大幅な診療報酬引き上げ必須/実調から見る歯科の実状
診療報酬改定の争点の1つは国家予算の医療費への配分であるが、その重要な指標が「医療経済実態調査」である。協会は秋の臨時国会にあたり、診療報酬の引き上げなど歯科に係る要求を行うが、直近の調査結果から歯科の窮状を考える。
◆保険も自費も減少損益差額は約1割減
直近2022年度の個人立の歯科診療所における結果(最頻値)は表のとおりだ。収入の柱である医業収益は保険・自費共に前年度比で減少し、それを補うべく経費節減に努める傾向がうかがえる。特徴的なのは給与費と損益差額で、昨今の賃上げの流れを受けて給与費は上がったが、開設者の報酬および内部資金に相当する損益差額は前年度比で9.2%も減少している。まさに身を切った賃上げが行われている。
◆大幅引き上げなくして手取りは増えない
24年度診療報酬改定の歯科の改定率は+0.57%だった。医業収益からみて見劣りする引き上げ幅である。改定後の調査結果は今冬に公表されるが、この間協会のアンケート調査や金パラの値上がりなどを考慮すると、歯科の窮状は依然として続いていると思慮される。医業収益のほとんどは保険診療で支えられており、歯科医師および従業員の手取りを増やすことを考えれば、診療報酬の大幅引き上げは必須である。
協会は、歯科の窮状の打開を目指すべく、臨時国会において診療報酬の引き上げを求めて行政へ要請を行っていく。引き続き、協会活動へのご理解、ご協力をいただきたい。