消費税増税に係る価格表示についての注意点/2019年10月号(No.359)より

消費税増税に係る価格表示についての注意点

 

質問1 院内の窓口で販売している商品などについては、10月1日以降、すべての価格表示を変更する必要があるか。

回答1 価格の表示に関しては、料金表の変更が間に合わないなどの事情を鑑みた特別措置があります。①10月以降も旧税率に基づく価格表示が残る場合や、②前もって表示価格を変更することにより、消費税が上がる前に新税率に基づく価格表示をすることが一時的に認められています。その際は「表示価格の一部は、旧税率8%(もしくは新税率10%)となっています。レジにて精算させていただきます」等の掲示を行う必要があります。旧税率と新税率を併用した価格表示も可能ですが、患者に誤解を与えかねないので、どちらかに統一したほうがよいでしょう。

質問2 10月以降、消費税増税分を据え置こうと考えている。問題はないだろうか。

回答2 消費税分を据え置くことに問題はありませんが、いくつか留意点があります。据え置いたとしても消費税率は10%となりますので、本体価格を調整する必要があります。また、消費税転嫁対策特別措置法では、消費税分を値引きする等の宣伝や広告は禁止されています。そのため「消費税増税分据え置いています」「消費税還元」「消費税増税分は当診療所が負担します」などの宣伝広告やキャンペーン等を行うことはできません。医療広告ガイドラインでもそのような広告は禁止されているため、安易に据え置いて患者の誘因を図ることはやめましょう。

質問3 今回の消費税増税に伴い、自費治療の価格調整を行いたいと考えている。その際、注意点があれば教えてほしい。

回答3 消費税増税に便乗した値上げはできません。他に合理的な理由がないにもかかわらず、税率の上昇以上の値上げをすると、便乗値上げと見なされる場合があります。ただし、以下のようなケースは便乗値上げに該当しません。

◆便乗値上げには該当しないケース◆

Ⅰ.あるものについては据え置きとする反面、あるものについては2%を超える値上げとなっていても、事業全体の値上げ率が税率変更に見合った転嫁となっている。

Ⅱ.消費税納税が免除されている診療所が、仕入価格に含まれる税額を転嫁する。