IT相談室

ネガティブな口コミへの 対応策 No.1

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、歯科専門にサイト制作、運用、コンサルディングを手掛ける専門家が解説する本連載。
今回からは、ネット上の口コミへの対処法について―。

 Googleで検索した後に、基本情報や写真と同時に第三者の口コミと星の数で診療所を評価する口コミがあります。ネガティブな口コミが書かれていると、広告的なダメージへの心配以上に心情的な不快感を持たれる方が多いようです。この口コミを削除するためにはいくつかの方法があります。
(1)Googleへ削除依頼を申請し、受理してもらう
(2)投稿者自身が削除する
(3)法律の専門家からGoogle、もしくは投稿者へ削除要請を行う
 もう一つ方法がありますが、倫理的に問題がある手法で、医療機関という社会の公器たる歯科診療所が選ぶべき選択肢ではありません。また、Googleにその手法を察知されると大きなペナルティを受けるリスクが高いほか、手法そのものも悪用される可能性があるのでこの場では割愛します。
(1)Googleへの削除依頼は、一般の閲覧者として申請するやり方と歯科診療所のオーナーとして申請する2種類の方法がありますが、削除されやすいのはオーナーとしての削除依頼です。「Googleマイビジネス」という無料サービスに登録することで削除依頼を申請できます。違法、危険、なりすまし、利害に関係することなどGoogleが定める規定に反するものは削除されます。
 しかし、実際には著作権侵害、危険行為、テロなどの明確な犯罪行為やほかのビジネスの宣伝などの書き込みでない限り削除されないので、実際は削除されないことも多いですが、その理由は「悪評も評価の一つ」というGoogleの考え方が強く反映されているからです。(2)(3)は次回解説します。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2022年1月号5面掲載)

医療広告ガイドラインで最初に 気をつけるべきポイント No.2

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、
歯科専門にサイト制作、運用、コンサルティングを手掛ける専門家が解説する本連載。
2回目は、医療広告の注意点について―。

 厚生労働省(以下、「厚労省」)が公表している2021年3月31日時点の違反事例を見ますと、自費の治療内容ページに違反があった場合が圧倒的に多いようです。
 厚労省は業者に業務委託し、ネットパトロールと称して違反しているページがないか、常に監視をしています。
 さらに、匿名で違反サイトを密告できる委託窓口を設けているうえに、「競合する診療所からの告発では?」という事例もありますので、対岸の火事ではないことを最初に認識すべきでしょう。
 厚労省が発表している違反事例を見ますと、まずインプラント、審美、矯正といった高額になりがちな自費の解説ページで、症例の写真を掲載(詳しい治療内容も併記しなければ不可)、料金表がない(料金表の公表は必須)…。これらの違反がチェックされていることがわかります。
 加えて、「年間○○本のインプラント実績」や「地域で最も安全安心」「芸能人の○○さんも通っている」などの誇大広告的な文言や写真などもよくチェックされています。
 まとめますと、歯科診療所のWEBサイト内容の見直しを行う際には、歯科広告ガイドラインの内容を考慮するほか、ネットパトロールによる監視や密告の可能性にも留意することが必要です。
 そして、特に自費の治療内容や、主にトップページにありがちな誇大広告や誘導的な言い回しに違反がないか今一度、自院のホームページをチェックし、もし上記の例に該当する場合はガイドラインに沿ってできるだけ早く訂正すべきです。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2021年12月号2面掲載)

医療広告ガイドラインで最初に 気をつけるべきポイント No.1

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、
歯科専門にサイト制作、運用、コンサルティングを手掛ける専門家が解説する連載。
初回は、医療広告について―。

 2018年6月1日に改定された厚生労働省の「医療広告ガイドライン」によって、対象物が「広告」から「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」へと変更され、WEBサイトによる情報提供も規制の対象となりました(医療法等改正法)。
 変更点のポイントは、今までは閲覧者が自主的に開くWEBサイトは「広告」としての機能を持ち合わせていないという視点でしたが、これが患者の誘導として広告的に使用されているという考えに変更され、テレビCMのように規制を受けるということです。この規制に反した歯科診療所のWEBサイト、SNS、ブログ、ポータルサイトなどは、自治体(主に保健所)から指導が入ります。
 具体的には、文章による通知、もしくは電話連絡があります。そこから、1カ月以内に問題箇所を訂正して、訂正完了の申請を行えばペナルティなどはありません。しかしながら、放置すると「行政指導」「報告命令」「立入検査」「中止命令」「是正命令」と、段階ごとにペナルティを受ける可能性があります。次回No.2ではなぜ広告に気をつけるのか、どこに気をつければ良いのかを解説します。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2021年11月号3面掲載)