職員雇用と医事・労働法諸手続き/機関紙2015年4月1日号(№541号)より

職員雇用と医事・労働法諸手続き/機関紙2015年4月1日号(№541号)より

質問① 新しく従業員を2人(歯科医師と歯科衛生士)雇用した。医療関連の法令上、どのような手続きが必要か
回答① 新宿区内の医療機関を例に挙げると、まず保健所に「診療所、歯科診療所又は助産所開設届出事項一部変更届」を提出します。届け出は雇い入れから10日以内です。そこでは雇用前と後の職種ごとの従事者数を届け出ます。歯科医師を雇用した場合は氏名や免許番号、就職日の記載が必要なほか、臨床研修等修了登録年月日、医院で診療する日時も届け出ます。添付書類として免許の原本とコピーが必要です。
また、歯科衛生士については氏名や免許番号、就職日の記載が必要です。歯科医師の場合と同様、添付書類として免許証の原本とコピーが必要です。都内の保健所での手続きはどこでもおおむね同じです。
次に、保険医療機関として雇用した歯科保険医の届け出が必要です。届け出先は関東信越厚生局の東京事務所です。「届出事項変更(異動)届」に今回雇用した歯科保険医の氏名、医籍登録番号等を記載し、保険医登録票の写しを添付します。なお、手続は郵送でも行えます。また、歯科衛生士は原則的に届出不要ですが、すでに歯科外来診療環境体制加算(外来環)などの施設基準の届け出を行っている場合、法令上の考えでは歯科衛生士の変更に伴って施設基準の届け出を再度行うことになるのでご注意ください。

質問② 今回初めて従業員を雇用した。1日8時間で週5日勤務の常勤。雇用保険の加入は必要か。
回答② 雇用保険の加入は必要です。具体的にはハローワークに雇用保険の「資格取得届」を提出します。期限は採用月の翌月の10日までです。なお、この手続書類はハローワークから取り寄せることも可能で、ホームページからのダウンロードもできます。手続きに必要な添付書類は、前職での雇用保険加入者であれば雇用保険の被保険者証、出勤簿、雇用契約書の写しなどが必要です。また、手続きについては外部委託が可能。具体的には社会保険労務士や労働保険事務組合と呼ばれる団体です。いずれも有料ですが、事務作業が軽減されます。医科の先生方が加入する東京保険医協会では労働保険事務組合として業務を受託しています。ご検討される先生は当協会までご連絡ください。

質問③ 前問の続き。1日4時間で週4日勤務のパート職員は雇用保険の加入手続きは必要か。
回答③ 1週間の所定労働時間が20時間未満の方は雇用保険に加入できませんので、手続は不要です。

質問④ 全問の問②、③の続き。健康保険と厚生年金(社保)の加入は必要か。なお当診療所は個人立で常時従業員が2人勤務(常勤とパート各1人)の状態である。
回答④ 健康保険と厚生年金(社保)は強制加入ではありません。しかし、従業員が5人以上の場合、常勤の方は加入となります。なお、医療法人の場合、従業員数にかかわらず、理事長を含め常勤の方は全員加入となります。また、パート職員の場合は加入になるケースや加入とならないケースが考えられますので、詳しくは協会までご相談ください。