2019年4月以降の有給休暇取得義務について/2019年1月号掲載(No.586)

   2019年4月以降の有給休暇取得義務について

 質問1 労働基準法の改正により、従業員の年次有給休暇の取得が義務化されたが、歯科医療機関でも有給休暇の取得は必ずさせなければいけないか。

 回答1 2019年4月から、歯科医療機関でも、使用者は年次有給休暇の日数が10日以上付与される従業員に対し、5日間は必ず与えなければいけないことになりました。あわせて年次有給休暇の管理簿の作成も義務化されました。これを守らない場合、労基法第39条違反となり、罰則規定「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象になる場合があり、罰則は労働者ごとに適用されます。従業員の現在の就労状況や年次有給休暇の付与日数(下記有休付与日数表参照)をよく確認してください。

 質問2 年次有給休暇の日数が10日以上付与される労働者とは、昨年の繰越分も含めて有給休暇の権利が10日以上ある場合も含まれるのか。

 回答2 年次有給休暇付与の付与日に10日以上の年次有給休暇を付与する従業員が対象で、繰越分も含め10日以上になる場合は含まれません。例えば、週所定労働日数四日、週所定労働時間30時間未満のパート社員は、全労働日数の8割以上出勤した場合、入社後6カ月で年次有給休暇を7日、その1年後に8日を付与され、年次有休休暇の日数は繰越分を含めて10日以上となりますが、5日間の取得義務は発生しません。

 質問3 5日間の年次有給休暇は夏休みにまとめて取得させられるか。また、年次有給休暇の付与要件に合致しない新入職員の取り扱いについて。

 回答3 労使協定を締結することにより、5日間については年次有給休暇の計画的付与として、一斉付与をすることができます。ただし、夏休みを今まで有給休暇扱いしていない場合(休日の規定などに夏休みを入れていた等)、有給休暇の5日間を消化することは労働条件の不利益変更にあたりますので、事前に従業員との協議が必要になります。夏休みに年次有給休暇の一斉付与を行う場合、まだ年次有給休暇が付与されていない新入職員については、その日数を特別休暇(有給)扱いにするか、または事業主都合による休業扱いとして、平均賃金の六割以上の休業手当を支払うかして賃金面で不利益にならないような措置を講じる必要があります。協会では1月23日に経営管理研究会を開催します。有給休暇取得義務化を含め、労務について歯科に精通した社労士に対策などをお話していただきます。労務について不安がある、これからの対策について勉強したい先生はこの機会にぜひご参加ください。