第53回定期総会開催/新会長に早坂美都氏女性で初/会員のため歯科医療の課題に対処
協会は6月15日、新宿区内のTKP市ヶ谷カンファレンスセンターで第53回定期総会を開催し、会員ら47人が参加した。2017年から4期8年にわたり会長を務めた坪田有史氏が退任し、新たに会長として選出された早坂美都氏(左写真)が抱負を述べた。第6代会長となり、協会設立から約半世紀の中で初めての女性会長となった。
役員改選では立候補した23名全員が信任選出。現職の役員に加え、小林顕氏が新理事に就任した。また、これまで副会長や広報・ホームページ部長などを歴任してきた藤野健正監事が退任し、新たに顧問となった。
その後に行われた臨時理事会で早坂新会長ほか、加藤開、坪田有史、馬場安彦、本橋昌宏、山本鐵雄の各氏が副会長に選出された。
当日は併せて、東京新聞編集局社会部編集委員の長久保宏美氏による記念講演が行われた。続く懇親会では、会員や関係者らが交流を深めた。
定期総会の冒頭、坪田氏は会員をはじめ、役員、部員らにこれまでの感謝の意を表し、会長職を退く意向を表明した。その後、池川裕子理事が関係団体などから寄せられたメッセージを読み上げた。また、議長には、島倉洋造氏、橋村威慶氏がそれぞれ選出され、議事を進行した。
第1号議案「2024年度の活動報告の承認を求める件」、第2号議案「2024年度決算報告の承認を求める件」「会計監査・会務監査報告」を行い、いずれも賛成多数で承認された。
続いて、第3号議案「2025年度活動計画案の承認を求める件」、第4号議案「2025年度予算案の承認を求める件」が提案され、こちらも賛成多数で承認された。第3号議案には、26年度診療報酬改定に向けた厚生労働省への働きかけや、従業員の雇用確保など歯科医院経営を守る取り組みを盛り込んだ。また、マイナ保険証問題を念頭に、全国民へ「資格確認書」の発行を国などに求めていくことも明記した。
さらに、第5号議案「役員改選の件」では役員選挙で理事、監事が選出されたほか、顧問、事務局長がそれぞれ承認された。
最後に第6号議案として、「決議採択の件」も賛成多数で承認された。
各議案に対し、参加した会員からは、医療機関への支援金の給付を東京都へ要望してほしいという声や、事務局体制や会員サポート体制の維持を求める意見などが出され、それぞれ執行部が返答した。
☆ 「アットホームな雰囲気」初参加の会員らも懇親☆
◆記念講演はマイナ問題 東京新聞・長久保氏
定期総会終了後、長久保氏による記念講演が行われた。テーマは「マイナ保険証と保険証廃止―担当記者の2年間」で、55人が聴講した。
長久保氏はマイナ保険証問題が取り沙汰されて以来、最前線で取材を続けてきた。講演では、多くのマイナンバーカードの電子証明書が2025年に有効期限を迎える問題については、既に川崎市の窓口で対応できない状況が起きていることを説明。一方で全国的にマイナ保険証の利用率は低迷しており、「メリットが十分に活かしきれていない」と指摘した。本講演の模様は本紙8月号で詳報する予定。
◆新旧会長が抱負と謝辞
会員や関連団体、議員らが参加した懇親会には、63人が集った。新会長お披露目となった冒頭の挨拶で早坂氏は「国民の皆さまが、より一層安心して歯科医療を受けることができるよう、さらなる努力を続ける」と抱負を述べた。その後、全国保険医団体連合会の天谷静雄副会長、東京保険医協会の須田昭夫会長らも登壇し、祝辞を送った。
その後、早坂新会長から坪田有史前会長に退任の花束が贈られた。坪田氏は「患者、国民のために思考を巡らせてきた」と会長任期を振り返り、「これからの協会もよろしくお願いします。本当に8年間ありがとうございました」と謝辞を述べた。
◆初参加の会員「協会はアットホーム」
会場には、初めて定期総会に訪れた会員の姿もあった。佐藤洋一先生(豊島区)は、「若手や新規開業の先生によりプッシュ型のPRができれば、より協会が発展していくのではないか」と、さらなる協会活動に期待。定期総会については「アットホームな雰囲気で会員の先生方と気軽に意見交換ができる楽しい時間を過ごせました。また次回も参加したい」と笑みを浮かべた。また、扇山隆先生(江戸川区)は、数年来続く健康保険証廃止問題をきっかけに、協会活動への関心が高まったと明かし、協会活動の報告や今後の見通しがまとめられた議案書を手にし、「活動の様子が詳しく載っているので、これを読むことが大切だと思った。参加してみなければわからないこともたくさんあった」と初めて足を運んだ定期総会を振り返った。