第53回定期総会で「決議」を承認

第53回定期総会で「決議」を承認

決 議

現在、医療機関は、物価高騰で未だかつてない危機に直面している。協会が実施した「物価高騰に関する医療機関の緊急調査」では、診療報酬改定後の収入が「下がった」との回答が52.6%も占め、「上がった」はわずか9.8%であった。その中で賃上げについては67.3%が「実施している」と回答し、まさに身を削った賃上げが行われている。

東京の歯科診療所の厳しさは、昨年10月に実施した「会員の意識と実態調査」でも浮き彫りになった。保険診療と自費診療の年間売り上げが、20235月に行われた「第24回医療経済実態調査」の最頻値をいずれも下回っている。また、2024年度診療報酬改定に対する「歯科会員アンケート」でも、プラスの影響項目の問に対する最も多い回答が「プラスの影響はほとんどない」50.2%となり、さらに改定の評価に対する問も「どちらかと言えば悪かった」「悪かった」との回答が70.3%も占めるなど、多くの不満が噴出した。この中で医療機関の廃業が後を絶たず、診療報酬の大幅な引き上げが喫緊の課題である。

物価高騰で国民の暮らしも厳しくなっており、患者団体などの切実な声が反映された結果、国は窓口負担の引き上げである高額療養費の上限額引き上げを凍結した。さらには、健康保険証においても、累計1万筆を超える署名が集まるなど医療機関と国民の力を結集した活動を展開したこともあり、後期高齢者に加えて渋谷区と世田谷区の国保においてもマイナ保険証の有無にかかわらず資格確認書を一斉発行するに至った。

協会は安心安全な歯科医療の提供を脅かす動きに強く反対し、特に原爆投下80年の節目を迎える現在でも、戦争が行われている事態に断固抗議する。

私たちは、国民の生活、歯科医療の充実、およびその前提である平和な社会を脅かす動きを断じて許さず、社会保障の充実を通じて誰もが安心して暮らせる社会を実現するため、以下の要求を表明する。

一.国は、現行の社会保障制度を後退させず、世界の国々が模範とする日本の社会保障制度をさらに充実させること。

一.国は、歯科医療の充実や医療従事者の処遇改善が進むよう、診療報酬を大幅に引き上げること。

一.国は、高額療養費の上限額引き上げなど、さらなる患者負担増を止めること。

一.国は、健康保険証の発行停止を撤回すること。また、少なくともマイナ保険証の有無にかかわらず資格確認書を一斉発行するよう、各自治体に要求すること。

一.私たち歯科医師は、平和を妨げるすべての動きに反対する。

2025615

東京歯科保険医協会 第53回定期総会