年別アーカイブ: 2025年

188万筆  超保険証の存続で署名が集まる/世田谷区・渋谷区は「資格確認書」の一斉送付を決断

188万筆 超保険証の存続で署名が集まる/世田谷区・渋谷区は「資格確認書」の一斉送付を決断

保険証の存続を求める集会が4月および5月に行われた。424日の「保険証を返せ!医療機関の危機を打開せよ!」国会内集会は160名が、515日の「保険証を使い続けたい!」署名提出集会には420名が参加した。

参加者からの報告や発言で浮き彫りになったのは、マイナ保険証のトラブルは終息していないこと、また、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」をマイナ保険証の有無に応じて区別して発行する保険者側にも、大きな負担がかかっていることである。

オンライン資格確認システムの導入義務化により、多くの医療機関に金銭的な負担が生じているが、保険者からも「数億単位のコストがかかっている」という報告が上がっている。マイナ保険証に関するセキュリティや紛失リスクへの不安を抱えている患者もおり、健康保険証の存続を求める声が累計1885,594筆という署名筆数に如実に現れた。

◆現場の声で「資格確認書」を一斉送付

こうした中、概ね9月末で健康保険証の有効期限が切れる国保に大きな動きがあった。

世田谷区と渋谷区が、マイナ保険証の有無にかかわらず、「資格確認書」を全員に一斉送付することを決定した(下記図参照)。その決断の背景には、何よりもまず、区民の不安への配慮、75歳以上の後期高齢患者に資格確認書を一斉に配布していることとの整合性、また、問い合わせに対応する職員の業務負担増の問題への対応などがあるようだ。

結局のところ、健康保険証とマイナ保険証を併用する現在の仕組みが最も合理的といえる。協会は引き続き、健康保険証の存続を強く求めていく。

 

【お知らせ】デンタルブックの復旧について

サーバーの不具合により、デンタルブックにログインできない状況が続いておりましたが7月4日(金)午後2時現在、復旧いたしました。

会員の皆さまにご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします。

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【お知らせ】デンタルブックの不具合について

【お知らせ】デンタルブックの不具合について

7月4日(金)午前10時現在、サーバーの一部に不具合が発生し、デンタルブックにログインできない状況となっております。
復旧に向けて作業をしており、復旧次第改めてお知らせいたします。

会員の皆さまにはご迷惑をおかけしており、誠に申し訳ございません。

※【7月4日14時 更新】デンタルブックは復旧いたしました。ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします。(【お知らせ】デンタルブックの復旧について

76%が保険証復活・ 併用望む/マイナ保険証トラブル調査

76%が保険証復活・ 併用望む/マイナ保険証トラブル調査

昨年122日に従来の健康保険証の新規発行が終了されたことに伴い、協会はマイナ保険証に関する実態調査を実施した。FAX登録会員(2,909名)を対象に3314日まで実施し、266件(9.1%)から回答が寄せられた。本調査は、全国33都府県36協会・医会で実施され、結果はテレビや一般紙など各メディアで取り上げられた。

12月2日以降の窓口業務については、「とても負担を感じる」「負担を感じる」を合わせると54.3%を占め、「負担が減った」はわずか7.4%で、政府が掲げるマイナ保険証利用による事務負担軽減にはほど遠い。トラブルは「(黒丸)がでる」「カードリーダーの接続不良・認証エラー」のほか、「有効期限切れ」が24.7%あった。今後、マイナンバーカードの有効期限(カード本体は発行時から10年、電子証明書は発行時から5年)切れを迎える人が増えるため、トラブルは大幅に増加することが危惧される(「教えて!会長!! No.95参照)。

また、トラブルの際の対応としては、「持ち合わせていた健康保険証で確認」が85.5%を占めている。そして、保険証の「復活法案」(併用法案)が国会に提出されているが、「保険証を復活し、併用できるようにすべき」が76%を占めた(下記図参照)。

 

 

◆目視確認モードが利用可能

なお、現在は「顔認証」や「暗証番号」での本人確認ができない場合、資格確認端末を操作することなく、顔認証付きカードリーダーの目視確認モードを利用した資格確認が可能となっている。目視確認モードの使用場面や、使用の際に必要なパスコードの発行方法などについては、協会ホームページをご参照いただきたい。

【参院選2025】政党アンケート「各党はどう答えたか」(保団連)

全国保険医団体連合会(保団連)は、参議院選挙(7月3日公示、7月20日投票)を前に、「診療報酬引き上げ」「患者負担増の中止」など13項目に関し、主要各党にアンケートを実施しました。政党アンケート回答は、保団連ホームページからご覧いただき、ぜひ参考にしてください。

▼政党アンケート「各党はどう答えたか」(保団連)
【7月参院選政党アンケート】保険医の要求に各党はどう答えたか? – 全国保険医団体連合会

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【参院選2025】政党アンケート/歯科医療関連政策
※「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は、歯科に特化した政党アンケートを実施しています。

2025年度指導  個別指導が10件増加/協会の開示請求で指導計画明らかに

2025年度指導 個別指導が10件増加/協会の開示請求で指導計画明らかに

協会が関東信越厚生局東京事務所に行った開示請求で、2025年度の集団的個別指導、新規個別指導、個別指導の指導計画が明らかになった(下記表参照)。

それによると、集団的個別指導は645件(対前年度比156件減)、新規個別指導は264件(前年同数)、個別指導は112件(同10件増)が計画されている。

◆集団的個別指導の特徴

集団的個別指導は、2024年度のレセプト1枚当たりの平均点数が、東京都の平均点数の1.2倍を超える上位8%の医療機関645件に対し、9月に2回に分けて実施される。東京都内の平均点数は1,225点で、選定された医療機関は平均点数が1,471点以上となっている。平均点数の算出に使用されるレセプトは、社会保険と国民健康保険の一般および後期高齢者分となる。

◆新規個別指導は7月から

そのうち、新規個別指導は7月から年6回、計264件を予定している。対象は20253月までに新たに指定を受けた医療機関で、1日最大で4クールに分け、44件の医療機関に対して指導を行う。

 

◆個別指導の特徴

個別指導が計画されている112件の選定理由の内訳は、①「再指導」71件、②「高点数」23件、③「情報提供」11件、④「その他」7件―となっている。高点数による個別指導の選定件数は、前年度の8件から15件増え、実施されれば2019年度以来となる。

また、個別指導は8月を除き毎月行われ、6月と12月はそれぞれ2回実施することが計画されている。

◆通知が届いたら必ず協会へご相談を

高点数を理由とする個別指導の実施に対しては、不安を感じる会員も多いだろう。しかし、委縮診療に陥らず、保険診療のルールに則り、算定要件を理解して適切なカルテ記載を行っていれば、問題なく指導は終了する。

改めて保険点数やカルテ記載について確認したいという会員は、928日㈰に開催する新規開業医講習会に参加いただきたい(近日中にご案内予定)。新規個別指導の対策だけでなく、保険医が知っておくべき基本的な保険診療のルールについて解説する。

なお、通知が届いた場合は一人で抱え込まずに協会までお問い合わせいただきたい(☎ 03-3205-2999)。

第53回定期総会開催/新会長に早坂美都氏 女性で初/会員のため歯科医療の課題に対処

第53回定期総会開催/新会長に早坂美都氏女性で初/会員のため歯科医療の課題に対処

協会は615日、新宿区内のTKP市ヶ谷カンファレンスセンターで第53回定期総会を開催し、会員ら47人が参加した。2017年から48年にわたり会長を務めた坪田有史氏が退任し、新たに会長として選出された早坂美都氏(左写真)が抱負を述べた。第6代会長となり、協会設立から約半世紀の中で初めての女性会長となった。

◆各議案が承認/会員からは要望も

役員改選では立候補した23名全員が信任選出。現職の役員に加え、小林顕氏が新理事に就任した。また、これまで副会長や広報・ホームページ部長などを歴任してきた藤野健正監事が退任し、新たに顧問となった。

その後に行われた臨時理事会で早坂新会長ほか、加藤開、坪田有史、馬場安彦、本橋昌宏、山本鐵雄の各氏が副会長に選出された。

当日は併せて、東京新聞編集局社会部編集委員の長久保宏美氏による記念講演が行われた。続く懇親会では、会員や関係者らが交流を深めた。

定期総会の冒頭、坪田氏は会員をはじめ、役員、部員らにこれまでの感謝の意を表し、会長職を退く意向を表明した。その後、池川裕子理事が関係団体などから寄せられたメッセージを読み上げた。また、議長には、島倉洋造氏、橋村威慶氏がそれぞれ選出され、議事を進行した。

1号議案「2024年度の活動報告の承認を求める件」、第2号議案「2024年度決算報告の承認を求める件」「会計監査・会務監査報告」を行い、いずれも賛成多数で承認された。

続いて、第3号議案「2025年度活動計画案の承認を求める件」、第4号議案「2025年度予算案の承認を求める件」が提案され、こちらも賛成多数で承認された。第3号議案には、26年度診療報酬改定に向けた厚生労働省への働きかけや、従業員の雇用確保など歯科医院経営を守る取り組みを盛り込んだ。また、マイナ保険証問題を念頭に、全国民へ「資格確認書」の発行を国などに求めていくことも明記した。

さらに、第5号議案「役員改選の件」では役員選挙で理事、監事が選出されたほか、顧問、事務局長がそれぞれ承認された。

最後に第6号議案として、「決議採択の件」も賛成多数で承認された。

各議案に対し、参加した会員からは、医療機関への支援金の給付を東京都へ要望してほしいという声や、事務局体制や会員サポート体制の維持を求める意見などが出され、それぞれ執行部が返答した。

「アットホームな雰囲気」初参加の会員らも懇親

◆記念講演はマイナ問題 東京新聞・長久保氏

定期総会終了後、長久保氏による記念講演が行われた。テーマは「マイナ保険証と保険証廃止―担当記者の2年間」で、55人が聴講した。

長久保氏はマイナ保険証問題が取り沙汰されて以来、最前線で取材を続けてきた。講演では、多くのマイナンバーカードの電子証明書が2025年に有効期限を迎える問題については、既に川崎市の窓口で対応できない状況が起きていることを説明。一方で全国的にマイナ保険証の利用率は低迷しており、「メリットが十分に活かしきれていない」と指摘した。本講演の模様は本紙8月号で詳報する予定。

◆新旧会長が抱負と謝辞

会員や関連団体、議員らが参加した懇親会には、63人が集った。新会長お披露目となった冒頭の挨拶で早坂氏は「国民の皆さまが、より一層安心して歯科医療を受けることができるよう、さらなる努力を続ける」と抱負を述べた。その後、全国保険医団体連合会の天谷静雄副会長、東京保険医協会の須田昭夫会長らも登壇し、祝辞を送った。

その後、早坂新会長から坪田有史前会長に退任の花束が贈られた。坪田氏は「患者、国民のために思考を巡らせてきた」と会長任期を振り返り、「これからの協会もよろしくお願いします。本当に8年間ありがとうございました」と謝辞を述べた。

◆初参加の会員「協会はアットホーム」

会場には、初めて定期総会に訪れた会員の姿もあった。佐藤洋一先生(豊島区)は、「若手や新規開業の先生によりプッシュ型のPRができれば、より協会が発展していくのではないか」と、さらなる協会活動に期待。定期総会については「アットホームな雰囲気で会員の先生方と気軽に意見交換ができる楽しい時間を過ごせました。また次回も参加したい」と笑みを浮かべた。また、扇山隆先生(江戸川区)は、数年来続く健康保険証廃止問題をきっかけに、協会活動への関心が高まったと明かし、協会活動の報告や今後の見通しがまとめられた議案書を手にし、「活動の様子が詳しく載っているので、これを読むことが大切だと思った。参加してみなければわからないこともたくさんあった」と初めて足を運んだ定期総会を振り返った。

【地域医療部談話】 子ども医療費助成制度の拡充を全国へ

 これまで協会では20年以上前から18歳までの子ども医療費無償化を訴えてきた。東京都において子ども医療費を完全無償化している自治体が年々増加しており、ついにおよそ8割の自治体が完全無償化となった。将来の危機的な少子化に対し、子育て支援や子どもの健康を守る機運が高まる中、協会の運動の成果が実りつつある。

 しかし、12自治体では未だ自己負担が残る。財源や方針など、自治体任せでは解決できないのではないだろうか。2024年9月の第3回定例会では、小池百合子都知事が、自治体間の格差を是正したいとして、子ども医療費助成制度の所得制限撤廃を打ち出したことは評価したい。しかし、自治体間の格差是正ということであれば、もう一歩踏み込み「1回の受診につき上限200円の自己負担」も撤廃すべきだ。

 2024年に当会が実施した東京都への要請では、「1回200円の自己負担は受診の妨げにならないと考えている」との答弁があった。しかし、当会の調査で一部負担金の有無により、歯科受診率や口腔内状況が違うことが示されている上、自治体からも「窓口負担があることでコンビニ受診を防いでいる」と受診を抑制する効果があるとの意見が出されている。確かに不要な受診は控えるべきであるが、受診を躊躇することで、重症化するリスクを負うべきではない。特に子どもは周囲の方へ症状を的確に伝えることができず、病状の急変が起こりやすく、進行が早いなどの特徴がある。早期受診、早期治療を行うことで、子どもの健やかな成長を促すのは当然のことではないか。

 さらに、東京都すべての自治体が完全に無償となったとしても、他の道府県では一部負担金がある自治体は多くある。どこに居住していても安心して医療にかかれるよう、全国統一の制度とするべきだ。東京都には、まず東京都が手本となり、子ども医療費の完全無償化を実施し、全国統一の制度として国が実施するよう、強く働きかけてもらいたい。

 引き続き協会では、すべての子どもが平等に、お金の心配をせずに医療を受けられるよう、「子ども医療費無償化」「地域間格差の是正」を求めていく。

 

 2025年7月1日
東京歯科保険医協会
地域医療部
部長 森元 主税

 

 

【結果公表】自治体にアンケート!:子ども等に対する医療費助成制度について

 東京都は2023年4月、所得制限付きで18歳までの子どもを対象とした「高校生等医療費助成制度」を開始した。さらに、本年10月に、子ども医療費助成制度の所得制限を撤廃する方針である。 しかし、一部の市町村では「1回の受診につき、上限200円の窓口負担」が残る。これは、東京都の助成が「1回の受診につき上限200円の窓口負担」を除く分となっており、完全無償化するためには、各区市町村の費用負担が必要なためだ。事実上完全無償化するかどうかは、各区市町村の裁量に任せられている。

 今回、窓口負担が残る16の自治体を対象に「子ども医療費助成制度実施に関するアンケート」を実施した。その結果、4自治体からは、独自の費用負担を「実施予定」や「検討中」との回答を得た。着実に子ども医療費の無償化が進んでいることがわかる。一方、12自治体が「実施予定がない・実施できない」と回答した。主な理由は「財源的に厳しい」で、全体の半数を占めている。その他、「東京都の制度に準じて対応するため」「一部負担金の有無による地域格差をなくすべきであると考える一方で、一部負担金を設けることで〝コンビニ受診〟を防ぎ、適正な医療費を維持しているとも考える」などの意見が寄せられた。
 このアンケート結果から、自治体独自で子ども医療費の助成に財源を捻出することに限界があることが明らかになった。一方で、居住地により窓口負担の有無が変わることで、健康格差が生じている。当会が23年度に実施した【学校歯科治療調査】では、学校の健診で「要受診」と診断された子どもの受診率が窓口負担のない23区と比べ、窓口負担の残る多摩地区で低く、「口腔内が崩壊状態と考えられる子どもがいた」と回答した学校の割合も多摩地区で高くなる傾向が見られた。また、現場の養護教諭からは「自己負担が残る自治体の子どもには受診勧告がしにくい」との意見も寄せられている。

>>>2025年子どもの医療費助成制度 自治体アンケートまとめ (2025年5月末時点)

東京都内区市町村における「子ども医療費助成制度」の窓口負担・所得制限等の2025年6月時点の状況

また「子ども医療費助成制度実施に関するアンケート」の結果を受けて地域医療部長談話を発出しました。
ぜひご一読ください。


>>>【地域医療部談話】 子ども医療費助成制度の拡充を全国へ

 

 

 

 

訪問のすゝめ/久しぶりの来院、変わりきった患者…歯科訪問診療を決意/講習会参加で「思い強くなった」

訪問のすゝめ/久しぶりの来院、変わりきった患者…歯科訪問診療を決意/講習会参加で「思い強くなった」

医院の歯科訪問診療パンフレットを手にする久永常義先生

「やってみると、何とかなった」―。久永常義先生(51歳/世田谷区)は昨年夏、歯科訪問診療の一歩を踏み出した。祖父は晩年、歯科訪問診療を受けながら最期を迎え、「いつかは自分も訪問を」という想いを抱いてきた。そんな時、久しぶりに来院した患者の姿を目の前に、ついに歯科訪問診療を決意。歯科訪問診療を始めるまでの経緯や経験について聞いた。

―歯科訪問診療を始めたきっかけを教えてください。

祖父が歯科の訪問診療を受けており、“口腔内をきちっとして旅立つ”という生き方が深く印象に残っていました。「どこから始めよう」と迷っている時に協会の「これから始める歯科訪問診療講習会」に参加したんです。コロナ禍も落ち着き、「そろそろかな」と思い、昨年歯科訪問診療のパンフレットを作成し、医院に置き始めました。

―最初の歯科訪問診療まではどのように。

5年ほど来院していた90歳代の患者さんが、パタリと来院されなくなったんです。その後、1年ほど経ち、久しぶりに来院すると付き添いが必要なほどすっかり変わりきっていました。一人暮らしという状況もあり、歯科訪問診療について説明した。

―事前にどのような準備をされましたか。

「高額な機器を揃えた」という話も聞きますが、協会の講習会では「診療所のような処置はできないことを前提に、少しずつ準備をしていく」とお聞きしていたので、準備の際に意識しました。歯科訪問診療の経験がある歯科衛生士もいたので、助言してもらいましたね。具体的には携帯型マイクロモーターや、簡易的な吸引器などを用意して、クリニックにあるものを持って行こうとすると忘れてしまうので、専用の訪問セットを用意しています。移動は自家用車で、移動が増えれば駐輪しやすい自転車も必要かなと考えています。

市販の保冷バッグを活用した「訪問セット」

◆「孤独なんだ」訪問先での気づき◆

―訪問前に患者さんの周囲の方々と連携はされましたか。

事前にケアマネジャーさんとFAXで2、3回やり取りを重ね、現状の体調などを把握してから診療に臨みました。もともと5年ほど来院していた患者さんだったので、やりやすさはありました。

―最初はどのような診療を。

診療所の昼休みを利用してスタッフと一緒に伺い、口腔内の洗浄と義歯調整を行いました。診療の前後では、プライベートのお話もたくさんしました。自宅には会話できるコミュニケーションロボットが置かれていて、「きっと孤独なんだ」と感じ、処置だけして帰るのはかわいそうだという思いも抱きました。

―初めての歯科訪問診療はいかがでしたか

訪問先でできることには限界があると感じました。それでも、患者さんが喜んでくれるならいいかなと思います。また、顔を見ればお互いに分かる関係ですから、歯科訪問診療をしてみて患者さんが安心して喜ばれていることがよく伝わりました。また、ご家族と一緒に通院されている高齢の患者さんには、「通うのが難しくなったら訪問しますよ」と声をかけるようにしています。遠慮されて「わざわざ来ていただかなくても…」と言われないよう、皆さんへ丁寧に説明しなければいけないと思っています。

◆講習会参加…歯科訪問診療の“同志”を前に意欲◆

―協会の講習会を受講してみて。

歯科訪問診療を志す先生の熱意が伝わり、「自分もやっていくんだ」という思いが強くなりました。手技を深めたり、実際の歯科訪問診療を見学できる機会があればぜひ参加してみたいですね。

―最後に歯科訪問診療を始めようと思っている先生にメッセ―ジを。

「行かなきゃ始まらない」というのが一番の実感です。行ってみなければ患者さんの状況が分からないし、そこで状況が掴めれば「これが必要だ」と、その次に繋がるので、困っている患者さんに何の手立ても打たないよりはいいのではないかと思います。

―ありがとうございました。

研究会・行事のご案内はコチラから

【参院選2025】政党アンケート/歯科医療関連政策(「保険で良い歯科医療を」全国連絡会)

2025年参議院選挙 政党アンケート(出典:「保険で良い歯科医療を」全国連絡会)

アンケート実施概要

7月3日公示、7月20日投票の参議院選挙を前に、「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は参議院選挙に向けた政党アンケートを実施しました。歯科医療政策に関する各政党へのアンケートですので、ぜひご覧ください。 回答の詳細は、政党名をクリックしてご確認ください。

アンケート特徴点(PDF):
参院選2025政党アンケートの特徴点<実施:「保険で良い歯科医療を」全国連絡会>(PDF)

質問一覧

質問一覧

  1. 参議院選挙における政策に歯科医療政策はあるか。
  2. 賃金が充分に引き上げられない中で物価高騰が家計に重くのしかかり、高い窓口負担が歯科受診を妨げています。必要な受診ができるよう窓口負担割合を引き下げることについて。
  3. 金属床の入れ歯、陶材など十分に普及している技術・材料が適正な評価で保険導入されることは、多くの国民・患者、医療従事者の願いです。保険のきく歯科診療の範囲をひろげることについて。
  4. 長年の低歯科診療報酬に加え、近年の物価高騰分も補填されない診療報酬改定で、歯科医療機関などの経営困難は深刻化し、倒産・休廃業が過去最悪の水準になっています。地域医療を担う医療機関などの存続のため、診療報酬を大幅引き上げることについて。
  5. 学校歯科健診で指摘された歯列・咬合異常については、ほとんど保険がききません。子育て世帯が患者負担の心配なく治療できるよう、保険診療の拡大および公費支援の充実が必要と考えますが、どのようにお考えですか。
  6. 歯科技工士(所)の状況として、この間に養成学校数、志願者、入学者が継続して減少し、歯科技工所数、就業歯科技工士数も減少傾向になっています。対策として「補てつ関連点数の抜本的な引き上げ」「労働時間と原価計算に基づいた製作技工・保険点数の決定プロセスの確立」「歯科技工士に適切な技術料(委託技工料)が渡るような実効性ある取引ルールの確立」が必要と考えますが、どのようにお考えですか。
  7. 専門的口腔ケアの担い手である歯科衛生士の役割は重要です。しかし、令和4年度の就業率は免許登録者に対して46.2%と半数以上が未就業の状況で、慢性的な歯科衛生士不足となっています。さらに、診療報酬の評価が低いために、歯科診療所での雇用がままならない状況も継続しています。その打開のために、どのような施策が必要と考えますか。
  8. 歯科疾患の重症化を防ぐために早期発見、早期治療を促す歯科健診を充実させるためにどのような施策が必要と考えますか。
自由民主党 立憲民主党 国民民主党 日本共産党 社会民主党 れいわ新選組
質問①政策の有無

【その他】昨年10月の衆議院選挙公約(政権公約)において「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)….を推進します。」と明記しており、引き続き歯科政策に取り組んで参ります。

質問②-(1)窓口負担軽減

【その他】今後も医療費の増大が見込まれる中で持続可能で安定的な医療保険制度を維持していくためには、一定程度のご負担をお願いすることは避けられないものであり、給付と負担については引き続き議論が必要と考えますが、必要な医療が受けられるよう引き続き患者負担にも配慮しつつ、持続可能な医療保険制度の構築に努めてまいります。

質問②-(2)保険適用拡大

【その他】歯科診療の保険適用の範囲については、引き続き、患者像の変化や医療技術の進歩など歯科医療を取り巻く状況等を勘案して、国民に対して適切な歯科医療を提供できるよう、関係者のご意見等を踏まえ、適切に取り組んでいくことが重要と考えています。

質問②-(3)診療報酬引き上げ

【その他】国民の皆様に適切な歯科医療を提供できるよう、経済・物価動向等に配慮し、的確な対応を行います。診療報酬改定については、今後とも歯科医療を取り巻く状況等を勘案し、関係者のご意見をよく聞きながら、適切に取り組んでまいります。

質問③子どもの歯科矯正

わが国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷の治療等に対して保険給付を行っており、先天性疾患に起因する咬合異常や顎変形症による歯列不正など、疾患と咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険適用になっているものと承知しています。なお、令和6年度診療報酬改定では、学校歯科健診で不正咬合の疑いがあると判断され、歯科医療機関を受診した患者に対して、歯科矯正治療の保険適用の可否を判断するための必要な検査・診断等を行う場合について、新たな評価となる「歯科矯正相談料」が新設されています。保険給付の対象となる歯科矯正の範囲については、これまでも、安全性、有効性等の観点から議論し、拡充してきており、引き続き、関係学会等の御意見も参考にしながら、議論を行っていくことが必要と考えています。

質問④歯科技工問題

入れ歯等の補てつに関する技術について、診療報酬上適切に評価することは重要であると考えています。令和6年度診療報酬改定においては、賃上げに向け、技工物等の評価が見直されました。今後とも歯科医療を取り巻く状況等を勘案し、関係者のご意見をよく聞きながら、適切に取り組んでまいります。

質問⑤歯科衛生士

働く方もサービスを利用する方も継続して安心できるよう、次期報酬改定等により、公定価格の引上げなど、他産業に負けない賃上げに繋がる迅速かつ確実な対応を行うほか、歯科衛生士の確保・育成、離職防止・定着支援、魅力向上など、人材確保対策を総合的な対応が必要と考えます。

質問⑥歯科健診

厚生労働省において、自治体が実施する歯科健診に対する財政支援や自治体において歯科健診の受診率を高めるために行われている工夫等について、様々な事例収集と横展開などを進めているところであると承知しています。生涯を通じた歯科口腔保健の推進に取り組んでまいります。

質問①政策の有無

【ある】
・生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及・促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科健診の充実に取り組みます。
・定期健康診断に歯科健診を組み入れます。
・歯科口腔保健法に基づき、口腔ケアをはじめとする生活を支える歯科医療を充実させ、歯科領域でもチーム医療を推進します。
・地域包括ケアシステムの中に口腔ケアや歯科治療を明確に位置付けます。
・歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にします。歯科技工士の待遇改善のため、歯科技工指示書を処方箋化します。
・歯科衛生士については、健康寿命に極めて重要な口腔ケアの担い手としての働く場を拡大するなど、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めます。

質問②-(1)窓口負担軽減

【その他】誰もが必要な医療などのサービスを、必要なときにためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化すべきです。

質問②-(2)保険適用拡大

【その他】保険のきく歯科治療の範囲は、誰もが必要な歯科医療を受けられるようにする観点と医療保険財政に与える影響とのバランスを考慮して検討すべきです。

質問②-(3)診療報酬引き上げ

【賛成】まず、公立病院など、赤字の医療機関の経営を緊急的に支える補助金制度を速やかに創設します。必要であればさらなる対策を講じます。 全ての医療機関の赤字の状況や物価高や人件費高騰に対応するため、次期診療報酬改定で上記補助金の内容を取り込んだ上でプラス改定とすることに取り組みます。

質問③子どもの歯科矯正

保険診療の拡大については、誰もが必要な歯科医療を受けられるようにする観点と医療保険財政に与える影響とのバランスを考慮して検討すべきです。また、子育て家庭などの医療費の経済的負担を軽減すべきです。

質問④歯科技工問題

歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にすべきです。歯科技工士の待遇改善のため、歯科技工指示書を処方箋化すべきです。

質問⑤歯科衛生士

歯科衛生士については、健康寿命に極めて重要な口腔ケアの担い手としての働く場を拡大するなど、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めるべきです。

質問⑥歯科健診

生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図るべきです。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実を図るべきです。 定期健康診断に歯科検診を組み入れるべきです。

質問①政策の有無

【ある】旧民主党政権下で成立した歯科口腔保健法に基づき、生活を支える歯科医療を充実し、歯科領域でもチーム医療を推進します。 歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にします。歯科衛生士については、口腔ケアの担い手としての働く場を拡大する等、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めます。 生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

質問②-(1)窓口負担軽減

【賛成】生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

質問②-(2)保険適用拡大

【賛成】生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

質問②-(3)診療報酬引き上げ

【その他】現状の課題を踏まえ、診療報酬評価を行います。また、地域で必要な医療機能を提供する医療機関を支援します。

質問③子どもの歯科矯正

生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

質問④歯科技工問題

歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にします。

質問⑤歯科衛生士

歯科衛生士については、口腔ケアの担い手としての働く場を拡大する等、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めます。

質問⑥歯科健診

生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

質問①政策の有無

【ある】
【日本共産党の歯科医療政策】
歯科医療の充実、国民の口腔の健康づくりを進めます
口腔の状態の改善が、全身の健康状態の改善、記憶・学習能力の向上、認知症予防、病気の早期治癒などに大きく貢献することが明らかとなっているのに、国民医療費に占める歯科診療の割合は7%程度に過ぎません。  国民の「口腔の健康」を守り、「保険でよい歯科治療」を実現するため、歯科の診療報酬の抜本的な増額と改革、歯科医療の充実にむけた支援を進めます。
――歯科の初・再診料の水準を抜本的に引き上げ、医科・歯科間格差を是正します。
――歯周病の治療・管理や義歯に関わる包括的・成功報酬型の診療報酬を撤廃し、治療行為を適正に評価する報酬に改定します。画一的な文書提供業務の押しつけをやめさせます。
――歯科医療への需要の高まりや治療技術の進歩に対応し、保険治療の拡大と保険外治療の解消を図ります。
――歯科衛生士の役割を、適正に評価する診療報酬にあらためます。
――歯科技工士が仕事を継続でき、歯科医と連携して「よい入れ歯」を保険で給付できるよう、歯科技工物に対する診療報酬の改善を進めます。海外技工物の輸入・使用・安全性の実態を調査し、材料・製作者・技工所などの基準を設けて規制を行います。
――金銀パラジウム合金の「逆ザヤ」による歯科医療機関の経営難を解消するため、金パラ合金に関わる診療報酬の抜本的な見直しを求めます。
――歯科健診の充実など、国民の口腔の健康をまもる取り組みを国の責任で推進します。

質問②-(1)窓口負担軽減

【賛成】現行の高すぎる窓口負担は家計を圧迫し、受診控えを引き起こす重大要因となっています。とくに、歯科の受診抑制は深刻で、生活困窮世帯の子どもの口腔の健康破壊が深刻化しています。日本共産党は、国による子ども医療費無料化制度(18歳まで)の創設と、現役世代・高齢者の窓口負担の引き下げを公約にしています。

質問②-(2)保険適用拡大

【賛成】歯科では、実績・効果があり広く用いられている治療法が保険外に留められ、患者は保険だけでは必要な治療が受けられず、高い自費負担に苦しめられています。歯科の保険診療を抜本的に拡充し、「保険で良い歯科治療」を実現することが必要です。

質問②-(3)診療報酬引き上げ

【賛成】歯科医療従事者の粘り強い運動や国民の要求を受け、歯科診療報酬の一定の改善が行われていますが、基本技術料の評価が低く、新しい技術がなかなか保険適用されない、という状況は抜本的には改善されてはいません。そこに近年の物価高騰が襲いかかり、多くの歯科医療機関の経営が危機的な状況に直面しています。  また、近年、歯科診療報酬には、設備投資や人員の確保を要件とする施設基準が導入されていますが、そのなかで、届出の要件を満たすことが困難な零細経営の診療所が“淘汰”される事態も起こっています。すべての患者に良質な歯科医療を保障するためにも、“線引き”による傾斜配分でなく、歯科保険医療全体の底上げをはかることが必要です。  日本共産党は、地域の歯科医療と国民の口腔の健康を守るため、歯科診療報酬の抜本的な増額と改革、歯科医療の充実に向けた支援を進めます。そのためにも、国の社会保障予算を削減・抑制する路線の根本的な転換が必要です。

質問③子どもの歯科矯正

現行制度では、歯列・咬合異常の治療は、一部の症例しか保険の適用が認められておらず、学校健診で治療の必要性を指摘されても、治療が自費負担となることが、保護者に受診をためらわせ、治療の遅れや病状の放置を招く要因となっています。この問題をめぐっては、日本共産党議員が紹介した「子どもの歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願」が国会でも採択されています。子育て世帯が金銭的負担の心配なく治療に向かえるよう、保険診療の拡大、公的支援の充実を求めます。

質問④歯科技工問題

若い歯科技工士の離職増や歯科技工士学校の志願者の激減は、歯科診療所の経営難、歯科技工士の技術・労働への低評価、海外技工物の大量輸入による国内技工所の廃業など、さまざまな要因が影響していると考えます。歯科技工士が「ワーキングプア」となっていく事態の解決が必要です。  歯科技工士が安心して仕事を続け、歯科医と協力して「良い入れ歯」を保険で提供できるよう、歯科技工物に係る診療報酬の改善を進めます。低すぎる補てつ関連の報酬を抜本的に引き上げ、「混合診療」となっている補てつ・欠損の保険移行を推進します。現在、保険で給付されている補てつ物の保険給付外しに反対します。  ご指摘の「労働時間と原価計算に基づく製作技工・保険点数の決定」など、歯科技工士の技能と労働を正当に評価する報酬への見直しを進めます。歯科技工士に適切な技術料が支払われるような、取引ルールの確立も求められると考えます。  海外技工物の輸入・使用・安全性の実態を調査し、材料・製作者・技工所などの基準を設けて規制を行うとともに、国内技工物にかかわる報酬を引き上げます。

質問⑤歯科衛生士

高齢者のフレイルを防止し、口で咀嚼して物を食べ続けられるようにすることが、全身状態の改善や肺炎防止に効果があることは、医科や介護分野もふくめた共通の認識となっています。専門的口腔ケアの担い手である歯科衛生士の役割はますます重要です。  歯科診療所が歯科衛生士を雇えるよう、歯科診療報酬全体を抜本的に増額するとともに、歯科衛生士の専門的な技能・労働を正当に評価する報酬体系へと見直していきます。高齢化による歯科需要の増大に対応し、歯科医療・口腔ケアの専門職をどれだけ確保するか、国として計画を持ちながら、病院・施設・事業所なども含めた、歯科衛生士の配置に対する公的支援を行います。

質問⑥歯科健診

歯科疾患の早期発見・治療の重要性が叫ばれているにもかかわらず、現行では、学校健診以外では歯科健診が義務化されておらず、実施している保険者・事業主は限られています。成人に対する歯科健診の促進、健診内容の充実、自己負担の無料化、健診の実施主体への公的支援など、国による取り組みが必要です。  口腔の健康に係る認識の啓発、“医者に行く時間もとれない”労働条件の改善も求められます。地域ぐるみの啓発活動や長時間労働の是正、中小企業に対する支援など、社会・経済の改革を進めます。

質問①政策の有無

【ない】

質問②-(1)窓口負担軽減

【賛成】経済的理由で適切な歯科治療を受診できない患者を重点的に支援することが必要だと考えます。

質問②-(2)保険適用拡大

【その他】歯科技工所や歯科医の負担が増加しないよう保険適用は慎重な対応が必要だと考えます。また、審美目的の補綴物の保険適用は慎重であるべきだと考えます。

質問②-(3)診療報酬引き上げ

【賛成】歯科医療機関や歯科技工所等の経営安定のためには診療報酬の引き上げは必要だと考えますが、患者の窓口負担軽減も同時に図るべきだと考えます。

質問③子どもの歯科矯正

早期治療により子どもの歯が健全に成長することで、将来的な歯科治療のリスクを軽減できる可能性があるため、保険適用などが必要だと考えます。

質問④歯科技工問題

歯科技工士の賃上げや待遇改善は待ったなしです。そのためにも、補綴関連点数の抜本的引き上げや、技工料や納期等に関する歯科医院との契約で技工士側が無茶な取引とならないよう適切な取引ルールの確立、CAD/CAMなど補綴物作成に必要な機器類の購入補助などが必要だと考えます。

質問⑤歯科衛生士

歯科衛生士の給与水準を引き上げて、適正な報酬を確保する。長時間労働の是正や休暇取得の促進を行ない、働きやすい労働環境を整えていく。また、出産や育児などで離職した歯科衛生士が復職しやすい環境を整備するなど、実態に即した柔軟な勤務制度の導入を支援していくことが必要だと考えます。

質問⑥歯科健診

歯科健診の費用補助の拡大やかかりつけ歯科医制度の強化などが必要だと考えます。

質問①政策の有無

【ない】

質問②-(1)窓口負担軽減

【賛成】窓口負担が高いと診療受診抑制につながります。医療機関の窓口負担は引き下げるべきと考えます。 口腔衛生が慢性疾患に関わっていることも解明されつつあります。全身疾患は口腔衛生管理と密接なつながりがあることから、歯科診療の有用性の認知が必要です。

質問②-(2)保険適用拡大

【賛成】保険のきく歯科治療の範囲が広がることは患者にとっても望ましいことです。 ただ、過去に行われた差額徴収(自費診療費から保険給付内の類似医療行為点数を差し引いた差額分を患者から徴収すること)には、制度的な問題点がありました。歯科医療が保険制度の中で不当に低く評価され続けたことが問題です。

質問②-(3)診療報酬引き上げ

【賛成】ただし、診療報酬引き上げによって患者負担が増すことのないよう、窓口負担率の引き下げとセットで行うべきです。 保険診療で高いクオリティの処置をするには高い診療報酬が必要です。しかし、根管治療など緻密で煩雑な時間を要する治療に対する保険点数が低すぎ、物価高騰などの経費増によって経営圧迫され、スタッフの給料も上げられず、廃業を余儀なくされる歯科医院も出てきています。公定価格で診療コストの価格転嫁が行われにくい業務である以上、自助努力ではどうすることもできず、診療報酬の大幅な引き上げが必要と考えます。

質問③子どもの歯科矯正

学校歯科検診で指摘された歯並び・咬合の矯正治療への保険診療適用、公費支援には賛成です。しかし、歯科矯正の専門的な知識は卒業後、改めて学ぶ必要があり、保険適用されたからといって安易に一般歯科医が治療にあたることに不安があります。歯科医の専門性・スキルの向上のための研修制度が必要と考えます。

質問④歯科技工問題

賛成です。歯科医療に不可欠な歯科技工士の担い手確保のために、まずは歯科技工士に適正な技工料が支払われるよう実効性のある取引ルールが必要です。また、歯科技工料の原資となる歯科の保険診療報酬自体を、歯科技工士と歯科医療機関の双方の経営が成り立つレベルに引き上げる必要があります。

質問⑤歯科衛生士

歯科衛生士を雇用していない医療機関では、経済的に無理、また雇用したいが応募がない(慢性的歯科衛生士不足)、という理由が3分の2となっています。専門的口腔ケアの担い手である歯科衛生士の働きに見合うだけの給料を払えるよう、口腔ケアへの診療報酬を引き上げ、歯科医院が安定的に専門スタッフを雇えるようにすべきと考えます。

質問⑥歯科健診

歯科疾患の重症化を防ぐために、早期にクリニックを訪れるインセンティブを設けること、手続きの簡略化をはかることが必要と考えます(マイナンバーカード取得の強制をやめる)。歯科疾患と全身・慢性疾患との関連性を広く伝え、歯科治療の重要性を周知していくことが必要と考えます。

2024年度会員の意識と実態調査

実態調査は5年に一度、会員の経営実態の把握と意識を明らかにし、協会活動の基礎資料とすることを目的として協会が実施しました。

会員の意識と実態調査の報告書(概要版)は、添付ファイルからPDF形式でご覧いただけます。

過去の調査結果については、当協会のホームページよりご覧ください。

東京歯科保険医協会 会員の意識と実態調査報告書2024 完成(HP用)

◆調査結果◆

 

調査対象 東京歯科保険医協会会員(賛助会員除く)6,014  2024930日時点

調査地区 東京23区・26市・5町・8村の計62地区

調査方法 調査方法は郵送で調査票を配布し、郵送による返信

調査期間 202410月1日~ 1031

回答状況 有効回答数 1,658件、回収率27.57

※前回調査(2019年7~8月) 有効回答数1,002件 回収率17.3

注)数値については小数点第2位以下を非表示にしており、合計しても100%にならない場合があります。

 

◆調査結果の特徴◆

1 労働時間

「外来診療」の労働時間(問7)に関して、「40時間以上」との回答が43.2%であり、2019年の47.1%から3.9ポイント減少した(表1)。性別によると、男性は「40時間~50時間未満」(37.9%)、女性は「30時間~40時間未満」(36.4%)の割合が最も高かった。「40時間~50時間未満」「50時間~60時間未満」「60時間以上」の合計を年齢階級別にみると、2030歳代は52.8%、40歳代は53.8%、50歳代は49.1%、60歳代は38.9%、70歳以上は18.0%であり、40歳代が最も多かった。

 保険請求事務」(問8-イ)に要する時間について、自身で「行っている」、「一部行っている」と回答した中で、「1時間~5時間未満」、「5時間~10時間未満」、「10時間以上」を合わせると57.1%となり、半数を超えた。性別でみると、男性は「1時間~5時間未満」(45.9%)、女性は「1時間~5時間未満」(48.0%)の割合が最も多かった(表2)。「1時間~5時間未満」、「5時間~10時間未満」、「10時間以上」を年齢階級別に見ると、2030歳代は50.7%、40歳代は44.9%、50歳代は59.2%、60歳代は62.9%、70歳以上は61.8%となった。

2 医業経営

 現在の医業経営(問10-ア)が以前と比較してどのように感じられているかについて、「苦しくなった」(52.1%)は2019年より12.4ポイント増加した。一方で「楽になった」(5.1%)は2019年より3.7ポイント減少した。

 性別でみると、「苦しくなった」は男性が53.6%、女性が46.2%となった一方で、「楽になった」は男性が5.0%、女性が5.5%となった。

 医業経営に関しては、年齢階級を問わず「楽になった」との回答は低く、特に5060歳代の会員は他の年齢階級よりも低い結果となっている。一方で「苦しくなった」については、年齢階級を問わず高い結果を示し、6070歳以上の約6割以上が苦しくなったと感じている。また、「どちらともいえない」との回答は、2030歳代(42.9%)と40歳代(47.2%)の割合が多く、「楽になった」「苦しくなった」を上回っている。

 

3 保険収入

 保険収入(問11-ア)に関して、「増えた」は20.8%、「減った」は42.4%、「変わらない」は29.1%、「わからない」は6.6%であった。性別で見ると、「増えた」は男性が21.7%、女性が17.7%であった。一方、「減った」は男性が43.6%、女性が37.6%であった。また、「変わらない」は男性が28.2%、女性が33.0%である。年齢階級別にみると、「増えた」は203040歳代が多く、年齢階級が低くなるにつれて増加する傾向がある。一方で「減った」は6070歳代が多く、年齢階級が高くなるほど急激に増加する傾向がある。さらに、「変わらない」は50歳代が多くなっている。

ベースアップ評価料の計画書提出は2025年6月30日まで!!

昨年度(2024年度)からベースアップ評価料の算定を開始し、今年度(2025年度)も算定を継続する場合は「計画書」の提出を6月末までに行う必要がありますのでご注意ください。

様式ダウンロードはこちら▼

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html

協会の解説動画を作成しました!デンタルブックからご覧ください▼

https://dentalbook.tokyo-sk.com/member/public/MemberAuth_input

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)6月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)6月1日号

ここをクリック東京歯科保険医新聞06月号:01~08面

【新聞6月号】

【1面】
 1.議員要請 「歯科医療費の総枠拡大」と「保険証の存続」を/歯科の重要性・保険証発行停止の問題に理解を求める
 2.76%が保険証復活・併用望む/マイナ保険証トラブル調査
 3.知ってトクする!パンフ/ご希望はお早めに
 4.東京歯科保険医協会第53回定期総会ご案内
 5.「探針」
 6.ニュースビュー

【2面】
 7.2025年度指導 個別指導が10件増加/協会の開示請求で指導計画明らかに
 8.世田谷区・渋谷区は「資格確認書」の一斉送付を決断 188万筆超/保険証の存続で署名が集まる
 9.6月22日は都議選 都議会の会派は、歯科をどう見ているのか?/歯科関連の予算要望項目から見る会派の主張

【3面】
10.解説 歯科医療費総枠拡大の「壁」/その打開策は署名活動と議員要請に
11.歯科用貴金属改定情報(6月~)/金パラほか全て引き上げに
12.会員寄稿 声「“複雑難解”診療報酬改定を振り返って」扇山隆/江戸川区

【4面】
13.訪問のすゝめ 久しぶりの来院、変わりきった患者…歯科訪問診療を決意/講習会参加で「思い強くなった」久永 常義 先生/世田谷区
14.6月会員無料相談のご案内

【5面】
15.研究会・行事のご案内

【6面】
16.インタビュー 文京学院大学名誉教授・法学博士・山下 泰子さん/目標は女性差別撤廃条約“選択議定書”批准 ネパールでの女性教員育成も(後編)
17.共済部だより

【7面】
18.経営・税務相談Q&A No.429「休業規則の作成」―その流れや注意点―
19.教えて!会長!! No.95/マイナンバーカードに関する有効期限
20.理事会だより
21.協会活動日誌

【8面】
22.退き際の思考 歯科医師をやめる(伊藤栄子さん× 吉田真理さん)/“52年ぶり”涙の再会 同窓の奮闘に活力「パワーもらった」
23.神田川界隈「時の透き間」に(理事・川戸二三江/渋谷区)

【9・10面】
24.共済チラシ

【付録】
25.冊子「知って得する!医療・介護・税金の負担軽減策」

【都議選2025】政党アンケート/歯科医療に関する政策は

東京都議選 政党アンケート

東京都議選 政党アンケート

アンケート実施概要

東京歯科保険医協会は、東京都議会議員選挙(2025年6月22日投開票)に向けて、各政党に対し歯科医療などに関する政策についてアンケート調査を実施しました。アンケートを依頼したのは、東京都議会自由民主党、都民ファーストの会東京都議団、都議会公明党、日本共産党東京都議会議員団、東京都議会立憲民主党、ミライ会議、地域政党自由を守る会、東京維新の会、都議会生活者ネットワーク、再生の道、国民民主党、れいわ新選組、参政党の各党です。

以下はその質問内容と、各政党からの回答(6/12 20:00時点)です。政党名、もしくはアンケート全文(PDF)をクリックすると回答が閲覧できます。 歯科口腔保健に関する政策理解を深めていただく一助となれば幸いです。

アンケート全文(PDF)はこちらからご覧いただけます: 都議選2025政党アンケート全文(PDF)

質問一覧

  1. 質問①都内の歯科医療機関では、物価高騰などを受け従業員の賃上げを行いたいが、評価が低い診療報酬に加え、診療所のIT化等に伴う経費高騰により、従業員に十分な給与が払えないとの訴えが少なくありません。都としての歯科診療報酬・物価高騰対策について、貴党ではどのような具体的施策をお考えでしょうか?
  2. 質問②多くの歯科医院で歯科衛生士・歯科助手が不足し、医療の質や患者満足度の低下が懸念されています。都としての歯科の人材確保施策について、貴党ではどのような具体的施策をお考えでしょうか?
  3. 質問③今年、医療機関において国民健康保険証の有効期限切れに伴う資格確認業務で、支障が生じるなどの混乱が予想されています。渋谷区と世田谷区では、「資格確認書」を国保加入者全員に発送することを決定しています。都として混乱を未然に防ぐため、貴党ではどのような具体的施策をお考えでしょうか?
  4. 質問④現在、東京都では、200円の一部負担金を残し子ども医療費助成を実施しており、区市町村の判断によって自己負担の有無に差が出ています。この状況について貴党はどのようにお考えでしょうか?また、どのような具体的施策をお考えでしょうか?
  5. 質問⑤妊産婦は口腔トラブルのリスクが高く、適切な歯科受診が早産予防や産後ケアに重要とされています。都としての妊産婦への口腔管理促進策について、貴党ではどのような具体的施策をお考えでしょうか?
  6. 質問⑥高齢者や障がい者、寝たきりの方など通院が困難な方に対し、歯科訪問診療の需要が増えています。都として、歯科訪問診療の提供体制強化に向け、貴党ではどのような具体的施策をお考えでしょうか?
  7. 質問⑦貴党の都政における歯科医療に関する政策詳細を閲覧できるウェブサイトのURL(公開可能なもの)があれば、ご教示ください。

※東京都議会自由民主党、地域政党 自由を守る会、東京維新の会、再生の道、参政党は期限までに回答なし。

都民ファーストの会 都議会公明党 日本共産党東京都議会議員団 東京都議会立憲民主党 ミライ会議 都議会生活者ネットワーク 国民民主党 れいわ新選組
質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

歯科医療従事者の処遇改善と歯科診療所の経営安定化は都民の口腔健康を支える重要な基盤であると認識しています。診療報酬の適正化については国の所管事項であるため、国に適切な対応を求めてまいります。都独自の支援策としては、東京都医療機関等物価高騰緊急対策支援金、DXなど設備投資や経営の効率化を支援し、医療機関の賃金支払能力向上を図ります。

質問②歯科の人材確保

歯科分野における人材不足は、都民の口腔健康を支える重要な問題であると認識しています。最も重要な人材確保策は処遇改善であり、左記1に記載の通り進めてまいります。また、女性が多いという特性もあるので、女性の働きやすい環境整備を奨励金などにより後押しして参ります。

質問③保険証の有効期限切れ対策

国民健康保険証の有効期限切れに伴う医療現場での混乱防止は、都民の医療アクセス確保にとって重要な課題です。一部自治体の先進的な取り組みを横展開できるような事例の周知や技術的支援を行い、都内全域で必要な対応が可能となるよう調整します。医療機関向けにも補助制度によりオンライン資格確認システムの活用をサポートします。

質問④子ども医療費助成

都民ファーストの会からの要望により、東京都では、高校3年生相当の年齢までのお子さんが医療機関等で健康保険を利用して診療を受けたとき、保険診療の自己負担分を助成することで医療費無償化とする制度が実現しています。200円の自己負担について自治体によって対応が異なる状況があることは承知しています。基礎自治体からの要望に応じて、適切な対応を検討して参ります。

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

妊産婦の口腔管理は母子健康に直結する大切な課題です。さらに産後うつ予防の観点からも、産後の口腔ケア支援を含めた総合的な産後ケア体制の整備が必要です。区市町村が行う母子健康手帳交付時の口腔ケア指導の充実や妊産婦歯科健診の促進など、妊産婦が安心して歯科受診できる環境を整備し、母子の健康増進を図ってまいります。

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

何らかの身体的、精神的理由で歯科診療所に通院できない方に対し、歯科医師、歯科衛生士が自宅や介護施設、病院等に訪問し、歯科診療や専門的口腔ケアを行う制度、歯科訪問診療の重要性が増しています。地域包括ケアシステムの歯科参画促進、訪問歯科診療に従事する歯科医師・歯科衛生士向けの研修の充実、ポータブル歯科診療機器購入支援などが重要であると考えています。また、障がい者への対応については、東京都立心身障害者口腔保健センターとの連携強化により、専門的な訪問歯科診療体制の充実を図ってまいります。

質問⑦関連サイトURL

都民ファーストの会 特設サイト

質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

回答しない

質問②歯科の人材確保

回答しない

質問③保険証の有効期限切れ対策

回答しない

質問④子ども医療費助成

回答しない

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

回答しない

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

回答しない

質問⑦関連サイトURL

回答しない

質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

国による診療報酬の引き上げが不可欠ですが、東京都も、国の悪政から都民生活を守る防波堤としての役割を果たすべきです。東京都が行っている医療機関等物価高騰緊急対策支援金は、今年の9月分までしか予算がついていないため、10月以降の分も予算を確保するとともに、内容も充実させます。また、東京都は今年度、321億円の民間等の病院への支援を行いますが、歯科を含む診療所への支援についても求めていきます。

質問②歯科の人材確保

都は歯科の人材確保施策に積極的に取り組むべきです。歯科衛生士養成校生徒への奨学金制度を実施します。歯科衛生士の養成校への補助を行うとともに、都立の歯科衛生士養成校の創設を検討します。歯科衛生士の復職支援のため、研修を拡充します。歯科技工士の実態調査を行い、待遇改善などの支援を実施します。

質問③保険証の有効期限切れ対策

渋谷区と世田谷区の取り組みは、国民健康保険証の有効期限切れに伴う混乱を防ぐために自治体として実施できる、非常に有効かつ合理的な対策だと考えます。このような取り組みの実施を、都として区市町村に推奨します。また、問題の根本的な解決のため、政府に対し、保険証の廃止を撤回し、発行を再開するよう強く求めていきます。

質問④子ども医療費助成

子どもの医療費助成の通院1回200円の自己負担の有無に関して、区市町村による格差が生じている状況は問題だと考えています。自己負担のある自治体では歯科受診の妨げとなっています。背景には区市町村による財政力の違いがあり、多摩格差が生じています。都の財政支出によって全都で通院1回200円の自己負担をなくし、格差を解消するべきです。

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

妊産婦の口腔管理は非常に重要だと考えており、お金の心配なく受診ができるよう、妊産婦の医療費無料化事業を実施します。また、妊産婦歯科健診を実施する区市町村を支援します。

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

今後、歯科訪問診療はますます重要になり、提供体制の強化が求められます。歯科訪問診療を行うための設備整備費への補助を使いやすくして、利用を増やします。「在宅歯科医療実践ガイドブック」は随時更新します。また、歯科訪問診療におけるハラスメントへの対策を強化します。

質問⑦関連サイトURL

2025年度 東京都予算編成に対する提案要求 日本共産党東京都議会議員団

質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

歯科をはじめ医療機関等に対する光熱費などの支援

質問②歯科の人材確保

業務の効率化を図るなど、働き方改革の推進

質問③保険証の有効期限切れ対策

健康保険証とマイナ保険証の併用

質問④子ども医療費助成

総合交付金の増額など、市町村の取り組み支援

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

妊婦歯科検診と産婦歯科検診の実態把握と受診率向上

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

在宅歯科医療機器等の設備補助

質問⑦関連サイトURL

立憲民主党 都議選政策2025

質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

・国に診療報酬の改定を要望

・中小企業への物価高支援

質問②歯科の人材確保

業界特有の方法があるのかもしれませんが、人材バンクなどを作って募るのもよいかかと思います。

質問③保険証の有効期限切れ対策

渋谷区と世田谷区の先手の対応を評価します。

質問④子ども医療費助成

負担金の残る自治体の声を聞きながら、格差是正の方向にしたいです。

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

歯科健診を取り入れる。

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

訪問診療の需要は高く、歯科診療についても同様です。

質問⑦関連サイトURL

残念ながら歯科診療に特化したものはありません。

質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

現在、米をはじめ食料品の高騰がとりわけ生活を直撃している。米生産者の所得補償や都内農産物の地場流通を促進し、農業を守りながら主要な食料の価格を抑える。また、従業員の賃上げのための各種事業者支援も重要と考える。

質問②歯科の人材確保

歯科衛生士不足は全国的な問題となっており、離職率が高いとも言われている。ほとんどが女性なので、有資格者の職場復帰を後押しするセミナーやマッチングのしくみが必要と考える。

質問③保険証の有効期限切れ対策

マイナンバーカードを保険証に使うことは問題が多く、反対している。実際に起こっているトラブルを見るだけでも、資格確認書を使うほうが実際にはスムーズに手続きできる。

質問④子ども医療費助成

経済的な理由で受診を控えることはあってはならないが、過剰受診が医療現場を圧迫しているという情報もあり、最善のあり方を検証して、相談機能の拡充と併せあり方を検討するのがよい。

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

妊娠中の口腔ケアは重要であり、定期的な歯科受診を促し、啓発に努めるとともに、妊娠中や出産後の子育て中であっても治療の時間をとれるようなワーク・ライフ・バランスの実現をめざすことも大切である。

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

地域の歯科医師会と連携してアウトリーチ体制づくりに取り組む。

質問⑦関連サイトURL

質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

現状の課題を踏まえ、診療報酬評価を行います。また、地域で必要な医療機能を提供する医療機関を支援します。

質問②歯科の人材確保

歯科衛生士については、口腔ケアの担い手としての働く場を拡大する等、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めます。

質問③保険証の有効期限切れ対策

国民皆保険を堅持し、安定した医療保険制度をつくります。医療保険制度全体の安定的な運営のため、保険者間の負担の公平化、国民健康保険の都道府県単位化など医療保険の一元的運用を進めます。

質問④子ども医療費助成

18歳までの医療費無償化を目指します。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進を図ります。

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。

質問⑦関連サイトURL

質問①歯科診療報酬・物価高騰対策

歯科衛生士や歯科技工士の不足などの課題解決のためには、賃上げを行うことが一つの打開策と言えます。物価や光熱費の高騰も経営を直撃していると承知しています。歯科における診療報酬は実態に見合ったものではなく何十年も変化していないことは、国の歯科診療行為への評価が低いのではないかとも考えられます。診療報酬の改定について都が独自に直接行うのは難しいですが、国に要求していきたいと思います。光熱費などの補填のために、歯科も含めた医療施設への一時的な助成を行っている基礎自治体もありますが、東京都が一律に行う仕組みを要求していきます。

質問②歯科の人材確保

歯科に関する学科学校も含む学生への入学金・授業料の無償化または給付型の支給を訴えています。国が動かないなら東京都に勤務することを条件とした無償化を進めることも必要です。東京都に勤務する歯科衛生士・歯科助手の家賃補助も検討すべきと考えます。

質問③保険証の有効期限切れ対策

拙速で強引なマイナ保険証への切り替えに伴う混乱があり、現在も影響していますが、このようなマイナンバーカードのあり方にそもそも反対する立場です。その上で、東京都は「資格確認書」を発行するための助成を自治体に行うこと、マイナ保険証を作成する必要はないことを加入者に周知していくことが必要と考えています。

質問④子ども医療費助成

子どもにかかる医療費に地域差があってはなりません。東京都の財政であれば、子どもの医療費は全額自己負担なしが可能です。どこに住んでいても子どもの健康を守る事業は等しくあるべきです。

質問⑤妊産婦の口腔管理促進策

無料の歯科検診の対象から若い世代が外れる自治体が多く、若い世代は齲歯罹患率が高いです。妊婦検診の際に歯科検診を勧めることを徹底し、妊産婦の歯科検診無料事業を提案します。

質問⑥歯科訪問診療の体制強化

口腔内の衛生を保つことは肺炎をはじめ糖尿病などの予防につながり、口腔機能低下は食欲低下や栄養不足につながります。また、話すといった生活の質にも影響します。それにも関わらず診療報酬が低く抑えられていると認識しています。今後、需要の高まりは確実です。訪問診療報酬を上げると同時に患者自己負担は軽減します。歯科口腔外科医師の不足もさらに懸念されます。まずは現役医師が勤務を継続できる環境や処遇を整えられるよう支援します。通院困難な方にとって全身の健康維持のためにも訪問歯科診療はとても重要であることを訴えます。

質問⑦関連サイトURL

都政における歯科医療に関する政策は、今回は掲載しておりませんが、今後議席獲得の際には、当該議員と研究し掲載していきます。なお、基礎自治体においては、一般質問や委員会で提言している弊党所属議員もおります。ご参考までに。 台東区議会議員ふうさわ純子 令和5年第2回定例会一般質問 「切れ目のない歯科検診について(1)若い世代の歯の健康管理の重要性について (2)全世代にわたる毎年の歯科検診実施について

台東区議会議員ふうさわ純子 令和5年第2回定例会一般質問

2025年度東京都在宅歯科医療設備整備費補助金スタート

東京都の「東京都在宅歯科医療設備整備事業(2025年度)」の概要のご案内です。
この助成金は主に高齢期・寝たきり者等に対する在宅歯科診療の普及向上に資するため、都内の在宅歯科診療を実施する医療機関に対し、在宅歯科医療機器等の設備を整備し、安全で安心な質の高い歯科医療提供体制の充実を図るために東京都が実施しているものです。
以下に概要(抜粋)をまとめました。

1 事業の概要について
(1)補助対象機器
在宅歯科診療を実施するために必要となる医療機器等で1品 10 万円以上のもの。原則、患者宅で使用する医療機器等とする。
(例:ポータブルユニット、ポータブルX線装置等。内視鏡は不可。)
(2)補助対象
  別表 の研修を受講した歯科医師が常に勤務している診療所の開設者
(3
)補助基準額
1か所あたり3,638千円
(4)補助率
3分の2

2 申請方法等

提出方法 事業計画事前調査票(提出様式)を作成の上、
保健医療局医療政策部医療政策課(歯科医療担当)宛てにメールを送信する
S1150401@section.metro.tokyo.jp
※メールの件名は「在宅歯科 事前調査票 (医療機関名)」として送信する。

提出期限  2025年6月30日(月曜日)


提出様式および詳細は以下のリンクをご確認ください。

東京都歯科医療設備整備事業概要
事業計画事前調査票(記入例)
東京都在宅歯科医療設備整備費補助金交付要綱
Q&A

3 スケジュール(予定)

~6月30日 事業計画事前調査票提出
7月下旬~ 正式な事業計画書類(決算書・見積書等含む)提出(8月下旬締切予定)
11月下旬


内示通知

交付申請書の提出(Jグランツまたは郵送 12月中旬締切予定)

1月


交付決定通知(Jグランツまたは郵送)

実績報告書の提出(Jグランツまたは郵送 2月下旬締切予定)

2月~ 実地検査
5月 額の確定通知(Jグランツまたは郵送)
5月下旬 補助金の支払い
10月頃 消費税報告提出とアンケート回答

4 その他

申請手続きに当たってはデジタル庁が運営する補助金システム JGrants(Jグランツ)を活用いたします。Jグランツでの申請には、GビズID(gBizIDプライム)の取得が必要となりますので、未取得の場合は下記URLよりご準備いただきますようお願いいたします(取得に2~3週間ほどかかります)
https://gbiz-id.go.jp/top/

協会でG ビズIDの取得手順をまとめました
以下の「Gビズ IDプライム申請方法」をクリックしてご覧ください。
注)PDFファイルです。動画ではありません。
★ こちらをクリック ⇒ Gビズ IDプライム申請方法

Jグランツに関する問合せ先
0570-023-797
【受付時間】9:00~17:00(土・日・祝日、年末年始を除く)

<参考>
2025年度東京都在宅歯科医療設備整備事業|民間医療機関向け補助金概要|東京都保健医療局

2025年度地域診療情報連携推進費補助金( 訪問診療等 )について

2025年度 地域診療情報連携推進費補助金(訪問診療等におけるオンライン資格確認)のご案内です。
この補助金は訪問歯科診療等を1回以上実施したことがある保険医療機関等において、オンライン資格確認 を実施できるためのレセコンの改修等 、モバイル端末や汎用カードリーダ購入等に係る事業助成金です。
詳細は以下のとおりです。

1 交付のながれ

①訪問診療等・オンライン診療等・外来診療等におけるオンライン資格確認等の導入完了する
②システムベンダ等から請求書等を受領する
③システムベンダ等に費用を精算する
④システムベンダ等から領収書および領収書内訳書を受領する
⑤必要な書類を添付して補助金を申請する

2 期間
2026年115

3 交付額
12.8万円を上限に補助(事業額の17.1万円を上限にその3/4を補助)
申請の際に使用する手順書と、補助金の詳細な資料などの詳細は以下のリンクとPDFデータをご覧ください。

オンライン資格確認等の導入に係る助成金について

保険医療機関等向け実施要領(訪問診療等)

助成金申請手順書

教えて!会長!!  Vol.94「歯科衛生士が行う浸潤麻酔」

教えて!会長!! Vol.94「歯科衛生士が行う浸潤麻酔」

Q1 歯科衛生士が行う浸潤麻酔が話題になっています。

A1 本年2月に開催された厚生労働省の第2回歯科衛生士の業務のあり方等に関する検討会で、「歯科衛生士が行う診療補助としての浸潤麻酔行為について」と題して検討が行われ、資料が公表されました。そこでは「歯科衛生士が浸潤麻酔行為を実施するために必要な研修(事務局案)」として講義、実習の内容が示されました。多岐にわたるその内容は、(一社)日本歯科麻酔学会の認定制度である「日本歯科麻酔学会認定歯科衛生士」あるいは(一社)日本歯科医学振興機構の認定制度である「臨床歯科麻酔認定歯科衛生士」が注目されました。

Q2 歯科衛生士が行う浸潤麻酔の位置付けは。

A2 「歯科衛生士法」では、歯科衛生士が行える業務は、予防処置・診療補助・歯科保健指導です。歯科医師の診療を補助する診療補助は、歯科医師の監督・指示のもとに行います。したがって、歯科衛生実地指導料を算定する際、歯科医師から歯科衛生士への指示内容の要点をカルテに記載しなければならないのです。歯科衛生士の診療補助は、歯科医師のみができる「絶対的歯科医行為」に対して、「相対的歯科医行為」と呼ばれます。

歯科衛生士の局所浸潤麻酔行為は、過去にもさまざまな議論や意見がありましたが、現在の解釈は、診療補助の範囲内であり、歯科医師の監督・指示のもとで行うことは可とされています。具体的な範囲として厚労省は、「歯肉縁上および歯肉縁下の歯石除去(SRP)時の疼痛除去を目的とする場合としてはどうか」と示しています。その際の理由として、「骨に作用させる必要はない」「歯髄に作用させる必要はない」「1.8mlカートリッジ1本以内の傍骨膜注射で対応可能」としています。

Q3 研修の具体的な内容は。

A3 厚労省が示している必要な研修は、歯科衛生士養成施設などで全て履修できることが望ましいです。示されている具体的な研修内容は、講義で合計840分、実習で合計270

分とされ、合わせると18時間30分となります。

検討案の段階ではありますが、講義では、「倫理と法規制」「生理学」「局所麻酔薬の薬理学「局所麻酔のための解剖学」「バイタルサイン」「医療面接」「局所麻酔法」「歯科局所麻酔時の局所合併症と対応」「歯科治療中の全身的偶発症と対応」。実習では、「浸潤麻酔」「バイタルサイン・生体情報モニタリング」「急変時の対応」「シナリオシミュレーション(血管迷走神経反射・アナフィラキシー・過換気症候群)」です。これらは非常に広範囲にわたる充実した内容といえます。換言すると、歯科衛生士が局所浸潤麻酔行為のために学習するボリュームは、なかなかの量だという感想を持ちました。

歯科衛生士の診療補助として対応可能な行為が増えることは、歯科医業面や歯科衛生士のモチベーションアップにつながるなどのメリットがあるでしょう。前述した「日本歯科麻酔学会認定歯科衛生士」、あるいは「臨床歯科麻酔認定歯科衛生士」を取得するのは、患者、歯科医院、指示した歯科医師、さらに歯科衛生士自身にとって安全に浸潤麻酔を行うことの担保となると思います。しかし、これらの資格を得なければSRP時に歯科衛生士の局所浸潤麻酔ができない訳ではありません。また、万一何らかの事故が生じてしまった場合、当該歯科衛生士ならびに指示・監督した歯科医師に責任が生じることは言うまでもありません。

会長 坪田 有史

※「東京歯科保険医新聞」2025年5月号掲載

解  説/ベア評価料改善計画書・実績報告書提出期限示される

解 説/ベア評価料改善計画書・実績報告書提出期限示される

2025年33日までにベースアップ評価料の届出を行った医療機関は、「賃金改善計画書」を630日まで、「賃金改善実績報告書」を831日までに提出しなければならないことが、このほど厚生労働省から示された。

ここでは、「賃金改善計画書」「賃金改善実績報告書」の作成と提出方法について解説する。詳細は厚生労働省のホームページから「ベースアップ評価料等について」をご参照いただきたい。

【IT相談室】 AIとは何か②/歯科医療界での活用

【IT相談室】 AIとは何か②/歯科医療界での活用

AIはここ数年間で大きく進化・進歩し、歯科医療分野でも活用が進んでいます。今回はAIと歯科の具体的な関わりを解説します。

◆歯科CAD/CAMとAI

歯科関連でもAIは広く利用されています。具体例としては、セレックなどの歯科用のCAD/CAMシステムです。CAD/CAMとは、Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturingの略称で、コンピューターで制御された工作機械ですが、口腔内をスキャンして修復物を作る過程で、設計などの手順の中でAIが手助けをしてくれます。

◆マウスピース矯正とAI

また、インビザラインなどのマウスピース矯正のシステムでも同様です。マウスピース矯正のシステムでは、そのシステムで矯正が可能かどうかの診断から、診療計画の立案、矯正治療を進める各ステップのマウスピースの設計、矯正の進行によるシミュレーションなど、全般にわたってAII が利用されています。AIを利用してビジュアルに各工程が確認できるシステムが、患者にも歯科医師にもわかりやすかったことが、マウスピース矯正が普及した一因といえるでしょう。

◆自分で利用するAI

このように歯科でもAIは利用されていて、前回ご紹介した読影でも歯科用の診断システムが出てきています。確かにこれはAIの利用ではありますが、特定のシステム内で固定した用途で使うものであり、AIであるという実感が湧きづらいかもしれません。

次回は、皆さまが気軽に利用できるAIサービスを使った身近な活用法をお伝えします。

8/27(水)第1回スタッフ講習会 歯科衛生士・助手向け 感染予防セミナー

洗浄から滅菌まで感染予防対策をアップデート!

自院の環境に最適な感染予防対策を考える講習会
患者さんもスタッフも安心して歯科医院で過ごせるのはスタンダード・プリコーションをはじめとする感染予防対策の実施によるものです。一方、医院の設備環境や人員配置によって、体制はさまざまです。各医院の体制によっては、理想の予防対策に及ばないこともあるかと思います。
当講習会では、ガイドラインやエビデンスに基づいた対策方法を、基本からお話します。また、講師が臨床現場で培った経験や、数々のクリニックからの相談を受けたからこそ伝えられることを、実例とともにわかりやすく説明します。自院での明日からの感染予防対策をアップデートできる講習会です。歯科衛生士・助手として身に着けたい知識と技術を見直せる機会ですので、ぜひご参加ください。(講師より)

◆日 時 8月27日(水)午後6時30分~8時30分

◆講 師 片山 章子 氏(歯科衛生士・第二種滅菌技師)

◆会 場 協会議室

◆定 員 30名(Web配信はありません)

◆対 象 歯科衛生士・歯科助手

◆参加費 無料

◆予 約 こちらをクリック

◆担 当 経営管理部

歯科用貴金属改定/6月から金パラ引き上げ3,299円へ(+2.1%)

歯科用貴金属改定/6月から金パラ引き上げ3,299円へ(+2.1%)

4月23日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、歯科用貴金属価格の6月随時改定が決定された。

6月1日からの金パラの告示価格は1g当たり3,299円(3,230円から69円引き上げ)、30g当たりでは98,970円(96,900円から2,070円の引き上げ)となる。

保険でより良い歯科医療を/署名提出への”4ステップ”  会員6,000人の「声」で要求実現を

保険でより良い歯科医療を/署名提出への4ステップ

◆「う蝕は減っている」といえるのか

歯科の現状を考える上で、「患者の口腔内がどうなっているのか」ということに焦点を当ててみる。概ね24歳まで、う蝕の有病率は年々減少傾向にあるが、3554歳にかけては有病率100%になる傾向は改善されていない(図1)。仕事や家事、育児などにより多忙となり、口腔のメインテナンスが後回しにされている可能性が高い。

また、高齢者の有病率増加は、8020の推進の結果、残存歯が多くなり、根面う蝕が増加していることがうかがえる。

◆家計が厳しいと患者は受診をやめる

物価上昇に賃金上昇が追い付いていないといわれて久しい。低所得者になるほど医科よりも歯科治療費を切り詰める傾向がある。経済的な理由による治療の中断は、他の調査でも示されている(表1)。この調査では、中断の理由として約7人に1人が「金銭的に余裕がなかった」ことをあげている。

患者は、家計が苦しくなると歯科治療の継続を諦め、医療機関においては患者数が一定程度減る可能性を示唆するものである。患者が歯科医院を受診しなければ、口腔の健康は守れない。

◆会員6,000人で取り組もう

協会は、患者の負担軽減と歯科医療費の総枠拡大などを求める「保険でより良い歯科医療の実現を求める」請願署名を集めて、本通常国会へ提出する活動を行っている(図2・3 参照)。

図3 署名用紙

署名用紙、返信用封筒をご希望の方は、お申し込みフォームまたは電話(運動本部:03-3205-2999)までご連絡ください。

OTC類似薬の見直しで起きる歯科の影響/痛み止め・軟膏・うがい液へ波及必至

類似薬の見直しで起きる歯科の影響/痛み止め・軟膏・うがい液へ波及必至

2025年度予算が3月31日に成立した。これに先立って行われた自公維の三党合意の内容には、社会保険料の負担引き下げを目的とした国民医療費の4兆円削減が含まれ、具体策の筆頭に「OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し」が掲げられている。OTC類似薬をめぐる議論は国会でも始まったばかりだが、ここでは歯科への影響について考察する。

【意外と多い歯科でのOTC類似薬】

医薬品を大きく分けると、①医療用医薬品、②要指導医薬品や一般医薬品などのOTC医薬品―に分類される(図1)。違いの一つは、患者への提供方法であり、①は医師や歯科医師の処方、または処方箋の交付により患者へ薬が提供されるのに対し、②は、薬剤師や医薬関係者から提供された情報に基づき、処方箋なしに患者が薬局やドラッグストアなどで購入できる。

OTC類似薬の定義は明確にされていないが、OTC医薬品で販売されている成分を含んだ医療用医薬品を指すと考えられる。今回の見直しはOTC類似薬を保険から外し、ドラッグストアなどで一般医薬品などとして患者自らが購入することを目指している。歯科領域で考えると、消炎鎮痛剤、軟膏、うがい液などが保険給付外になる可能性を含んでいる。

【保険給付外で増える患者負担額】

OTC類似薬を保険給付外にすると、どの程度、患者の窓口負担が増えるのだろうか。ロキソプロフェンナトリウム60mg錠を頓服で5錠処方した場合を例に考えてみる。薬価は10.1円のため1 錠あたり1点、5錠では5点である。院内処方の場合、処方料42点、調剤料11点、および薬剤情報提供料4点も加わって合計は62点となる。患者の負担金は、3割負担では190円、2割負担で120円、1割負担では60円という試算になる。

一方、ロキソニンS(12錠)のメーカー小売価格は768円のため、5錠では320円である。3割負担の患者では130円分、2割負担で200円分、1割負担の患者では260円分増える試算になる。そのため、特に現役並みの所得がない1割負担または2割負担の高齢者において、より大きな負担増になる。また、子どもについても、東京都の場合は公費負担により通院時の自己負担は無料、または200円が上限となっているが、大人と同様に薬に関する自己負担が生じることになる。

【負担増による受診抑制の懸念】

歯科として懸念すべき点は、窓口負担の増加と患者の負担感の高まりによっておきる受診抑制である。歯科診療代は所得弾性値が高い。家計調査を基に総世帯の年間収入別の診療費をみると、医科は収入が減っても診療費がほぼ変わらないが、歯科の診療費は顕著に下がる(図2)。

そのため、OTC類似薬の保険給付外により窓口負担が上がれば、受診抑制が起きる可能性がある。これでは、国民の口腔の健康は守れない。

▼口腔の健康を守ることこそ歯科医師の役目

口腔の健康を守ることこそ、歯科医師の役目である。協会は、受診抑制や口腔状態の悪化に繋がる動きに大きな関心を持ち、行政や国会議員に適切な対応を求めていく。

来年7月まで全ての後期高齢者に資格確認書/アナログ・デジタル併用が1年延長

来年7月まで全ての後期高齢者に資格確認書/アナログ・デジタル併用が1年延長

◆保険証存続を求める要求  一歩前進か

4月3日に行われた社会保障審議会医療保険部会では、20257月末に有効期限が切れる後期高齢者の健康保険証への対応が検討された。マイナ保険証の利用率は2月時点で26.62%と低調で、85歳以上の利用率は特に低い。医療保険部会では、資格確認書の発行申請が区市町村窓口に殺到する恐れがあるため、マイナ保険証の有無に関わらず全ての後期高齢者に資格確認書を交付する運用を、267月まで継続することが了承された(図1)。

これにより、マイナ保険証がある後期高齢者は、来年7月まで登録解除申請をしなくても資格確認書が発行され、それを使えるようになる。協会は、アンケート調査などから医療現場の混乱を明らかにし、アナログとデジタルの併用を念頭に健康保険証の存続を求めてきたが、一歩前進したといえる。今後、有効期限が切れる国保や社保の加入者に対しても、同様の対応を求める必要がある。

◆電子証明書の更新件数今年は2.57倍に

2025年度に懸念されているのが、マイナンバーカードの電子証明書の更新件数の増加である。5年ごとに電子証明書の更新手続きが必要であるが、24年度は1,076万人だったものが、今年度は2,769万人と対象者が1,693万人も増加する。

電子証明書の更新手続き自体は簡便で、①有効期限の23カ月前に通知書が送付され、②マイナンバーカードなどを持って区市町村窓口に行って手続きをする。更新を忘れると、マイナ保険証は使用できなくなるが、資格確認書が発行される。マイナ保険証の猶予措置も設けられており、有効期限終了後も薬剤などの情報取得はできないが、最大で4カ月間は資格確認ができる。

したがって、更新に関する問い合わせが医療機関の窓口で増える可能性があり、事務負担増加が懸念される。それなら、少なくとも当面は全員に対してマイナ保険証の有無に関わらず資格確認書を発行すべきだが、発行するコストを考えれば、健康保険証を残してアナログとデジタルの併用を続けた方が患者も安心であろう。

協会は引き続き、健康保険証の発行終了に伴う問題点を明らかにし、今後も行政に要求していく。

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)5月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)5月1日号

こちらをクリック▶「東京歯科保険医新聞」2025年(令和7年)51日号

【新聞5月号】

 

1面】

 1.「歯科医療費の総枠拡大を」国会議員へ要請/歯科の諸課題・保険証発行終了後の問題に理解求める

 2.5月末までに再届出をしなければ・外安全1、外感染1 (旧外来環)・口管強(旧か強診)の施設基準が失効してしまいます!

 3.東京歯科保険医協会第53回定期総会ご案内

 4.本会役員の任期満了に伴う役員選挙の公示について/東京歯科保険医協会 選挙管理委員会

 5.「探針」

 6.ニュースビュー

 

2面】

  7.<マイナ保険証>スマホ搭載時期を検討/「」などトラブル対策は進展なし

 8.来年7月まで全ての後期高齢者に資格確認書/アナログ・デジタル併用が1年延長

 9.療担規則義務付けの院内掲示事項/531日までにウェブサイトへの掲載を

10.忘れていませんか?施設基準の再届出

 

3面】

 11.OTC類似薬の見直しで起きる歯科の影響/痛み止め・軟膏・うがい液へ波及必至

12.会員寄稿「声/歯科医師減少時代克服のカギは女性歯科医師の活躍に」船木勝介(ふなき・かつゆき)/練馬区

13.グループ生命保険PR

14.「お詫びと訂正」

 

4面】

 

15.経営・税務相談Q&A No.428「試用期間中の労務の注意点解雇と辞職への対応

16.5月会員無料相談のご案内

17.第40回保団連医療研究フォーラム演題募集

 

5面】

 18.研究会・行事のご案内

 

6面】

 19.保険でより良い歯科医療を/署名提出への“4ステップ

20.教えて!会長!!No.94/歯科衛生士が行う浸潤麻酔

21.歯科用貴金属改定/6月から金パラ引き上げ 3299円へ(+2.1%)

 

7面】

 22.解説/ベア評価料 改善計画書・実績報告書提出期限示される

23.IT相談室「AIとは何か歯科医療界での活用」

24.通信員便りNo.150

25.理事会だより

26.協会活動日誌

 

8面】

 27.インタビュー 文京学院大学名誉教授・法学博士・山下 泰子さん/低迷する日本のジェンダーギャップ解消へ「根本的に転換できる」(前編)

28.神田川界隈「20XX年 歯科技工士がいなくなったら」(理事・森元主税/北区)

 

910面】

 29.共済募集キャンペーン折込

 

1112

 30.運動署名折込

マイナ保険証/スマホ搭載時期を検討  「●」などトラブル対策は進展なし

マイナ保険証/スマホ搭載時期を検討 「●」などトラブル対策は進展なし

4月3日に行われた社会保障審議会医療保険部会では、マイナ保険証のスマホ搭載や、次なる規格の顔認証付きカードリーダーについて検討された。しかし、協会などが行ったアンケート調査で明らかになった「が出る」「資格が無効と表示される」など、医療機関の負担増加につながっているトラブル対策への新たな提案はなかった。

◆スマホ搭載早ければ8月に

今年6月頃より、病院3施設、医科診療所4施設、歯科診療所2施設、薬局2施設程度でスマホ搭載の実証実験を行い、早ければ8月より運用を開始する。読み取りに必要な汎用カードリーダーも示された図1)

汎用カードリーダーの導入は医療機関の任意とされ、義務ではない。これまでのオンライン資格確認システムで起きた混乱を考えれば任意の導入は当然だが、導入済み・未導入の医療機関が混在する。厚労省は、初めて医療機関を受診する際はマイナ保険証も持参するよう呼びかける予定としているが、国民に十分周知できるかが重要である。

なお、今後は導入に対する補助が検討される予定だ。

◆次期カードリーダー現状のトラブル解決できず

さらに、20263月末から現在の顔認証付きカードリーダーが保守期限を随時迎えることを受け、次期顔認証付きカードリーダーの規格も検討された。新しい仕様を決めた後にメーカーを公募し、26年夏頃からの販売開始を見込んでいる図2

仕様をみると、汎用カードリーダーがなくてもスマホを読み取れる機能が加わっている。そのため、汎用カードリーダーを購入すべきか、または次期顔認証付きカードリーダーへの買い替えで対応すべきか、導入費用を負担する医療機関としては、判断に迷うところであろう。厚労省は、助成金もセットで提案するなど分かりやすく適切な提案をすべきである。

また、今回の提案では、「が出る」や「新しい資格情報が反映されず、無効と表示される」といった今現在、医療機関を悩ませているトラブルへの対応策は示されていない。新しい機器を検討することも良いが、まずは現行の顔認証付きカードリーダーで起きている問題に向き合うべきではないのか。

協会は引き続き、現場の声を集め、行政に届けていく。

「歯科医療費の総枠拡大を」国会議員へ要請/歯科の諸課題・保険証発行終了後の問題に理解求める

「歯科医療費の総枠拡大を」国会議員へ要請/歯科の諸課題・保険証発行終了後の問題に理解求める

物価高で国民の生活や歯科医療機関の経営は苦しくなっている。患者の窓口負担軽減と歯科医療費の総枠拡大を求め、416日に早坂美都副会長が国会議員へ要請を行い、健康保険証の発行終了後に起きている問題も訴えた。さらに、前厚生労働大臣の武見敬三参議院議員を表敬訪問した。

早坂副会長は、口腔が健康な患者の医療費や介護費は、健康でない患者よりも低いとの調査結果を紹介しつつ、高齢者のう蝕や歯周病の有病率は増加傾向であると説明。歯科は医科よりも経済的な理由で診療を中断する場合が多く、患者負担の軽減と歯科医療費の総枠拡大は国民の健康の観点からも重要であるとした。

また、マイナ保険証の利用率は昨年122日の健康保険証の発行終了後も低調であり、その背景には国民がマイナンバーカードの紛失などに不安を感じているからではないかと指摘。全国保険医団体連合会が実施したアンケートでも、医療機関の業務負担が増えているという結果が出ており、健康保険証の存続や併用を求める声が多いことなどを紹介した。

塩村あやか議員/左

川田龍平議員/左

田村まみ議員/左

牧山ひろえ議員/右

武見敬三議員/右

◆活発な意見交換を展開

要請では活発な意見交換が行われた。協会の提案に対して、国会議員からは「口腔の健康が全身の健康に寄与する話はよく聞いている」「マイナ保険証の利用率は低く、保険証の発行終了はもっと丁寧に進めるべきだった」と概ね賛同する意見があった。一方で、「医療職の人手不足が懸念される中、独居老人が激増する。医療提供体制の維持には、スマートウォッチなど、デジタルによる健康管理ができる仕組みは不可欠」「歯科予算の拡大は理解できるが、財源の捻出も重要。その点で、デジタル化による効率化は推進すべき」「マイナ保険証には医療費控除が簡単になるなどのメリットもある。デメリットが強調されすぎではないか」との指摘もあった。

協会は、国会議員や行政との意見交換を通じ、現場の声を届けつつ、歯科への理解を深めてもらうとともに、国民と歯科医療機関をめぐる諸課題を解決するべく要請を行っていく。引き続き、協会の諸活動へのご協力をいただきたい。

療担規則義務付けの院内掲示事項/5月31日までにウェブサイトへの掲載を

療担規則義務付けの院内掲示事項/5月31日までにウェブサイトへの掲載を

療養担当規則の中で、保険医療機関に院内掲示が義務付けられている事項については、原則として5月31日までにウェブサイトに掲載しなければならない。ただし、自ら管理するウェブサイトを有していない場合は対象外となる。
従来から院内掲示が必要とされていたものを含め、歯科においては以下の三つの事項が「院内掲示事項及びウェブサイト掲載事項」として定められている(表参照)。

(1)厚生局に届け出た施設基準に関する事項と施設基準の要件で院内掲示が定められている事項がある。厚生局に届け出た施設基準については、療養担当規則により、院内掲示およびウェブサイトへの掲載が義務付けられている。また、施設基準の要件として、院内掲示およびウェブサイトへの掲載が定められている事項(医療情報取得加算、明細書発行体制加算など)がある。
(2)明細書の発行状況については、明細書発行体制加算の算定の有無にかかわらず、発行体制の有無、手続きや費用徴収の有無などを院内掲示およびウェブサイトに掲載しなければならない。
(3)保険外負担に関しては、①物品の販売などであって患者から費用の支払を受けるものに関する事項として、義歯の名入れ、カルテ開示の開示手数料などがある。②保険外併用療養費については、関東信越厚生局に報告している事項がある。
なお、当会のホームページに掲載すべき事項について解説をしている。また、デンタルブックからは、院内掲示ポスターをダウンロードできるので、院内掲示とともに自院のウェブサイトに掲載する際に活用していただきたい。

【インタビュー】山下 泰子氏(文京学院大学名誉教授・法学博士)

【インタビュー】低迷する日本のジェンダーギャップ解消へ 「根本的に転換できる」(前編)/山下 泰子氏(文京学院大学名誉教授・法学博士)

 「戦後民主主義教育の洗礼を受けた」―。戦中・戦後と歴史的な社会の変化とともに幼少期を過ごす中で、自らの人権意識が醸成されたと語る文京学院大学・山下泰子名誉教授(86歳)。社会に出た時の経験をきっかけに、ジェンダー法の道を歩むようになり、現在も女性差別撤廃条約の選択議定書批准を目指し、精力的に活動する。2回にわたり、日本のジェンダー問題や課題解決に向けた取り組みについて聞いた。聞き手は、協会の早坂美都副会長。

―ご自身の生い立ちやジェンダー問題に関心をもったきっかけを教えてください。

1945年に国民学校に入学し、終戦を迎えた8月15日を境に教科書を墨塗りして使うようになり、小学生ながらに価値観の転換を体感しました。1947年に日本国憲法が施行され、基本的人権や男女平等についてしっかり学びました。そんな中、中央大学法学部を卒業しても、4年制大卒の女性の就職は厳しく、ようやく採用された貿易会社も、社員教育から男女差別がありました。毎日、お茶くみと社長のお昼のお運びに明け暮れて、1年で退職。大学院に戻って国際人権法を学ぶことにしました。

戦時中の教科書―終戦とともに価値観の変化が訪れた

―社会の変遷やご自身の原体験が今の活動に通じているのですね。その後はどのような歩みを。

1979年に国連で女性差別撤廃条約が採択されたのを機に、条約に関する研究を始めました。1985年5月、国会で女性差別撤廃条約批准案件の審議中に、国際法学会で「女子性差別撤廃条約における男女平等」を報告。同年7月、ケニアのナイロビで開催された第3回世界女性会議NGOフォーラムに参加し、圧倒的な女性たちのエネルギーに接し、「女性の力が社会を変える」と確信したことから、女性差別撤廃条約を研究テーマに決めました。振り返ると、人生のターニングポイントで社会的な矛盾を感じたことが、私を女性差別撤廃条約の研究に向かわせたのだと思います。

―改めてジェンダーについて教えてください。
ジェンダーとは、「生物学的な性・セックス(sex)」に対する、「社会的・文化的に構築された性別(gender)」とされています。ジェンダーの概念は、日常生活の中に組み込まれ、考え方や振る舞い方の中に潜む性差別=男性優位の考え方を形成し、家父長制の基盤となっているものだと考えます。しかし、これは人間が生み出したものなので、根本的に転換できるはずです。国際社会におけるジェンダー平等に向けた取り組みの加速に反して、日本は取り残され、世界経済フォーラムの「Global Gender Gap Report」2024年版で、世界146カ国中118位と低迷しています。

―日本の課題はどこに。

2024年10月、日本における女性差別撤廃条約の実施状況の審議が、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW、於ジュネーブ)で行われました。その結果、60項目の「総括所見」が日本政府に示されました。総括所見には、2年以内に勧告を実施するための措置を取り、CEDAWに報告しなければならない項目が4つあります。
1つ目は、選択的夫婦別姓の導入。夫婦の姓については、総括所見で民法の改正を要請されるのが今回で4回目です。1996年には、法制審議会の改正要綱までできていますが、それからでも29年が経過しており、対応が遅すぎます。約95%もの女性が旧姓を失って困難に直面している事実に向き合うべきです。
2つ目は、暫定的特別措置として女性の立候補時の供託金の減額。ずばり「女性が国会議員に立候補するために必要な300万円の供託金を減額すること」を勧告しています。
3つ目は、緊急避妊を含む安価で近代的避妊法へのアクセス。16、17歳の少女が避妊薬を入手するために親の同意を得るという要件を撤廃することを含め、すべての女性と少女に、緊急避妊薬を含む安価な近代的避妊法への適切なアクセスを提供することを勧告しています。中絶の方法にも問題があります。
4つ目は、妊娠中絶における配偶者の同意要件の削除。世界203カ国・地域のうち、配偶者の同意が法的要件とされているのは、日本ほか11カ国のみ、G7では日本のみです。国際基準から遅れている日本の状況を変えなければなりません。

―女性差別撤廃条約に関する運動の展開を。

これまでに「女性の権利を国際基準に」という点を念頭にNGO団体を3つ設立しました。まず1997年設立の「国際女性の地位協会」。条約の研究・普及を目指して条文のコンメンタール(法律文書に対する注釈書)2冊とその英訳他、研究成果の出版、年報の発行、シンポジウムの開催などを通じ、国際的な動向を周知するよう努めてきました。2つ目は2002年に結成した「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク」。CEDAWにNGOレポートを提出し、日本の実施状況についての審議がある時には、ニューヨークやジュネーブに傍聴に行き、その結果の総括所見を政府が実行しているかをウォッチし、評価表を作成してCEDAWに提出するなど、差別を受けている女性とCEDAWをつなぐ役割を担っています。3つ目は2019年結成の「女性差別撤廃条約実現アクション」で、「選択議定書の批准」をシングルイシューにしています。日本が女性差別撤廃条約を批准してから40年経過しますが、条約の実効性を高めるための「選択議定書」は批准していません。批准により「個人通報制度」「調査制度」が有効になります。条約上の権利が侵害されて、最高裁まで行っても救済されない場合には、個人通報制度を利用して、直接、個人がCEDAWに申し立てをすることができるようになります。CEDAWは裁判所ではないので、出される「見解」(勧告)に法的拘束力はありませんが、各国政府によって65%ほどは実行されています。

2024年10月、ジュネーブで行われた国連女性差別撤廃委員会を傍聴した日本女性差別撤廃条約NGOネットワークの一団(写真提供:JNNC)

―日本が長らく選択議定書に批准しないのはなぜでしょうか。

最大の要因は、ポリティカル・ウィル(政治的意思)がないことです。2024年10月のCEDAWでの日本報告審議の際、選択議定書の批准について、日本政府の対応状況やタイムライン(見通し)について尋ねられた外務省の担当者は、「23回にわたり、個人通報制度関係省庁研究会を開催するとともに、諸外国における個人通報制度の導入前の準備や準備の実態などについて調査などを行っています。(中略)引き続き政府として各方面から寄せられる意見を踏まえつつ、早期締結について真剣に検討してまいりたいと考えてございます」と回答しました。ここ数年の国会答弁とまったく変わらず、NGO席から失笑が漏れました。タイムラインについては、2020年の事前質問事項で聞かれているのに、4年経っても進展がなく、真剣に検討しているとはいえません。
(後編へ続く)

Profile
やました・やすこ/東京都生まれ。法学博士、文京学院大学名誉教授、ジェンダー法学会元理事長。国際女性の地位協会名誉会長、日本ネパール女性教育協会理事長、男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰(2015)、外務大臣表彰(2017)。

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