年別アーカイブ: 2025年

自維連立合意文書/物価高騰対策の対象に「診療所」の記載がない!  診療所の厳しさを署名で国会に届けよう

自維連立合意文書/物価高騰対策の対象に「診療所」の記載がない! ―診療所の厳しさを署名で国会に届けよう

◆10%以上の引き上げ必須

物価と人件費の高騰により、多くの医療機関の経営が圧迫されている。いま協会が集めている署名には、続々と現場の窮状を訴える意見が記述されている()。

多くの歯科診療所で以前にも増して医業収益が厳しくなっており、職員の給与の引き上げはおろか、新しい医療機器、備品などの交換が滞り、提供する歯科治療への悪影響が生じかねない状況に懸念を呈する声が多数寄せられている。

その改善に向け、署名の要請項目に10%以上の診療報酬引き上げを掲げておりその実現は必須だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自維合意文書で歯科診療 所は物価対策の対象外に

診療報酬を大幅に引き上げるためには、現状を多くの国会議員に伝える必要がある。自由民主党・日本維新の会の連立政権合意書の社会保障政策では「昨今の物価高騰に伴う病院及び介護施設の厳しい経営状況に鑑み、病院及び介護施設の経営状況を好転させるための施策を実行する」と明記されている。

物価高対策は病院と介護保険施設に限定され、診療所は対象外とするような書きぶりである。現場の声は国会議員に届いているのだろうか。

◆QRから署名を!

この状況を受け、早坂美都会長が、11月に署名を携え国会議員へ要請を行う予定である。ぜひとも、署名と現場の声を1117()までにWEBでお寄せいただきたい。

新規開業医講習会を開催/新規個別指導の指摘項目を詳解

新規開業医講習会を開催/新規個別指導の指摘項目を詳解

◆9月からの変更点も

協会は9月28日、ワイム貸会議室高田馬場で新規開業医講習会を開催。31名が参加し、9月以降に新規個別指導を受ける開業医や勤務医、今後新規や遡及による開業を予定している勤務医、集団的個別指導後に改めて保険請求やカルテ記載を学ぶことを目的にベテラン開業医などが集まった。講師は、協会の加藤開副会長、濱崎啓吾理事、重松健吾社保・学術部員が務めた。

加藤開副会長



濱崎啓吾理事


重松健吾社保・学術部員

 

 

 

講習会は、新規個別指導計画(年6回、264件)を示し、指導通知が届いてから指導日までに準備すべきことを説明。特に、持参物の確認、指導時の指摘項目などを具体的に解説した。また、2024年度の新規個別指導では1割以上が「再指導」となったこともあり、開業時からの適切なカルテ記載と保険請求の重要性を強調した。

そのほか、保険と自費の混合診療の考え方、歯周治療と補綴までの流れ、協会に多く寄せられる質問のうち、CAD/CAM冠の適用なども説明した。

これまで新規個別指導では、指導通知同封の「保険医療機関の概要」を指導日当日に提出する形式であったが、本年9月実施分の新規個別指導から、指導日の2週間前までに「保険医療機関の現況」を提出する形に変更された。

この現況については、①医療機関の休診日・診療時間、施設基準の状況などを記載する「保険医療機関の概要」、②採用・退職などを記載する「保険医、歯科衛生士等の概要」、③患者受付から会計までの診療業務などの流れ図と診療報酬明細書などの作成から審査支払機関に請求するまでの診療報酬請求業務の流れ図―があり、事前に関東信越厚生局東京事務所(以下、厚生局)または東京都保健医療局に郵送あるいはメールで提出する。

このほか、④訪問診療を行っている場合は「歯科訪問診療の状況」、⑤電子カルテを使用している場合は「医療情報システムの概況等」―も併せて提出する。この④⑤に該当する医療機関は注意が必要である。

なお、個別指導でも同様の運用が行われているので、提出書類の様式は厚生局のホームページまでご確認いただきたい。

以前は、指導通知や対象患者の通知は簡易書留で送付されていたが、現在は特定記録郵便で送付されている。

特定記録郵便は、受取人の配達記録(受領印の押印または署名)が不要であり、郵便受箱に投函されるため、新規個別指導や個別指導の指導通知、事前に指定される対象患者の通知を見逃す恐れがある。これから新規個別指導が予定されている会員は、特に注意が必要である。

◆講師が不安を解消

次回の新規開業医講習会は2026118日㈰に開催を予定し、指導に関する運用上の変更点や最新の情報を解説する。

新規個別指導を控えている会員は、ぜひ参加いただきたい。

関東ブロックが緊急決起集会を開催/診療報酬の大幅引き上げで物価高騰・賃上げに対応を

関東ブロックが緊急決起集会を開催/診療報酬の大幅引き上げで物価高騰・賃上げに対応を

10月12日、保団連関東ブロック協議会の主催による「地域医療をなくすな!緊急決起集会」が開催され、関東9協会の医師・歯科医師・事務局をはじめ、関連団体、WEB参加を含む194名が参加した。

集会には、小池晃参議院議員(共産)、谷田川はじめ衆議院議員(立憲)が会場に駆け付け、「地域医療を守るために診療報酬の引き上げを」「物価高騰・賃上げに対応できる報酬改定が必要」「OTC類似薬の保険外しは、絶対に許してはならない」など、力強い挨拶を行った。

続いて、関東ブロック9協会の代表役員から小池議員、谷田川議員に対し、3,425筆にのぼる「すべての医療機関を守るため診療報酬の大幅引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」を手渡した。

また、栃木県医師会、横浜市医師会、川崎市医師会などからのメッセージ紹介のほか、国光あやの衆議院議員(自民)、阿部知子衆議院議員(立憲)、梅村聡衆議院議員(維新)、上月良祐参議院議員(自民)、小西洋之参議院議員(立憲)のビデオメッセージを披露した。

協会の加藤開副会長

各協会からは、地域医療を取り巻く厳しい実情と今後の運動方針が報告された。当協会からは加藤開副会長が発言し、「東京の歯科医療機関では、物価高騰と人手不足が深刻化している。根底にあるのは低い診療報酬水準であり、2年に一度の改定では追いつかない。患者や国民の歯科口腔保健を守るため、歯科保険医療機関の経営を守るためにも、診療報酬の緊急引き上げと患者窓口負担割合の引き下げが必要である」などを強く訴えた。

その後、栃木県保険医協会の天谷静雄副会長から緊急決議案が提案され、満場の拍手で採択された。最後に司会の呼びかけで「頑張ろうコール」が行われ、参加者全員が拳を高く掲げ、「次期診療報酬の大幅引き上げを目指し、頑張ろう!」と力強く唱和した。茨城県保険医協会の高橋秀夫会長の閉会挨拶後、集会は盛況のうちに終了した。

緊急決起集会の会場内の様子

今後も、「診療報酬の大幅引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」への取り組みを継続していく。署名はWEBでも可能なので、ぜひ一人でも多くの会員の先生にご協力いただきたい。FAXでの署名を希望する場合は、協会運動本部(TEL 03-3205-2999)までご連絡を。

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信②-AIモードを活かしたHP広報-

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信②-AIモードを活かしたHP広報-

2025年9月からGoogleの検索エンジンで「AIモード」が提供されています。Googleのトップページの検索語を入力する部分の右側にある、音声検索のマイクのマーク、画像検索のマークの右に「AIモード」とあるのに気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

◆検索とAIが統合される
すでにAIを使っていただいている方はお分かりのこととは思いますが、GoogleのAIモード操作方法や回答の内容などは、Googleが提供している対話型AIの「Gemini」に似ています。違いは、表示がリッチで親切なことです。
そして、回答画面のリンクをクリックすると分かりますが、なかなか元となるホームページにはたどり着きません。

◆まとめ情報に
 自院のコンテンツを追加 前回もお伝えしましたがAIを含む現在の検索エンジンは、検索エンジンが提供するまとめ情報へのアクセスを重視しており、結果として診療所などが運営しているホームページへのアクセスは、大きく減っています。
この状況への対応策の第一歩は、検索エンジンが提供するまとめ情報、GoogleですとGoogleビジネスプロフィールにコンテンツを追加することです。Googleビジネスプロフィールは、アカウントを登録すると自院の登録内容を変更でき、自院の診療内容やブログの更新などを登録できます。
ホームページへのアクセスが減る方向に対抗するのではなく、検索エンジンが提供するまとめ情報を豊富にすることで、時代の流れに乗りながら自院の診療内容をアピールするようにしてはいかがでしょうか。
今回はGoogle検索を例に取りましたが、MicrosoftやYahooでも同様です。
次回以降も、AI時代の情報発信についてお伝えします。

クレセル株式会社 (東京歯科保険医新聞2025年11月号6面掲載

連載/協会探訪 その③ 「保険請求と学術/強い味方の<社保・学術部>」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

連載/協会探訪 その③ 「保険請求と学術/強い味方の<社保・学術部>」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

協会の「社保・学術部」は、理事会の執行機能を補佐する専門部のうちの一つで、おそらく、会員の先生方にとっては、一番なじみのある部署ではないでしょうか。

社保・学術部は、診療報酬の正しい解釈や算定・請求方法の解説をはじめとした医療保険制度全般に関する事項の全て、および学術関連情報の提供なども担当しています。役員・部員21名を中心に、会員サポートを行っています。同じ臨床医だからこそ共感できる懇切・丁寧な相談体制の構築を常に心がけています。保険請求や返戻・査定の電話相談は年間1万件以上あり、事務局が主体となって対応しています。

たくさんの相談を受ける中で、納得できない審査については、審査支払機関への改善要求につなげています。

◆社保と学術を統一した部署は協会ならでは

①多数の会員が参加した2018年4:月の「新点数説明会」の様子です。来たる2026年度診療報酬改定でもこの説明会を開催しますが、改定内容の趨勢は本年末の2026年度政府予算案の決定にあわせて明らかになります。大事な情報は協会機関紙、ホームページデンタルブックメールニュース、F-nexで適時お知らせします

2年に一度の診療報酬改定の際には、テキストを作成し、「新点数説明会」を開催しています(写真①②)。参加経験をお持ちの先生は、かなり多いことでしょう。私も会員になってからは、欠かさず参加しております。

②新点数説明会の質疑応答で受けた質問は、会場内の控室で役員と部員、事務局の担当者が共同で対応。回答が準備できると、会場へ戻り即答します。表には出ない、舞台裏の地道な作業です

コロナ禍以降は、密集を避けるため事前申込制を基本としましたので、会場から参加者があふれるようなことはなくなりましたが、やや以前の2006年度改定時の新点数説明会では、座席が足りなくなり、会場内の通路や階段、さらには場外の廊下に座って受講するほどでした(写真③④)。新点数説明会の会場では、レセプトコンピュータや医療機器などの展示説明のほか、共済制度の案内も行っています。

最近の返戻・査定の傾向や個別指導と新規個別指導の現状などを解説するための社保研究会が今年の8月末に開催されましたが、社保・学術部が担当です。

学術関連では、翌日からの診療に活かせる歯内療法や歯周治療などベーシックなものから最先端治療まで、各分野を代表する講師を選定し、定期的に学術研究会を開催しています。

社保と学術を統一した部署は、協会ならではの存在です。歯科では保険請求と学術は関連があります。歯科では自費治療もありますので、複合的関係性を統一的に捉えた活動を行っています。

③この写真は2006年度改定時の新点数説明会会場です。席を取れなかった先生方が、座席最後部の通路にぎっしりと座り込んでいます。それでもあふれた先生方には、廊下で聞いていただく事態となってしまいました。ご迷惑をおかけしました

 

 

 

 

 

 

◆健康保険証は国民皆保険制度の象徴

さて、保険請求の基となっている健康保険法は1927年に施行されましたが、当時はまだ歯科医療は大変贅沢な医療でした。歯科医師数も少なく受診率も低かったのです。その後、61年に国民皆保険制度が実現し、誰もが医療サービスを受けるための手段として健康保険証が発行されました。2512月には、その国民皆保険制度の象徴ともいえる健康保険証が廃止(制度は存続)されようとしています。

健康保険制度の成り立ちについて、要となる事柄を振り返り、大きな流れを把握することは決して無駄なことではありません。そのことは、また別の機会に解説させていただこうと思います。

談話「患者の安心を守るためにOTC類似薬の保険適用除外に慎重な議論を求める」

談話「患者の安心を守るためにOTC類似薬の保険適用除外に慎重な議論を求める」

談話「患者の安心を守るためにOTC類似薬の保険適用除外に慎重な議論を求める」

日々、患者と向き合う私たち歯科医師にとって、患者が安心して受診できる環境を守ることは極めて重要である。

政府が骨太の方針2025で示した「OTC類似薬の保険給付の見直し」、すなわちOTC類似薬を保険適用から除外する政策は、患者の安心と医療制度への信頼を揺るがすおそれがある。政府・与党は、この施策により軽微な症状での受診を減らし、医療現場の負担軽減や社会保障費の抑制につながると説明しているが、実際には以下のような懸念がある。

 重症化リスクと医療費の増加

OTC類似薬が保険適用外となると、経済的負担を理由に受診を控える患者が増える可能性がある。その結果、初期段階で治療を受けられず、病気が重症化してから受診するケースが増加し、かえって医療費や医療現場の負担が増える恐れがある。

また、国の負担は削減されたとしても、自己負担分は大幅に増え、国民全体の医療費はむしろ増加する。実際に、難病を抱えており、塗り薬や飲み薬が欠かせない方のケースでは、月の自己負担が3千円から約20万円に増えるとの試算もある。子どもの場合は、保険診療の窓口負担分の多くが自治体で助成され医療費は抑えられているが、OTC類似薬が保険適用外となれば、助成の対象からも外れるため、子育て世帯には大きな負担となる。

患者の安全確保と服薬管理の問題

現在、処方薬は医師・歯科医師による診断と服薬指導を受けた上で使用するが、OTC類似薬を自己判断で購入・使用する場合は、服薬管理が不十分となり、飲み合わせによる副作用や誤飲事故が発生するリスクがある。さらに、適切な薬剤選択や用量調整ができず、治療効果が不十分になることや、不適切な抗菌薬使用による薬剤耐性菌の増加などにつながりかねない。

特に高齢者や複数の疾患を抱える患者では、服薬内容が複雑になるため、医療者による確認が不可欠である。

マイナ保険証との整合性

国は、マイナ保険証を通じて過去の診療情報や薬剤情報を共有し、質の高い医療を実現することを目指している。しかし、OTC類似薬が保険適用外となると、それらの使用情報が診療記録に反映されないため、患者の服薬状況を正確に把握できなくなり、国が推進する「データを活用した安全な医療」の理念と整合しない結果を招く恐れがある。

歯科診療における影響

歯科診療においても、術後の消炎薬や口腔内の殺菌を目的としたうがい薬など、OTC類似薬とされる薬剤が用いられている。れらが保険適用外となると、患者が自己判断で薬剤を購入することで、適切な服用や衛生管理が行われにくくなり、術後感染症や副作用のリスクが増加するなど、安全性の低下につながる可能性がある。

さらに、患者負担の増加は、経済的理由による受診抑制が増加する可能性がある。特に歯科は所得が減ると受診控えが起こりやすいと言われているため影響が大きく、口腔健康の悪化が全身の健康に影響を及ぼす可能性も高い。

医療現場への影響

冒頭でも触れたが、政府・与党は、OTC類似薬を保険適用から除外することで、軽微な症状の患者受診を減らすことができ、医療現場の負担軽減や医療費の抑制が図れると説明しているが、OTC類似薬が保険適応外になったからといって、必ずしも軽症患者が受診を控えるとは限らない。むしろ、患者に市販薬の選び方や使用方法を説明する必要が生じるため、医療現場の業務が複雑化する可能性がある。

また、市販薬は一度に複数錠単位で購入する必要がある場合が多く、必要量以上の薬剤が手元に残り、無駄な医薬品が増えることも懸念される。

結びに

社会保障費の抑制や医療現場の負担軽減は重要な課題だが、社会保障費の抑制を名目に患者負担を増やすのではなく、医師・歯科医師による適切な診断と処方を通じて重症化を防ぎ、医療費全体を抑えることこそ重要である。

私たち歯科保険医は、国民皆保険制度を守り、患者が安心して治療を受けられる環境を維持するため、慎重な議論を求める。

2025年10月9日

東京歯科保険医協会

政策委員長  松島 良次

退き際の思考/「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会(宮 優子さん【後編】)

退き際の思考/「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会(宮 優子さん【後編】)

「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会

                             宮 優子さん―【後編】

歯科医師としての“引退”に着目した本企画。すでに歯科医療の第一線を退いた先生らにお話を伺い、引退を決意した理由や医院承継、閉院の苦労などを深堀りする。ここでは、今年4月をもって歯科医師を引退した宮優子先生(68歳)の後編。医院の譲渡や、協会との関わりについて伺った。

―前編では医院をM&Aで譲渡したことについて触れました。実際のM&Aの手続きについて教えてください。

M&A業者2社に登録して、譲渡先1件と面談、もう1件からもオファーをいただきましたが、これは残念ながらお断りしました。その後に最終的な譲渡先からのオファーがありましたので、計34件ほどの中から決めていった形です。譲渡に当たっては、「承継ノート」を作り、必要な情報をまとめました。また、従業員に対しては、従来の雇用条件を維持する方向性を伝えていたので、その点は問題なく進めることができました。

 

―譲渡先とはどのようなやり取りを。

これまでは個人の歯科医院ということもあり、慣習的にやってきたルールなどを改めて明文化する作業が必要で、ここが譲渡先との調整に時間を要した部分でした。過去に出した施設基準の届出書類などを揃えたり、譲渡先の医院に共有したりすることや、従業員の雇用契約書について合意形成を図る作業も大変でした。分からない点は、関係機関や業者などに問い合わせ、確認しながら解決しました。

― 歯科医院には取引業者も多いと思いますが、そのあたりの連絡は。

3年くらい前から「いつになるかわからないけど、引退する方向です」と雑談の中でなんとなく業者さんに伝えていました。また、引き継いでくださった院長先生が、私が引退することを改めて業者さんに周知してくれていて、担当者などからお礼のメッセージなどをいただきました。

◆「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会

―会員として23年、協会に入会した理由は?

手頃な会費で相談に応じてくれるので、開業当初に入会を決めました。返戻や医院経営の相談ですごく重宝していました。助成金申請でも手続きが分かりづらく、「どこから手を付ければいいの?」という状態の時にサポートしていただいたので良かったと思っています。そして、特にお世話になったのは自院に税務調査が入った時でした。当時は、診療をしながら、毎日のように税務署への対応もするため、どうすれば良いのか分からず困っていました。そこで協会に相談したところ、税理士さんを紹介してくださいました。それまでは自分だけで税務処理をやっていて不足していた部分があったので、すごく助かりました。それ以降、その税理士さんと顧問契約をして支えてもらいました。

―講習会にもよく参加されたとか。

協会の講習会は夜に行われることが多いので、土日に診療していたりトライアスロンのトレーニングをしている私からすると、とても参加しやすく利用していました。医院の譲渡にあたっても協会主催の経営管理研究会「歯科医院の事業承継・継承の実態とポイント」(202312月開催)を受講して、参考にさせてもらいました。

― 三大共済制度(グループ生命保険、休業保障、保険医年金)も活用していただきました。

かつて主人が亡くなった際に、保険に何も入っていなかったんです。最初は風邪のような症状でしたが、なかなか治らずに「今年の風邪は長引くね」と話していた矢先に脳炎で倒れ、その半年後に亡くなりました。その時に強く感じたのが、自分に何かあった時に子どもたちや周囲に迷惑はかけられないということでした。それからは、とにかく万が一に備えようと、グループ生命保険や休業保障にも加入しました。保険医年金は、貯金をする感覚で加入していてその面ですごく良かったと感じています。

―現在も歯科医師として従事する同世代の先生にメッセージを。

診療所でのサプライズ誕生会で

歯科界はますますDX化が進み、この数年でも大きな変化がありました。私はその波についていけなかった一人だと思っています。デジタル機器を扱えずにイライラしたり、「やらなきゃいけないけど、どうすればいいの」というのが当たり前でした。でも娘に聞くと、私が半日かけて悩んでいたことを10分で解決してしまう。なんだかガックリしちゃうことも多くありました。そうした世の中の流れの中で現在も診療にあたる先生方は、本当に尊敬しています。今は心が壊れてしまうことも多い時代です。私も長年の診療姿勢が悪く腰椎が変形しましたが、歯科医師は身体に不具合が生じやすいと思うんです。だからこそ、もし経済的に許すのであれば、無理はしないでいてほしいと願っています。また、“仕事が趣味”という先生も多い業界ですが、気持ちを切り替えられる趣味などがあれば良いのかなと思っています。

 

 

 

―ありがとうございました。

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)10月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)10月1日号

こちらをクリック▶「東京歯科保険医新聞」2025年(令和7年)10月1日号

【1面】
1.26年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換
2.署名とともに、「先生の声」をお寄せください/現場の声を国会議員に届けます
3.次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる
4.「地域から医療をなくすな!緊急決起集会」
5.探針
6.ニュースビュー

【2面】
7.2024年度 5年ぶり「高点数」個別指導を実施/萎縮診療せず カルテ記載や請求内容を確実に
8.「保険でよい歯を」東京連絡会/石川都技会長と懇談
9.中医協総会/歯科医療の課題を整理 障害者医療や口腔機能管理など柱

【3面】
10.2026年度東京都予算要望/子ども医療費 10月から所得制限撤廃
11.早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める 関東ブロック協議会・街頭宣伝
12.被爆の歴史を次の世代へ/若者達が被爆者と体験を共有し、学びあう
13.厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性

【4面】
14.経営・税務相談Q&A No.433“ 103万円の壁”撤廃で歯科医院への影響は?
15.通信員便りNo.154
16.10月会員無料相談のご案内

【5面】
17.研究会・行事ご案内

【6面】
18.退き際の思考 歯科医師をやめる(宮優子さん)/「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会
19.共済キャンペーン

【7面】

20.第1回スタッフ講習会/ガイドラインなどに基づく医院ごとの対策を
21.ここがポイント!! 「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ
22.連載/協会探訪その②「運動本部」とは/保険診療の充実に政治への関与は不可欠
23.理事会だより
24.協会活動日誌

【8面】
25.第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〞の高齢化問題も
26.「保険でよい歯を」東京連絡会/イイ歯デー&歯の供養祭開催 巣鴨のとげぬき地蔵尊「高岩寺」で
27.神田川界隈/有病者歯科治療~私たちのできる事、できない事~(理事・川本弘/足立区)
28.東京都支援金情報/医療機関等物価高騰緊急対策支援金、生産性向上・職場環境整備等支援事業

【9・10面】
29.共済部折込

次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる

次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる

9月25日に「いのちまもる9.25総行動」が開催され、医療従事者ら2,200名が日比谷野外音楽堂に集った。開会の挨拶に立った日本医療労働組合連合会の佐々木悦子委員長は、「物価高を背景に、医療機関の倒産が過去最高となっている。また、物価高に賃金が追いついておらず、医療機関などでの人員不足が慢性化している」と訴え、集会を契機に、診療報酬の大幅引き上げなど、各課題解決への取り組みの必要性を訴えた。

日本歯科医師会、日本医師会などからのメッセージが紹介されたほか、立憲民主党・日本共産党・れいわ新選組の国会議員も登壇。「物価が上がっても、診療報酬は2年間固定されて上がることはない。診療報酬の引き上げは必要だ」「多数の医療機関が赤字だと聞いている。この状態が続くことはあってはならない」など、要求に賛同する意見が多数寄せられた。

集会後にはパレードが行われた。参加者からは「診療報酬を大幅に増やせ」「社会保障費を増やせ」などの声が次々に発せられ、通行人に窮状を訴えた。

診療報酬の大幅引き上げを実現するには、秋の臨時国会に併せた諸活動が大きな鍵となる。協会は、医療機関の窮状を打開するため、行政や国会議員に要求を行っていく。引き続き、左上の署名とともに、協会の諸活動へのご理解とご協力をいただきたい。

早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める

早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める

 ◆関東ブロック協議会・街頭宣伝

保団連関東ブロック協議会(以下、関ブロ)は、会議に参加した各協会の会長・理事長が921日の夕刻、新宿駅南口前で白衣の街頭宣伝を行い、道行く人たちに「保険証を復活させよう!」「医療危機、地域医療を守ろう!」と訴えた。

街頭で署名協力を呼びかける早坂会長

当協会の早坂美都会長が「マイナンバーカードには電子証明書の有効期限があり、マイナ保険証を持って医療機関を受診しても使えない場合がある。そういうことが起きないように世田谷区と渋谷区では、資格確認書の一斉送付を決めた。この方法を広めるために東京都知事、東京都内区市町村の自治体宛に資格確認書の送付を求める陳情書・要望書を提出した。署名にも取り組んでいるので、足を止めて協力してほしい」と訴えた。

宣伝では「保険証を使い続けたい」請願署名を折り込んだポケットティッシュを配布、立ち止まって署名に応じる人たちが多数に及んだ。また、「地域住民の医療を受ける権利を保障するために医療機関の維持存続への支援を求める」請願署名への協力もあった。

 

10月12()には、関ブロ主催の「地域から医療をなくすな!緊急決起集会〝経営危機打開のため、次期診療報酬の大幅引き上げを勝ち取ろう〟」を都市センターホテルで開催するので、ぜひ、ご参加いただきたい。

第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〟の高齢化問題も

第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〟の高齢化問題も

協会は912日、第3回メディア懇談会を開催した。広報・ホームページ部の小林顕部長が進行を務め、馬場安彦副会長が議題の説明を担当し、メディア45名が参加した。議題は、東京都予算要請・都議会各派への要請、マイナ保険証・健康保険証関連、診療報酬関連、歯科技工問題など。

 

 

◆健康保険証廃止後の医療機関の混乱

このうち②に関して、健康保険証が廃止された場合に予想される医療機関での混乱について質問が上がった。馬場副会長は、現在でも身体的なハンディから顔認証ができない患者が存在することや、マイナ保険証での受付がスムーズにできない患者への対応でスタッフの業務量が増えていることなどを指摘。また、資格確認方法の混在により、スタッフが混乱しているとした。

◆歯科技工問題では発言多数

次に④では、歯科技工士や歯科技工士教育機関の減少問題などで懇談に入った。参加者からは、いわゆる〝一人技工所〟における歯科技工士の高齢化が進んでいるとの指摘があり、この点を「構造的な問題ではないか」とし、さらに「大きな枠組みの課題が放置されているように見える。世の中的にこの問題が認識されていかなければ解決できない」とした。別の参加者からは、「歯科技工問題の大きな要因は、保険点数よりも業界の産業構造が不採算であることに問題があるのではないか」とのコメントがあった。

連載 協会探訪 その② 「〝運動本部〟とは/保険診療の充実に政治への関与は不可欠」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

連載 協会探訪 その② 「〝運動本部〟とは/保険診療の充実に政治への関与は不可欠」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

東京歯科保険医協会には「運動本部」と呼ばれる部署があります。協会探訪の第2回は、この運動本部を取り上げたいと思います。

運動本部は1997年に「これからも続く医療保険改革に対し、理事会が総力をあげて、その反対、改善運動に取り組めるよう位置づけ設置した」部署です。「国民とわれわれ歯科医師が共同して保険診療を充実させよう」というスローガンを、医療運動の面から進める、協会機構の中でも特別な位置づけとなっています。

現在の運動本部は社会保障制度、医療保険制度の改善・拡充のほか、国民が安心して医療機関を受診できるためのさまざまな活動を行っています。医療保険制度や診療報酬の改善・拡充については、地域医療や臨床の現場で起きている実態や抱えている問題を明らかにし、署名や現場の声とともに、国、東京都、国会議員や都議会議員、関係行政機関に対し要請や懇談などの活動を行います。また、国民が安心して医療機関を受診できるようにする活動では、窓口負担の軽減や改善、そして患者さんがいつでも、どこでも安心して医療・介護を受けられる医療提供体制を作ることを求めています。

ところで皆さんは、歯科医療にかかわる国会質問・答弁を聞いたことがありますか。例えば221019日に行われた第210回国会参議院予算委員会で、比嘉奈津美参議院議員(当時)から歯科医療に対する考えを問われた当時の内閣総理大臣の岸田文雄氏は、「口腔の健康は、全身の健康につながる。子どもから高齢者まで質の高い生活を営むために、口腔の健康が極めて重要であると認識しています。政府としては、生涯を通じた歯科健診の実現に向けた、具体的な検討を進めるなど、今後とも歯科口腔保健に関する施策を積極的に推進していきたいと考えております」と答弁しています。

このように予算委員会では予算の内容だけではなく、「いま優先して考えるべき課題」「判断や意思決定を必要とする重要な論点」などで質疑応答が行われることが多々あります。こうした国会の審議プロセスを経て、年度末の3月末頃に国の予算が採決されます。保険診療のための予算も同様です。ただし、診療報酬に関しては、次年度政府予算案の中の要求項目として扱われます。診療報酬改定率は、毎年12月下旬に、厚労大臣と財務大臣の間で決定され、それに基づき中医協などでの検討を経て診療報酬の内容が決まっていきます。

私が大学を卒業して歯科医師になったばかりのときは、「私たちは治療に専念していれば良いのに、どうして国政と関係あるの?」と思っていましたが、保険診療の仕組みを知るようになってから、徐々にこの点を理解し始めました。保険医の先生方と国民の方々に分かりやすく、かつ健康増進につながる保険診療を実現するためには、国にその必要性を理解してもらう必要があります。そして、そのリーダーシップをとっているのが運動本部です。

東京歯科保険医協会では、歯科保険医療の拡充が必要であることなどを、国会議員が理解を深められるよう議員会館に足を運び懇談や国会内学習会を行い、請願署名を届けています。

このようなことから「保険診療の充実に政治への関与は不可欠」であるのです。

ここがポイント!! /「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ

ここがポイント!! /「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ

国民健康保険(以下、国保)の健康保険証の有効期限が本年9月末で終了し、10月からはマイナ保険証がある患者はマイナ保険証で、マイナ保険証がない患者は資格確認書で資格確認する仕組みになった。

既に有効期限を迎えていた他県では、「資格情報のお知らせ」だけを持参するなどのトラブルが報告されている。

◆来年3月まではオン資で資格確認

「資格情報のお知らせ」は、オンライン資格確認システム(以下、オン資)未導入の医療機関を受診した場合などでも資格確認ができるよう、マイナ保険証と一緒に持参するものだ。ただ、暫定的な措置として、来年3月までは、「資格情報のお知らせ」のみでも国保の患者はオン資を用いて資格確認できる。

オン資による資格確認の流れは、①メニュー画面の「保険証/処方箋で確認」をクリック、②「資格情報のお知らせ」にある保険者番号等を入力、③検索一覧から該当者を選択、④資格情報を入手―となる。

また、有効期限切れの健康保険証を持参した国保の患者の場合も、来年3月末までは同じ扱いである。

なお、社保の患者の場合は、健康保険証が使用できるのは最大で今年121日までである。

◆マイナ保険証を使う意義はどこに?

「資格情報のお知らせ」や有効期限切れの保険証でも資格確認できるのであれば、顔認証付きカードリーダー(以下、CR)を導入してまでマイナ保険証を使う必要があるのだろうか。

なりすまし❞が懸念される場合、オン資に表示される住所などの情報を用いて本人確認する方法が有効だ。マイナ保険証は暗証番号が使い回しされれば、なりすましを防ぐことは困難。また、CRは定期的な買い替えが必要だが、それに対する補助金はない。それならば、全患者に資格確認書を送付し、それを用いてオン資で資格確認する仕組みの方が、なりすまし防止に繋がり、コストの点で医療機関に有利である。

◆全ての国保患者に 「資格確認書」の交付を

協会は、現場の混乱を解決すべく、東京都と全区市町村に対し、全ての国保患者に資格確認書の交付を求める陳情や要望を行っている。資格確認を巡るトラブルなどでお困りの際は、迷わず、協会までご相談いただきたい(☎ 03―3205―2999)。

中医協総会/歯科医療の課題を整理 障害者医療や口腔機能管理など柱

中医協総会/歯科医療の課題を整理 障害者医療や口腔機能管理など柱

中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が910日に開かれた。2026年度診療報酬改定に向け、「歯科医療について(その1)」が主な議題となり、障害者歯科医療、口腔機能管理、多職種連携、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保、デジタル化など、幅広い課題について意見を交わした。

その中で、厚生労働省保険局医療課歯科医療管理官の和田康志氏は、歯科医療の現状を報告し、特に障害者の口腔衛生管理の難しさや専門歯科医療機関の不足、QOLに配慮した口腔機能管理の必要性を強調。また、小児や高齢者で口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の診断基準に該当し、病名が診断されている患者のうち、管理料が算定されていない患者が一定数存在する点も指摘。さらに、歯科矯正相談、有床義歯の構造によって確認や指導事項が異なること、歯周病の安定期治療など、現行の評価や課題を提示した。

多職種連携では、周術期・回復期における口腔管理が評価され、医科や薬局との連携が診療報酬上でも位置付けられてきたことを説明した。人材確保の面では、歯科衛生士が不在の診療所が約4割を占める実態や、歯科技工士の多くが一人経営である現状を報告し、定着・確保の必要性を強調した。デジタル化については、CAD/CAM冠や光学印象による効率化が進む一方、CAD/CAM冠の耐久性の課題を示したが、金属の市場価格の高騰を受け、金属を使用しない治療の選択肢を増やすことの重要性を指摘した。

◆医療側と支払側の見解の相違が浮き彫りに

その後、医療側委員で日本歯科医師会常務理事の大杉和司氏からは、障害者医療やへき地医療、多職種連携、デジタル化の推進を重視する考えを明らかにした。次に、専門委員で神奈川歯科大学教授の小松知子氏は、障害者医療では患者の特性に応じたきめ細かな管理が重要だとした。日本医師会代表の江澤和彦氏は、かかりつけ歯科医の機能強化を提案、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、薬局での口腔チェックや歯科受診勧奨を含めた歯薬連携の重要性を訴えた。また、日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦氏は、回復期・慢性期入院患者での口腔ケアが栄養改善につながると強調した。

一方、支払側委員の健康保険組合連合会理事の松本真人氏は、効率的な歯科医療提供の必要性を強調。障害者歯科医療は専門施設での重点対応が効率的とし、生活の質に配慮した医療も「充実」だけでなく「適正化」を伴うべきと主張。また、歯周病治療の区分が患者に分かりにくい点や、矯正治療の増加に伴う適正運用の必要性も指摘した。

そのほか、歯周病などの管理や治療法が口腔の健康にどのように寄与しているかを継続的にデータ収集し評価することが重要だとし、個人レベルの継続的データ収集を求める意見や、地域での診療所の役割や人材配置、データ収集の必要性を指摘した。厚労省は今後も調査・検証を進め、中医協での議論を重ねる方針だ。

厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性

厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性

物価や人件費の高騰などの影響で多くの医療機関の経営は苦しい。次期診療報酬改定の大幅な引き上げが求められるが、患者の動向や疾病構造の変化に注目した要求も必要だろう。

ここでは、患者層や患者の視点から、次期改定の要求の方向性を考えてみる。

◆患者層からみるポイント

今年7月に厚生労働省が公表した「医療給付実態調査」(2023年度調査)から、全国のレセプト件数の年齢推移をみると、図1となる。レセプト件数のピークは、59歳、5054歳、7074歳であることが分かる。

また、男女の差にも特徴があり、10代までは男女差はほぼないが、20代以上になると女性患者が多い傾向がみえる。

 

 

 

 

 

◆患者は何で選ぶのか?

ところで、患者はどのような視点で歯科医院を選ぶのだろうか。厚労省の「2022年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」(以下、特別調査)の結果によると、受診した歯科診療所を選んだ理由として、「自宅から近い(47.9%)」よりも割合が高い項目に、「信頼している歯科医師がいる(67.9%)」「歯科医師や職員の感じが良い(63.2%)」「定期的な管理をしてくれる(54.6%)」などがある。

つまり、信頼や好印象を得られる患者対応や、分かりやすい説明、適切な定期的管理などを患者は重要視しており、それが実現できるような診療報酬の在り方を求めていかなければならない。

◆患者が求める医療 十分提供できる体制を

患者は、親切・丁寧な治療を求めていることが分かる。しかし、物価や人件費の高騰で一人でも多くの患者を診療しようとすれば、一人当たりの診療時間が減ってしまう。患者が求める丁寧な診療を行うためには、診療報酬の大幅な引き上げが必要である。

協会は、「地域の医療機関を守るため、緊急財政措置と診療報酬の大幅な引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」を集め、近く国会議員に要請を行う。ぜひ、署名にご協力をいただきたい。

連載 協会探訪 その①「東京歯科保険医協会が行っていること/大きな助けに」〝 頼れる〟協会の成り立ち/ 東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

協会探訪 その①「東京歯科保険医協会が行っていること/大きな助けに」〝 頼れる〟協会の成り立ち/ 東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

◆事の始めは「きっかけ」が大事

唐突ですが、先生方が東京歯科保険医協会に入会されたきっかけや動機は、どのようなものだったのでしょうか。

四半世紀前、勤務医だった私の職場では、開業する先輩たちが次々と退職していかれました。その後ろ姿を見つめつつ、「私もいつかは開業することになるのだろうか。でも、開業するにしてもどこから手を付けたらよいのかわからない…」。そんなことを思いつつ、現在のようにウェブで検索するにも、当時は情報量が少なすぎました。

一般会員時代の2013年5月11日に開催された協会「創立40周年特別企画」をスタッフさんと一緒に訪ねた時の1枚です(写真左が私)

そんな時、先に開業した先輩から「保険医協会というのがあるから、調べて電話してみたら良い。自分は神奈川だから神奈川協会に入会したけど、東京にもあるから」とアドバイスをいただきました。

このように、先輩のほか、ご両親の代から入会されている方、勤務先の院長が協会の会員だった方、お知り合いの先生からの薦めで入会された方など、紹介により入会されるケースが多いです。

 

  ◆協会キャッチフレーズと全国51協会・医会、そして保団連

  「保険で安心してきちんとした診療ができるようにしよう」。これは、当協会の長年のキャッチフレーズです (*1)。

当協会は19734月、「歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上をはかることを目的」に設立されました。歯科保険医(*2)の要求に基づく自主的な任意団体という性格を明確にし、今日までさまざまな活動を行ってきました。その結果、発足時の会員数は180名でしたが、25 年8月1日現在では6,032 名となっています。

全国の各都道府県には必ず保険医協会・医会があり、その総数は51。その連合体として全国保険医団体連合会(保団連)があります。保団連は69126日に「保険医の生活と権利を守り、保険医療の向上、医療保障の充実をはかる」ことを目的に結成され、2581日現在、全国では106,002(医科64,110名、歯科41,892名)の医師・歯科医師が入会しています。

開業前の私にとって、当協会は頼れるところだと感じたので、即入会し、新規開業時に指導相談を利用しました。その時の会長は、第2 代会長の大多和彦二先生、指導相談の担当は第3代会長の中川勝洋先生でした。

その後、会員無料相談デーを利用して、機器のリースについての不明点を協会顧問弁護士に相談するなど開業歯科医師人生の大きな助けとなってくれたのが、東京歯科保険医協会でした。

◆「保険医協会」と「歯科医師会」

では、改めて当協会と歯科医師会との違いは何でしょう。当協会には、歯科医師会と当協会の双方の会員である先生と、当協会のみの先生がいらっしゃいます。歯科医師会は公益社団法人であり、国民の歯と口の健康を守る活動をする総合団体です。当協会は、国民皆保険と保険医の生活を守る(*3)ことを目的に結成された任意団体です。公益社団法人と任意団体、大きくこの部分が違います。

現在会員の先生方は、どのような経緯で入会されたのでしょうか。

これから、連載企画として当協会と東京都で開業している先生方との関わり、国や自治体、メディアの方たちとの関わり、それに当たり協会執行部内でどのような活動を行っているかなど、お伝えしたいことを私が協会役員になる前の記憶をたどって書いてまいりたいと思います。

新入会の先生も、会員歴が長い先生も、少し立ち止まって、当協会の進む方向と先生方のポジション、そして、当協会は変貌する歯科医療環境を前に、どのような活動を進めようとしているのか、改めて振り返る機会としていただければ幸いです。

注・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*1 「保険で安心してきちんとした診療をできるようにしよう」は1992年の第20回定期総会議案書の表紙に印刷されたのが始まりだと思います。この文言が掲載された経緯は不明です。

*2   以前勤務医の先生から「自分たちも保険医協会の構成員」である趣旨の発言がありました。それ以来、開業医・勤務医を含めて「歯科保険医」と表現するようにしています。

*3   設立当初の規約の第2条「目的と事業」では「本会は歯科保険医の生活と権利を守り、都民の歯科医療を守る立場を堅持し、医業経営の研究等活動を行う」としていました。1983(昭和58)年の第11回定期総会で「本会は歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上を図ることを目的とする」(現在も同じ)と変更されました。第11回定期総会では同時に、「低下はご免・運動」「130分・運動」「児・産・歯・運動」の三つの運動が提起されました。規約改正はこういった運動の中で行われたものです。

 

 

【プロフィール】早坂 美都(はやさか みと)/ 1965年12月生まれ。19913月 東北大学歯学部卒業、200110月美都デンタルクリニック(世田谷区)開設、同年東京歯科保険医協会に入会。2016年、理事に就任。2017年から広報・ホームページ部長就任し、2023年に副会長就任。2025年第53回定期総会を経て、理事会で第6代会長に選出された。協会設立52年目にして初の女性会長就任。唎酒師(ききさけし)の資格を持つ。

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信①-概論編-

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信①-概論編-

弊社はこれまで、多くの歯科医院のホームページを制作させていただき、定期的にさまざまな分析を行ってきました。その結果に考察を交えて、情報発信の視点からより効果的なホームページを作る方法についてご説明します。

外注し、多額の費用を投じて立ち上げたホームページなのに、ネットの口コミやアクセス数ばかりに気を取られ、一喜一憂してしまう…。これは、医療機関の情報発信のあり方、さらに医療の本質から見ると、良いこととは言えません。改めて自院が地域の口腔の健康をどのように担うかに応じて、ホームページでどのような情報を発信すべきか、その方法を検討してください。        

◆認知経路のトップはホームページではない

これから開業する歯科医院では、院長先生自身が情報発信の重要性を理解しているため、ホームページを作らないことは考えられません。しかし、開業後、年月を経過した医院を中心に、いまだにホームページがない医院もあります。

弊社では、歯科医院の認知経路と来院動機を調べていますが、ホームページは必ずしもトップではありません。来院動機は、昔も今も「前を通って」が多く、紹介や看板、チラシなどの複合的な要素もあります。 

◆重要度減るホームページ

現在のITの世界にはAIが大きな影響を及ぼしており、検索画面の一番上にAIによる要約が出ることが普通になりました。現在の各検索エンジンは、AIによる要約やマップでの一覧、業種別のリスト、プロフィールの表示などで、閲覧者が検索画面を見るだけで情報が得られます。つまり、個別のホームページのアクセスが減る方向に注力しています。

さらに、以前からあるSNSも含め、医院認知経路の多様化も進行しています。

このように、今後も情報発信や認知経路、それらへの対処方法は変わっていきます。         

◆これからの発信方法

次回以降は、効果的な情報発信方法について、4回シリーズでご説明します。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2025年9月号8面掲載)

2026年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換

2026年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換

協会は93日、東京都庁第一本庁舎で、東京都保健医療局および福祉局に対し、2026年度東京都予算などに関する要請を行い、意見交換を行った。協会からは、早坂美都会長、高山史年理事、矢野正明理事が出席した。

要請内容は、歯科医療機関のDX化に対しての支援、物価・人件費高騰に対する財政支援措置、歯科衛生士の復職支援、医院承継への支援、妊婦や子どもへの医療費助成制度の拡充、「いい歯東京」の委託先を全ての歯科医療機関に拡充すること、ハラスメント対策、個別指導対策など16項目。

また、生活保護法における個別指導について、保存義務がない医療要否意見書などの持参は、あくまでも「お願い」であって、罰則を伴うような義務ではないことが東京都から示された。

都要請に臨んだ(左から)高山史年理事、早坂美都会長、矢野正明理事

【子ども医療費10月から所得制限撤廃/東京都の主な回答】

◆子ども医療費完全無償化を要望

子ども医療費の通院1200円の窓口負担の助成について、窓口負担の有無によって、子どもの口腔状況に差があることや、実際に、窓口負担が足かせになり受診できない子どもがいること、東京都で窓口負担が残る自治体はわずかであることなどから、都に対し完全無償化を実施し、全国に広げてほしいと要望した。これに対し、都側は10月から所得制限を撤廃する。自己負担は、本当に医療が必要な方が受診を躊躇しないよう配慮した金額で設定しており、コンビニ受診を防ぐために窓口負担は残す必要があるとの姿勢は崩さなかった。一方、都では国に対し、子どもの医療費について、負担軽減措置の拡充や、医療費助成制度の創設を求めているとの説明があった。

◆デジタル化のセミナー「講習会の活用を」

デジタル化に対し、小規模な歯科医院での利用に特化したセミナーの開催や支援を求めたところ、小規模な医院では人材不足やセキュリティーが課題となっていることに理解を示し、医療DXのセミナーや出張講習会も予定しているため、活用してほしいとの案内があった。

◆歯科衛生士の復職支援研修センター設置を要望

歯科衛生士の復職支援については、歯科衛生士の人材不足が続いており、復職支援が急務であること、復職にはユニットを活用した実習による技術の再習得が不可欠であるため、研修センターの設置を要望。これに対し、現在は歯科衛生士会に委託して研修を実施していること、会場確保は歯科衛生士会と相談しながら調整していることなど回答があった。研修会などの周知は協会でも協力できることを伝えた。

◆「いい歯東京」の推進「パブコメで意見を」

「いい歯東京」の推進について、全ての歯科医師が積極的に関われるような施策を要望したところ、計画時にパブリックコメントを実施しているため、次回の計画時のパブリックコメントで意見を寄せてほしいと返答があった。

◆生活保護の個別指導医療要否意見書の持参は「お願い」扱い

生活保護法の個別指導について、保存義務がない医療要否意見書などは「保存されていない場合は持参不要である」旨を指導通知に記載するよう要望した。都側は、「医療要否意見書により、医療扶助に関する事務取扱や患者の処遇について確認しているため、持参してほしい。医療機関で発行した文書類は控えを取ってあるのが普通であるが、持参をしないことで不当や処分ということにはならない」とし、保存義務がない文書の持参は、あくまでも「お願い」であることを確認した。

【都議会会派への要望も】

協会は東京都要請とともに、都議会各派からの2026年度東京都予算ヒアリング等にも参加している。以下に、既に実施した都民ファーストの会、共産党都議団とのやり取りを紹介する。

《都民ファーストの会》

◆国保加入者全員へ資格確認書の送付を要望

9月8日、2026年度東京都予算要望について、都民ファーストの会東京都議団と懇談を行った。都民ファーストの会からは、議員15名が出席し、協会からは早坂美都会長、高山史年理事が出席した。

懇談に先立ち、協会から26年度東京都予算に関する要望16項目について説明した。

歯科衛生士の研修センターについて「ニーズがどれだけあるのか」「会議室のような場所にユニットを設置し、実習を行った後、撤収するなどの使い方は可能か」など関心を示した。

また、6月に実施された東京都議会議員選挙に向けて、協会が実施した各政党への政策アンケートで、「資格確認書について、渋谷区と世田谷区では、資格確認書を国保加入者全員に発送するが、どのような施策を考えているか」という質問に、都民ファーストの会からは、「一部自治体の先進的な取り組みを横展開できるような事例の周知や技術的支援を行い、都内全域で必要な対応が可能となるよう調整する」と回答を得たことに対し、進捗を質問したところ「プロジェクトチームを作るなど組織づくりを進めている」と現状の説明があった。

《共産党都議団》

◆歯科衛生士・歯科技工士に関する課題など懇談

9月3日、26年度東京都予算要望について、日本共産党東京都議会議員団と懇談を行った。共産党からは3名の議員が、協会からは早坂会長、高山理事、矢野理事が出席し、要請した16項目について説明した。

子ども医療費助成制度の拡充については、「貴会の調査を活用して、都議会で質問を行った。拡充に向けて引き続き頑張りたい」との決意を示した。

また、歯科衛生士の復職支援について「研修は必須なのか」と質問があり、「ブランクがあると技術に不安があり、復帰に踏み切れないことが多い。実技研修があれば自信をもって復職できるし、歯科医師側からも復職についての声をかけやすい」と回答した。その他、歯科技工士が減少している問題、物価高騰対策支援金などの支援金事業、障害者歯科医療についても意見交換をした。

ハラスメント対策について、業界ごとのハラスメント対策の手順書を産業労働局が通知する予定になっているとの情報提供があり、実際に通知された際には、効果が見込めるか、実行性があるかなど意見を寄せてほしいと要望が出された。

2024年度5年ぶり「高点数」個別指導を実施/萎縮診療せずカルテ記載や請求内容を確実に

2024年度5年ぶり「高点数」個別指導を実施/萎縮診療せずカルテ記載や請求内容を確実に

協会が関東信越厚生局東京事務所(以下、厚生局)に対して行った行政文書の開示請求により、2024年度の個別指導は100件(23年度96件)実施されたことが明らかになった。選定理由の内訳は、情報提供44件、再指導51件、高点数2件、その他3件となっている(表1)。

 

 

 

◆「高点数」個別指導を実施

24年度の個別指導は、情報提供15件の計画に対して、約3倍の44件が実施された。指導の実施要領では、「年度途中の情報などにより、早急に指導が必要と認める保険医療機関について、適宜選定委員会において選定の上、実施する」としており、情報提供による指導が優先され、計画より件数が増加した。

また、高点数による指導は8件の計画に対し2件が実施され、19年度の実施以来5年ぶりの実施となり、25年度以降も行われることが予想される。

なお、個別指導の指導結果では「再指導」が23年度の39.5%に対し、24年度は54.2%と14.7ポイント上昇した。これは、新規個別指導の指導結果でも同様で、「再指導」率が増加した(表2(1))。 

◆新規個別指導での再指導は25件

新規個別指導は213件行われた。指導結果の内訳は「概ね妥当」が49件、「経過観察」が137件、「再指導」が25件となった(表2(2))。

新規個別指導の中で指導の「中断」が2件確認された。指導の「中断」は、指定された資料を持参しなかった場合や、指導対象者が保険診療などについて十分な回答がされず、予定時間内に完了できない場合などに行われる。新規個別指導では、指導日の1カ月前に指定される持参物のほか、指導日の1週間前に通知される患者10名分のカルテやX線写真、歯科技工指示書などを持参することになる。指導当日は必ず持参物を確認し、指導に臨むことが重要となる。

◆新規個別指導の提出方法が変更に

今年9月の新規個別指導から、厚生局に提出する資料、その提出方法が変更された。

これまでは指導通知に同封された「保険医療機関の概要」を指導当日に提出していたが、9月以降は同封される「保険医療機関の現況」を指導日の約1週間前までに郵送またはメールで提出することになった。

◆保険請求の正しい知識とカルテ記載こそ重要

指導では、正しい保険請求の知識とその根拠となる適切なカルテ記載こそが、最も重要な盾になる。

協会では、カルテ記載や保険点数の算定要件などを分かりやすく解説する新規開業医講習会を来年1月に開催する。今回変更された提出物の解説も行うので、これから新規個別指導が予定されている方、個別指導などに不安を感じている方は、ぜひ参加いただきたい。

第1回スタッフ講習会/感染予防対策をアップデート  ガイドラインなどに基づく医院ごとの対策を

第1回スタッフ講習会/感染予防対策をアップデート ガイドラインなどに基づく医院ごとの対策を

協会は827日、歯科診療所勤務の歯科衛生士で一般社団法人日本医療機器学会認定第2種滅菌技士®の資格も持つ片山章子氏を講師に招き、第1回スタッフ講習会(歯科衛生士・助手向け感染予防セミナー)「洗浄から滅菌まで感染予防対策をアップデート!自院の環境に最適な感染予防対策を考える講習会」を開催した。会場の協会会議室には、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフ計27名が参加した。そのうち9名は臨床経験が1年未満であったが、10年目以上の参加者も10名が足を運んだ。また、参加理由では「先生から勧められたから」が最も多かったが、「テーマが面白そう」「感染対策の勉強のため」という理由も多くあり、感染予防対策が関心の高い分野であることが示唆された。

片山章子氏

会場の模様と講演中の片山章子氏

片山氏は、勤務先医院における実例や工夫を交えながらガイドラインやエビデンスに基づいた対策方法について詳細に説明し、特に①感染成立の3つの要素(感染源、宿主、感染経路)の連鎖を断ち切ること、②清潔・乾燥、関わる人の意識、③装備(マスク、ゴーグル、フェイスシールド、グローブ)の取り扱いの注意事項、④手洗いの基本事項、⑤診療中の清潔・不潔の区別、⑥診療後の洗浄、消毒、滅菌―などに注意を促した。特に、作動中のオートクレーブ内部の動画は興味深いものだった。

最後に片山氏は、「医院によって事情が異なると思うが、各々の立場で課題を抽出し、根拠を持って改善策を考え実行してほしい」と要望し締めくくり、有意義な講習会となった。

(経営管理部 担当理事/小林 顕)

連載「協会探訪 その①」 東京歯科保険医協会会長 早坂 美都 東京歯科保険医協会が行っていること/「大きな助けに」〝 頼れる〟協会の成り立ち

連載「協会探訪 その①」 東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

東京歯科保険医協会が行っていること/「大きな助けに」〝 頼れる〟協会の成り立ち

 ◆事の始めは「きっかけ」が大事

唐突ですが、先生方が東京歯科保険医協会に入会されたきっかけや動機は、どのようなものだったのでしょうか。

四半世紀前、勤務医だった私の職場では、開業する先輩たちが次々と退職していかれました。その後ろ姿を見つめつつ、「私もいつかは開業することになるのだろうか。でも、開業するにしてもどこから手を付けたらよいのかわからない…」。そんなことを思いつつ、現在のようにウェブで検索するにも、当時は情報量が少なすぎました。

一般会員時代の2013年5月11日に開催された協会「創立40周年特別企画」をスタッフさんと一緒に訪ねた時の1枚です(写真左が私)

そんな時、先に開業した先輩から「保険医協会というのがあるから、調べて電話してみたら良い。自分は神奈川だから神奈川協会に入会したけど、東京にもあるから」とアドバイスをいただきました。

このように、先輩のほか、ご両親の代から入会されている方、勤務先の院長が協会の会員だった方、お知り合いの先生からの薦めで入会された方など、紹介により入会されるケースが多いです。

 

 

 

◆協会キャッチフレーズと全国51協会・医会、そして保団連

「保険で安心してきちんとした診療ができるようにしよう」これは当協会の長年のキャッチフレーズです(*1)。

当協会は19734月、「歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上をはかることを目的」に設立されました。歯科保険医(*2)の要求に基づく自主的な任意団体という性格を明確にし、今日までさまざまな活動を行ってきました。その結果、発足時の会員数は180名でしたが、25 81日現在では6,032 名となっています。

全国の各都道府県には必ず保険医協会・医会があり、その総数は51。その連合体として全国保険医団体連合会(保団連)があります。保団連は69126日に「保険医の生活と権利を守り、保険医療の向上、医療保障の充実をはかる」ことを目的に結成され、2581日現在、全国では106,002(医科64,110名、歯科4,1892名)の医師・歯科医師が入会しています。

開業前の私にとって、当協会は頼れるところだと感じたので、即入会し、新規開業時に指導相談を利用しました。その時の会長は、第2 代会長の大多和彦二先生、指導相談の担当は第3代会長の中川勝洋先生でした。

その後、会員無料相談デーを利用して、機器のリースについての不明点を協会顧問弁護士に相談するなど開業歯科医師人生の大きな助けとなってくれたのが、東京歯科保険医協会でした。

◆「保険医協会」と「歯科医師会」

では、改めて当協会と歯科医師会との違いは何でしょう。当協会には、歯科医師会と当協会の双方の会員である先生と、当協会のみの先生がいらっしゃいます。歯科医師会は公益社団法人であり、国民の歯と口の健康を守る活動をする総合団体です。当協会は、国民皆保険と保険医の生活を守る(*3)ことを目的に結成された任意団体です。公益社団法人と任意団体、大きくこの部分が違います。

現在会員の先生方は、どのような経緯で入会されたのでしょうか。

これから、連載企画として当協会と東京都で開業している先生方との関わり、国や自治体、メディアの方たちとの関わり、それに当たり協会執行部内でどのような活動を行っているかなど、お伝えしたいことを私が協会役員になる前の記憶をたどって書いてまいりたいと思います。

新入会の先生も、会員歴が長い先生も、少し立ち止まって、当協会の進む方向と先生方のポジション、そして、当協会は変貌する歯科医療環境を前に、どのような活動を進めようとしているのか、改めて振り返る機会としていただければ幸いです。

注・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*1 「保険で安心してきちんとした診療をできるようにしよう」は1992年の第20回定期総会議案書の表紙に印刷されたのが始まりだと思います。この文言が掲載された経緯は不明です。

*2 以前勤務医の先生から「自分たちも保険医協会の構成員」である趣旨の発言がありました。それ以来、開業医・勤務医を含めて「歯科保険医」と表現するようにしています。

*3 設立当初の規約の第2条「目的と事業」では「本会は歯科保険医の生活と権利を守り、都民の歯科医療を守る立場を堅持し、医業経営の研究等活動を行う」としていました。1983(昭和58)年の第11回定期総会で「本会は歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上を図ることを目的とする」(現在も同じ)と変更されました。第11回定期総会では同時に、「低下はご免・運動」「130分・運動」「児・産・歯・運動」の三つの運動が提起されました。規約改定はこういった運動の中で行われたものです。

 

 

 【プロフィール】 

早坂 美都(はやさか みと) 1965年12月生まれ。19913月 東北大学歯学部卒業、200110月美都デンタルクリニック(世田谷区)開設、同年東京歯科保険医協会に入会。2016年、理事に就任。2017年から広報・ホームページ部長就任し、2023年に副会長就任。2025年第53回定期総会を経て、理事会で第6代会長に選出された。協会設立52年目にして初の女性会長就任。唎酒師の資格を持つ。

「現場の声」をお寄せください-緊急要請署名のご案内-

物価や人件費の高騰で医療機関の経営は厳しくなっており、次期診療報酬改定で大幅な診療報酬の引き上げを実現しなければ医療現場は更に困窮します。
そこで、診療報酬の大幅引き上げを求める要請署名に取り組んでいます。先生方から多くの現場の声をいただき、直接、行政や国会に届けます。
つきましては、以下のGoogleフォームから詳細をご確認いただき、必要事項をご入力のうえ、「送信」をクリックしてください。

▼現場の声を届ける要請署名はこちらをクリック▼

後期高齢者の窓口負担割合の見直しに伴う配慮措置の終了について

2025年10月1日より、後期高齢者の窓口負担割合の見直しに伴う配慮措置が終了し、2割負担となります。

2022年10月1日より、後期高齢者のうち「一定以上の所得を有する方」の窓口負担割合が2割となると定められましたが、施行後3年間は、外来療養に係る1か月分の負担増が最大でも3,000円に収まるよう配慮措置が導入されていました。この配慮措置については、2025年9月30日をもって満了しました。

これにより、「一定以上の所得を有する方」の窓口負担割合は一律に2割となりますので、ご留意ください。

イメージ図は下記の「参考:後期高齢者の窓口負担割合に関する対応(配慮措置終了前後)」をご参照ください。

参考:後期高齢者の窓口負担割合に関する対応(配慮措置終了前後)
期 間 対象者 窓口負担割合 備 考
2025年9月(配慮措置あり)
(※1)
一定以上の所得がある
75歳以上(後期高齢者)(※2)
原則2割
※外来窓口負担は1か月上限3,000円まで(※3)
実質負担増の配慮措置(緩和措置)
2025年10月〜(配慮措置終了) 一定以上の所得がある
75歳以上(後期高齢者)
2割(全額自己負担) 配慮措置がなくなり、2割負担に完全移行(実質負担増)

※1: 配慮措置期間は2022年10月1日~2025年9月30日まで。

※2: 65~74歳で一定の障害の状態があると広域連合から認定を受けた方を含みます。

※3: 同一の月に複数回受診したことで1ヵ月全体での負担が3,000円を超えた場合も配慮措置の対象となり、後日高額療養費として払い戻しされます。

2025年10月以降の医療DX推進体制整備加算等の取扱い

2025年10月以降の医療DX推進体制整備加算、在宅医療DX情報活用加算の取扱いについて

2025年10月以降の医療DX推進体制整備加算、在宅医療DX情報活用加算の取扱いについて

10月1日以降の「医療DX推進体制整備加算」および「在宅医療DX情報活用加算」の取り扱いについて、7月23日に開催された「第613回 中央社会保険医療協議会 総会」および8月7日に発出された訂正通知(※1)により、以下のとおりに変更されることが決定しました。

※1: 「『基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて』および『特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて』の一部改正について」

医療DX推進体制整備加算

医療DX推進体制整備加算は初診料に加算する点数で、電子処方箋等サービスの有無に応じて、マイナ保険証の利用率により「加算1・4」(45%)、「加算2・5」(30%)、「加算3・6」(15%)に分けられ、算定する点数が異なります。10月以降も電子処方箋の有無や3段階の枠組み、点数は変更せず、利用率実績の割合のみ引き上げられます(下表参照)。

マイナ保険証利用率
電子処方箋の有無
加算の区分 9月30日まで 10月1日~2026年2月28日 2026年3月1日~5月31日
電子処方箋等導入有 加算1(11点) 45%60%70%
加算2(10点) 30%40%50%
加算3(8点) 15%25%30%
電子処方箋未導入 加算4(9点) 45%60%70%
加算5(8点) 30%40%50%
加算6(6点) 15%25%30%

参考:当該加算の算定月と「マイナ保険証利用率」の実績参照期間

医療DX推進体制整備加算の算定月 「マイナ保険証利用率」の実績参照期間
※下記期間の最も高い利用率を用いる
2025年10月2025年5月 ~ 7月
2025年11月2025年6月 ~ 8月
2025年12月2025年7月 ~ 9月
2026年1月2025年8月 ~ 10月
2026年2月2025年9月 ~ 11月

電子カルテ情報共有サービス

当該加算の施設基準である「国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有していること。」について、2025年9月30日までの経過措置が設けられていましたが、電子カルテ情報共有サービスの「医療法等の一部を改正する法律案」が未成立であることから、2026年5月31日までに延長されています。

【連載】退き際の思考/傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる(宮 優子さん【前編】)

退き際の思考/傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる(宮 優子さん【前編】)

 傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる

宮 優子さん―前編

 歯科医師としての“引退”に着目した本企画。歯科医療の第一線を退いた先生や、閉院を検討する先生にお話を伺い、引退を決意した理由や、 医院承継、閉院の苦労などを深堀りする

 歯科医師としての“引退”に着目した本企画。すでに歯科医療の第一線を退いた先生らにお話を伺い、引退を決意した理由や医院承継、閉院の苦労などを深堀りする。今回は、今年4月をもって歯科医師を引退した宮優子先生(68歳)の前編。歯科医師としての晩年、「自信がなくなっていった」という出来事や、引退後の生活について伺った。

 

 

 

 

 

―歯科医師を目指したきっかけは。

 中学のブラスバンド部で毎日約5時間クラリネットを練習していたら、マウスピースがすっぽりと入るように上顎前歯が出てしまったのです。高校生になり前歯の前突がコンプレックスでしたが、アメリカに留学し、大人でも矯正している人がいて驚きました。そこで歯科に興味を持ち、医療には無縁の家系でしたが、帰国後に歯学部受験を決めました。

「自信なくなった」歯科医療の変化

―歯科医師の引退を決めるまでについて教えてください。

 コロナ禍が訪れた時に、新しい事業を取り入れようとしてスタッフに協力をお願いすると、従業員全員が退職してしまうことがありました。長女が心配して会社を退職し、医院の正職員となって一緒に再建を目指してくれました。娘は企業の営業職だったので、売上の管理から新人教育まで引き受けてくれ、1年半ほどで軌道に乗せることができました。ただ、65歳を過ぎた頃から企業に勤める知人も定年退職をし始め、子育てが終わった私も「そろそろ引退かな」と思うようになりました。また、スタッフを正社員として雇用したことで、経営を考えると今までのように趣味のトライアスロンで海外のレースに出るために長期に休診することもできなくなってしまいました。歯科医療のDX化も影響が大きく、マイナ保険証の導入など、複雑な手続きに煩わしさを感じました。それまでは1人で医院を運営する自信がありましたが、私の不得意な仕事をスタッフにお願いしたり、私が主導して医院経営をすることは難しいと実感するようになりました。それに追い打ちをかけるように、視力は低下し、昨年3月にはひどいぎっくり腰になり、これが決定打になりました。

―そこから引退に向けてどのような動きを?

 すでに202310月には知り合いに紹介されたMA業者に登録していました。当時は23年かけて決めるものだと思っていましたが、ぎっくり腰になった時にレントゲンを撮ると、長年の診療中の姿勢が影響したようで、腰椎が曲がっていて「早くやめないとまずい」と思い、急いで動きました。最終的に昨年7月に譲渡先との契約を結ぶことができました。

―患者さんの反応はいかがでしたか?

 30年以上診てきた患者さんの中には、驚かれていた方もいましたが、過去5年間に来院した方にははがきでお知らせしたのと、次の先生を丁寧に紹介したこともあり、大きな混乱はありませんでした。

自慢の“愛車”と―取材翌週も北海道でレース出場と、セカンドライフを謳歌する

「患者さんに育てられた」

―歯科医師人生を振り返っていかがですか。

 一番は「患者さんに育てられた」ということで、患者さんに感謝されることを喜びに続けることができました。例えば、主人と二人で診療していた土日には、平日に忙しくて受診できない患者さんが訪れます。若いのに「どうやって食べているんだろう?」と思うような口腔状態で、そんな方もある程度咀嚼できるようになると、すごく喜んでくれます。当時は休日診療をする医院も少なく、私が49歳の時に主人が急死した後も「日曜日の診療はやめちゃいけない」と思って続けました。また、4人の子育てをしながら、亡くなった主人が徳之島出身だったので徳之島大会に参加したくて、50歳になってからトライアスロンを始めました。土日も積極的に診療していましたが、海外のレースに出場する時には1週間の休診もありました。定休日がない代わりに、臨時休診日は結構ありました。そんなことを許してくださった患者さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

―診療現場から退いて、歯科への見方に変化はありましたか。

 私が歯科医師になりたての頃とは違い、情報が溢れていて、大変な面も多いと思いますが、そんな中で毎日一生懸命診療していらっしゃる先生方は、本当にすごいと思います。昔はなかったような患者さんとのコミュニケーションも求められる中で、対応していくのは大変だと感じています。

―セカンドキャリアや歯科医師を引退したあとの生活について教えてください。

 海外へ歯科のボランティア活動に行きたいと思っていますが、まだ引退したばかりで予定も多く実現していません。また、6月には自転車を持ってオランダへ、7月にはロシアのバイカル湖へ行きました。これまで忙し過ぎてできなかったので、ゆっくりトライアスロンのレースに参加したり、もっと孫と触れ合ったりする時間を増やしたいと思います。

―今後の目標を。

 趣味のトライアスロンで、昔はスイム3.8km、バイク180kmにフルマラソンという過酷なレースにも出場し、完走していましたが、身体の故障や老化もあって今はそうはいきません。でも診療をしていた頃から嫌なことがあっても、帰り道で走っていると「しょうがないか」と切り替えられるので身体を動かすことは特別なことです。生涯現役でいたいので、整骨院やピラティスに通いながらボディメンテナンスを続けています。今まで3回出場したアイアンマンレースの最高峰のハワイ・コナの大会にもう一度出場することが目標です。

―ありがとうございました。

※後編では医院の譲渡などについて聞く予定

過去の連載はこちら<退き際の思考 歯科医師をやめる>

#インタビュー #連載 #退き際の思考

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)9月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)9月1日号

こちらをクリック▶「東京歯科保険医新聞」2025年(令和7年)9月1日号

【1面】
  1.保険証問題、高額療養費制度、物価高騰…積もる課題の解決へ/社会保障充実に向け秋の運動へ
  2.会員拡大月間/診療に専念できる「安心」を届けます 未入会の先生をご入会 ・ ご紹介ください
  3.第40回医療研究フォーラム
  4.探針
  5.ニュースビュー

【2面】
  6.対象は 1,471 点以上/集団的個別指導 9月11・12 日実施
  7.後期高齢者2割負担配慮措置/9 月末で終了予定
  8.2025年9月/歯科用貴金属の随時改定情報
  9.ベースアップ評価料届け出機関数36.2%
10.院内感染防止対策講習会を開催/施設基準の新規届出と継続して届出するために

【3面】
11.保団連夏季セミナー 国民本位の医療アクセスとは何か
 ・歯科医療政策と医療の在り方を見直す契機/会長 早坂美都
 ・日本とCEDAWそしてジェンダーの変遷/理事 高山史年
12.歯科訪問診療講習会/講師持参の機材に興味津々
13.東京都支援金情報/医療機関等物価高騰緊急対策支援/生産性向上・職場環境整備等支援事業

【4面】
14.経営・税務相談Q&A No.432職員新規採用時の留意点
15.増えてます問い合わせ/ネットワークのセキュリティ強化「どこまで必要?」
16.9月会員無料相談のご案内

【5面】
17.研究会・行事ご案内

【6・7面】
18.特集/これからの資格確認

【8面】
19.連載/協会探訪その①「東京歯科保険医協会が行っていること」/「大きな助けに」〝頼れる〟協会の成り立ち
20.IT相談室/再考 歯科医院の情報発信①—概論編—
21.理事会だより
22.協会活動日誌

【9面】
23.症例研究「外来で通院していた患者が在宅に移行した場合の義歯修理の算定」

【10面】
24.退き際の思考 歯科医師をやめる(宮優子さん)/傾く医院経営…再建へ娘と二人三脚 「最高峰にもう一度」引退後の想い馳せる

【11面】
25.あなたも、参加しませんか!!/もう限界 平和と社会保障を立て直せ! 9 ・ 25「いのちまもる総行動」
26.大幅な診療報酬引き上げ必須/実調から見る歯科の実状
27.神田川界隈(理事・小林顕/板橋区)
28.歯の供養祭/「保険でよい歯を」東京連絡会が初開催/11月9日 とげぬき地蔵尊髙岩寺にて
29.通信員便りNo.153
30.会員優待サービス

【12面】
31.「戦後80年 伝えたい記憶、戦時の記録―下―」
・満州から中央区へ 情熱と自信(藤本浩平先生)
・父のうた声(吉田真理先生)
32.原水爆禁止2025年世界大会in長崎/原爆投下80年のいま 核兵器のない世界への願い新たに
33.共済/秋の募集キャンペーン

【13・14面】
34.共済部折込

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信①/概論編

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信①/概論編

弊社はこれまで、多くの歯科医院のホームページを制作させていただき、定期的にさまざまな分析を行ってきました。その結果に考察を交えて、情報発信の視点からより効果的なホームページを作る方法についてご説明します。

外注し、多額の費用を投じて立ち上げたホームページなのに、ネットの口コミやアクセス数ばかりに気を取られ、一喜一憂してしまう…。これは、医療機関の情報発信のあり方、さらに医療の本質から見ると、良いこととは言えません。改めて自院が地域の口腔の健康をどのように担うかに応じて、ホームページでどのような情報を発信すべきか、その方法を検討してください。        

◆認知経路のトップはホームページではない

これから開業する歯科医院では、院長先生自身が情報発信の重要性を理解しているため、ホームページを作らないことは考えられません。しかし、開業後、年月を経過した医院を中心に、いまだにホームページがない医院もあります。

弊社では、歯科医院の認知経路と来院動機を調べていますが、ホームページは必ずしもトップではありません。来院動機は、昔も今も「前を通って」が多く、紹介や看板、チラシなどの複合的な要素もあります。 

◆重要度減るホームページ

現在のITの世界にはAIが大きな影響を及ぼしており、検索画面の一番上にAIによる要約が出ることが普通になりました。現在の各検索エンジンは、AIによる要約やマップでの一覧、業種別のリスト、プロフィールの表示などで、閲覧者が検索画面を見るだけで情報が得られます。つまり、個別のホームページのアクセスが減る方向に注力しています。

さらに、以前からあるSNSも含め、医院認知経路の多様化も進行しています。

このように、今後も情報発信や認知経路、それらへの対処方法は変わっていきます。         

◆これからの発信方法

次回以降は、効果的な情報発信方法について、4回シリーズでご説明します。

<受付中>12月14日(日) 第4回施設基準のための講習会

本講習会は、以下に掲げる施設基準の「研修要件」を満たす講習会です。

新規に以下の施設基準を届出する会員の先生方向けの講習会です。
  • 歯初診(歯科点数表の初診料の注1に係る施設基準)
  • 外安全1(歯科外来診療医療安全対策加算1)
  • 外感染2(歯科外来診療感染対策加算2)
  • 口管強(小児口腔機能管理料の注3に規定する口腔管理体制強化加算)
  • 歯援診1・2(在宅療養支援歯科診療所1・在宅療養支援歯科診療所2)

◆お申込みの内容を確認後、開催が近くなりましたら(11月下旬以降)、郵送先(すでに協会に登録済みのDM送付先)に案内状と振込用紙(ゆうちょ銀行用)をお送りします。なお、期日までに振込の確認ができない場合、キャンセル扱いとなる場合がございます。
また、当会会員限定の講習会になっておりますので、未入会の先生はお申込み前にご入会が必要になります。

【日 時】 12 14 日(日)
【内 容】
▼5つコース▼ 参加費:8,000円
13時~1830
~対応している施設基準~
●歯初診、外安全1、外感染2、口管強、歯援診1・2
※お申込みを頂くコースによって、開始時間および参加費用が異なりますのでご注意ください。

▼3つコース▼ 参加費:5,000円
16時~1830
~対応している施設基準~
●歯初診、外安全1、外感染2
※お申込みを頂くコースによって、開始時間および参加費用が異なりますのでご注意ください。

 【場 所】 ワイム貸会議室高田馬場 4階

 【対象者】
会員(東京歯科保険医協会の会員に限ります)
※代理出席は認められません。ご本人の参加が必須です。
※未入会の先生はご入会が必要になります。開催日直前でのお申込みの場合にご参加できないことがございますのでお早目のご連絡をお願いいたします。

【定 員】
100名程度(定員になり次第、締め切らせていただきます)。

【講 師】
・繁田雅弘 氏(東京慈恵会医科大学精神医学講座 名誉教授)
・坂下英明 氏(明海大学名誉教授/朝日大学客員教授/我孫子聖仁会病院口腔外科センター長)
・馬場安彦 氏(東京歯科保険医協会 副会長)
・森元主税 氏(東京歯科保険医協会 理事)
 
【内 容】
在宅医療・介護等、歯科疾患の重症化予防に資する継続管理(エナメル質初期う蝕管理、根面う蝕管理および口腔機能の管理を含む)、高齢者・小児の心身の特性(認知症を含む)、院内感染防止、緊急時対応、医療事故、偶発症等
※施設基準の届出に必要な研修要件を網羅できます。

【問い合わせ先】
社保・学術部:03-3205-2999

【申し込みはこちら】
 https://forms.gle/2oyZsrSpaN7jJGSn8

【必ずお読みください】
「歯初診」の4年に1度の「更新」のための講習会は、院内感染防止対策講習会(WEB)をご利用ください。
また、「外感染2」の施設基準の要件にあります「感染経路別予防策及び新型インフルエンザ等感染症等を含む感染症に係る対策・発生動向等に関する研修」は年1回の受講が必要です。ぜひご受講ください。
ご不明な点は、協会までお問い合せください。

大幅な診療報酬引き上げ必須/実調から見る歯科の実状

大幅な診療報酬引き上げ必須/実調から見る歯科の実状

診療報酬改定の争点の1つは国家予算の医療費への配分であるが、その重要な指標が「医療経済実態調査」である。協会は秋の臨時国会にあたり、診療報酬の引き上げなど歯科に係る要求を行うが、直近の調査結果から歯科の窮状を考える。

◆保険も自費も減少損益差額は約1割減

直近2022年度の個人立の歯科診療所における結果(最頻値)は表のとおりだ。収入の柱である医業収益は保険・自費共に前年度比で減少し、それを補うべく経費節減に努める傾向がうかがえる。特徴的なのは給与費と損益差額で、昨今の賃上げの流れを受けて給与費は上がったが、開設者の報酬および内部資金に相当する損益差額は前年度比で9.2%も減少している。まさに身を切った賃上げが行われている。

 

◆大幅引き上げなくして手取りは増えない

24年度診療報酬改定の歯科の改定率は+0.57%だった。医業収益からみて見劣りする引き上げ幅である。改定後の調査結果は今冬に公表されるが、この間協会のアンケート調査や金パラの値上がりなどを考慮すると、歯科の窮状は依然として続いていると思慮される。医業収益のほとんどは保険診療で支えられており、歯科医師および従業員の手取りを増やすことを考えれば、診療報酬の大幅引き上げは必須である。

協会は、歯科の窮状の打開を目指すべく、臨時国会において診療報酬の引き上げを求めて行政へ要請を行っていく。引き続き、協会活動へのご理解、ご協力をいただきたい。

あなたも、参加しませんか!!/もう限界 平和と社会保障を立て直せ!/9.25「いのちまもる総行動」

あなたも、参加しませんか!!/もう限界 平和と社会保障を立て直せ!/9.25「いのちまもる総行動」

◆守ろう!医療の現在・未来 動くのは今

評価が低くて分かりづらい診療報酬、次々に変わるルール、物価高騰や難しいスタッフ確保などの経営環境の悪化…。「このままで、自院の将来はどうなるのか」と思うのは、先生だけではありません。

手をこまねいて待っているだけでは、何も変わりません。私たちが声を上げて行動しなければ、誰が歯科医療の「現場」、「明日」そして「未来」を守るのでしょうか。一人の声は小さくても、仲間が集まれば大きなうねりになります。

この集会は、その第一歩となるものです。歯科だけでなく、医療や介護などで働く仲間とともに、私たちの手で切り開きましょう!多くの方々のご参加をお待ちしております。

昨年の総行動会場の日比谷野外音楽堂内

パレードの模様

<集会の概要>
  • 日時: 925日(木)午後1時~230分 *集会後はパレードを予定!!
  • 内容: 国会議員挨拶、医療分野などの参加者からのリレートークほか
  • 会場: 日比谷野外音楽堂(東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」 徒歩4分)
  • 対象: 医師・歯科医師・看護師・保育士・医療スタッフ・その他関係者
  • 参加団体: 全国保険医団体連合会ほか9団体
  • お申込み・お問い合わせ: 協会運動本部(TEL:03-3205-2999)