2018年分の年末調整とマイナンバー制度/2019年12月号掲載(No.351)

2018年分の年末調整とマイナンバー制度

 質問1 2018年分の年末調整について、変更点や注意点をご教示いただきたい。

 回答1 今年から配偶者控除および配偶者特別控除の取り扱いが変更されました。合計所得金額が1000万円を超える所得者については、配偶者控除の適用を受けることはできないこととされました。また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされ、控除額の変更も行われています。詳しくは、国税庁のホームページをご確認ください。配偶者控除につきましては、夫婦の双方がお互いに配偶者特別控除の適用を受けることはできませんので、いずれか一方の配偶者は、この控除を受けることはできません。手続き上も、今までは「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の1種類を提出すればよかったものが、2018年分は、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式の提出が必要になりましたのでご注意ください。

 質問2 年末調整の書類の中にマイナンバー記載が必要な書類がある。マイナンバーは従業員から必ず集めなければならないか。

 回答2 マイナンバー法により、事業主は従業員のマイナンバーを収集し、社会保険関係の届出や税務署への提出書類に従業員のマイナンバーを記載することが義務となっています。政府は提出されたマイナンバーについて、預金口座との結びつけや、健康保険証と一体化する方策などを提案しており、事業主の管理責任は重大なものとなってきていますが、従業員にマイナンバーの提出を拒否された場合、記載せずに提出することもできます。収集できなかったことによる罰則は今のところはなく、税務署もマイナンバーの記載がなくても書類は受け取ると回答しています。事業主として、収集は努力義務なので、マイナンバーの提供を拒否された場合、収集に努めたが収集できなかった旨を必ず記録として残してください。

 質問3 年末調整のマイナンバーの取り扱いで歯科医院における実務の種類について。

 回答3 事業主が個人番号関係事務の実施者となり、①マイナンバーの取得・本人確認、②利用・管理、③マイナンバーの提供、のそれぞれの実務を実施します。①の従業員のマイナンバーの取得については前述の通りですが、提出を受けた際には本人のもので間違いがないか、運転免許証や住民票などで確認を行う必要があります。ただし、従業員の扶養家族については扶養者である従業員に本人確認義務があるので、事業主が行う必要はありません。 ②のマイナンバーの利用について、番号法で定められている利用範囲を超えて利用することはできないため、利用範囲をあらかじめ本人に伝える必要があります。管理については漏えいを防ぐために厳重な管理が必要になり、漏えいした場合は罰則の対象になる可能性があります。③のマイナンバーの提供とは従業員のマイナンバーを含む特定個人情報を第三者へ開示することです。ただし、事業主が特定個人情報を第三者へ提供できるのは番号法第19条に定められている場合に限定されます。当該法に該当しない場合は要求を拒否する必要があります。