社会保障充実に向け秋の運動へ/保険証問題、高額療養費制度、物価高騰…積もる課題の解決へ
7月に行われた参議院選挙は、社会保障制度の在り方を問う契機となった。全国保険医団体連合会(保団連)は、事前に主要各政党へのアンケートを実施。医療・社会保障の充実、高額療養費制度改悪の撤回、健康保険証の新規発行復活、医薬品を保険給付から外さないことなど、医療分野に対する各党の考えを問い、積極的な情報発信のもと世論喚起に努めた。
選挙の結果、与党は6月の東京都議選に続き、参院選でも過半数を割る大幅な議席数減となった。これには国民の不安、不満が浮き彫りになったと見ることができよう。一方で、社会保障制度の縮小を掲げる政党もあり、少なからず今後の社会保障の在り方が問われる選挙となったのではないだろうか。保険医協会・医会としては、医師・歯科医師、医療現場の立場から今後も正しい情報提供を行い、分断や対立を煽るのではなく、社会保障の充実に向けた働きかけを行う必要があるだろう。
こうした情勢を踏まえ、協会でも秋から冬にかけての運動が本格化する。保団連を中心に、医療機関への財政措置や、2026年度診療報酬改定に向けた大幅な引き上げ要求を柱とした運動の議論が進む。資格確認や窓口負担増加など、じかに患者への影響が及ぶ課題については、患者に対する周知も重要な位置付けとなるだろう。
◆保険証復活・OTC・高額療養費…課題は山積
保団連、全国の保険医協会・医会は従来から健康保険証の存続や併用を求める署名に取り組んできた。保険証廃止による混乱や患者の不安を背景に、全国の医療現場からは健康保険証復活を前提に「資格確認書の全員交付」や「無保険者を生まない仕組み」の整備などを求める声があがっている。自治体や国への働きかけ、待合室での情報提供などを通じ、患者の受診を妨げることのない環境を作らなければならない。また、社会的にも注目されるOTCの保険外しや高額療養費制度について、物価高騰の中でさらなる自己負担の増加は患者にとって大きな痛手となる。
各地で患者団体との連携やオンライン署名が展開されており、医療現場からの声と国民の声を結びつける取り組みが進む。そして、来たる9月25日には「いのちまもる総行動」が予定されており、社会保障の立て直しを掲げた全国規模の集会が行われる。歯科医師の立場から地域医療を守る役割を再確認し、患者・国民と共に医療現場を守り、未来を築く決意を新たにする場として、会員の先生にもぜひ参加いただきたい。秋の運動は、国会と世論の双方に働きかけ、医療・社会保障の充実を求める重要な局面となるだろう。