経営・税務相談Q&A No.443「従業員の夏季休暇と、有休の計画的付与」
Q1 当院の設定した夏季休診日に、スタッフの年次有給休暇を充てて良いか。
A1 医院が指定する夏季休診日に、一方的にスタッフの年次有給休暇を充てることは、認められません。夏季休診は福利厚生の一環として医療機関が独自に設ける休暇である一方、年次有給休暇は労働基準法に基づき労働者に保障された権利であり、原則として労働者が希望する時季に与えるものとされています。そのため、医院側が夏季休診日をスタッフの年次有給休暇として一方的に充てることはできません。ただし、労働基準法に定める「年次有給休暇の計画的付与制度」を導入し、夏季休診日などへ計画的に充てることは可能です。
Q2 「年次有給休暇の計画的付与制度」とは何か。
A2 スタッフに付与される年次有給休暇のうち、労働者が自由に取得できる5日を超える部分について、あらかじめ休暇取得日を決めるなど、計画的に割り振ることができる制度です。年次有給休暇の計画的付与には、次の3つの方式があります。
① 一斉付与方式:全てのスタッフが同じ日に年次有給休暇を取得する方式
② 交代制付与方式:スタッフが交代で年次有給
休暇を取得する方式
③個人別付与方式:年次有給休暇付与計画表を作成し、スタッフごとに計画的に取得する方式
以上ですが、医院の診療体制や業務運営の状況に応じて最適な方式を選択し、計画的な年次有給休暇の取得促進にご活用ください。
Q3 年次有給休暇の計画的付与制度の導入に際して、労使協定はどのように取り交わすのか。
A3 「計画的付与」を実施する場合は、対象となる全てのスタッフについて、事前に労使協定を締結する必要があります。労使協定では、主に次の5つの事項を定めます。
①計画的付与の対象者
②対象となる年次有給休暇の日数
③計画的付与の具体的な方法
④年次有給休暇の付与日数が少ないスタッフへの対応方法
⑤計画的付与日を変更する場合の取り扱い
労使協定は、スタッフの過半数を代表する者(過半数代表者)との間で締結します。なお、過半数代表者は使用者が指名することはできず、スタッフによる適正な手続きで選出する必要があります。
また、一度締結した労使協定の内容は、容易に変更できません。そのため、制度の導入に当たっては十分に内容を検討すると共に、これまで以上にスタッフの年次有給休暇の管理を適切に行うことが重要です。これらの労使協定のモデル例は、書籍「医院経営と雇用管理2025年版」の188~189ページに掲載しています。ぜひ、ご参照ください。
なお、就業規則がある場合は、労使協定により年次有給休暇の計画的付与を行う旨の記載が必要となります。年次有給休暇の計画的付与制度は、医院にとって有給休暇の取得日を管理できることにより、シフトが組みやすくなるというメリットもあります。



