連載/協会探訪 その③ 「保険請求と学術/強い味方の<社保・学術部>」/東京歯科保険医協会会長 早坂 美都
協会の「社保・学術部」は、理事会の執行機能を補佐する専門部のうちの一つで、おそらく、会員の先生方にとっては、一番なじみのある部署ではないでしょうか。
社保・学術部は、診療報酬の正しい解釈や算定・請求方法の解説をはじめとした医療保険制度全般に関する事項の全て、および学術関連情報の提供なども担当しています。役員・部員21名を中心に、会員サポートを行っています。同じ臨床医だからこそ共感できる懇切・丁寧な相談体制の構築を常に心がけています。保険請求や返戻・査定の電話相談は年間1万件以上あり、事務局が主体となって対応しています。
たくさんの相談を受ける中で、納得できない審査については、審査支払機関への改善要求につなげています。
◆社保と学術を統一した部署は協会ならでは

①多数の会員が参加した2018年4:月の「新点数説明会」の様子です。来たる2026年度診療報酬改定でもこの説明会を開催しますが、改定内容の趨勢は本年末の2026年度政府予算案の決定にあわせて明らかになります。大事な情報は協会機関紙、ホームページデンタルブックメールニュース、F-nexで適時お知らせします
2年に一度の診療報酬改定の際には、テキストを作成し、「新点数説明会」を開催しています(写真①②)。参加経験をお持ちの先生は、かなり多いことでしょう。私も会員になってからは、欠かさず参加しております。
コロナ禍以降は、密集を避けるため事前申込制を基本としましたので、会場から参加者があふれるようなことはなくなりましたが、やや以前の2006年度改定時の新点数説明会では、座席が足りなくなり、会場内の通路や階段、さらには場外の廊下に座って受講するほどでした(写真③④)。新点数説明会の会場では、レセプトコンピュータや医療機器などの展示説明のほか、共済制度の案内も行っています。
最近の返戻・査定の傾向や個別指導と新規個別指導の現状などを解説するための社保研究会が今年の8月末に開催されましたが、社保・学術部が担当です。
学術関連では、翌日からの診療に活かせる歯内療法や歯周治療などベーシックなものから最先端治療まで、各分野を代表する講師を選定し、定期的に学術研究会を開催しています。
社保と学術を統一した部署は、協会ならではの存在です。歯科では保険請求と学術は関連があります。歯科では自費治療もありますので、複合的関係性を統一的に捉えた活動を行っています。

③この写真は2006年度改定時の新点数説明会会場です。席を取れなかった先生方が、座席最後部の通路にぎっしりと座り込んでいます。それでもあふれた先生方には、廊下で聞いていただく事態となってしまいました。ご迷惑をおかけしました
◆健康保険証は国民皆保険制度の象徴
さて、保険請求の基となっている健康保険法は1927年に施行されましたが、当時はまだ歯科医療は大変贅沢な医療でした。歯科医師数も少なく受診率も低かったのです。その後、61年に国民皆保険制度が実現し、誰もが医療サービスを受けるための手段として健康保険証が発行されました。25年12月には、その国民皆保険制度の象徴ともいえる健康保険証が廃止(制度は存続)されようとしています。
健康保険制度の成り立ちについて、要となる事柄を振り返り、大きな流れを把握することは決して無駄なことではありません。そのことは、また別の機会に解説させていただこうと思います。





