青色事業専従者給与について/2020年2月号掲載(No.599)

青色事業専従者給与について/20202月号掲載(No.599 

質問1 開業を控えている。妻には、診療所で経理や事務などを担当してもらう予定である。妻の給与を専従者給与として扱ったほうがいいとアドバイスを受けたが、どうなのか。また、注意点を伺いたい。

回答1 生計を一にしている配偶者の場合、先生が給与を支払っても原則として必要経費として認められません。しかし、一定の要件を満たすと必要経費と認められる特例があり、それ「青色専従者給与」といいます。この給与の受給者を「青色専従者」といいますが、左記に該当する必要があります。

・先生自身が青色申告者であり、事前に届出書を税務署へ届け出ていること(その適用を受けようとする年の315日までなど個別の期限あり)。

・先生と生計を同一にする親族であること。

・当該年度の1231日に15歳以上であること。

・その該当する人が先生の事業に、6カ月を超える期間において専ら従事していること。

該当する人が15歳以上であっても学生の場合には、その事業に専ら働くことができないため、青色専従者給与として認められないことがあります。そのほか、青色専従者で問題となりやすいのが、該当者が副業をしている場合です。該当者は先生の事業に専ら従事する必要があるため、副業をしていた場合、青色専従者としては認められませんが、副業の日数が少ないなどの理由があれば認められるケースもあります。このように青色専従者となるかは一律に判断することはできませんので、迷った場合には税務署か税理士など専門家に確認していただいたほうがいいでしょう。

 

質問2 妻に青色専従者給与を毎月支払っているが、少額であれば、配偶者控除なども受けることはできるものか。

回答2 先生が青色専従者給与を支払っている場合、給与額が少額であっても所得税・住民税の計算において、配偶者控除や扶養控除は受けられません。配偶者と扶養親族の要件に「青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと」と定められているためです。その年の所得金額によって負担する所得税率が異なりますので、青色専従者給与として必要経費に算入するか、その親族を配偶者控除や扶養控除の対象にして先生の所得金額を減少させ税金を計算するか、さらに専従者の所得金額に対する税額も含めて、どちらが節税効果を期待できるのかを検討された方がいいでしょう。 なお、協会では確定申告に関してポイントをまとめた「保険医の経営と税務―2020年版―」を希望する会員に1冊まで無料にて送りします(5面参照)。書籍をご希望される方は経営管理部までお問い合わせくださいTEL 033205-2999)