新型インフルエ ン ザによる休業と賃金の扱い/機関紙2015年2月1日号(№539号)より

新型インフルエ ン ザによる休業と賃金の扱い/機関紙2015年2月1日号(№539号)より

質問① 新型インフルエンザに罹患して休業した従業員はいつごろ復職させればよいか?

回答① 基本的に、熱などの症状がなくなってから2日目までが外出自粛の目安といわれています。しかし完全に感染力がなくなる時期は明確でないことから、可能であれば発症した日の翌日から7日を経過するまで外出を自粛することが望ましいとされています。もちろん、復職については医師の指導が前提であると考えられます。なお、季節性のインフルエンザの場合、学校保健安全法施行規則第19条で「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」を出席停止と定めており、こうした基準を参考にして医院の実情に合わせてご判断ください。医院において、こうした基準を踏まえて休業と復職の取り決めを予め定めたほうがよいでしょう。

なお、感染の機会を減らすため、従業員に手洗いやうがい、マスク着用、咳エチケットの周知、診療所の清掃を徹底することが望ましいでしょう。

 

質問② 新型インフルエンザに罹患した従業員が休んだ場合、賃金等についてどのようなことに注意したらよいか?

回答② 新型インフルエンザにより、医師等の指導で労働者が休業する場合は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられます。したがって、医院での病気休業の取り決めに則って対応することが考えられます。

例えば、年次有給休暇を取得して療養してもらったり、あるいは「特別の休暇」として無給でありながら欠勤扱いにしない、などの対応が考えられます。

前記の回答①で触れたインフルエンザによる休業・復職の取り決めを定める際にはその期間の賃金の取り扱いも合わせて定め、実際に休業者が出る前に労使双方で合意しておいたほうがトラブルの防止につながるでしょう。

 

質問③ 発熱があり、新型インフルエンザかどうか未確定の時点で休業した場合や、同じ職場の従業員(または家族)が感染したが従業員本人に症状は出ていない状態で、念のため休ませたような場合、賃金等の取り扱いはどうなるか?

回答③ 新型インフルエンザかわからないが発熱があるので従業員が自主的に休む場合は、前記の回答②と同様、医院の病気休業の取り決めに則って対応してください。

一方で、例えば37℃以上の熱があることなど、一定の症状があることで一律に休ませるなど、医院側の判断で従業員を休ませるような場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、労働基準法で定められた休業手当の支払いが必要です。また、感染者と近くで仕事をしていたがインフルエンザ様症状がない従業員を医院側の判断で休ませた場合も同様です。なお休業手当は原則として平均賃金の60%以上とされています。

※参考:厚生労働省「新型インフルエンザ(A/H1N1)に関する事業者・職場のQ&A」(平成21年10月31日)。厚生労働省ホームページ「インフルエンザQ&A」ほか。