東京都歯科技工士会・石川功和会長インタビュー/新設の〝歯科技工所ベア支援料〟歯科医院に望むこと

東京都歯科技工士会・石川功和会長インタビュー/新設の〝歯科技工所ベア支援料〟歯科医院に望むこと

2026年度診療報酬改定では、歯科技工士の賃上げを目的とした歯科技工所ベースアップ支援料が新設された。ベースアップ評価料の導入から2年―。ベースアップに関する新たな診療報酬に対し、現場は何を感じているのか―。本紙5月号の東京都歯科衛生士会への取材に続き、今号では東京都歯科技工士会・石川功和会長にお話を伺った。

― 歯科技工所ベースアップ支援料が新設された意義をどのように捉えていますか。
歯科技工所ベースアップ支援料は、単なる加算ではなく、歯科技工士の処遇改善と人材確保を目的とした施策として位置づけられた点に大きな意義があると捉えています。歯科技工士に関する加算が明示されたことも含め、診療報酬の中で歯科技工士の役割や重要性がこれまで以上に明確に示されたことは、大きな前進であると考えています。
さらに、前回、前々回の「骨太の方針」においても歯科技工士に関する記載が盛り込まれたことは、国として歯科技工提供体制の維持や人材確保を重要な課題として認識し始めた表れであり、大変意義深いものと受け止めています。歯科技工士不足や高齢化が進む中、本制度が将来にわたり安定した歯科技工士の確保につながることを期待しております。

― 歯科技工所ベースアップ支援料が新設されたことを受けて、歯科医院に望むことはありますか。
歯科技工所ベースアップ支援料につきましては、単なる技工料金の値上げとしてではなく、将来にわたり良質な歯科医療提供体制を維持するための施策としてご理解いただきたいと考えております。
現在、歯科技工士不足や高齢化が進む中、安定した歯科技工提供体制の確保は歯科医療全体の重要な課題となっています。一方で、現場からは、本支援料の趣旨や配分方法について、歯科医師側にもまだ十分に浸透していないとの声も聞かれております。ぜひ、お付き合いのある歯科技工所から本制度に関する相談や説明があった際には、その趣旨をご理解いただき、お話を聞いていただければ幸いです。

― 東京都内の歯科技工所の状況を踏まえ、歯科医療機関に伝えたいことはありますか。
東京都内においても、歯科技工士の高齢化や人材不足は年々深刻化しており、将来にわたる良質な歯科補綴物の安定供給体制の確保が大きな課題となっています。そのような中で、私たちが製作した補綴物が患者さんの口腔内で良好に機能することは、歯科医療全体の価値を高めるうえでの基本中の基本であると考えています。
それは歯科技工士だけの力で成り立つものではなく、適切な診断・治療計画の立案・形成・印象採得などを担う歯科医師、口腔衛生管理や予防処置、保健指導を担う歯科衛生士、そしてその情報をもとに補綴装置や義歯などを製作する歯科技工士など、それぞれの専門職が連携することで、質の高い歯科医療が実現できます。今後も良質な歯科医療を維持していくため、歯科技工士との連携とご理解をより一層お願いしたいと思っております。
今回のベースアップ支援料の新設をはじめ、歯科技工士に対する支援体制が整備されてきていることは、大変ありがたく心強いことだと感じています。一方で、単に厳しい現状を訴えるだけではなく、今後は歯科技工士という仕事の素晴らしさや魅力、そして人の健康や笑顔を支えるやりがいを広く伝えていくことが重要だと考えています。そのことによって、自ら歯科技工士を目指したいと思う若い世代が一人でも増えていくことを願っております。