採用時の留意点/機関紙2017年4月1日号(№565号)より 

採用時の留意点

質問1 4月から新しく常勤の歯科衛生士を採用する。採用にあたり、どのような手続きをすればいいか。

回答1 新規採用にあたり、歯科衛生士の場合は保健所に「開設届出事項一部変更届」を提出します。届出は雇い入れから10日以内に行い、氏名や免許番号、就職日の記載が必要になります。添付書類として免許証の原本(照会のため)とコピーが必要です。新規採用が歯科医師の場合は、保健所への届出の他に、関東信越厚生局東京事務所に「保険医療機関・保険薬局の届出事項変更の届出」を提出する必要があります。また、非常勤の歯科衛生士を採用する際は、所定労働時間が週20時間以上かつ31日以上雇用する見込みの従業員に関しては雇用保険、1週間の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が常勤の従業員と比べ4分の3以上の従業員に関しては、雇用保険の他に社会保険の加入が必要です。ただし、社会保険加入に関しては従業員が常時5人未満の個人診療所の場合は必要ありません。労災保険に関しては1人でも従業員を雇用した場合に必ず手続きをする必要があります。

質問2 新規採用時に従業員に明示する必要のある労働条件の項目を教えてほしい。

回答2 新規採用時の労働条件の明示にあたり、労働基準法に義務付けられている書面に記さなければいけない事項として、①労働契約の期間、②就業の場所・従事する業務内容、③労働時間に関する事項(始業・終業時間、残業の有無、休憩・休日等)、④賃金⑤退職に関する事項―の5点です。加えて、パート職員の場合は「昇給の有無」「退職手当の有無」 「賞与の有無」 「雇用管理の相談窓口」の記載が必要です。有期雇用契約の場合は書面に①~⑤に加えて「契約更新の基準の明示」が必要です。これらをまとめた書面を労働条件通知書といいます。雇用後にトラブルにならないように、新規採用時には必ず渡すようにしましょう。

質問3 従業員を初めて採用する。採用にあたり提出を求める書類、診療所に備え付け必須の書類についても。

回答3 提出を求めるものとして、「住民票記載事項の証明書(従業員の住所・氏名・生年月日があるもの)」「扶養控除等申告書」があります。他に、緊急時に備えて、緊急時の連絡先届や、給与計算時に使う通勤経路届、個人情報に関する誓約書などの提出を求めるとよいでしょう。また、従業員を雇用し続ける限り、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿を備え付ける必要があります。これらは法定帳簿と呼ばれ、労働者名簿、賃金台帳には最低限記載しなければいけない事項が定められており、従業員1人1人ごとに作成する必要があります。出勤簿については、タイムカードでの代用が認められています。これらの法定帳簿には3年間の保存義務があり、社会保険、労働保険の手続きや、労基署・税務署の調査などに必要な書類になります。法定帳簿や、労働条件通知書のひな形など、『医院経営と雇用管理2016年版』に記載があります。会員の先生には1冊無料で進呈しておりますので、ご要望の先生は、協会経営管理部まで、お電話またはFAXしてください。