国会版社会保障制度改革国民会議が「最終とりまとめ」公表

国会版社会保障制度改革国民会議が「最終とりまとめ」公表

 国会議事堂pix

超党派の国会議員104名で構成している「国会版社会保障制度改革国民会議」は7月1日、「国会版社会保障制度改革国民会議最終とりまとめ」を明らかにした。これは、政府に設置されている社会保障制度改革国民会議における議論が、主に消費税引き上げに伴う財源の使途に関することになっているため、より中長期的・全体的な視点から、わが国の社会保障や財政のあり方などについての協議・検討結果を取りまとめたもの。本年4月24日には中間とりまとめを公表し、一般からの意見を求めていた。

この提言によると、社会保障制度の持続可能性を図るためには歳出拡大の抑制が不可欠」だとし、年金支給開始年齢に関しては、さらなる引き上げは「不可避」であり、「早期に決断」することを訴えている。介護保険制度では施設介護の利用料を1割から2割に引き上げるべきであるとしている。現在1割となっている70~74歳の医療費窓口負担は、早急に2割に引き上げることが「不可欠である」としている。

さらに、平成12年に旧厚生省と旧労働省を統合してつくられた現在の厚生労働省に関して、所管範囲が広すぎて大臣一人での対応は困難であるとし、厚労省から旧労働省部局を分離して「社会保障省(仮称)」を設置することなどを提案している。

そのほか、「出来高制に基づく報酬体系の抜本見直し」にも言及し、現状の出来高払い制を主とする報酬体系は、医療や介護提供者等のサービス増大や設備投資へのインセンティブを与え、地域全体や国全体で見た場合、過剰な投資が行われる結果となっており、財政的な視点を離れても抜本見直しが不可欠であるとしている。その際、診療・介護行為を全国一律に誘導するのではなく、各地域でそれぞれに工夫して質の向上と費用の節約を両立できるよう、「報酬体系の決定プロセスを地域に委ねていく方向を目指すべき」と強調している。

今後、政府の社会保障制度改革国民会議の議論とりまとめが来月8月中に行われる予定となっていることと併せ、どのような方向に進み、その内容に今回の国会版会議最終とりまとめがどのように影響するのか、充分に注視する必要があろう。