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「有給休暇の 計画的付与の活用について」/機関紙2014年7月1日(532号)より

「有給休暇の 計画的付与の活用について」/機関紙2014年7月1日(532号)より

質問 当院ではスタッフが2人しかいない。ところが、2人が同じ日に有給休暇を取りたいといってきた。2人で同時に休まれたら困ってしまう。どうすれ    ばよいか。

回答 有給休暇は従業員の請求する時季に付与するのが原則ですが、「事業の正常な運営を妨げる場合においては他の時季にあたえることができる」と定めています(労働基準法第三十九条四項)。ご質問のケースでは、スタッフが二人とも休まれては医院の「正常な運営」は確保できないと考えられ、他の時季に取得することを求めても問題はないと考えられます。なお、代替勤務者がいる場合は、必ずしもこうした対応が適切とはいえないこともあります(弘前電報電話局事件<CODE NUMTYPE=UG NUM=9310>最二判昭六十二・七・十)。いずれにせよ、有給休暇の付与はトラブルになりやすい問題ですので、双方がよく話し合うことが肝要です。

 

質問 フルタイムの従業員に有給休暇を十日以上与えた上に、お盆休みと年末年始の休みを与えたら、当院のような小さな医院は運営面で苦し      い。特例のようなものはないか。

回答 医院側と従業員の過半数代表者が書面で協定を締結した場合、有給休暇を計画的に付与することができます。具体的には、有給休暇のうち5日間については従業員が自由に取得できる分として確保し、5日間を超える部分については計画的に付与します。その際、全従業員を同じ日に取得する一斉付与のほか、個人別に付与する方法などがあります。ご質問のケースでは、先に紹介した有給休暇を計画的に医院で一斉に付与することを検討してはどうでしょうか。具体的には、お盆休みや年末年始の休みのうち例えば5日間について有給休暇を計画的に付与し、残りの日を医院が恩恵的に休暇を与える扱いにするということです。その際、の注意点は、入職して6ヶ月未満で有給休暇が発生していない方や有給休暇の残りが5日以下の方の取り扱いです。この場合、一斉休暇により医院が休診となり、賃金カットを受けることになりますので、休業手当(賃金の6割以上)の支払い等の方策をとる必要があります(昭63.3.14  基発150)。

 ※なお実際の運用にあたっ ては、協会経営・税務・ス タッフ教育部や社会保険 労務士等に、予め相談を。

 

 

 

 

 

政策委員長談話「東京の歯科は努力をしてきた≪使い回し≫報道に抗議する 」

政策委員長談話

東京の歯科は努力をしてきた「使い回し」報道に抗議する

5月18日の読売新聞は「ハンドピースを滅菌せずに使い回している」ことをセンセーショナルに取り上げ、滅菌処理せずに次の患者に使用している歯科医院が7割になると報道した。そもそもハンドピースはディスポザーブルの器具ではなく、「使い回し」という表現は極めて不適切であり、歯科医院と患者の信頼関係を無用に崩す報道に断固抗議する。

東京の歯科医療機関は、1996年の米国疾病対策センター(CDC)のガイドライン発表以前から、B型肝炎対策を筆頭に感染制御に力を注いできた。その後も、新たな感染症の出現や感染対策の範囲の広がりに対し、CDCから更に2003年「歯科医療における感染管理のためのガイドライン」、2007年「病院における隔離予防策のためのガイドライン」など発表された時もそれに合わせるように、歯科医院におけるスタンダードプリコーションの実現を目指し努力してきた。

2009年8月に当会が実施した「歯科感染予防対策アンケート」では、オートクレーブなどの滅菌器は96%の医療機関が設置しており、消毒薬についても用途に応じ複数の薬品を使用している旨の回答が寄せられた。

しかし、診療報酬の度重なる引き下げにより、医療機関の自己犠牲の上に成り立つ感染症対策は限界に達したところに、さらに追い打ちをかけるように医療法が改正され医療安全管理とともに院内感染対策の義務化を求めるなど、歯科感染症対策を取り巻く状況は厳しさを増すばかりであった。これらを背景に、当会は2007年、2009年に院内におけるスタンダードプリコーション実現のための費用として「院内感染防止加算」の新設を求める医療技術評価提案を厚労省に行ってきた。

その結果、中央社会保険医療協議会で、歯科の感染症対策の為の費用は医科診療所の3 倍、有床診療所と同等との資料が示され、ようやく2008年度診療報酬改定で「歯科外来診療環境体制加算」が新設されたが、AEDの設置を義務付けるなど感染症対策に留まらない医療安全管理を求める点数に変貌した。その他、口腔外バキュームや歯科衛生士配置が施設基準に据えられたことから、都内での届出は575件(2014年5月1日現在)、都内医療機関の5.54%に留まり、多くの医療機関が算定できず期待を裏切るものであり、それは今も変わらない。

歯科の感染症対策に対する考え方は、2008年に日本歯科医学会から「エビデンスに基づく一般歯科医療における院内感染対策」が公表され、当会においても、2012年に「絵で見る色でわかる歯科の感染対策」冊子を作成し全会員に配布したことは記憶に新しい。

歯科の各行為は小外科の連続であり、全ての患者を対象として行わなければならない特色を持っているだけでなく、小規模の診療所が多いことから、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付事務など医療に携わる全員が理解し、実践することが求められる。

そのためにも、感染制御をはじめとする医療安全に力と費用を注いでいるすべての医療機関が算定できる点数を創設すべきであり、東京歯科保険医協会は、引き続き要請して行く。

2014年6月23日

政策委員長

中川勝洋

消費税ゼロ税率署名にご協力を

消費税ゼロ税率署名にご協力を

本 年4月、消費税が8%に引き上げられました。消費税増税は、実に17年ぶりのことです。今後、政府はさらに増税を行い、来年10月には10%まで引き上げ ることを予定しており、安倍首相はその判断を本年12月に行うと明言しています。現行制度のまま進みますと、保険医療機関は“非課税”となっているため、 患者さんから消費税を預かることができず、その分の消費税を保険医療機関が支払うことになっています。そのため、消費税が増税されますと、いわゆる「損 税」が大幅に増えてしまいます。協会ではこの動きに対して、保険診療への消費税「ゼロ税率」を求める院長署名を行っています。ご協力をお願いいたします。

署名用紙は、この下からダウンロードしていただき、署名の後、お手数ですがFAXにて協会あてお送りください。

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ゼロ税率署名JPG450pixscan-147

消費税ゼロ税率署名にご協力を

消費税ゼロ税率署名にご協力を

本年4月、消費税が8%に引き上げられました。消費税増税は、実に17年ぶりのことです。今後、政府はさらに増税を行い、来年10月には10%まで引き上げることを予定しており、安倍首相はその判断を本年12月に行うと明言しています。現行制度のまま進みますと、保険医療機関は“非課税”となっているため、患者さんから消費税を預かることができず、その分の消費税を保険医療機関が支払うことになっています。そのため、消費税が増税されますと、いわゆる「損税」が大幅に増えてしまいます。協会ではこの動きに対して、保険診療への消費税「ゼロ税率」を求める院長署名を行っています。ご協力をお願いいたします。

署名用紙は、この下からダウンロードしていただき、署名の後、お手数ですがFAXにて協会あてお送りください。

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接遇の心を伝える /ANA接遇講習会

接遇の心を伝える/ANA接遇講習会

接遇の基本として、接遇とはなにか、サービスとホスピタリティ、数ある歯科医院から選んでもらえるような感動を届ける接遇、患者さんの心理や第一印象の重要性などを、講師の経験談や医療現場で起こりうる事例を出しながら、説明された。

講演内容は、座学だけにとどまらず、2人1組のペアを組み立ち居振る舞い、お辞儀について等のペアワーク、また、講師から身だしなみについて参加者の意見を問う場面が織り交ぜられており、参加型の講習形式。

「接遇とは、思いがけなく出会った方に対しておもてなしの心で接すること」「フレンドリーと緊張感は違う」「第一印象は15秒で決まる」「医療では失敗は成功のもとではく、死に繋がる。しかしミスは誰もがおかす。だから防ぐことが重要」「不当要求とクレームは違う」などと説かれ、基本的な身だしなみなど接遇の基本はもちろんのこと、クレーム対応、医療人としての姿勢についてまでも熱演された。

第42回定期総会 決議

第42回定期総会 決議

今国会に上程された医療・介護総合法案は、19もの法案をまとめたものであり、その審議は衆議院28時間、参議院27時間というわずかな時間しかかけず、6月18日に自公の賛成多数で強行採決され、参議院本会議で成立した。審議では次々と法案の不備が明らかになったにもかかわらず、採決強行されたのは国民の声を踏みにじる行為であり、強く抗議するものである。

政府は「地域包括ケアシステム」という絵図を描いている。入院医療では病院にいる患者を追い出し在宅へ移動をさせ、外来医療では「ゲートキーパー」である「主治医」が治療を受け持ち、患者数を5%削減させるなどを目指している。しかし、同システムではボランティア、NPO、民間企業などが担い手とされており、「机上の空論」に過ぎない。医療・介護・福祉のインフラの整備の見通しもないままに、こうした計画が進めば、必要であっても給付を受けることができない方を多く生み出すことになりかねない。

また、政府が進める「成長戦略」は社会保障制度を営利追求の対象にするものであり、国民皆保険の解体へ進む危険な道と言わざるを得ない。財政制度等審議会では社会保障の財政支出が「財政悪化の最大要因」と決めつけ、いっそう強力な給付削減と負担増を求め、「受診時定額」負担や公的給付範囲の縮小、医療費総額管理制度などを提案している。

私たちは医療に携わる者として、社会保障制度を形がい化させる動きに対し反対の意思を表明するとともに、国民や医療従事者が安心できる医療制度・社会保障制度を実現させるために、政府などに対し、下記事項を速やかに行うよう求めるものである。

               記

一、低い歯科医療の技術料を大幅に引き上げること。

一、保険診療に「ゼロ税率」を適用すること。消費税率10%への引き上げを中止し、目的税化を行わないこと。

一、混合診療を解禁する「患者申出療養制度(仮称)」を撤回すること。

一、高点数医療機関を対象とした、集団的個別指導と個別指導を速やかに廃止するなど、不当な個別指導、監査を改めること。

一、70~74歳の高齢受給者の窓口負担を1割に戻すとともに、年齢で差別する後期高齢者医療制度を廃止すること。

一、義務教育就学児医療費の助成制度は対象年齢を15歳までを18歳までに引き上げること。

 

以上、決議する。

2014年6月21日

東京歯科保険医協会

第42回定期総会

シンポジウムで厚生省保険局の和田補佐も講演/2014年度第42回定期総会を開催

シンポジウムで厚生省保険局の和田補佐も講演/2014年度第42回定期総会を開催

協会は6月21日、新宿区西新宿のエステック情報ビル内のホールで2014年度第42回定期総会を開催しました。当日は、総会で議案5本の審議を行ったほか、シンポジウム「今次改定の評価と2025年の歯科保険医療の展望―厚労省は歯科医療をどう変えたいのか?混迷する現場の声は届いていたのか?このシンポジウムから将来を読み解く」を開催しました。

総会、シンポ終了後には、懇親会が開催され、民主党の牧山ひろえ参議院議員、共産党の小池晃・田村智子両参議院議員、共産党の大山とも子都議会議員、さらに円よりこ元参議院議員、東京都歯科医師連盟の高橋英登会長があいさつを行いました。

総会の冒頭で挨拶に立った松島良次会長は、今回のシンポジウムは会員へのメッセージを送るためのものであり、特に厚生労働省保険局医療課の和田康志補佐の講演内容に期待しているとしました。

続く議案の審議では、提起された議案5本はすべて承認され、新理事として本橋昌宏・相馬基逸両氏の就任も承認されたほか、5号議案として提示された「決議案」も承認されました。

◆シンポジウムの模様

シンポジウムでは、協会の加藤開理事が「人生の最後まで自分の口(歯)で食べるためのSPT」を、馬場安彦理事が「在宅医療を推進するために~現場からの問題提起~」、さらに厚労省保険局の和田康志補佐が「歯科医療の方向性について~診療報酬改定を踏まえて~」を講演しました(写真は3講師の面々)。コーディネーターは協会の坪田有史理事が務めています。

まず、加藤理事は諸データをもとに歯周病と全身疾患の実情を紹介し、SPTやメインテナンスの継続が歯の喪失リスクや歯周病進行と再発可能性を低減することを説明。しかし、2013年6月の社会保険診療行為別調査での日本全国の歯周病患者数は907万6712人としているものの、学会では日本全国の歯周病患者数は9000万人いると推測されていることを指摘しました。また、SPTのみならず歯科における検査の充実の必要性を訴え、具体例として①細菌学的・生化学的検査、②禁煙指導・治療、③唾液分泌機能検査―の3種類を掲げました。さらに、医科歯科連携において、診療に必要な情報を提供して情報提供料1が算定できるようにしてほしいと、強く要望しました。

次に、馬場理事が在宅歯科医療について講演し、高齢者人口が21%を超えると「超高齢社会」となるが、東京都の推計値では来年度の東京都は24%を超えることから、東京は既に超高齢社会に突入している現状を認識するよう強調。訪問歯科診療を実施している歯科診療所の実情を説明した後、在宅歯科医療を一歩進めるには、制度的側面からは、①診療報酬による評価と不合理解消、②医療保険と介護保険の給付調整を整理―が必要で、心理的側面からは、①他職種との連携方法、②寝たきりに近い患者の治療が難しいこと、③現実的には、休憩時間を削って訪問を行っていること―などを強調し、改善の必要性を訴えました。

 ●シンポジスト3氏250pixCIMG1609最後に和田氏は、1人平均う蝕歯数の変遷と歯科医療費・歯科医療費構成割合の年次推移を分析し現状を説明。口腔機能管理による在院日数削減効果や歯科治療需要の将来予測イメージを提示した上で、2014年度歯科診療報酬改定について説明。その中で、昨年秋以降から中医協で協議・検討が加えられている主治医機能について触れ、「歯科ではどのような主治医機能が必要なのか、どのような評価が必要なのか」を議論する必要があり、臨床現場サイドでの検討、提案に期待することを伝えました。さらに、今後の歯科診療報酬を考える上での論点として、①形態回復に加え機能回復の視点、②歯科疾患の重症化予防の視点、③歯科の主治医機能の考え方、④新技術や新医療機器を保険導入するためのツールの活用―という4つの視点を中心に説明。これらのうち④に関しては、新たな技術や医療機器の保険導入などに関する手続きに関し、医療技術評価提案と新規技術届出のほかに、企業による保険適応希望書提出も有効であること等を紹介しました。

明日の定期総会開催の準備作業を進めています

明日の定期総会開催の準備作業を進めています

明日6月21日(土)午後3時から、新宿のエステック情報ビル21階会議室で、第42回定期総会を開催します。協会事務局では現在、総会当日に向け、最後の準備、各業務分担係の備品や段取りなどの最終チェック、シンポジウムの打ち合わせと詰めの作業等が行われています。マスコミの取材負複数の申し込みがあり、そのための準備も整えています。

象牙質う蝕の診断とコンポジットレジンの修復めぐり学術研究会開催

象牙質う蝕の診断とコンポジットレジンの修復めぐり学術研究会開催

6月18日、なかのZERO小ホールで第1回学術研究会を開催しました。今回の講師は台東区で開業し日本接着歯学会理事・認定医の猪越重久先生(写真)。テーマは「象牙質う蝕の診断とコンポジットレジン修復」。参加者は、146名となりました。

冒頭のあいさつで松島会長は、協会が推進しているゼロ税率患者署名への協力を説明し、参加者から16筆をいただいています。

「労働時間の考え方について」/機関紙2014年6月1日(530号5面)より

6時間勤務してもらうと45分の休憩時間を与えないといけないという話を聞いた。この場合、実労働時間は5時間15分になるということか。また、勤務時間によって休憩時間を与えなくても良い場合があるとも聞いたが、労働基準法上、どのように考えればよいか。

労働基準法で定める労働時間とは休憩時間を除いて、事業所の命令下におかれた時間のことであり、休憩時間を含めた拘束時間全体のことではありません。また、労働基準法第34条第1項では「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定めています。したがってご質問のケースでは、45分以上の休憩時間を挟んで合計6時間の労働時間(所定労働時間)を定めることになります。ちなみに、所定労働時間が6時間以内の場合は休憩時間を与えなくてもよく、8時間を超える場合には、60分以上の休憩時間を与えることになります。


当院では十二時三十分から二時までの一時間三十分を昼休みにしている。一時間半ある昼休みのうち、最初の三十分は従業員に電話番をしてもらい、あとの一時間は院長である自分が出ようと思う。この場合、休み時間の電話当番の三十分の扱いは労働基準法に照らして、どのような対応を考えればよいか。

先生が従業員に対し、医院の昼休み時間のうち30分間の電話番を命じた場合、法令上、この時間は休憩時間ではなく、労働時間とみなされます。したがってご質問にあるようなケースでは、対応策が2つ考えられます。1つはその日の拘束時間のなかで別の時間帯に30分の休憩時間を与えることです。もう1つは電話番をした30分間について賃金を支払うことです。なお、1日トータルの実労働時間が8時間を超えてしまった場合、8時間を超過した分についてはいわゆる「時間外労働」となり、2割5分以上の割増賃金の対象になりますので、十分注意してください。


当院では10時に診療時間が始まる。このため、従業員に交付する労働条件通知書では所定労働時間のスタートを10時にしている。しかし、実際には9時45分までに出勤してもらい、診療の準備をしてもらっている。先日ある従業員から15分の分の賃金を請求された。この要求に応えないといけないか。

最高裁の判例によれば、勤務時間か否かの判断は「使用者の指揮命令下に置かれたもの」とみなされるかどうかで決まり、「労働契約、就業規則(略)の定めのいかんにより決定されるべきものではない」としています。したがって先生が診療開始15分前から診療準備の作業を命じていれば労働時間とみなされ、賃金支払いの対象となります。

「試用期間中の社会保険の扱い/本採用見送りの場合の対応は」/機関紙2014年5月1日(529号5面)より

四月に、いわゆるフルタイムの従業員を雇用した。試用期間を三ヶ月としているが、その期間は社会保険や労働保険に加入させなくてもよいか?

たとえ試用期間であっても、フルタイムの場合は社会保険、労働保険のいずれも加入が義務となります。ちなみに、雇用保険は週の所定労働時間が20時間以上の場合に被保険者となりますので、フルタイムのほかパートタイムの方でも加入となるケースもあります。


試用期間の間は残業代の対象外とした場合、問題があるだろうか?

試用期間中に法定労働時間を超える労働をした場合、残業代(2割5分以上の割増賃金)が発生します。なお、法定労働時間とは1日で8時間、1週間で40時間(従業員9人以下の歯科医院では44時間)とされています(いずれも休憩時間を除外して計算)。


3ヶ月の試用期間中に、有給休暇を与える必要はあるか?

有給休暇は、雇い入れ後6ヶ月を経過した時点で出勤日数が所定労働日の8割以上出勤した場合に与えることになります。雇い入れ6ヶ月未満で労災以外の傷病により出勤できなかったような場合、その日の賃金を支払わないことは差し支えありません。


3ヶ月の試用期間を設けているが、どうもこの従業員は当院には向かないようである。試用期間中であれば解雇しても問題ないか?

試用期間中であっても、雇い入れ後14日以上経過した場合は即時解雇ができません。通常の解雇と同様、30日以上前に解雇予告をするか、30日分以上の賃金(解雇予告手当)の支払いが必要です。また、雇い入れの期間にかかわらず、合理的な理由がなく、社会通念上、相当と認められない場合は解雇が無効となります(労働契約法第16条)。もっとも、一方的に雇用関係を解消する解雇という形ではなく、労使双方での話し合いも重要です。すなわち、医院の業務に向いていない点などを説明し、双方が合意して雇用関係を円満に解消する退職という形をとることが望ましいのではないでしょうか。


試用期間終了をもって本採用の見送り(解雇)をする場合、または従業員が辞める旨の申し出があった場合はどのような注意点があるか?

本採用を見送る(解雇する)場合は、正当な理由が必要です。例えば、業務上のミスや勤務態度の問題(無断欠勤、遅刻など)といった具体的な理由をあげ、事業主側としても再三注意したものの改善の見込みがないことなどを書面にして本人に通知するべきです。具体的には、試用期間が3ヶ月の場合、最初の2ヶ月が経過した時点で解雇理由を書面に記載し、1ヶ月後の試用期間満了を持って解雇する旨を通告するという方法が考えられます。また、従業員から退職の申し出があった場合、従業員側から退職願を提出してもらうことが必要です。

6月19日に弁護士・税理士による会員無料相談を実施します

◆弁護士・税理士による会員無料相談を実施中◆

今月は6月19日(木)開催です。早めのお申し込みを!!

 

協会では毎月第3木曜日に「会員無料相談デー」を開催しています。

協会の顧問弁護士と顧問税理士が無料で先生方のご相談に応じています。歯科に関する税務や法律に関する会員の先生向けの無料相談です。

 

【開催について】

◆日 時:2014年6月19日(木)午後2時~5時まで。

◆時 間:14時~17時(お1人1時間)

◆場 所:協会会議室

※税理士相談、弁護士相談いずれも3人まで。残席わずかです。すぐにお申し込みを。

※要予約です。あらかじめ協会 経営・税務・スタッフ教育までご連絡ください(TEL 03―3205―2999)。

機関紙6月号「経営・税務相談」のお詫びと訂正

【お詫びと訂正】

東京歯科保険医新聞2014年6月1日号(№530号)第5面の「経営・税務相談Q&A」の「別表」にある休憩時間は、8時間超に対しては正しくは「60分」です(以下に訂正版を掲載します)。お詫びして訂正させていただきます。

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経税QA6月号400pix

熱中症にご注意を/環境省の熱中症予防情報サイトについて

熱中症にご注意を/環境省の熱中症予防情報サイトについて

 

東京では、6月に入り梅雨入りして以降、ものすごい雨量が記録されたり、晴天になると急に強い日照りに気温が上昇したりと、毎日落ち着かない日々が続いています。

この時期から、毎年注意を要するのが「熱中症対策」です。

熱中症は、条件次第で誰でもかかってしまう危険性があり、死亡に至るケースも稀ではありません。

熱中症はどのような時に起こりやすいのか。家庭向け医療書籍やインターネットで検索すると、かなりの情報が掲載されています。

そのような中で、熱中症に関する情報が環境省が配信しているのをご存知でしょうか。以下に、ホームページのアドレスを明記します。暑さ指数、熱中症の予防対策と対処方法、熱中症環境保健マニュアルなどが参考になります。

熱中症については、会員の先生やスタッフの方々はもちろんのこと、通院されている患者さんにもご注意いただきたいところです。

 

◆環境省熱中症予防情報サイト➜http://www.wbgt.env.go.jp/

「まったくの欠陥法案」と小池議員が訴える/6.12院内集会から

「まったくの欠陥法案」と小池議員が訴える/6.12院内集会から

6月12日、「医療・介護総合法案」の廃案を目指した院内集会が、参議院議員会館講堂で開催され、保団連の住江憲勇会長が「ボロボロの医療・介護総合法案を断じて成立させてはダメ。廃案に向けて頑張っていきたい」と訴え、続いて済生会栗橋病院院長補佐の本田宏氏、花の谷クリニック院長の伊藤真美氏、全国医師ユニオン代表の植山直人氏、全国パーキンソン病友の会事務局長の高本久吉氏から発言が行われた。医療・介護総合法案は、来週6月17日の参院厚生労働委員会で採決が予定されているところだ。

本田氏200pixCIMG1201

発言した4氏の中で、特に本多氏は、厚労省が提示した1000ページにも及ぶ資料を提示し、厚労委員会所属の国会議員がこの資料を読んで審議に参加しているのか、疑問符を投げかけた。そして、問題点として、①臨床現場の意見が反映されていない、②OECD比較では、日本の医療費はGDP比に対して極めて低い、③医師数問題や病院体制の課題―を指摘した。

 

 

 

 

 

 

 

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集会に駆け付けた小池晃参議院議員(共産党・医師)は、「午後も厚労委員会で追及していく。まったくの欠陥法案。成立させたら、今後、地域での医療・介護の現場には混乱・悲惨な状況が待っている。介護利用負担2割アップの基礎資料データの間違い、厚労大臣の発言撤回など、いかに急いで作成した欠陥法案であるか露呈している」と訴えた。

「廃案しかない!医療・介護総合法案」院内集会に医療関係者200人が集結

「廃案しかない!医療・介護総合法案」院内集会に医療関係者200人が集結

6月12日、参議院会館講堂において「廃案しかない!医療・介護総合法案」院内集会が開催された。これは全国保険医協会連合会(保団連)や医労連、民医連、患者同盟など主催したもので、参加者はおよそ200人に上り、会場内は椅子に座りきれず立ったままの参加者も目立った。

通常国会の会期末を来る6月22日に控え、現在参議院で審議中の医療・介護総合法案を廃案に持ち込むべく、会場内は大変な熱気に包まれた。共産党の小池晃議員は「これまで政府が説明してきたこの法案の説明は完全に破たんしている。また6月17日の採決をめざして政府はかなり焦っている。いまこそ皆さんが声を上げ、廃案に持ち込もう」と述べたほか、福岡で精神科医院を開業する河野正美議員(日本維新の会)は「この法案では、検査技師が医師の指示のもと造影剤を注入できるといった内容が含まれている。必ず死者が出るような内容だ」述べ、廃案を強く訴えた。このほか、生活の党幹事長鈴木克昌議員、共産党の田村智子議員、民主党の郡和子議員から訴えがあったほか、フロア発言では全国パーキンソン病友の会などからこの法案の危険性を訴えた。最後に、この法案により必要な医療・介護が受けられなくなる患者・利用者が溢れる危険性を指摘し、廃案を強く求めるアピール案を大きな拍手で採択した。

なお、今回の集会は朝日新聞や東洋経済新報社などが取材に訪れており、注目度の高さを伺わせた。

40年間の念願かなう/協会会員5000名に

40年間の念願かなう/協会会員5000名に

◆会員一人一人のご協力に感謝

2002年に4000名会員を達成した時に、「4000名会員は通過点。名実ともに『もの言える組織』になるために、都内の歯科医療機関の半数である5000人会員を目指す」と、当時の定永健男組織部長が宣言してから12年。協会は、今年5月に会員5000名を超える組織となった。

◆1973年の創設時からの念願

1973年の発足当初の180名から、実に40年を費やし達成された。協会の入会動機は、共済加入、患者トラブル、新規指導相談や研究会の参加などさまざまだが、その多くが先輩、友人、親である会員からの「紹介」や「勧め」にたどり着く。5000名を達成したいま、会員一人ひとりのご協力にあらためて感謝の意を表したい。

また、設立時に機関紙で表明した「歯科医と患者が共に信頼し合えるような医療制度を築きあげる努力をすることは、歯科保険医の使命と任務である」を一貫してきたことや「か初診反対運動」、歯科医師の需給問題を真正面から取り上げた「歯科改革提言」などその時々の問題を取り上げ「悪いものは悪い」と正面から向き合ってきたことが、「紹介に値する組織」と評価されたと受けとめている。

春の組織拡大強化月間に当たる本年4~5月の2ヶ月間で、新規開業者を中心に50名が入会された。この50名の会員が胸を張り、誇りを持って友人や後輩に紹介できる協会で常にあり続けるよう取組んで行く所存である。

◆ゼロ税率要望にもご協力を

本年4月の消費税増税に伴い、診療報酬改定でも初・再診料が引き上げられた。来年10月には消費税の10%への引き上げが予定され、患者の受診抑制を強めることは明らかだ。「もの言える組織」の力を結集するためにも「保険診療への消費税『ゼロ税率』を求める要望書」にご協力いただきたい。

◆5000名会員の金子先生にインタビュー

春の組織拡大強化月間中にご入会いただき、5000人目の会員となった金子博明先生(上写真左)に山本鐵雄組織部長が表敬訪問を行った。

偶然にも、金子先生と山本部長は同窓で、しかもアメリカンフットボール部の先輩・後輩で久々の再会となった。

金子先生が入会された動機は協会の共済制度。金子先生は、「家族が増える中で将来のことを考え、保険医年金制度の安定性と利率のよさに魅力を感じた。その他にも仕組みがシンプルで高い保障があるグループ生命保険にも加入したいと考え、この機に入会した」と語る。

また、金子先生の実父である金子芳明先生も三十年来の会員で、これまでにもご一緒に新点数説明会や学術研究会に参加されており、「協会は比較的身近にあった」とも言葉を添えられた。特に、お父様から医院を継承した際の新規個別指導では、「協会役員の先生が本当に親身になって相談にあたってくれたことを感謝しています」と振り返られていた。

インタビューの中で、金子先生から、早速、友人の医師にも「保険医年金」を紹介されていたことを語られ、「医科であれ歯科であれ、人と人とのつながりこそが、強い協会を創りあげる」と山本部長はインタビューを締めくった。

きき酒 いい酒 いい酒肴③/バイロイトにて~その①「カップ酒」

きき酒 いい酒 いい酒肴③/バイロイトにて~その①「カップ酒」

私は、実はオペラが大好きで、家にいる時間のほとんどはクラシカジャパンというクラシック専門チャンネルをつけっぱなしにしています。
そんな私の休日の一番の楽しみは、劇場でのオペラ観劇。そして、幕間のために、カップ酒を持っていくのです。幕間に、シャンパンやワイン片手に談笑しているお洒落な方たちの間で、カップ酒を楽しむのが好きなのです。
リヒャルト・ワーグナー生誕二百年の昨年。思い切ってドイツのバイロイト歌劇場に行ってきました。ここは、ワーグナーを崇拝するいわゆる「ワグネリアン」の集まるところ。タキシードや、ロングドレスの素敵な方たちにまざって、私も単衣の和服を着ていきました。
バイロイトは小さな町です。ミュンヘンから飛行機でニュルンベルグへ。そこからさらにバスで一時間。真夏の日本と違って、湿気が少なくからっとしています。
上演日は、とても華やかな雰囲気になりますが、休演日は、静かな公園の一角となっています。
休演日、ホテルから歌劇場まで、散歩してみました。ワーグナーが愛したこの土地。短い夏の一時を楽しむように、ゆったりと時間を過ごす人たち。
早坂先生:カップ酒雪中梅300pixDSCN6741
◆オペラの聖地で新潟小千谷の吟醸純米
ここで新潟小千谷の吟醸純米酒「越の寒中梅」をあけました。小千谷の銘酒「長者盛」を醸している新潟銘醸株式会社から出ているお酒です。厳冬期にゆっくりと低温で発酵させたため、豊かな味わいと軽快さを楽しむことができます。バイロイトの爽やかな空気の中で上越の高い山々を水源とする伏流水からできた「越の寒中梅」は、身体の中にすっとなじんでいきました。
有名な小千谷の錦鯉の飼育にも使われているその伏流水は、有機物が少なく、無色無臭でミネラルの少ない軟水であり、酵母の発酵を促進する成分が適度に含まれています。仕込み水に用いると醪(モロミ)がおだやかに発酵し、淡麗な酒質となり、柔らかくなめらかな酒に仕上がるのです。
流れるように雄大なワーグナーの楽曲。素直な吟醸酒。ワインももちろんいいですが、観劇にカップ酒も、なかなかいいですよ。
 (早坂美都/世田谷区)

歯援診の講習会を開催/103名が参加

歯援診の講習会を開催/103名が参加

6月3日、千代田区日比谷公園内の千代田区立日比谷図書館文化館内の日比谷コンベンションホールで、在宅療養支援歯科診療所の施設基準に対応した講習会「高齢者歯科医療を支えるために」を開催し、103名が参加しました。当日は、繁田雅弘氏(首都大学東京大学院人間健康科学研究科教授)、茂木伸夫氏(がん・感染症センター都立駒込病院歯科口腔外科部長)、森元主税氏(当協会副会長、北区開業)が講演を行いました。

繁田氏からは、「高齢者の心身の特性および疾病の特徴」をテーマに、茂木氏から「緊急時の対応」をテーマに、森元氏から「高齢者の口腔機能の管理(管理計画の立案を含む)」をテーマに、それぞれ説明しました。

参加者からは「話が理解しやすく、説明が素晴らしい」「何回でも開催してほしい」などの声が寄せられ、大変好評でした。

なお、修了証を希望された先生には、6月6日に発送いたしました。ご確認下さい。

◆歯援診について

歯援診(在宅療養支援歯科診療所)は、2008年度診療報酬改定の際に導入された施設基準です。支援診の届け出を行うには、歯科診療料算定の実績や必要な研修の修了、歯科衛生士の配置、保険医療機関との連携等が必要な要件となっています。研修は届け出日から4年以内は有効です。

歯科医療機関の院内感染対策めぐり厚労省歯科保健課が担当部局に通知

歯科医療機関の院内感染対策めぐり厚労省歯科保健課が担当部局に通知

 厚生労働省は6月4日、医政局歯科保健課長名により、全国の各都道府県と保健所設置し、特別区の永生主管部局あてで「歯科医療機関における院内感染対策について」を通知した。内容は以下の通り。

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6.4歯科保健課長通知450pix

歯科医療をめぐる情勢へのスピーディな対応を確認/第3回広報・ホームページ部会を開催

歯科医療をめぐる情勢へのスピーディな対応を確認/第3回広報・ホームページ部会を開催

6月4日(水)午後8時~9時45分まで、第3回広報・ホームページ部会を開催しました。今回は、同日午後6時30分から9時まで、協会会議室で第2回歯科外来診療環境体制加算講習会が開催されたため、協会至近の会議室で部会を開催しました。

議事は、この1カ月間の医療・歯科医療をはじめとする情勢問題の議論・討議のほか、①機関紙6月号の講評、②機関紙7月号の編集予定、③ホームページの概況と改善点および編集の方向、④第42回定期総会議案書の編集・発送終了、⑤第42回定期総会のメディアへの取材案内、⑥第2回メディア懇談会の開催内容―などとなっています。

これらのうち、情勢と機関紙6月号に関しては、最近のマスコミ報道における歯科の取り上げ方と協会のスピーディな対応、「医療・介護総合法案」と「選択療養(仮称)」に関する理事会声明を決定後、各メディアに送付し、機関紙にもスピーディに掲載したことなどを確認しています。さらに、今後の機関紙編集の方向として、政府が予定している消費税10%への増税に対して、協会として進めている医療機関ゼロ税率会員署名に一層、積極的に取り組むため、7月号以降も特集を連載していくことも確認しています。

ホームページに関しては、以前よりも、とりわけこの半年間は従来よりもアクセス数がかなり多くなっていることに着目し、この水準を維持・伸長させることと、どのようなメニューを提供することで、より多くの会員がアクセスするようになるよう工夫を重ねていくこととなりました。また、共済部の共済制度紹介コーナーが、内容、画像ともに刷新したことも確認しています。

歯科医療に関し「ZAITEN」が再び特集組む/今次診療報酬改定などの視点から指摘も

歯科医療に関し「ZAITEN」が再び特集組む/今次診療報酬改定などの視点から指摘も

財界展望社発行の月刊「ZAITEN」7月号がこのほど発売されたが、その中で「歯科医生き残りの条件」と題した特集を組み、2014年度診療報酬改定、歯科医師国家試験合格率、歯科訪問診療などの視点から、今後の歯科診療所について論じている。同誌はこれまでに「歯科医倒産ラッシュの悪夢」などを企画、掲載してきた経緯がある。

2014.11.29/城東地区懇談会(北千住)

城東地区懇談会(北千住)

☆テーマ 2014年度の高点数指導とその注意点

◆内 容 点数改定に伴い開催した春の地区懇談会に続き、その第2弾「2014年度の高点数指導とその注意点」をテーマに地区懇談会を開催いた し ま す。大きな会場では聞けない、話せないことも、地区懇ならではの解説を。
◆日 時 11月29日(土)午後6時30分~8時30分
◆会 場 北千住シアター1010(千住ミルディスⅠ番館)11F視聴覚室(63名)
        住所:足立区千住3―92
◆要予約 参加につきましては、会場周辺地区の会員本人の参加となります。必ず事前にお申込みください。お申込みは、協会組織部まで(TEL 03―3205―2999)。
◆無料

シアター1010

 

 

 

2025年の歯科保険医療展望でシンポジウムを開催/パネリストに厚生労働省保険局医療課の和田康志技官も

2025年の歯科保険医療展望でシンポジウムを開催/パネリストに厚生労働省保険局医療課の和田康志技官も

★2014年度第42回定期総会のご案内★

東京歯科保険医協会は来る6月21日(土)午後3時より、2014年度第42回定期総会を開催いたします。当日の予定は以下の通りですが、今回はシンポジウム「今次改定の評価と2025年の歯科保険医療の展望」を開催します。シンポには、当協会の加藤開理事(社保・学術部長)、馬場安彦理事(地域医療部長)のほか、厚生省保険局医療課の和田康志課長補佐(歯科技官)も参加します。ご期待ください。

【東京歯科保険医協会第 42 回定期総会】

◆日 時 6月21日(土)

◆総   会   午後3時~5時

◆シンポジウム  午後5時~7時

◆懇 親 会   午後7時~9時

★会 場 エステック情報ビル・21階会議室B

(新宿区西新宿1-24-1/TEL  03―3342―3511)

①総会議事   午後3時~5時

 【 議 案 】

  第1号議案  2013年度活動報告の承認を求める件

  第2号議案 2013年度決算報告の承認を求める件

  第3号議案 2014年度活動計画の承認を求める件

  第4号議案 2014年度予算の承認を求める件

  第5号議案 決議採択の件

②シンポジウム 午後5時~7時

 『今次改定の評価と2025年の歯科保険医療の展望

 ―厚労省は歯科医療をどう変えたいのか? 混迷する現場の声は届いていたのか? このシンポジウムから将来を読み解く』

 ・パネリスト

  加藤 開 氏:協会理事/ 社保・学術部長)

  馬場安彦 氏:協会理事/ 地域医療部長)

  和田康志 氏:厚生労働省保険局医療課課長補佐

③懇 親 会   午後7時~9時

・会場: エステック情報ビル4階Y’s(アゴラ)

歯科医療の課題 ― と題し日本対がん協会の垣添会長が定期の口腔ケアを提唱

歯科医療の課題 ― と題し日本対がん協会の垣添会長が定期の口腔ケアを提唱

日本対がん協会の垣添忠生会長の主張ともいえる「歯科医療の課題/定期の口腔ケア全世代で/“かむ力”維持し健康長寿」が読売新聞の『地球を読む』に掲載され、歯科医療界はもとより広く医療関係者、介護施設関係者などから注目を集めている。

垣添先生の指摘は、柔らかい食品やお菓子が好まれるようになって、噛む回数自体が減ってしまったためあごの発達が遅れたり、歯並びが乱れるなどを来しているほか、よく噛んで食べないと満腹感が得られず食べ過ぎにつながり、ひいては肥満や成人病を来す。噛むことから遠ざかれば遠ざかるほど認知症の危険も高まる。そのような事態から脱するには、よく噛むこと、さらによく噛むためには口の中、つまり口腔の健康維持が不可欠であり、その成果は医療費の節約にもつながる、というのがおおよその趣旨だ。

垣添先生は国立がんセンターの総長を務めた経歴を持ち、現在も同センターの名誉総長でもある。がん治療の第一線で尽力された方が、噛むことの大切さ、口腔ケアの大切さを指摘しているこの主張は、本年1月19日の読売新聞朝刊の12面にわたって掲載されたものだが、垣添先生ご本人の了解と読売新聞社の許可を取ってここにPDFでダウンロード可能な形としましたので、会員の先生ご自身はもとより、患者さんとそのご家族などにもお配りいただければ幸いです。

理事会声明 /「医療・介護総合法案」の廃案を求める

理事会声明

「医療・介護総合法案」の廃案を求める

「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が衆議院で可決され、参議院に送られた。

同法案は医療法や介護保険法など19もの重要法案をまとめたもので、そのいずれもが今後の国民の医療、暮らしに大きな影響を及ぼすものである。それぞれの法案は慎重な審議が求められるものであり、短期間で、一括で審議し、多数の力で採択を強硬することは断じて許されるものではない。

政府は「税と社会保障一体改革」のもと、2025年への対応を口実に、より安上がりの医療・介護・福祉を目指した政策を盛り込んでいる。「地域医療ビジョン」「病床機能報告制度」により、2025年に必要とされる202万病床のうち43万床削減することを計画し、患者を在宅などに移動させようとしている。「ビジョン」に従わなければ医療機関にペナルティを課し、病床を削減させることも盛り込む。介護の分野では、要支援1・2の訪問・通所介護の保険外し、特養ホームから要介護度1・2の利用者締め出しなどを計画している。医療・介護・福祉のインフラの整備の見通しもないままに、こうした計画が進めば、多くの「医療難民」「介護難民」を生み出すことになりかねない。

その他、医療従事者の業務範囲拡大や医療事故調査制度の創設、外国人医師・歯科医師への規制緩和など医療の「安心・安全」から、慎重な審議が求められる問題が多い。

同法案は国民の権利に基づく社会保障制度を国民相互による「助け合いの仕組み」に変更することで、国の責任を放棄し、「社会保障給付の重点化」により風邪など軽医療の保険外しなどを行おうとするものである。同法案の拙速な審議をやめ、廃案を強く求めるものである。

2014年5月23日
東京歯科保険医協会
第4回理事会

理事会声明 「 国民との信頼関係崩れる“選択療養”には断固反対」

理事会声明

国民との信頼関係崩れる「選択療養」には断固反対

政府の規制改革会議は、3月から4月にかけて、保険外併用療養費制度の中に「選択療養制度(仮称)」を創設する提案を行っている。これは「困難な病気と闘う患者が治療の選択肢を拡大できる」ように、「極めて短期間に」「保険外併用療養費を活用」できることを目指す。仕組みは、安全性・有効性を前提に診療計画や説明、書面による契約を行ったうえで、全国統一的な中立の専門家に申請し、実施するとしている。当初、実施は保険者に届出るなどとしていたが、保険3団体などからの反対表明を受けて、申請先を「全国統一的な中立の専門家」に変更するなど、提案内容の不十分な点が目立ち始めている。

現在、保険外併用療養費制度と歯科の補綴治療の一部を除き、「混合診療」は原則認められていない。新たな技術・材料で安全性・有効性が確認されれば、すみやかに保険給付の対象にするのが原則だ。現在でも保険外併用療養費制度には保険収載のための評価を行う評価療養があり、さらに新たな制度を加えることにどのような必要性があるのか疑念を抱かざるを得ない。

歯科医療には、インプラント治療などの自費診療が存在しているが、これらが「選択療養」に充てられることは想定されていない。いったん「選択療養」の対象となれば、保険収載は見送られ、自費部分を支払える患者しか「選択」できないこととなる。つまり同会議の狙いは保険給付範囲の固定化・抑制であり、保険外とされた治療を対象とした民間保険の導入にある。

さらに「選択療養」の対象が拡大されていけば、歯科医療で昔あった「差額徴収」制度の再来となる。1960年代に「患者の希望により」「保険収載されていない材料・技術」を保険診療に加えて、患者の自己負担により行うもので、混合診療そのものに拡大していった。このため歯科治療費に対する信用が崩壊し、大きな社会問題となった。過去の例が示すように「選択療養」は、将来、医療担当者と患者・国民との信頼関係に亀裂を生むこともはらんでいるものと言える。

規制改革会議による「選択療養制度(仮称)」は容認できるものではなく、当会は断固反対の意思を表明するものである。

2014年5月23日
東京歯科保険医協会
第4回理事会

 

医療・介護総合法案の廃案求め国会内集会

医療・介護総合法案の廃案求め国会内集会

本日5月22日午前、医療・介護総合法案の廃案を求める国会内集会が参議院会館前で行われ、約200人が集まりました。医師・歯科医師のほか、生活の党の小宮山泰子衆議院議員、民主党の田城郁参議院議員、共産党の小池晃・田村智子の両参議院議員の4議員が廃案を訴え、マイクを握りました。

会場にはマスコミも駆けつけ、集会に参加した患者への取材なども行われました。

第75回社会保障審議会医療保険部会が開催/被用者保険5団体は医療費適正化強化で要望書を田村厚労相に提出

第75回社会保障審議会医療保険部会が開催/被用者保険5団体は医療費適正化強化で要望書を田村厚労相に提出

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会の第75回会合が、昨日5月19日、厚労省内で開催された。今回は、市町村国保、全国健康保険協会、健康保険組合、高齢者医療制度などをめぐり、事務局資料をベースに各委員が意見を述べるフリートーキング的な形で議論が行われた。

その中で、各保険者とも、財政事情は厳しいことや負担保険料率に差問題が生じていることなどをあげ、保険者間には共通的な課題が存在することが示唆されている。ただ、社保審医療保険部会の遠藤久夫会長(学習院大学教授)は医療保険部会としてできることに絞り込んで議論していくとの姿勢を強調し、議論の方向性を示した。

審議終了前に、委員で佐賀県多久市長の横尾俊彦氏が肺炎死亡者の多数を高齢者が占めており、高齢になるほど肺炎の死亡率は高くなっている実態を指摘。その予防は医療費節約にもつながる可能性を示唆。地元の多久市では今秋から、65歳以上を対象とした肺炎球菌ワクチンの予防接種費用として2000円を助成することを説明・報告した(下記PDF参照)。

なお、この日19日付で、大塚陸毅氏(健康保険組合連合会会長)、小林剛氏(全国健康保険協会理事長)、米倉弘昌氏(日本経済団体連合会会長)、三村明夫氏(日本商工会議所会頭)、古賀伸明氏(日本労働組合総連合会長)の5氏による連名で「医療保険制度改革に関する被用者保険関係5団体の要望について」を取りまとめ、厚生労働省の田村憲久大臣に対して提出した。

保険者5団体要望書のPDFはここをクリック