来年7月まで全ての後期高齢者に資格確認書/アナログ・デジタル併用が1年延長

来年7月まで全ての後期高齢者に資格確認書/アナログ・デジタル併用が1年延長

◆保険証存続を求める要求  一歩前進か

4月3日に行われた社会保障審議会医療保険部会では、20257月末に有効期限が切れる後期高齢者の健康保険証への対応が検討された。マイナ保険証の利用率は2月時点で26.62%と低調で、85歳以上の利用率は特に低い。医療保険部会では、資格確認書の発行申請が区市町村窓口に殺到する恐れがあるため、マイナ保険証の有無に関わらず全ての後期高齢者に資格確認書を交付する運用を、267月まで継続することが了承された(図1)。

これにより、マイナ保険証がある後期高齢者は、来年7月まで登録解除申請をしなくても資格確認書が発行され、それを使えるようになる。協会は、アンケート調査などから医療現場の混乱を明らかにし、アナログとデジタルの併用を念頭に健康保険証の存続を求めてきたが、一歩前進したといえる。今後、有効期限が切れる国保や社保の加入者に対しても、同様の対応を求める必要がある。

◆電子証明書の更新件数今年は2.57倍に

2025年度に懸念されているのが、マイナンバーカードの電子証明書の更新件数の増加である。5年ごとに電子証明書の更新手続きが必要であるが、24年度は1,076万人だったものが、今年度は2,769万人と対象者が1,693万人も増加する。

電子証明書の更新手続き自体は簡便で、①有効期限の23カ月前に通知書が送付され、②マイナンバーカードなどを持って区市町村窓口に行って手続きをする。更新を忘れると、マイナ保険証は使用できなくなるが、資格確認書が発行される。マイナ保険証の猶予措置も設けられており、有効期限終了後も薬剤などの情報取得はできないが、最大で4カ月間は資格確認ができる。

したがって、更新に関する問い合わせが医療機関の窓口で増える可能性があり、事務負担増加が懸念される。それなら、少なくとも当面は全員に対してマイナ保険証の有無に関わらず資格確認書を発行すべきだが、発行するコストを考えれば、健康保険証を残してアナログとデジタルの併用を続けた方が患者も安心であろう。

協会は引き続き、健康保険証の発行終了に伴う問題点を明らかにし、今後も行政に要求していく。