歯科保健医療政策を概観する②完/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案

歯科保健医療政策を概観する②完/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案

前回は、厚生労働省歯科保健課の来年度予算概算要求案について、「歯科保健医療の充実・強化」の政策内容のうち、新規政策の「歯科口腔保健支援事業」「歯科疾患実態調査」を中心に紹介したが、今回はそれ以外の要求内容を紹介する。

◆歯科医師臨床研修経費は昨年度比微増を要求

厚労省医政局歯科保健課の来年度予算要求案の中の主な内容を見ると、①歯科保健分野の情報化の推進:1900万円、②歯科医師臨床関係費:13億8500万円、③歯科医療従事者等の資質向上:600万円、④へき地等における歯科医療確保500万円―となっている。

これらのうち、①の情報化推進については、歯科医療機関が電子カルテなどで保有する身元確認に関する歯科診療情報の標準化とその活用を検討するとともに、モデル事業充実を図るというもの。また、②の歯科医師臨床研修関連では、歯科医師臨床研修費が対前年度比800万円増と、微増ながら増額要求を行っている。さらに③では、歯科医療関係者感染予防講習会、歯科技工士実習施設指導者等養成講習会、予防・在宅歯科医療等対応教員養成講習会を引き続き実施する。

◆75歳以上の歯科検診をバックアップ

一方、医政局ではなく保険局高齢者医療課所管の来年度予算概算要求案の中での歯科保健関連事業をみると、「後期高齢者医療の被保険者に係る歯科健診」に関し、後期高齢者医療広域連合が実施する高齢者の特性を踏まえた歯科検診の実施の支援を行うこととし、8億6000万円を要求している。

なお、この保険局要求8億6000万円に、前回から紹介した医政局歯科保健課要求6億円を加えると、14億6000万円となり、厚労省全体の歯科保健医療経費となる。