第47回定期総会「決議」(機関紙2019年7月1日号(№592)1面掲載)

第47回定期総会「決議」(機関紙2019年7月1日号(№592)1面掲載)

決 議

政府は、年金受給開始年齢の引き上げなどを目的に、新たに「全世代型社会保障」を打ち出した。しかし、「改革工程表2018」には、後期高齢者の窓口負担や薬剤自己負担の引き上げなど、国民に負担を強いる社会保障の改悪項目が並んでおり、「全世代型社会保障」の推進は、さらなる受診抑制を招くことが危惧される。今目指すのは、お金の心配をせずに必要な医療が受けられる制度的保障である。

10月には消費税増税が予定されている。消費税は元々社会保障財源として導入された。しかし、消費税増税の裏で法人税や所得税の減税が行われており、それらの補てんに充てられているため、消費税が社会保障の財源とはなっていない。さらに、診療所経営を圧迫する損税問題も改善しておらず、社会保険診療へのゼロ税率導入は必要不可欠である。少なくともこれらの諸問題が改善しないならば、消費税増税は行うべきではない。

また、2018年診療報酬改定で院内感染防止対策として歯初診の施設基準が導入された。しかし、その評価は低くとどまっており、次期改定でコストに見合う点数設定にすることが求められる。また、高点数医療機関に対する個別指導は、患者に必要な医療の提供をためらわせる。安心安全な医療を支えるためには、それらも早期に改善すべきである。

平和で豊かな社会があってこそ歯科界の要求を実現させることができる。戦争やテロは命を奪い、経済的貧困は歯科受診を妨げる要因になる。

私たちは、政府が推し進めている国民1人当たりの社会保障費を削減する動きや、患者への安心安全な医療の実現を妨げる動きに断固反対し、国民の生活と歯科医療のより一層の充実に向けた運動を国民とともに力を合わせ、実現するために、以下の要求を国民、政府及び歯科保険診療に携わる全ての方に表明する。

 

 

一.少なくとも現行の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする日本の社会保障制度や自治体が実施する歯科保健に関する事業などを更に充実させること。

一.これ以上の患者負担増計画は中止し、医療保険や介護保険の自己負担を引き下げ、公費助成を充実させること。

一.院内感染防止対策は評価されたがコストに見合っていないなど低い歯科の診療報酬の問題を改善するため、国や厚生労働省は歯科診療報酬を更に引き上げること。

一.損税などの問題を解決しないなかでの消費税増税に、断固反対する。

一.高点数の保険医療機関を対象とした個別指導を行わないこと。

一.私たち歯科医師は、命と健康や平和を妨げるすべての動きに反対する。

 

2019年6月16日

東京歯科保険医協会

第47回定期総会