協会ニュース

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)10月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)10月1日号

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞」2025年(令和7年)10月1日号

【1面】
1.26年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換
2.署名とともに、「先生の声」をお寄せください/現場の声を国会議員に届けます
3.次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる
4.「地域から医療をなくすな!緊急決起集会」
5.探針
6.ニュースビュー

【2面】
7.2024年度 5年ぶり「高点数」個別指導を実施/萎縮診療せず カルテ記載や請求内容を確実に
8.「保険でよい歯を」東京連絡会/石川都技会長と懇談
9.中医協総会/歯科医療の課題を整理 障害者医療や口腔機能管理など柱

【3面】
10.2026年度東京都予算要望/子ども医療費 10月から所得制限撤廃
11.早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める 関東ブロック協議会・街頭宣伝
12.被爆の歴史を次の世代へ/若者達が被爆者と体験を共有し、学びあう
13.厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性

【4面】
14.経営・税務相談Q&A No.433“ 103万円の壁”撤廃で歯科医院への影響は?
15.通信員便りNo.154
16.10月会員無料相談のご案内

【5面】
17.研究会・行事ご案内

【6面】
18.退き際の思考 歯科医師をやめる(宮優子さん)/「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会
19.共済キャンペーン

【7面】

20.第1回スタッフ講習会/ガイドラインなどに基づく医院ごとの対策を
21.ここがポイント!! 「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ
22.連載/協会探訪その②「運動本部」とは/保険診療の充実に政治への関与は不可欠
23.理事会だより
24.協会活動日誌

【8面】
25.第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〞の高齢化問題も
26.「保険でよい歯を」東京連絡会/イイ歯デー&歯の供養祭開催 巣鴨のとげぬき地蔵尊「高岩寺」で
27.神田川界隈/有病者歯科治療~私たちのできる事、できない事~(理事・川本弘/足立区)
28.東京都支援金情報/医療機関等物価高騰緊急対策支援金、生産性向上・職場環境整備等支援事業

【9面】
29.共済部折込

次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる

次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる

9月25日に「いのちまもる9.25総行動」が開催され、医療従事者ら2,200名が日比谷野外音楽堂に集った。開会の挨拶に立った日本医療労働組合連合会の佐々木悦子委員長は、「物価高を背景に、医療機関の倒産が過去最高となっている。また、物価高に賃金が追いついておらず、医療機関などでの人員不足が慢性化している」と訴え、集会を契機に、診療報酬の大幅引き上げなど、各課題解決への取り組みの必要性を訴えた。

日本歯科医師会、日本医師会などからのメッセージが紹介されたほか、立憲民主党・日本共産党・れいわ新選組の国会議員も登壇。「物価が上がっても、診療報酬は2年間固定されて上がることはない。診療報酬の引き上げは必要だ」「多数の医療機関が赤字だと聞いている。この状態が続くことはあってはならない」など、要求に賛同する意見が多数寄せられた。

集会後にはパレードが行われた。参加者からは「診療報酬を大幅に増やせ」「社会保障費を増やせ」などの声が次々に発せられ、通行人に窮状を訴えた。

診療報酬の大幅引き上げを実現するには、秋の臨時国会に併せた諸活動が大きな鍵となる。協会は、医療機関の窮状を打開するため、行政や国会議員に要求を行っていく。引き続き、左上の署名とともに、協会の諸活動へのご理解とご協力をいただきたい。

早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める

早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める

 ◆関東ブロック協議会・街頭宣伝

保団連関東ブロック協議会(以下、関ブロ)は、会議に参加した各協会の会長・理事長が921日の夕刻、新宿駅南口前で白衣の街頭宣伝を行い、道行く人たちに「保険証を復活させよう!」「医療危機、地域医療を守ろう!」と訴えた。

街頭で署名協力を呼びかける早坂会長

当協会の早坂美都会長が「マイナンバーカードには電子証明書の有効期限があり、マイナ保険証を持って医療機関を受診しても使えない場合がある。そういうことが起きないように世田谷区と渋谷区では、資格確認書の一斉送付を決めた。この方法を広めるために東京都知事、東京都内区市町村の自治体宛に資格確認書の送付を求める陳情書・要望書を提出した。署名にも取り組んでいるので、足を止めて協力してほしい」と訴えた。

宣伝では「保険証を使い続けたい」請願署名を折り込んだポケットティッシュを配布、立ち止まって署名に応じる人たちが多数に及んだ。また、「地域住民の医療を受ける権利を保障するために医療機関の維持存続への支援を求める」請願署名への協力もあった。

 

10月12()には、関ブロ主催の「地域から医療をなくすな!緊急決起集会〝経営危機打開のため、次期診療報酬の大幅引き上げを勝ち取ろう〟」を都市センターホテルで開催するので、ぜひ、ご参加いただきたい。

第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〟の高齢化問題も

第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〟の高齢化問題も

協会は912日、第3回メディア懇談会を開催した。広報・ホームページ部の小林顕部長が進行を務め、馬場安彦副会長が議題の説明を担当し、メディア45名が参加した。議題は、東京都予算要請・都議会各派への要請、マイナ保険証・健康保険証関連、診療報酬関連、歯科技工問題など。

 

 

◆健康保険証廃止後の医療機関の混乱

このうち②に関して、健康保険証が廃止された場合に予想される医療機関での混乱について質問が上がった。馬場副会長は、現在でも身体的なハンディから顔認証ができない患者が存在することや、マイナ保険証での受付がスムーズにできない患者への対応でスタッフの業務量が増えていることなどを指摘。また、資格確認方法の混在により、スタッフが混乱しているとした。

◆歯科技工問題では発言多数

次に④では、歯科技工士や歯科技工士教育機関の減少問題などで懇談に入った。参加者からは、いわゆる〝一人技工所〟における歯科技工士の高齢化が進んでいるとの指摘があり、この点を「構造的な問題ではないか」とし、さらに「大きな枠組みの課題が放置されているように見える。世の中的にこの問題が認識されていかなければ解決できない」とした。別の参加者からは、「歯科技工問題の大きな要因は、保険点数よりも業界の産業構造が不採算であることに問題があるのではないか」とのコメントがあった。

ここがポイント!! /「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ

ここがポイント!! /「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ

国民健康保険(以下、国保)の健康保険証の有効期限が本年9月末で終了し、10月からはマイナ保険証がある患者はマイナ保険証で、マイナ保険証がない患者は資格確認書で資格確認する仕組みになった。

既に有効期限を迎えていた他県では、「資格情報のお知らせ」だけを持参するなどのトラブルが報告されている。

◆来年3月まではオン資で資格確認

「資格情報のお知らせ」は、オンライン資格確認システム(以下、オン資)未導入の医療機関を受診した場合などでも資格確認ができるよう、マイナ保険証と一緒に持参するものだ。ただ、暫定的な措置として、来年3月までは、「資格情報のお知らせ」のみでも国保の患者はオン資を用いて資格確認できる。

オン資による資格確認の流れは、①メニュー画面の「保険証/処方箋で確認」をクリック、②「資格情報のお知らせ」にある保険者番号等を入力、③検索一覧から該当者を選択、④資格情報を入手―となる。

また、有効期限切れの健康保険証を持参した国保の患者の場合も、来年3月末までは同じ扱いである。

なお、社保の患者の場合は、健康保険証が使用できるのは最大で今年121日までである。

◆マイナ保険証を使う意義はどこに?

「資格情報のお知らせ」や有効期限切れの保険証でも資格確認できるのであれば、顔認証付きカードリーダー(以下、CR)を導入してまでマイナ保険証を使う必要があるのだろうか。

なりすまし❞が懸念される場合、オン資に表示される住所などの情報を用いて本人確認する方法が有効だ。マイナ保険証は暗証番号が使い回しされれば、なりすましを防ぐことは困難。また、CRは定期的な買い替えが必要だが、それに対する補助金はない。それならば、全患者に資格確認書を送付し、それを用いてオン資で資格確認する仕組みの方が、なりすまし防止に繋がり、コストの点で医療機関に有利である。

◆全ての国保患者に 「資格確認書」の交付を

協会は、現場の混乱を解決すべく、東京都と全区市町村に対し、全ての国保患者に資格確認書の交付を求める陳情や要望を行っている。資格確認を巡るトラブルなどでお困りの際は、迷わず、協会までご相談いただきたい(☎ 03―3205―2999)。

中医協総会/歯科医療の課題を整理 障害者医療や口腔機能管理など柱

中医協総会/歯科医療の課題を整理 障害者医療や口腔機能管理など柱

中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が910日に開かれた。2026年度診療報酬改定に向け、「歯科医療について(その1)」が主な議題となり、障害者歯科医療、口腔機能管理、多職種連携、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保、デジタル化など、幅広い課題について意見を交わした。

その中で、厚生労働省保険局医療課歯科医療管理官の和田康志氏は、歯科医療の現状を報告し、特に障害者の口腔衛生管理の難しさや専門歯科医療機関の不足、QOLに配慮した口腔機能管理の必要性を強調。また、小児や高齢者で口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の診断基準に該当し、病名が診断されている患者のうち、管理料が算定されていない患者が一定数存在する点も指摘。さらに、歯科矯正相談、有床義歯の構造によって確認や指導事項が異なること、歯周病の安定期治療など、現行の評価や課題を提示した。

多職種連携では、周術期・回復期における口腔管理が評価され、医科や薬局との連携が診療報酬上でも位置付けられてきたことを説明した。人材確保の面では、歯科衛生士が不在の診療所が約4割を占める実態や、歯科技工士の多くが一人経営である現状を報告し、定着・確保の必要性を強調した。デジタル化については、CAD/CAM冠や光学印象による効率化が進む一方、CAD/CAM冠の耐久性の課題を示したが、金属の市場価格の高騰を受け、金属を使用しない治療の選択肢を増やすことの重要性を指摘した。

◆医療側と支払側の見解の相違が浮き彫りに

その後、医療側委員で日本歯科医師会常務理事の大杉和司氏からは、障害者医療やへき地医療、多職種連携、デジタル化の推進を重視する考えを明らかにした。次に、専門委員で神奈川歯科大学教授の小松知子氏は、障害者医療では患者の特性に応じたきめ細かな管理が重要だとした。日本医師会代表の江澤和彦氏は、かかりつけ歯科医の機能強化を提案、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、薬局での口腔チェックや歯科受診勧奨を含めた歯薬連携の重要性を訴えた。また、日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦氏は、回復期・慢性期入院患者での口腔ケアが栄養改善につながると強調した。

一方、支払側委員の健康保険組合連合会理事の松本真人氏は、効率的な歯科医療提供の必要性を強調。障害者歯科医療は専門施設での重点対応が効率的とし、生活の質に配慮した医療も「充実」だけでなく「適正化」を伴うべきと主張。また、歯周病治療の区分が患者に分かりにくい点や、矯正治療の増加に伴う適正運用の必要性も指摘した。

そのほか、歯周病などの管理や治療法が口腔の健康にどのように寄与しているかを継続的にデータ収集し評価することが重要だとし、個人レベルの継続的データ収集を求める意見や、地域での診療所の役割や人材配置、データ収集の必要性を指摘した。厚労省は今後も調査・検証を進め、中医協での議論を重ねる方針だ。

厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性

厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性

物価や人件費の高騰などの影響で多くの医療機関の経営は苦しい。次期診療報酬改定の大幅な引き上げが求められるが、患者の動向や疾病構造の変化に注目した要求も必要だろう。

ここでは、患者層や患者の視点から、次期改定の要求の方向性を考えてみる。

◆患者層からみるポイント

今年7月に厚生労働省が公表した「医療給付実態調査」(2023年度調査)から、全国のレセプト件数の年齢推移をみると、図1となる。レセプト件数のピークは、59歳、5054歳、7074歳であることが分かる。

また、男女の差にも特徴があり、10代までは男女差はほぼないが、20代以上になると女性患者が多い傾向がみえる。

 

 

 

 

 

◆患者は何で選ぶのか?

ところで、患者はどのような視点で歯科医院を選ぶのだろうか。厚労省の「2022年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」(以下、特別調査)の結果によると、受診した歯科診療所を選んだ理由として、「自宅から近い(47.9%)」よりも割合が高い項目に、「信頼している歯科医師がいる(67.9%)」「歯科医師や職員の感じが良い(63.2%)」「定期的な管理をしてくれる(54.6%)」などがある。

つまり、信頼や好印象を得られる患者対応や、分かりやすい説明、適切な定期的管理などを患者は重要視しており、それが実現できるような診療報酬の在り方を求めていかなければならない。

◆患者が求める医療 十分提供できる体制を

患者は、親切・丁寧な治療を求めていることが分かる。しかし、物価や人件費の高騰で一人でも多くの患者を診療しようとすれば、一人当たりの診療時間が減ってしまう。患者が求める丁寧な診療を行うためには、診療報酬の大幅な引き上げが必要である。

協会は、「地域の医療機関を守るため、緊急財政措置と診療報酬の大幅な引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」を集め、近く国会議員に要請を行う。ぜひ、署名にご協力をいただきたい。

連載 協会探訪 その①「東京歯科保険医協会が行っていること/大きな助けに」〝 頼れる〟協会の成り立ち/ 東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

協会探訪 その①「東京歯科保険医協会が行っていること/大きな助けに」〝 頼れる〟協会の成り立ち/ 東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

◆事の始めは「きっかけ」が大事

唐突ですが、先生方が東京歯科保険医協会に入会されたきっかけや動機は、どのようなものだったのでしょうか。

四半世紀前、勤務医だった私の職場では、開業する先輩たちが次々と退職していかれました。その後ろ姿を見つめつつ、「私もいつかは開業することになるのだろうか。でも、開業するにしてもどこから手を付けたらよいのかわからない…」。そんなことを思いつつ、現在のようにウェブで検索するにも、当時は情報量が少なすぎました。

一般会員時代の2013年5月11日に開催された協会「創立40周年特別企画」をスタッフさんと一緒に訪ねた時の1枚です(写真左が私)

そんな時、先に開業した先輩から「保険医協会というのがあるから、調べて電話してみたら良い。自分は神奈川だから神奈川協会に入会したけど、東京にもあるから」とアドバイスをいただきました。

このように、先輩のほか、ご両親の代から入会されている方、勤務先の院長が協会の会員だった方、お知り合いの先生からの薦めで入会された方など、紹介により入会されるケースが多いです。

 

  ◆協会キャッチフレーズと全国51協会・医会、そして保団連

  「保険で安心してきちんとした診療ができるようにしよう」。これは、当協会の長年のキャッチフレーズです (*1)。

当協会は19734月、「歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上をはかることを目的」に設立されました。歯科保険医(*2)の要求に基づく自主的な任意団体という性格を明確にし、今日までさまざまな活動を行ってきました。その結果、発足時の会員数は180名でしたが、25 年8月1日現在では6,032 名となっています。

全国の各都道府県には必ず保険医協会・医会があり、その総数は51。その連合体として全国保険医団体連合会(保団連)があります。保団連は69126日に「保険医の生活と権利を守り、保険医療の向上、医療保障の充実をはかる」ことを目的に結成され、2581日現在、全国では106,002(医科64,110名、歯科41,892名)の医師・歯科医師が入会しています。

開業前の私にとって、当協会は頼れるところだと感じたので、即入会し、新規開業時に指導相談を利用しました。その時の会長は、第2 代会長の大多和彦二先生、指導相談の担当は第3代会長の中川勝洋先生でした。

その後、会員無料相談デーを利用して、機器のリースについての不明点を協会顧問弁護士に相談するなど開業歯科医師人生の大きな助けとなってくれたのが、東京歯科保険医協会でした。

◆「保険医協会」と「歯科医師会」

では、改めて当協会と歯科医師会との違いは何でしょう。当協会には、歯科医師会と当協会の双方の会員である先生と、当協会のみの先生がいらっしゃいます。歯科医師会は公益社団法人であり、国民の歯と口の健康を守る活動をする総合団体です。当協会は、国民皆保険と保険医の生活を守る(*3)ことを目的に結成された任意団体です。公益社団法人と任意団体、大きくこの部分が違います。

現在会員の先生方は、どのような経緯で入会されたのでしょうか。

これから、連載企画として当協会と東京都で開業している先生方との関わり、国や自治体、メディアの方たちとの関わり、それに当たり協会執行部内でどのような活動を行っているかなど、お伝えしたいことを私が協会役員になる前の記憶をたどって書いてまいりたいと思います。

新入会の先生も、会員歴が長い先生も、少し立ち止まって、当協会の進む方向と先生方のポジション、そして、当協会は変貌する歯科医療環境を前に、どのような活動を進めようとしているのか、改めて振り返る機会としていただければ幸いです。

注・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*1 「保険で安心してきちんとした診療をできるようにしよう」は1992年の第20回定期総会議案書の表紙に印刷されたのが始まりだと思います。この文言が掲載された経緯は不明です。

*2   以前勤務医の先生から「自分たちも保険医協会の構成員」である趣旨の発言がありました。それ以来、開業医・勤務医を含めて「歯科保険医」と表現するようにしています。

*3   設立当初の規約の第2条「目的と事業」では「本会は歯科保険医の生活と権利を守り、都民の歯科医療を守る立場を堅持し、医業経営の研究等活動を行う」としていました。1983(昭和58)年の第11回定期総会で「本会は歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上を図ることを目的とする」(現在も同じ)と変更されました。第11回定期総会では同時に、「低下はご免・運動」「130分・運動」「児・産・歯・運動」の三つの運動が提起されました。規約改正はこういった運動の中で行われたものです。

 

 

【プロフィール】早坂 美都(はやさか みと)/ 1965年12月生まれ。19913月 東北大学歯学部卒業、200110月美都デンタルクリニック(世田谷区)開設、同年東京歯科保険医協会に入会。2016年、理事に就任。2017年から広報・ホームページ部長就任し、2023年に副会長就任。2025年第53回定期総会を経て、理事会で第6代会長に選出された。協会設立52年目にして初の女性会長就任。唎酒師(ききさけし)の資格を持つ。

2026年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換

2026年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換

協会は93日、東京都庁第一本庁舎で、東京都保健医療局および福祉局に対し、2026年度東京都予算などに関する要請を行い、意見交換を行った。協会からは、早坂美都会長、高山史年理事、矢野正明理事が出席した。

要請内容は、歯科医療機関のDX化に対しての支援、物価・人件費高騰に対する財政支援措置、歯科衛生士の復職支援、医院承継への支援、妊婦や子どもへの医療費助成制度の拡充、「いい歯東京」の委託先を全ての歯科医療機関に拡充すること、ハラスメント対策、個別指導対策など16項目。

また、生活保護法における個別指導について、保存義務がない医療要否意見書などの持参は、あくまでも「お願い」であって、罰則を伴うような義務ではないことが東京都から示された。

都要請に臨んだ(左から)高山史年理事、早坂美都会長、矢野正明理事

【子ども医療費10月から所得制限撤廃/東京都の主な回答】

◆子ども医療費完全無償化を要望

子ども医療費の通院1200円の窓口負担の助成について、窓口負担の有無によって、子どもの口腔状況に差があることや、実際に、窓口負担が足かせになり受診できない子どもがいること、東京都で窓口負担が残る自治体はわずかであることなどから、都に対し完全無償化を実施し、全国に広げてほしいと要望した。これに対し、都側は10月から所得制限を撤廃する。自己負担は、本当に医療が必要な方が受診を躊躇しないよう配慮した金額で設定しており、コンビニ受診を防ぐために窓口負担は残す必要があるとの姿勢は崩さなかった。一方、都では国に対し、子どもの医療費について、負担軽減措置の拡充や、医療費助成制度の創設を求めているとの説明があった。

◆デジタル化のセミナー「講習会の活用を」

デジタル化に対し、小規模な歯科医院での利用に特化したセミナーの開催や支援を求めたところ、小規模な医院では人材不足やセキュリティーが課題となっていることに理解を示し、医療DXのセミナーや出張講習会も予定しているため、活用してほしいとの案内があった。

◆歯科衛生士の復職支援研修センター設置を要望

歯科衛生士の復職支援については、歯科衛生士の人材不足が続いており、復職支援が急務であること、復職にはユニットを活用した実習による技術の再習得が不可欠であるため、研修センターの設置を要望。これに対し、現在は歯科衛生士会に委託して研修を実施していること、会場確保は歯科衛生士会と相談しながら調整していることなど回答があった。研修会などの周知は協会でも協力できることを伝えた。

◆「いい歯東京」の推進「パブコメで意見を」

「いい歯東京」の推進について、全ての歯科医師が積極的に関われるような施策を要望したところ、計画時にパブリックコメントを実施しているため、次回の計画時のパブリックコメントで意見を寄せてほしいと返答があった。

◆生活保護の個別指導医療要否意見書の持参は「お願い」扱い

生活保護法の個別指導について、保存義務がない医療要否意見書などは「保存されていない場合は持参不要である」旨を指導通知に記載するよう要望した。都側は、「医療要否意見書により、医療扶助に関する事務取扱や患者の処遇について確認しているため、持参してほしい。医療機関で発行した文書類は控えを取ってあるのが普通であるが、持参をしないことで不当や処分ということにはならない」とし、保存義務がない文書の持参は、あくまでも「お願い」であることを確認した。

【都議会会派への要望も】

協会は東京都要請とともに、都議会各派からの2026年度東京都予算ヒアリング等にも参加している。以下に、既に実施した都民ファーストの会、共産党都議団とのやり取りを紹介する。

《都民ファーストの会》

◆国保加入者全員へ資格確認書の送付を要望

9月8日、2026年度東京都予算要望について、都民ファーストの会東京都議団と懇談を行った。都民ファーストの会からは、議員15名が出席し、協会からは早坂美都会長、高山史年理事が出席した。

懇談に先立ち、協会から26年度東京都予算に関する要望16項目について説明した。

歯科衛生士の研修センターについて「ニーズがどれだけあるのか」「会議室のような場所にユニットを設置し、実習を行った後、撤収するなどの使い方は可能か」など関心を示した。

また、6月に実施された東京都議会議員選挙に向けて、協会が実施した各政党への政策アンケートで、「資格確認書について、渋谷区と世田谷区では、資格確認書を国保加入者全員に発送するが、どのような施策を考えているか」という質問に、都民ファーストの会からは、「一部自治体の先進的な取り組みを横展開できるような事例の周知や技術的支援を行い、都内全域で必要な対応が可能となるよう調整する」と回答を得たことに対し、進捗を質問したところ「プロジェクトチームを作るなど組織づくりを進めている」と現状の説明があった。

《共産党都議団》

◆歯科衛生士・歯科技工士に関する課題など懇談

9月3日、26年度東京都予算要望について、日本共産党東京都議会議員団と懇談を行った。共産党からは3名の議員が、協会からは早坂会長、高山理事、矢野理事が出席し、要請した16項目について説明した。

子ども医療費助成制度の拡充については、「貴会の調査を活用して、都議会で質問を行った。拡充に向けて引き続き頑張りたい」との決意を示した。

また、歯科衛生士の復職支援について「研修は必須なのか」と質問があり、「ブランクがあると技術に不安があり、復帰に踏み切れないことが多い。実技研修があれば自信をもって復職できるし、歯科医師側からも復職についての声をかけやすい」と回答した。その他、歯科技工士が減少している問題、物価高騰対策支援金などの支援金事業、障害者歯科医療についても意見交換をした。

ハラスメント対策について、業界ごとのハラスメント対策の手順書を産業労働局が通知する予定になっているとの情報提供があり、実際に通知された際には、効果が見込めるか、実行性があるかなど意見を寄せてほしいと要望が出された。

2024年度5年ぶり「高点数」個別指導を実施/萎縮診療せずカルテ記載や請求内容を確実に

2024年度5年ぶり「高点数」個別指導を実施/萎縮診療せずカルテ記載や請求内容を確実に

協会が関東信越厚生局東京事務所(以下、厚生局)に対して行った行政文書の開示請求により、2024年度の個別指導は100件(23年度96件)実施されたことが明らかになった。選定理由の内訳は、情報提供44件、再指導51件、高点数2件、その他3件となっている(表1)。

 

 

 

◆「高点数」個別指導を実施

24年度の個別指導は、情報提供15件の計画に対して、約3倍の44件が実施された。指導の実施要領では、「年度途中の情報などにより、早急に指導が必要と認める保険医療機関について、適宜選定委員会において選定の上、実施する」としており、情報提供による指導が優先され、計画より件数が増加した。

また、高点数による指導は8件の計画に対し2件が実施され、19年度の実施以来5年ぶりの実施となり、25年度以降も行われることが予想される。

なお、個別指導の指導結果では「再指導」が23年度の39.5%に対し、24年度は54.2%と14.7ポイント上昇した。これは、新規個別指導の指導結果でも同様で、「再指導」率が増加した(表2(1))。 

◆新規個別指導での再指導は25件

新規個別指導は213件行われた。指導結果の内訳は「概ね妥当」が49件、「経過観察」が137件、「再指導」が25件となった(表2(2))。

新規個別指導の中で指導の「中断」が2件確認された。指導の「中断」は、指定された資料を持参しなかった場合や、指導対象者が保険診療などについて十分な回答がされず、予定時間内に完了できない場合などに行われる。新規個別指導では、指導日の1カ月前に指定される持参物のほか、指導日の1週間前に通知される患者10名分のカルテやX線写真、歯科技工指示書などを持参することになる。指導当日は必ず持参物を確認し、指導に臨むことが重要となる。

◆新規個別指導の提出方法が変更に

今年9月の新規個別指導から、厚生局に提出する資料、その提出方法が変更された。

これまでは指導通知に同封された「保険医療機関の概要」を指導当日に提出していたが、9月以降は同封される「保険医療機関の現況」を指導日の約1週間前までに郵送またはメールで提出することになった。

◆保険請求の正しい知識とカルテ記載こそ重要

指導では、正しい保険請求の知識とその根拠となる適切なカルテ記載こそが、最も重要な盾になる。

協会では、カルテ記載や保険点数の算定要件などを分かりやすく解説する新規開業医講習会を来年1月に開催する。今回変更された提出物の解説も行うので、これから新規個別指導が予定されている方、個別指導などに不安を感じている方は、ぜひ参加いただきたい。

第1回スタッフ講習会/感染予防対策をアップデート  ガイドラインなどに基づく医院ごとの対策を

第1回スタッフ講習会/感染予防対策をアップデート ガイドラインなどに基づく医院ごとの対策を

協会は827日、歯科診療所勤務の歯科衛生士で一般社団法人日本医療機器学会認定第2種滅菌技士®の資格も持つ片山章子氏を講師に招き、第1回スタッフ講習会(歯科衛生士・助手向け感染予防セミナー)「洗浄から滅菌まで感染予防対策をアップデート!自院の環境に最適な感染予防対策を考える講習会」を開催した。会場の協会会議室には、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフ計27名が参加した。そのうち9名は臨床経験が1年未満であったが、10年目以上の参加者も10名が足を運んだ。また、参加理由では「先生から勧められたから」が最も多かったが、「テーマが面白そう」「感染対策の勉強のため」という理由も多くあり、感染予防対策が関心の高い分野であることが示唆された。

片山章子氏

会場の模様と講演中の片山章子氏

片山氏は、勤務先医院における実例や工夫を交えながらガイドラインやエビデンスに基づいた対策方法について詳細に説明し、特に①感染成立の3つの要素(感染源、宿主、感染経路)の連鎖を断ち切ること、②清潔・乾燥、関わる人の意識、③装備(マスク、ゴーグル、フェイスシールド、グローブ)の取り扱いの注意事項、④手洗いの基本事項、⑤診療中の清潔・不潔の区別、⑥診療後の洗浄、消毒、滅菌―などに注意を促した。特に、作動中のオートクレーブ内部の動画は興味深いものだった。

最後に片山氏は、「医院によって事情が異なると思うが、各々の立場で課題を抽出し、根拠を持って改善策を考え実行してほしい」と要望し締めくくり、有意義な講習会となった。

(経営管理部 担当理事/小林 顕)

「現場の声」をお寄せください-緊急要請署名のご案内-

物価や人件費の高騰で医療機関の経営は厳しくなっており、次期診療報酬改定で大幅な診療報酬の引き上げを実現しなければ医療現場は更に困窮します。
そこで、診療報酬の大幅引き上げを求める要請署名に取り組んでいます。先生方から多くの現場の声をいただき、直接、行政や国会に届けます。
つきましては、以下のGoogleフォームから詳細をご確認いただき、必要事項をご入力のうえ、「送信」をクリックしてください。

▼現場の声を届ける要請署名はこちらをクリック▼

【連載】退き際の思考/傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる(宮 優子さん【前編】)

退き際の思考/傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる(宮 優子さん【前編】)

 傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる

宮 優子さん―前編

 歯科医師としての“引退”に着目した本企画。歯科医療の第一線を退いた先生や、閉院を検討する先生にお話を伺い、引退を決意した理由や、 医院承継、閉院の苦労などを深堀りする

 歯科医師としての“引退”に着目した本企画。すでに歯科医療の第一線を退いた先生らにお話を伺い、引退を決意した理由や医院承継、閉院の苦労などを深堀りする。今回は、今年4月をもって歯科医師を引退した宮優子先生(68歳)の前編。歯科医師としての晩年、「自信がなくなっていった」という出来事や、引退後の生活について伺った。

 

 

 

 

 

―歯科医師を目指したきっかけは。

 中学のブラスバンド部で毎日約5時間クラリネットを練習していたら、マウスピースがすっぽりと入るように上顎前歯が出てしまったのです。高校生になり前歯の前突がコンプレックスでしたが、アメリカに留学し、大人でも矯正している人がいて驚きました。そこで歯科に興味を持ち、医療には無縁の家系でしたが、帰国後に歯学部受験を決めました。

「自信なくなった」歯科医療の変化

―歯科医師の引退を決めるまでについて教えてください。

 コロナ禍が訪れた時に、新しい事業を取り入れようとしてスタッフに協力をお願いすると、従業員全員が退職してしまうことがありました。長女が心配して会社を退職し、医院の正職員となって一緒に再建を目指してくれました。娘は企業の営業職だったので、売上の管理から新人教育まで引き受けてくれ、1年半ほどで軌道に乗せることができました。ただ、65歳を過ぎた頃から企業に勤める知人も定年退職をし始め、子育てが終わった私も「そろそろ引退かな」と思うようになりました。また、スタッフを正社員として雇用したことで、経営を考えると今までのように趣味のトライアスロンで海外のレースに出るために長期に休診することもできなくなってしまいました。歯科医療のDX化も影響が大きく、マイナ保険証の導入など、複雑な手続きに煩わしさを感じました。それまでは1人で医院を運営する自信がありましたが、私の不得意な仕事をスタッフにお願いしたり、私が主導して医院経営をすることは難しいと実感するようになりました。それに追い打ちをかけるように、視力は低下し、昨年3月にはひどいぎっくり腰になり、これが決定打になりました。

―そこから引退に向けてどのような動きを?

 すでに202310月には知り合いに紹介されたMA業者に登録していました。当時は23年かけて決めるものだと思っていましたが、ぎっくり腰になった時にレントゲンを撮ると、長年の診療中の姿勢が影響したようで、腰椎が曲がっていて「早くやめないとまずい」と思い、急いで動きました。最終的に昨年7月に譲渡先との契約を結ぶことができました。

―患者さんの反応はいかがでしたか?

 30年以上診てきた患者さんの中には、驚かれていた方もいましたが、過去5年間に来院した方にははがきでお知らせしたのと、次の先生を丁寧に紹介したこともあり、大きな混乱はありませんでした。

自慢の“愛車”と―取材翌週も北海道でレース出場と、セカンドライフを謳歌する

「患者さんに育てられた」

―歯科医師人生を振り返っていかがですか。

 一番は「患者さんに育てられた」ということで、患者さんに感謝されることを喜びに続けることができました。例えば、主人と二人で診療していた土日には、平日に忙しくて受診できない患者さんが訪れます。若いのに「どうやって食べているんだろう?」と思うような口腔状態で、そんな方もある程度咀嚼できるようになると、すごく喜んでくれます。当時は休日診療をする医院も少なく、私が49歳の時に主人が急死した後も「日曜日の診療はやめちゃいけない」と思って続けました。また、4人の子育てをしながら、亡くなった主人が徳之島出身だったので徳之島大会に参加したくて、50歳になってからトライアスロンを始めました。土日も積極的に診療していましたが、海外のレースに出場する時には1週間の休診もありました。定休日がない代わりに、臨時休診日は結構ありました。そんなことを許してくださった患者さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

―診療現場から退いて、歯科への見方に変化はありましたか。

 私が歯科医師になりたての頃とは違い、情報が溢れていて、大変な面も多いと思いますが、そんな中で毎日一生懸命診療していらっしゃる先生方は、本当にすごいと思います。昔はなかったような患者さんとのコミュニケーションも求められる中で、対応していくのは大変だと感じています。

―セカンドキャリアや歯科医師を引退したあとの生活について教えてください。

 海外へ歯科のボランティア活動に行きたいと思っていますが、まだ引退したばかりで予定も多く実現していません。また、6月には自転車を持ってオランダへ、7月にはロシアのバイカル湖へ行きました。これまで忙し過ぎてできなかったので、ゆっくりトライアスロンのレースに参加したり、もっと孫と触れ合ったりする時間を増やしたいと思います。

―今後の目標を。

 趣味のトライアスロンで、昔はスイム3.8km、バイク180kmにフルマラソンという過酷なレースにも出場し、完走していましたが、身体の故障や老化もあって今はそうはいきません。でも診療をしていた頃から嫌なことがあっても、帰り道で走っていると「しょうがないか」と切り替えられるので身体を動かすことは特別なことです。生涯現役でいたいので、整骨院やピラティスに通いながらボディメンテナンスを続けています。今まで3回出場したアイアンマンレースの最高峰のハワイ・コナの大会にもう一度出場することが目標です。

―ありがとうございました。

※後編では医院の譲渡などについて聞く予定

過去の連載はこちら<退き際の思考 歯科医師をやめる>

#インタビュー #連載 #退き際の思考

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)9月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)9月1日号

こちらをクリック▶「東京歯科保険医新聞」2025年(令和7年)9月1日号

【1面】
  1.保険証問題、高額療養費制度、物価高騰…積もる課題の解決へ/社会保障充実に向け秋の運動へ
  2.会員拡大月間/診療に専念できる「安心」を届けます 未入会の先生をご入会 ・ ご紹介ください
  3.第40回医療研究フォーラム
  4.探針
  5.ニュースビュー

【2面】
  6.対象は 1,471 点以上/集団的個別指導 9月11・12 日実施
  7.後期高齢者2割負担配慮措置/9 月末で終了予定
  8.2025年9月/歯科用貴金属の随時改定情報
  9.ベースアップ評価料届け出機関数36.2%
10.院内感染防止対策講習会を開催/施設基準の新規届出と継続して届出するために

【3面】
11.保団連夏季セミナー 国民本位の医療アクセスとは何か
 ・歯科医療政策と医療の在り方を見直す契機/会長 早坂美都
 ・日本とCEDAWそしてジェンダーの変遷/理事 高山史年
12.歯科訪問診療講習会/講師持参の機材に興味津々
13.東京都支援金情報/医療機関等物価高騰緊急対策支援/生産性向上・職場環境整備等支援事業

【4面】
14.経営・税務相談Q&A No.432職員新規採用時の留意点
15.増えてます問い合わせ/ネットワークのセキュリティ強化「どこまで必要?」
16.9月会員無料相談のご案内

【5面】
17.研究会・行事ご案内

【6・7面】
18.特集/これからの資格確認

【8面】
19.連載/協会探訪その①「東京歯科保険医協会が行っていること」/「大きな助けに」〝頼れる〟協会の成り立ち
20.IT相談室/再考 歯科医院の情報発信①—概論編—
21.理事会だより
22.協会活動日誌

【9面】
23.症例研究「外来で通院していた患者が在宅に移行した場合の義歯修理の算定」

【10面】
24.退き際の思考 歯科医師をやめる(宮優子さん)/傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる

【11面】
25.あなたも、参加しませんか!!/もう限界 平和と社会保障を立て直せ! 9 ・ 25「いのちまもる総行動」
26.大幅な診療報酬引き上げ必須/実調から見る歯科の実状
27.神田川界隈(理事・小林顕/板橋区)
28.歯の供養祭/「保険でよい歯を」東京連絡会が初開催/11月9日 とげぬき地蔵尊髙岩寺にて
29.通信員便りNo.153
30.会員優待サービス

【12面】
31.「戦後80年 伝えたい記憶、戦時の記録―下―」
・満州から中央区へ 情熱と自信(藤本浩平先生)
・父のうた声(吉田真理先生)
32.原水爆禁止2025年世界大会in長崎/原爆投下80年のいま 核兵器のない世界への願い新たに
33.共済/秋の募集キャンペーン

【13・14面】
34.共済部折込

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信①/概論編

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信①/概論編

弊社はこれまで、多くの歯科医院のホームページを制作させていただき、定期的にさまざまな分析を行ってきました。その結果に考察を交えて、情報発信の視点からより効果的なホームページを作る方法についてご説明します。

外注し、多額の費用を投じて立ち上げたホームページなのに、ネットの口コミやアクセス数ばかりに気を取られ、一喜一憂してしまう…。これは、医療機関の情報発信のあり方、さらに医療の本質から見ると、良いこととは言えません。改めて自院が地域の口腔の健康をどのように担うかに応じて、ホームページでどのような情報を発信すべきか、その方法を検討してください。        

◆認知経路のトップはホームページではない

これから開業する歯科医院では、院長先生自身が情報発信の重要性を理解しているため、ホームページを作らないことは考えられません。しかし、開業後、年月を経過した医院を中心に、いまだにホームページがない医院もあります。

弊社では、歯科医院の認知経路と来院動機を調べていますが、ホームページは必ずしもトップではありません。来院動機は、昔も今も「前を通って」が多く、紹介や看板、チラシなどの複合的な要素もあります。 

◆重要度減るホームページ

現在のITの世界にはAIが大きな影響を及ぼしており、検索画面の一番上にAIによる要約が出ることが普通になりました。現在の各検索エンジンは、AIによる要約やマップでの一覧、業種別のリスト、プロフィールの表示などで、閲覧者が検索画面を見るだけで情報が得られます。つまり、個別のホームページのアクセスが減る方向に注力しています。

さらに、以前からあるSNSも含め、医院認知経路の多様化も進行しています。

このように、今後も情報発信や認知経路、それらへの対処方法は変わっていきます。         

◆これからの発信方法

次回以降は、効果的な情報発信方法について、4回シリーズでご説明します。

大幅な診療報酬引き上げ必須/実調から見る歯科の実状

大幅な診療報酬引き上げ必須/実調から見る歯科の実状

診療報酬改定の争点の1つは国家予算の医療費への配分であるが、その重要な指標が「医療経済実態調査」である。協会は秋の臨時国会にあたり、診療報酬の引き上げなど歯科に係る要求を行うが、直近の調査結果から歯科の窮状を考える。

◆保険も自費も減少損益差額は約1割減

直近2022年度の個人立の歯科診療所における結果(最頻値)は表のとおりだ。収入の柱である医業収益は保険・自費共に前年度比で減少し、それを補うべく経費節減に努める傾向がうかがえる。特徴的なのは給与費と損益差額で、昨今の賃上げの流れを受けて給与費は上がったが、開設者の報酬および内部資金に相当する損益差額は前年度比で9.2%も減少している。まさに身を切った賃上げが行われている。

 

◆大幅引き上げなくして手取りは増えない

24年度診療報酬改定の歯科の改定率は+0.57%だった。医業収益からみて見劣りする引き上げ幅である。改定後の調査結果は今冬に公表されるが、この間協会のアンケート調査や金パラの値上がりなどを考慮すると、歯科の窮状は依然として続いていると思慮される。医業収益のほとんどは保険診療で支えられており、歯科医師および従業員の手取りを増やすことを考えれば、診療報酬の大幅引き上げは必須である。

協会は、歯科の窮状の打開を目指すべく、臨時国会において診療報酬の引き上げを求めて行政へ要請を行っていく。引き続き、協会活動へのご理解、ご協力をいただきたい。

あなたも、参加しませんか!!/もう限界 平和と社会保障を立て直せ!/9.25「いのちまもる総行動」

あなたも、参加しませんか!!/もう限界 平和と社会保障を立て直せ!/9.25「いのちまもる総行動」

◆守ろう!医療の現在・未来 動くのは今

評価が低くて分かりづらい診療報酬、次々に変わるルール、物価高騰や難しいスタッフ確保などの経営環境の悪化…。「このままで、自院の将来はどうなるのか」と思うのは、先生だけではありません。

手をこまねいて待っているだけでは、何も変わりません。私たちが声を上げて行動しなければ、誰が歯科医療の「現場」、「明日」そして「未来」を守るのでしょうか。一人の声は小さくても、仲間が集まれば大きなうねりになります。

この集会は、その第一歩となるものです。歯科だけでなく、医療や介護などで働く仲間とともに、私たちの手で切り開きましょう!多くの方々のご参加をお待ちしております。

昨年の総行動会場の日比谷野外音楽堂内

パレードの模様

<集会の概要>
  • 日時: 925日(木)午後1時~230分 *集会後はパレードを予定!!
  • 内容: 国会議員挨拶、医療分野などの参加者からのリレートークほか
  • 会場: 日比谷野外音楽堂(東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」 徒歩4分)
  • 対象: 医師・歯科医師・看護師・保育士・医療スタッフ・その他関係者
  • 参加団体: 全国保険医団体連合会ほか9団体
  • お申込み・お問い合わせ: 協会運動本部(TEL:03-3205-2999)

歯科訪問診療講習会/講師持参の機材に興味津々

歯科訪問診療講習会/講師持参の機材に興味津々

実際の訪問診療の様子を撮影した映像を用いながら解説

協会は728日、協会会議室で「これから始める歯科訪問診療講習会―臨床編―」を開催した。講師は、630日に開催した保険請求編に続き、協会理事の池川裕子氏が務めた。

この講習会は歯科訪問診療を始める上での心配ごとなどをベテラン講師と近い距離でのやり取りで解決するため、少人数制で開催しており、会員のスタッフ1名を含む6名が参加した。

会場には講師が実際に使用している機材などが並べられ、参加者はそれらを手に取りながら、特別な機材を購入しなくても、簡易的な切削器具があれば歯科訪問診療が可能などの解説を受けた。

また、協会への「訪問診療の具体的な形がイメージできない」との問い合わせも多いことから、診療の流れや雰囲気が掴めるよう実際に訪問診療を行っている様子を撮影した映像を用いながらポイントをかいつまんで解説した。

開始前から講師が持参した機材に興味津々の参加者。懇談形式で会員の疑問にも答えた

その後、参加者の疑問点や不安について、講師らを交えて意見交換を行った。「全身疾患のある患者の情報共有はどのように行えばよいか」との質問には、「薬の重複投与を避けるためにも、薬剤師への確認や、必要に応じて医科へ照会状を出すことが望ましい」と回答したほか、義歯製作や観血処置を行う際の臨床上の留意点などについて、アドバイスした。

参加者からは、「来院が途絶えた高齢患者に一度電話をかけ、訪問に行ってみようと思う」との前向きな意見も出され、「訪問を始める一歩になりました」などの感想も寄せられ、盛況のうちに終了した。

▼保険請求編の動画公開中

なお、「これから始める歯科訪問診療講習会―保険請求編―」の動画はデンタルブック内で公開中。

保団連夏季セミナー/国民本位の医療アクセスとは何か

保団連夏季セミナー/国民本位の医療アクセスとは何か

会場の様子

8月2〜3日、全国保険医団体連合会は「第54回保団連夏季セミナー」を開催し、協会から役員、事務局が参加したほか、全国の保険医協会・医会から2日間で計345人が参加した。ここでは、当日参加した協会の早坂美都会長と高山史年理事のレポートを紹介する。

 

 

 

◆歯科医療政策と医療の在り方を見直す契機

会長/早坂美都

8月3日は、歯科医療の現状と医療アクセスをテーマに講座とシンポジウムが行われた。

午前の講座「追いつめられる歯科医師たちと歯科医療から遠ざけられる患者たち」では、保団連副会長の宇佐美宏氏が講演。戦後から現在に至る歯科医療政策の変遷を時系列で解説し、診療報酬制度の変化や歯科医療費の抑制政策により、医療現場が困難に直面している現状を説明した。「歯科医療費が軍事費と同程度に増えるのに29年もかかった」と指摘し、制度上の歪みや歯科技工士不足、大学定員割れなどの構造的問題も浮き彫りにした。歯科技工問題については、参加者から在宅医療で「義歯を作れる技工士が不足している」との声も上がり、深刻さが共有された。

シンポジウムの登壇者

午後は「患者の声から考える医療アクセスの課題と改善策」と題したシンポジウムが開催され、4人が登壇し、それぞれの視点から発言した。保団連副会長の橋本政宏氏は「命を守る医療機関が30分圏内に必要」と述べ、医療の地域格差と「受療権」の確保の重要性を強調。がん患者の水戸部ゆうこ氏は、自身の闘病体験をもとに、高額療養費の上限額が引き上げられると、負担が患者に重くのしかかると、強く訴えた。

社会医療法人社団健生会の蓮池安彦氏は、75歳以上の高齢者は「子や孫のために」と意識し、受診を控える傾向があり、これは「受療権の侵害」であると警鐘を鳴らした。京都大学大学院教授の諸富徹氏は、今後の財源確保として投資課税の必要性を提言し、欧米諸国では企業が精神疾患やがん治療に責任を持つ仕組みがあることを紹介した。

制度の限界と医療提供体制の持続可能性について、現場からの切実な声が多く示された本セミナーは、社会全体で医療の在り方を見直す契機となった。

◆日本とCEDAWそしてジェンダーの変遷

理事/高山史年

8月3日、早稲田大学名誉教授の浅倉むつ子氏を講師に迎えた講座「女性差別撤廃条約と日本のジェンダー平等」に参加し、講義と質疑を通じて日本社会が直面する課題と解決の方向性について深い学びを得た。日本が国連の女性差別撤廃条約(CEDAW)を批准してから約40年が経つが、ジェンダー平等の実現にはなお多くの壁が残されている。世界経済フォーラムによるジェンダー・ギャップ指数では、日本は先進国の中でも下位に位置し、男女の賃金格差、女性管理職の少なさ、政治分野での女性の不在が依然として課題となっている。

浅倉氏は、抜本的な改革の「王道」として憲法第24条の改正を挙げたが、これは憲法第9条など他条文改定への波及リスクもあり、現実には非常に高いハードルが存在すると指摘。そのため現時点では、現行法を最大限活用し、着実な法整備を積み重ねる現実的アプローチが求められているという。

具体的には、選択的夫婦別姓を導入する民法改正、賃金格差是正やハラスメント対策を強化する労働法・均等法の改定、「LGBTQ+差別禁止法の整備」や、政治分野におけるクオータ制の導入などを挙げた。さらに、皇位継承制度の見直しによる女系継承の議論も憲法改正を要しない改革として可能だという。

これらの制度改革を通じて、CEDAWからの勧告に応えるだけでなく、日本の国際的な信頼回復にもつながると強調した。

今後、協会としてもこの視点を踏まえ、医療の現場から社会的課題に向き合い、現実的かつ継続的な取り組みを進めていくことが重要だと感じた。

院内感染防止対策講習会を開催/施設基準の新規届出と継続して届出するために

院内感染防止対策講習会を開催/施設基準の新規届出と継続して届出するために

協会は8月20日にZoomウェビナーで「第2回院内感染防止対策講習会」を開催し、講師は協会理事の濱﨑啓吾氏が務めた。
本講習は歯科点数表の初診料の「注1」に規定する施設基準(歯初診)に対応している。定例報告をきっかけに前回7月開催の同講習会参加者46名より大幅に増えた91名が参加した。当該施設基準は4年に1回、この研修を受けることが義務づけられている。
前回受講から4年の期限を迎える方は、次回の10月15日(水)の講習会をぜひ受講していただきたい。

【連載】退き際の思考/“52年ぶり”涙の再会  同窓の奮闘に活力「パワーもらった」(伊藤 栄子さん × 吉田 真理さん)

”涙の再会 同窓の奮闘に活力「パワーもらった」(伊藤 栄子さん × 吉田 真理さん)

“52年ぶり”涙の再会  同窓の奮闘に活力「パワーもらった」

(伊藤 栄子さん × 吉田 真理さん)

歯科医師としての“引退”に着目した本企画。歯科医療の第一線を退いた先生や、閉院を検討する先生にお話を伺い、引退を決意した理由や、 医院承継、閉院の苦労などを深堀りする

 出席番号は、「13」と「38」。半世紀前、日本歯科大学のクラスメイトとして学生時代を過ごした伊藤栄子先生と吉田真理先生(ともに76歳)は、今回、本企画を通じた縁で実に52年ぶりの再会を果たした。自身のけがや加齢を機に、診療の縮小を考える伊藤先生と、現在も院長として医院経営をする吉田先生。分岐点に立つ伊藤先生は旧友との再会で何を感じたのか

再会の喜びに思わず涙する伊藤先生(左)と寄り添う吉田先生

―久しぶりの再会となりました。

伊藤先生(以下、伊藤):全然変わっていなくて、雰囲気は18歳の時と同じでしたね。亡き父は千葉県出身で、茂原市出身の真理ちゃんのことをモバラちゃんと呼んで可愛がっていました。亡くなる前まで「モバラちゃんはどうしてる?」と言っていたのが懐かしいです。

吉田先生(以下、吉田):昔、栄子さんの実家でステーキをご馳走になったんです。改めてその時のお礼を伝えたくて、今日再会できてとてもうれしいです。

―では、大学卒業後の歩みを教えてください。

伊藤:ビートルズが大好きで、それが興じてイギリスに留学するなど若い頃は自由に生きていましたね(笑)。でも父が亡くなって、30代前半で伊藤歯科医院を引き継ぎ、その後は同じく歯科医師だった母と医院経営をしました。

吉田:卒業後に結婚し、4年ほど勤務医として働き、その後に子どもが生まれ、10年ほど休業した後、同級生の医院で勤務医として復帰しました。以降は他院に勤務し、日本歯科大の非常勤講師として勤めました。2015年に吉田歯科医院を開業しました。

―伊藤先生は現在、診療の縮小を検討しているそうですね。

伊藤:年明け頃に患者さんの難抜歯をした際に、指を痛めてしまいました。そこから思うように診療ができず、今後の診療について考えるようになりました。長年診てきた患者さんが来られなくなったり、お亡くなりになったり、この年になるとそうした変化がありますが、代わりに若い患者さんの診療を始める、というのはなかなか難しいところです。いろいろな悩みの中で今後について迷っているところです。引退も頭によぎりましたが、今は診療所を移転して、訪問診療を中心とした医院にするなど診療の在り方を考えています。

―年齢を重ね、診療や医院経営を続ける難しさを感じているのですね。

伊藤:従業員を雇ったこともありましたが、人間関係に悩んだり、例えば従業員のためのベースアップ評価料のような複雑な仕組みを理解するより、一人で医院経営をした方が楽だと思うようになりました。自分にとってはそれがシンプルイズベストで、診療に集中できる形なんです。

吉田:私も今は健康に恵まれていますが、あとどのくらい続けられるかなと感じます。機器の買い替えなど考えることも多いのでさまざまな兼ね合いによって、退き際を考えるタイミングが訪れるかもしれません。

―歯科医療に関わるお互いの選択について、どのように感じますか。

伊藤:真理ちゃんは昔から勉強熱心だったので、そのまま院長として突っ走ってほしいと思います。お互いにこの年齢だから、何よりもずっと健康でいてほしいと思います。年明けのけがから気持ちが落ち込んでいましたが、今日、真理ちゃんを見たら学生の時と全く変わっておらず、とてもパワーをもらいました。この先どうするかは未定だけど、今日もらった活力で私も頑張りたいです。

吉田:栄子さんも健康に気を付け、やりたいことをやってほしいです。車の運転が大好きということなので、事故には気を付けてね。私も人との触れ合いを大切にして、進化しているデジタルや新技術に少しでも対応できるようになりたいと思っています。

≪患者との思い出「通じ合うものあった」≫

―長い歯科医師人生の中で、思い出深い患者さんもいたとか。

伊藤:ミュージシャンを目指していた患者さんを20年ほど診ていました。お金はないんだけど、必ず1年に何度か来院して、コーラが好きだから口腔内の状況が良くなかったんです。そんな彼が親の面倒を見るために帰郷することになり、「頑張れよ」と思いを込めて、最後にエアロスミスのコンサートに連れて行ったんです。それだけの話なんだけど、お互いロック魂みたいなもので通じ合うものがあって思い出に残っています。不思議なもので、長くお付き合いが続く患者さんは、一目見れば分かり、患者さんも「この先生なら大丈夫」と直感するのかな、と思います。

 ―最後に同世代の先生に向けて、メッセージをお願いします。

伊藤:ビートルズの名曲「Let It Be」の和訳ですが、「あるがままに」ということです。なるようにしかならないから、好きなことをしてほしい。せっかくこの世に生きてきているんだから大いに人生を楽しんでください。

吉田:引退は仕事を始めるよりも難しい決断だと思います。でも最後には「我が人生に悔いなし」と納得して終われるように健康で明るく生きてほしいと思います。

―ありがとうございました。

 

 

 

過去の連載はこちら<退き際の思考 歯科医師をやめる>

社会保障充実に向け秋の運動へ/保険証問題、高額療養費制度、物価高騰…積もる課題の解決へ

社会保障充実に向け秋の運動へ/保険証問題、高額療養費制度、物価高騰…積もる課題の解決へ

7月に行われた参議院選挙は、社会保障制度の在り方を問う契機となった。全国保険医団体連合会(保団連)は、事前に主要各政党へのアンケートを実施。医療・社会保障の充実、高額療養費制度改悪の撤回、健康保険証の新規発行復活、医薬品を保険給付から外さないことなど、医療分野に対する各党の考えを問い、積極的な情報発信のもと世論喚起に努めた。

選挙の結果、与党は6月の東京都議選に続き、参院選でも過半数を割る大幅な議席数減となった。これには国民の不安、不満が浮き彫りになったと見ることができよう。一方で、社会保障制度の縮小を掲げる政党もあり、少なからず今後の社会保障の在り方が問われる選挙となったのではないだろうか。保険医協会・医会としては、医師・歯科医師、医療現場の立場から今後も正しい情報提供を行い、分断や対立を煽るのではなく、社会保障の充実に向けた働きかけを行う必要があるだろう。

こうした情勢を踏まえ、協会でも秋から冬にかけての運動が本格化する。保団連を中心に、医療機関への財政措置や、2026年度診療報酬改定に向けた大幅な引き上げ要求を柱とした運動の議論が進む。資格確認や窓口負担増加など、じかに患者への影響が及ぶ課題については、患者に対する周知も重要な位置付けとなるだろう。

◆保険証復活・OTC・高額療養費…課題は山積

保団連、全国の保険医協会・医会は従来から健康保険証の存続や併用を求める署名に取り組んできた。保険証廃止による混乱や患者の不安を背景に、全国の医療現場からは健康保険証復活を前提に「資格確認書の全員交付」や「無保険者を生まない仕組み」の整備などを求める声があがっている。自治体や国への働きかけ、待合室での情報提供などを通じ、患者の受診を妨げることのない環境を作らなければならない。また、社会的にも注目されるOTCの保険外しや高額療養費制度について、物価高騰の中でさらなる自己負担の増加は患者にとって大きな痛手となる。

各地で患者団体との連携やオンライン署名が展開されており、医療現場からの声と国民の声を結びつける取り組みが進む。そして、来たる925日には「いのちまもる総行動」が予定されており、社会保障の立て直しを掲げた全国規模の集会が行われる。歯科医師の立場から地域医療を守る役割を再確認し、患者・国民と共に医療現場を守り、未来を築く決意を新たにする場として、会員の先生にもぜひ参加いただきたい。秋の運動は、国会と世論の双方に働きかけ、医療・社会保障の充実を求める重要な局面となるだろう。

会員拡大月間 診療に専念できる「安心」を届けます/未入会の先生をご入会 ・ ご紹介ください 東京歯科保険医協会組織部長 福島 崇

会員拡大月間

診療に専念できる「安心」を届けます/未入会の先生をご入会 ・ ご紹介ください

東京歯科保険医協会組織部長 福島 崇

日々、歯科医療に携わり、患者さんの口腔の健康を守っておられる先生方に、心より敬意を申し上げます。私は協会の組織部長として、各部と連携して会員の皆さまが安心して診療に専念できる環境づくりに取り組んでいます。

昨今、歯科医療の現場は大きく変化しています。医療DXの推進などで保険診療のルールは複雑になりました。スタッフの人材不足をはじめ、院長個人の力では解決が難しい課題が山積しているのではないでしょうか。協会はそれらの課題解決に寄与し、先生方が診療に専念できる環境を整えます。

協会は、保険診療に携わる多くの歯科医師が入会している団体です。次々と変わる保険診療のルールを的確に会員の皆さまにお伝えすることだけでなく、電話相談による保険診療・届出・労務管理に関するサポートの実施、施設基準やスタッフ教育、歯科訪問診療の導入に役立つ各種研究会を開催。保険診療や労務管理に役立つ書籍の提供、保険請求解説や症例解説が閲覧できる電子書籍「デンタルブック」の利用、機関紙やメールニュースなどさまざまな形で会員の皆さまの診療と経営を支える活動を行っています。

最近では、東京都の物価高騰緊急支援金など各種支援金・助成金に関する問い合わせも増えており、歯科で活用できる助成金の情報も提供しています。さらに、新規個別指導や集団的個別指導をはじめとする指導対策、患者さんとのトラブル対応の相談ができるのも協会の大きな強みです。

また、会員だけが加入できる3大共済制度として、お手頃な掛金で大きな保障が備えられる「グループ生命保険」、掛け捨てではなく再発時にも給付される「休業保障」、安定した資産形成ができる「保険医年金」で、会員の生活を支えています。これらにより、孤立しがちな歯科医院の経営に「安心」をお届けしています。

また、協会は6千名を超える会員の声を集め、行政や国会議員に診療報酬や各種制度の改善を要望するとともに、意見交換を積み重ねることで診療の現場を守り、患者さんへのより良い医療を届ける活動も行っています。

私を含め役員全員が一会員であり、かつ都内で診療している歯科保険医であることから、会員と同じ目線で診療と生活を守るために活動します。一人では難しくとも、現場の多くの声が集まれば、大きな影響力を持って明るい歯科医療の未来を形作ることができます。

もし今、「保険請求や施設基準などの情報不足で不安」「医療DXが複雑すぎてついていけない」「労務や患者トラブルの悩みを相談できる相手がいない」と感じている先生がいらっしゃいましたら、ぜひご入会診療に専念できる「安心」を届けます未入会の先生をご入会 ・ ご紹介ください。そして、身の回りにそうした先生がいらっしゃる場合はぜひご紹介ください。

戦後80年 伝えたい記憶、戦時の記録―下―

戦後80年 伝えたい記憶、戦時の記録―下―

1945年8月15日、先の大戦が終わり、今年80回目の夏を迎えた。戦前生まれの世代が高齢化していく中で、戦時経験が語り継がれる機会は少なくなっている。

残された時間でいかに後世に語り継いでいくか―。本企画では、会員から寄せられたご本人や家族の戦争体験を投稿いただいた。8月15日に続き、2氏の原稿を掲載する。

◆満州から中央区へ 情熱と自信/藤本 浩平(56歳)

私の家は代々歯科医の家系で、私は祖父の代から数えると3代目となります。祖父は歯科医師として九州歯科大学大学院を卒業後、昭和10年代に満州に渡り、奉天(現在の瀋陽)にて家庭を持ち、現地にて歯科医として終戦まで過ごしました。日本から満州に移民が行われた背景には、昭和7年(1932年)の満州国建国がありました。満州国での資源開発、都市建設は日本の国家的政策の一環として行われました。この為、都市や鉄道沿線のインフラ整備に伴う医療従事者の需要に応えるべく日本政府と南満州鉄道(満鉄)は高額な給与、住居の提供、家族帯同などの便宜を図り、医療従事者を優遇して満州に招致、祖父も歯科衛生の教育を受けた若き歯科医として、九州から大陸に渡りました。

家庭的にも祖父は地方出身の次男であり、地理的に比較的近い満州を新天地として希望を持って捉えていたのではないかと思います。祖父は歯科部門を持つ南満州鉄道奉天病院に勤務しておりました。奉天は拠点都市で、満鉄病院は日本の大学病院並みの設備を備える満鉄の主要病院でした。

祖父は日本人、中国人双方の歯科医療を担っておりました。このような環境の中で祖父は結婚し、昭和14年に父が生まれました。豊かな家庭生活を送っていたものの、4人兄弟の長男であった父親と姉以外の兄妹たちは、幼い時期に亡くなっています。昭和20年(1945年)の敗戦後、ソ連軍の侵攻による、中国東北部の混乱の中、家族4人で逃げるように引き揚げ船を目指し、やっとの思いで九州に戻ってきました。逃げる道のりで敵兵から金品を奪われた話を、祖父がしていたのを覚えております。

帰国後、祖父は小倉、戸畑にて歯科医院を開業し、日本での生活が始まりました。6歳で帰国した父も九州歯科大学を卒業し、大学院教育の後、親子二人で診療室を営んでいました。父は当時から海外志向が強く、1970年代にかけて、若い歯科医の一人としてアメリカで最新の歯科医療を学ぶために渡米。インディアナ大学補綴科大学院に入学しました。大学院卒業後、フロリダ大学補綴科で教鞭をとった後、日本に帰国。やがて、東京都中央区にて開業、藤本補綴臨床研修会を通して多くの日本の臨床家に対して咬合理論、補綴治療に関する教育を行ってきました。

当時6歳だった私も、父親のアメリカ時代に現地の教育を受け、東京歯科大学卒業後、ワシントン大学歯周病科大学院に進み、卒業後は臨床教授として3年勤務した後に帰国、父親の診療と研修会活動を支えました。現在24歳になる我が家の愚息も4代目の歯科医になる予定であります。

満州での戦中、日本での厳しい戦後、高度成長時代を歯科医として懸命に生きた祖父と父親、バブル経済の繁栄と衰退の1990年代、コロナ禍の混乱を経て今に至る私、大きな変革期を迎えている歯科医療の環境の中、生きて行く4代目に、社会からどのような歯科医療を求められるのか見守ってゆきたい。誇りを持って歯科医として活躍した祖父、父親と同様に4代目にも歯科医療を情熱と自信を持って取り組む歯科医として活躍することを願っております。

◆父のうた声/吉田 真理(76歳)

父は、戦争のことを話しませんでしたので私には分かりませんが、この写真を見ますと何も言葉が出ません。陸軍軍医(中尉)として戦地に赴いた父。当時の現地を調べてみますと、激戦地となっており、多くの人が命を失 ったようです。

戦地では、生きて帰国できるかわからない状況で、遥か離れた故郷や父母のことを偲んでいたのではないでしょうか。私の記憶にありますのは、父が「ブンガワンソロ 清き流れ」と口ずさんでいたことです。インドネシアにある大河を歌った曲で、ゆったりした美しいメロディーは人の心を癒してくれ、今も多くの人々に愛されているようです。

父のことを想いますと涙が出てきます。現在、戦争をしている国があり、そこでは多くの尊い命が失われます。ちょうど今年は戦後80年にあたります。恒久平和な世界であってほしいと思います。

後期高齢者2割負担配慮措置  9月末で終了予定

後期高齢者2割負担配慮措置 9月末で終了予定

2022年101日より、75歳以上で一定の所得がある患者は、医療費の窓口負担割合が割負担となった。厚生労働省は、制度変更による急激な負担額の増加を軽減するため、時限的に配慮措置を設けていたが、930日でこれが終了予定となっている。

2割負担の患者は窓口負担が引き上げられるため、10月1日以降に来院する75歳以上の患者については、注意が必要となる。

配慮措置とは、窓口負担割合の引き上げに伴う1カ月の外来医療における負担増加額を3,000円までに抑えるもの(入院医療費は対象外)。具体的には、1割負担の場合と比較した際の1カ月分の負担増が最大3,000円になるよう、窓口負担の上限額を「1割負担+3,000円」(※1)または「18,000円」(※2)のいずれか低い額とする。

10月以降は、高額療養費の上限額である18,000千円まで、2割負担になる。物価高で国民の生活が苦しい中での負担引き上げで、患者の受診抑制が懸念される。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1  6,000円+( 医療費-30,000円)×0.1

2  通常の高額療養費制度における 2割負担対象者の外来医療での自己負担上限額(通常の外来上限)

【特集】これからの資格確認/期限切れの保険証?受付対応はどうすれば?

【特集】これからの資格確認/期限切れの保険証?受付対応はどうすれば?

2025年7月末に後期高齢者などの健康保険証の有効期限が切れましたが、有効期限切れの健康保険証でも資格確認ができることなどを明記した通知が厚生労働省より出され、医療機関の窓口で資格確認の方法に苦慮しているのではないでしょうか。協会では多岐にわたる情報を整理するべく特集記事「これからの資格確認」を作成しました。

健康保険証の期限などだけでなく、マイナ保険証のスマホ搭載やPMH(Public Medical Hub)についても機能紹介や問題点を指摘していきます。今後の資格確認の参考にしていただければ幸いです。(「東京歯科保険医新聞」2025年9月1日号(第666号)6-7面より)

【特集】これからの資格確認…紙面をチェック

▼関連記事


保存版【これからの窓口対応きほんのマニュアル】 新人スタッフでも安心! 保険証発行終了。どう対応すればいい?

2024年12月2日、健康保険証の新規発行が終了しました。東京歯科保険医協会では、医療機関向けに「これからの窓口対応 きほんのマニュアル」を作成しました。協会に寄せられる質問や疑問についてイラストを用いてわかりやすく解説しています。資格確認の方法を簡易的に説明した「<ポケット版>これからの窓口対応 きほんのマニュアル」もあります。あわせてご覧ください。(※2024年12月1日時点の情報です

第1回 ドクター・スタッフ講習会/「また会いたい」接遇の“5要素”学ぶ

第1回 ドクター・スタッフ講習会/「また会いたい」接遇の“5要素”学ぶ

7月11日、歯科衛生士で歯科臨床コンサルタントの濱田智恵子氏を講師に招き、第1回ドクター・スタッフ講習会(接遇講習会)「『また会いたい』と言われるスタッフになる〜歯科医院の信頼を作る接遇力〜」を開催した。診療所の接遇力向上を目指す歯科医師、歯科衛生士、スタッフほか64名が参加し、歯科医療現場に必要な〝安心感〟や〝信頼〟を築くための対応や言葉遣いについて学んだ。

         濱田智恵子氏

           会場内の様子

講演では「笑顔を作るのではなく、自然に笑顔になれる心構えを持つ」「患者さんの表情や動作から気づく力」「言葉遣いや振る舞いは、センスではなく訓練で身につけられる技術である」など、自らの技術や主観だけではなく、相手から「何か感じが良い人」と思ってもらえる“心の通った接遇”の大切さを説明。そして、表情・挨拶・ふるまい・言葉遣い・態度の5要素を中心に、患者さんが最も不安を感じやすい初診時や治療前の場面では、どのような接し方が安心感や信頼につながるかを具体的な事例を取り上げながら紹介。さらに、ロールプレイにより自らの接遇を振り返る時間もあり、参加者の意識を高める講習となった。参加者からは、「言葉選び一つで印象が大きく変わる」「患者さんに“安心した”と思ってもらえる対応をしたい」「患者さんの立場を改めて考えるきっかけになった」など、前向きな感想が寄せられた。スタッフ一人ひとりが、「また会いたい」と思われる存在になることを目指し、行動目標が分かりやすく示された講習会となった。

歯科訪問診療講習会に79名参加/「具体例が分かりやすい」の声/ダイジェスト版動画配信中

歯科訪問診療講習会に79名参加/「具体例が分かりやすい」の声/ダイジェスト版動画配信中

     池川裕子理事

協会は6月30日、「これから始める歯科訪問診療講習会保険請求編」を開催した。講師は昨年度に引き続き、池川裕子理事が務めた。「長らく通院していた患者が高齢により通院困難になったため歯科訪問診療する必要があった」など、これから歯科訪問診療を始めようとする会員を中心にオンライン参加を含め79名が参加した。

への訪問を想定し、講師が実際に使用している切削器具の紹介や歯科訪問診療料の基礎的な内容を解説。協会が昨年実施した「会員の意識と実態調査」の結果をもとに、診療情報提供料の算定方法などにも触れた。

終了後のアンケートでは「具体例が分かりやすかった」「保険請求に関して詳しく説明を受けられて良かった」との声が寄せられ、これから歯科訪問診療を始めようとしている会員に役立つ内容になったことがうかがえた。

なお、本講習会のダイジェスト版動画をデンタルブック内で配信中。

 ◆動画視聴はこちら(デンタルブック ログイン)

➜https://dentalbook.tokyo-sk.com/member/private/Member_index

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)8月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)8月1日号

こちらをクリック▶「東京歯科保険医新聞」2025年(令和7年)8月1日号

【1面】

 1.厚生労働省要請を実施/現場の診療行為保険点数の乖離訴え CAD/CAMや口腔機能管理の要件緩和など要求

 2.中医協/10月から医DXのマイナ保険証利用率さらに引き上げ

 3.多くが9月末に有効期限/国保の健康保険証 全加入者に「資格確認書」を 都・区市町村へ緊急要請

 4.要注意/施設基準などの“8月定例報告”829日までに提出を

 5.探針

 6.ニュースビュー

 

【2面】

 7.指導計画と指導実施状況が明らかに/生活保護の個別指導予定は6件 協会の開示請求 により詳細判明

 8.光ディスク等でのレセプト請求/猶予届出は8月末まで!

 9.歯科訪問診療講習会に79名参加/「具体例が分かりやすい」の声 ダイジェスト版動画配信中

10.医療機関等物価高騰緊急支援金(20254月~9月分)/Jグランツ申請は101日開始 書面申請は818日から 歯科診療所の支援金は7.8万円

11.生産性向上・職場環境整備等支援事業/支援金18万円を歯科診療所に支給 申請開始は84()予定

 

【3面】

12.保団連第3回代議員会開催/協会 早坂会長が「資格確認書の一斉送付」要求 施設基準改善執行部は「厚労省要請で訴えたい」

13.後期高齢者の保険証 有効期限終了/8月は「資格確認書」の確認を忘れずに

14.第53回定期総会記念講演/「歯科はマイナ保険証の必要性低い」続く混乱、記者がひも解く 市の窓口整備に22億円計画も

15.厚労省が異例の通知/期限切れの保険証でも診療可能

 

【4面】

16.経営・税務相談Q&A No.431/ご存じですか?「育児・介護休業法」の改正

17.第1回 ドクター・スタッフ講習会/「また会いたい」接遇の“5要素学ぶ

188月会員無料相談のご案内

192025年度第1回東京都歯科医師認知症対応力向上研修

20.東京都歯科衛生士会主催<東京都委託事業>歯周治療の基本研修会「ベーシックSRPコース」

 

【5面】

21.研究会・行事ご案内

22.「夏季休診案内」のご紹介

 

【6面】

23IT相談室/AIとは何か活用上の注意-最後は自分の責任で-

24.「保険でよい歯を」東京連絡会/オーラルフレイルで市民講演会

25.暑中お見舞い名刺広告

 

【7面】

26.新体制後初のメディア懇談会開催/診療報酬への「根本的な政策提言」を

27.通信員便りNo.152

28.理事会だより

29.協会活動日誌

30.共済部だより

31.会員優待

 

【8面】

32.「戦後80年 伝えたい記憶、戦時の記録」 私の戦前と戦中、そして戦後80年(渡辺吉明)、ビルマからの手紙(下田祐里江)、『B』(西田紘一)

33.神田川界隈(理事・濱崎啓吾/練馬区)

新体制後初のメディア懇談会開催/診療報酬への「根本的な政策提言」を/インフレ時代の診療報酬のあり方問う声

新体制後初のメディア懇談会開催/診療報酬への「根本的な政策提言」を/インフレ時代の診療報酬のあり方問う声

協会は711日、第2回メディア懇談会を開催した。議題は、①協会が実施した国会行動、②子ども医療費助成制度の状況、③次期診療報酬改定―などとし、67名のメディア側参加者と懇談した。 

(左から)小林顕部長、早坂美都会長

冒頭、新会長の早坂美都氏、広報・ホームページ部新部長の小林顕氏がそれぞれ挨拶。早坂会長は今後の取り組みについて、歯科医療改善に向けた国会議員や行政への働きかけの強化のほか、保険医の生活を守っていくことなどに力を入れていくと説明した。会長就任前まで広報・ホームページ部長として本懇談会に参加してきたこともあり、参加者からは新体制への期待の声が上がった。

マイナ保険証問題については、「世の中の雰囲気が変わったと思った」と協会や全国保険医団体連合会の活動を評価する声が上がった。また、協会が都内の自治体に資格確認書の一律配布を要請することなどを踏まえ、区市町村への積極的なアプローチの必要性についての意見が目立った。

会場の様子。ほか2名がオンライン参加した

さらに、施行まで1年を切った2026年度診療報酬改定に関しては、インフレ時代の診療報酬の在り方を問う参加者からの提言も。具体的には、建設業界では契約時の金額、条件などに対し、物価変動に合わせて調整するインフレスライド条項が運用されていることを例に、「『毎回、診療報酬を上げてほしい』と要望するのではなく、根本的な政策提言をすべき時代になっているのではないか」と、診療報酬の在り方そのものに言及する発言もあった。早坂会長は材料費、人件費などの高騰を引き合いに、「漫然と訴えていくのではなく、統計学も用いながら『医療機関がこれだけ大変な状態にある』という数値を示していくのは重要だと考える」とした。