2026年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換

2026年度東京都予算要望/子ども医療費・個別指導など16項目で意見交換

協会は93日、東京都庁第一本庁舎で、東京都保健医療局および福祉局に対し、2026年度東京都予算などに関する要請を行い、意見交換を行った。協会からは、早坂美都会長、高山史年理事、矢野正明理事が出席した。

要請内容は、歯科医療機関のDX化に対しての支援、物価・人件費高騰に対する財政支援措置、歯科衛生士の復職支援、医院承継への支援、妊婦や子どもへの医療費助成制度の拡充、「いい歯東京」の委託先を全ての歯科医療機関に拡充すること、ハラスメント対策、個別指導対策など16項目。

また、生活保護法における個別指導について、保存義務がない医療要否意見書などの持参は、あくまでも「お願い」であって、罰則を伴うような義務ではないことが東京都から示された。

都要請に臨んだ(左から)高山史年理事、早坂美都会長、矢野正明理事

【子ども医療費10月から所得制限撤廃/東京都の主な回答】

◆子ども医療費完全無償化を要望

子ども医療費の通院1200円の窓口負担の助成について、窓口負担の有無によって、子どもの口腔状況に差があることや、実際に、窓口負担が足かせになり受診できない子どもがいること、東京都で窓口負担が残る自治体はわずかであることなどから、都に対し完全無償化を実施し、全国に広げてほしいと要望した。これに対し、都側は10月から所得制限を撤廃する。自己負担は、本当に医療が必要な方が受診を躊躇しないよう配慮した金額で設定しており、コンビニ受診を防ぐために窓口負担は残す必要があるとの姿勢は崩さなかった。一方、都では国に対し、子どもの医療費について、負担軽減措置の拡充や、医療費助成制度の創設を求めているとの説明があった。

◆デジタル化のセミナー「講習会の活用を」

デジタル化に対し、小規模な歯科医院での利用に特化したセミナーの開催や支援を求めたところ、小規模な医院では人材不足やセキュリティーが課題となっていることに理解を示し、医療DXのセミナーや出張講習会も予定しているため、活用してほしいとの案内があった。

◆歯科衛生士の復職支援研修センター設置を要望

歯科衛生士の復職支援については、歯科衛生士の人材不足が続いており、復職支援が急務であること、復職にはユニットを活用した実習による技術の再習得が不可欠であるため、研修センターの設置を要望。これに対し、現在は歯科衛生士会に委託して研修を実施していること、会場確保は歯科衛生士会と相談しながら調整していることなど回答があった。研修会などの周知は協会でも協力できることを伝えた。

◆「いい歯東京」の推進「パブコメで意見を」

「いい歯東京」の推進について、全ての歯科医師が積極的に関われるような施策を要望したところ、計画時にパブリックコメントを実施しているため、次回の計画時のパブリックコメントで意見を寄せてほしいと返答があった。

◆生活保護の個別指導医療要否意見書の持参は「お願い」扱い

生活保護法の個別指導について、保存義務がない医療要否意見書などは「保存されていない場合は持参不要である」旨を指導通知に記載するよう要望した。都側は、「医療要否意見書により、医療扶助に関する事務取扱や患者の処遇について確認しているため、持参してほしい。医療機関で発行した文書類は控えを取ってあるのが普通であるが、持参をしないことで不当や処分ということにはならない」とし、保存義務がない文書の持参は、あくまでも「お願い」であることを確認した。

【都議会会派への要望も】

協会は東京都要請とともに、都議会各派からの2026年度東京都予算ヒアリング等にも参加している。以下に、既に実施した都民ファーストの会、共産党都議団とのやり取りを紹介する。

《都民ファーストの会》

◆国保加入者全員へ資格確認書の送付を要望

9月8日、2026年度東京都予算要望について、都民ファーストの会東京都議団と懇談を行った。都民ファーストの会からは、議員15名が出席し、協会からは早坂美都会長、高山史年理事が出席した。

懇談に先立ち、協会から26年度東京都予算に関する要望16項目について説明した。

歯科衛生士の研修センターについて「ニーズがどれだけあるのか」「会議室のような場所にユニットを設置し、実習を行った後、撤収するなどの使い方は可能か」など関心を示した。

また、6月に実施された東京都議会議員選挙に向けて、協会が実施した各政党への政策アンケートで、「資格確認書について、渋谷区と世田谷区では、資格確認書を国保加入者全員に発送するが、どのような施策を考えているか」という質問に、都民ファーストの会からは、「一部自治体の先進的な取り組みを横展開できるような事例の周知や技術的支援を行い、都内全域で必要な対応が可能となるよう調整する」と回答を得たことに対し、進捗を質問したところ「プロジェクトチームを作るなど組織づくりを進めている」と現状の説明があった。

《共産党都議団》

◆歯科衛生士・歯科技工士に関する課題など懇談

9月3日、26年度東京都予算要望について、日本共産党東京都議会議員団と懇談を行った。共産党からは3名の議員が、協会からは早坂会長、高山理事、矢野理事が出席し、要請した16項目について説明した。

子ども医療費助成制度の拡充については、「貴会の調査を活用して、都議会で質問を行った。拡充に向けて引き続き頑張りたい」との決意を示した。

また、歯科衛生士の復職支援について「研修は必須なのか」と質問があり、「ブランクがあると技術に不安があり、復帰に踏み切れないことが多い。実技研修があれば自信をもって復職できるし、歯科医師側からも復職についての声をかけやすい」と回答した。その他、歯科技工士が減少している問題、物価高騰対策支援金などの支援金事業、障害者歯科医療についても意見交換をした。

ハラスメント対策について、業界ごとのハラスメント対策の手順書を産業労働局が通知する予定になっているとの情報提供があり、実際に通知された際には、効果が見込めるか、実行性があるかなど意見を寄せてほしいと要望が出された。