【地域医療部談話】 子ども医療費助成制度の拡充を全国へ

 これまで協会では20年以上前から18歳までの子ども医療費無償化を訴えてきた。東京都において子ども医療費を完全無償化している自治体が年々増加しており、ついにおよそ8割の自治体が完全無償化となった。将来の危機的な少子化に対し、子育て支援や子どもの健康を守る機運が高まる中、協会の運動の成果が実りつつある。

 しかし、12自治体では未だ自己負担が残る。財源や方針など、自治体任せでは解決できないのではないだろうか。2024年9月の第3回定例会では、小池百合子都知事が、自治体間の格差を是正したいとして、子ども医療費助成制度の所得制限撤廃を打ち出したことは評価したい。しかし、自治体間の格差是正ということであれば、もう一歩踏み込み「1回の受診につき上限200円の自己負担」も撤廃すべきだ。

 2024年に当会が実施した東京都への要請では、「1回200円の自己負担は受診の妨げにならないと考えている」との答弁があった。しかし、当会の調査で一部負担金の有無により、歯科受診率や口腔内状況が違うことが示されている上、自治体からも「窓口負担があることでコンビニ受診を防いでいる」と受診を抑制する効果があるとの意見が出されている。確かに不要な受診は控えるべきであるが、受診を躊躇することで、重症化するリスクを負うべきではない。特に子どもは周囲の方へ症状を的確に伝えることができず、病状の急変が起こりやすく、進行が早いなどの特徴がある。早期受診、早期治療を行うことで、子どもの健やかな成長を促すのは当然のことではないか。

 さらに、東京都すべての自治体が完全に無償となったとしても、他の道府県では一部負担金がある自治体は多くある。どこに居住していても安心して医療にかかれるよう、全国統一の制度とするべきだ。東京都には、まず東京都が手本となり、子ども医療費の完全無償化を実施し、全国統一の制度として国が実施するよう、強く働きかけてもらいたい。

 引き続き協会では、すべての子どもが平等に、お金の心配をせずに医療を受けられるよう、「子ども医療費無償化」「地域間格差の是正」を求めていく。

 

 2025年7月1日
東京歯科保険医協会
地域医療部
部長 森元 主税