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連載/遊歩道 第3回 CAD/CAMブリッジをどう使う?「シンボー」の特徴と臨床上の注意点


連載/遊歩道 第3回 CAD/CAMブリッジをどう使う?「シンボー」の特徴と臨床上の注意点

2026年6月、新たに公的医療保険にYAMAKIN株式会社のCAD/CAMブリッジ用材料「KZR-CAD ファイバーブロック シンボー」(以下、シンボー)が期中改定により保険収載された。これにより、本材料によるCAD/CAMブリッジが保険適用となった。
メタルフリーのブリッジは、すでに約6年前の18年4月に高強度硬質レジンブリッジ「エクスペリア」(株式会社ジーシー)が保険収載されている。しかし、適用条件が厳しいため、必ずしもその選択頻度は高いとはいえない。近年、主に世界情勢に影響されて貴金属価格が高騰しており、歯科にとって歯科鋳造用金銀パラジウム合金(金パラ)の問題は無視できない状況になって久しい。そのため、適用条件が厳しくなく、信頼性も担保されたメタルフリーのブリッジの保険収載が望まれていた。

◆CAD/CAMブリッジの留意事項
CAD/CAMブリッジは、メタルフリーのコンポジットレジンによるブリッジであるため、保険収載に際し、高強度硬質レジンブリッジの準用技術となっている。前号に高強度硬質レジンブリッジとの違いを概要として示したが、今回、「CAD/CAMブリッジの留意事項」のさらなる詳細を示す(表1)。

◆CAD/CAMブリッジ用材料「シンボー」について
「シンボー」は、グラスファイバー強化型レジンである芯材(フレーム材)とレジン材料(CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)・KZR-CAD HR ブロック3 ガンマシータ)が一体となった構造である(図1、2)。したがって、CAD/CAM冠と同様の加工性があり、歯科用CAD/CAMシステムにより、ブロックからブリッジが製作できる。色調はA2、A3、A3・5が用意されている。図3に芯材の配置イメージを示す。
なお、咬合面に芯材が露出するのではないかとの懸念が散見される。しかし、咬合面のレジン材料の厚みが1・0mm以上に設定されるため、すぐに問題が生じる可能性は高くないと思われる。

図1

図2

図3

◆CAD/CAMブリッジの設計
「シンボー」によるブリッジの適応症は限定されていて、第二小臼歯、第一大臼歯を中間欠損とする3ユニットブリッジ症例(④5⑥、⑤6⑦)である。なお、ブリッジの連結部に芯材を配置することが困難なケースや、クリアランスを十分に確保できないケースは適用外である。

◆支台歯形態
表2に各面のクリアランス量とマージン部付近の水平幅を、図4に望ましい支台歯形態を示す。必要な咬合面クリアランス量は、従来の小臼歯、大臼歯のCAD/CAM冠で推奨されている数値と同じである。したがって、CAD/CAMブリッジでは芯材が内蔵されることから、咬合面クリアランス量を多くしなければならないと考えがちであるが、そうではないことを理解して支台歯形成をする。なお、隅角部は丸みをつけ、マージン形態はディープシャンファー、あるいはラウンデッドショルダーで形成する。
CAD/CAMブリッジは、CAD/CAM冠と同様に支台歯形成がもっとも重要といえるため、形成量の確認は、プロビジョナルブリッジの厚みをメジャリングデバイスなどで計測して確認することを推奨する。

図4

◆装着の際の注意事項
CAD/CAMブリッジの装着は、CAD/CAM冠などと同じく接着性レジンセメントで行う。CAD/CAMブリッジの接着前処理は、アルミナ・サンドブラスト処理およびプライマー処理などを行い、内面処理加算1を算定する。一方、支台歯側は、象牙質、コンポジットレジン、メタルなどが混在しているケースがあるため、使用する接着システムのメーカー指示に従う。
今回、条件付きとはいえ新たに「シンボー」によるCAD/CAMブリッジが保険収載され、臨床での選択肢が増えたことを評価したい。しかし現在、高い臨床エビデンスがあるとはいえないため、現時点で示されている適応症の選択、支台歯形成、印象採得などの臨床操作、さらに調整、装着など、すべてのステップに理解と注意が必要である。そして、メタルフリーであるCAD/CAMブリッジが欠損補綴の選択肢の一つとして、患者、国民にとって価値のある補綴物になることを望む。

東京歯科保険医協会
副会長 坪田 有史


連載/遊歩道 第2回 「歯初診の施設基準に新たな研修項目が追加される」/東京歯科保険医協会副会長 坪田 有史

連載/遊歩道 第2回 「歯初診の施設基準に新たな研修項目が追加される」/東京歯科保険医協会副会長 坪田 有史

6月施行に向けて、2026年度歯科診療報酬改定(以下、改定)は、1月に個別改定項目の公表、2月に答申、3月に官報告示・関連通知の発出、4月改定と各ステップが着々と進み、その都度、協会は、会員に適時メールニュース、本紙などで情報を発信してきました。そして4月10日(金)に「文京シビックセンター」で第1回新点数説明会を開催します。今次改定の内容を分かりやすく解説しますので、ご参加のほどよろしくお願い申し上げます。
続いて第2回新点数説明会は、6月施行の直前となる5月21日(木)に保険請求時の注意点を中心に「なかのZEROホール」で、さらに5月27日(木)には在宅医療を中心に解説する第3回新点数説明会を同じく「なかのZEROホール」で開催します。

◆初・再診料の引き上げと「歯初診」届出の影響
今次改定は、臨床現場の不合理の多くが是正された改定であると私は評価しています。しかし、歯周病安定期治療(SPT)と歯周病重症化予防治療(P重防)が整理・統合されて歯周病継続支援治療になること、有床義歯で義管と歯リハ1との同日算定、歯科衛生士ならびに歯科技工士への評価、ベースアップ評価料の変更など、保険診療を行う上で、理解が必要な変更点が多くあります。今回、初診料と再診料の点数アップと歯科初診料注1の施設基準(以下、「歯初診」)の研修要件の追加について解説します。今次改定において、初診料と再診料は、「歯初診」の届出を行っていれば改定前の初診料267点が、6月の改定後には5点増点の272点に、再診料58点が1点増点の59点なります。「歯初診」が未届の場合、改定前の初診料240点が、6月からは5点増点の245点に、再診料44点が1点増点の45点になります。これら初・再診料の点数引き上げの理由は、物価高騰による医療機関の物件費増加への対応とされています。表に12年からの歯科(「歯初診」届出医療機関)と医科の初・再診料の変遷を示します。歯科と医科の基本診療料の差は、12年時は初診料52点の差だったのが今次改定で19点、再診料27点の差が今次改定で17点と少しずつですが、縮まっているのが分かります。
なお、「歯初診」の届出医療機関と未届の医療機関で初・再診料に小さくない点数の差が設定されたのは、18年度改定でした。なお当時、半年間の経過措置が設けられたため、18年10月1日から新たな点数で初・再診料の算定となりました。したがって、それ以前の多くの医療機関は、この経過措置の半年間で常勤歯科医師の院内感染防止対策(22年改定時に追加:標準予防策および新興感染症に対する対策)に関する研修を受講、届出を行い、その後に毎年行う定例報告(当時、7月報告)で研修名や受講年月日などを記載して、関東信越厚生局へ報告してきました。研修は4年に1回以上の受講と定められていますから、22年に2回目の研修を受講された会員が多いと推測されます。したがって、今年26年は多くの会員が3回目の研修を受講する必要があります。なお、25年に行った8月報告(24年改定より7月から8月に変更)は、今次改定で添付書類の省略などの簡素化を理由に廃止となりました。したがって、定例報告の必要はなくなりますが、4年に1回以上の研修の受講は、引き続き必要です。

◆研修項目追加の背景と今後の対応

今次改定で「歯初診」の研修の項目に薬物耐性に関する「抗菌薬の適正使用」が追加されました。世界中で話題になっている薬物耐性菌による死亡者数、さらに薬物耐性菌が関連した死亡者数の推計数はとても大きな問題といえます。我が国の歯科医療の現場で、抗菌薬が適正に使用されているとはいえない現状に対して、26年1月16日に厚生労働省から「抗微生物薬適正使用の手引き」第4版として歯科編が発行されました。このことが今次改定での「歯初診」の研修項目の追加の契機となったと推測されます。ぜひ、第4版・歯科編をご覧になり、直近の情報から歯科におけるAMR(薬剤耐性)対策への理解を深めていただきたいです。そのうえで、抗菌薬の不適正使用を是正し、すべての歯科医療従事者が薬物耐性菌の発生リスクの低減に努めることが重要であり、その取り組みこそが、未来の医療を守るための責務であると考えます。なお、新たに研修を受講される方は、協会で開催する26年度院内感染防止対策講習会(歯初診)をオンライン(Zoom)にて受講いただけるよう準備中です。講習会では「抗菌薬の適正使用」についても触れています。詳細が決定次第、新聞や協会ホームページでお知らせします。ぜひご利用ください。

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連載/遊歩道  第1回 「2026年度改定に向け厚生労働省へ要請」/東京歯科保険医協会副会長 坪田 有史

連載/遊歩道 第1回 「2026年度改定に向け厚生労働省へ要請」/東京歯科保険医協会副会長 坪田 有史

 

前会長の坪田有史氏が歯科について執筆するコラムを新たにスタートさせます。タイトルは「遊歩道」。「遊歩道」は散歩や自然観察、景観を楽しむこと(遊歩)を目的として作られた道のことです。コラム「遊歩道」は、さながら、遊歩道を散歩しているがごとく、時には立ち止まり、時には遠くを見つめながら、坪田氏独自の視点で歯科界を自由に解説していきます。ぜひ、ご期待ください。

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【2026年度改定に向け厚生労働省へ要請】

◆厚労省要請で保険請求の不合理是正を要望

協会は2026年度診療報酬改定に対して、協会会員から寄せられた要望や意見を伝えるため、25年12月4日に5名の役員と2名の事務局員が厚生労働省を訪ね、要請活動を行いました。本稿では、その内容を抜粋して報告するとともに、私見を述べます。

要請時点で、既に26年度改定の内容については、中央社会保険医療協議会(中医協)において骨子や方向性が示されていました。その上で今回の要請の趣旨は、「歯科医療の質の向上および国民の口腔の健康を図るため、現行の告示および通知における運用上の課題について、臨床実態に即した見直しを行い、制度の実効性を高めることを要望すること」でした。すなわち、歯科保険医が日々診療を行う中で、保険請求において不合理と感じる点や疑問に思う点などを、診療報酬を所管する官庁である厚労省側に直接要請することでした。

◆なぜ、私が協会で活動するのか

約14年前、私は東京歯科保険医協会に入会し、協会活動に参画しました。その理由は、所属していた大学で研究・臨床を行う中で、特に研究テーマの一つであった支台築造について、エビデンスに基づかない保険算定要件の縛りや不合理な解釈を改善したいと考えたからです。

当時、厚労省の改定を担当された方に要請し、理解を得て、支台築造の算定要件の改善を実現しました。一人の歯科医師の声が協会を通じて保険制度の内容を改善したことは、とてもうれしい経験でした。

この成功体験は、今でも私が歯科保険医、そして患者・国民のために協会活動を行う土台、礎となっています。私の経験を、ぜひ他の先生方にもお伝えしたい、そして実際に経験していただきたいと思っています。協会会員の先生方はもちろんのこと、まだ協会に入会されていない先生方も、日々保険診療を行う中で疑問に思うこと、改善してほしいと感じることがあるはずです。声を上げなければ、それは行政側には届きません。私は、多くの先生方に協会活動へ参画していただくことを望みます。それが叶わなくとも、協会は先生方の声を行政に届けますので、ぜひご要望、ご意見を協会までお寄せください。それが患者、国民はもとより、必ず歯科保険医、歯科技工士、歯科衛生士、メーカーなどの歯科医療関係者へのフォローになります。

◆今後の改定動向を注視

1月に学会ルートである医療技術評価提案書を通じて、評価される新技術や既存技術の改善に関する提案が発表されます。そして2月には、26年度改定の具体的な内容が明らかになります。その内容が、前述した要請の趣旨に沿ったものとなるよう、協会は今後も臨床現場からの意見を提示していきます。

今後とも、協会活動へのご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

★機関紙「東京歯科保険医新聞」2026年1月1日号(No.670)8面掲載