協会ニュース

駐車許可証の申請について

この度、在宅療養に従事する事業者の駐車需要に特に対応するため、202641日から「在宅療養特例一括許可」が新設され、在宅医療に加えて介護サービスにも柔軟に対応できる運用へ見直されています。

今回の変更では、反復する用務日(訪問する曜日等)の記載が省略され、患者の都合等により、訪問曜日等が変更となった場合であっても変更届を提出する必要がなくなりました。

駐停車禁止場所への駐車はこれまでどおり認められていないが、登録した訪問先から100メートル以内であれば状況に応じて自ら駐車場所を選定することとなった。また緊急訪問を行う可能性がある場合にはあらかじめその実態を明らかにしておくことで、緊急訪問時に限り24時間365日の駐車対応が可能となった。(しかし「在宅療養特例一括許可」の訪問先として申請している場所のみが対象。)。またオンラインでの申請にも対応している。

さらに個人情報保護の観点からは、訪問先の部屋番号など詳細な記載は省略でき、ダッシュボードへの掲示の際には付箋などで他の訪問先住所を隠すことも認められている。なお、車両登録台数については従来どおり制限はない。 

警視庁は、「交通の安全と円滑」と「駐車許可手続の利便性」の両立を基本方針としている。527日に開催される在宅医療の点数説明会の冒頭に警視庁担当者に説明を依頼していることから、ぜひご参加いただきたい。駐車許可の運用についての詳細は警視庁のHPをご覧ください。

【5月8日10:00~予約開始】口腔機能実地指導料の講習会

 今次診療報酬改定により、口腔機能実地指導料(46点)が新設されました。(要点と解説P.47,48参照)
 本指導料を算定するためには、口腔機能発達不全症及び口腔機能低下症の実地指導に係る研修を受けた歯科衛生士が配置されており、施設基準を届け出る必要があります。本講習会は、当該施設基準を満たす内容で開催します。
 講習会の受講に関しては、2027年5月31日まで経過措置がありますので、2026年5月中に受講ができない場合でも、施設基準の届出・算定は可能です。講習会を受講せずに、施設基準の届出を行った場合は、2027年5月31日までに講習会を受講し、再度届出を行ってください。
 同じ内容の講習会は6月以降も順次開催の予定です。

日時 第1回 5月21日(木)14:00~16:00
   第2回 5月28日(木)14:00~16:00
講師 松島 良次 氏(東京歯科保険医協会 理事)
   塚本 佳子 氏(松島歯科医院 歯科衛生士)
会場 なかのZERO大ホール
定員 第1回 500名
   第2回 700名
対象 会員の医療機関に勤務する歯科衛生士(1会員番号につき3名まで)
参加費 2,000円(税込)※当日、会場にお持ちください。現金のみです。お釣りがないようご用意ください。
予約 https://reserva.be/tokyosk418 
   ※予約サイトは5月8日(金)10:00以降にアクセス可能です。
申し込み受付後、順次、会員の登録歯科医療機関に郵送にて受講票をお送りします。当日は受講票を必ずお持ちください。受講票・受講証明書には、会員登録歯科医療機関名、参加者氏名(漢字)が記載されます。予約時に入力間違いがないようご注意ください。

東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)4月1日号

東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)4月1日号

こちらをクリック東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)4月1日号No.673

【1面】
 1.診療報酬改定を官報告示/賃上げ対応と機能評価の再構築進む
 2.患者負担増 歯科にも打撃/中止求めるWEB署名にご協力を
 3.会員拡大月間/お知り合いの先生をぜひ、ご紹介ください(組織部長 福島崇)
 4.第54回定期総会開催のご案内
5.2026年度 診療報酬改定新点数説明会
 6.探針

【2・3面】
 7.2026年度診療報酬改定ポイントの解説

【4面】
 8.7月末まで延長 保険証での資格確認/上野厚労相 さらなる延長は否定
 9.厚生労働省 児童や生徒の資格確認方法を整理
10.歯科衛生士の業務に〝特定行為〟を検討
11.2025年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について
12.会員無料相談デー

【5面】
13.研究会・行事ご案内
14.2026年度診療報酬改定新点数説明会ご案内
15.経営・税務相談Q&A No.439/サイバーセキュリティ対策をめぐる業者トラブルに注意
16.書籍/保険医の経営と税務 2026年版/会員は1冊無料!2026年最新の税務対応版を発行!
17.会員優待サービス

【6面】
18.2026年度診療報酬改定新点数説明会

【7面】
19.連載 協会探訪 その⑧/機関紙「東京歯科保険医新聞」とホームページの編集・管理など担当―広報・ホームページ部―
20.ベア評価料届出が条件の給付金「政策誘導では」/メディア懇談会
21.〝う蝕のある子〟過去最少に/学校保健統計調査

【8面】
22.遊歩道 第2回/歯初診の施設基準に新たな研修項目が追加される
23.「健康保険法等の一部を改正する法律案」は問題あり
24.第119回歯科医師国家試験合格者発表/合格率が再び60%台に

【9面】
25.症例研究「口腔機能発達不全症と小児口腔機能管理料」

【10面】
26.国会議員要請を実施/麻酔薬供給や訪問診療の課題解決を訴え
27.依然混乱 トラブルは解消されず/オン資訴訟6月結審へ
28.医療安全講習会/サイバーセキュリティ対策の実践 悪徳業者への具体的対応も解説
29.『厚労省通知』を”現場視点”で読み解く/「要点と解説」1冊進呈 追加希望者への販売も
30.春の共済募集キャンペーン/グループ生命保険配当金のお知らせ

【11面】
31.IT相談室/「ホームページじまい」を考える①/IT版「退き際の思考」
32.神田川界隈(理事・橋本健一/東村山市)
33.通信員便り №159
34.理事会だより
35.3月協会活動日誌
36.訃報

【12面】
37.新ベースアップ評価料のポイント
38.ベースアップ評価料について考える/小林顕(板橋区開業)

「令和8年度東京都在宅歯科医療設備整備事業」受付開始

東京都の「東京都在宅歯科医療設備整備事業(2026年度)」の受付が開始されました。
この補助金は通院が困難な方への在宅歯科医療を推進するため、都内の在宅歯科診療を実施する医療機関に対し、在宅歯科医療機器等の設備を整備し、安全で安心な質の高い歯科医療提供体制の充実を図る(高齢者に限らず、医療的ケア児等も含む)ために東京都が実施しているものです。
以下に概要(抜粋)をまとめました。

1 事業の概要について
(1)補助対象機器
在宅歯科診療を実施するために必要となる医療機器等で1品 10 万円以上のもの。原則、患者宅で使用する医療機器等(例:ポータブルユニット、ポータブルX線装置等。内視鏡は不可。)
(2)補助対象
交付要綱「別表」で定める研修を受講した歯科医師(歯科医師法第16条の2第1項の規定による臨床研修中の歯科医師を除く。)が常に勤務している診療所の開設者
(3)1か所あたり3,638千円
(4)補助率 3分の2

2 申請方法等

提出方法 事業計画事前調査票(提出様式)を作成し、保健医療局医療政策部医療政策課(歯科医療担当)宛てにメールを送信する。
S1150401@section.metro.tokyo.jp 保健医療局医療政策部医療政策課(歯科医療担当)
※メールの件名は「在宅歯科 事前調査票 (提出される医療機関名)」として送信。
※提出期限  2026年6月30日(火曜日)

詳細は東京都保健医療局のHPをご確認ください。
令和8年度東京都在宅歯科医療設備整備事業|民間医療機関向け補助金概要|東京都保健医療局

申請手続きに当たってはデジタル庁が運営する補助金システム JGrants(Jグランツ)もしくは紙申請がある。Jグランツでの申請には、GビズID(gBizIDプライム)の取得が必要となりますので、未取得の場合は以下URLよりご準備いただきますようお願いいたします(取得に2~3週間ほどかかります)
https://gbiz-id.go.jp/top/
※Jグランツに関する問合せにつきましては、GビズIDのページに記載されている連絡先までお問合せください

Jグランツに関する問合せ先
0570-023-797 【受付時間】9:00~17:00(土・日・祝日、年末年始を除く)

<参考>
令和8年度東京都在宅歯科医療設備整備事業|民間医療機関向け補助金概要|東京都保健医療局

【IT相談室】「ホームページじまい」を考える ①:IT版「退き際の思考」

【IT相談室】「ホームページじまい」を考える ①:IT版「退き際の思考」

コンビニより多いと言われた歯科医院数は2017年から、歯科医師数も22年から、全国的にはそれぞれ減少に転じました。歯科医師の年齢構成は5060代が多く、これからも歯科医師の高齢化は進んでいくと考えられます。それは、閉院する歯科医院が増えていくことを意味します。多くの歯科医院がホームページやSNSを活用する現代において、IT関連の〝退き際〞も頭に入れておく必要があるでしょう。

◆まずはリストを作ろう

さて、貴院にはどれだけのIT関連のアカウントや契約があるでしょうか。「ホームページじまい」の第一歩は、リスト作成からです。この時に注意したいのが、最初から完全なリストを作ろうとしないことです。

後から後から必要な項目が出てくる可能性があるため、まず手始めに思いつく範囲で作成してみましょう。契約しているホームページ管理会社やコンサルティング会社に問い合わせる方法もあります。

◆リストの項目

IT関連サービスとして、以下のような項目が考えられます。

・ホームページ

・メール

・チャット関連

・各種SNS

・予約システム

・院内システム

・その他関連サービス

有料サービスはもちろん、無料であっても放置することは、良くありません。今後使わないのであれば、解約すべきです。

これまでに弊社が手がけた経験を踏まえ、継承や閉院時のIT関連への対処について、数回にわたりご説明します。

依然混乱 トラブルは解消されず/オン資訴訟6月結審へ

依然混乱 トラブルは解消されず/オン資訴訟6月結審へ

オンライン資格確認システムの導入義務化をめぐる訴訟の控訴審が続く。225日に東京高等裁判所101号法廷(三木素子裁判長)で行われた第2回口頭弁論では、原告側が改めて義務化の問題点を指摘した。そして、第3回口頭弁論が610日に開かれることが決まり、同日に結審する見通しとなった。

◆実質的な反論なし

2回口頭弁論にあたり、原告側は全国保険医団体連合会が実施したマイナ保険証のトラブル調査結果のほか、医療機関の負担増加や混乱を指摘するマスコミ各社の報道記事を証拠として提出し、これまでの主張を補充。マイナ保険証への一本化見直しを繰り返し提言する新聞社の報道にも触れ、一本化の問題点を指摘した。

一審判決はトラブルの存在は認めつつ、その解消に向けた取り組みが講じられ、今後改善していくとして原告側の主張を退けた。しかし、原告側は実際にはトラブルの解決には至っておらず、医療機関が今なお混乱していることを改めて主張した。

また、原告弁護団からは控訴審において被告(国)側から実質的な反論がないことが紹介された。喜田村洋一弁護団長は、「反論の余地がないことを示している。論理的には我々が圧倒的に正しく、必ず勝つと信じている」と語った。

この日の口頭弁論には、原告団16名が集まり、協会の早坂美都会長、原告団副団長の坪田有史副会長も参加した。次回期日は、610日㈬午前1130分から東京高裁で行われる。

医療安全講習会 サイバーセキュリティ対策の実践/悪徳業者への具体的対応も解説

医療安全講習会 サイバーセキュリティ対策の実践/悪徳業者への具体的対応も解説

協会は2月26日、「明日からできる院内セキュリティ対策講習会―悪徳業者に騙されないために―」をテーマに医療安全講習会を開催した。講師に、長崎県保険医協会会長の本田孝也氏を迎え、会場とWEB参加を合わせ74名が参加した。

インターネット越しに講演を行った本田孝也氏

まず本田氏は、近年増加しているサイバー攻撃や不適切な営業の実態を踏まえ、院内で実践可能な基本的なサイバーセキュリティ対策について解説。具体的には、ネットワークの分離やパスワード管理の徹底、機器更新時の注意点など、日常診療の中で無理なく取り組める対策を紹介した。また、本田氏自身の医院で実際に導入している対策や、過去に悪徳業者の営業により不必要な契約を結んでしまった経験も共有され、参加者にとって実践的かつ示唆に富む内容となった。
質疑応答では、本田氏が依頼している通信事業者およびネットセキュリティ会社の担当者も登壇。会員から寄せられた業者対応や機器導入への疑問に答えた。
参加者からは「現場で役立つ内容だった」「業者対応の参考になった」などの声が寄せられ、院内のサイバーセキュリティ対策への関心の高さがうかがえた。

当講習会はオンデマンド配信をデンタルブックにて公開している。年2回の医療安全管理に関する職員研修にも活用できるので、ぜひ院長だけでなく、スタッフと共にご覧いただきたい。

◆デンタルブックURL➡https://dentalbook.tokyo-sk.com/member/public/MemberAuth_input

依然混乱 トラブルは解消されず/オン資訴訟6月結審へ

依然混乱 トラブルは解消されず/オン資訴訟6月結審へ

オンライン資格確認システムの導入義務化をめぐる訴訟の控訴審が続く。2月25日に東京高等裁判所101号法廷(三木素子裁判長)で行われた第2回口頭弁論では、原告側が改めて義務化の問題点を指摘した。そして、第3回口頭弁論が6月10日に開かれることが決まり、同日に結審する見通しとなった。
◆実質的な反論なし
第2回口頭弁論にあたり、原告側は全国保険医団体連合会が実施したマイナ保険証のトラブル調査結果のほか、医療機関の負担増加や混乱を指摘するマスコミ各社の報道記事を証拠として提出し、これまでの主張を補充。マイナ保険証への一本化見直しを繰り返し提言する新聞社の報道にも触れ、一本化の問題点を指摘した。
一審判決はトラブルの存在は認めつつ、その解消に向けた取り組みが講じられ、今後改善していくとして原告側の主張を退けた。しかし、原告側は実際にはトラブルの解決には至っておらず、医療機関が今なお混乱していることを改めて主張した。
また、原告弁護団からは控訴審において被告(国)側から実質的な反論がないことが紹介された。喜田村洋一弁護団長は、「反論の余地がないことを示している。論理的には我々が圧倒的に正しく、必ず勝つと信じている」と語った。
この日の口頭弁論には、原告団16名が集まり、協会の早坂美都会長、原告団副団長の坪田有史副会長も参加した。次回期日は、6月10日(水)午前11時30分から東京高裁で行われる。

国会議員要請を実施/麻酔薬供給や訪問診療の課題解決を訴え

国会議員要請を実施/麻酔薬供給や訪問診療の課題解決を訴え

協会は3月11日に国会議員要請を行い、早坂美都会長が国会議員と懇談した。懇談では、診療報酬改定に伴う現場の実情や諸課題について要請と意見交換を行い、理解を求めた。

◆歯科医院経営と局所麻酔薬の供給問題

早坂会長は、「今次改定の改定率は大幅なプラス改定になった点は評価できるものの、その多くがスタッフの賃上げに充当されている」と指摘し、歯科診療の充実に必要な技術料に相当する財源が極めて少ない点の改善を求めた。議員側は、歯科医療機関の多くが小規模経営である現状に理解を示したほか、設備投資や安定的な経営を維持するためには、より高い利益率を確保できる環境整備が必要、との発言もあった。

また、早坂会長は、歯科鋳造用金銀パラジウム合金の実勢価格と公定価格の乖離に加え、キシロカインなどの歯科局所麻酔薬の供給不足も深刻であるとし、対策の重要性を訴えた。

◆歯科訪問診療の拡充と駐車場所の確保を

歯科訪問診療については、協会が実施したアンケート結果を基に、人手不足や外来診療との両立の難しさ、点数の複雑さが訪問診療の拡充の「大きな障壁」となっている実態を報告。さらに、都市部における駐車場所の確保の問題は切実であり、申請に一定のハードルがある駐車許可証について、運用の改善を求めた。議員側も、地域や医療提供の実情に応じた柔軟な仕組み作りに理解を示した。

◆保険適用のチタン合金製補綴物の課題

また、デジタル技術を活用した医療従事者間の連携のほか、医療従事者に対する教育支援についても意見交換を行った。特に、今次改定で新設されるチタンブリッジを含めたチタン合金による補綴物の製作は、技術的難易度が高い鋳造のみに限定されている点を指摘し、歯科技工現場で意見が上がっている「削り出しによる製作」も検討すべきと現場の声を届けた。

◆協会の諸活動にご理解・ご協力を

今回の懇談を通じ、各議員は「医科と歯科の特性の違い」や「歯科特有の材料や薬剤の問題」について深い理解を示した。協会は引き続き、今回要請した諸課題の解決をはじめ、歯科医療現場が診療に専念できる環境作りを訴えていく。

【要請を行った国会議員は以下の各氏(順不同、敬称略。※印は秘書対応)】

◆衆議院議員】

 安藤たかお(自民)

 若宮健嗣(自民)

 井上信治(自民)*

 渡辺孝一(自民)*

 長妻昭(中道)*

 田村智子(共産)*

安藤たかお議員(右)

若宮健嗣議員(左)

連載/遊歩道 第2回 「歯初診の施設基準に新たな研修項目が追加される」/東京歯科保険医協会副会長 坪田 有史

連載/遊歩道 第2回 「歯初診の施設基準に新たな研修項目が追加される」/東京歯科保険医協会副会長 坪田 有史

6月施行に向けて、2026年度歯科診療報酬改定(以下、改定)は、1月に個別改定項目の公表、2月に答申、3月に官報告示・関連通知の発出、4月改定と各ステップが着々と進み、その都度、協会は、会員に適時メールニュース、本紙などで情報を発信してきました。そして4月10日(金)に「文京シビックセンター」で第1回新点数説明会を開催します。今次改定の内容を分かりやすく解説しますので、ご参加のほどよろしくお願い申し上げます。
続いて第2回新点数説明会は、6月施行の直前となる5月21日(木)に保険請求時の注意点を中心に「なかのZEROホール」で、さらに5月27日(木)には在宅医療を中心に解説する第3回新点数説明会を同じく「なかのZEROホール」で開催します。

◆初・再診料の引き上げと「歯初診」届出の影響
今次改定は、臨床現場の不合理の多くが是正された改定であると私は評価しています。しかし、歯周病安定期治療(SPT)と歯周病重症化予防治療(P重防)が整理・統合されて歯周病継続支援治療になること、有床義歯で義管と歯リハ1との同日算定、歯科衛生士ならびに歯科技工士への評価、ベースアップ評価料の変更など、保険診療を行う上で、理解が必要な変更点が多くあります。今回、初診料と再診料の点数アップと歯科初診料注1の施設基準(以下、「歯初診」)の研修要件の追加について解説します。今次改定において、初診料と再診料は、「歯初診」の届出を行っていれば改定前の初診料267点が、6月の改定後には5点増点の272点に、再診料58点が1点増点の59点なります。「歯初診」が未届の場合、改定前の初診料240点が、6月からは5点増点の245点に、再診料44点が1点増点の45点になります。これら初・再診料の点数引き上げの理由は、物価高騰による医療機関の物件費増加への対応とされています。表に12年からの歯科(「歯初診」届出医療機関)と医科の初・再診料の変遷を示します。歯科と医科の基本診療料の差は、12年時は初診料52点の差だったのが今次改定で19点、再診料27点の差が今次改定で17点と少しずつですが、縮まっているのが分かります。
なお、「歯初診」の届出医療機関と未届の医療機関で初・再診料に小さくない点数の差が設定されたのは、18年度改定でした。なお当時、半年間の経過措置が設けられたため、18年10月1日から新たな点数で初・再診料の算定となりました。したがって、それ以前の多くの医療機関は、この経過措置の半年間で常勤歯科医師の院内感染防止対策(22年改定時に追加:標準予防策および新興感染症に対する対策)に関する研修を受講、届出を行い、その後に毎年行う定例報告(当時、7月報告)で研修名や受講年月日などを記載して、関東信越厚生局へ報告してきました。研修は4年に1回以上の受講と定められていますから、22年に2回目の研修を受講された会員が多いと推測されます。したがって、今年26年は多くの会員が3回目の研修を受講する必要があります。なお、25年に行った8月報告(24年改定より7月から8月に変更)は、今次改定で添付書類の省略などの簡素化を理由に廃止となりました。したがって、定例報告の必要はなくなりますが、4年に1回以上の研修の受講は、引き続き必要です。

◆研修項目追加の背景と今後の対応

今次改定で「歯初診」の研修の項目に薬物耐性に関する「抗菌薬の適正使用」が追加されました。世界中で話題になっている薬物耐性菌による死亡者数、さらに薬物耐性菌が関連した死亡者数の推計数はとても大きな問題といえます。我が国の歯科医療の現場で、抗菌薬が適正に使用されているとはいえない現状に対して、26年1月16日に厚生労働省から「抗微生物薬適正使用の手引き」第4版として歯科編が発行されました。このことが今次改定での「歯初診」の研修項目の追加の契機となったと推測されます。ぜひ、第4版・歯科編をご覧になり、直近の情報から歯科におけるAMR(薬剤耐性)対策への理解を深めていただきたいです。そのうえで、抗菌薬の不適正使用を是正し、すべての歯科医療従事者が薬物耐性菌の発生リスクの低減に努めることが重要であり、その取り組みこそが、未来の医療を守るための責務であると考えます。なお、新たに研修を受講される方は、協会で開催する26年度院内感染防止対策講習会(歯初診)をオンライン(Zoom)にて受講いただけるよう準備中です。講習会では「抗菌薬の適正使用」についても触れています。詳細が決定次第、新聞や協会ホームページでお知らせします。ぜひご利用ください。

>

連載/協会探訪 その⑧「機関紙 「東京歯科保険医新聞」とホームページの編集・管理など担当」<広報・ホームページ部>/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

連載/協会探訪 その⑧「機関紙 「東京歯科保険医新聞」とホームページの編集・管理など担当」<広報・ホームページ部>/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

この機関紙をお手にとって読んでくださっている先生、ありがとうございます。

東京歯科保険医協会では、機関紙を全国の歯科大学、国会議員や行政機関にも広く配布しているほか、年に3回は協会の活動を知っていただき、歯科に関する情報を提供することを目的として、当協会会員の先生以外の東京都内の歯科医師の方々にもお届けしています。協会の活動を知っていただくためと、会員の先生以外の方々に情報を提供することが目的となっております。今回は、機関紙やホームページの編集などをはじめ、広報活動全般を担当している広報・ホームページ部を紹介します

◆紙からデジタルへ―広報活動の広がり

かく言う私も、2017年~25年まで広報・ホームページ部長を務めておりましたが、現在では機関紙「東京歯科保険医新聞」だけではなく、ホームページやSNSなども活用して、協会活動の周知、歯科医療関連情勢の報道、会員同士の交流を行っています。これも時代の流れと感じますが、協会設立当時は月1回の機関紙のみの発行でした。

デジタル化の流れを念頭に、毎月中旬過ぎを目安に、協会ホームページに機関紙全紙面を公開しています。会員以外の方にも読んでいただけるので、好評です。紙媒体がオールドメディアという言葉に表現されることもありますが、紙面を手に取りページをめくる作業によって、より内容が理解しやすく頭に入りやすいというお声もいただいています。実際に写真などは、紙媒体とパソコンやスマホの液晶画面では微妙に色合いが違ってみえることがあります。画面をスクロールして読む、もしくは紙をめくって読む…どのような形がより良く会員に伝わるか、広報・ホームページ部では引き続き検討を続けていかなければなりません。

東京歯科保険医新聞の前身である「東京歯科保険医ニュース」第1号が発刊されたのは73(昭和48)年311日です。設立総会のおよそ40日前です。当時はB4判の紙面裏表の2ページ建て(写真参照)でした。その後、752月の第15号からB54ページ建ての冊子形式となり、状況に応じてページ数を増やしています。

80年1月号から名称を「東京歯科保険医新聞」と改め、第三種郵便物の認可を取り、併せてタブロイド判になりました。東京都知事選挙特集として発行した99320日臨時号からDTP(Desk Top Publishing/卓上出版)編集が始まり、紙面も変形タブロイド判(現在の大きさ)になり、今日に至っています。

東京歯科保険医新聞は、「新聞」という名前がついていますが、東京歯科保険医協会の「機関紙」です。

創刊以来、歯科保険医の権利を守り、都民の歯科保健医療を守るためにさまざまな記事を掲載してきました。総会をはじめ設立40周年企画、50周年企画、歯科保険医学会、海外歯科医療視察、歯と健康フォーラムなどの行事の報道。「質の低下と給付の低下はご免運動」「児・産・歯運動」「自主質管理運動」の呼びかけ、東日本大震災での歯科医療支援などの会員への参加呼びかけ。ポリサルホン凍結、かかりつけ歯科医初診料「No」、保険でよい入れ歯を、診療報酬や反核平和問題などに関する協会の考えの表明。最近では、歯科医師の引退に焦点を当てた連載「退き際の思考 歯科医師をやめる」など、実にさまざまな記事を掲載し、会員に伝えてきました。

この「東京歯科保険医新聞」の発行に責任を持ち、管理をしているのが広報・ホームページ部です。紙面用の原稿は役員や各部部員、さらに協会事務局員が分担して作成しています。

01年4月にはホームページを開設しその管理・運営にも責任を持っています。

◆メディア懇談会も運営

協会では機関紙発行やSNS活用のほか、歯科医療関連メディアとの交流促進のため083月にメディア懇談会をスタートさせ26313日の開催で通算112回目を迎えました。メディア懇談会の開催も広報・ホームページ部会が所管しています。より良い医療を実現するためには、国民の理解と協力が不可欠です。協会からメディアに向け、メディアを通じて国民に向け、歯科医療が直面する問題と解決の方向の議論、それに関する協会の主張、活動などについて発信し、広く日本の歯科医療界の実情の理解を求める活動を行っています。

ベア評価料届出が条件の給付金 「政策誘導では」/メディア懇談会

ベア評価料届出が条件の給付金 「政策誘導では」/メディア懇談会

協会は3月13日、第6回メディア懇談会を開催し、2026年度診療報酬改定の内容を中心に意見交換を行った。本橋昌宏副会長が担当し、広報・ホームページ部長の小林顕理事が進行を務めた。診療報酬改定の議題では、改定率が全体で3.09%とされるが、歯科医療機関の収入に直接つながる部分はわずかに0.31%にとどまると説明された。協会が求めてきた不合理な点の是正が一部進んだことは評価する一方、この水準では経営改善には不十分との認識を示した。
◆ベースアップ評価料に疑問の声
その中で、議論の中心となったのは、医療従事者の賃上げを目的としたベースアップ評価料である。都内の歯科医療機関における届出率は26年1月時点で28.18%に留まっている。協会側は、診療報酬点数は本来、医療行為に対する対価であるとし、賃上げを目的とした点数は制度の原則から外れていると指摘した。参加者からは、施設基準を届け出る際の様式について質問があり、その手続きの煩雑さに話題が及んだ。
さらに、診療所等賃上げ支援事業の給付条件に、ベースアップ評価料の届出が含まれている点について、「政策誘導的な仕組みではないか」との意見も出た。
◆インフレ下での診療報酬のあり方
参加者からは、インフレが続く中での今次改定では経営改善が難しいとの指摘もあった。「公定価格である診療報酬だけが物価上昇に追いついていない」との意見や、「医療機関も物価高の影響を受けている」との声が上がった。協会は、基本診療料の引き上げによって歯科医療機関の経営基盤を強化することが必要との考えを示し、今後も制度改善を求めていくとした。
ほか、衆議院選(2月8日)に向けて実施した政党アンケートの結果、マイナ保険証問題などを議題に懇談。メディア3社4名が参加した。

患者負担増 歯科にも打撃/中止求めるWEB署名にご協力を

患者負担増 歯科にも打撃/中止求めるWEB署名にご協力を


現在、私たちの医療制度を大きく転換させる制度変更作業が進められている。それは、「OTC類似薬の自己負担増加」と「高額療養費の上限引き上げ」の二つである。これら二つの患者負担増に反対するため、協会は緊急WEB署名を行っている。
◆歯科に関係するOTC類似薬の自己負担増
内服薬や軟膏など市販薬と同じ成分を含む医療用医薬品(OTC類似薬)について、自己負担を引き上げる議論が進んでいる。歯科では、ロキソニン錠60㎎やオルテクサー口腔用軟膏0.1%などが対象に挙がっており、実施されると1〜3割の自己負担割合に加えて、患者が特別料金を負担することになる。具体的には、薬剤費の25%の「特別の料金」が発生するため、最終的には負担割合によって3.5~5割が自己負担になる。
この動きを巡り、治療を諦める「受診抑制に繋がりかねない」とし、患者団体を中心に症状悪化を懸念する声が上がっている。
◆高額療養費上限引き上げ 歯科にも影響する
重い病気や怪我で医療費が高額になった際、自己負担を一定額に抑える高額療養費制度について、自己負担の上限額を引き上げる案が浮上している。歯科診療所では、補綴物を製作した場合に、同制度により自己負担が抑えられる場合がしにつながりかねない可能性があり、国民皆保険制度の趣旨から考えても、許容できるものではない。
◆WEB署名を実施中・自筆署名は準備中
協会は、多数の国民に影響を及ぼすこの動きを中止させるため、WEB署名を行っている。概ね1〜2分で終了するので、ぜひ、ご協力をお願いしたい。また、OTC類似薬については、国会に提出する自筆の署名用紙も準備中。安心で適切な医療提供を守るため、一人でも多くの方の賛同が必要である。SNSなどでの拡散にも、よろしくお願いしたい。

厚生労働省 児童や生徒の資格確認方法を整理

厚生労働省 児童や生徒の資格確認方法を整理

厚生労働省は、部活動の遠征や修学旅行などの学校行事および保育所・幼稚園・認定こども園の通園時で、保護者から離れた児童、生徒等が医療機関に受診する際の資格確認方法を整理した(下表参照)。

マイナ保険証を利用登録した児童、生徒等について、学校行事等によりマイナ保険証の本体を持参できない場合には、①マイナポータルにある「医療保険の資格情報」のPDFもしくはその印刷物、または②「資格情報のお知らせ」の原本もしくはその写しを用いた資格確認で可能とした。②は保険者から患者に発行されるが、①は患者側でマイナポータルからデータをダウンロードして取得する必要がある。

今回示された取り扱いにより、通常はマイナ保険証との併用が必須なこれらの持参物については、学校行事等における児童、生徒等が受診する場合は単体で資格確認が可能となる。なお、マイナ保険証の利用登録をしていない児童、生徒等については、資格確認書の代わりにそのコピーで資格確認ができる。保護者の立場から考えると、保護者が管理しているマイナ保険証や資格確認書の代わりにこれらを予め準備することで、学校行事等で子どもの緊急受診が必要になった際、これまで通りに保険診療を受けられ、不安解消につながる。

◆薬剤等の情報閲覧はできない

今回示された取り扱いは従来、現場で行われていた健康保険証のコピーを用いた資格確認と同様であるが、マイナ保険証が提示された場合と違って過去の薬剤などの情報は閲覧できない。

そのため、特に持病を持った児童や生徒等の受診では、大きな差が生じる。また、マイナ保険証に資格情報は表記されていないため、マイナ保険証を使用している患者の場合はコピーではないものが必要なことも患者には分かりにくい。

これを解決するためには、当面はマイナ保険証の有無に関係なく資格確認書を一斉交付し、児童や生徒等においてはそのコピーの提示でも可能とするといった導線の一本化を行うべきである。先日、杉並区で国保加入者に対する資格確認書の一斉交付の陳情が採択されたが、協会は引き続き問題の把握と解決を求めていく。

7月末まで延長 保険証での資格確認/上野厚労相 さらなる延長は否定

7月末まで延長 保険証での資格確認/上野厚労相 さらなる延長は否定

厚生労働省は3月25日に事務連絡を行い、2026年3月末までとしていた「健康保険証による資格確認」の期限を7月末まで延長することを発表した。上野賢一郎厚労相は、今回の延長は「円滑な受診を担保するため」と強調し、8月以降のさらなる延長は否定した。


◆続くマイナトラブルタイムラグの壁
マイナ保険証の利用率は26年1月時点で64・62%に達したものの、「資格無効」や「期限切れ」といったエラーが依然として発生している。また、全国保険医団体連合会の調査によると、トラブル発生時の解決方法として、従来の健康保険証で資格確認せざるを得ない実態が浮き彫りとなっている。こうしたトラブルの原因は、保険者が登録した情報がシステムに反映されるまでのタイムラグにある。
◆当面は資格確認書の一斉交付を
厚労省は、タイムラグ問題の早期解決策を提示するとともに、8月以降の延長を行わないのであれば、後期高齢者や一部の自治体(世田谷区・渋谷区)の国保加入者と同様に、当面の間は資格確認書を加入者全員に交付するべきである。
現場の混乱を防ぐため、協会は引き続き国会議員や行政に対して改善を求めていく。

診療報酬改定を官報告示/賃上げ対応と機能評価の再構築進む

診療報酬改定を官報告示/賃上げ対応と機能評価の再構築進む

2026年度診療報酬改定について、厚生労働省は3月5日に官報告示すると共に、関連通知を発出した。歯科の初・再診料は、初診料5点、再診料1点の引き上げに留まるものの、本年6月に新設される「歯科外来物価対応料」により、段階的な評価の上積みが図られる。物価上昇や人材確保への対応として診療報酬体系の見直しが行われている。
医学管理の評価も見直しが行われ、歯科疾患管理料は初診月減算の廃止と引き換えに点数が引き下げられた。口腔機能管理についても区分が細分化され、患者の状態に応じた評価体系へと見直された。
そのほか、SPTとP重防の統合による運用見直し、CAD/CAM冠の適用拡大による大臼歯への制限の見直し、チタンブリッジの新設、光学印象の評価の引き上げなどが行われた(下記参照)。
◆ベースアップ評価料は賃上げ前提に強化
ベースアップ評価料は、賃上げの実施状況に応じた段階的な評価となるなど、賃上げの実施を前提とした仕組みが強化された。
継続的に賃上げを実施している医療機関の条件が明確化され、3月中に算定実績がある医療機関に加え、今後、届出の条件に見合う水準の賃上げを実施する場合も対象となることが示された。

▶「2026年度診療報酬改定 ポイントの解説」をご覧になりたい方はここをクリック

東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)3月1日号

東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)3月1日号

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)3月1日号No.672

【1面】
 1.2026年度歯科診療報酬改定/大幅な見直し/改定項目が多岐にわたるも問題点は依然解決せず
 2.理事会声明「診療報酬改定率3.09は見せかけの財源 歯科診療現場を改善するための改定には程遠い」
 3.オン資訴訟控訴審 6月結審へ/医療機関の混乱 改めて訴える
 4.4月からの資格確認/マイナ保険証・資格確認書でどう対応したら良い?
 5.探針
 6.ニュースビュー
 
【2・3面】
 7.2026年度診療報酬改定 主なポイント

【4面】
 8.2026年度改定の個別改定項目を議論/理事・部員政策学習会を開催
 9.新しい助成金案内/2025年度医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について
10.2026年3月/歯科用貴金属の随時改定情報

【5面】
11.研究会・行事ご案内
12.2026年度診療報酬改定新点数説明会ご案内
13.経営・税務相談Q&A No.438/新規採用に向けての2つの注意点~労働条件通知書の準備、無料求人広告勧誘~
14.書籍/保険医の経営と税務 2026年版/会員は1冊無料!2026年最新の税務対応版を発行!
15.会員無料相談デー

【6面】
16.連載 協会探訪 その⑦/~経営に関する各種相談にお答えするとともに、経営の向上をサポートする~経営管理部
17.確定申告相談会を実施/顧問税理士が一人ひとりに対応
18.書籍「医院経営と雇用管理 2025年版」/会員1人につき1冊無料
19.理事会だより/2025年度第13回
20.2月協会活動日誌
21.会員優待サービス
22.共済制度春募集PR

【7面】
23.IT相談室/再考 これからのSNSと歯科医院②―事例:院内指示メール装うフィッシングメール―
24.神田川界隈「歯科医療の来し方、そしてこれからの協会」(監事・西田紘一/八王子市)
25.院内感染防止対策講習会を開催/初診料の「注1」に規定する施設基準に対応
26.通信員だよりNo.158

【8面】
27.OTC類似薬の「保険外し」/患者負担の大幅引き上げ/ロキソニン・ブルフェンなど日常診療にも影響か
28.第38回東京反核医師の会総会・記念講演/「被ばく者の声を未来へ」
29.協会アンケート/訪問診療しない原因浮き彫り 訪問車両の駐車問題も浮上
30.貴金属高騰で歯科医療機関経営に影/「Nスタ」が早坂会長を取材

【9面】
31.2026年度診療報酬改定 新点数説明会

【10面】
32.春の共済募集キャンペーン

賃上げ支援事業(15万円)の注意点―「満額ありき」の賃上げは要注意‼―

 


「15万円もらえるから、ベースアップ評価料を届出した」

「従業員に15万円を山分けして、特別ボーナスで支払おう」

このように考えている先生は、少し立ち止まって確認が必要です。
 
15万円の満額支給を前提に賃上げを行うと、6月以降もその水準を維持・向上する必要があるため、人件費が増加し、医院経営の負担が大きくなる可能性があります。
 
厚生労働省は、2月27日に本事業のリーフレットおよびQ&Aを公表しました。

医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について|厚生労働省

賃上げ支援事業リーフレット

医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業に関するQ&A

申請スケジュールの公開は、東京都HPにて4月下旬以降に案内されます。

東京都医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業

主なポイントと注意点をまとめました。

1.ベースアップの実施期間
202511月末時点の賃金水準と比較し、202512月~20265月までの6か月間ベースアップを実施し、20266月以降もベースアップ後の額の維持・向上が必要とされています(※例外あり申請パターン(3))。
 
2.12月からベースアップできなかった場合
ほとんどの医療機関がこちらに当てはまりますが202512月からベースアップが実施できなかった場合、202512月~20263月の4か月分を一時金・特別手当として2026331日までにスタッフに支給する必要があります。
 
3.支援金の充当範囲
支援金は、202512月~20265月の賃金改善分に充当します。
対象となるのは、以下の費用です。
・基本給の引上げ
・毎月支払う手当の引上げ
・ベースアップに連動して増える賞与
・時間外手当の増加分
・法定福利費(事業主負担分)の増加分
 
4.特に注意が必要な点
支援金の給付を前提に賃上げを行うと、20266月以降もベースアップを維持・向上する必要があります。6月以降支援金の有無は不明です。支援金がないと、人件費の増加が継続するため、特に小規模医療機関は医院経営を圧迫する可能性があります。
そのため、ベースアップ評価料の算定見込み、医院の人件費の状況を踏まえながら、12月~5月のベースアップ額を慎重に検討することが重要です。
 
【申請パターン】

(1)基本パターン


・賃金基準は25年11月分の給与
・ベースアップの割合(%)はいくらでもよい
・毎年、別の時期にベースアップをしていても、改めて12月からベースアップを行うこと
・支援金を充ててよいのは、25年12月~26年5月の黄色部分のみ。
・15万円より黄色部分が少ない場合は、黄色部分の金額を申請する。


(2)12月にベースアップを行えなかった場合


・4月から必ずベースアップを行う。
2512月~26年3月分を一時金として支給。支給期限は3月31日まで。
・支援金を充ててよいのは、2512月~26年5月の一時金部分+黄色部分のみ。
15万円より一時金+黄色部分が少ない場合は、一時金+黄色部分の合計額を申請する。
・6月以降は診療報酬改定による新たなベースアップ評価料を財源に4月の賃金水準を維持します。1か月の基準は3月以前と4月以降で同一でなくともよいですが、極端な配分はできません。

(3)25年12月の賃金水準が、3月31日時点の水準と比較して 2.0%を上回ってベースアップされている場合

・2%を上回るベースアップ分の25年12月~26年5月が支給対象となる。なお、2%を上回っている部分にベースアップ評価料による賃金改善分が含まれている場合は、当該部分を除いた部分が対象となる。
・支援金として充ててよいのは、25年12月~26年5月の黄色部分のみ。
・15万円より黄色部分が少ない場合は、黄色部分の金額を申請する。
・25年12月より更なるベースアップを行った場合は対象となる。

(4)26年6月改定で新たに届け出る場合(現在、スタッフが受付専従や勤務医のみ)
・上記①②の方法どちらかでの実施が必要。なお、現時点では②となる。

【申請例】


150,000円を申請するためには、150,000円÷6か月=25,000以上(医院合計)のベースアップが必須
ただし、ベア評価料の算定の金額(当該医院の場合は3/1~算定分)は減算。
A氏300,000円(2025年11月時点)➡320,000円(2025年12月~)(6.6%UP)
B氏200,000円(2025年11月時点)➡207,000円(2025年12月~)(3.5%UP)
 ※12月からスタッフにベースアップの支払ができていない場合は、25年12月~26年3月分を一時金((20,000円+7,000円)×4カ月=108,000円)として26年3月31日までに支給。4月からは給与で支払う。

[申請対象金額]
(20,000円+7,000円)×6か月分(2025年12月~2026年5月)=162,000円
   -ベア評価料-
初診10点×20回=2,000円 再診2点×100回=2,000円 合計4,000円
4,000円×3か月分(3~5月)=12,000円

[申請額]
162,000円-12,000円=150,000円
 ※2026年6月以降も、給与の維持もしくは改善をしなければならない。
➡6月以降のベースアップ分は、ベースアップ評価料算定分を減算するとすべて医院の持ち出しとなる。
1カ月のベースアップ 27,000円
1カ月のベア評価料算定 
初診31点×20回=6,200円 再診6点×100回=6,000円 合計12,200円
医院の持ち出し:27,000円―12,200円=14,800円/月

■お願い
15万円ありきで賃上げ額を決めるのではなく、初診・再診と連動するベースアップ評価料の算定見込みを踏まえ、医院がいくら持ち出しとなるか、医院経営への影響を考慮しベースアップ額を判断してください。

院内感染防止対策講習会を開催/初診料の「注1」に規定する施設基準に対応

院内感染防止対策講習会を開催/初診料の「注1」に規定する施設基準に対応

院内感染防止対策講習会を開催/初診料の「注1」に規定する施設基準に対応

協会は218日、Zoomウェビナーで「第5回院内感染防止対策講習会」を開催した。講師は協会理事の濱﨑啓吾氏が務めた。

本講習会は、歯科点数表の初診料の「注1」に規定する施設基準(歯初診)に対応しており、今回は77名が参加した。

当該施設基準は4年以内に1回以上受講することと、毎年8月に関東信越厚生局に報告することが要件となっている。

第38回 東京反核医師の会総会・記念講演/「被ばく者の声を未来へ」

第38回 東京反核医師の会総会・記念講演/「被ばく者の声を未来へ」

1月31日、東京反核医師の会は第38回総会・記念講演を東京保険医協会セミナールームで開催し、代表委員の矢野正明氏(当協会理事)が参加した。

冒頭、東友会の家島昌志代表理事が挨拶に立ち、東京反核医師の会が被ばく者や被爆二世の健康保持・相談事業に協力していることへの謝辞を述べると共に、「被爆体験の継承に共に取り組んでいこう」と呼びかけた。

続く議事では、2025年度の活動報告、決算案が承認された。報告では、憲法大集会や原水爆禁止世界大会への参加のほか、米国のイラン核施設攻撃、イスラエルによるガザ攻撃に対する抗議声明などが挙げられた。また、26年度活動計画案として、広島での原水爆禁止世界大会や全国反核医師のつどいへの代表派遣などが提案され、全て満場一致で承認された。

◆斉藤とも子氏記念講演

総会後、「被ばく者の声を未来に伝えるために」と題し、俳優で社会福祉士の斉藤とも子氏による記念講演が行われた。

斉藤氏はその中で、12歳で俳優デビューしたものの、役柄と自己の境遇との乖離に悩み、33歳で引退を考え、その際「人の役に立ちたい」と社会福祉士を目指して大学へ進学。同時期に井上ひさし氏原作の舞台『父と暮せば』の主役への依頼を受けたことが、広島を訪れる契機となったと語った。そして、現地で被爆者と交流を深める中で、原爆に関する凄惨な体験談を聞き、「被爆者の苦しみに比べれば、自分の悩みはちっぽけなもの」と衝撃を受け、ここが被爆者に寄り添う活動を始める原点になったとした。さらに、長年被爆者医療に携わった故肥田舜太郎医師のアドバイスに基づく、福島第一原発事故後の被災者支援、現在も続く裁判の支援活動に触れた。発災当時小学生で現在は25歳となった女性の訴状を読み上げ、会場全体が深い沈黙に包まれた。

最後に、被ばくの記憶を風化させず、次世代へ語り継ぐことの重要性を強調し、講演を締めくくった。

講演動画はオンデマンド配信中です。ぜひご覧いただきたい。URLは下記の通り。

https://hankaku.tokyo/docs/2026020900012/

2026年度改定の個別改定項目を議論/理事・部員政策学習会を開催

2026年度改定の個別改定項目を議論/理事・部員政策学習会を開催

協会は2月1日、2026年度診療報酬改定をテーマに理事・部員政策学習会を開催し、去る1月23日の中央社会保険医療協議会(中医協)で示された「個別改定項目について」を中心に、解釈や疑問点などを議論した。
◆外来診療と医科歯科連携
外来診療については、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料の対象患者の範囲拡大、CAD/CAM冠・インレーの算定要件の緩和と適用拡大は協会の要望が実現したと評価した。
一方、医科歯科連携について、歯科から医科に照会して連携が開始された場合でも、歯科医療機関連携強化加算が算定できるようにしてほしい、情報提供はFAXやメールでも認めてほしい、などの要望が出された。
◆歯科訪問診療を協議
歯科訪問診療については、訪問先の依頼により、診療を予定していなかった患者を急遽診療する必要性が生じた場合の歯科訪問診療1の運用が明確化されることを評価する声が多く上がった。
一方、在宅歯科医療推進加算が廃止され、在宅療養支援歯科診療所への加算となることで、歯科衛生士の配置が必須となり、歯科衛生士の採用難という現状に照らし合わせると不合理であるとの意見が出された。
◆コバルトクロムの鋳造はラボの設備投資次第
また、コバルトクロム合金の鋳造には特殊な設備が必要なため、歯科技工所が設備投資できずに製作ができなくなることを危惧し、金銀パラジウム合金を使用する「特段の理由」に「コバルトクロム合金の鋳造ができない」ことも認めてほしいとの声も上がった。
最後に松島良次政策委員長が、「今回の改定は協会からの要望も反映され、評価する点もあり、しっかり学べばプラスになる」とし、さらに「平均点数の上昇や患者一部負担金の増加につながるため、集団的個別指導や患者負担を気にして算定を控えることは、歯科界としても良いことではなく、適切な歯科医療や適正な保険請求から外れてしまう。2年に1度の診療報酬改定内容をしっかり診療に反映できるよう、新点数説明会で会員に伝えていくとともに、より良い改定となるよう、引き続き要望を続けていく」と締めくくり、閉会した。
なお、協会は4~5月に「2026年度診療報酬改定新点数説明会」を3回開催する。適正な算定、適正な評価を受けるためにもぜひ参加してほしい。

2026年度 歯科診療報酬改定/大幅な見直し

2026年度 歯科診療報酬改定/大幅な見直し

2026年度 歯科診療報酬改定/大幅な見直し

◆改定項目が多岐にわたるも 問題点は依然解決せず
6月1日から施行される次期診療報酬改定の答申が、2月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)で示された。改定率は大臣折衝で示された通り、賃上げおよび物価対応に対して評価が行われた。一方で歯科固有の項目に関しては、既存点数の引き上げ、新たな項目の設定、要件の見直しも大幅に進められた。協会理事会では答申を受け、理事会声明「診療報酬改定率3.09は見せかけの財源 歯科診療現場を改善するための改定には程遠い」を発表した。
◆歯科の改定率は0.31%
2025年12月に発表された改定率は、全体ではプラス3.09%であったが、歯科の改定率はプラス0.31%であり、点数の配分がどのようになるのか懸念されていた。これに対し答申では、歯科に関連するものだけでも少なくとも70以上におよぶ項目が示され、大幅な改定が行われることが分かった。
◆高齢者対応・DX対応・脱金パラなどが進んだ
25年には「団塊の世代」が全員75歳以上となり、今後一層高齢者への対応が求められる。こうした状況の中で口腔機能管理の点数が引き上げられ、歯科口腔リハビリテーション料の評価が見直された。高齢者は有病率が高まるため、医科との連携、特に糖尿病を中心とした連携が進むよう評価がされた。
歯科医療におけるDXも進んだ。期中収載された3次元プリント有床義歯の評価が明確化され、光学印象、非金属歯冠修復の評価が引き上げられ、CAD/CAM冠およびCAD/CAMインレーの適用拡大と評価が進んだ。
脱金銀パラジウム合金がさらに進んだことも特徴の一つである。チタンブリッジの導入、非金属の歯冠修復の適用が広がり、金パラによる治療がまた減ることになる。
歯科衛生士業務の評価の見直し、および歯科技工士との連携等も評価された。
◆問題点は依然解決せず
一方、歯科治療と直接関係のない項目が診療報酬体系の中に温存され、依然解決されていない。2024年度改定で導入されたベースアップ評価料は、東京の歯科医療機関の届出件数が28.18%(26年1月1日現在)と低いにもかかわらず、要件緩和および点数の引き上げが行われた。ベースアップ評価料は、行政が行う補助金の要件にも盛り込まれるなど問題点が多い。今次改定ではさらに物価高騰に対する項目が追加された。歯科治療と関係のないこれらの項目も、今後は個別指導のチェック項目にも入る可能性があるので注意が必要だ。
改定項目は多岐にわたるが、改定財源は限られている。協会では、この改定内容の詳細な解説を行う新点数説明会を予定している。ぜひ、ご参加いただきたい。

【IT相談室】再考 これからのSNSと歯科医院②~事例:院内指示メール装うフィッシングメール~

IT相談室】再考 これからのSNSと歯科医院②~事例:院内指示メール装うフィッシングメール~

【IT相談室】再考 これからのSNSと歯科医院②~事例:院内指示メール装うフィッシングメール~

◆手法としては古典的

事 例 :「社内管理および連絡体制の整備のため、『社員連絡先一覧』の整理・提出を必須対応事項といたします。必ず返信メールにて提出してください。

  代表取締役 XXX

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このようなメールが多数送られてきて困っている、とのご相談を数多く受けております。

類似の事例は、かなり前から確認されており、「フィッシング」という分類になります。相手にアクションを起こさせて、メールアドレスやIDとパスワードなどを入力させるという古典的なタイプの詐欺です。

宅配便の未着や料金の未払いを装って、メールに記載されたリンク先でIDとパスワードを入力させるのが、典型的な手口です。相手から必要な諸情報を巧みに「釣り上げる」ことから〝フィッシング〟と呼ばれます。

◆危険な新しい手口

今回、例示したメールで新たな手口といえるのは、メール内に実際に在籍している代表取締役の氏名が公開されており、送信先によって別の役員名や職員名に変更されていた点です。

医院のホームページには、院長やスタッフの名前が掲載されているケースが多く、スタッフの中にはSNSなどで勤務先などを公開している方もいると思われます。公開情報を悪用し、さらに不特定多数に同じ発信者名・内容を送るのではなく、送付先によりそれらを変えている点が特徴です。

◆届いたメールの真偽を判別する方法

事例のようなメールの真偽を判別するには、返信先メールアドレスが既知のメールアドレスかを確認します。メールの返信で情報をフィッシングする手法の弱点は、返信先(Reply-to)のメールアドレスを偽装できないことです。

なお、最も単純確実に真偽をチェックするには、メール内に記載されているスタッフ本人に直接確認するのが良いでしょう。

残念ながら、詐欺メールの受信自体を完全に防ぐのは困難です。確実な対策を行い、冷静に対処していただければと思います。

連載/協会探訪 その⑦ 「経営に関する各種相談にお答えするとともに、経営の向上をサポートする」<経営管理部>/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

連載/協会探訪 その⑦ 「経営に関する各種相談にお答えするとともに、経営の向上をサポートする」<経営管理部>/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都


開業医は、診療を業とする歯科医師であると同時に、経営者でもあります。「経営管理部」は、経営者としての先生方をサポートします。
経営形態は個人か法人か、診療所はテナントか所有物件か、診療体制も一人で診療か、勤務医やスタッフは雇用しているのか…。など多岐にわたります。
今回、ご紹介します経営管理部では、会員の先生方の経営環境から生じる多様な課題にお応えしています。その対応範囲は広く、経営に関するさまざまな相談だけでなく、労務、税務、法律、助成金、医療安全などにまで及びます。最近では承継や閉院に関するご相談も増加しており、日常的には担当の事務局員が適宜対応しています。
経営管理部の会員サポートの一つに、月に一度(第3木曜日)顧問弁護士・税理士による無料相談会があります。会員の先生であれば、相続、賃貸借契約、家庭問題など歯科に直接かかわらない内容でも相談することができます。完全予約制になりますので、事前に協会にご連絡ください。

◆ニーズに合わせた講習会・研究会の開催
そのほか、会員のニーズに合わせた医療安全講習会や経営管理研究会なども開催しています。今年度は「助成金の活用方法」や「サイバーセキュリティ対策に関する講習会」など、情勢に合わせたテーマで企画しました。デンタルブックにてアーカイブ配信も行っていますので興味がある方はぜひご覧ください。また、スタッフ向けの講習会も開催しています。
具体的には、「接遇」「TBI」や「未経験スタッフのための講習会」など、レベルアップに役立つ講習会を開催しております。個人の医院ではなかなか行うことができない講習会として、大変人気があります。
日常的に寄せられるさまざまな声を集め、自治体への改善要望や、経営支援を求める要請も行っています。インボイスや電子帳簿保存法など法改正の周知も大切な活動として位置付けています。

◆職場環境づくりの重要性
以前、私の医院でも、歯科衛生士になったばかりの新卒スタッフ、臨床経験20年以上のベテランスタッフと一緒に、毎年、接遇やTBIの講習会に参加しておりました。特に接遇の講習会では、患者さんの言葉に傾聴すること、診療室への誘導の仕方、電話対応の具体的な言葉遣い、また来たくなる医院作りなど、その道のプロによる貴重なお話を聞くことで、スタッフだけではなく、私自身も大変勉強になりました。そして、1回だけではなく、毎年必ず参加するようにしていました。人間、一度聞いただけではなかなか身に付かず、何度も繰り返し講習を聞き、実際に行動することで少しずつ進歩していくものだと実感しています。毎日の診療室では、どうしても「慣れ」が高じて「狎れ」となってしまうからです。
安心できる職場環境を整えることは、スタッフの定着、ひいては安定した医院経営にもつながります。そのような医院を作り上げるために先生方をサポートする専門部、それが経営管理部です。

理事会声明「診療報酬改定率3.09は見せかけの財源 歯科診療現場を改善するための改定には程遠い」

理事会声明「診療報酬改定率3.09は見せかけの財源 歯科診療現場を改善するための改定には程遠い」

理事会声明「診療報酬改定率3.09は見せかけの財源 歯科診療現場を改善するための改定には程遠い」

2月13日に中央社会保険医療協議会総会が開催され、2026年度診療報酬改定の答申が出された。

歯科診療報酬においては、医療機関の物件費負担の増加を踏まえた歯科初・再診料等の引き上げ、歯科外来物価対応料や歯科技工所ベースアップ評価料が新設された。また、CAD/CAM冠・インレーの大臼歯までの適用拡大と咬合支持の有無などの要件廃止、小児口腔機能管理料および口腔機能管理料の算定要件や対象患者の拡大、麻酔薬剤料の算定対象の拡大、歯科用合着・接着材料の区分変更などの改善がされた。その他、Ni-Tiロータリーファイルによる加算要件緩和、接着補強芯などが医療技術評価として保険導入されるなど、協会が改善を要望していた不合理な事項が是正されたことは、現場の実態を把握し、歯科診療報酬を改善しようとする意図が感じられる改定内容であったと評価できる。

しかし、20251224日に大臣折衝を経て決定された、2026年度診療報酬の本体の改定率は3.09%の引き上げとされたものの、改定率の半分以上の1.70%が賃上げ対応分を占め、さらに物価高騰分として1.29%が割り当てられており、歯科の診療報酬の引き上げはわずか0.31 %に過ぎない。しかも、歯科の物価対応分は0.03%のみである。これでは、歯科診療報酬本体の初・再診料や医学管理、処置、手術、歯冠修復・欠損補綴などの引き上げに十分な点数が配分されていないことは明らかである。

歯科診療報酬本体に点数が配分されなければ、歯科医院経営の改善にはつながらない。協会は引き続き、診療報酬改定による算定要件の緩和、不合理是正を求めていくとともに、医療界の一致した要求である歯科診療報酬10%以上の引き上げを求めていく。

2026220

東京歯科保険医協会理事会

2026年度診療報酬改定/ 主なポイント

2026年度診療報酬改定/主なポイント

2月13日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会の「答申」を踏まえて、2026年度診療報酬改定の主なポイントを解説する。
なお、3月5日に発出される告示や通知で、各項目の具体的な取り扱いが示されるほか、改定項目がさらに増えることが想定される。
▶「2026年度診療報酬改定/主なポイント」一覧PDFはここをクリック

なお、2026年度診療報酬改定に関しては、適時、本ホームページ、デンタルブックメールニュース、F-Nexで紹介します。

居宅への歯科訪問診療に関するアンケート報告書

居宅への歯科訪問診療の実施状況と課題を把握するため、202512月~20261月にかけて会員を対象にアンケート調査を実施した。回答は177件で、居宅・施設のいずれかで歯科訪問診療を実施している会員は全体の約45%だった。施設と居宅の割合では居宅のみに歯科訪問診療を実施している割合が約12%、施設のみは3.4%で多くの医療機関が施設と併せて居宅への訪問を行っていることがわかった。

「歯科訪問診療を行わない理由」としては、人手不足や外来診療との両立の難しさに加え、算定方法の煩雑さ、またポータブルユニット等の設備投資への負担が大きいことや「駐車が難しい」など訪問車両などに関する課題もあげられた。「現在、訪問診療で困っていること」においても、人手不足や、時間調整、低い診療報酬や算定の難しさなど共通する点が多く、歯科訪問診療が広がらない要因といえる。一方、すでに訪問診療を実施している回答者からは、「担当医として最期まで支えられる」といった声が多く寄せられており、歯科医師としてのやりがいにつながっていることが確認できた。

本アンケートの結果を踏まえ、歯科訪問診療に関する講習会の継続的な実施や設備投資への補助金の要請、駐車許可証の課題解決などに取り組んでいく。また現在、歯科訪問診療の算定の基礎が学べる講習会動画をデンタルブック内で公開中。是非ご視聴いただきたい。

 動画視聴はデンタルブックブックから

 

 

 

 

これからはじめる歯科訪問診療講習会―保険請求編―

アンケート結果の詳細はこちら
<地域医療部>居宅への歯科訪問診療に関するアンケート報告書

 

東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)2月1日号

東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)2月1日号

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2026年(令和8年)2月1日号No.671

【1面】

  1.中医協総会/2026年度診療報酬改定 歯科医療の個別改定項目を提示/人材確保 口腔機能管理 デジタル化 物価対応など配慮
  2.衆院選2月8日(日)/各会派の医療政策を注視しよう
  3.探針
  4.ニュースビュー

【2面】
  5.中医協総会/歯科技術で17項目を評価 協会の要請項目も対象
  6.物価高騰対策・算定要件の簡素化求める声/診療報酬改定に向けたパブコメ
  7.<1面からつづく>各会派の主な医療政策に関する公約や政策/2月8日(日)投開票 衆議院議員総選挙
 8.2026年度診療報酬改定新点数説明会ご案内

【3面】
  9.「資格確認書の一斉交付」/協会の陳情 杉並区議会が採択 マイナ保険証移行に伴う混乱解消へ新たな一歩
10.中医協 公聴会をオンライン開催/初・再診料による歯科感染対策の恒久評価を
11.新規開業医講習会に32名参加/保険ルールと新規個別指導への注意喚起 指導通知は特定郵便に変更、見逃しに要注意
12.2025年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について
13.26年度改定で適用拡大へ/口腔内スキャナー導入を 星憲幸氏が第2回学術研究会で例示
14.診療報酬改定巡り会員の窮状伝える/第5回メディア懇談会を開催 国が進める管理重視医療政策に懸念

【4面】
15.経営・税務相談Q&A No.437/確定申告の基本 ~措置法26条~
16.会員を対象にした法律・確定申告相談会のご案内
17.書籍/保険医の経営と税務 2026年版/会員は1冊無料!2026年最新の税務対応版を発行!
18.3年ぶりに改訂版完成「医院経営と雇用管理 2025年版」
19.3月実施/歯科用貴金属の随時改定情報

【5面】
20.研究会・行事ご案内
21.東京都生産性向上・職場環境等整備支援事業補助金/Jグランツ申請を行った全医療機関で実績報告が必要です!お忘れなく!
22.Pick up! 会員だけが購入できるオススメ書籍 新版「歯科 カルテ記載を中心とした指導対策テキスト」/「レセプトは、どう審査されるのか」を徹底解説
23.“会員限定”優待のご案内

【6面】
24.連載 協会探訪 その⑥/次々と浮上する地域の歯科医療問題を改善へ―地域医療部―
25.IT相談室/再考 これからのSNSと歯科医院①―SNSは何のためのツールか―
26.理事会だより/2025年度第12回
27.共済部だより
28.1月協会活動日誌

【7面】
29.2025年分確定申告のポイント(税理士法人税制経営研究所)
30.通信員便り №157
31.第35回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会/テーマ「有病者歯科と健康長寿」

【8面】
32.第52回保団連定期大会/協会から発言通告9本を提出
33.関ブロ・大会代表交流会/各協会が活動を報告
34.次世代型顔認証付きカードリーダー/スマホ保険証読み取り機能を標準搭載
35.神田川界隈「最近の歯科の取り巻きについて思うこと」(副会長・本橋昌宏/荒川区)

次世代型顔認証付きカードリーダー/スマホ保険証読み取り機能を標準搭載

次世代型顔認証付きカードリーダー/スマホ保険証読み取り機能を標準搭載

2025年1218日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、次世代の顔認証付きカードリーダー(以下、顔認証CR)の仕様が公表された。21年から販売されている現行の顔認証CRの保守期限(通常、販売から5年間)が263月末から順次到来することを受け、今年度中に販売が開始される見込み。販売予定のメーカーは、キヤノンマーケティングジャパン、パナソニックコネクト、リコージャパンの3社で、導入にあたっては費用の補助も予定されている。

資料によると、現行機種との最大の違いは、本体にスマートフォンに搭載されたマイナ保険証(以下、スマホ保険証)の読み取り機能が標準搭載される点といえる。また、各社独自の機能として①テンキーによる操作(本体付属またはオプション)、②音声案内機能などが盛り込まれている。

◆低調なスマホ保険証

キヤノンマーケティングジャパン製以外の現行機種では、スマホ保険証の読み取りに別途「汎用カードリーダー(汎用CR)」が必要だが、次世代機を導入すれば本体だけで対応可能になる。

ただし、スマホ保険証の読み取りに対応している都内の歯科医療機関は、本年119日時点で3,530件(約34.1%)と低調だ。利用者への普及も途上にある。松本尚デジタル大臣の記者会見(16日)によれば、2512月末時点のマイナ保険証登録数9,000万件に対し、スマホ保険証の登録は約500万件(約5.6%)に留まっている。

 

◆混乱のない丁寧な対応を

スマホ保険証の導入当初、顔認証CRの機種によって汎用CRの追加購入の要否が分かれ、現場には困惑と不公平感が広がった。次世代機への移行の際は、同様の混乱が生じないよう、丁寧な情報提供と支援が不可欠である。協会としては、今後の動向を注視しつつ、現場の実情に即した要望を国や行政に行っていく。

第52回保団連定期大会/協会から発言通告9本を提出

第52回保団連定期大会/協会から発言通告9本を提出

全国保険医団体連合会(保団連)は124日、25日の2日間にわたり第52回定期大会を開催し、202526年度活動方針や予算、次期保団連役員の選任が承認された。全国の協会・医会から大会代表、事務局ら総勢332人が参加した。

1日目は副会長を除く次期保団連役員が選任され、当協会からは保団連理事として呉橋美紀・矢野正明各理事が選任された。会長は信任投票で竹田智雄氏が信任された。

役員選任の際に、保団連副会長の定員を9名から10名に増員することを求める動議が出され、承認された。2日目に10名の保団連副会長が選任され、当協会理事からは森元主税氏(現職)が副会長に再任された。

森元主税理事        (保団連副会長に再任)

早坂美都会長

加藤開副会長

発言は事前発言通告が162件、フロア発言は62件の計224件が行われた。当協会からは早坂美都会長が共済制度の保険会社の幹事交代に関して「幹事交代は慎重に検討すべき」と題し、口頭発言を行い、幹事交代時の莫大なコストや募集体制の維持が困難な点などの多数の問題を指摘した。それに対し、執行部からは、今までの経緯が説明された。そのほか、「介護保険利用者の一部負担割合引き上げに全国で反対しよう」「保団連として歯科会員の実態調査を希望する」「トラブルが解決するまでは、健康保険証の復活を」「個別指導・新規個別指導における提出文書の事務負担軽減を求める」「中小・歯科医療機関向けサイバーセキュリティ研修動画の整備を要望する」「医療機関の経営を守るため、次期改定で診療報酬の抜本的引き上げを求め、共に頑張ろう!!」「医療DXにフォーカスをあてた『歯科医療改革提言』の作成を」「2026年度診療報酬改定における歯科診療報酬と構造的課題」と題した8本を文書発言した。鳥取県保険医協会からは「賃上げ・経営努力と矛盾する高点数理由の指導は中止を」といった行政の不合理是正を強く求める発言が多く上がった。

執行部からは当協会を含む各協会の発言通告を真摯に受け止め、活動・改善していくことが答弁で示された。

引き続き、当協会としても保団連および全国の各協会・医会と連携し、歯科医療および社会保障の改善を行うべく活動していきたい。

最後に「国民皆保険制度を維持し、いのちと暮らし、平和を守る政治の転換を求める」と題し、診療報酬の10%以上の引き上げを継続して求めるなどの主旨が盛り込まれた決議案が採択され、大会は終了した。