【談話】機械的な目標設定を排し、適切な歯科医療を提供できる実効性ある施策を求める
7月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(以下「骨太の方針2026」)が閣議決定された。骨太の方針2026は今秋から本格化する来年度の国家予算の方向性を示すものであり、今後の歯科医療提供体制を占う上で極めて重要な指標である。
骨太の方針2026には、歯科専門職の偏在・離職対策、いわゆる「国民皆歯科健診」の具体化、オーラルフレイル対策をはじめとする口腔健康管理の推進など、国民の健康寿命を延伸し安心・安全な歯科医療を提供するために重要な項目が昨年から引き続き盛り込まれた。さらに、物価高騰等により医療機関の経営に支障が生じた場合、2027年度予算編成過程で診療報酬上の必要な調整を行うとした点など、医療現場への一定の理解を示す記載も見られる。
しかしながら、歯科医療提供体制を揺るがしかねない重大な懸念も含まれている。以下の観点から国に対して強い懸念を表明するとともに、適切な施策と予算の確保を強く求める。
医療給付費の「数値目標」の導入は容認できない
本方針では社会保障改革の継続が示され、医療給付費について対GDP比や雇用者報酬の伸び等を参照した抜本的な見直しを行うとされた。医療給付費を経済指標などで機械的に抑制する手法は断じて容認できるものではなく、必要な医療が確実に提供されるように充実させることこそ最も重要である。
現在、中東情勢をはじめとする世界情勢の影響により歯科医療資材や光熱費などの高騰が著しく、現場の経営は厳しくなっており、閉院する医療機関も多い。現状では、医療従事者の処遇改善や、歯科医療の充実を図ることが求められている。悪影響を最終的に被るのは国民・患者にほかならない。
高齢者の窓口負担見直しによる「受診抑制」
高齢者の窓口負担割合について、原則3割の現役世代との均衡を図る見直しが盛り込まれた。一定の配慮措置が示されているとはいえ、自己負担増が受診抑制を引き起こすことは目に見えている。受診抑制により口腔環境が悪化すれば、結果として歯科疾患だけでなく全身疾患の重症化をも招き、医療費全体の増大につながる恐れもある。
寝耳に水の「OTC類似薬の保険給付範囲の更なる縮小」
2027年3月より、77成分1100品目のOTC類似薬の保険給付範囲が縮小され、自己負担が上がる。骨太の方針2026では、この保険給付範囲の縮小を今後推進する検討を進めることが書き込まれた。OTC類似薬の保険給付の在り方は厚生労働省の検討会で議論されている最中であり、その結論さえ待たずに保険給付範囲の更なる縮小を盛り込むことは、厚生労働省の委員だけでなくOTC類似薬が欠かせない患者・国民の意見を軽視しており容認は到底できない。
社会保障改革は、現場の声を踏まえてこそ
最も重要なのは、今秋以降の予算編成過程やそれに係る施策の検討において「適切な医療を提供できる施策が結実するか」である。そのためには、現場の声が欠かせない。
当会は、国民がいつでも安心して質の高い歯科医療を受けられる体制を維持・向上させるため、今後も現場の切実な声を国や行政へ届けるべく全力で取り組んでいく。
2026年7月29日
東京歯科保険医協会 運動本部長
早坂 美都



