理事会声明「健康保険法等改正案における『一部保険外療養』の創設に反対する」
理事会声明「健康保険法等改正案における『一部保険外療養』の創設に反対する」
現在、国会で審議されている「 健康保険法等の一部を改正する法律案」は、国民皆保険制度の根幹を揺るがし、国民の受療権を著しく侵害するものである。 本会は、患者の健康と命を守る立場から、本改正案に含まれる「一部保険外療養」の創設について、以下のとおり声明を発出する。
1.際限なき自己負担増を招く「混合診療」の拡大
今回の改正案に盛り込まれた「一部保険外療養」は、OTC 類似薬等の薬剤費の一部を公的保険から除外するのみならず、その対象が診断、検査、処置といった「診療行為」全般にまで拡大することができる。これが容認されれば、保険外範囲を拡大することで、保険診療と保険外診療を組み合わせる「混合診療」を際限なく拡大でき、患者の窓口負担が加速度的に増大することが懸念されるものである。
2.受診抑制が招く病状の重症化と全身疾患への影響
窓口負担の増加は、経済的理由による受診抑制を確実に引き起こす。特に歯科医療において、治療の遅れは歯の喪失につながり、その後の義歯製作等によるさらなる自己負担を強いることになる。また、口腔環境の悪化は糖尿病や誤嚥性肺炎などの全身疾患の重症化を招くことが報告されており、受診抑制が起きれば、結果として医科・ 歯科双方の医療費増大が起きる可能性もある。
3.公的医療保険の空洞化は、安易に容認されるものではない
「必要にして十分なもの」を保険の範囲とする国民皆保険の原則が失われれば、公的医療保険に対する信頼が損なわれかねない。給付範囲の縮小がなし崩し的に起きれば、国民の健康を守ることができずに、事実上の公的医療保険の空洞化も生じることになる。
医療の安全網を破壊し、保険診療および国民皆保険制度への国民の信頼を損ねる本改正案に対し、国会は、現場の医師・ 歯科医師の声、そして何より国民である患者の切実な声に耳を傾け、本法案は直ちに廃案とすべきである。
2026年5月14日
東京歯科保険医協会
第2回(暫定)理事会



