きき酒 いい酒 いい酒肴 No.31『全体に優しく品があり しなやかな味わい』(機関紙2018年7月1日号/No.580号)

きき酒 いい酒 いい酒肴 No.31『全体に優しく品があり しなやかな味わい』(機関紙2018年7月1日号/No.580号)

前回掲載したフランスのトゥールーズでの日本酒講義のあと、フェミナリーズワインコンクールのためにパリに向かいました。途中、国鉄と航空会社の一部がストとなり、延泊後、1日遅れでパリに到着しました。フェミナリーズコンクールの審査員は全員女性です。

フランスをはじめイタリア、ドイツ、スペイン、オーストラリアなど世界15カ国から、1250社、4300アイテムのワインが出品されました。そのうち12社、34アイテムは日本からの出品です。審査員も世界28カ国から約450名が集結した大きなイベントで、日本からは私を含む四名の審査員が参加いたしました。銘柄を隠したワインがずらっと並び、香り、色などチェックして点数をつけていきます。

フランスのワインジャーナリストの方から、以下のようなお話を聞くことができました。

「日本のワインは、全体に優しく品格があり、しなやかな味わいを感じました。甲州は、特に青い植物や柑橘系の香りを感じます。蛸とシブレット(フランスの小ねぎ)の軽い料理に合わせたいです。岩手の赤ワインは、野菜のような香りで味わいのバランスが素晴らしく、タンニンもしっかりあり、余韻がとても長い。サクランボのような赤系果実の風味を楽しめます。軽くローストしたビーフにぴったりです」と、素敵なコメントを下さいました。食材の例えとして「蛸」を挙げた理由を聞くと、独特の食感があり、噛むほど味が出てくるので、少し塩味を感じる日本の白ワインにぴったりだとのことでした。また、「飲み慣れない味わい」というのが山形の山ブドウを使ったワインです。「乾いた木の香と塩味を感じ、マルベック(赤ワインとつくるときのブドウの一種)のような個性を感じます。赤ワインですが、魚介類と合わせたいです」。

従来、肉料理に赤、魚料理に白、という定番でしたが、最近では魚介料理に赤ワインを合わせることも多くなってきています。

先日、コンクールの結果が出ました。日本のワインで金賞受賞は、以下の7銘柄となりました。

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1、楠わいなりー 日滝原 2017

2、楠わいなりー シャルドネ 2016

3、林農園 エステートゴイチ メルロー 2015

4、大和葡萄酒 ハギースパーク 重畳 2017

5、シャトレーゼベルフォーレワイナリー勝沼 等々力甲州 2016

6、エーデルワイン ドメーヌ・エーデル ツヴァイゲルトレーベ 2015 天神ヶ丘畑

7、岩の原葡萄園 レッド・ミルレンニューム 2016 辛口

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審査の合間に交流会がありました。フランス国内からはもちろん、アメリカ、チリ、南アフリカなど世界のワイン醸造家やソムリエたちが集います。彼女たちのパワーの素晴らしさや前向きな生き方を、肌で感じることができました。最近の日本女性には「奥ゆかしい」という言葉が似あわないような風潮がありますが、世界から見れば、まだまだ大人しいと思いました。それでも、女性の活躍はめざましいもので、歯科医療界では今年の歯科医師国家試験の合格者の43%が女性となっています。

もうすぐ、各国の審査員が選んだワインが店頭に並ぶのが、楽しみです。

(協会理事/早坂美都)