年別アーカイブ: 2025年

2026年度診療報酬改定/3.09% 診療報酬本体引き上げへ

2026年度診療報酬改定/3.09% 診療報酬本体引き上げへ

 政府は12月24日、2026年度診療報酬本体の改定率を3.09%(26年度2.41%、27年度3.77%の平均)引き上げることを決めた。
 本体の改定率3.09%の内訳は、賃上げ対応分1.70%増、今後2年間の対応に0.76%増、過去2年間の経営環境悪化への緊急対応分に0.44%増、食費・光熱水費分に0.09%増、通常改定分0.25%増、適正化・効率化0.15%減とした。
 なお、実際の経済・物価の動向が大きく変動し、経営状況に支障が生じた場合には、27年度予算編成において必要な調整を行うとしている。
 改定を巡っては、全国保険医団体連合会(保団連)、各保険医協会・医会をはじめとする医療界の各方面から、物価や賃金の上昇による医療機関の経営悪化の改善に向け、大幅なプラス改定を強く求める声が出され、高市早苗首相も診療報酬の引き上げに前向きな姿勢を示してきた。
 しかし、薬価や材料価格を含めた全体の改定率としては、2.22%増と報道されており、先生方に協力いただいた要請署名の項目の一つである「基本診療料を中心に少なくとも10%以上の大幅な引き上げを行うこと」には程遠く、歯科医院の経営改善には不十分と言わざるを得ない。
 今後、具体的な改定内容が中央社会保険医療協議会(中医協)の席で「これまでの議論の整理(案)」として提示され、パブリックコメントが募集されるので、臨床現場の意見を保険診療に活かすため、ぜひ、積極的に提出していただきたい。

▼【参考】2026年度診療報酬改定について(厚生労働省ホームページより)
診療報酬改定について

2/26(木) 医療安全講習会

明日からできる院内セキュリティ対策講習会―悪徳業者に騙されないために 

2023年6月より医療機関の管理者にサイバーセキュリティの確保が義務付けられました。しかし小規模医療機関では対応が困難なのが現状です。また、セキュリティ対策と称して高額な機器やサービスを契約させられる事例も増えています。パソコンに不慣れな医療機関でも明日からできる最低限のセキュリティ対策、悪徳業者にだまされないための注意点を解説します。

◆日 時 2月 26日(木)午後7時00分~9時00分

◆講 師 本田孝也氏(長崎県保険医協会 会長) ※講師はWebでの登壇です。

◆会 場 東京歯科保険医協会会議室またはZoomウェビナー

◆定 員 会場20名 Zoomウェビナー500名

◆参加費 無料

◆対 象 会員とそのスタッフ

◆予 約  こちらをクリック!

 

【政策委員長 談話】地域医療を守るため、プラス改定の実感を得られる改定内容を求める

【政策委員長 談話】地域医療を守るため、プラス改定の実感を得られる改定内容を求める

 次期診療報酬の改定率が発表され、プラス3・09%と、1996年度以来の3%超の改定となった。物価高騰や人件費上昇が続く中での3%を超えるプラス改定には一定の評価を示したい。
しかし、消費者物価指数(CPI)が2022年度以降、毎年約3%上昇し、他業種の賃上げが3~5%台に達している状況であり、診療報酬改定が2年に1度であることを考えれば、疲弊する歯科医院の経営を抜本的に改善するには程遠い。
 歯科では、歯科材料費などの物価上昇、水道光熱費の高騰、委託技工料や外注費の増加などの影響を受けやすい。また、テナント料も増加しており、特に東京23区は医療経済実態調査で示されているように、より一層厳しい状況である。さらに、医療DXが急速に進み、機材導入費用やランニングコスト増が経営を圧迫している。このような厳しい経営環境の中でも、歯科医療水準を保つため、スタッフの雇用・定着のため、賃上げに取り組んでいる。医療経済実態調査を見ると、歯科衛生士は金額の伸び率が前年度比3・3%、歯科業務補助者は前年度比3・5%増となっている。一方、院長、歯科医師は1・2%~5・1%減となっており、自らの給与を削って人件費に充てている状況が示されている。
 事実、閉院・廃業を理由とした当会の退会も、これまでは30件前後で推移していたが、2024年は54件、2025年は56件と増加している。このままでは、安心して受診できる歯科医療の継続が難しくなり、地域の歯科医療が成り立たなくなる可能性がある。
 今回の改定率の水準は、歯科医療現場の実態よりも、財政抑制を優先した財務省の姿勢を汲んだものだと思われる。財務省は「経営努力」「効率化」を繰り返し求めるのみで、地域医療を守る姿勢が全く見られない。今後予測される金利変動や国際的な物価急騰などの「外部リスク」を経営努力だけで吸収させることには限界がある。一時しのぎの補正予算による手当ではなく、しっかりと診療報酬本体の改定で評価すべきである。
 歯科医療の役割は、次期改定の議論でも示されているように、リハビリテーションや栄養、生活習慣病対策など全身疾患やQOL(生活の質)にも影響を及ぼす、国民の健康と生活の質を支える医療である。今後、具体的な改定内容が決定されていくが、将来にわたって歯科医療の役割を果たすためにも、より一層の評価と、現場の歯科医師がプラス改定の実感を得られる改定内容を求める。

2025年12月19日
東京歯科保険医協会
政策委員長 松島 良次

協会事務局休務のお知らせ

協会事務局休務のお知らせ

年末年始につき、以下の期間、東京歯科保険医協会事務局を休務とさせていただきます。あらかじめ、ご了承ください。

2025年12月27日(土)~2026年1月5日(月)

なお、年内の最終業務は20251226日(金)、新年の業務は202616日(火)から開始となります。

談話「生活を脅かす介護保険利用者の負担割合引き上げに反対する」

談話「生活を脅かす介護保険利用者の負担割合引き上げに反対する」

 介護保険制度は、介護が必要な高齢者とその家族を社会全体で支え合い、利用者の生活や尊厳を守るために作られた制度であり、安定的に支援を受けられることが重要である。

 20251111日の財政制度分科会で議論された介護保険利用者の負担割合の見直し(2割・3割となる対象者の拡大)は、利用者に経済的負担を強いるものとなり、必要な介護サービスの利用控えを招くのは明らかだ。特に歯科受診は所得や自己負担額の影響を受けやすい。受診が減ることで口腔機能の低下を招き、食事量の減少による低栄養やフレイル、感染症の増加につながる恐れがあり、全身疾患に悪影響を及ぼす可能性がある。

 介護サービスは入浴や食事など、生活に溶け込んでいるものが多く、経済的な理由で妨げることは結果として介護度の進行、生活の質(QOL)の低下、さらには医療・介護費全体の増大につながり、むしろ社会的なコストを押し上げる恐れが極めて強い。

 介護は社会全体で支えあう必要があり、負担割合の引き上げという利用者へのしわ寄せではなく、予防の取り組みへの支援や継続的に介護サービスが受けられる仕組みの強化が必要である。誰もが安心して介護サービスを受けられる体制を守るため、生活を脅かす介護保険利用者の負担割合引き上げに反対する。

1211
東京歯科保険医協会
地域医療部長 池川 裕子

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信③-ホームページが不要になる日-

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信③-ホームページが不要になる日-

◆ホームページを持たない選択
インターネットを利用した情報発信の媒体として、すでにホームページがメインと言えなくなっている業界があります。代表的なものは飲食業で、新たに開業する店舗ではホームページがないことが珍しくありません。検索に対する受け皿は「食べログ」「ぐるなび」などの情報サイトに任せ、メインの媒体はInstagram、日々の情報発信はXを利用しています。特に個人経営の飲食店では、そのような傾向があります。
◆機動力と即応性に勝る情報媒体
その理由として考えられるのは、「ホームページはコストをかけて、きちんと作れば作るほど更新するのは困難になる」「文章や写真を用意してブログを更新するよりも、InstagramやXの方が手軽である」などです。若年層へのアピールには、機動力と即応性に優るTikTokなどを含めたSNSやYou Tubeなどが有効であることを、経営者自身が感じていることもあるでしょう。
一方、情報サイトについては、選ぶ側から見れば、簡素ではありますが統一されたレイアウトで、求める情報がどこにあるのかがすぐにわかり、選択から予約までスムーズに進めるというメリットがあります。
◆すべてを1つのレイアウトで
飲食店のほか、美容室や整体院などでも同様の傾向があり、それぞれ特定の情報サイトが勢力を持っています。過去数回解説してきたGoogleビジネスプロフィールやYahoo!プレイス、Microsoft社のBing Places for Businessなどは、特定の業界に限定せず、総てを統一したレイアウトで閲覧できるようにしようという、壮大な展望を持っていると言えるのではないでしょうか。
今後は、歯科医院の情報発信も同様に変化していくのでしょうか。次回はその点について説明します。

クレセル株式会社 (東京歯科保険医新聞2025年12月号6面掲載)

連載/協会探訪 その④ 「会員同士の助け合いで備え、支える共済制度を守る<共済部>」

連載/協会探訪 その④ 「会員同士の助け合いで備え、支える共済制度を守る<共済部>」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

先生方は、開業時や家族を持った時に、漠然とした不安を感じたことはありませんか。ご自身が病気やケガをして診療ができなくなった時のことを想像し、ご自身のクリニックのことが心配になったことはありませんか。

東京歯科保険医協会ではこうした先生方の不安に寄り添う共済制度をご用意しています。

今回は、その共済制度を担当している「共済部」をご紹介します。

◆協会の三大共済制度

共済制度詳解の各種パンフレット

共済部では、開業医の経営と保険医の生活を守る重要な活動として、主に3種類の「共済制度」を取り扱っています。

私たち歯科医師は、歯科医院における経営者であると同時に、歯科医療の中心的な担い手でもあります。そのため、病気やケガなどで診療に従事できなくなった場合には、すぐに収入が断たれてしまい、医業の継続のみならず生活にも支障が生じてしまいます。また、歯科医師にふさわしい公的年金制度がないため、リタイヤ後の生活設計がしづらいという困難さがあります。

そのような状況に対し、全国組織である全国保険医団体連合会(以下、保団連)が1968年に保険医年金を、1970年に保険医休業保障共済制度(後に、保険医休業保障共済保険に改変/以下、休業保障)を設立しました。さらに東京歯科保険医協会では1982年に独自のグループ生命保険を立ち上げて以降、これらを三大共済制度として取り扱っています。

◆協会・保団連が進める共済活動

保険会社任せにせず、団体の主体性・自主性をもって、共済制度を取り扱っていることが大きな特徴です。このことにより、保険医にふさわしい保障額と割安な掛け金、および利用しやすい制度内容を実現してきました。

特に、休業保障は自主共済として発足し、保険業法の改定後も、保険制度に関する法令に準拠した「一般社団法人 全国保険医休業保障共済会」(以下、共済会)を設立し、運営を行ってきました。

共済部では、保団連や共済会と連携し、制度の管理を行うとともに、健全な運営および会員加入者の要望に沿った改善を進めています。各制度の募集に当たっては、委託生命保険会社へ協力を依頼するとともに、診療報酬改定直後に開催する新点数説明会、および各種研究会・講習会などで共済部役員自らが先頭に立ち、募集活動を行うなどしています。

そのほか、「共済研究会」として、スペシャルゲストをお招きして、健康や保険商品に関する内容をメインに開催してきました。

新点数説明会や講習会などの際には担当役員、事務局や生命保険会社職員が協力し、会員の先生方に共済制度をご案内しています。ぜひお耳を傾けていただければ幸いです。

◆会員同士の〝助け合い〟

共済部では、毎日の当たり前を支えるご提案をしています。保険医の生活を守るためにできたのが、三大共済制度です。これらの特徴や良さをここで全てご紹介するには、とても紙面が足りません。各先生の生活事情、家庭環境、クリニックの経営体系なども違います。少しでも気になった方は、協会共済部あてに連絡をくだされば、いつでも先生方に寄り添ったご提案をさせていただきます。

自分ひとりでは守り切れない人生のリスクを、「会員同士の助け合いで備え、支える」。そして、それを繋ぐのが、東京歯科保険医協会共済部の大切な役目です。

 

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)12月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)12月1日号

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)12月1日号

【1面】
  1. 実現必須/「大幅な診療報酬引き上げ」早坂会長会員の声を国会議員へ
  2.「オン資訴訟」控訴審始まる/原告棄却から1年
  3. 健康保険証/有効期限終了も来年3月末まで使用可能 12月2日以降原則 マイナ保険証か資格確認書で資格確認
  4. 協会事務局 休務のお知らせ
  5. 探針
  6. ニュースビュー


【2面】
  7. 中医協 歯科医療(その2)議論 口腔機能管理・歯周病治療・デジタル化/次期改定へ歯科保険制度の見直し本格化
  8. 3次元プリント有床義歯(3DFD)期中改定/12月1日から保険収載
  9. 中医協 在宅医療その4/訪問歯科の短時間化・制度の複雑化が深刻化 公平な評価体系へ見直し議論進む
10. 歯科領域の新規医療技術提案が確認/暫間的ダイレクトボンディングブリッジなど提出 来年1月開催の医療技術評価分科会で最終検討へ

【3面】
11. 3地区で会員地区懇談会を開催/保険請求の「迷い」解決 増点のコツで意見交換も
12. 2025年12月 歯科用貴金属の随時改定情報
13. 第40回医療研究フォーラム/会員の意識と実態調査 子ども医療費助成を発表
14. 来年は診療報酬改定/会員の皆様に「テキスト」をお届けします

【4面】
15. 経営・税務相談Q&A No.435 2025年の年末調整における注意点②完
16. 12月会員無料相談のご案内
17. 東京都支援金情報
18. お詫びと訂正
19. 3年ぶりに改訂版完成/冊子「医院経営と雇用管理」

【5面】
20. 研究会・行事ご案内
21. 2025年度第2回東京都歯科医師認知症対応力向上研修

【6面】
22. 連載/協会探訪その④ 会員同士の助け合いで備え、支える共済制度を守る—共済部とは—
23. 都内/「歯科」受診は医科より多い 「都民の健康と医療に関する実態と意識」で報告
24. IT相談室/再考歯科医院の情報発信③-ホームページが不要になる日-

【7面】
25.「保険でよい歯を」東京連絡会/とげぬき地蔵尊髙岩寺でアピール
26. 理事会だより
27. 協会活動日誌
28. 年末年始休診ポスターのご案内
29. 共済部だより

【8面】
30. 12月2日からの資格確認方法
31. 神田川界隈「どうしてもやりたいこと」(理事・阿部菜穂/江東区)
32. 第4回メディア懇談会を開催/健康保険証廃止と医療DXなどテーマ
33. 特別企画「今年の漢字 2025」応募結果発表

3次元プリント有床義歯(3DFD)/期中改定 12月1日から保険収載

3次元プリント有床義歯(3DFD)/期中改定 12月1日から保険収載

11月12日に開催された中医協において、3次元プリント有床義歯が12月1日から保険収載されることが決まった。

対象は、歯科技工室設置型コンピュータ支援設計・製造ユニットおよび液槽光重合方式3次元プリント有床義歯製作装置を用いて、作業模型で間接法により造形製作された総義歯(3次元プリント義歯)である。販売名は、「ディーマ プリント デンチャー ティース」と「ディーマ プリント デンチャー ベース」。総義歯の点数(1顎につき2,420点)を準用し、保険収載された有床義歯歯冠部用材料や有床義歯義歯床用材料が算定でき、再製作を行った場合を除き、上下顎で同日に装着した場合に限る。なお、必要に応じて印象採得、咬合採得、装着および仮床試適が総義歯の区分により算定する。

実施できる歯科医療機関は、①歯科補綴治療に係る専門の知識および3年以上の経験を有する歯科医師が1名以上配置されていること、②保険医療機関内に液槽光重合方式3次元プリント有床義歯製作装置が設置されている場合は歯科技工士を配置していること、または保険医療機関内に装置が設置されていない場合は装置を設置している歯科技工所との連携が確保されていること―が要件である。

詳細は今後、通知で示されるので、デンタルブックメールニュースなどでお知らせする。なお、日本補綴歯科学会より、臨床指針が発行される予定である。

<会員1冊無料>書籍「医院経営と雇用管理-2025年版-」

【会員1人につき1冊無料】

3年ぶりに大幅改訂された『医院経営と雇用管理―2025―』が刊行されました。労務管理に欠かせない実務書として、医院の院長・事務担当者に必携の一冊です。

今回の改訂では、2024年4月から変更された労働条件明示の新ルールに対応し、労働条件通知書の記載例やポイントを分かりやすくまとめました。さらに、パワハラ・セクハラ・カスハラ等への対応解説や就業規則のたたき台を新たに掲載しています。

また歯科医療機関にとっても重要な、育児・介護休業法改正の内容や、2025年4月から創設された新たな給付制度である「出生時休業支援給付金」について、丁寧に解説されています。

近年、協会にも労務トラブルに関する相談が増加しています。トラブルに発展する前の体制整備が何より重要です。
 ぜひ本書をご活用いただき、安心・適正な医院経営にお役立てください。

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協会事務局休務のお知らせ

協会事務局休務のお知らせ

年末年始につき、以下の期間、東京歯科保険医協会事務局を休務とさせていただきます。あらかじめ、ご了承ください。

2025年12月27日(土)~2026年1月5日(月)

なお、年内の最終業務は20251226日(金)、新年の業務は202616日(火)から開始となります。

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)11月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)11月1日号

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)11月1日号

【お詫びと訂正】4面「経営・税務相談Q&A No.434 2025年の年末調整における注意点①」に掲載した表に誤りがありましたので、以下の通り訂正しお詫び申し上げます。

【1面】
  1.関東ブロックが緊急決起集会を開催 診療報酬の大幅引き上げで物価高騰・賃上げに対応を
  2.自維連立合意文書 物価高騰対策の対象に「診療所」の記載がない!診療所の厳しさを署名で国会に届けよう
  3.16年ぶりに改訂!「医科歯科連携ナビゲーション2025」発行
  4.探針
  5.ニュースビュー


【2面】
  6.中医協総会 消費税の公表データに重大ミス/歯科の補填率97.6%へ
  7.新規開業医講習会を開催 新規個別指導の指摘項目を詳解
  8.新規個別指導の指摘項目を詳解 前回受講から4年近い方は12月に受講を
  9.2025年12月歯科用貴金属の随時改定情報
10.会員優待サービス

【3面】
11.政策委員長談話「患者の安心を守るためにOTC類似薬の保険適用除外に慎重な議論を求める」
12.スマホ保険証の読み取り機能 導入の歯科医療機関は約15%
13.「保険でよい歯を」東京連絡会第32回定期総会記念講演会

【4面】
14.経営・税務相談Q&A No.434 2025年の年末調整における注意点①
15.第1回経営管理研究会を開催 補助金・助成金の最新情報 専門家が解説
16.10月会員無料相談のご案内
17.東京都支援金情報

【5面】
18.研究会・行事ご案内

【6面】
19.連載/協会探訪その③保険請求と学術 強い味方の 「社保・学術部」

【7面】
20.「保険でよい歯を」東京連絡会 イイ歯デー&歯の供養祭開催/巣鴨のとげぬき地蔵尊「高岩寺」で
21.再考 歯科医院の情報発信②-AIモードを活かしたHP広報-
22.要望提出 国の交付金で医療機関支援を/自治体から支援金情報提供も
23.理事会だより
24.協会活動日誌
25.通信員便りNo.155
26.共済部だより

【8面】
27.ウクライナ・パレスチナ情勢が示す 核抑止論の破綻
28.神田川界隈「おいしくないメーラード反応」(理事・岡田尚彦/世田谷区)
29.患者さんへの情報提供文書用紙 ご案内
30.「今年の漢字 2025」募集中
31.「2026年新年号巻頭写真」募集中
32.年末年始休診ポスターのご案内

中医協総会/消費税の公表データに重大ミス 歯科の補填率97.6%へ

中医協総会/消費税の公表データに重大ミス 歯科の補填率97.6%へ

 

1、複数の重大ミスを確認

厚生労働省は10月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、2020~22年度分の「消費税負担の補てん状況」について、過去の公表データに誤りがあったとして、正しいデータが公表された。支出計算で水道光熱費を除外していたほか、公費単独レセプト(生活保護法など)を収入計算分に計上していなかったなど、複数の重大なミスが確認された。 

◆過去データを修正

修正後のデータによると、歯科診療所の補填率は20年度105.9%、21年度97.6%、22年度99.5%とし、21年度に大きく低下し、100%を下回る年が続いた。

全体の補填率は同期間に108.3→102.2→98.9%と推移しており、歯科の補填率は、相対的に低い水準にあることが分かる()。

厚労省は「複層的なチェック体制を構築し、ヒューマンエラーの出にくい集計方法を検討する」とし、再発防止策を進める方針だ。

その一方で、補填不足が明らかになった歯科は、以前から治療材料や技工委託費など課税経費の比率が高く、消費税負担の影響を受けやすい。保険診療は、保険利用者側の消費税は非課税だが、医療機関側は医薬品や医療機器などを仕入れる際に消費税を支払っている。このため、消費税負担への補填分を診療報酬の一部に上乗せする方式をとってきた。

こうした経費構造が診療報酬への上乗せ方式(補填方式)に十分反映されておらず、実態との乖離を生じさせているとみられる。

◆ゼロ税率導入議論も

医療への消費税課税をめぐっては、従来から「控除対象外消費税問題」が指摘されてきた。医療機関が仕入れ時に負担する消費税を控除できないため、診療報酬で補填する仕組みが続いている。

しかし、今回の修正で補填率の乖離が明確になり、「診療報酬で補填する従来の方法は限界にきている」と指摘する声も出ている。

2007年に神奈川県保険医協会(田辺由紀夫会長)の呼びかけで発足した市民団体「医療費の窓口負担『ゼロの会』」(ゼロの会)などは、医療を非課税ではなく「ゼロ税率」扱いとし、仕入れ税額控除を認める制度改正を求めており、ゼロ税率が実現すれば、医療機関は仕入れ時の消費税分の還付を受けられ、補填問題は解消されるとしている。

一方、福岡資麿厚生労働大臣(当時)は1017日の記者会見で、ゼロ税率について「社会政策的な配慮に基づき非課税とされているその他のサービスへの影響や、消費税還付による国の財政状況への影響といった課題があると考えている」と述べるにとどめた。

厚労省は2026年度診療報酬改定に向け、物価や賃金の上昇への対応、医療機関経営の安定を基本方針に掲げている。

中医協では今後、補填率の実態とあわせ、歯科を含む診療報酬上乗せ方式の妥当性を検証していく見通しである。補填不足については、早急な改善が必要だ。

2、在宅医療 歯科の役割明記

10月1日に開催された中医協総会では、「在宅医療その2」として、訪問診療・往診や訪問看護の提供体制、評価のあり方などを議論した。

厚労省が行った2024年度診療報酬改定結果の検証調査では、在宅医療に加え「在宅歯科医療」も対象とし、歯科訪問診療の頻度、体制、連携状況などを調査対象としている。

資料では、歯科に特化した記載は限定的ではあるものの、在宅医療の担い手として歯科を含め、「在宅歯科医療」を独立調査対象とした点が重要だと考えられ、今後、嚥下・栄養・看取りを中心に歯科の参画拡大と評価見直しが焦点となるものと推察される。

なお、厚労省は、在宅医療を支える人材の確保、地域格差の是正、24時間体制維持の負担軽減といった課題も残っているとし、次期診療報酬改定に向け、在宅医療の質向上と持続可能な体制づくりを議論していく方針を示した。

要望提出/国の交付金で医療機関支援を 自治体から支援金情報提供も

要望提出/国の交付金で医療機関支援を 自治体から支援金情報提供も

協会では、物価高騰や人件費上昇が医療機関の経営に深刻な影響を及ぼしている現状を踏まえ、「重点支援地方交付金」を活用した医療機関への財政措置の実施・拡充を求める要望を東京都および都内区市町村(島しょ部除く)に提出した。

政府は2025年度予備費を活用し、「重点支援地方交付金」を1,000億円増額し、「医療・介護施設等に対する物価高騰対策支援」の実施を推奨事業として明示している。

診療報酬は公定価格であるため、物価や人件費の上昇を価格に転嫁することができない。光熱費・材料費の高騰、スタッフ確保のための人件費増などが続く中、地域医療を支える診療所の経営基盤はきわめて脆弱になっている。協会では都民の医療を守る立場から、東京都および各自治体に対し、病院・診療所、医科・歯科を問わず、医療機関への支援金や助成金の実施、規模の拡充を要望した。

要望に対し、いくつかの自治体から回答が寄せられており、すでに「重点支援地方交付金」を活用した支援策を実施している自治体もある。地域の実情に応じた支援の広がりを今後も期待したい。

協会では今後も、医療現場の実態を踏まえ、地域医療を守るための実効ある財政支援が実現するよう、引き続き働きかけを行っていく。

なお、支援策を実施している自治体は以下のとおり。対象の区市内の診療所の先生方は活用いただきたい。

 

2025年12月 歯科用貴金属の随時改定情報/12月から金パラ引き上げ3,802円へ

2025年12月 歯科用貴金属の随時改定情報/12月から金パラ引き上げ3,802円へ

10月17日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、歯科用貴金属価格の12月随時改定が決定された。

12月1日からの歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金(金パラ)の告示価格は1g当たり3,802円(3,445円から357円の引き上げ)、30g当たりでは114,060円(103,350円から1710円の引き上げ)となる。

また、歯科用貴金属の随時改定では、金パラのほか銀合金、14カラット金合金も全て引き上げとなる。

第1回経営管理研究会を開催/補助金・助成金の最新情報 専門家が解説/

第1回経営管理研究会を開催/補助金・助成金の最新情報 専門家が解説

10月22日、第1回経営管理研究会として、「補助金・助成金セミナー~歯科診療所が活用できる補助金・助成金・支援金その最新情報と申請のポイント~」を開催した。

講師は、行政書士の西岡敦氏と、協会理事で歯科医師の岡田尚彦氏。参加者は20名であった。西岡氏は、補助金申請業務に多数の実績を持ち、今回は歯科の保険診療・自由診療のいずれにも活用できる3制度、および自由診療のみ対象となる3制度について、それぞれの内容と申請のポイントを詳しく解説した。

左から岡田尚彦理事、講師の西岡敦氏

 

続いて岡田氏からは、①医療DX関連の助成金6種類、②東京都が実施している補助事業3種類、③厚生労働省による助成金2種類―について、具体的な申請要件や活用の留意点が紹介された。

質疑応答では、参加者自身の申請事例に関する質問をはじめ、多岐にわたる質問が寄せられた。

アンケート結果からは、「大変有意義で参考になった」との評価が多く寄せられる一方、「実際の申請は難しそうだ」と感じた参加者も少なくなかった。講師からは、採択率の低下傾向も踏まえ、「補助金申請は行政書士など専門家への代行依頼も検討すべき」との助言があった。また、「スタッフの育児休業に関する補助金など、他にも多くの制度があるため、日頃から情報収集を心がけることが大切」とのアドバイスも寄せられた。

本研究会は、オンデマンド配信を予定している。配信開始時にはデンタルブックメールニュースにてお知らせする。

経営管理部担当理事

小林 顕

【ご案内】「令和7年度第2回東京都歯科医師認知症対応力向上研修」

「令和7年度第2回東京都歯科医師認知症対応力向上研修」

東京都福祉局より、「認知症対応力向上研修」の開催をお知らせいたします。
都内に勤務する歯科医師や歯科医療従事者を対象に、認知症のある人・ご家族を支えるための必要な基本知識や、対応に当たっての歯科診療の実践、地域・生活における実践等に係る研修をライブ配信で開催します。
ぜひご参加ください。

日 時:1212日(金)午後6時から午後830
内 容:「認知症の人の口を支える基礎知識と実践」
東京都健康長寿医療センター 歯科口腔外科部長(診療科長) 平野 浩彦
対象者:都内在勤の歯科医師(定員300名)
 ※都内に医療機関を開設している歯科医師を含みます。
※歯科衛生士等の歯科医療従事者も受講可能ですが、定員超過時は歯科医師を優先します。
形 式:Zoomによるライブ配信(詳細は、参加者に別途お知らせいたします。)
参加費:無料(データ通信料は受講者の負担となります。)          
申込方法:129日(火)正午までにこちらからお申込みください。

 

自維連立合意文書/物価高騰対策の対象に「診療所」の記載がない!  診療所の厳しさを署名で国会に届けよう

自維連立合意文書/物価高騰対策の対象に「診療所」の記載がない! ―診療所の厳しさを署名で国会に届けよう

◆10%以上の引き上げ必須

物価と人件費の高騰により、多くの医療機関の経営が圧迫されている。いま協会が集めている署名には、続々と現場の窮状を訴える意見が記述されている()。

多くの歯科診療所で以前にも増して医業収益が厳しくなっており、職員の給与の引き上げはおろか、新しい医療機器、備品などの交換が滞り、提供する歯科治療への悪影響が生じかねない状況に懸念を呈する声が多数寄せられている。

その改善に向け、署名の要請項目に10%以上の診療報酬引き上げを掲げておりその実現は必須だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自維合意文書で歯科診療 所は物価対策の対象外に

診療報酬を大幅に引き上げるためには、現状を多くの国会議員に伝える必要がある。自由民主党・日本維新の会の連立政権合意書の社会保障政策では「昨今の物価高騰に伴う病院及び介護施設の厳しい経営状況に鑑み、病院及び介護施設の経営状況を好転させるための施策を実行する」と明記されている。

物価高対策は病院と介護保険施設に限定され、診療所は対象外とするような書きぶりである。現場の声は国会議員に届いているのだろうか。

◆QRから署名を!

この状況を受け、早坂美都会長が、11月に署名を携え国会議員へ要請を行う予定である。ぜひとも、署名と現場の声を1117()までにWEBでお寄せいただきたい。

新規開業医講習会を開催/新規個別指導の指摘項目を詳解

新規開業医講習会を開催/新規個別指導の指摘項目を詳解

◆9月からの変更点も

協会は9月28日、ワイム貸会議室高田馬場で新規開業医講習会を開催。31名が参加し、9月以降に新規個別指導を受ける開業医や勤務医、今後新規や遡及による開業を予定している勤務医、集団的個別指導後に改めて保険請求やカルテ記載を学ぶことを目的にベテラン開業医などが集まった。講師は、協会の加藤開副会長、濱崎啓吾理事、重松健吾社保・学術部員が務めた。

加藤開副会長



濱崎啓吾理事


重松健吾社保・学術部員

 

 

 

講習会は、新規個別指導計画(年6回、264件)を示し、指導通知が届いてから指導日までに準備すべきことを説明。特に、持参物の確認、指導時の指摘項目などを具体的に解説した。また、2024年度の新規個別指導では1割以上が「再指導」となったこともあり、開業時からの適切なカルテ記載と保険請求の重要性を強調した。

そのほか、保険と自費の混合診療の考え方、歯周治療と補綴までの流れ、協会に多く寄せられる質問のうち、CAD/CAM冠の適用なども説明した。

これまで新規個別指導では、指導通知同封の「保険医療機関の概要」を指導日当日に提出する形式であったが、本年9月実施分の新規個別指導から、指導日の2週間前までに「保険医療機関の現況」を提出する形に変更された。

この現況については、①医療機関の休診日・診療時間、施設基準の状況などを記載する「保険医療機関の概要」、②採用・退職などを記載する「保険医、歯科衛生士等の概要」、③患者受付から会計までの診療業務などの流れ図と診療報酬明細書などの作成から審査支払機関に請求するまでの診療報酬請求業務の流れ図―があり、事前に関東信越厚生局東京事務所(以下、厚生局)または東京都保健医療局に郵送あるいはメールで提出する。

このほか、④訪問診療を行っている場合は「歯科訪問診療の状況」、⑤電子カルテを使用している場合は「医療情報システムの概況等」―も併せて提出する。この④⑤に該当する医療機関は注意が必要である。

なお、個別指導でも同様の運用が行われているので、提出書類の様式は厚生局のホームページまでご確認いただきたい。

以前は、指導通知や対象患者の通知は簡易書留で送付されていたが、現在は特定記録郵便で送付されている。

特定記録郵便は、受取人の配達記録(受領印の押印または署名)が不要であり、郵便受箱に投函されるため、新規個別指導や個別指導の指導通知、事前に指定される対象患者の通知を見逃す恐れがある。これから新規個別指導が予定されている会員は、特に注意が必要である。

◆講師が不安を解消

次回の新規開業医講習会は2026118日㈰に開催を予定し、指導に関する運用上の変更点や最新の情報を解説する。

新規個別指導を控えている会員は、ぜひ参加いただきたい。

関東ブロックが緊急決起集会を開催/診療報酬の大幅引き上げで物価高騰・賃上げに対応を

関東ブロックが緊急決起集会を開催/診療報酬の大幅引き上げで物価高騰・賃上げに対応を

10月12日、保団連関東ブロック協議会の主催による「地域医療をなくすな!緊急決起集会」が開催され、関東9協会の医師・歯科医師・事務局をはじめ、関連団体、WEB参加を含む194名が参加した。

集会には、小池晃参議院議員(共産)、谷田川はじめ衆議院議員(立憲)が会場に駆け付け、「地域医療を守るために診療報酬の引き上げを」「物価高騰・賃上げに対応できる報酬改定が必要」「OTC類似薬の保険外しは、絶対に許してはならない」など、力強い挨拶を行った。

続いて、関東ブロック9協会の代表役員から小池議員、谷田川議員に対し、3,425筆にのぼる「すべての医療機関を守るため診療報酬の大幅引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」を手渡した。

また、栃木県医師会、横浜市医師会、川崎市医師会などからのメッセージ紹介のほか、国光あやの衆議院議員(自民)、阿部知子衆議院議員(立憲)、梅村聡衆議院議員(維新)、上月良祐参議院議員(自民)、小西洋之参議院議員(立憲)のビデオメッセージを披露した。

協会の加藤開副会長

各協会からは、地域医療を取り巻く厳しい実情と今後の運動方針が報告された。当協会からは加藤開副会長が発言し、「東京の歯科医療機関では、物価高騰と人手不足が深刻化している。根底にあるのは低い診療報酬水準であり、2年に一度の改定では追いつかない。患者や国民の歯科口腔保健を守るため、歯科保険医療機関の経営を守るためにも、診療報酬の緊急引き上げと患者窓口負担割合の引き下げが必要である」などを強く訴えた。

その後、栃木県保険医協会の天谷静雄副会長から緊急決議案が提案され、満場の拍手で採択された。最後に司会の呼びかけで「頑張ろうコール」が行われ、参加者全員が拳を高く掲げ、「次期診療報酬の大幅引き上げを目指し、頑張ろう!」と力強く唱和した。茨城県保険医協会の高橋秀夫会長の閉会挨拶後、集会は盛況のうちに終了した。

緊急決起集会の会場内の様子

今後も、「診療報酬の大幅引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」への取り組みを継続していく。署名はWEBでも可能なので、ぜひ一人でも多くの会員の先生にご協力いただきたい。FAXでの署名を希望する場合は、協会運動本部(TEL 03-3205-2999)までご連絡を。

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信②-AIモードを活かしたHP広報-

【IT相談室】再考 歯科医院の情報発信②-AIモードを活かしたHP広報-

2025年9月からGoogleの検索エンジンで「AIモード」が提供されています。Googleのトップページの検索語を入力する部分の右側にある、音声検索のマイクのマーク、画像検索のマークの右に「AIモード」とあるのに気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

◆検索とAIが統合される
すでにAIを使っていただいている方はお分かりのこととは思いますが、GoogleのAIモード操作方法や回答の内容などは、Googleが提供している対話型AIの「Gemini」に似ています。違いは、表示がリッチで親切なことです。
そして、回答画面のリンクをクリックすると分かりますが、なかなか元となるホームページにはたどり着きません。

◆まとめ情報に
 自院のコンテンツを追加 前回もお伝えしましたがAIを含む現在の検索エンジンは、検索エンジンが提供するまとめ情報へのアクセスを重視しており、結果として診療所などが運営しているホームページへのアクセスは、大きく減っています。
この状況への対応策の第一歩は、検索エンジンが提供するまとめ情報、GoogleですとGoogleビジネスプロフィールにコンテンツを追加することです。Googleビジネスプロフィールは、アカウントを登録すると自院の登録内容を変更でき、自院の診療内容やブログの更新などを登録できます。
ホームページへのアクセスが減る方向に対抗するのではなく、検索エンジンが提供するまとめ情報を豊富にすることで、時代の流れに乗りながら自院の診療内容をアピールするようにしてはいかがでしょうか。
今回はGoogle検索を例に取りましたが、MicrosoftやYahooでも同様です。
次回以降も、AI時代の情報発信についてお伝えします。

クレセル株式会社 (東京歯科保険医新聞2025年11月号6面掲載

連載/協会探訪 その③ 「保険請求と学術/強い味方の<社保・学術部>」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

連載/協会探訪 その③ 「保険請求と学術/強い味方の<社保・学術部>」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

協会の「社保・学術部」は、理事会の執行機能を補佐する専門部のうちの一つで、おそらく、会員の先生方にとっては、一番なじみのある部署ではないでしょうか。

社保・学術部は、診療報酬の正しい解釈や算定・請求方法の解説をはじめとした医療保険制度全般に関する事項の全て、および学術関連情報の提供なども担当しています。役員・部員21名を中心に、会員サポートを行っています。同じ臨床医だからこそ共感できる懇切・丁寧な相談体制の構築を常に心がけています。保険請求や返戻・査定の電話相談は年間1万件以上あり、事務局が主体となって対応しています。

たくさんの相談を受ける中で、納得できない審査については、審査支払機関への改善要求につなげています。

◆社保と学術を統一した部署は協会ならでは

①多数の会員が参加した2018年4:月の「新点数説明会」の様子です。来たる2026年度診療報酬改定でもこの説明会を開催しますが、改定内容の趨勢は本年末の2026年度政府予算案の決定にあわせて明らかになります。大事な情報は協会機関紙、ホームページデンタルブックメールニュース、F-nexで適時お知らせします

2年に一度の診療報酬改定の際には、テキストを作成し、「新点数説明会」を開催しています(写真①②)。参加経験をお持ちの先生は、かなり多いことでしょう。私も会員になってからは、欠かさず参加しております。

②新点数説明会の質疑応答で受けた質問は、会場内の控室で役員と部員、事務局の担当者が共同で対応。回答が準備できると、会場へ戻り即答します。表には出ない、舞台裏の地道な作業です

コロナ禍以降は、密集を避けるため事前申込制を基本としましたので、会場から参加者があふれるようなことはなくなりましたが、やや以前の2006年度改定時の新点数説明会では、座席が足りなくなり、会場内の通路や階段、さらには場外の廊下に座って受講するほどでした(写真③④)。新点数説明会の会場では、レセプトコンピュータや医療機器などの展示説明のほか、共済制度の案内も行っています。

最近の返戻・査定の傾向や個別指導と新規個別指導の現状などを解説するための社保研究会が今年の8月末に開催されましたが、社保・学術部が担当です。

学術関連では、翌日からの診療に活かせる歯内療法や歯周治療などベーシックなものから最先端治療まで、各分野を代表する講師を選定し、定期的に学術研究会を開催しています。

社保と学術を統一した部署は、協会ならではの存在です。歯科では保険請求と学術は関連があります。歯科では自費治療もありますので、複合的関係性を統一的に捉えた活動を行っています。

③この写真は2006年度改定時の新点数説明会会場です。席を取れなかった先生方が、座席最後部の通路にぎっしりと座り込んでいます。それでもあふれた先生方には、廊下で聞いていただく事態となってしまいました。ご迷惑をおかけしました

 

 

 

 

 

 

◆健康保険証は国民皆保険制度の象徴

さて、保険請求の基となっている健康保険法は1927年に施行されましたが、当時はまだ歯科医療は大変贅沢な医療でした。歯科医師数も少なく受診率も低かったのです。その後、61年に国民皆保険制度が実現し、誰もが医療サービスを受けるための手段として健康保険証が発行されました。2512月には、その国民皆保険制度の象徴ともいえる健康保険証が廃止(制度は存続)されようとしています。

健康保険制度の成り立ちについて、要となる事柄を振り返り、大きな流れを把握することは決して無駄なことではありません。そのことは、また別の機会に解説させていただこうと思います。

談話「患者の安心を守るためにOTC類似薬の保険適用除外に慎重な議論を求める」

談話「患者の安心を守るためにOTC類似薬の保険適用除外に慎重な議論を求める」

談話「患者の安心を守るためにOTC類似薬の保険適用除外に慎重な議論を求める」

日々、患者と向き合う私たち歯科医師にとって、患者が安心して受診できる環境を守ることは極めて重要である。

政府が骨太の方針2025で示した「OTC類似薬の保険給付の見直し」、すなわちOTC類似薬を保険適用から除外する政策は、患者の安心と医療制度への信頼を揺るがすおそれがある。政府・与党は、この施策により軽微な症状での受診を減らし、医療現場の負担軽減や社会保障費の抑制につながると説明しているが、実際には以下のような懸念がある。

 重症化リスクと医療費の増加

OTC類似薬が保険適用外となると、経済的負担を理由に受診を控える患者が増える可能性がある。その結果、初期段階で治療を受けられず、病気が重症化してから受診するケースが増加し、かえって医療費や医療現場の負担が増える恐れがある。

また、国の負担は削減されたとしても、自己負担分は大幅に増え、国民全体の医療費はむしろ増加する。実際に、難病を抱えており、塗り薬や飲み薬が欠かせない方のケースでは、月の自己負担が3千円から約20万円に増えるとの試算もある。子どもの場合は、保険診療の窓口負担分の多くが自治体で助成され医療費は抑えられているが、OTC類似薬が保険適用外となれば、助成の対象からも外れるため、子育て世帯には大きな負担となる。

患者の安全確保と服薬管理の問題

現在、処方薬は医師・歯科医師による診断と服薬指導を受けた上で使用するが、OTC類似薬を自己判断で購入・使用する場合は、服薬管理が不十分となり、飲み合わせによる副作用や誤飲事故が発生するリスクがある。さらに、適切な薬剤選択や用量調整ができず、治療効果が不十分になることや、不適切な抗菌薬使用による薬剤耐性菌の増加などにつながりかねない。

特に高齢者や複数の疾患を抱える患者では、服薬内容が複雑になるため、医療者による確認が不可欠である。

マイナ保険証との整合性

国は、マイナ保険証を通じて過去の診療情報や薬剤情報を共有し、質の高い医療を実現することを目指している。しかし、OTC類似薬が保険適用外となると、それらの使用情報が診療記録に反映されないため、患者の服薬状況を正確に把握できなくなり、国が推進する「データを活用した安全な医療」の理念と整合しない結果を招く恐れがある。

歯科診療における影響

歯科診療においても、術後の消炎薬や口腔内の殺菌を目的としたうがい薬など、OTC類似薬とされる薬剤が用いられている。れらが保険適用外となると、患者が自己判断で薬剤を購入することで、適切な服用や衛生管理が行われにくくなり、術後感染症や副作用のリスクが増加するなど、安全性の低下につながる可能性がある。

さらに、患者負担の増加は、経済的理由による受診抑制が増加する可能性がある。特に歯科は所得が減ると受診控えが起こりやすいと言われているため影響が大きく、口腔健康の悪化が全身の健康に影響を及ぼす可能性も高い。

医療現場への影響

冒頭でも触れたが、政府・与党は、OTC類似薬を保険適用から除外することで、軽微な症状の患者受診を減らすことができ、医療現場の負担軽減や医療費の抑制が図れると説明しているが、OTC類似薬が保険適応外になったからといって、必ずしも軽症患者が受診を控えるとは限らない。むしろ、患者に市販薬の選び方や使用方法を説明する必要が生じるため、医療現場の業務が複雑化する可能性がある。

また、市販薬は一度に複数錠単位で購入する必要がある場合が多く、必要量以上の薬剤が手元に残り、無駄な医薬品が増えることも懸念される。

結びに

社会保障費の抑制や医療現場の負担軽減は重要な課題だが、社会保障費の抑制を名目に患者負担を増やすのではなく、医師・歯科医師による適切な診断と処方を通じて重症化を防ぎ、医療費全体を抑えることこそ重要である。

私たち歯科保険医は、国民皆保険制度を守り、患者が安心して治療を受けられる環境を維持するため、慎重な議論を求める。

2025年10月9日

東京歯科保険医協会

政策委員長  松島 良次

退き際の思考/「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会(宮 優子さん【後編】)

退き際の思考/「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会(宮 優子さん【後編】)

「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会

                             宮 優子さん―【後編】

歯科医師としての“引退”に着目した本企画。すでに歯科医療の第一線を退いた先生らにお話を伺い、引退を決意した理由や医院承継、閉院の苦労などを深堀りする。ここでは、今年4月をもって歯科医師を引退した宮優子先生(68歳)の後編。医院の譲渡や、協会との関わりについて伺った。

―前編では医院をM&Aで譲渡したことについて触れました。実際のM&Aの手続きについて教えてください。

M&A業者2社に登録して、譲渡先1件と面談、もう1件からもオファーをいただきましたが、これは残念ながらお断りしました。その後に最終的な譲渡先からのオファーがありましたので、計34件ほどの中から決めていった形です。譲渡に当たっては、「承継ノート」を作り、必要な情報をまとめました。また、従業員に対しては、従来の雇用条件を維持する方向性を伝えていたので、その点は問題なく進めることができました。

 

―譲渡先とはどのようなやり取りを。

これまでは個人の歯科医院ということもあり、慣習的にやってきたルールなどを改めて明文化する作業が必要で、ここが譲渡先との調整に時間を要した部分でした。過去に出した施設基準の届出書類などを揃えたり、譲渡先の医院に共有したりすることや、従業員の雇用契約書について合意形成を図る作業も大変でした。分からない点は、関係機関や業者などに問い合わせ、確認しながら解決しました。

― 歯科医院には取引業者も多いと思いますが、そのあたりの連絡は。

3年くらい前から「いつになるかわからないけど、引退する方向です」と雑談の中でなんとなく業者さんに伝えていました。また、引き継いでくださった院長先生が、私が引退することを改めて業者さんに周知してくれていて、担当者などからお礼のメッセージなどをいただきました。

◆「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会

―会員として23年、協会に入会した理由は?

手頃な会費で相談に応じてくれるので、開業当初に入会を決めました。返戻や医院経営の相談ですごく重宝していました。助成金申請でも手続きが分かりづらく、「どこから手を付ければいいの?」という状態の時にサポートしていただいたので良かったと思っています。そして、特にお世話になったのは自院に税務調査が入った時でした。当時は、診療をしながら、毎日のように税務署への対応もするため、どうすれば良いのか分からず困っていました。そこで協会に相談したところ、税理士さんを紹介してくださいました。それまでは自分だけで税務処理をやっていて不足していた部分があったので、すごく助かりました。それ以降、その税理士さんと顧問契約をして支えてもらいました。

―講習会にもよく参加されたとか。

協会の講習会は夜に行われることが多いので、土日に診療していたりトライアスロンのトレーニングをしている私からすると、とても参加しやすく利用していました。医院の譲渡にあたっても協会主催の経営管理研究会「歯科医院の事業承継・継承の実態とポイント」(202312月開催)を受講して、参考にさせてもらいました。

― 三大共済制度(グループ生命保険、休業保障、保険医年金)も活用していただきました。

かつて主人が亡くなった際に、保険に何も入っていなかったんです。最初は風邪のような症状でしたが、なかなか治らずに「今年の風邪は長引くね」と話していた矢先に脳炎で倒れ、その半年後に亡くなりました。その時に強く感じたのが、自分に何かあった時に子どもたちや周囲に迷惑はかけられないということでした。それからは、とにかく万が一に備えようと、グループ生命保険や休業保障にも加入しました。保険医年金は、貯金をする感覚で加入していてその面ですごく良かったと感じています。

―現在も歯科医師として従事する同世代の先生にメッセージを。

診療所でのサプライズ誕生会で

歯科界はますますDX化が進み、この数年でも大きな変化がありました。私はその波についていけなかった一人だと思っています。デジタル機器を扱えずにイライラしたり、「やらなきゃいけないけど、どうすればいいの」というのが当たり前でした。でも娘に聞くと、私が半日かけて悩んでいたことを10分で解決してしまう。なんだかガックリしちゃうことも多くありました。そうした世の中の流れの中で現在も診療にあたる先生方は、本当に尊敬しています。今は心が壊れてしまうことも多い時代です。私も長年の診療姿勢が悪く腰椎が変形しましたが、歯科医師は身体に不具合が生じやすいと思うんです。だからこそ、もし経済的に許すのであれば、無理はしないでいてほしいと願っています。また、“仕事が趣味”という先生も多い業界ですが、気持ちを切り替えられる趣味などがあれば良いのかなと思っています。

 

 

 

―ありがとうございました。

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)10月1日号

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)10月1日号

こちらをクリック▶「東京歯科保険医新聞」2025年(令和7年)10月1日号

【1面】
1.26年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換
2.署名とともに、「先生の声」をお寄せください/現場の声を国会議員に届けます
3.次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる
4.「地域から医療をなくすな!緊急決起集会」
5.探針
6.ニュースビュー

【2面】
7.2024年度 5年ぶり「高点数」個別指導を実施/萎縮診療せず カルテ記載や請求内容を確実に
8.「保険でよい歯を」東京連絡会/石川都技会長と懇談
9.中医協総会/歯科医療の課題を整理 障害者医療や口腔機能管理など柱

【3面】
10.2026年度東京都予算要望/子ども医療費 10月から所得制限撤廃
11.早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める 関東ブロック協議会・街頭宣伝
12.被爆の歴史を次の世代へ/若者達が被爆者と体験を共有し、学びあう
13.厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性

【4面】
14.経営・税務相談Q&A No.433“ 103万円の壁”撤廃で歯科医院への影響は?
15.通信員便りNo.154
16.10月会員無料相談のご案内

【5面】
17.研究会・行事ご案内

【6面】
18.退き際の思考 歯科医師をやめる(宮優子さん)/「どうすれば良いのか」窮地で頼った協会
19.共済キャンペーン

【7面】

20.第1回スタッフ講習会/ガイドラインなどに基づく医院ごとの対策を
21.ここがポイント!! 「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ
22.連載/協会探訪その②「運動本部」とは/保険診療の充実に政治への関与は不可欠
23.理事会だより
24.協会活動日誌

【8面】
25.第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〞の高齢化問題も
26.「保険でよい歯を」東京連絡会/イイ歯デー&歯の供養祭開催 巣鴨のとげぬき地蔵尊「高岩寺」で
27.神田川界隈/有病者歯科治療~私たちのできる事、できない事~(理事・川本弘/足立区)
28.東京都支援金情報/医療機関等物価高騰緊急対策支援金、生産性向上・職場環境整備等支援事業

【9・10面】
29.共済部折込

次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる

次期診療報酬改定では大幅引き上げを/全国で要求活動はじまる

9月25日に「いのちまもる9.25総行動」が開催され、医療従事者ら2,200名が日比谷野外音楽堂に集った。開会の挨拶に立った日本医療労働組合連合会の佐々木悦子委員長は、「物価高を背景に、医療機関の倒産が過去最高となっている。また、物価高に賃金が追いついておらず、医療機関などでの人員不足が慢性化している」と訴え、集会を契機に、診療報酬の大幅引き上げなど、各課題解決への取り組みの必要性を訴えた。

日本歯科医師会、日本医師会などからのメッセージが紹介されたほか、立憲民主党・日本共産党・れいわ新選組の国会議員も登壇。「物価が上がっても、診療報酬は2年間固定されて上がることはない。診療報酬の引き上げは必要だ」「多数の医療機関が赤字だと聞いている。この状態が続くことはあってはならない」など、要求に賛同する意見が多数寄せられた。

集会後にはパレードが行われた。参加者からは「診療報酬を大幅に増やせ」「社会保障費を増やせ」などの声が次々に発せられ、通行人に窮状を訴えた。

診療報酬の大幅引き上げを実現するには、秋の臨時国会に併せた諸活動が大きな鍵となる。協会は、医療機関の窮状を打開するため、行政や国会議員に要求を行っていく。引き続き、左上の署名とともに、協会の諸活動へのご理解とご協力をいただきたい。

早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める

早坂会長も署名を呼びかけ/保険証復活・資格確認書の一斉送付求める

 ◆関東ブロック協議会・街頭宣伝

保団連関東ブロック協議会(以下、関ブロ)は、会議に参加した各協会の会長・理事長が921日の夕刻、新宿駅南口前で白衣の街頭宣伝を行い、道行く人たちに「保険証を復活させよう!」「医療危機、地域医療を守ろう!」と訴えた。

街頭で署名協力を呼びかける早坂会長

当協会の早坂美都会長が「マイナンバーカードには電子証明書の有効期限があり、マイナ保険証を持って医療機関を受診しても使えない場合がある。そういうことが起きないように世田谷区と渋谷区では、資格確認書の一斉送付を決めた。この方法を広めるために東京都知事、東京都内区市町村の自治体宛に資格確認書の送付を求める陳情書・要望書を提出した。署名にも取り組んでいるので、足を止めて協力してほしい」と訴えた。

宣伝では「保険証を使い続けたい」請願署名を折り込んだポケットティッシュを配布、立ち止まって署名に応じる人たちが多数に及んだ。また、「地域住民の医療を受ける権利を保障するために医療機関の維持存続への支援を求める」請願署名への協力もあった。

 

10月12()には、関ブロ主催の「地域から医療をなくすな!緊急決起集会〝経営危機打開のため、次期診療報酬の大幅引き上げを勝ち取ろう〟」を都市センターホテルで開催するので、ぜひ、ご参加いただきたい。

第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〟の高齢化問題も

第3回メディア懇談会/マイナ保険証の混乱状況報告 〝一人技工所〟の高齢化問題も

協会は912日、第3回メディア懇談会を開催した。広報・ホームページ部の小林顕部長が進行を務め、馬場安彦副会長が議題の説明を担当し、メディア45名が参加した。議題は、東京都予算要請・都議会各派への要請、マイナ保険証・健康保険証関連、診療報酬関連、歯科技工問題など。

 

 

◆健康保険証廃止後の医療機関の混乱

このうち②に関して、健康保険証が廃止された場合に予想される医療機関での混乱について質問が上がった。馬場副会長は、現在でも身体的なハンディから顔認証ができない患者が存在することや、マイナ保険証での受付がスムーズにできない患者への対応でスタッフの業務量が増えていることなどを指摘。また、資格確認方法の混在により、スタッフが混乱しているとした。

◆歯科技工問題では発言多数

次に④では、歯科技工士や歯科技工士教育機関の減少問題などで懇談に入った。参加者からは、いわゆる〝一人技工所〟における歯科技工士の高齢化が進んでいるとの指摘があり、この点を「構造的な問題ではないか」とし、さらに「大きな枠組みの課題が放置されているように見える。世の中的にこの問題が認識されていかなければ解決できない」とした。別の参加者からは、「歯科技工問題の大きな要因は、保険点数よりも業界の産業構造が不採算であることに問題があるのではないか」とのコメントがあった。

連載 協会探訪 その② 「〝運動本部〟とは/保険診療の充実に政治への関与は不可欠」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

連載 協会探訪 その② 「〝運動本部〟とは/保険診療の充実に政治への関与は不可欠」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都

東京歯科保険医協会には「運動本部」と呼ばれる部署があります。協会探訪の第2回は、この運動本部を取り上げたいと思います。

運動本部は1997年に「これからも続く医療保険改革に対し、理事会が総力をあげて、その反対、改善運動に取り組めるよう位置づけ設置した」部署です。「国民とわれわれ歯科医師が共同して保険診療を充実させよう」というスローガンを、医療運動の面から進める、協会機構の中でも特別な位置づけとなっています。

現在の運動本部は社会保障制度、医療保険制度の改善・拡充のほか、国民が安心して医療機関を受診できるためのさまざまな活動を行っています。医療保険制度や診療報酬の改善・拡充については、地域医療や臨床の現場で起きている実態や抱えている問題を明らかにし、署名や現場の声とともに、国、東京都、国会議員や都議会議員、関係行政機関に対し要請や懇談などの活動を行います。また、国民が安心して医療機関を受診できるようにする活動では、窓口負担の軽減や改善、そして患者さんがいつでも、どこでも安心して医療・介護を受けられる医療提供体制を作ることを求めています。

ところで皆さんは、歯科医療にかかわる国会質問・答弁を聞いたことがありますか。例えば221019日に行われた第210回国会参議院予算委員会で、比嘉奈津美参議院議員(当時)から歯科医療に対する考えを問われた当時の内閣総理大臣の岸田文雄氏は、「口腔の健康は、全身の健康につながる。子どもから高齢者まで質の高い生活を営むために、口腔の健康が極めて重要であると認識しています。政府としては、生涯を通じた歯科健診の実現に向けた、具体的な検討を進めるなど、今後とも歯科口腔保健に関する施策を積極的に推進していきたいと考えております」と答弁しています。

このように予算委員会では予算の内容だけではなく、「いま優先して考えるべき課題」「判断や意思決定を必要とする重要な論点」などで質疑応答が行われることが多々あります。こうした国会の審議プロセスを経て、年度末の3月末頃に国の予算が採決されます。保険診療のための予算も同様です。ただし、診療報酬に関しては、次年度政府予算案の中の要求項目として扱われます。診療報酬改定率は、毎年12月下旬に、厚労大臣と財務大臣の間で決定され、それに基づき中医協などでの検討を経て診療報酬の内容が決まっていきます。

私が大学を卒業して歯科医師になったばかりのときは、「私たちは治療に専念していれば良いのに、どうして国政と関係あるの?」と思っていましたが、保険診療の仕組みを知るようになってから、徐々にこの点を理解し始めました。保険医の先生方と国民の方々に分かりやすく、かつ健康増進につながる保険診療を実現するためには、国にその必要性を理解してもらう必要があります。そして、そのリーダーシップをとっているのが運動本部です。

東京歯科保険医協会では、歯科保険医療の拡充が必要であることなどを、国会議員が理解を深められるよう議員会館に足を運び懇談や国会内学習会を行い、請願署名を届けています。

このようなことから「保険診療の充実に政治への関与は不可欠」であるのです。

ここがポイント!! /「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ

ここがポイント!! /「資格情報のお知らせ」のみ持参時の対応/9月末で国保保険証が期限切れ

国民健康保険(以下、国保)の健康保険証の有効期限が本年9月末で終了し、10月からはマイナ保険証がある患者はマイナ保険証で、マイナ保険証がない患者は資格確認書で資格確認する仕組みになった。

既に有効期限を迎えていた他県では、「資格情報のお知らせ」だけを持参するなどのトラブルが報告されている。

◆来年3月まではオン資で資格確認

「資格情報のお知らせ」は、オンライン資格確認システム(以下、オン資)未導入の医療機関を受診した場合などでも資格確認ができるよう、マイナ保険証と一緒に持参するものだ。ただ、暫定的な措置として、来年3月までは、「資格情報のお知らせ」のみでも国保の患者はオン資を用いて資格確認できる。

オン資による資格確認の流れは、①メニュー画面の「保険証/処方箋で確認」をクリック、②「資格情報のお知らせ」にある保険者番号等を入力、③検索一覧から該当者を選択、④資格情報を入手―となる。

また、有効期限切れの健康保険証を持参した国保の患者の場合も、来年3月末までは同じ扱いである。

なお、社保の患者の場合は、健康保険証が使用できるのは最大で今年121日までである。

◆マイナ保険証を使う意義はどこに?

「資格情報のお知らせ」や有効期限切れの保険証でも資格確認できるのであれば、顔認証付きカードリーダー(以下、CR)を導入してまでマイナ保険証を使う必要があるのだろうか。

なりすまし❞が懸念される場合、オン資に表示される住所などの情報を用いて本人確認する方法が有効だ。マイナ保険証は暗証番号が使い回しされれば、なりすましを防ぐことは困難。また、CRは定期的な買い替えが必要だが、それに対する補助金はない。それならば、全患者に資格確認書を送付し、それを用いてオン資で資格確認する仕組みの方が、なりすまし防止に繋がり、コストの点で医療機関に有利である。

◆全ての国保患者に 「資格確認書」の交付を

協会は、現場の混乱を解決すべく、東京都と全区市町村に対し、全ての国保患者に資格確認書の交付を求める陳情や要望を行っている。資格確認を巡るトラブルなどでお困りの際は、迷わず、協会までご相談いただきたい(☎ 03―3205―2999)。