東京都歯科衛生士会・藤山美里会長インタビュー/ベア評価料導入後、 処遇改善の実感は?

 ベースアップ評価料は、2026年度診療報酬改定で見直しが行われ、さらに歯科技工士の賃上げを目的とした歯科技工所ベースアップ支援料が新設された。これらの診療報酬において、処遇改善の“対象”となる医療従事者は現場で何を感じているのか―東京都歯科衛生士会、東京都歯科技工士会に取材した。今号では東京都歯科衛生士会の藤山美里会長にお話を伺った(東京都歯科技工士会の取材記事は本紙6月号掲載予定)。

Q.ベースアップ評価料が導入されて以降、現場は処遇改善を実感していますか?
ベースアップ評価料に関して、本会では2025年初頭に歯科衛生士を対象としたアンケート結果*を公表しました。結果からは「現場で処遇改善を実感している」とは言い切れず、むしろ実感できていない方が多いことが明確になりました。ただし、満足している人も一定数いるという点も事実で、現場の受け止め方は二極化しています。また、そもそも制度を知らない歯科衛生士もおり、制度は動いていますが、現場の体感としてはアンケート実施時点では届いていないと考えます。
なお、本会としては、毎年「診療報酬研修会」を開催しており、歯科衛生士が自身の関わる保険点数とその流れを正しく理解するよう尽力しています。

Q.ベースアップ評価料の届出、未届出は、歯科衛生士が就職先の歯科医院を選ぶ際のポイントになり得るものでしょうか。
届出をされている医院は「制度を理解し、スタッフに還元しようとする姿勢がある」と考えられ、届出状況は、就職先を選ぶ際の判断材料になり得ますが、制度自体を理解していない(知らない)歯科衛生士もいるので、全てではありません。また、届出の有無だけでなく、給与への反映の透明性と説明を求める方もいます。
ベースアップ評価料は、私たち医療スタッフの処遇改善が社会的に必要だと認められた証拠だと考えます。スタッフとして、より良い職場づくりを院長先生方と一緒に考えるきっかけにしたいです。また、算定されない背景には、申請手続きが複雑であることが一因であると伺っております。申請の流れをより簡素化できるよう、要望書提出なども院長先生方と考えたいと思います。

Q.26年度改定では、口腔機能実地指導料など、歯科衛生士の診療の補助業務が拡充、評価されましたが、貴会ではどのように受け止めていますか。
26年度改定で口腔機能実地指導料など、歯科衛生士が日々取り組んでいる専門的な指導が制度として明確に位置づけられ業務が評価されたことは、大きな励みです。
また、職能団体主催の研修会が施設基準研修として認められたことも意義深い前進です。この流れを会員拡大にもつなげ、より多くの歯科衛生士が学び続けられる環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。

Q.歯科衛生士不足は喫緊の課題ですが、歯科衛生士の視点で〝働きやすい、長続きする就労環境〟とはどのようなものでしょうか。
1)適正な評価と処遇
基本給の底上げや、ベースアップ評価料の適切な反映など、専門職としての責任と負担に見合った処遇が確保されていることが、現場の歯科衛生士から求められています。
2)人員配置と働き方
適切なスタッフの人員配置、休暇の取りやすさ、時間外労働の削減など、持続可能な働き方ができる体制が求められています。本会では復職支援・離職防止研修会や職業紹介サイト(無料)を運営し、人材確保に尽力しています。
3)成長につながる要因
学びを支援する制度、教育に前向きな人、専門職として尊重される関係、専門性を発揮できる業務などが整備されている環境は、離職防止に大きく関係します。
卒業後も継続的に学び、専門知識・技術を高めるための研修・認定制度である日本歯科衛生士会生涯研修制度や主催研修会などで本会も支援しています。
*=「処遇改善に関する緊急アンケート」/実施期間 24年11月10日~12月23日、回答総数585)