知っていますか?租税特別措置法第26条/2019年11月号(No.350号掲載)

知っていますか?租税特別措置法第26条

質問1 租税特別措置法第26条(以下、「措置法26条」)を適用すると、節税対策になるという話を聞いたのだが、措置法26条とはどのような内容なのか。

 回答1 措置法は「租税特別措置法」を指し、その中の第26条では医療機関の事業所得を計算する場合、年間の社会保険診療報酬の額が5000万円以下であれば、特例計算により概算経費により所得を計算することができることを定めています。原則、必要経費は実際にかかった金額で計算しますが、社会保険診療報酬に関する必要経費については概算で計算することを認めることで、歯科医師、医師が業務に集中できるようにするために定められたといわれています。措置法26条の「社会保険診療報酬の所得計算の特例」の適用を受けるためには「1年間の社会保険診療収入が5000万円以下であること」、「自由診療収入なども含めた1年間の総収入金額が7000万円以下であること」の2つの要件を満たす必要があります。仮に措置法26条の適用を受けながら要件を満たしていなかった場合は、修正申告などをしなければいけないことになるので、十分注意しましょう。

 質問2 措置法26条を使うとどのような節税効果が得られるのか。

 回答2 措置法26条を適用した場合は、社会保険診療収入にかかる必要経費について、実際に発生した金額の代わりに、次の算式によって計算した概算経費金額を用います。

   「 社会保険診療収入 ×概算経費率 + 加算額 =概算経費金額 」

概算経費率は別表の通りです。例えば、社会保険診療収入が3200万円の場合、

「3200万円×62%+290万円=2274万円」

となり、社会保険診療収入にかかる必要経費が2274万円未満でも、2274万円を必要経費として計上することができます。社会保険診療収入が多いほど、概算経費率が上がるため、自院の自費と保険の収入を比較し、計算式に当てはめて適用するかどうかを判断してください。措置法26条を使用する場合は、税務調査の際に必要経費などのチェックがあることが多いため、記帳は正確に行うようにしましょう。税務調査の連絡が来た際の対応方法について「保険医への税務調査―心構えと対応のポイント―2018年改訂版」が発行されました。ご希望の先生には一冊無料で配布しております。