【結果公表】自治体にアンケート!:子ども等に対する医療費助成制度について

 東京都は2023年4月、所得制限付きで18歳までの子どもを対象とした「高校生等医療費助成制度」を開始した。さらに、本年10月に、子ども医療費助成制度の所得制限を撤廃する方針である。 しかし、一部の市町村では「1回の受診につき、上限200円の窓口負担」が残る。これは、東京都の助成が「1回の受診につき上限200円の窓口負担」を除く分となっており、完全無償化するためには、各区市町村の費用負担が必要なためだ。事実上完全無償化するかどうかは、各区市町村の裁量に任せられている。

 今回、窓口負担が残る16の自治体を対象に「子ども医療費助成制度実施に関するアンケート」を実施した。その結果、4自治体からは、独自の費用負担を「実施予定」や「検討中」との回答を得た。着実に子ども医療費の無償化が進んでいることがわかる。一方、12自治体が「実施予定がない・実施できない」と回答した。主な理由は「財源的に厳しい」で、全体の半数を占めている。その他、「東京都の制度に準じて対応するため」「一部負担金の有無による地域格差をなくすべきであると考える一方で、一部負担金を設けることで〝コンビニ受診〟を防ぎ、適正な医療費を維持しているとも考える」などの意見が寄せられた。
 このアンケート結果から、自治体独自で子ども医療費の助成に財源を捻出することに限界があることが明らかになった。一方で、居住地により窓口負担の有無が変わることで、健康格差が生じている。当会が23年度に実施した【学校歯科治療調査】では、学校の健診で「要受診」と診断された子どもの受診率が窓口負担のない23区と比べ、窓口負担の残る多摩地区で低く、「口腔内が崩壊状態と考えられる子どもがいた」と回答した学校の割合も多摩地区で高くなる傾向が見られた。また、現場の養護教諭からは「自己負担が残る自治体の子どもには受診勧告がしにくい」との意見も寄せられている。

>>>2025年子どもの医療費助成制度 自治体アンケートまとめ (2025年5月末時点)

東京都内区市町村における「子ども医療費助成制度」の窓口負担・所得制限等の2025年6月時点の状況

また「子ども医療費助成制度実施に関するアンケート」の結果を受けて地域医療部長談話を発出しました。
ぜひご一読ください。


>>>【地域医療部談話】 子ども医療費助成制度の拡充を全国へ