医事相談部長談話「個別指導における弁護士帯同について」/機関紙2018年9月1日号(№582)2面掲載

医事相談部長談話「個別指導における弁護士帯同について」

個別指導は開業医が診療をしていくうえで、心配なことの1つである。協会は個別指導に関して会員からの相談に対応しているが、「十分な説明もなく、算定要件を満たしていないとして自主返還を求められた」、「中断となり1年経っても再開されない」などの問題事例が寄せられている。

個別指導は「保険診療の取り扱い、診療報酬の請求に関する事項について周知徹底させることを主眼とし、懇切丁寧に行う」と指導大綱に定められている。にもかかわらず、健康保険法や指導大綱を逸脱した指導が行われている実態があり、過去には東京でも自殺者が出たこともある。当協会は個別指導における中断、カルテコピー、自主返還など、さまざまな問題点の指摘、改善を求めて取り組んできた。その対策として有効な方法は、被指導者がカルテ記載、診療内容などについて説明、主張できる状況を作ることであり、人権を守るための弁護士帯同が重要であると考える。

当協会では個別指導に選定された会員が適正かつ懇切丁寧な個別指導を受けるための体制作りとして、顧問弁護団を結成し、状況に応じて弁護士帯同を勧めている。新規個別指導に当たっては会員の希望に応じて弁護士を紹介している。

これにより、被指導者がカルテコピーの拒否や録音の申し出などの正当な対応をできない場合などに、弁護士から指導大綱などを根拠に助言・補佐的立場から主張してもらうことにより制度の適正な運用が可能になる。

ただし、弁護士が帯同をすることで指導結果が良くなるとか、間違った保険診療内容・診療報酬請求を正当化できるなどという訳ではなく、あくまでも被指導者が請求内容などについては責任を持ち、実態を指導の場で説明をする必要がある。

そのためにも、保険診療のルールを理解し、カルテ記載を充実することが求められる。カルテ記載は、単なる個別指導対策のためだけではなく、患者の診療にも役立ち、万が一患者トラブルとなった時には自分を守ることにもなる。一人で悩まず、まずは協会に相談していただきたい。

2018年8月23日

東京歯科保険医協会

医事相談部長 本橋昌宏