厚労省資料から歯科の現況を考える/患者の視点で考える 診療報酬の引き上げの必要性
物価や人件費の高騰などの影響で多くの医療機関の経営は苦しい。次期診療報酬改定の大幅な引き上げが求められるが、患者の動向や疾病構造の変化に注目した要求も必要だろう。
ここでは、患者層や患者の視点から、次期改定の要求の方向性を考えてみる。
◆患者層からみるポイント
今年7月に厚生労働省が公表した「医療給付実態調査」(2023年度調査)から、全国のレセプト件数の年齢推移をみると、図1となる。レセプト件数のピークは、5~9歳、50~54歳、70~74歳であることが分かる。
また、男女の差にも特徴があり、10代までは男女差はほぼないが、20代以上になると女性患者が多い傾向がみえる。
◆患者は何で選ぶのか?
ところで、患者はどのような視点で歯科医院を選ぶのだろうか。厚労省の「2022年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」(以下、特別調査)の結果によると、受診した歯科診療所を選んだ理由として、「自宅から近い(47.9%)」よりも割合が高い項目に、「信頼している歯科医師がいる(67.9%)」「歯科医師や職員の感じが良い(63.2%)」「定期的な管理をしてくれる(54.6%)」などがある。
つまり、信頼や好印象を得られる患者対応や、分かりやすい説明、適切な定期的管理などを患者は重要視しており、それが実現できるような診療報酬の在り方を求めていかなければならない。
◆患者が求める医療 十分提供できる体制を
患者は、親切・丁寧な治療を求めていることが分かる。しかし、物価や人件費の高騰で一人でも多くの患者を診療しようとすれば、一人当たりの診療時間が減ってしまう。患者が求める丁寧な診療を行うためには、診療報酬の大幅な引き上げが必要である。
協会は、「地域の医療機関を守るため、緊急財政措置と診療報酬の大幅な引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」を集め、近く国会議員に要請を行う。ぜひ、署名にご協力をいただきたい。