合、保険料は医院の損金として計上できますので、ご検討をお勧めします。