広告についての留意点/機関紙2017年9月1日号(№570号)より 

広告についての留意点

質問1 歯科医院が広告宣伝する際、広告と広告でないものの区別はどうすればいいのか。

回答1 法律上、歯科医業は営利目的ではないものとされており、公衆衛生に大きく関わるものであるため、医療法により、広告に制限がかけられています。厚生労働省より出されている「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)」によると、


①患者の受診等を誘因する意図があること(誘因性)。
②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)。
③一般人が認知できる状態にあること(認知性)。


の3点を満たすものが広告に該当するとされています。一方、広告に当たらないものとして、

①新聞や雑誌などでの掲載(新聞が特集した治療法の記事などであり、その歯科医院における改善率など広告が認められていない事項が含まれていないものを広告に引用又は掲載することも認められています)。
②患者自らが自発的かつ無報酬で記載する体験談や手記。
③希望する者にのみ配布する院内掲示やパンフレット。
④歯科医院と直接関係のある者の申出に応じて送付するパンフレットや電子メール。

を挙げています。また、以前は規制対象外であったウェブサイトも2017年7月の医療法改正により、比較広告や誇大広告、客観的事実が証明できない広告等が広告規制の対象になりましたので、ご留意ください。

質問2 広告できない事項についてご教示願いたい。

回答2 医療広告ガイドラインより比較広告、誇大広告、広告を行うものが客観的事実であることを証明できない広告、公序良俗に反する内容の広告については、広告することが禁止されています。また、標榜できる診療科名については厚生労働大臣の許可を受けたもののみとされているため、歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科以外の標榜は認められていません。なお、インプラント治療については「自由診療のうち医薬品医療機器等法の承認又は認証を得た医療機器を用いる検査、手術、その他の治療の方法」に該当することから、「公的医療保険が適用されない旨」と「治療に掛かる標準的な費用」が併記されていれば、広告が可能であるとされています。

質問3 具体的にどのような表現を広告に用いることが医療法に抵触するのか、ご教示を。

回答3 例えば「最高」「最良」などの比較表現、「無痛治療」などの客観的な事実であるか証明できないもの。患者が元気になっていく様子を書いたイラストなど効果に関する事項。アンチエイジングなど診療科名として認められていないものなどが挙げられます。医療法上、正しいか否か判断がつかない場合は、管轄の保健所に確認してから広告を出すのがいいでしょう。